毎日新聞

もんじゅ敷地に研究炉 材料開発や医療応用探り、発電せず 廃炉とバーター、地元依存

文部科学省は、次世代の原発「高速炉」として期待されながら廃炉になった「もんじゅ」(福井県敦賀市)の敷地内に、研究用の原子炉を新設する方針だ。原子力施設が多数ある敦賀市では、もんじゅ以外でも廃炉作業が進む。研究炉への地元の期待は大きく、原子力頼みから抜け出せない地域の事情が見え隠れする。

新設が決まったのは、研究炉としては中型となる熱出力1万キロワット未満の原子炉。核燃料を使って、放射線を別の物質にぶつけてその反応を調べるなどして、材料の開発や医療への応用につなげられないか研究する。発電はしない。さらに、原子炉の構造や操作方法を学ぶ人材育成機関としての役割も担う。

文科省は、総額500億円の建設費を見込む。2021年度予算の概算要求に1億3000万円の設計費を盛り込み、22年度には詳細な設計を始める予定だ。

研究炉の新設が迫られている背景には、大学や研究機関の原子炉が再稼働できていない事情がある。東京電力福島第1原発事故前、研究炉は日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)のほか、東京大や京都大などに計15基あった。しかし、原発事故に伴う国の新規制基準により規制が強化され「大学として古い炉を守るのは非常に困難な状況」(中島健・京大教授)になった。

その結果、新規制基準に対応して運転を再開できたのは、京大などの4基のみ。ただ、京大の研究炉で使い終わった核燃料を引き取っている米政府は、26年以降の発生分を受け付けない予定だ。このため、研究炉を運転し続けられるかは見通せていない。京大は関西圏の研究拠点だけに、多くの研究者は新たな研究炉を望んでいた。