2006-5-1
ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから
目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は
2006-5-1
http://blog.knak.jp
2014/12/1 Samsung Group、防衛、石化事業をHanwhaに売却
韓国Samsung Groupは11月26日、Samsung General Chemical や、防衛産業を手掛ける
Samsung Techwin などを韓国 Hanwha に1.9兆ウォン(約2000億円)で売却すると発表した。
Hanwha Groupは今後、経営成果によって、1000億ウォンを追加で払うオプション契約も交わした。
売却するのは下記の各社:
防衛関連
Samsung
Techwin の 32.4%
8400億ウォン
Samsung Thales の
持分(50%)
Samsung
Techwinと 仏大手電機メーカーThalesのJV
石油化学
Samsung General Chemicalsの57.6%
1兆0600億ウォン
Samsung Total Petrochemicals の持分 (50%)
Samsung General Chemicalsと仏 Total のJV
Established in 1988, Samsung General Chemicals merged on a 50-50 basis with
Total in 2003 to set up Samsung Total. At present, Samsung General Chemicals
owns 50 percent of Samsung Total. - See more at: http://www.businesskorea.co.kr/article/3928/samsung-chemicals-samsung-general-chemicals-samsung-petrochemical-merge#sthash.51Oh2LlR.dpuf
Established in 1988, Samsung General Chemicals merged on a 50-50 basis with
Total in 2003 to set up Samsung Total. At present, Samsung General Chemicals
owns 50 percent of Samsung Total. - See more at: http://www.businesskorea.co.kr/article/3928/samsung-chemicals-samsung-general-chemicals-samsung-petrochemical-merge#sthash.51Oh2LlR.dpuf
HanwhaはSamsung Techwinの筆頭株主となる。
Samsung
Techwinが保有する韓国航空宇宙産業(KAI)の10%の持分も確保する。
Samsung
TechwinはSamsung General Chemical の持分 23.4%を保有しているため、Hanwhaは実質、Samsung
General Chemical の81.0%を買収することとなる。
Samsungは防衛産業から完全に撤退することになる。
買収する Hanwha Corpは 1974年に防衛産業会社に指定されている。
石油化学については、 Hanwha
Chemical とHanwha Energy が共同で買収する。
付記
Samsung
General、Samsung Total
の所有権は2015年4月30日にHanwhaに変更され、同日付で社名を変更した。
新社名:Hanwha
General Chemicals
Hanwha
Total Petrochemical Co., Ltd. (従来のPetrochemicals
からPetrochemical に)
電子化学素材や精密化学などを扱う Samsung Fine Chemicals は、電子素材との関連性を踏まえ、売却対象から外したとみられる。
Samsung Groupでは、競 争力や相乗効果が劣ると判断された企業を思い切って売却することで、グループを電機・電子と金融・サービス、建設・重工業の3部門に再編する作業を本格化するものとみられる。
韓国10位の財閥のHanwha Groupは、株式取得で石油化学や防衛関連事業が強化されると発表した。
買収作業は来年1〜2月に承認手続きが行われ、同年前半に終わる予定。
Samsung Groupは総帥の 李健煕・サムスン電子会長
の指導の下で拡大を続けてきた。
李健煕会長が5月に急性心筋梗塞で 倒れ、後継者の李在鎔・サムスン電子副会長はグループをもっとコンパクトにしたい意向とされる。
なお、オーナー一家はこれら系列会社4社の株をほとんど保有していない。
李健煕は今も意識は完全には回復していないとされ、今回の決定は副会長の意向が反映されたものとされる。
証券界では、副会長のグループに対する支配力強化のための布石と見ている。
(この続きは明日)
ーーー
売却する事業の概要は下記の通り。
1)
Samsung
Techwin の32.4%
同社は1977年に Samsung
Precision として設立された。
1987年にSamsung Aerospace
と改称し、2000年に現在のSamsung Techwinとなった。
光学機器、製造装置、機械、軍事機器、航空エンジンなどを生産する。
2)
Samsung
Thalesの持分(50%)
Samsung
TechwinとフランスのThales との 50/50 JV
Thales は旧称
Thomson-CSFで、2000年末に英国の防衛機器メーカーRacal Electronics を吸収合併した際に現社名に改称した。
両社は1978年にSamsung Thomson-CSF
を設立、2001年に改称した。
下記の電子防衛システムの開発を行っている。
land C2 systems
comprising fire control systems
electro-optical tracking
systems
command, control, and communication systems
radars
naval
combat management systems
avionics/electronic warfare systems
combat systems.
