ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
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2013/3/17 ユーロ圏、預金課税を条件にキプロス支援を決定
ユーロ圏財務相会合は3月16日、財政危機に陥るキプロスに対して、銀行預金への課税(「預金税」)という前例のない措置を盛り込んだ100億ユーロ規模の救済計画に合意した。 支援は国際通貨基金(IMF)も参加する。
預金口座からの徴税分は直ちに凍結された。3月18日は祝日で銀行が休業となる予定で、キプロス議会は臨時に開会して17日に課税法案を通し、19日の営業再開前に税金として徴収する。
キプロスは昨年6月に支援を申請したが、交渉が難航していた。
アイルランド、ポルトガル、ギリシャ、スペインに続く5か国目の支援となる。
支援金はギリシャの債務危機で損害を受けたキプロスの銀行への資本増強に充てる。
必要とされる支援は170億ユーロとみられていたが、今回、100億ユーロの支援を決めた。残りは「預金税」で賄う。
10万ユーロ以上の預金に9.9%の課税、10万ユーロ未満の銀行預金には6.75%の課税を実施する。(1回限り)
徴税額は58億ユーロにも達すると見られている。
キプロスの銀行資産はGDPの約8倍もあり、そのうち約37%が外国人と見られており、多くは国外のロシア人で、脱税に使われているともされる。
預金課税には支援でこうした預金者を一方的に救うことにならないようにする狙いがあるとみられる。
財務省会合議長は課税について、「キプロスの金融の安定に資することになり、全預金者に貢献を求めることは当然と思われる」と述べた。
キプロスの法人税も10%から12.5%に引き上げられる。
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Moody'sは2012年10月にキプロスの国債格付けを「Ba3」から「B3」に3段階引き下げたが、本年1月10日に更に「B3」から「Caa3」に3段階引き下げた。
キプロスの銀行部門で国内やギリシャ向け融資の返済遅延が増えており、「資本増強の必要が高まっている」と指摘。キプロス政府の債務不履行リスクも増大したとした。
2013/3/18 TPPで関税撤廃した場合の経済効果についての政府統一試算
安倍首相は3月15日、首相官邸で記者会見し、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加すると正式に表明した。
「交渉参加で経済全体にはプラス効果になる」とする一方で「センシティブ品目への特別な配慮などを得るため、あらゆる努力で悪影響を最小限にとどめる」と強調し、農林水産分野で関税撤廃の例外の獲得をめざすとともに、「攻めの農業政策で輸出を拡大し、成長産業にする」と語った。
TPP担当相の兼務が決まった甘利経済財政・再生相は記者会見で「農林水産物の減少額をできるだけ極小化していく手腕が求められる」と表明した。
参考 2011/11/16 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉
2010/11/10 TPP参加と農業問題
政府は同日、TPP(11か国)に参加した場合の経済全体及び農林水産物生産に与える影響の統一試算を発表した。
試算の仮定
関税撤廃の効果のみ(非関税措置の削減やサービス・投資の自由化を含まず)
関税は全て即時撤廃
追加的対策を計算に入れない
試算結果
農林水産物の影響
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/dai5/siryou3.pdf
試算の前提:
輸入品と競合する国産品、競合しない国産品に二分
競合品(安価な輸入品に置き換わる): 生産減少額=国産品価格 x 生産量
非競合品(値下がり): 生産減少額=価格低下分 x 生産量
試算対象は関税率10%以上、国内生産額10億円以上の33品目
主要製品への影響
1) コメ
2)豚肉
3)牛肉
4) 牛乳・乳製品
2013/3/19 Dow Chemical、非中核事業の資産売却を促進
Dow Chemical は3月14日、昨年12月の投資家フォーラムで説明したポートフォリオマネジメントの推進案(今後 24か月で非中核事業資産を10億ドル売却)を更に推し進め、1年半で15億ドル以上の資産を売却すると発表した。
更に、売りに出す事業として、PP Licensing and Catalysts 部門と Plastics Additives 部門を挙げた。
PP Licensing and Catalystsは下記のPP技術、触媒を扱っている。
UNIPOL PP 技術
SHAC Catalyst
CONSISTA D7000 Donor
Advanced Donor Technology (ADT)
(Donorは触媒性能を向上させる添加物で、下記組み合わせで使用)
付記
DowのLiveris会長兼CEOは2013年9月17日の説明会で、plastics-additives business については買い手の価格が安すぎるため、売却を中止すると述べた。
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Dowは2013年10月11日、PP Licensing & Catalysts Business をW. R. Grace に5億ドルで売却する契約を締結したと発表した。
売却対象は、触媒製造プラント(Norco, LAのUCC工場内)、customer contracts, licenses, 知財、在庫を含む。
ダウは資産価値を最適化し、利益が高く成長が早い分野で主導的地位を確保するため諸手段を講じている。
2009年以降、非中核事業の売却で約80億ドルの収入を得ており、本年に入り、Plastics
