東電、東通原発を共同事業に 中部電などと新会社                        再生可能エネルギー発電事業の分社化
 

2019/8/8 5:04
日本経済新聞 電子版
 
東京電力ホールディングスは建設を中断している東通原子力発電所(青森県)について中部電力などとの共同で事業化し、運営に取り組む方針を固めた。地元との調整や建設、運営、保守までを一貫して担う新会社を両社と日立製作所、東芝の4社で設立する調整に入った。東電も中部電も稼働する原発がない厳しい状況のため、異例の共同体制で事業を継続する。

4社は2018年8月から原子力事業を巡る提携を協議しており、その具体的な取り組みの第1弾となる。東電が中部電など3社に新会社設立を打診した。設立は20年以降になる見込みで、東電に代わり事業主体となる。

国は東電に対して東通原発の建設を許可している。経済産業省は原子力事業の再編に前向きで、新会社が事業を引き継げるよう必要な措置をとって後押しするもようだ。

東電は東通原発の1号機を11年1月に着工した。当初の計画では17年3月に稼働予定だったが、東日本大震災を受けて工事を中断した。福島第1原発事故を起こした東電による原発建設には慎重な意見もある。東通原発の事業主体が新会社になってもすぐに建設が再開できるかは不透明だが、東電は新会社に事業を引き継ぐことで東電色を薄めたいとの思惑もある。

東電と中部電は福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)と呼ばれる原発の建設や運営に携わってきた。東電は福島第1、第2原発の計10基の廃炉を決め、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を目指している。日立は1月に英国での原発新設計画の凍結を決め、東芝も海外案件から撤退している。建設や再稼働がなく、各社の原子力事業は先細りの状態だ。

中部電も浜岡原発(静岡県)が稼働していない。東電と中部電は将来は柏崎刈羽原発や浜岡原発の運営・保守も新会社で手がけたい考え。数千人規模の人員が新会社に移る可能性もある。

東芝と日立の参画にはハードルもある。原子炉などを納入してきたが、運転の経験はなく、事故が起きた際のリスクへの懸念があるためだ。株主に海外投資家が多い東芝は取締役の8割を社外人材が占め、慎重な意見が出る可能性もある。

ただ、メーカーにとって原発関連の人材育成や技術の伝承は深刻な課題となっている。日立と東芝が手掛けるBWRの原発は11年の福島第1原発事故から再稼働していない。保守管理を中長期で手がけていくために必要な人材の育成が進まない状況が続いている。

原発の安全対策費は膨らむ傾向にあり、投資や人材確保などを各社が個別に取り組むには負担が大きくなっている。4社での原発建設は国内で例がないが、1つの手法になる可能性もある。

 

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2019/8/7 

再生可能エネルギー発電事業の分社化方針の決定

当社は、本日開催の取締役会において、当社の再生可能エネルギー発電事業について分社化する方針を決定いたしましたので、お知らせいたします。

当社は、今後、国内外で600〜700万kWの総開発規模を目指して、再生可能エネルギーの主力電源化を推し進めていくこととしております。

そのため、当社グループの再生可能エネルギーの認知度向上を志向した再生可能エネルギー電源への特化、国内外のパートナーとの連携や大規模な投資等に対する迅速な意思決定のための責任と権限の明確化、さらには、それを支える資金調達の柔軟化を目的として、2020年4月1日を目途に、当社の再生可能エネルギー発電事業を分社化することといたしました。
また、分社後、これらの目的を追求しつつ事業規模や収益を拡大し、この取り組みを踏まえた2030年度の利益目標として1,000億円を目指してまいります。

今後のスケジュールといたしましては、2019年10月に、承継会社として当社の完全子会社(以下、「新会社」)を新たに設立し、11月に当社と新会社との間で吸収分割契約を締結してまいります。