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小泉元首相が各地で「脱原発」の発言を続けている。
10月16日の木更津市での講演の発言概要は以下の通り。(2013/10/30 毎日新聞)
首相の時は「原子力はCO2を出さない、安全だ、コストも安い」という専門家の話を信じていた。
しかし福島の原発事故を考えると、日本で原発を推進するのは無理だなと。
政治が決断すれぱ原発ゼロでもやっていけると考えた。
8月にフィンランドの核廃棄物の最終処分場「オンカロ」を視察し、改めて確信した。放射性廃棄物、核のゴミをきちんと危険のないよう保管する場所が、日本にはどこにもない。
地震国で津波もある。原発事故の後でコストが一番安いと信じる人はほとんどいない。
原発立地にどれだけ税金を投入したか。そして福島の事故の賠償責任、汚染水処理、廃炉。東電だけでできるわけがな.い。
今や原発のコストは一番高い。
日本は原発ゼロで十分経済成長できる。日本企業は力がある。
今すでに原発ゼロだ。原発は新増設できず、安全対策をして稼働させてもせいぜい数基だ。
それなら太陽、風力、地熱、地域全体でCO2を出さない自然エネルギー改革をする。
代替エネルギーの参入を増やし電気料金で競争させれぱいい。
10月29日には「世論を変えることで政府も脱原発に向け政治決断ができる」と述べ、今後も発言を続ける意向を示した。
付記 小泉純一郎元首相は11月12日、日本記者クラブで講演した。
小泉元首相は脱反原発論について、毎日新聞の8月26日の記事以来、取り上げられているが、311以降、ずっと言い続けてきたとしている。
記念の記帳に書いたのは「
安倍首相への言葉であろう。
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「オンカロ」は、フィンランドのオルキルオト島で建設中の、世界で唯一の高レベル放射性廃棄物の最終処分場である。
地下およそ520メートルの深さまでトンネルを掘り、そこから横穴を広げ放射性廃棄物を処分する。2020年までに運用を開始し、その後2120年頃までの100年間にわたり埋設処分に利用、100年後に施設が満杯になった後は、道を埋めて完全に封鎖する。
プルトニウムの半減期は2万4000年で、生物にとって安全なレベルまで放射能が下がるにはおよそ10万年の月日を要するため、10万年にわたって封鎖され続ける。
ドキュメンタリー映画 『100,000年後の安全』
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小泉発言について、安倍首相は以下の通り反論している。
原発停止の影響で火力発電向け燃料の輸入コストがかさみ、原発ゼロを続けるのは現状では難しい。
1年間で4兆円近い国の富が海外に出ていっている。ずっと続いていくと大変だ。今の段階で原発ゼロを約束することは無責任。
原子力比率は可能な限り引き下げていかなければならない。
高レベルの放射性廃棄物の最終処分については、現在も処分地選定調査に着手できていないという現状を真摯に受けとめなければならない。
国として、処分地選定に向けた取り組みの強化を、責任を持って検討していきたい。
高レベル放射性廃棄物の最終処分方法として、地層処分については、20年以上の調査研究の結果、我が国においても技術的に実現可能であると評価されている。一方で、地層処分について専門家間でさまざまな議論が存在するのも事実。
今後、これまで以上に専門家での丁寧な議論を実施し、同時に、安全性、信頼性の一層の向上に向けた研究開発を進めていくなど、日本学術会議の提言も踏まえて、国として、最終処分へ向けた取り組みの強化を責任を持って検討していく。
菅官房長官は「責任あるエネルギー政策を進めていくのは政府の役割だ」と述べた。
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使用済み核燃料の再処理で生じる高レベル放射性廃棄物の地層処分については、2000年に原子力委員会が実現可能と評価し、受け入れ先の選定に向けた特定放射性廃棄物最終処分法が成立した。
特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針の作成と公表、精密調査地区及び最終処分施設建設地の選定、最終処分の実施、「原子力発電環境整備機構」の設置について規定
しかし、安全性や原子力政策への批判などから、最終処分施設建設地の選定は全く進展していない。
アメリカでは、1987 年に NWPA (核廃棄物政策法) を制定。候補地の中から、Yucca Mountain に絞り込んで処分場を作ることを決め、2009 年までに 150億ドルの投資を行って建設の準備を行ってきた。
しかし、決定後に地元住民やネバダ州議会の反対が強くなり政治問題化した。
オバマ大統領は 2008
年の大統領選挙において、Yucca Mountaiへの建設計画中止を公約に上げて当選、オバマ政権は代替手段を用意しないまま、Yucca
Mountaiでの処分場建設計画を中止、これまでの数十年にわたる取り組みを無効化した。
建設中の「オンカロ」が世界で唯一の高レベル放射性廃棄物の最終処分場である。
日本学術会議は昨年9月、以下の内容の政策の抜本的な見直しを原子力委に提言した。
(1) 高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策の抜本的見直し
各地で反対に遭い、行き詰まっているのは、説明の仕方の不十分さというレベルの要因に由来するのではなく、より根源的な次元の問題に由来することをしっかりと認識する必要がある。
従来の政策枠組みをいったん白紙に戻すくらいの覚悟を持って、見直しをすることが必要である。
(2) 科学・技術的能力の限界の認識と科学的自律性の確保
地層処分の政策枠組みが行き詰まりを示している第一の理由は、超長期にわたる安全性と危険性の問題に対処するに当たっての、現時点での科学的知見の限界である。
自律性のある科学者集団による、専門的で独立性を備え、疑問や批判の提出に対して開かれた討論の場を確保する必要がある。(3) 暫定保管および総量管理を柱とした政策枠組みの再構築
行き詰まりの第二の理由は、原子力政策に関する大局的方針についての国民的合意が欠如したまま、最終処分地選定という個別的な問題が先行して扱われてきたことである。
広範な国民が納得する原子力政策の大局的方針を示すことが不可欠であり、高レベル放射性廃棄物の暫定保管と総量管理の2つを柱に政策枠組みを再構築することが不可欠である。(4) 負担の公平性に対する説得力ある政策決定手続きの必要性
行き詰まりの第三の理由は、従来の廃棄物処分方式では、受益圏と受苦圏が分離するという不公平な状況をもたらすことにある。
これへの対処として、金銭的便益提供を中心的な政策手段とするのは適切でない。
金銭的手段による誘導を主要な手段にしない形での立地選定手続きの改善が必要であり、負担の公平/不公平問題への説得力ある対処と、科学的な知見の反映を優先させる検討とを可能にする政策決定手続きが必要である。(5) 討論の場の設置による多段階合意形成の手続きの必要性
(6) 問題解決には長期的な粘り強い取組みが必要であることへの認識
経済産業省の総合資源エネルギー調査会は9月28日、原発の高レベル放射性廃棄物を地中深くに埋める地層処分の技術的課題を検討する作業部会の初会合を開いた。技術面での本格的な再検証を始める。
杤山委員長は会合後、記者団に「できるかどうかをゼロに戻って判断したい」と強調、議論の結果次第では地層処分を取りやめる可能性もあるとの認識を示した。
地層処分方法を研究する日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターは10月28日、北海道の宗谷管内幌延町の調査坑道を報道機関に公開した。
調査坑道は2012年3月に掘削を開始した。
地下350メートルの地点に高さ3m、幅4mの馬蹄形の坑道を「8の字」形に掘っており、本年度中に坑道につながる試験用の横穴がすべて完成すると、総延長は約760mになる。
来年度から放射性廃棄物に見立てた100度程度の熱源入りの実物大の鋼鉄製容器の埋設試験を行い、本格的な処分技術の研究を始める。
水分を通しにくい特殊な粘土で覆い、地下水の浸透や容器の腐食の程度を数年かけて調べる。
機構と北海道、幌延町は実際に放射性廃棄物を持ち込むことと、処分場転用を禁じる三者協定を結んでおり、約20年の研究期間終了後は地下施設全体を埋め戻す。
付記 国内では既に2万5千本相当の使用済み核燃料がたまっており、東京ドーム約80個分の広さが必要という。
オンカロもフィンランドに4基ある原発の2基分を貯蔵しうるだけで、あと2基分の処分場が必要。
読売新聞は10月8日の社説で以下の通り述べている。
使用済み核燃料や、それを処理した際に出る放射性廃棄物の処分法は技術的に決着している。