Additives 部門のメチルスズ安定剤と固体潤滑剤事業をPMC
Group に売却し、日本ユニカーの50%持株も売却した。
2013/2/6 Dow、日本ユニカー持株を売却
Liveris CEOは、同社では現在、全ての事業の見直しを行い、事業価値の最適化を図っており、戦略に合わないものや採算が合わないものを洗い出していると述べた。
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同社は2008年にRohm & Haasの買収を決め、その資金のソースとしては K-Dow Petrochemicals(Dowの石油化学部門を分離し、KuwaitのPICとの50/50JVとするもの)のPIC支払額を充てることにしていた。
しかし2008年末のJV設立間際にPICが撤退を決めたため、Dowは資金繰りに窮した。
最終的には借り入れや事業売却収入によりR&Hの買収を行ったが、債務は急増、格付けは低下し、史上初の減配を行った。
なお、PICのK-Dowからの撤退に対する損害賠償を巡る争いについては、国際商工会議所の国際仲裁裁判所は2012年5月、PIC側に責めがあると認定し、PICに対しDowへの21.6億ドルの損害賠償支払いを命じた。
金利と費用の額が未定であったが、国際仲裁裁判所は2013年3月4日、金利と費用を318百万ドルと決めた。これを加えると合計24.8億ドルとなる。
これらの経緯については 2012/5/25 Dow、石化JV中止問題での調停で勝利、21.6億ドルを獲得
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Dowでは昨年1年間で40件程度の計画中止、工場閉鎖を行い、コストダウン、支出削減、利益率向上を図っているが、今後の非中核事業売却や、PICからの損害賠償の入金などで、同社の資金繰りは急激に改善する。
同社では資金使途について、以下の通り説明している。
1)借入金の返済
借入金は210億ドル残っている。
2)株主への配当増
3)成長のための投資
A) 原料の有利性を利用した石化事業
・シェールガス利用のガルフコースト石化事業
・サウジ石化計画(AramcoとのJV:2015年下期生産開始)
B) 高収益事業
AgroSciences、Electronic Materials、Performance Packaging など
なお同社は、成長分野であっても、代替エネルギーのような、市場変化や政府の方針により大きく変動するような分野の計画からは撤退するとしている。
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本年2月初旬に、DowがLanxessを買収するとの噂が流れ、Lanxessの株価が上がった。
Dowではこれに対し、No comment としたが、合わせて、余剰資金は借入金返済と株主への配当に使うと述べた。
2013/3/20 Shell とBASF、ブラジルでの殺虫剤製造による従業員健康被害で賠償金支払い
ShellとBASFは3月11日、ブラジル工場での殺虫剤製造による元従業員の健康被害に対し、総額620百万レアル(約316百万ドル)に及ぶ賠償金を支払うことで合意した。($1 = 1.9597 reals)
両社と連邦公共省労働公共局との間で合意したもので、Superior Labor Courtで公示された。
連邦公共省労働公共局によると、工場で殺虫剤を製造するための化学品に長期間晒された結果、60名が死亡した。
サンパウロ州Pauliniaの工場は1977年に操業を開始、2002年に政府が操業を禁止した。
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当初、1977年にShellが操業を開始、殺虫剤アルドリン、エンドリン、ディルドリンを製造した。
ブラジルではこれら殺虫剤の販売は1985年に禁止されたが、森林再生のためのシロアリ駆除剤としてのアルドリンの使用は認められた。
これら殺虫剤の輸出用の生産は1990年まで続けられ、1998年にこれら製品は完全に禁止された。
Shellは1993年に農薬事業の中止を決定し、ブラジルを含め農薬事業をAmerican
Cyanamid に売却した。
1994年にAmerican
Home Products がそのAmerican
Cyanamid を買収し、2000年にBASFに売却した。
この結果、Paulinia工場はShellからAmerican
Cyanamid を経由してBASFに渡ったことになる。
BASFは操業停止まで、2年間だけ操業を行った。
Shell は工場閉鎖後、2008年にBASFから土地を買い戻しているが、工場は閉鎖されたままとなっている。
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2010年にブラジルの裁判所は、Shell とBASF に工場の従業員を毒性物質に曝した件で罰金を命じるとともに、従業員や家族に対する賠償支払いを命じた。
BASFによると、控訴したが敗訴となり、次に、Shellに責任があるとして訴訟を行い、 その後、Shell及び原告と話し合いを続けてきた。
2010/8/25 ブラジル裁判所、Shell とBASFに多額の罰金
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今回、両社は1068名の元従業員に個別に補償を行い、生涯にわたる医療費の支払いを行う。
労働公共局では、この費用を420百万レアル(214百万ドル)と見積もっている。
両社は別途、全体の倫理被害(moral
damages)に対して200百万レアル(102百万ドル)を支払う。
このうち、50百万レアルは Paulinia
に産婦人科クリニックを建設するのに使われ、150百万レアルは健康センターと労働者安全医療基金に寄付される。
