Marin Katusa  "The Colder War :   How the global energy trade slipped from America's grasp"

 

Vladimir Vladimirovich Putin、1952年10月7日生まれ

第一章 失われた10年の終わり

プーチンはエリツィンによって1999年8月9日に第一副首相に任命された。
さらに1週間後の8月16日には正式に首相に任命される。

首相に就任するとロシア高層アパート連続爆破事件をきっかけにして勃発した第二次チェチェン紛争の制圧に辣腕をふるい、「強いリーダー」というイメージを高め国民の支持を獲得した。1999年12月31日に健康上の理由で引退を宣言したエリツィンによって大統領代行に指名される。

2000年3月の大統領選挙で過半数の得票を受け決選投票なしで当選した。

第二章 新興財閥(オリガルヒ oligarch)との戦い

プーチン:ロシア再興のカギはエネルギー資源
       ロシア民間資本で運営されるべきで、経営は国家の指導に沿ったものでなくてはならない。

敵はMikhail Borisovich Khodorkovskii

1988年、コムソモールの組織を土台として、メナテップ(部門間科学技術プログラム)グループを設立。ソ連ジルソツ銀行と合同し、同年12月、科学技術進歩商業革新銀行を設立し、同行は1990年、メナテップ銀行(バンク・メナテップ)と改称して、同行を中心にメナテップ・グループを拡大する。

エリツィンは国民全員(1億4千万人)に民営化される国営企業の株と交換できるバウチャーを配布。
国民の大半は価値が分からず、僅かな現金と引き換えに手放す。

ホドルコフスキーはメナテップ銀行などを利用し、国営企業を傘下に。

1995年 Yukosを買収
 1993年にロシア政府が小規模の旧国営石油企業を統合して設立 採掘から販売まで垂直的に扱う大企業  西シベリアの油田保有

 エリツィン政権が資金不足であることを知っており、資金提供を申し出。
 1億5900万ドルの融資、担保はユコス株45%(30億ドルの価値) 返済不能で取得 

ホドルコフスキー  プーチン批判強める 「操作された民主主義」
          野党に政治献金

YukosとSibneft(現Gazprom Neftの合併構想

Sibneft Roman Abramovich Boris Berezovskii (バウチャー買占めで財)が50/50所有 Abramovich 100%

Yukos-Sibneft ができればロシアの石油生産の30%
ホドルコスフキーはExxonMobilかChevronへの売却を狙う。

プーチンが計画を把握
  ExxonMobilが計画を政府が承認しているかどうかを確認 → ExxonMobil 撤退、Chevronも

2003/2 ホドルコフスキー、クレムリンでの公開討論会でプーチンを公然と批判 不正蓄財を匂わせる。

ホドルコフスキー ユダヤ人、新興財閥 ロシア人が悪感情(プーチンは愛国者)

2003/7  警察がメナテップ銀行の役員・大株主を国家財産横領、脱税、背任などで逮捕
3ヵ月後にホドルコフスキーを脱税、横領、詐欺、文書偽造で逮捕
二人の財産(ユコス株含む)を凍結

2003/12 ユコスの税務調査 子会社合算利益に300億ドルの未納税金
  まず2000年度の未納税分を2日以内に納付求める。

2004/6 最大子会社 Yuganskneftgas (石油生産の60%) (150〜220億ドルの価値)を差し押さえ、競売
 純資産300ドルのBaikal Finans Group
が93.5億ドルで落札、3日後にRosneftが買収