専門家は地盤の安定した地層に埋めれば、安全に処分できると説明している。日本を含め各国がこの方法の採用を決めており、フィンランドでは建設も始まった。
放射能は、時間を経ると減り、1000年で99.95%が消滅する。有害性が消えない水銀など重金属の廃棄物とは事情が違う。
これは事実ではなく、高レベル放射性廃棄物を地下に埋設するための基礎実験をこれから始める
段階で、技術面での本格的な再検証の結果次第では地層処分を取りやめる可能性もある。
更に、最終処分を引き受けるところがないことから近い将来の実現はあり得ない。
実現するまでに廃棄物の保管能力が限界に達し、原発を止めざるを得なくなるのは必至である。
2013/11/2 トクヤマとセントラル硝子、ソーダ灰事業で提携
トクヤマとセントラル硝子は10月31日、両社の創業当時からの製品であるソーダ灰と塩化カルシウムの販売について共同事業会社を設立し販売事業を移管・集約することで合意したと発表した。
国内ソーダ灰市場は、需要が大幅に縮小し、回復が見込めない状況で、 主用途であるガラスや粉末洗剤は慢性的な需要減少、ユーザーの海外移転等により今後も市場の成長・回復は厳しい。
両社はまず、2014年10月1日から販売事業を統合する。
2015年5月末にはセントラル硝子が生産から撤退し、トクヤマ1社が供給する体制にする。
販売会社(社名は検討中)はトクヤマが65%、セントラル硝子が35%を出資する。
両社の生産能力は以下の通り。
トクヤマ セントラル 合計 ソーダ灰 34万トン 25万トン 59万トン 塩化カルシウム 19万トン 18万トン 37万トン
ーーー
ソーダ灰とその副産品の塩化カルシウムは、現在の電解法苛性ソーダの以前の製法であったアンモニア法苛性ソーダの原料であった。
1961年11月に通産省が「アンモニア法か性ソーダの電解法への転換方針」(後記)を出し、各社がアンモニア法ソーダを停止した以降も、ソーダ灰の生産は続けてきた。
アンモニアソーダ法 以上をまとめると、 (以下 苛性ソーダ製造プロセス)
(電解法の場合) NaCl(工業塩)→NaOH+Cl2 |
ソーダ灰は幅広い分野で利用されている。
・板ガラス(自動車ガラス・建築ガラス・タッチパネルガラス等)、びんガラスの原料
・グラスウール(断熱材)の原料
・石けん、洗剤の原料
・かん水
・水処理助剤
副産の塩化カルシウムは、除湿剤、融雪剤、豆腐用凝固剤、食品添加物などに使用される。
途中で生産される塩化アンモニウムは肥料などに使われる。
ーーー
アンモニア法ソーダのメーカーは4社(トクヤマ:旧・徳山曹達、セントラル硝子:旧・宇部曹達工業、旭硝子、東ソー:旧・東洋曹達)で、各社とも苛性ソーダの製法転換後もソーダ灰の生産を続けたが、需要は減少した。
また、コストが安い米国の天然ソーダ灰の輸入もあり、その後は中国からの輸入も増大した。
国内市場は1979年度に
ピークの140万トンを記録したが、その後、新築住宅着工低迷による建築用板ガラス生産の減少、顧客の海外移転に伴う国内ブラウン管用ガラス生産の減少、アルミ缶やペットボトルへの移行による飲料用ガラス瓶需要の減少などの影響を受け、2012年度には59万トンに減った。
国内生産は32万トンで両社がほぼ半量ずつを生産、残る27万トンは中国や米国などからの輸入である。
近年は中国品の輸入が増加し、販売価格も下落傾向にある。
東ソーは1996年、南陽のプラント(32万トン)を停止、米国天然ソーダ灰の輸入販売に切り替えた。
旭硝子は、北九州工場・千葉工場の両工場のほか、1990年に米国天然灰生産会社Solvay Soda Ash J.V(Solvay 80%、旭硝子 20%) を設立、3拠点であったが、1997年に千葉を停止、2001年に北九州も停止した。
同社は2004年に、同じく米国産ソーダ灰を輸入販売する住友商事と折半で販売JVのソーダアッシュジャパンを設立したが、2007年に住商100%とした。
フッ素化学事業の更なる強化のために経営資源を集中していきたい旭硝子と、ソーダ灰事業に更に注力していきたい住友商事との考えが一致したもの。
なお、セントラル硝子は当初の社名は宇部曹達工業で1936年に設立された。
1958年に子会社セントラル硝子を設立したが、1963年にこれを吸収合併し、社名をセントラル硝子に変更した。
ーーー
1961年11月の通産省 「アンモニア法か性ソーダの電解法への転換方針」はPVCの増設、原料転換に対応するもので、内容は以下の通り。
① カーバイドのコスト引き下げは困難であるので,増設に当たっては炭化水素源をEDCなどコストの安いものに移行させる。
② EDC法の採用に当たっては極力カーバイド法のスクラッブ・アンド・ビルドを進める。
③ 塩素源については苛性ソーダとのバランスを取るためア法ソーダの電解法への転換を進める。
(PVC増産で塩素需要が急増。余剰ソーダ輸出、ア法ソーダ減産でも対応不可になってい。)
④ ア法メーカーのEDC計画を塩素消化の面から支援する。
この方針によりアンモニア法メーカーは先ず、EDCの外販から始めた。
東洋曹達/徳山曹達:1964年 周南石油化学設立 (両社にプラント) → 1978年解散
セントラル硝子 :1963年 セントラル化学設立(川崎)
各社とも、PVCへの進出を図ったが、PVC増設枠の配分取得で難航した。
徳山曹達(現・トクヤマ):
1966年に鉄興社(既存PVCメーカー)、ダイセルとのJV サン・アロー化学を設立、VCM・PVCの生産を開始。
後に徳山曹達100%とし、現在に至る。(PVCは新第一塩ビ)東洋曹達(現・東ソー):
1966年に独自でVCM生産開始
1969年に鉄興社(既存PVCメーカー)とのJV 四日市鉄興社を設立、PVCの生産を開始。
1975年に鉄興社を吸収合併、現在に至る。(PVCは大洋塩ビ)旭硝子:
1966年に米国PPGとのJV 旭ペンケミカルを設立、VCM生産開始。
1973年に独自でPVCの生産を開始。
2002年 国内PVCから撤退。
現在、VCMは京葉モノマー、海外PVCはインドネシアのAsahi-masで事業継続セントラル硝子:
1969年にセントラル硝子、東亞合成、東燃化学が川崎有機を設立。
1970年にセントラル化学がVCMを、川崎有機がPVCを生産開始。
2003年にセントラル化学がPVC事業から撤退。
21世紀に入り、日本ゼオン、住友化学、呉羽化学、三菱化学、チッソ、東亞合成などの各社がPVCから撤退する中、トクヤマと東ソーは健在である。
2013/11/4 OxyChem、メキシコのMexichemとのJVでエチレン生産
本年2月にOccidental Chemical (OxyChem) がシェールガスを利用し、VCM原料用にエチレンを新設することを報じた。
立地:テキサス州 Ingleside
能力:年産 545千トン
原料エタン:隣に新設する液状天然ガスの分解装置からパイプラインで輸送
製品エチレン:隣接する100%子会社OxyVinylsのVCMプラントにパイプラインで輸送
2013/2/11 OxyChem、シェールガス利用でエチレン新設
OxyChemは10月31日、このエチレンプラントをメキシコのPVC、コンパウンド、塩ビパイプメーカーのMexichemとのJVで建設することを発表した。
両社50/50出資でIngleside Ethylene LLCを設立し、年産545千トンのエチレンクラッカーをOxyChem のIngleside工場に建設する。他に、テキサス州 Texas にパイプラインとタンクも建設する。 建設費は15億ドルとされる。
建設と操業はOxyChemが担当する。同社では、2014年央の建設開始、2017年第1四半期の商業生産を予定している。
発表によると、「両社間の長期の戦略的供給関係の一部として」、生産したエチレン全量を隣接する既存のVCMプラントに送り、原料とする。
生産したVCMはMexichemに輸送、MexichemでPVCを生産、更にPVCパイプに加工する。
Mexichem は塩ビなどのプラスチックパイプのグローバルリーダー。
OxyはEquistar設立時に3つのエチレンコンプレックスを拠出しており、現在、InglesideのVCM用のエチレンは(恐らく LyondellBasell のCorpus Christiの旧自社工場から)購入している。これをシェールガスからの低コストのエチレンに切り替える。
Mexichemはメキシコでは塩素/苛性ソーダとPVCは生産するが、エチレン、VCMは生産しない。
塩素をPemexに供給し、PemexからVCMを購入している。Mexichemにとっては安価なVCMの取得は念願であった。
今回の発表には明らかにされていない疑問点がある。
エチレン全量をVCMにするとVCMは100万トン以上となるが、発表では「VCMはMexichemに輸送」とあるが、全量なのか、一部なのか(その場合、何割位なのか)が明らかでない。