Shellはこれまで、工場の操業と従業員の被害には関係がないと主張してきたが、環境汚染に遺憾の意を表した。
BASFによると、両社の負担割合は公表しない。
キプロス議会は3月19日夜、銀行預金に課税する法案について採決し、反対36、賛成0、棄権19、欠席1で否決した。
法案内容:
2万ユーロ未満の預金は課税対象外
2万〜10万ユーロ預金への課税率は6.75%
10万ユーロ以上の課税率は9.9%
EUはキプロスが預金課税を受け入れない限り、100億ユーロの支援を行わない方針を示しており、キプロスは財政破たんの瀬戸際に立たされた。
キプロスの財務相はモスクワを訪問し、金融支援について協議している。
ロシアはキプロスに対して25億ユーロの融資を行っているが、2016年の返済期限を延長する方向で準備しているとされる。
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ユーロ圏財務相会合は3月16日、財政危機に陥るキプロスに対して、銀行預金への課税(「預金税」)という前例のない措置を盛り込んだ100億ユーロ規模の救済計画に合意した。
必要とされる支援は170億ユーロとみられていたが、100億ユーロの支援を決め、残りは「預金税」で賄う
もので、10万ユーロ以上の預金に9.9%の課税、10万ユーロ未満の銀行預金には6.75%の課税(1回限り)を実施し、58億ユーロ
を確保しようというものであった。
2013/3/17 ユーロ圏、預金課税を条件にキプロス支援を決定
しかし、これに反発した預金者が課税前にATMから預金を引き出す動きが拡大、信用不安が再燃し、通貨ユーロの下落を招いた。
キプロス議会は臨時に開会して17日に課税法案を通し、19日の営業再開前に税金として徴収する予定であったが、開会できず、キプロス政府はすべての銀行を20日まで休業させることを決めた。
ユーロ圏財務相は電話で対応を緊急協議し、「少額預金者は大口預金者と異なる」との表現を盛り込んだ声明を出し、10万ユーロ未満の預金は全額保護することを認めた。
但し、金融支援の前提として預金課税全体で58億ユーロを徴収するとの立場を崩さず、少額預金を保護する分、大口預金者の税率を10%超とするなど、課税の具体策の作成はキプロス政府に任せた。
これに対しアナスタシアディス大統領は、10万ユーロ超の預金に10%超の課税を行うことには断固として反対、(10万ユーロ未満ではなく)2万ユーロ未満の預金のみ保護する内容とした。
しかし国民の反発は強く、野党は「銀行経営の失敗のツケを国民に回すものだ」「EUの脅しには屈しない」などと課税そのものに強く反発し、否決した。大統領の中道右派政党も棄権に回った。
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キプロス島は1974年以来、南北に分断されており、島の北部約37%をトルコ系住民による北キプロス・トルコ共和国(トルコのみが承認)が占めている。
南側のギリシャ系住民が住むのがキプロス共和国で、EUに加盟している。
日本化学会は3月13日、化学にまつわる貴重な歴史資料「化学遺産」に5件を認定したと発表した。
これで化学遺産は22件となった。
日本化学会は、歴史資料の中でも特に貴重なものを文化遺産、産業遺産として次世代に伝え、化学に関する学術と教育の向上及び化学工業の発展に資することを目的とし、「化学遺産認定」を行っている。
2010/3/18 化学遺産認定 2011/3/17 化学遺産、第二回認定 2012/3/17 化学遺産、第三回認定
第4回化学遺産認定の5件は次の通り。
▽小川正孝のニッポニウム発見:明治日本の化学の曙
小川正孝は、1904-06年ロンドン大学William Ramsayのもとで研究し、1908年に、鉱物トリアナイトのなかに原子量が約100の43番目の新元素「ニッポニウム(Nipponium: Np) 」を発見したと発表した。
しかし、追試で存在を明確な証拠が得られず、認定されなかった。後にそれは43番元素ではなかったことが判明し、ニッポニウムは幻の元素となった。
しかし、近年に至り、小川の遺品の中にあったX線分光分析写真の解析によって、当時の未発見元素で1925年に Walter Noddack らが発見した75番レニウムであることが明らかになった。
▽女性化学者のさきがけ、黒田チカの天然色素研究関連資料
黒田チカは初の女子帝大生3人のうちの1人として東北帝国大学に入学し、眞島利行教授の指導で紫根の色素を研究してその化学構造を明らかにし「シコニン」と命名した。
その後、理研において紅花の色素カーサミンの構造を決定、この業績によって、黒田チカは化学分野において日本女性初の理学博士となった。
佐賀県の宮島醤油が郷土の先覚者の一人の黒田チカの伝記をホームページに掲載している。
http://www.miyajima-soy.co.jp/kyoka/shaze29/shaze29.htm
▽フィッシャー・トロプシュ法による人造石油に関わる資料
1938年に設立された北海道人造石油は、ドイツから導入したフィッシャー・トロプシュ法(FT法)により、石炭から得られる一酸化炭素と水素との混合ガスからコバルト系触媒を用いて、人造石油の工業生産を目指し、1939年から同社滝川工場で工業化 した。
大学における基礎的な触媒研究に基礎を置いた工業化であり、戦後の石油化学産業につながる事業であった。
特殊会社である帝国燃料興業が中心となり、三井、三菱、住友の三大財閥のほか、北海道炭礦汽船など が株主。
これに加え、人造石油製造事業法に基づく多額の補助金がつぎ込まれた。しかし戦争に突入すると、資材不足などがたたりプラントの稼働率は低迷 し、生産量は7,000klに留まった。
戦後も僅かな期間、プラントは稼働したが、1952年に経営破綻に至った。研究所の建物が、陸上自衛隊滝川駐屯地内に残されている。京都大や北海道の滝川市郷土館にサンプルが残っている。
