2011 年12 月20 日 ジェイ・パワーシステムズ

台湾本島・澎湖(ポンフー)島間の海底電力ケーブル敷設プロジェクトを受注

 株式会社ジェイ・パワーシステムズ(「JPS」)と住友商事は共同で、台湾の電力会社である台湾電力公司より台湾本島と台湾南西部沿岸から西に約60km 離れた澎湖(ポンフー)島を結ぶ海底電力ケーブル敷設プロジェクトを受注しました。
 本プロジェクトの契約金額は約320 億円です。台湾本島とポンフー島間 約60km を結ぶ、161kV の単相・光複合海底電力ケーブル6 本を敷設するフルターンキープロジェクトです。JPS が海底電力ケーブルおよび付帯設備を製造し、住友商事はJPS と共同で海底電力ケーブルの敷設および関連土木工事を行います。
 本プロジェクトの総敷設距離は350km 以上、敷設深度は最も深い所で約150m ありますので、この種の高圧海底電力ケーブルプロジェクトとしては世界最大級のものになります。

 ポンフー島は漁業と観光を主産業としており、サンゴ礁など豊かな自然を有する美しい島です。台湾では同島の自然を保護し「低炭素島」と呼ばれる低炭素社会のモデルアイランドを構築するために、同島の再開発を進めています。その一環で現在、同島の電力供給源であるディーゼル発電所を廃止し、風力発電所を建設する等、再生可能エネルギーへの移行促進を図っています。その中において本プロジェクトは、本島からの電力調達を通じて移行期における電源安定化という重要な役割を担っており、ポンフー島の低炭素島構想を実現する上で必須のプロジェクトとして位置付けられています。
JPS と住友商事は今後とも海底電力ケーブル敷設プロジェクトにつき積極的な取り組みを継続させていきます。

 

  • 2011/6/1
  • 2010/11/25
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    2011/12/20 日本経済新聞

    海底送電線、台湾で敷設
      JPSと住商、320億円で受注 洋上風力発電普及の要

     高圧送電線国内最大手のジェイ・パワーシステムズ(JPS)と住友商事は、台湾本島と離党をつなぐ全長350kmの海底送電線を受注した。離党の風力発電設備から台湾本島に電力を送るための海底ケーブルで、契約額は320億円。海底送電線技術は洋上風力発電や離島発電の普及のカギを握る。両社は今回の受注をてこに、アジア各地で見込まれる継続案件の獲得を狙う。
     受注したのは台湾本島と、本島の西方約60kmに位置する澎湖諸島を結ぶ直径15cmの海底電力ケーブル6本。日本企業が受注した送電線の海外案件で過去最大となる。洋上と同様に強い風を取り込める膨湖諸島に風力発電所を建設し、将来は台湾本島へ送電する計画の一環だ。
     JPSがケーブルを国内で製造し、住商が水深150mの海底での敷設や土木工事を請け負う。2013〜16年度に台湾電力に納入する。韓国LSケーブルなどとの国際入札に競り勝った。
     台湾南西部沿岸は船の往来が多く、堅固で安定した送電線の敷設が必要。温度監視や事故検出に優れる光ファイバー複合型のケーブルを得意とする日本勢が技術的優位を発揮した。
     JPSは住友電気工業と日立電線の共同出資会社で10年度の売上高は705億円と国内トップ。海底電力ケーブルは売上高の1割に満たないが、洋上風力発電などの送電線需要で事業拡大の余地は大きい。求められる技術水準も高く、世界的にも競合は少ない。
     再生可熊エネルギー普及に本腰を入れ始めた国内でも洋上風力発電の事業化を探る動きが本格化、中国や韓国、東南アジアでも大型計画が相次いでいる。中でも中国市場が、欧州市場とともに市場拡大のけん引役になるとみられている。

    関連産業の裾野拡大 日本勢、技術力に強み
     洋上風力発電市場の成長余地は大きい。陸上に集中してきた風力発電は、洋上が一翼を担うようになってきた。デンマークの調査会社 MAKEコンサルティングによると、世界市場は2015年に11年予測の約3倍と急成長する見込みだ。
     洋上風力発電はデンマークが1990年代に初めて建設して以降、欧州が主導してきた。中でも積極的な開発計画を打ち出すのが英国だ。投資誘致や国内の産業育成を視野に年間50万kw以上の増設を続ける見通し。陸上への設置を進めてきた米国でも20件程度のプロジェクトが進み、アジアでも本格導入の動きが始まった。
     関連産業の裾野も広く、日本企業の参入機会も多い。
     なかでも、沖合に設置した風車で発電した電力を集め、陸上の送電網につなげる海底送電線のコストや信頼性は事業の成否を分ける。陸上より強風にさらされる洋上では発電プラントを構成する増速機や歯車に頑丈で壊れにくい仕様が必要で、高い腐食耐性も求められる。
     発電用風車を海上に浮かべる「浮体式」のように陸上風力にはない固有の要素技術もある。技術力を持つ日本勢が強みを発揮しやすく、国内勢が連携すれば洋上風力がインフラ輸出の新たな柱となる可能性もある。
     

    参考

    丸紅の洋上風力発電用の大規模海底送電線事業

    Googleは2010年10月、中部大西洋沖の風力発電所と本土を結ぶ大規模な海底送電網建設プロジェクト Atlantic Wind Connection を発表した。

    Googleが37.5%を出資し、残りを 丸紅、スイスのプライベート・エクイティ・ファンドのGood Energies Investment Corp.、米国の規制送電線開発企業であるAtlantic Grid Development, L.L.C.が出資する。

    今後中部大西洋岸4州(ニュージャージー州、デラウェア州、メリーランド州、バージニア州)沿岸に建設が予定されている洋上風力電源と同州内陸電力系統を接続するもので、将来的には約6,000 MW相当の洋上風力電源を接続する見通し。
    送電線開発・建設は5つのセグメントに分けて順次推進し、約1,500 MWの送電容量を持つ第1セグメントの開発を今後2年に亘り行い、2013年中の建設着工、2016年中の操業開始を目指す。