実は、Mexichemは本年9月にPemexとのVCMのJVを発表したばかり で、塩素を供給しVCMを購入しているPemexのVCMプラントをJVとした上で、20万トンの増強を行うことが決まっている。
PemexがPajaritosのVCMプラントを現物出資 (228百万ドル)、Mexichemが現金(200百万ドル)と資産(90百万ドル)を出資し、Pemex 44%/Mexichem 56%出資のJV Petroquimica Mexicana de Viniloを設立、 工場の手直し増強を行って現在の年産20万トンを2015年第4四半期に40万トンにする計画。
Mexichemが今後、OxyChemとPemexをどのように扱うのかは不明である。
また、VCMとPVCのメーカーであるOxyChem
が、シェールガスを原料とする低コストのVCMを 自社のPVC用に使用せず、Mexichemに外販する理由も不明である。
新設ではなく既存のVCM設備での生産しMexichemに販売することになるが、現在のVCM需要家を切るのだろうか。
ーーー
現在、米国ではシェールガスを利用するエチレン計画が目白押しである。
米国の場合、原料の塩は工場周辺の地下の膨大な岩塩層から低コストで入手できる。
電力やエチレンは現在でも日本と比べて低価格だが、今後はシェールガス利用で更に大幅に安くなると見られている。
日本でのVCM、PVCの生産コストとの格差が更に拡大する。
ーーー
OxyChemの塩ビ関連事業は以下の通り。
OxyChem 塩素、苛性ソーダ
炭酸カリウム(世界最大)
塩化カルシウム(世界最大)
有機塩素化合物、そのOxyVinyls EDC
VCM(世界最大)
PVC(世界3位、北米2位)OxyChemとGeon(1993年にGoodrichから独立)は1999年に塩ビ樹脂事業を統合し、OxyVinylsを設立した。(Oxy 76%)
残るGeonはコンパウンド事業を行っていたが、2000年にコンパウンド会社のM.A. Hannaが合併統合し、Polyoneとなった。
この結果、OxyVinylsはOxyChem とPolyoneの76/24%のJVとなった。2007年にOxyChemはPoly OneからOxyVinyls株式を261百万ドルで買収し、100%子会社とした。
Mexichem は1998年にQuímica
Pennwalt とPolímeros
de Méxicoが合併して設立された。
フランスのElf Atochem
とメキシコのGrupo Empresarial
Privado Mexicanoが共同で所有したが、後者は1999年にCamesa
Groupと合併し、2003年にTotal
(Elf Atochem)の持株を買収し、メインの株主となった。
現在の同社の事業はビニルチェーンとフッ素チェーンの2つに分かれている。
1)ビニルチェーン:現在ラテンアメリカ最大の塩ビ樹脂、コンパウンド、塩ビパイプメーカー
Mexichemは2004年にメキシコ最大の塩ビレジン、コンパウンドメーカーのPrimexを買収した。
2006年に米国の塩ビコンパウンドメーカーBayshore Groupを買収。
2007年にはコロンビアの塩ビメーカーPETCOを買収、また、コロンビア最大の塩ビコンパウンドメーカーGeon Polímeros Andinosの株の50%を買収した。
2012年2月、欧州の塩ビパイプメーカーWavinを531百万ユーロで買収した。
現在の体制(子会社)は以下の通り。
子会社 工場 Mexichem Derivados メキシコ Coatzacoalcos 塩素 260千トン、ソーダ 286千トン、次亜塩素酸ソーダ 20千トン
塩素はVCM用にPemexに供給El Salto 塩素/ソーダ 40千トン、次亜塩素酸ソーダ 70千トン、塩酸 26千トン Mexichem Derivados Colombia コロンビア Zipaquira 苛性ソーダ、次亜塩素酸ソーダ、塩化鉄(5千トン) Quimir メキシコ 燐酸、燐酸ナトリウム、活性炭 Mexichem Resinas Vinilicas メキシコ Altamira I、II、
Tlaxcala、
La Presas-PVC 349千トン、e-PVC 12,500t Mexichem Resinas Colombia コロンビア 3工場 PVC 400千トン Mexichem America 米国 コンパウンドとリサイクルPVC
2006年にBayshore Vinyl Compounds、Bayshore Rigids、Ricicla の3社を買収Mexichem Compuestos メキシコ Altamira PVC compounds 60千トン Tlaxcala PVC compounds 12千トン C.I. Mexichem Compuestos Colombia コロンビア PVC, PE その他のコンパウンド 50千トン AlpahGary 米国 Compounds
2010年にRockwood Holding から買収
2)フッ素チェーン
Mexichemは2004年にQuímica Flúor を買収し、世界最大の蛍石埋蔵量を誇るCompania Minera Las Cuevasと統合してMexichem Fluorとし、フッ化水素酸の世界最大の垂直統合メーカーとなった。
・Mexichem Fluor -
San Luis Potosí:
世界最大の蛍石メーカー
能力はmetallurgic gravel
が350千トン、acid-grade
concentratesが280千トン
北米、南米、欧州、日本に輸出
・Mexichem Flúor
- Matamoros:
世界第二位のフッ化水素酸メーカー
能力 95千トン
98%を米国に輸出
2013/11/5 主要企業の中間決算ー1 三菱ケミカル、住友化学、三井化学
各社の損益が改善している。
但し、石油化学関連については赤字製品も多く、全体としてまだまだ楽観できない。
三菱ケミカルホールディングス
増収増益となった。
2014年3月期合計の予想も大幅増益となる。最終損益の従来予想は510億円であったが、石油化学関連製品の需要の回復が遅れている。
単位:百万円 (配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
営業損益推移(億円)
ケミカルズが黒字転換したが、ポリマーズは逆に売買差が大幅マイナスで赤字となった。
タッチパネル用フィルムなどのデザインドマテリアルズが好調で利益倍増、ヘルスケアも好調。
年度決算 |
中間決算 |
||||||||||||
11/3 | 12/3 | 13/3 | 14/3予 | 増減 | 12/9 | 13/9 | 増減 |
増減内訳 |
|||||
売買差 | 数量差 |
コスト 削減 |
受払差 | その他 | |||||||||
ケミカルズ | 530 | 149 | -2 | 55 | 57 | -54 | 2 | 55 | 6 | 11 | 31 | 9 | -1 |
ポリマーズ | 550 | 254 | 1 | 120 | 119 | 29 | -10 | -39 | -52 | -6 | 19 | 34 | -34 |
エレクトロ | 10 | -53 | -51 | -35 | 16 | -13 | -26 | -13 | -11 | -19 | 23 | -6 | |
デザインド | 365 | 240 | 225 | 495 | 270 | 105 | 224 | 119 | 15 | 47 | 25 | 32 | |
ヘルスケア | 851 | 764 | 749 | 725 | -24 | 360 | 351 | -9 | -8 | -7 | 5 | 1 | |
その他 | 45 | 61 | 65 | 50 | -15 | 26 | 4 | -21 | -9 | 10 | -22 | ||
全社 | -86 | -108 | -85 | -80 | 5 | -41 | -31 | 10 | 10 | ||||
合計 | 2,265 | 1,306 | 902 | 1,330 | 428 | 411 | 514 | 103 | -50 | 17 | 113 | 43 | -20 |
その他差には、減価償却制度統一影響の金額を含む。
グループ企業別の営業損益は以下の通り。(億円)
田辺三菱製薬、三菱樹脂の貢献が大きい。
12/9 13/9 増減 三菱化学グループ -16 62 78 田辺三菱製薬グループ 322 305 -17 三菱樹脂グループ 60 113 53 三菱レイヨングループ 54 37 -17 調整 -9 -3 6 合計 411 514 103
ーーー
住友化学
単位:百万円 (配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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* 2013/3月期当期損益の詳細は 2013/5/21 2013年3月決算 − 住友化学