▽国産技術によるアンモニア合成(東工試法)の開発とその企業化に関する資料
農商務省は1918年に臨時窒素研究所(1928年に東京工業試験所に吸収)を設立し、アンモニア及び硫安の製造技術の開発に着手した。
1927年にアンモニアの高圧合成に成功し、昭和肥料(昭和電工)はこの合成法により1931年にアンモニア及び硫安の大量生産に成功した。生産規模は、当時国内最大の年産15万トン(硫安)だった。
産業技術総合研究所(茨城県つくば市)に残るアンモニア合成管や触媒が化学遺産に選ばれた。
日本のアンモニア及び尿素の技術開発の歴史については、国立科学博物館産業技術資料情報センター の肥料製造技術の系統化(牧野功氏)が詳しい。
▽日本における塩素酸カリウム電解工業の発祥を示す資料
マッチ工業の重要原料である塩素酸カリウムは1893年に日本舎密製造で工業化されたが、輸入品に敗れて1897年に中止した。
日本化学工業の棚橋寅五郎は1910年に電解法による工業化に成功した。その後、会津工場は1923年に操業停止、1932年に日本沃度が購入・運転再開の経緯をたどった。
同社は1934年に日本電気工業と改称、1939年に昭和肥料と合併して昭和電工になった。
会津若松市の昭和電工東長原事業所では1910年工場発足当初のまの製造建屋を現在も使っている。
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日本化学会は第93春季年会(2013)を3月22日(金)〜25日(月)に立命館大学びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市) で開催するが、期間中に下記の通り、第7回化学遺産市民公開講座を開催し、認定された5件の内容を紹介する。
実施日 :3月24日(日) 13時30分〜16時50分
詳細: http://kagakushi.org/?p=2948
2012/3/22 三菱ガス化学、高純度イソフタル酸事業の構造改革で特別損失
三菱ガス化学は3月19日、不採算事業の構造改革で150億円の特別損失を計上すると発表した。
同社は2012年5月発表の中期計画で、不採算事業としてコエンザイムQ10、アンモニア、高純度イソフタル酸の3事業を挙げ、再構築を行うとしていた。
コエンザイムQ10については既に新潟工場の年産70トンの設備を2013年3月末に停止することを決めており、中間決算で8億円の特別損失を計上している。
アンモニアについては自社生産(新潟工場 13.2万トン)の停止の方向を明らかにしているが、まだ決定はしていない。
今回、高純度イソフタル酸について、円高基調の長期化、競合メーカーの増設、ポリエステル市場悪化に伴う需要減退などで厳しい事業環境が継続し、改善が見込めないとして、下記のとおり決めた。
製造会社 AGIC
(AG International Chemical)下記処理後に整理 会社整理損 ... 松山プラント(10万トン)
三菱化学敷地内2013年11月に生産停止、撤去、更地化 特別損失 水島プラント(12万トン) 三菱ガス化学に移管、
7万トンに規模縮小し、生産継続減損 原料メタキシレン
水島プラント(22万トン)三菱ガス化学に移管
2013年11月に15万トンに縮小減損 高純度イソフタル酸の営業機能は2010年9月に三菱ガス化学に移している。
特別損失はコエンザイムQ10を含め150億円としているが、大部分が高純度イソフタル酸とみられる。
ーーー
イソフタル酸はメタキシレンを酸化して生産する。
(オルソキシレン原料でフタル酸、パラキシレン原料でテレフタル酸となる)
イソフタル酸の用途は、不飽和ポリエステル樹脂、アルキドまたはポリエステル系塗料樹脂、ポリエステル繊維 の変性、PETボトル用ポリエステル樹脂の変性、ポリアミドの変性、ドライラミネートフィルム用接着剤用樹脂の原料など。
AGICは1968年に同社(当時は三菱江戸川化学)とAmoco Chemical (現 BP) の50/50JVとして設立され、水島に12万トンのプラントを建設した。
2003年12月にBPが離脱し、三菱ガス化学 91.6%、双日8.4%となったが、2010年6月末以降、三菱ガス化学の100%子会社となっている。
BP(旧Amoco)はベルギーのGeelに125千トン、米国イリノイ州Joilet に200千トンのプラントを持っていたが、2004年に事業を米国のFlint Hills Resources に売却、BPの工場内にあるGeelのプラントについては製造受託を行っている。
高純度イソフタル酸の需要は急速に拡大し、水島工場はフル操業を続けたため、三菱ガス化学は増設を決定、三菱化学松山工場の休止していた高純度テレフタル酸のプラントを2006年末に取得し、10万トンのイソフタル酸プラントに改良、2008年5月に商業生産に入った。
(生産は三菱化学に委託)
三菱ガス化学は同時に、高純度イソフタル酸やメタキシレンジアミンの原料のメタキシレンの増強を決め、2009年に水島工場に7万トン設備を新設、合計能力を22万トンとした。
市場の変化により、これら増設分が余剰となった。
現在、アジアでは次の各社がイソフタル酸を製造している。
1)韓国 KP Chemical(蔚山) 200千トン
KP Chemical はロッテグループの湖南石化の子会社であったが、2012年12月に湖南石化と合併し、Lotte Chemical となった。
2)台湾 東展興業 (Tuntex Petrochemical) 10千トン
Tuntexは台湾石化合成(Tasco Chemical)の子会社となった。
3)中国 北京燕山石化 36千トン
4)シンガポール Perstorp 70千トン
当初スイスの医薬会社 Lonza が建設したが、医薬に専念するため2007年にいPerstopに売却した。
