「日米社会保障協定で
あなたももらえる!! アメリカの年金」  中央経済社

年金の帰属問題

年金資格

概算年金

受給年齢

遺族年金

税金


年金の帰属問題

 ほとんどの日系企業では,駐在員の給与をネット保証で支払っているのが通常です。つまり,給与の手取額を保証する制度で,アメリカヘ駐在することにより発牛するアメリカでの税金や社会保障税は会社負担となっています。

 確かに見方によっては,年金の掛け金を支払ったのは会社であるため,将来受け取る年金も会社に帰属させるべきではないかという意見もあります。しかし,個人の年金を会社に帰属させるのは,下記の内容を鑑みても,法的には極めて難しいと思われます。

あくまでも個人が受け取るので「年金」であり,会社が受け取れば「年金」ではなくなってしまう。
手続きは個人で行う必要があり、会社が行うことはできない。
実際に会社が支払ってはいるが、それは、アメリカの所得税上、個人の所得として認識されており、個人レベルで課税の対象となる。
アメリカの年金の権利は譲渡できず、差し押さえ等の対象とならないことが法的に規定されている。
この規定の唯一の例外は、税金の支払が滞った際に、政府が納税として差し押さる権利があるだけである。
年金を会社に帰属させ、会社が従業員から訴えられた場合、会社が敗訴する可能性が高く、訴訟リスクがある。

 


年金資格

 通常  40 credits
 日本人 6 credits (日本での就労期間で残り)

1 credit  2004年では所得(税引き前) 900$で1 credit、年間 4 creditsが限度

駐在員の場合は1〜2ヶ月で4 creditsにはなるため、足かけ2年で資格ができる。

  例 1980/10 就労、1981/3帰国でも 4+4=8 credits となり、6 credits をクリア


概算年金 月額

 年金は35年間働く場合を標準とする。
 10年勤務の場合は10年間の所得合計を35年平均するため「低額所得者」となり、優遇される。

 日本人の場合、日本からの年金も得るため、米国での優遇はwindfall (棚ぼた利益)とみなされ、
 これの排除のため調整が行われる。

 本書の著者が作成した簡易計算

   $2,000 x (米国での就労月数)/420 

  

  4年3ヶ月の場合  $2,000 x 51/420 = $243

  家族年金 50%

  夫婦合計 $243 x 1.5 = $365


受給年齢(標準退職年齢)

 誕生年1937以前   65歳
     1938      65歳2ヶ月
     1939      65歳4ヶ月
     1940      65歳6ヶ月
     1941      65歳8ヶ月
     1942      65歳10ヶ月
     1943-54    66歳

  受給を早めた場合 最初の36ヶ月 繰上げ月数 x 5/9% 減額
              それ以前             5/12%

  受給を遅らせた場合 1937-38年生まれで 1年で6.5%増額 (その前は同様に0.5%刻み)
                1939-40年          7.0%
                1941-42            7.5%
                1943--            8.0%

 


遺族年金 60歳以上の配偶者

       死亡者が生存していた場合の65歳時に受給できる金額

 


税金

 新租税条約(2003/11/6)
   17条(退職年金) 居住する国においてのみ課税=日本で課税

  日本での課税  雑所得の公的年金等の所得に加算して課税