営業損益推移(億円)
情報電子化学の貢献が大きい。石油化学は黒字転換したが、合繊原料やMMAの基礎化学が不調。
2014年3月期予想では、情報電子化学、農業関連、医薬品が好調で大幅増益。
年度決算 | 中間決算 | |||||||
11/3 | 12/3 | 13/3 | 14/4予 | 増減 | 12/9 | 13/9 | 増減 | |
基礎化学 | 206 | 93 | -64 | -70 | -6 | -26 | -48 | -22 |
石油化学 | 111 | 62 | -32 | 55 | 87 | -2 | 39 | 41 |
情報電子化学 | 261 | 110 | 117 | 395 | 278 | 24 | 217 | 193 |
健康・農業関連 | 233 | 265 | 263 | 375 | 112 | 77 | 116 | 38 |
医薬品 | 287 | 209 | 309 | 410 | 101 | 231 | 206 | -25 |
その他 | 41 | 77 | 80 | 60 | -20 | 42 | 34 | -8 |
全社 | -260 | -209 | -222 | -175 | 47 | -102 | -101 | 1 |
合計 | 879 | 607 | 450 | 1,050 | 600 | 245 | 463 | 219 |
ーーー
三井化学
単位:百万円 (配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
営業損益推移(億円)
石化は数量増で増益となったが、基礎化学品、ウレタンは赤字。
年度決算 | 中間決算 | ||||||||||
11/3 | 12/3 | 13/3 | 14/3予 | 増減 | 12/9 | 13/9 | 増減 |
増減内訳 |
|||
交易 条件 |
数量差 | その他 | |||||||||
石化 | 128 | 89 | 77 | 195 | 118 | 15 | 98 | 83 | 10 | 71 | 2 |
基礎化学品 | 204 | 86 | -189 | -160 | 29 | -70 | -80 | -10 | -15 | 12 | -7 |
ウレタン | -90 | -146 | -26 | -20 | 6 | -18 | -41 | -23 | -1 | -13 | -9 |
機能樹脂 | 72 | 82 | 84 | 130 | 46 | 47 | 74 | 27 | 27 | 11 | -11 |
加工品 | 14 | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | |||
機能化学品 | 100 | 117 | 124 | 165 | 41 | 72 | 79 | 7 | 7 | 8 | -8 |
フィルム・シート | ー | 2 | -33 | -5 | 28 | -15 | 9 | 24 | 6 | 2 | 16 |
その他 | -24 | -14 | 6 | -55 | -61 | -16 | -29 | -13 | -13 | ||
合計 | 405 | 216 | 43 | 250 | 207 | 15 | 110 | 95 | 34 | 91 | -30 |
2013/11/6 主要企業の中間決算ー2 旭化成、東ソー、信越化学
旭化成
単位:百万円 (配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
営業損益推移 (億円)
住宅が好調。ケミカルズは前期比で86億円の増益となったが、273億円の為替レート差益によるもの。
2012/4/26に Zoll Medical買収を完了したため、「クリティカルケア」セグメントを新設。
年度決算 |
中間決算 |
||||||||||
11/3 | 12/3 | 13/3 | 14/3予 | 増減 | 12/9 | 13/9 | 増減 |
増減内訳 |
|||
売買差 | 数量差 | コスト等 | |||||||||
ケミカルズ | 644 | 445 | 229 | 430 | 201 | 146 | 232 | 86 | 268 | 12 | -194 |
住宅 | 365 | 463 | 543 | 600 | 57 | 188 | 265 | 77 | 3 | 83 | -10 |
医薬・医療 | 70 | 88 | 159 | 280 | 121 | 75 | 164 | 89 | 36 | 82 | -29 |
繊維 | 42 | 31 | 40 | 85 | 45 | 17 | 44 | 27 | 38 | 5 | -16 |
エレクトロニクス | 143 | 64 | 28 | 160 | 132 | 0 | 93 | 93 | 32 | 18 | 44 |
建材 | 21 | 18 | 40 | 60 | 20 | 16 | 31 | 15 | 2 | 7 | 5 |
クリティカルケア | -37 | -35 | 2 | -11 | -20 | -9 | 9 | 23 | -41 | ||
その他 | 17 | 30 | 22 | 15 | -7 | 12 | 8 | -4 | -1 | -3 | |
全社 | -72 | -97 | -105 | -145 | -40 | -60 | -73 | -13 | -13 | ||
合計 | 1,229 | 1,043 | 920 | 245 | 530 | 383 | 743 | 360 | 387 | 229 | -256 |
売買差 387億円のうち、為替レート差が437億円。
単位:百万円 (配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益推移 (億円)
南陽事業所の2011年11月13日の事故で塩ビモノマー設備 1−3号機すべてが停止したが、このうち、第一プラント(年産能力:25万トン)は2012年5月8日から、第三プラント(年産能力:40万トン)は7月8日から稼働を再開した 。
クロルアルカリの損益は、VCMの生産数量の回復により、出荷が増加し、円安に伴い輸出価格が改善し、黒字化した。
年度決算 |
中間決算 |
||||||||||
11/3 | 12/3 | 13/3 | 14/3予 | 増減 | 12/9 | 13/9 | 増減 |
増減内訳 |
|||
交易 条件 |
数量差 | その他 | |||||||||
石油化学 | 104 | 125 | 105 | 133 | 28 | 33 | 66 | 33 | 7 | 6 | 21 |
クロルアルカリ | -35 | -100 | -16 | 50 | 66 | -51 | 8 | 59 | 20 | 47 | -8 |
機能商品 | 203 | 131 | 90 | 186 | 96 | 45 | 100 | 55 | 37 | 11 | 7 |
エンジニアリング | 36 | 57 | 44 | 11 | -33 | 13 | -4 | -17 | -17 | ||
その他 | 27 | 24 | 22 | 21 | -1 | 9 | 12 | 4 | 5 | -1 | |
合計 | 335 | 237 | 245 | 400 | 155 | 48 | 183 | 135 | 63 | 52 | 19 |
ーーー
信越化学
単位:百万円 (配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益推移 (億円)
ShintechのPVCが相変わらず好調。円安効果もある。
年度決算 |
中間決算 |
|||||||
11/3 | 12/3 | 13/3 | 14/3予 | 増減 | 12/9 | 13/9 | 増減 | |
塩ビ・化成品 | 197 | 237 | 456 | 242 | 341 | 99 | ||
シリコーン | 341 | 337 | 286 | 149 | 142 | -7 | ||
機能性化学品 | 129 | 147 | 145 | 76 | 59 | -17 | ||
半導体シリコン | 389 | 343 | 219 | 126 | 145 | 19 | ||
電子・機能材料 | 361 | 382 | 409 | 210 | 215 | 6 | ||
その他 | 73 | 50 | 56 | 31 | 21 | -10 | ||
全社 | 3 | 1 | -0 | 3 | -0 | -3 | ||
合計 | 1,492 | 1,496 | 1,570 | 1,700 | 130 | 836 | 922 | 86 |
Shintechの経常損益の推移は以下の通り。
2013/11/7 Johnson & Johnson、司法省などへ20億ドル支払い