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三菱ガス化学は新中期経営計画 MGC Will2014で、下記を中核事業としている。
天然ガス系化学品 メタノール 800万トン/年のグローバル生産体制を確立 芳香族化学品 MXDA/MXナイロン MXナイロンは世界でOnly One、海外増設検討 機能化学品 過酸化水素/エレクトロニクスケミカル 過酸化水素からの一貫生産で高品質製品 PC/シートフィルム 日本、タイ、中国(上海)の3拠点体制 特殊機能材 ビスマレイミド・トリアジン樹脂系製品
(半導体パッケージ基板材料)樹脂は世界でOnly One 脱酸素剤エージレス 食品鮮度維持から医薬、電子部品などへ
中国江蘇省無錫市の中級人民法院は3月20日、「破産法」の関連規定に基づき、Suntech Powerの破産・再編手続きを決定した。
3月15日に償還日を迎えた転換社債541百万ドルが債務不履行(デフォルト)
となり、2月末で合計71億元(約1,065億円)の貸出残を持つ中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行など9行が申請した。
今後は地元当局主導による再建が図られる見通し。
2013/3/15 中国のSuntech Power、倒産の危機
政府は徴税に必要な情報を海外とやり取りするための租税条約や協定を拡大する。
情報交換の条約をもとに各国の税務当局との連携を強める。
今国会に提出する条約は以下の通り。
このうち、ジャージー、ガーンジー両島はタックスヘイブンであり、オフショアセンターとして有名で、両政府との租税協定は、国際的な脱税及び租税回避行為を防止するため 、租税に関する情報交換を行うための詳細な枠組みを定める。
租税に関する情報交換を主体とした協定に署名するのは, バミューダ,バハマ,ケイマン,マン島及びジャージーに続いて5、6件目。
締結 | ||
税務行政執行共助条約 | 2012/11/3 | 締約国間で、租税に関する以下の行政支援を相互に行うための多数国間条約。 国際的な脱税及び租税回避行為に適切に対処していくことが可能になる。 (締結日現在で32か国が締結) |
日・ジャージー租税協定 | 2012/12/2 | 国際的な脱税及び租税回避行為を防止するため,租税に関する情報交換。 |
日・ガーンジー租税協定 | 2012/12/6 | 国際的な脱税及び租税回避行為を防止するため,租税に関する情報交換。 |
日・ニュージーランド新租税条約 | 2012/12/10 | 投資先の国における投資所得(配当、利子及び使用料)に対する課税を軽減又は免除。 租税回避行為の防止。 |
日・ポルトガル租税条約 | 2012/12/19 | 二重課税を調整するため、両国において課税できる範囲を明確化。 両国間で生じた課税に関する問題を円滑かつ確実に解決。 国際的な脱税及び租税回避行為の防止。 |
日・米租税条約改正議定書 | 2013/1/25 | 投資所得(配当及び利子)に対する源泉地国免税の対象を拡大。 租税条約上の税務紛争の解決促進のため,相互協議手続に仲裁制度を導入。 徴収共助の対象を拡大。 |
Jersey島(Bailiwick of Jersey)とガーンジー島(Bailiwick of Guernsey)はフランス沖にあるチャンネル諸島に属し、イギリス王室属領である。
ともにイギリスのエリザベス女王が君主であるが、イギリスには属せず、EUにも加盟していない。
外交と国防はイギリス政府に権限を委任しているが、内政に関しては独自の政府、議会を持っている。
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バイキングの首領のRolloは911年に西フランク王国の北西部沿岸からセーヌ川を遡り、内陸に侵入した。
西フランク王シャルル3世は同年、Rolloとサン・クレール・シュール・エプト条約を結び、Rolloに北西沿岸部(ノルマンディ)を与え、公爵とした。
その後、バイユー、セーなどの土地をノルマンディー公国に組み入れ、西暦933年にはチャンネル諸島やその対岸のコタンタン半島をブルターニュ公国から奪った。
Bailiwick of Guernseyは、ガーンジー島のほか、オルダニー島、サーク島、ハーム島、ブレッシュ島、ジェソー島などの小島を含む。
Bailiwick of Jersey は、ジャージー島のほかマンキエ諸島やエクレウ諸島などにより構成される。
7代目のギヨーム2世は英国に上陸、イングランド王ウィリアム1世となった。
ノルマンディ地方は1204年にフランス王フィリップ2世に奪われたが、チャンネル諸島はイギリス王室属領のままとなって今に至っている。
2013/3/23 Netherlands Antilles
本年のWorld Baseball Classic はドミニカがプエルトリコを破り優勝したが、オランダが2次ラウンドでキューバを2度破り、ベスト4進出を決めた。
オランダといっても、ほとんどの選手はカリブ海の旧 Netherlands
Antillesの出身で、2次ラウンドで日本と対戦したときの先発メンバー
のうち、オランダ出身は一人だけで、6人がキュラソー島、2人がアルバ島出身である。
これらの島は野球が盛んで、大リーガーも多い。
打順 | 名前 | 出身地 | |
---|---|---|---|
1 | 遊 | Andrelton Simmons | キュラソー |
2 | 右 | Hainley Statia | キュラソー |
3 | 二 | Jonathan Schoop | キュラソー |
4 | 指 | Andruw Jones | キュラソー |
5 | 一 | Curt Smith | キュラソー |
6 | 左 | Kalian Sams | ハーグ |
7 | 三 | Xander Bogaerts | アルバ |
8 | 捕 | Dashenko Ricardo | キュラソー |