YukosとSibneft 合併もご破算

Yukos 清算、Rosneftが残余資産をバーゲン価格で取得

2013/12 ホドルコフスキー釈放

ーーー

Sibneftの元株主のBoris Berezovskii  所有するTVを使い、プーチン批判  英に亡命 欠席裁判で有罪 2013/3 殺害される。

プーチンのグランドデザイン

 1)ロシアは外国からの攻撃に屈しない強国でなければならない
 2)ロシアを脅かすのは米のみ
 3)周辺国をバッファーに(米との連携を許さない)
 4)ロシアの安全保障のためにも国民は豊かにならなくてはならない。
 5)ロシアの反映は天然資源とりわけエネルギー資源に依存
 6)資源収入は軍事予算を担保するだけでなく、資源輸入国をロシア依存国に
 7)資源エネルギー関連産業(石油、ガス、ウラン供給、石化、輸送)の圧倒的力がロシアに依存せざるを得ない国をつくる。
 8)資金と技術のため海外からの資金は歓迎するが、政府の全面的監督下に
 9)ロシア国外のエネルギー事情混乱はロシアに有利。中東騒乱は有利
10)PetroDollarに風孔をあけ、米に打撃

精製、石化、輸送)の圧倒的な力がロシアに依存せざるを得ない国をつくる。
  
8)資金と技術のため海外からの資金は歓迎するが、政府の全面的監督下に
9)ロシア国外のエネルギー事情混乱はロシアに有利。中東騒乱は有利
10)PetroDollarに風孔をあけ、米に打撃

プーチンの知力、強い意思、非情さはロシア人にとり「徳」 かつてのロシアの栄光の復活、経済再建

第三章 グレートゲームと新冷戦

 石油は金融システムの根幹をなしている。石油をコントロールするものが貨幣を支配する。

 プーチンはこれを理解し、石油とリンクしたドル支配体制に挑戦

 1971/8/15 ニクソン大統領、ドルと金の交換停止

 キッシンジャーをサウジに派遣
   米はサウジを防衛する。どんな兵器も売る。サウジ王家を未来永劫に保護する。
   
    見返りに
@サウジの石油販売を全てドル建てにする。
           Aサウジの貿易黒字で米国財務省証券を購入

  
  1974年 上記調印
  1975年 OPEC他のメンバーもドル建て取引採用

  「ペトロダラー」システム  金との兌換不要、ドルを刷り、輸入決済に充てる。ゼロコストでドルを発行。

第四章 スラブ戦士プーチンの登場

 グルジア問題  シュワルナゼ大統領 
           親西欧 NATOの戦略的パートナー
           トルコと結ぶパイプラインプロジェクト

         親族の腐敗  バラ革命で退任  プーチンは不介入(絶対必要な場合以外は介入せず)

         グルジア北西部黒海沿岸のアブハジアとグルジア北部の南オセチア 親ロシア、自治権
         両地域で紛争、独立を求める。

         2008/4 プーチン、国家として承認  ロシア・グルジア間戦争、短期でロシア勝利

   ロシア、現状維持を図っただけ
   2011/10 スイス仲介で和解  2012/8 グルジアの賛成でWTO加盟

第五章 ウクライナ問題

プーチン

・欧州向け天然ガスパイプライン ウクライナ経由
・クリミヤのセヴァストポルは欠かせない軍港
・ロシア系住民(800万、全人口の18%)の安全
・NATOに対する緩衝国の役割

天然ガスパイプライン問題  ウクライナはロシアの安いガス依存で最もエネルギー効率悪い。

  ロシアのEU向け天然ガスはEU全体の25%を占め、半分はウクライナ経由

関係悪化で値上げ、不払い、盗ガス

ウクライナ経由しないSouth Stream 計画 (その後取り止め)

ーーー

2014/2に国外脱出したヤヌコーヴィッチ大統領は選挙で選ばれた大統領、暴力的に失脚させることに米は手を貸した。
米資本の入ったインターネットTV(フロマッケテレビ)が煽る。ネオナチグループが参加。

Victoria Nuland 国務次官補は過激なネオナチのスヴォボダ党党首とヤヌーコヴィッチ大統領追い落とし作戦を打ち合わせ。

暫定政権でスヴォボダ党は副首相、農相、環境相、司法長官。
改革はすすまず、腐敗は変わらず。

ウクライナにはシェール、炭層メタンガスあり。

第六章 プーチン分析

 