過去の支払い分を合わせるとJohnson & Johnsonは刑事処分に対する罰金・利益返還として4億8500万ドル、米連邦政府・各州との民事和解金として17 億2000万ドルの合計22億ドル超を支払うことになる。民事の和解は米司法省および全米45州との間で成立した。
同社は今回の支払いに備えた引当金を積んでいたため、今後の決算で費用を追加計上する必要はないとしている。
司法省によると、問題点は以下の通り。
http://www.justice.gov/iso/opa/ag/speeches/2013/ag-speech-131104.html
1)連邦食品・医薬品・化粧品法違反
子会社 Janssen Pharmaceuticals が、統合失調症薬リスパダール(Risperdal)を承認されていない用途に販売。
統合失調症の治療用にのみ承認を受けていたのに、精神病症状や統合失調症ではない認知症患者の治療に推奨した。
2) 民事訴訟
Johnson & Johnson とJanssen Pharmaceuticalsが統合失調症薬リスパダールと第2世代統合失調症治療薬インヴェガ(Invega)を老人の認知症患者や子供や精神障害者の行動障害をコントロールする目的で医者や老人ホームに推奨。
リスパダールの重大な副作用(脳卒中を含む)を軽視し、処方させるためにリベートを支払いさえした。
この一環として、米国最大の老人ケア向け薬局のOmnicare Inc.に数百万ドルのリベートを支払い、アルツハイマーや認知症の患者にリスパダールを処方させた。
Omnicare Inc.は本件で98百万ドルの罰金支払いで和解している。
ーーー
以上の2件に対し、
Janssen Pharmaceuticalsはリスパダールの承認用途外販売で、罰金4億ドルを支払う。
Johnson & Johnson と Janssen Pharmaceuticalsは虚偽請求取締法(False Claims Act)での民事訴訟で12億ドル以上を支払う。
Johnson & Johnson は不当なリベート支払いで149百万ドルを支払う。
3)子会社サイオス・インク(Scios Inc.)の心臓病治療薬ナトレコール(Natrecor)の承認用途外販売
科学的証拠がなく、効かないのに高価な薬を推奨
同社は2009年に本件で罰金85百万ドルを支払っているが、今回は民事で追加に184百万ドルを支払う。
以上合計で今回の支払いは約20億ドルになる。
過去の支払い分を合わせると合計22億ドル超を支払うことになる。
リスパダールはJohnson&Johnson の主力製品で、米国特許が失効する前の2007年には22億ドルの売上高を計上していた。
Johnson & Johnson は、ベルギーのJanssen Pharmaceutica を1961年に買収した。
Johnson & Johnson は、心臓血管疾患及び炎症性疾患の画期的な治療薬を開発している生物薬剤会社のScios Inc. を2003年に買収した。
ーーー
ドーパミン系やセロトニン系といった、緊張‐リラックスを司る神経系や、意欲やその持続に関連する系列、情報処理・認知に関する何らかの系列にトラブルが起きているといわれている。
ーーー
日本でもリスパダールは、適応外での処方が頻繁にされる薬で、強い不安感、緊張感、睡眠障害、強迫性障害、引きこもり等、様々な精神症状に対して処方されているとされる。
河野太郎ブログによると、日本に統合失調症の患者が多いのは、認知症の患者を「おとなしく」させるために(リスパダールを)使用するが、レセプトに「認知症」と書いたら適応なしとして保険が通らないので、「統合失調症」という病名がつけられるそうだ。
河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり 統合失調症が多い理由
日本ではヤンセンファーマが販売するほか、ジェネリック医薬品が多数あるが、問題にならないのだろうか。
2013/11/8 一般用医薬品のネット販売規制
政府は11月6日、市販薬(一般用医薬品)の99.8%の品目のインターネット販売を解禁する一方、安全性に懸念がある28品目は販売を禁止したり、制限したりする方針を発表した。
約1万1千品目ある市販薬のほとんどはネット販売を認めるが、エフゲン(殺菌消毒薬)など劇薬5品目は禁止、リアップX5(発毛剤)など市販後間もない23品目は、原則3年間かけて安全性を確認できればネット販売を認めるというもの。
政府は今国会に薬事法改正案を提出し、来春実施を目指す。
付記 政府は11月12日、一般用医薬品(市販薬)の大半についてインターネット販売を解禁する薬事法改正案を閣議決定し、国会に提出した。(末尾)
ーーー
従来は一般用医薬品は薬剤師を置かないと販売できなかったが、逆に、薬剤師を置けばインターネット販売も可能であった。
厚生労働省は、薬事法上「店舗による販売又は授与」とは必ずしも店頭に限定するものではないとの解釈の下、インターネット販売は適法とし、これを容認してきた。
薬事法 第37条
薬局開設者又は一般販売業の許可を受けた者、薬種商若しくは特例販売業者は、店舗による販売又は授与以外の方法により、医薬品を販売してはならない。
2009年6月1日に改正薬事法が施行され、コンビニエンスストアなどでも、登録販売者を置けば、「一般医薬品」の販売ができるようになるなど、医薬品販売の規制緩和がなされた が、厚生労働省は、改正薬事法施行に合わせて、一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を規制する内容の省令を公布した。
改正薬事法 省令 専門家 相談対応 積極的情報提供 ネット販売 第一類 副作用等により日常生活に支障を来す程度の
健康被害が生ずるおそれのある一般医薬品のうち、
特に注意が必要なもの
(胃腸薬「ガスター10」、発毛剤「リアップ」など)薬剤師 義務 文書義務付け ○ X 第二類 副作用等により日常生活に支障を来す程度の
健康被害が生ずるおそれのある一般医薬品
(主な風邪薬、「葛根湯」などの漢方薬、鎮痛薬など)薬剤師
登録販売者義務 努力義務 ○ X 第三類 第一類医薬品、第二類医薬品以外の一般医薬品
(ビタミン剤、整腸薬など)薬剤師
登録販売者義務 規定なし ○ ○ * 登録販売者:実務経験1年以上で、都道府県が実施する試験に合格したもの
これに関して、ケンコーコムとウェルネットは国を相手取り、医薬品ネット販売の権利確認と省令の無効確認・取消を求め、東京地裁に提訴したが、東京地裁は2010年3月30日、上記の請求を棄却した。
しかし、東京高裁は2012年4月の控訴審で、原告側敗訴の一審判決を一部取り消し、2社に販売権を認める逆転判決を言い渡した。
最高裁第2小法廷は2013年1月11日、ネット販売を一律に禁止した省令は無効との判断を下し、国の上告を棄却した。
・改正薬事法にネット販売規制の趣旨を明確に示すものはない。国会にもこの意思があったとは言い難い。
・省令は改正薬事法の趣旨を逸脱し、違法で無効
この結果、省令以前の状態に戻り、ネット販売は従来どおり実施されてきた。
安倍首相は6月に、原則解禁し、劇薬などの扱いは秋までに検討する方針を表明した。
政府の規制改革会議やネット販売推進派は、対面販売と合理的根拠のない差を設けないよう求め政府内で調整が続いていた。
しかし、厚労省側の判断は異なる。
厚労省の検討会資料では、最高裁の判断について、こう解釈している。
ネット販売禁止は職業選択の自由の制約になるが、禁止の是非については賛否両論があるなか、国会の委任の範囲を超えて勝手に省令で規制するのが違法である。⇒ 法改正によりこれを行う。
厚労省は、「薬剤師らが薬の危険性を説明する必要がある」と対面販売にこだわった。
厚労省専門会議では、表情や口臭などを通じて患者の状況を把握できる利点を強調している。
これについて、池田信夫ブログは以下の通り批判している。薬事法では薬局には医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師が勤務していることが求められるが、薬剤師がレジで販売に従事することは求めていな。小さな個人経営の薬局は別として、薬剤師が「表情や口臭などを通じて患者の状況を把握」して販売するなどは先ずないであろう。
一般医薬品の販売に関しては、対面販売とネット販売に差があるとは思えない。
司法の意思は「薬局でも説明なんかしてないのに、ネット販売だけ規制するのはおかしいだろ」という常識論を「法律で決まってない禁止規定を省令で決めてはいけない」という法技術論で表明したものと読める。
厚労省の今回の方針は、それを「一律」ではなく品目指定して法技術ですり抜ける脱法行為である。役所が率先して脱法行為をするのでは、国民に「法律を守りましょう」とはいえない。新たに立法してネット販売を規制することも形式的には問題ないが、それは最高裁まで「おかしい」と判断した薬事法の過剰規制を今度は堂々と表からやろうという話だ。