9 | 中 | Randolph Oduber | アルバ |
カリブ海の旧オランダ自治領のNetherlands
Antillesはベネズエラ沖のABC 3島とリーワード諸島のなかのSSS 3島の6島から成っている。
当初は6島全体で自治領のNetherlands
Antillesとなっていたが、現在は下記の通り、バラバラになっている。
SSS諸島 (リーワード諸島) |
Sint Maarten | 自治領 (島の北側はフランス領のSaint Martin) |
Sint Eustatius | オランダ本国編入 | |
Saba | オランダ本国編入 | |
ABC諸島 (ベネズエラ沖) |
Aruba | 自治領 |
Bonaire | オランダ本国に編入 | |
Curaçao | 自治領 |
米国では共和党と民主党が上下院でねじれを起こしているため、2013会計年度(2012年10月〜2013年9月)の予算は承認されておらず、暫定予算で運営してきた。
この暫定予算が3月27日に期限切れとなるため、政府機関の閉鎖のおそれがあった。
政府機関の閉鎖回避のための今年度末(9月30日)までの暫定予算案は、まず、野党共和党が過半を占める下院で3月6日に賛成多数で可決された。
3月1日に発効した政府予算
強制削減措置の削減幅は維持しつつ、軍事費についてはどの項目を削るかを国防総省に任せる案だった。
与党民主党が過半を占める上院は、非軍事費でも一部に柔軟性をもたせる修正を加え、3月20日に賛成73、反対26で承認した。
翌21日、下院は上院が修正した案を賛成318、反対109で承認した。
オバマ大統領の署名を経て成立する。
米国ではオバマ政権が発足してから4年間、本予算が一度も通らず、それまでの支出のペースを維持する短期の暫定予算をつないでいる。
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2012年末以降、米国で減税の期限切れと政府支出の強制削減がほぼ同時に訪れる「財政の崖」の攻防が行われている。
2012/12/31 | 「財政の崖」問題を当面回避 ・年収40万ドル超(夫婦合算申告では45万ドル超)の個人の所得税減税措置の打ち切り、その他
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2013/2/4 | 米国の国債発行の法定上限を暫定的に引き上げる法案成立 2013年5月半ばまでに限って法定上限を超える国債の発行を政府に認める。 |
2013/3/1 | 政府予算の強制削減措置 発効
・ 米政府の支出を今後10年間で計1兆2千億ドルを強制的に削減 |
2013/3/21 | 暫定予算案を承認 850億ドルの歳出強制削減を維持、削減に一定の裁量 |
◎次の問題は2013年5月半ばの国債発行の上限期限切れ
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現在の米議会の勢力図は以下の通り。
定数 民主党 共和党 上院 100 55 45 下院 435 201 234 上院民主党は民主党会派2名を含む。
2012年の大統領選挙に当たり、両党は選挙公約となる政策綱領を決めたが、税金と社会福祉については全く異なっている。
民主党 | 「成長する中間層に投資し、強い米経済を再生する」
中間層以下には年末に期限を迎える包括減税「ブッシュ減税」を延長 |
共和党 |
「アメリカンドリーム」は危機にある。政府を適切な役割に戻し、より小さく、より賢くしなくてはならない。
最善の雇用創出計画は経済成長だ。政府による助成や一時的・人為的な雇用は提供しない。 |
この背景には考え方の違いがある。
米国民の1%が収入の1/4、財産の40%を保有するという大きな格差がある。
民主党はこれを異常とし、富裕層への増税、貧困層への福祉を打ち出している。
これに対し共和党は、高収入は努力の結果であり、富裕層への増税は努力したものに罰を与えるものとし、逆に貧困なのは努力が足りないためであり、福祉は努力をしないものを褒め称えるものだとする。
個人が自分の考えで寄付をするのはよいが、国が税金を使って福祉をやるのはおかしいとする。
Paul Krugmanは著書 "End this Depression Now !" のなかで、Steve Jobsなど少数の人を除き、高収入は努力の結果ではないとして、共和党の主張を 以下の通り批判している。
Topの1%の所得は急激に上昇している。
このグループに属するのはファンドマネージャーや大企業のトップである。
ファイナンスの規制緩和の後、ファンドマネジャーが多額の成功報酬を受け取るようになった。(ファンドが失敗することも多いが、その時に前の報酬を返還することはない)大企業のトップの報酬は他の企業のトップが務める報酬委員会が決めるが、ファンドマネジャーがそんなに貰っているのだから経営者がもっと貰って当たり前という言い訳が出来るようになり、互いに、報酬を増やした。
組合の弱体化もトップの高給を批判する力を弱めた。
保守系の市民運動 Tea Party もオバマ政権の大型景気対策や医療保険制度改革などを批判し、「増税なき小さな政府」を掲げるが、Tea は"Taxed Enough Already" (もう税金はたくさんだ!)を表している。
昨年末の「財政の崖」協議で富裕層増税を受け入れた共和党は、次は民主党が譲る番だとして、一段の歳出削減や社会保障制度改革を要求している。
2013/3/26 BP、TNK-BP売却収入の一部で80億ドルの自社株買い
BPは3月22日、合計80億ドルに及ぶ自社株買いを実施すると発表した。
BPは2012年10月に露石油最大手 Rosneftに、BPとロシアの投資家グループAlfa-Access-Renova(AAR)の合弁のロシアの石油会社TNK-BPの持株(50%)を売却する契約を締結し、本年3月21日に取引を完了した。