第七章 プーチンの石油戦略

ソ連崩壊時 原油生産設備は荒れ放題

プーチン 石油増産のため合併を進める。2007年以降、寡占化に1600億ドルを投じる。

1998年 日産600万バレル→2008年1000万バレル→2012年1100万バレル 
国内消費増えないため、800万バレルを輸出に。

2012年 世界の消費量 8500万バレル  ロシア1100万バレル13%
      国際間取引   5500万バレル      800万バレル 15%

北極圏開発 2013年ペチョラ湾プリラズロムノエ鉱区の生産開始 油井の頂部はプラットフォーム構造体内部に

2013/6/24 Rosneft とExxonMobil、戦略的協力関係を促進 

 ヨーロッパ石油事情

 Rosneft

プーチン、少数株主の株を強制的に買い上げさせ、政府プロジェクトを任せる。
海外プロジェクト(まずアルジェリアとカザフスタンの開発)

2006/7 ロンドンで公開  1/4のみで残りは実質ロシア政府 (既存株主は多額のCapital gain)

TNK-BPの買収   
  2012/10/24 ロシアのRosneft、TNK-BPを買収 
    BPはAARとの争いに疲れ、Rosneftに出資、ロシアでの開発に参加
    プーチンはBP取り込みで技術確保

 OPECへの気配り

プーチン:OPECには入らないが、パートナー

 石油パイプラン敷設

2010年 ESPO(東シベリア・太平洋石油パイプラン) 中国国境まで完成
2012年     コジミノまで開通

   2012/12/27  東シベリア太平洋石油パイプラインが全線で稼働 

 欧州向け

ドルジバ(Friendship) Pipeline

ベラルーシがパイプライン使用料値上げを要求

2007/1/15 ロシアーベラルーシ石油抗争 解決

プーチン、輸出ターミナル新港 ウスチルガを建設 2012/3開通 
  バルチックパイプラインの終点、ティマン・ペチョラ盆地と西シベリア盆地の原油はベラルーシを通らず、タンカーによる積み出し可能に
  ウラル石油の安定供給可能
  


第八章 天然ガス戦略

EUの1/3を賄う。

インフラ整備戦略
・パイプライン 信頼できる国を経由
・LNG専用設備を太平洋岸、北海沿岸に構築

 新パイプライン建設

ウクライナ問題

ロシアとウクライナは天然ガスを巡り、何度も争っており、ウクライナを経由するパイプラインでロシアから天然ガスを受けている欧州も巻き込まれてきた。
(EUは輸入するガスの3分の1をロシア産に頼っており、その多くがウクライナのパイプライン経由で輸送されている。)

2009/1/2  ロシア、ウクライナ向け天然ガス供給停止

2013/2/19   ロシアとウクライナ、天然ガスで再び抗争

2013年のウクライナ向け天然ガス価格は401ドル/1,000m3であった。

ウクライナは2013年にEUとの政治・貿易協定の仮調印を済ませたが、ロシア寄りの姿勢を見せるヤヌコビッチ大統領は2013年11月、EUとの関係を強化する「連合協定」の締結を見送り、ロシアとの協力関係を密にする方針に転換した。

ヤヌコビッチ大統領は2013年12月17日にモスクワでプーチン大統領と会談、ロシアはウクライナに対し150億ドルの金融支援を実施し、天然ガスの価格を2014年1月から約3分の1 引き下げ、268.5ドルとすることで合意した。

しかし、2014年に入り、反政府デモの結果、2月22日にヤヌコビッチ大統領が首都キエフを脱出、政権は崩壊、新政権は欧州寄りとなった。

参考  2014/4/7 ウクライナ問題の背景

この結果、ロシアは4月から大幅値上げを行った。

2014/11/4 ロシアとウクライナ、天然ガス交渉で合意 

ーーー

ウクライナを迂回する新ルート

ロシアはこれまで非ロシアの姿勢をとるCIS諸国に対しては、石油や天然ガス価格の引き上げ措置を取り、これが欧州諸国にも影響を与えてきた。

ロシアとベラルーシは2011年11月、天然ガスの販売価格を引き下げることで合意した。
両国政府は2012年の天然ガスの販売価格について、2011年比で3割安い1000立方メートルあたり164ドルで合意。ベラルーシにとり20億ドルの値下げにつながる見込み。