3)
Samsung General Chemicals の 57.6%
4)
Samsung Total Petrochemicals の持分 (50%)
韓国では石化の民営化後、各財閥が競争でワンセット主義で石化コンプレックスをつくった。
それまで石化事業を行っていなかったSamsung
グループとHyundai グループも、既に供給過剰であったにもかかわらず、業界や政府の反対を押し切って参入した。
Samsung
はJVではそれ以前に石化に進出していた。
1974年に蔚山のSKコンプレックスにSamsung Petrochemical を設立。(後述)
また、旧第一毛織(明日の記事参照)も麗川でPS、ABS 事業 及び PC(旭化成から技術導入)事業を行っている。
両社は、中国向け輸出が主であると主張し、そのために黄海側の大山にコンプレックスを建設した。
1988年5月に Samsung
General Chemicals が設立され、1991年9月に大山コンプレックスが完成した。
1998年2月に財閥の構造改革に関する5大課題が発表され、基幹産業における過剰設備・重複投資を解消し、効率化を図る観点から、5大財閥における事業の再編成(通称ビッグディール)が計画された。
1998年9月に Samsung General Chemicals と Hyundai Petrochemical
の統合計画(外資を50%以上入れる)が発表された。
しかし、これは破談となり、最終的に 2003年1月に Hyundaiは分割されて、 湖南石化とLGに売却された。
Samsungは2002年12月にAtofinaから資本を受け入れ、2003年8月に50/50のJVの Samsung
Atofina が設立され(その後、Samsung Total
に改称)、Samsung General の資産が移管された。
この結果、これまではSamsung
GeneralはSamsung Total の株主ということであったが、2014年4月に子会社でPTAを扱っている Samsung
Petrochemical を吸収合併した。
Samsung Petrochemical
は1974年にSamsung
が50%、旧Amoco(のち、BPが買収)が35%、三井石油化学が15%の出資で設立され、蔚山の大韓石油(韓国開発銀行
50%/Gulf Oil 50%)(現在のSK)のコンプレックスでPTAを生産した。その後、Samsung General
Chemicals は大山にPTAプラントを建設したが、Samsung Petrochemical に移管した。
その後三井化学が離脱し、BPが47.41%、三星が47.41%、Shinsegae(新世界)が5.18%となったが、 BPは2006年に撤退した。
2006/7/26 BPが韓国のPTA事業から撤退
このほかに、蔚山にBPとのJVのSamsung BP(1989年設立)があり、酢酸とVAMを生産している。
また、Samsung
Petrochemical と SGL
Group
は2013年6月に炭素繊維製品の販売JV(50/50)を設立している。
今回 明記はされていないが、 Samsung General Chemicals の 57.6%
の譲渡により、これらのJVもHanwhaの支配下に移ることとなる。
Samsung
の石化の現状は下記の通り。
注) Samsung
Total は現在は Samsung General Chemicals 50%
/ Total 50%
三星BPはSamsung General Chemicals 50%
/
BP 50%
三星石化は現在はSamsung General Chemicals が吸収合併している。
ーーー
買収するHanwha Group の基は韓国火薬で、1992年にHanwha
(韓火)に改称した。(韓化と記する場合もある)
Hanwha
Chemical、ハンファ生命保険(旧・大韓生命)、ハンファ損害保険、ハンファ証券、ハンファ建設、ハンファギャラリアなどを傘下に持つ。
Hanwha Chemical
は麗川に大林産業との50/50のエチレンコンプレックス 麗川NCCを持ち、 そこでPEとPVCを生産するほか、蔚山のSKのコンプレックスでもPEとPVCを生産している。
ーーーーーーーーーーーーーーー
韓国火薬は1984年に、韓国政府とDow のJVで電解〜VCMのKorea Pacific
Chemical 及び韓国ダウを買収し、韓洋化学とした。
1988年には、1972年に政府方針で5社のPVCメーカーが合併して設立した韓国プラスチックを吸収合併した。