この背景には薬のネット販売に反対する議員連盟があり、その議員に対して薬剤師連盟が3年間で14億円の政治献金をしているというわかりやすい構図がある。
(翌日の記事)
大衆薬のネット販売が認められると、その次は(世界で普通に行なわれているように)処方薬もネットで買えるようにしろ、という要求が出てくるだろう。そうすれば処方薬にも価格競争が起こり、薬価基準も市場の実勢に合わせて見直さざるをえない。それを防ぐことが、薬剤師や製薬業界や医師会の最大の関心事なのだ。
楽天の三木谷浩史社長は、「3年であれ4年であれ、科学的な議論もなく、一律に規制を行うのは違憲であり、甚だ遺憾だ。対面販売の方がインターネット販売よりも安全だという主張も話にならない」と述べ、政府の方針に強く反対する考えを示した。
そのうえで、「今回の規制は、ネットユーザーを中心に大きな波紋を呼ぶと考えているし、特定の団体の利益を守る規制については断固として反対する。基本的には、司法の場で争うことになるだろう」と述べた。
また、三木谷社長は、今回の政府の方針に反対して、政府の産業競争力会議の有識者議員を辞任する意向を固めた。
ーーー
政府の規制案は以下の通り。
1) 副作用のリスクが特に高いとされる「劇薬」に指定される5品目のネット販売は今後も禁止する。
ガラナポーン 勃起障害等改善薬 ハンビロン ストルピンMカプセル マヤ金蛇精(カプセル) エフゲン 殺菌消毒薬
2) 医薬品から市販薬に転用されてから間もない23品目については一定の期間後、ネットでの販売を可能とする。
一般医薬品のうち、医療用医薬品の有効成分を転用したものをスイッチOTCと呼ぶ。
現在の制度では、スイッチOTCは先ず「第一類」に分類される。
市販後、3年間の調査を義務付け、提出されたデータを基に1年間かけて、安全対策調査会で検討、パブリックコメントを行い、リスク区分の変更を行う。今回、この過程を終了していないものについてはネット販売を禁止するというもの。
当初からでは合計4年間となるが、政府ではこれを3年に短縮することとした。法律が通り、来年4月に施行されると仮定すれば、23品目のうち、9品目はリスク区分が完了し、ネット販売が可能となり、残り14品目が一定期間、ネット販売が禁止となる。
今後のスイッチOTCは4年間は薬局では販売できるが、ネット販売は禁止となる。
アラセナS 口唇ヘルペス用薬 2014/4
ネット販売可リアップX5 発毛剤 イノセアバランス 胃腸薬 フェミニーナ膣カンジダ錠 膣カンジダ用薬 オキナゾールL 100 パブロン点鼻クイック アレルギー用薬 ナザールAR〈季節性アレルギー専用〉 コンタック鼻炎スプレー〈季節性アレルギー専用〉 ロキソニンS 解熱鎮痛薬 エンペシドL 膣カンジダ用薬 一定期間
ネット販売禁止ナシピンMスプレー アレルギー用薬 ストナリニ・ガード アレジオン10 アレギサール鼻炎 アレグラFX アイフリーコーワAL コンタック鼻炎Z ストナリニZ エルペインコーワ 生理痛用薬 ナロンメディカル 解熱鎮痛薬 エパデールT 中性脂肪異常改善薬 エパアルテ アンチスタックス むくみ等改善薬
付記
政府は11月12日、一般用医薬品(市販薬)の大半についてインターネット販売を解禁する薬事法改正案を閣議決定し、国会に提出した。
上記のほか、下記が折り込まれている。
ネット事業者は最低1店舗で週30時間以上の対面販売を行う。
注文の受け付けや梱包作業は実店舗でのみ認められる。薬剤師らはメールなどを通じて購入希望者の持病や副作用歴を確認した上で市販薬を販売する。
副作用リスクが高い1類については、販売した薬剤師の名前などの販売記録を保存するよう義務付ける。
オークションによる販売や、使用期限の切れた薬の販売は禁止。
依存性のある薬の販売個数も制限する。
厚生労働省のホームページにネット販売業者の一覧を掲示する。医師の処方箋が必要な医療用医薬品もネット販売を認めず、対面販売でなければならないと明記する。
現在も省令で禁じているが、市販薬の省令によるネット販売規制が最高裁で違法とされたため、法律で位置づける。
楽天子会社のケンコーコムは2013年11月12日、国に対して処方箋薬郵便等販売の地位確認請求訴訟を東京地方裁判所に提起した。
裁判長から、憲法論に関する主張を原告・被告ともに行うと、明らかに6月の施行日に間に合わないため、憲法論について別の形で主張してはいかがか、という示唆があった。
改正薬事法が施行された時点で、訴えの利益がなくなってしまう。同社は、不本意ながら、裁判長の訴訟指揮に従って本訴訟を取り下げ、下記の訴訟を行った。
ケンコーコムは2014年、規制が憲法が定める職業選択の自由に反するとして提訴した。「副作用のリスクは対面販売でもネット販売でも同じだ」と主張。ネット販売だけを規制すべき根拠となる科学的なデータがないとして、要指導医薬品の指定取り消しを求めた。
東京地裁は2017年7月18日、規制の合理性を認め楽天子会社の請求を退けた。
厚労省によると、要指導医薬品は18日現在、花粉症向けの抗アレルギー用薬「クラリチンEX」、外用鎮痛消炎剤「ロキソニンSパップ」など13品目(8つの有効成分)。
楽天は2017年7月1日付けで、子会社のケンコーコムと爽快ドラッグをで合併し、「Rakuten Direct」とした。
欧州委員会は11月5日、各国にレジ袋使用を減らすよう求める提案を採決した。
欧州ではいくつかの国で削減策が取られているが、全体としての規制はなかった。
2011年3月にEU諸国の環境大臣がレジ袋の環境への影響を議論し、EUとしての有効な対策が必要と結論付けた。欧州委員会は2011年5月にレジ袋 (plastic carrier bags) の使用減少についての意見聴取することを発表した。
レジ袋有料化やレジ袋税が有効か、又は、EU全体でのレジ袋禁止のような他の案がベターか、更に、生分解性の包装材を増やし、包装材として生分解性製品を義務付けるのがよいのか、に関して意見を聴取した。
2011/5/28 EU、レジ袋禁止を検討
今回、メンバー各国は、有料化、使用減の目標設定、禁止など、最も適していると考える方策を選ぶことができる。
軽量のプラスチック袋は多くは一度限りの使用だが、環境中には100年も残り、特に海洋生物にとり危険であるとしている。
スペイン沿岸で死んでいた鯨はレジ袋を含む17kg のプラスチック廃棄物を飲み込んでいた。
EU推定では地中海だけで 2500億個に及ぶ合計500トンのプラスチックの小破片が浮かんでいる。
欧州では毎年、80億枚の袋がゴミとなり、大きな環境被害を起こしており、この問題の解決のため、今回行動を起こす。
既にいくつかの国は行動を起こしてレジ袋使用の削減に成功しており、他の国が行動を起こすと、現在の消費を80%減らすことができると見ている。
提案には2点が含まれる。
① メンバー各国は、厚さ50ミクロン未満のレジ袋の消費を減らすための方策を採用する。
② 方策は、有料化や国としての削減目標設定、販売制限などの経済手段の使用を含む。
2010年に推定で986億枚のレジ袋がEU市場に出回っており、EU市民が年間一人当たり198枚のプラスチック袋を使っていることになる。
約1000億枚のうち、大半が軽量の袋で、再利用されることは少ない。
国により使用量は異なり、年間一人当たりで、デンマークとフィンランドでは約4 枚だが、ポーランド、ポルトガル、スロバキアでは466 枚にも及ぶという。
本提案がお欧州議会で承認を受ければ、早ければ2年以内に施行される。
ーーー
EUのいくつかのメンバー国では既に規制が行われている。
2007/3/3 ニュースのその後 − レジ袋税
2011/1/8 イタリア、レジ袋禁止
2009/9/28 アイルランド、レジ袋税を2倍に
ーーー
日本でもレジ袋の有料化の動きが進んでいる。
東大工学系研究会科の平尾雅彦教授によると、レジ袋と木綿袋を比べると、レジ袋もごみ袋に再利用する場合、LCAでは有利であるという。
特に、木綿袋を多数持つのであれば、レジ袋をごみ袋に再利用する方がよいという。
木綿は栽培時に大量の化学肥料と農薬(害虫駆除、雑草管理、防カビや殺菌消毒、収穫時に葉が混じらないようにするための落葉剤など)が使われ、環境負荷は大きい。
旭硝子は11月6日、ベトナムの塩ビ事業会社 Phu My Plastics & Chemicals の持分78%を取得することについて、現株主のマレーシアの Petronas Chemicals Group と合意したと発表した。三菱商事も同時に15%を取得する。
Phu My Plastics & ChemicalsのPVC生産能力は10万トンで、原料VCMはPetronasから供給を受けている。
旭硝子は2015年3月、Phu My の能力を15万トンに引き上げると発表した。
ベトナムには他に、タイのThai Plastics & Chemicals (TPC) のTPC VINA Plastics and Chemical (能力 17万トン)がある。