ベラルーシはロシアが主導する旧ソ連諸国の経済統合を支持しており、ロシアはその見返りとして値下げに応じた。   

ロシアの国営ガス企業ガスプロムが、ベラルーシの国営パイプライン運営会社ベルトランスガスの株式の5割を保有するが、残りの株式5割を25億ドルで取得し完全子会社にすることでも合意した。(財政破綻でIMF支援求めるも拒否されていた。ロシアは100億ドルの融資も決める)

2012年Gazprom  「ウクライナ経由ガスの一部をベルトランスガスに任せ、新海底ガスパイプライン(Nord Stream) で欧州に供給する。」

アジア向け

2014/5/26     ロシアのGazprom 、中国への天然ガス供給契約に調印

 LNG戦略

サハリンU 年1000万トン輸出 →2020年 6000万トン

バレンツ海シュトックマン海底ガス田 Gazprom 75%、Total 25% (2012年に Statoil が23%をGazpromに譲渡)
 
  Nord Stream へのつなぎ込み
  ムルマンスク州のテリベルカ(Teriberka)にLNG(液化天然ガス)プラント計画

 ヨーロッパ事情

 Gazprom

1989年 ソ連のガス工業省廃止、ガゾヴァヤ・プロムイシュレンノスチ(ガス工業)に 略称 Gazprom

1991年 ソ連崩壊で民間企業に  乱脈経営で60億ドルの資産を3.25億ドルで売却

プーチンの大統領就任後 直ちに幹部を更迭

シブネフチガス買収、Gazprom銀行設立

2014/12/4 ロシア、South Stream 計画を取り止め

ロシアはその後、新ガスパイプライン Turkish Stream 構想を打ち出し、本年初めにルートが確定した。

2015/7/15    ギリシャへの中国、ロシアの接近   

  アフリカ戦略

ナイジェリア、エジプト、モザンビーク、アルジェリア

 中国

2014/5/26     ロシアのGazprom 、中国への天然ガス供給契約に調印

  30年の長期契約 米ドルではないだろう

第9章 ウラン戦略

  長期的には不足

 ウラン鉱から酸化ウラン抽出(Yellow cake)
          99%がウラン238、0.7%のウラン235が核分裂物質

   U235  濃度アップ
        3〜10%  商業用原発燃料
        20%     研究用、医療用
         20〜90%  潜水艦用小型原子炉用
        90%    原子爆弾

 Yellow cake  フッ素で6フッ化ウランに転換
 56.5℃で気化。中性子の数の違いで238と235に分離(ガス遠心法、ガス拡散法など)

  ウラン鉱山囲い込み

ロスアトム子会社アトムレッドメットゾラタ(ARMZ) 2010年 ウラニウムワン持株を17%→51%
   ウラニウムワン: 年7200トン生産のウラン鉱最大手 豪、カナダ、カザフ、南ア、タンザニア、米に鉱山

ARMZ、カザトムプロム(カザフ)と共同生産合意

モンゴルでのウラン開発 
  ドルノド・ウラン鉱床  カナダのカーン・リソースがモンゴル政府と提携

     モンゴル国会、政府が51%所有権、 上記権益も補償なしで51%が政府に(裏にプーチン)

モンゴルと日米政府間で核燃料リース契約の秘密交渉
  モンゴルがウラン売却、使用済み核燃料を引き取り

  2011/9 日米との交渉打ち切り

  最終目標

    2020年にロシア生産分で世界のyellow cake 生産の1/3
    カザフ(1/4)を加えるだけで世界の半分。他にウクライナ、ウズベキスタン、モンゴル

    ロシアは転換と濃縮分野でのリーダー 世界の1/3の転換能力、濃縮も40%(50%にアップする構想)