同社は1972 に韓国で初めてポリエチレンを製造した。その後、PPにも進出した。
1994年に韓洋化学をHanwha Chemical と改称し、1999年に 大林産業との50/50のJVの麗川NCCを設立してエチレン製造に進出、合わせて、大林産業にPPとHDPEを渡し、代わりにLDPEとLLDPEを受け取ってLDPE事業を強化した。
今回、更に石化事業を拡大することとなる。
付記
HanwhaはDow
Chemicalが売りに出した塩素事業 の買収を検討していた。
しかし同社のスポークスマンは12月1日、Samsungの石化事業買収で石化事業が拡大するため、最早Dowの事業を買収する必要はないと述べた。
2014/12/2 Samsung
Group の持株会社 第一毛織の上場
Samsung Group の持株会社 第一毛織(Cheil Industries
Inc.) が12月18日に上場する。
Samsung カード、Samsung
SDIなどが保有する株式を売却するとともに、新株を発行する。
上場後の時価総額は10兆ウォン(約1兆円)前後に達すると見られている。
11月14日には Samsung Groupのシステムインテグレーション関連企業である Samsung SDSが上場している。
上場は創業家の事業継承の一環で、「李在鎔・電子副会長らは上場で得た資金を、病床にある父親の李健熙・電子会長の資産を引き継ぐ際の相続税か、系列会社の株式の買い増しに使うのではないか」と見られている。
李健熙会長は、三星生命の20.76%、三星電子の20.76%を保有しており、 李在鎔副会長がこれを相続すれば、相続税は約7兆ウォン(約7千億円)とされる。
第一毛織は旧称 三星エバーランドで、 レジャー関連事業( ソウル南方の龍仁市にあるテーマパーク、三星エバーランドを運営) などの事業を行うが、事実上のサムスングループの持ち株会社としての性格も持つ。
2013年9月に旧 第一毛織からファッション事業部を買収した。
李一族が45.56%を保有する。
なお、 Samsung
SDSについても、李在鎔副会長が11.25%、二人の妹が各 3.9%を保有する。
Samsung Electronicsが22.58%、Samsung C&T( 総合商社)が17.08%を保有している。
付記
2015年9月1日、第一毛織とサムスン物産(Samsung C&T)
が合併し、新しいサムスン物産(Samsung C&T) となった。
ヘッジファンドのElliot
Managementなどが反対したが、7月18日の臨時株主総会で承認した。
新しいSamsung C&T
はSamsungグループ支配構造の事実上の持ち株会社となる。
李一族 → Samsung C&T → 三星生命 → 三星電子
ーーー
三星エバーランドは1963年に東火不動産として創業、1967年に中央開発と改称、1997年に三星エバーランドとなった。
2014年7月、社名を第一毛織(Cheil Industries Inc.) に改称した。
第一毛織は1954年に創業者の故 李秉 が設立したもので、第一製糖とともにSamsung
Groupの最初の製造業の一つ。
織物事業から始まり、1980年代にファッション事業、1990年代にケミカル事業(PS、ABS等)、2000年代には電子材料事業へと進出してきた。
2013年に ファッション部門を三星エバーランドに譲渡し、2014年7月1日Samsung
SDI と合併した。
Samsung
SDIは1970年にブラウン管事業からスタートし、2002年に新規事業としてバッテリー事業を加え、2010年には小型バッテリー市場でトップに立った。
合併により、Samsung SDIは第一毛織が持つバッテリー寿命などを向上させる二次電池セパレータ技術と有機素材技術 を取り込むことでバッテリー事業の競争力を強化できる。
また、第一毛織の合成樹脂事業をこれまでの電子、IT中心から自動車向けへと拡大することができる。
三星エバーランドは上記合併により無くなることとなるグループ創業事業の「第一毛織」の名称を引き継いだ。
「三星の母胎格である第一毛織を通じて三星の哲学と正統性を継続するという意味で第一毛織を新しい会社名に決めた」と説明した。
なお、テーマパークはエバーランド名を継続、海外法人はSamsungというブランドの認知度を考慮して、Samsung
Cheil とする。
ーーー
会長の長男の李在鎔・電子副会長が三星エバーランドの25.1%を取得した件は刑事事件に発展した。
2008年4月17日、特別検察官チームは李健熙・三星グループ会長を背任と脱税など3つの容疑で起訴するなど、前・現職の三星幹部10人を書類送検した。