ベトナムは約9千万人の人口の成長余力の大きい市場であり、年率5%以上の安定した経済成長が見込まれ、同国の塩ビ市場は、東南アジアでインドネシア、タイに次ぐ規模であり、経済発展に伴う需要拡大により、2020年には現在の5割増の規模となる見込み。
旭硝子はインドネシアとタイに生産拠点を持ち、苛性ソーダ・塩素から塩ビまでを一貫生産する東南アジア地域最大級のクロール・アルカリメーカー。
インドネシアのAsahimas は、旭硝子が52.5%、三菱商事が11.5%出資し、残りを現地資本(Rodamas 18%、Ableman Finance 18%)が出資する。
タイのAGC Chemicals (Thailand) は旧称 THASCO Chemical で、2002年に現地合弁相手(スリフンフン・パニチュワ・グループ) の全持分(47.9%)を買収し、出資比率を92.9%に高めて子会社化した。
Phu My
は成長するベトナムの塩ビ樹脂市場で3割を超えるシェアを有しており、旭硝子は今後、ベトナムでの事業展開を本格的に始動することになる。
また、旭硝子のPVCのグローバル生産能力は、インドネシアにおける増強と合わせて現行の30万トンから倍増以上の65万トンとなる。
旭硝子は日本では、PVCの生産委託先である呉羽化学がPVC事業を大洋塩ビに譲渡するのを機に、2002年12月にPVC樹脂の販売から撤退した。
VCMについては、現在も京葉モノマー(年産20万トン)を運営している。
京葉モノマー株主のクレハ(25%出資、引取枠25%)は塩化ビニリデン用を除き、引取権を大洋塩ビに譲渡した。旭硝子は他に、タイとパキスタンにPVCのJVを持っていた。
タイのThai Plastic & Chemicals(TPC)は当初、地元のCEグループ、旭硝子のTHASCO Chemical、及び三井グループ(三井物産・三井東圧)のJVとして設立された。
2004年に 旭硝子が持株をSiam Cement 等に売却、三井グループも売却、現在はSiam Groupの子会社となっている。旭硝子は1997年にパキスタンで同国初の本格的塩ビ樹脂製造販売会社 Engro Asahi Polymer & Chemicalsを設立した。旭硝子 30%、三菱商事 20%、地元 Engro 50%出資で、PVC能力は10万トン。
同社は2007年に、事業拡張を巡る思惑の違いやカントリーリスクなどを考慮して撤退した。
旭硝子では中期経営計画 “Grow Beyond-2015” の主要施策として新興地域戦略の強化を掲げており、大きく成長する東南アジアでの事業を積極的に推進していくとしている。
ーーー
Phu My Plastics & Chemicalsは当初、米国のOccidental
と丸紅に現地2社を加えた4社で計画した。
その後、Occidental が撤退、代わりにマレーシアの Petronas が参加、その後更に出資に変更があった。
Occidental Petronas 旭硝子 三菱商事 丸紅 VietGas PetroVietnam Tramatsuco Vung Tau
Shipyard当初 40% ー ー ー 30% 15% ー 7% ー 1996年 ー 40% ー ー 30% 15% ー 7% ー 2000年 ー 50% ー ー ー ー 43% 7% ー 2007~ ー 93% ー ー ー ー ー ー 7% 今回 ー ー 78% 15% ー ー ー ー 7%
なお、ベトナムのもう一つのPVCメーカーのTPC VINA Plastics and Chemical も最初は三井化学のJV Mitsui Vina Plastics & Chemical であった。
三井化学 36%、三井物産 10%、Thai Plastics & Chemicals 24%、Vinaplast 15%、Fercemco 15%
三井化学と三井物産の両社は、2000年8月末までに日本側が持っていた株式をThai Plastics & Chemicalsに譲渡を完了、事業撤退した。
当初のTPC VINA の能力は8万トンであったが、TPCは2007年にMap
Ta Phut で新しく
120千トン設備を稼動させるに際し、Bangkok
近郊のSamutprakarnにある古い設備2基計9万トンのうち、3万トン設備を廃棄、6万トン設備をベトナムに移設し、デボトルネッキングを行って9万トンとした。
これを含め、現在の能力は17万トンとなっている。
各社の営業損益の推移をグラフにした。
各社の最近の業績悪化は、大型製品の相次ぐ特許切れの影響が大きい。
また、海外での大型買収が行われているが、無形固定資産償却等の企業結合会計の影響も大きい。
武田薬品工業 | |
2009/3 米国事業再編によるTAP社の分割・子会社化およびミレニアム社買収の影響 営業損益 -2,423億円 | |
アステラス製薬 | |
第一三共 | |
エーザイ | |
塩野義製薬 | |
大正製薬 | |
田辺三菱製薬 | |
大日本住友製薬 | |
下記3社は11月8日、ヒト パラインフルエンザ(Human parainfluenza viruses )2 型ウイルスベクター技術を用いた新規結核ワクチンの共同開発を実施することについて基本的に合意したと発表した。2013 年12 月までに共同開発契約を締結する予定。
独立行政法人医薬基盤研究所 | 「次世代ワクチンの研究開発」を重点領域の一つとして位置付け、次世代ワクチンおよびその免疫反応増強剤(アジュバント)の開発ならびにそれらの投与法の研究開発を行っている。 | |
NPO 法人 AERAS |
本部:米国メリーランド州 世界中のパートナーと協力して結核ワクチンを開発する非営利団体 アカデミア、製薬企業、バイオベンチャーとのグローバルな提携を通じて、6 つの結核ワクチン候補品の開発に関与、前臨床、臨床開発、免疫学およびワクチン製造における専門知識・技術を提供している。 |
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クリエイトワクチン (右2社のJV) |
大日本住友製薬 | ワクチン事業への参入を計画 |
日本ビーシージー製造 | BCG ワクチンの、製造、販売、輸出を通じて、結核ワクチン事業に関する豊富な経験を有す。 |
結核は 3 大感染症の一つであり、世界では 1 年間に新たな患者が約 860
万人発生し、約130 万人が死亡している。
特にアジア、アフリカ諸国に多く蔓延しており、日本においても、毎年2 万人以上が感染し、2 千人以上が死亡している。
既存のワクチンにおいては、乳幼児に対しては極めて高い効果が認められるが、成人の肺結核に対する効果は乏しく、新規結核ワクチンの開発が望まれて いる。
既存の結核予防ワクチン(BCG:パスツール研究所の研究者の名前を冠した菌:Bacille Calmette-Guerinの頭文字をとったもの)は、牛に感染する牛型結核菌を時間をかけて弱めたもの。
青年や成人にBCG を打っても、肺結核の感染を予防する効果は認められていない。
本剤は、基盤研の有するヒトパラインフルエンザ 2 型ウイルスベクター技術を臨床応用した粘膜ワクチンであり、開発に成功すれば本技術を用いた世界初の結核ワクチンとなる。
付記
1) 2013 年12 月26 日、共同開発契約を締結。(2014/1/27発表)
2) 2014年5月22日、産業革新機構、大日本住友製薬、日本ビーシージー製造がクリエイトワクチンに対し、総額8億4,500万円の共同出資 (INCJ:2億8,305万円、大日本住友製薬:2億8,135万円、日本ビーシージー:2億8,060万円を実施した。出資後の株式保有比率は大日本住友 33.4%、INCJと日本ビーシージーがそれぞれ33.3%。
3) 3社は2017年12月21日、共同開発を集結し、クリエイトワクチンの解散を決定したと発表した。
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医薬基盤研究所は国立医薬品食品衛生研究所大阪支所を主な母体に、国立感染症研究所、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の組織の一部を統合して、2005年4月に創設された。
厚生労働省所管試験研究機関の再編成の一環として、規制と振興の分離を図りつつ、創薬支援に関わる組織を一体化して、医薬品・医療機器の開発支援をより効果的に進めようとするもの。
医薬基盤研究所では、スーパー特区「次世代・感染症ワクチン・イノベーションプロジェクト」を推進している。
政府は、革新的技術の開発を阻害している要因を克服するため、研究資金の特例や規制を担当する部局との並行協議などを試行的に行う「革新的技術特区」、いわゆる「スーパー特区」を創設した。