目標 Yellow cake 生産では58%確保、加工工程でも半分以上

第10章 対中東戦略

イラン  93%がシーア派
イラク  シーア派(多数派)、スンニ派(少数派)、クルド
サウジ  スンニ派が圧倒的多数派

 イラン

チャーチルが海軍を石油転換

William Knox D’Arcyがイランで石油採掘権 油井発見できず、Burmah Oilに譲渡
1908年石油発掘、1909年 Anglo-Persian Oil Company に改称  BPの前身

英政府 51%出資

1951年 モサデック首相 石油国有化

英米その他 イラン石油ボイコット
1953年 CIA主導クーデター

AIOC(Anglo-Iranian Oil)  英政府 40%、米系企業 40%、Shell 14%、Total 6%

1979年 革命

 イラク

1925〜1961 Calouste Gulbenkian (5%の個人所有分確保;Mr. 5% )のトルコ石油がコントロール

第一次大戦後、イラク石油と改称、持分の半分をイギリスの投資家に売却

1927年イラク北部で大油田 IPC再編
  Gulbenkian 5%、残り95%を4等分 BP、Shell、Total、米投資家グループ(のちにExxonMobil)
  4社は中東でのカルテル(赤線協定)

1972年フセインが接収、Iraq National Oilに移管   投資が絶え、停滞

クウェート侵攻

@第一次大戦後の線引きの不満
  フセイン:クウェートはオスマントルコ帝国のバスラ州帰属地でイラク領
Aイランイラク戦争の負債棒引きをクウェートとサウジに要請したが拒否された。
BクウェートはOPECの協定破り。クウェート隣接のルマイラ油田の原油を不当に採取されている。

1990年7月25日 - 大統領官邸 - バグダッド

April Glaspie・アメリカ大使 - 私はブッシュ大統領から、アメリカとイラクとの関係を改善するよう直接指示を受けています。我々は、あなた方のクウェートとの対立の直接原因ですが、あなた方が石油価格値上げを目指しておられることに、大いに共感しております。(ポーズ)。ご存じの通り、私はここに長年暮らしており、お国再建等、あなたの並ならぬご努力を尊敬しております。あなた方が資金を必要されていることを承知しております。私どもはそれを理解しており、我々の考えは、あなた方は、お国を再建する機会を持つべきだというものです。(ポーズ) 膨大な数の兵士を南に配備されていることを存じております。通常であれば、我々には関係のないことでしょうが、お国はクウェートに対して脅威になっているという文脈で、これが起きているので、我々が懸念するのも当然だろうと存じます。その理由で、対決ではなく、友情の精神から、あなたのご意向について伺うよう指示をうけています。お国の軍隊が、クウェート国境すぐ近くに結集しているのは何故ですか?

サダム・フセイン - ご承知の様に、クウェートとの紛争解決に至るべく、私は長年、あらゆる努力を払ってきました。二日以内に会談を予定しています。交渉に、私はもう一度だけ、短いチャンスを与えるつもりです。(ポーズ) 我々(イラク)が(クウェートと)会った際、希望があると思えれば、何も起きません。もし、解を見いだせない場合、イラクが死を受け入れつもりがないのは当然のことでしょう。

グラスピー・アメリカ大使 - どのような解なら受け入れ可能ですか?

サダム・フセイン - もし我々が、シャット・アル・アラブ全部を維持できれば、それは イランとの戦争上の我々の戦略目標ですが、我々は(クウェートに)譲歩するでしょう。しかし、もし我々が、シャットの半分と、イラク全土(つまりサダムの見解では、クウェートも含まれる)の維持との選択を迫られたなら、我々は、イラク全土を我々がそうあって欲しいと願う形で維持すべく、クウェートに対する我々の領有権の主張を守るために、全シャットをあきらめるでしょう。(ポーズ) これについて、アメリカ合州国の意見はいかがですか?