第一の容疑 経営権継承疑惑
李健熙会長が長男の李在鎔に経営権を継承する過程で、三星エバーランドの転換社債の97%を長男に配分し、不当に安い価格で引渡し、 エバーランド側に少なくとも969億ウォンの損害を与えた というもの。これにより、李在鎔はエバーランドの25.1%を所有し筆頭株主となった。
李健煕会長と副会長ほかに特定経済犯罪加重処罰法上の 背任 が適用された。
第二の容疑 裏資金疑惑
李会長ほかが、三星生命の2兆3000億ウォンを含め、4兆5000億ウォンの資金を隠し、
1,199の借名口座を利用して、系列会社の株を売買して得た差益5,643億ウォンに対する譲渡所得税1,128億ウォンを脱税した容疑で特定犯罪加重処罰法上の脱税が適用された。
第三の容疑 不法ロビー疑惑
政官界および法曹界を対象にした疑惑については、金勇K弁護士の供述に信憑性がないか、または嫌疑が発見できなかったなどの理由で、内部捜査を終結させた。
また、三星の債券が2002年の大統領選挙資金や最高権力層に提供されたという疑惑を立証する証拠も発見できず、三星重工業などの粉飾会計疑惑も嫌疑をつかめずに終結させた。
ソウル中央地裁は7月16日、李健煕 前三星会長に対し、懲役3年、執行猶予5年、罰金1100億ウォン(約110億円)を言い渡した。
エバーランド転換社債発行と三星SDS新株引受権付社債発行に関する容疑については無罪を認めたが、脱税容疑の一部と証券取引法違反容疑については有罪と判断した。
2009年5月29日、韓国の最高裁判所は李健煕・前三星グループ会長が長男の李在鎔サムスン電子専務に、グループの事実上の持株会社のエバーランド転換社債を安値で発行し会社に損害をもたらした背任容疑に対し、無罪を宣告した原審を確定した。
2009年12月29日、韓国政府は執行猶予付きの刑が確定している李健熙前会長を31日付けで特別赦免すると発表した。
李健煕会長は起訴を受け、2008年4月22日に退陣を発表したが、2010年3月24日、グループ社長団会議の要請を受け、サムスン電子の会長に復帰した。
2008/4/26 揺れる韓国サムスングループ
また、グループ各社の株式を巡っては、 グループの創業者、故李秉浮フ長男の李孟熙と、次女の李淑姫が、弟の李健熙・三星電子会長を相手取り、株式の分与を求める訴訟を起こしている。
2012/2/25 サムスン創業者の遺産相続で訴訟
2014/12/2 Moody's、日本国債を格下げ
Moody'sは12月1日、日本国債の格付をAa3からA1に格下げした。
格下げの理由は、
1)財政赤字削減目標の達成可能性に関する不確実性の高まり、
2)デフレ圧力の下での成長促進策のタイミングと有効性に関する不確実性、
3)それに伴う中期的な日本国債の利回り上昇リスクの高まりと債務負担能力の低下──としている。
発表後、ロイターなどに対し、消費再増税の延期で赤字削減目標に不透明性が増したと指摘。長期的な日本の債務借り換えコストの増大に懸念を示した。
また、成長戦略は政策全体をまだ支援していないとして、赤字削減目標の達成に向け一段の措置が必要とした。
一方、日銀の量的緩和が続く限り、国債市場にリスクはないと指摘、日銀の量的緩和策はコストより利点のほうが大きいとした。
現在のS&PとMoody'sの各国の格付けは以下の通り。青字 は2013年に変更 があったもの
赤字 は2014年
付記 2014/12/5 S&P イタリアを格下げ
S&P
Moody's
-
ユーロ圏
ユーロ圏外
-
ユーロ圏
ユーロ圏外
AAA
ドイツ
(オランダ ↓11/29 )
フィンランド
ルクセンブルグ
(EU ↓12/20 )
英国
カナダ
Aaa
EU
ドイツ
オーストリア
オランダ
フィンランド
ルクセンブルグ
米国
カナダ
(英国↓2/22)
AA+
EFSF(欧州金融安定基金)
EU
(フランス ↓
11/8)
オーストリア
オランダ
米国
Aa1
EFSF(欧州金融安定基金)
ESM (欧州安定メカニズム)
フランス
英国
AA
ベルギー
フランス
Aa2
-
AA-
エストニア
日本
中国
Aa3
ベルギー
(日本 ↓ 12/1)
中国
韓国
A +
韓国
A1
エストニア
日本
A
スロバキア
スロベニア
A2
スロバキア
A-
マルタ
A3
マルタ
BBB+
(イタリア ↓7/9)
アイルランド
Baa1
BBB
(イタリア↓12/5)
Baa2
イタリア
(スロベニア ↓4/30)
BBB-
スペイン
イタリア
Baa3
スペイン
2014/12/3 米国シャープ、手続きミスで損害賠償求償益が大幅減に
米国でのブラウン管価格カルテルにからむ民事の損害賠償裁判で、Class