BPは2003年に80億ドルを出してTNK-BPを設立したが、現在までの10年で合計190億ドルの配当を受領している。
今回の売却で、BPはRosneft株の18.5%と現金124.8億ドル(BPが2012/12に受領したTNK-BPの配当7.1億ドルを含む)を受領した。
TNK-BP持株の対価として現金166.5億ドルとRosneft株12.84%
別途、ロシア政府(OFSC ROSNEFTEGAZ)からRosneft株5.66%を48.7億ドルで購入。
2012/12に受領のTNK-BPの配当 7.1億ドル
差引合計 Rosneft株の18.5%と現金124.8億ドルBPは既に取得している分を含め、Rosneftへの出資比率は19.75%となる。
2012/10/24 ロシアのRosneft、TNK-BPを買収
自社株買いは12〜18か月をかけて実施される予定で、購入した自社株は消却される。
BPはTNK-BP持株の売却代金の残り44.8億ドルについては借入金返済に使用する。
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BPは2012年11月15日、2010年4月のルイジアナ州で掘削中の海洋掘削プラットフォームDeepwater Horizon rig での爆発事故に関して、司法省によるすべての刑事訴訟で和解したと発表した。合わせて米証券取引委員会(SEC)とも和解した。
この和解で搊失額は 419.5億ドルとなる。
残る民事訴訟にはいろいろあるが、Clean Water Actによる連邦政府との民事訴訟が大きく、流出量が300万バレルとしても、過失無しの場合で罰金は33億ドル、重大な過失があるとされれば、129億ドルとなる。(500万バレルの場合、55億ドルと215億ドル)
2012/11/17 BP、Deepwater Horizon事故に関する米政府の全ての刑事訴訟で和解
BPは流出事故費用をまかなうため、また、BPの強みと成長機会を生かすため、2010年から2013年の間で380億ドルの資産売却を目標としている。
2010年以降の資産売却は2012年末で378億ドルに達している。(過去の売却実績)
キプロスとトロイカ(欧州中央銀行:ECB、欧州委員会、国際通貨基金:IMF)は3月25日、キプロスの金融支援策で合意に達し、その合意内容がブリュッセルのユーロ圏財務相会合で承認された。
合意内容は以下の通り。
1.すべての銀行の保険対象預金(10万ユーロ未満)は、EUの関連規則に従って完全に保護される。
2.国内2位のLaiki Bank(Cyprus Popular Bank)を株主、社債保有者、保険対象外の預金者の負担で整理する。
銀行破綻処理制度により、キプロス中銀の決定に基づいて進める。
Laiki BankはBad Bank とGood Bank に分離する。
Bad Bankには10万ユーロ以上の預金と不良貸し付け債権を残し、段階的に 整理する。
損失がいくらかは不明だが、預金のうち、40%程度が失われるとの試算がある。残りのGood Bankは、銀行整理フレームワークに基き、第1位銀行のBank of Cyprusに編入する。
3.Bank of Cyprus
資本再編が発効するまで、保険対象外(10万ユーロ以上)の預金のみ凍結する。
Bank of Cyprusは、保険対象外預金と社債の株式転換を通じて資本を再編する。
プログラム終了時点の自己資本比率が9%になるよう設計する。預金の50%以上が株式に変換されると見込まれている。
付記
キプロスを支援している欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の3機関(通称トロイカ)は7月31日、キプロスへの初回査察を完了したと発表した。
焦点となっていた10万ユーロ以上の預金の強制カット率は47.5%で確定した。キプロス銀行の普通株式に転換された。
キプロス政府はこれにより、ユーロ圏から支援の前提条件として求められていた58億ユーロの財源を確保し、ユーロ圏などは最大100億ユーロの支援を実施する。
今回の仕組みは預金者への課税でなく、3月22日に急遽可決され、法制化された銀行破綻処理制度に基づくため、新たな議決を必要としない。
付記
ユーロ圏17か国は4月12日、キプロスの財政再建策を正式決定した。
当初総額170億ユーロが必要で、そのうち100億ドルをユーロ圏とIMFが支援する計画であったが、総額は230億ドルに増加した。ユーロ圏が90億ユーロ、IMFが10億ユーロを融資する。
キプロスはLaiki Bankの破産処理、Bank of Cyprusの資本再編のほか、増税と支出カットで対応する。金準備の売却も検討されている。
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当初EU側が、EU関連規則で保護されている10万ユーロ未満の預金にも課税を要求したため、国民の反対を受けたキプロス議会が承認せず、混乱を生じた。
決着までに以下の経緯があった。
3月16日 | ユーロ圏財務相会合は
キプロスに対して、銀行預金への課税という前例のない措置を盛り込んだ100億ユーロ規模の救済計画に合意。 2013/3/17 ユーロ圏、預金課税を条件にキプロス支援を決定 |
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3月19日 | キプロス議会は銀行預金に課税する法案について採決し、反対36、賛成0、棄権19、欠席1で否決。 2013/3/20 キプロス情勢、混迷 |
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3月20日 | キプロス財務相、訪露し、25億ユーロの返済期限(2016年)の延長と金利引き下げを要請 (3月22日、トロイカの決定待ちとして交渉打ち切り) |