グラスピー・アメリカ大使 - あなた方アラブ人、あなた方とクウェートとの紛争の様な、アラブの紛争には何の意見もありません。(ジェームズ)ベーカー(国務)長官は、1960年代のクウェート問題は、アメリカとは関係がないという、最初にイラクにさしあげた説明を強調するよう、私に指示しました。(サダム笑う)

1990年8月2日、結集したサダムの軍隊は、クウェートに侵略し、占領した。

イランとイラクは長年、シャットゥルアラブ川流域の領土問題と航行権問題で対立し、これがイラン・イラク戦争の開戦の原因ともなった。1988年には戦前の状態を回復することで両国は休戦した

 

クルド問題

2009/4/7  イラクの油田開放、クルド人自治政府と契約の韓国企業を除外

   Exxon、Chevronも

イスラエル

2011/2/8 エジプトーイスラエル・天然ガスパイプラインが停止

2013/4/4 イスラエルで新ガス田からの天然ガス輸送開始 

2007年に米国のNoble Energyが36%出資し、イスラエルの Delek Drilling (31%)、Isramco (29%)、Dor Alon (4%)の3社が加わるコンソーシアムが引き継ぎ、2年間の努力の末に2009年にガス田を発見した。 

LNG設備計画

2012/11
Levant LNG Marketing, a unit of Pangea LNG BV, has concluded a cost-sharing agreement with Israel’s Tamar Partners, Tel Aviv, that marks progress toward the export of LNG from Tamar and Dalit fields 60 miles off Israel

2013/2
A subsidiary of Russian energy giant Gazprom has signed a 20-year deal with Levant LNG Marketing Corp. to exclusively purchase liquefied natural gas (LNG) from Israel’s Tamar offshore gas field in the Mediterranean, Gazprom said.

 

ロシアはキプロスとの関係強化 金融危機で35億ドルの借款  
イスラエルもキプロス、ギリシャとの関係強化

  将来、両国を通じて欧州にガスパイプライン

サウジアラビア

Socal (現 Chevron) に石油開発依存 赤線協定不参加で自由に
 ダーランで1938年 商業生産開始、SocalはAramco設立

 

最近は対米不満
・シリアのスンニ派の反アサドの戦いに支援なし
・スンニ派パレスチナ組織の対イスラエル交渉に何もせず
・シーア派イランとの接近
・サウジのバーレーン反政府活動鎮圧に支援せず

・フセイン放逐に反対 → 米は従わず、結果はイラクがばらばらに 
・アラブの春後押し 守ってくれるか疑念

ロシアがサウジに接近

米・サウジ提携が崩れた場合、
 ロシアがルーブルとリヤルの連動による石油取引、中国も人民元との連動取引を (ペトロダラーシステムの黄昏)

第11章 黄昏のペトロダラーシステム

中国  ブラジル、豪、UAE、トルコと通貨スワップ協定  ドル介在なしで取引

    チリとのスワップ
    韓国との貿易決済を中央銀行間で実施
    スイスナショナル銀行とスワップ枠

BRICSの新開発銀行

米は逆にドル崩壊を自ら加速化
 イランへの経済制裁  SWIFT(ドル決済)利用禁止→ドルを使わない決済へ(金塊、他通貨、バーター)

ロシア  石油産出国に金による価格設定を要請

第12章 ペトロダラーシステム崩壊後の世界

ドル弱体化
  巨額の軍事費
  無遠慮な外交

最悪のシナリオ

各国がドルから逃げ出す  逃避阻止で金利大幅アップ、発行済み国債暴落
ドルの減価  輸入品コスト急増、国内インフレ

金利アップで銀行危機

デリバティブ商品

回避策

政府予算削減
外交姿勢修正(紛争介入)
過度な福祉政策の停止
国内エネルギー資源開発  再生可能エネルギーは非経済

 

プーチンの反撃

ロシア・中国連携
ロシア・ヨーロッパ諸国連携
その他の国々との連携