Actionに(自社の意思でかどうかは不明だが)原告として加わっていたシャープは和解結果に不満を持ち、集団和解から離脱して個別に訴訟をしようとしていたが、連邦地裁は8月20日に離脱を認めない判決を下した。シャープは判断の見直しを求め控訴したが、このたび控訴審はこれを棄却した。
この結果、シャープは集団和解に拘束されることとなり、損害賠償の求償益が大幅に減ることとなる。
ーーー
米国の集団訴訟の一部のClass Action
は、ある商品の被害者など共通の法的利害関係を有する地位(Class)に属する者の一部が、Class
の他の構成員の事前の同意を得ることなく、そのClass全体を代表して訴えを起こすことを許す訴訟形態である。
原告は、Class全員の請求権の合計額を訴求でき、判決などの効力は、訴訟行為をしなかった者も含めて同じ Classに属する者全体に及ぶ。
なお、米最高裁は2011年と2013年の判決で、集団訴訟に厳しい制限を加えている。
2014/10/4 Dow
Chemical、ポリウレタン独禁法違反の集団訴訟で控訴審でも敗訴
しかし、原告がClass Actionに参加の意思がない場合や和解の結果に不満の場合、Class Action
から離脱 (Opt-out) を申し出て、別途、個別に訴訟を行うことが出来る。
その場合、離脱の申し出の期限が決められ、それ以前に申し出ることが求められる。
ーーー
1995年から2007年にかけて、日立、 パナソニック、東芝、Philips、LG、三星など 多数のメーカーがブラウン管の国際カルテルを実施したとして、損害を受けた購入者や企業が集まり、多くのClass
action 訴訟が行われた。2008年初めに1件にまとめられた。
このうち、被告の日立とSamsungとの和解が問題となった。
日立は2013年12月に13.4百万ドル、Samsungは2014年3月に33百万ドルでの和解を決めたが、2014年4月に裁判所が仮承認を行った。
このほか、パナソニックは2012年7月に17.5百万ドル、東芝は2013年3月に13.5百万ドルで和解している。
これを受け、Class Action
の管理者は原告各社に対し、離脱者は6月12日期限で離脱を申し出るよう通知した。
合わせて、Wall Street Journalにその旨の公告を出すとともに、ホームページのQ&Aなどに記載した。
しかし、シャープとDell
は期限までに申し出を行わなかった。6月26日に管理者が確認して初めて、両社は申し出を行った。
6月26日に被告側に提出した資料には、両社は離脱会社として記載されたが、日立は期限までに申し出がないとして拒否した。
このため、両社は離脱の確認を求め、裁判に訴えた。
シャープによれば、日立とSamsung
のカルテルによる同社の被害は約36.6百万ドルで、3倍賠償では109.8百万ドルにもなる。(裁判の結果次第であり、これが確定ではない)
しかし、和解では同社の取り分は1.3百万ドルしかない。
シャープもDell
も、先ず、既に個別の訴訟の準備を進めており、離脱が前提であることは明確であるとし、更に申し出の遅延はルール上で認められるものであると主張した。
しかし、8月20日の判決 では、前者については、訴訟の準備をしているかどうかは無関係で、遅延に正当な理由があるかどうかだけであるという被告側の日立の主張を認めた。
申し出の遅延については、裁判所はシャープの主張は却下し、Dell
の主張は認めた。この結果、Dellの離脱は認められた。
シャープについては、期限の通知が「うっかりして (inadvertently)
外部弁護士に送られなかった」とするだけで、期限になぜ遅れたかについて何の説明もしていないと述べ、“Inadvertence” (うっかり)と
“Miscommunication”(送り誤り)は 判例では十分な理由にはならないとした。
これに対し、裁判所はDell の説明を了解した。
・Class Action の管理者のホームページで、期限が正しく更新されていなかった。
・Dell への通知に期限が記載されていなかった。
・期限に関する reasonable mistake で期限に遅れたというもの
また、Dell の賠償対象となる購入額は膨大で、Class Action
の管理者がこれを計算に入れていなかったのが管理者の証言で明らかとなった。
今回の控訴審での棄却で、シャープの離脱は認められないこととなる。
重要書類の扱いを誤ったことで、大きな影響が出る。
また、裁判での説明の仕方で大きな差が出た。
ーーー
ブラウン管カルテルは、 2007年11月に日本、米国、EUが同時期に調査を開始した。