これは、従来の行政区域単位の特区でなく、テーマ重視の特区(複合体拠点の研究者をネットワークで結んだ複合体)であることなどを特徴としている。 2008年度より、その第一弾として「先端医療開発特区」を創設し、最先端の再生医療、医薬品・医療機器の開発・実用化を促進する。
従来型の経験的なワクチン開発手法には限界があることから、分子生物学的手法(免疫学、遺伝子工学等)を用いた「次世代交付加価値型」の感染症ワクチンへの転換が不可欠とし、新型インフルエンザ、マラリア、エイズなどの感染症に対するワクチンを実用化しようとするもの。
この一環として、ヒトパラインフルエンザ2型ウイルス(hPIV2)をベクターとして粘膜免疫誘導型結核ワクチンの開発を試みた。
多くの病原体が消化器や呼吸器等の粘膜面から感染を成立させるため、感染防御には粘膜と全身の両者の免疫反応を誘導する粘膜ワクチンが必要である。
ヒトパラインフルエンザ2型ウイルス(hPIV2)に抗酸菌分泌タンパクであるAg85B遺伝子を導入し、呼吸器粘膜に対する結核菌ワクチン(hPIV2/Ag85B)を作製した。
hPIV2は病原性が殆ど無く、M遺伝子を欠損したhPIV2は生体内で複製できないことから、本研究におけるM欠損hPIV2はさらに安全なベクターと考えられる。
マウスにこれを吸入し、高病原性結核菌を気道内に投与したところ、明らかな感染防御効果が認められた。
2010年に国際特許を申請した。
AERASが支援を表明、2012年に研究開発でのHead of Agreementを締結した。
本年に大日本住友製薬と日本ビーシージー製造が参加を決め、基盤研、AERAS と共に結核ワクチンの開発を行い、商業化を進めるため、本年7月31日にクリエイトワクチンを設立 した。
小泉純一郎元首相は11月12日、日本記者クラブで講演した。
小泉元首相は脱反原発論について、毎日新聞の8月26日の記事以来、取り上げられているが、311以降、ずっと言い続けてきたとしている。
既報 2013/11/1 小泉元首相の「脱原発」論
講演のなかで、エイモリー・ロビンスの著書「新しい火の創造」を紹介している。
「新しい火」(エネルギーの効率的利用と再生可能エネルギー)で化石エネルギーに代替させようというもの。
なお、記念の記帳に書いたのは「百
安倍首相への言葉であろう。
2013/11/14 韓国石油公社、イラクのクルド鉱区で原油採掘に成功
Hawler鉱区はクルド人自治区の中心都市 Arbil を含む陸上鉱区で、スイスのOryx Petroleum が権益 65%を持ち、操業を担当している。クルド人自治政府が20%、韓国石油公社が15%の権益を持っている。
JVは本年2月に同鉱区のDemir Dagh-1で潜在資源量が5億5000万バレルに達する大規模な原油埋蔵を確認した。
今回のAin Al Safraの探査井では、6月にボーリング作業 を開始、9月初めに深さ3039mに到達、その後の生産テストで1日最大850バレルの原油産出試験を完了した。正確な埋蔵量は来年、評価ボーリングを実施し確認する 。
Oryx Petroleum はトロントに上場し、アフリカと中東で石油を開発している会社。
イラクではこのほかにバグダード南東部のWasit州に鉱区を持つ。
アフリカではナイジェリア、セネガル沖、ギニアビサウ共和国沖、コンゴに権益を持つ。
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韓国石油公社などが参加する韓国コンソーシアムは2008年2月、イラクの北部クルド自治区内の油田4つの鉱区の開発とインフラ建設を並行して進める内容の覚書をクルド自治政府と締結した。
2008/2/20 韓国エネルギーコンソーシアム、イラク油田開発
現在の4地域(5鉱区)の権益は以下の通り。
なお、Sangaw Northはコンソーシアムが撤退を決定、2013年1月にクルド政府に通告している。
Operator 権益
KNOC KNOC-Bazian Oryx Sterling 政府 others Sangaw Sangaw North Sterling Energy 20% 40% 20% Addax 20% Sangaw South KNOC 60% 20% 20% Qush Tappa KNOC 80% 20% Hawler Oryx Petroleum 15% 65% 20% Bazian KNOC-Bazian 80% 20% KNOC-BazianはKNOC主導のコンソーシアムで、他メンバーは、Daesung産業、三千里(Samchully)、Bum-Ah資源開発、GS Holdings、,Majuko 通商、UIエナジー。(当初はSKエナジーも入っていたが、その後離脱:後記)
試掘を開始した当時、これらの鉱区で期待されていた原油埋蔵量は合計72億2300万バレルで、韓国石油公社は契約調印時にクルド自治政府に211.4百万ドルを支払い、掘削に188.68百万ドルを支出した。
しかし、2011年8月までに行われた探査試掘の結果、これらの鉱区では原油が発見されておらず、発見されたとしても当初の推定埋蔵量を大幅に下回っているとみられた。
韓国の国会議員は以下のように批判した。
原油探査の失敗、社会基盤整備事業の縮小、イラク政府とのギクシャクした関係など、石油公社は数千億ウォンもの巨額を投じながら何一つ手にしていない。
今回の原油開発で政府と石油公社は、事業の妥当性を確認する前から、資源外交の成果を誇示することばかりに力を入れた。今回の失敗は、このような性急さがもたらした、まさに典型的なケースだ。
この時点では、Hawler鉱区ではボーリングは未実施であったが、事業性なしと見られていた。
2011/9/20 韓国のイラク・クルド地区の石油開発は失敗
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イラクのシャハリスタニ石油相は2009年4月、イラク駐在の河泰允大使に会い、「KNOCやSK Energyなどの韓国企業がクルド自治政府と締結した油田開発事業は、中央政府との協議を経ずに行われた違法なものだ。そのため両社は今後、イラクでの油田開発に関する入札に参加できない」と通知した。
イラク政府は第1回油田開発入札資格審査でKNOCとSK Energyの両社を排除、第2回審査でもSK Energyを脱落させた。
2009/4/7 イラクの油田開放、クルド人自治政府と契約の韓国企業を除 外
SK Energyはイラク政府の油田開発に参加するため、2012年2月にKNOC-Bazian コンソーシアムから離脱した。
2013/11/15 Formosa Plastics、ベトナムで5億米ドル投資
台湾の Formosa Plasticsグループのベトナム子会社 Formosa Industries Corp (台灣興業)は11月7日、ベトナム Dong Nai Province(ホーチミン市の東)の工場に5億米ドルを投資し、ポリスチレンを新設、繊維の能力を増強すると発表した。
5つの計画に各1億ドルずつ、合計5億ドルを投資する。
このうちポリスチレンはベトナムのTPP 参加でベトナムからの輸出製品が関税ゼロになるのを見込んだもの。
PS 新設 200千トン コジェネレーション 各プラントに電力供給 ヤーン増強 320,000 spindles →400,000 spindles ポリエステル繊維(シルク)倍増 28.2千トン→56.2千トン 二軸延伸フィルム(BOPP) 第3系列新設 合計 60千トン→90千トン 既存プラントには他に、ポリエステル繊維(綿)108千トンが ある。
PSは同グループとしてはベトナムで初の生産で、原料のSMは台湾から輸送する。
ベトナムの Trans-Pacific Partnership (TPP) 参加でベトナムからの輸出製品が関税ゼロになるのを見込んだもので、PSは近隣に集まっている家電やエレクトロニクスのメーカーに販売する。
Formosa Industries Corp (台灣興業)には、グループのFormosa
Chemicals & Fiber (台灣化纖)が42.5%、Nan Ya Plastics Corp (南亞塑膠)が42.5%、Formosa
Taffeta (福懋興業:繊維関連) が10%出資、他に地元のドリンクメーカーのKing Car Group (金車)が 5%出資している。
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ベトナムでは既に、Vietnam Polystyrene がPSを生産している。
2006年設立で、ブンタウ市(ホーチミン市の南東)に工場を持つ。
当初は発泡PS 24千トンでスタートしたが、2012年に発泡PS増強と、PS(GPPS、HIPS)の新設を行った。
現在能力はPSが5万トン、発泡PSが 4万トンとなっている。
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