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3月21日 | キプロス中銀、金融機関の無秩序な破綻を回避するための整理・再建策を盛り込んだ法案を公表 | |
3月22日 | キプロス議会、金融システムの整理・再建法案を可決。 経営が悪化している同国第二位のLaiki Bank(Cyprus Popular Bank)に適用。 通常業務を受け継ぐGood Bankと不良債権処理に専念する機関Bad Bankに分割 Good BankはBank of Cyprusに統合
キプロス議会、銀行からの資金流出規制を導入する権限を政府に付与する法案も可決。 キプロス議会、年金基金やその他国家資産を財源とする「団結基金(solidarity fund)」を創設する法案を可決 ギリシャのPiraeus Bank、キプロスの2大銀行(Bank of CyprusとLaiki Bank)のギリシャ支店を買収 |
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3月23日 | キプロス政府とトロイカ、Bank of Cyprusの10万ユーロ超の預金に25%課税することで合意。 議会採決を目指すも失敗 |
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3月24日 | キプロス大統領がEU首脳と11時間以上の談判で25日未明に合意 |
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今回の処理により、低税率と緩やかな規制で集めていたロシア等からの預金に損害を与えることとなり、オフショアセンターとしての地位は危うくなる。
付記
3月28日、キプロスの銀行が約2週間ぶりに営業を再開した。
小切手の換金禁止
1日の預金引き出し限度額を300ユーロに制限海外送金は輸入代金支払いや留学生への送金に限定
5000ユーロ以上の商取引をすべて中銀が精査国外への現金持ち出しは1000ユーロに制限、空港での厳しい手荷物検査
「規制はユーロより格下の『キプロス・ユーロ』を生む」(ロイター通信)との見方が出ている。
2013/3/27 武田薬品の移転価格税制での更生処分、全額取り消し
武田薬品工業は3月26日、大阪国税不服審判所長より同社の主張を認容する旨の裁決書を受領したと発表した。
この結果、法人税・地方税等が全額還付されることとなり、還付加算金と併せ152億円が還付される。
前回の還付と合わせ、更生処分の全額が還付される。
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武田薬品は2006年6月、米国アボットとの50:50の合弁会社(当時)のTAPファーマシューティカル・プロダクツ(TAP)との間の消化性潰瘍治療剤「プレバシド」の製品供給取引等に関して、米国市場から得られる利益が武田に過少に配分されているとして、移転価格税制に基づき、大阪国税局より所得金額で6年間で1,223億円の所得の更正を受け、約570億円の追徴税額を課せられた。
武田薬品は、TAPとの取引価格はアボットの合意なしには決められず、独立企業間価格であり、移転価格税制が適用されるべきものではないとした。
本ブログも、通常は50/50JVとの取引価格は独立企業間価格とみられ、移転価格税制は適用されず、武田側の主張は当然であるとした。
2006/6/29 武田薬品、移転価格税制に基づく更正
武田薬品は2006年8月に大阪国税局に異議申し立てをおこなったが、2008年7月にこれを中断し、二重課税の排除を求めて国税庁に対し米国との相互協議を申し立てた。
しかし、相互協議が合意に至らず終了したため(米国側が合意しないのは当然のこと)、同社は一旦中断していた異議申し立て手続きについて大阪国税局へ再開を申し入れた。
武田薬品は2012年4月6日、更生された所得金額1,223億円のうち977億円を取り消す異議決定書を受領したと発表した。
455億円が還付され、還付加算金が116億円支払われた。
2012/4/9 武田薬品の移転価格税制での更正処分で異議決定
大阪国税局が残りの246億円分の異議を認めなかった理由が分からない。
武田薬品は5月7日、残りの部分の全額の取り消しを求める審査請求書を、大阪国税不服審判所に提出した。
今回、これについて、同社の主張が容認された。
当初の追徴税の570億円全額に加え、還付加算金(金利:2010年以降は年4.3%)として153億円もの多額が払われることとなる。
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付記
デンソーは3月27日、移転価格課税に基づく更正通知を受領したと発表した。
同社は2008年7月1日、名古屋国税局より、海外子会社との間の2002年3月期から2007年3月期までの6年間の取引に関して、独立企業間価格と異なるとの当局の判断により、更正処分の通知を受領したと発表した。
更正所得金額は155億円で、追徴税額は地方税等を含め、合計約73億円となる。
同社はこれを不服として、名古屋国税局に異議申し立てを行う一方で、二重課税の排除を目的として、国税庁に対して租税条約に基づく海外税務当局との相互協議の申し立てを行った。
今般、協議が合意に達した旨の通知を受領したもので、二重課税が完全に排除されることとなり、同社は追徴税額73億円のうち、日本側で約39億円(地方税等を含む)の還付を受けるとともに、当社海外子会社側でも海外当局より税還付を受ける。
2013/3/28 産構法30年(1) 第二次石油危機
2013/3/29 産構法30年(2) 産構法成立
2013/3/30 産構法30年(3) エチレン構造改善
2013/4/1 産構法30年(4) ポリオレフィン構造改善
2013/4/1 産構法30年(5) 塩ビ及びその他の構造改善
最新分は http://blog.knak.jp