日本では、 公取委が2009年10月に 外国事業者を含むテレビ用ブラウン管の製造販売業者らに排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。
2009/10/9 公取委、外国事業者に排除措置命令と課徴金納付命令
EUは2012年12月、テレビやコンピューターモニター用のブラウン管 (CRT )について、1996年から2006年までの10年にわたり価格カルテルを結んだとして、 パナソニックや東芝を含む6社に対し、過去最高となる総額14億7000万ユーロの制裁金を科した。
2012/12/6 EU、ブラウン管カルテルに制裁金
米国では、Samsung SDI
が2011年3月にカラーブラウン管での価格カルテルを結んだことを認め、32百万ドルの罰金支払いに同意した。
合わせて同社の6人が起訴された。
2014/12/4 ロシア、South Stream
計画を取り止め
ロシアは12月1日、ウクライナを迂回してロシアから欧州南部に天然ガスを輸送するパイプライン South Stream の敷設計画を撤回した。
アンカラで開かれた記者会見でプーチン大統領は、「ブルガリアから未だに許可を得られていないため、ロシアはこの計画の実現を続けられない。つまり、今重要なのは、このパイプライン網の黒海への建設に着手することだ。しかし
大金を投じて建設しても、ブルガリアから許可を得られないと役に立たなくなる」と述べた。
「EUの立場は非建設的であり、そのためロシアは他の地域にエネルギー輸送先を切り替え、またはLNGに軸足を置き替える」とも語った。
ハンガリー、オーストリア、セルビア、ブルガリアなどは、ウクライナ経由の天然ガスが何度も絶たれたことから、ウクライナを迂回するSouth
Stream に期待していた。
また、 計画中止は、ガスの通過料収入などを見込んでいたブルガリアやセルビアなど関係諸国にとって痛手となる。
プーチン大統領はブルガリアに対し、EUから逸失利益の補償を求めるよう提案した。
「ブルガリアは主権国家として行動する権利を奪われているのかも知れないが、もしそうでも、欧州委員会から逸失利益分の補填を要求することくらいはしたら良かろう。トランジット料金だけでブルガリアは年に4億ユーロを手に入れられるはずだったのだから」
と述べた。
プーチン大統領は、ロシアはSouth
Stream の代わりにトルコを経由する南欧向けのガスハブ開発を進めるとした。
付記
本計画は当初、 GazpromとENIとの均等出資で計画されたが、2011年にBASF子会社のWintershallとフランスの Electricite
de France SAが15%ずつ参加し、ENIの比率は20%となった。
2014年12月29日、WintershallはSouth Stream
Transport の持株15%をGazpromに売却した。
ーーー
ロシアのGazpromとパートナーは2012年12月7日、南ロシアの黒海東岸の
Anapa市でSouth Stream pipeline の着工式を行った。
South Streamは ロシアと中央アジアの天然ガスを欧州に送るもので、 黒海の湖底を通って対岸のブルガリアに渡り
(900km)、その後、2手に分かれる。 北西ルートはブルガリア、セルビア、ハンガリーを通ってスロベニア、オーストリーに通じる。南西ルートはギリシャからイタリアに通じる。
2012/12/13 ロシア、サウスストリームパイプライン計画着工
ロシアとブルガリア、セルビア、ハンガリー、ギリシャ、スロベニア、クロアチア、オーストリアの各国との建設契約は既に締結されている。
これに対し、EUは2013年12月4日、各国が締結した建設契約はEUの法に違反しており、ゼロから再交渉する必要があるとした。
South Stream pipeline
建設契約が反しているとされるEUの規則は、2007年9月に採択された第三次電力・ガス自由化パッケージである。
これはエネルギーに関する消費者の選択、フェアな価格、クリーンエネルギー、供給の保証を目的とするもの。 再生可能エネルギーに投資するなどの小企業でもエネルギー市場に参入できるようにするもので、具体的には、エネルギーの生産と輸送ネットワークの所有を分離する。これにより電線やパイプラインの所有者が、利用を拒否したり、高い価格を要求したりして参入を妨害するのを防ぐことを狙うものである。
South Stream pipelineについては、天然ガスの生産者であるGazpromがパイプラインを所有することになるため、これに違反するという主張である。 Gazpromの天然ガスだけを送るパイプラインは認められないとした。
ウクライナは2013年に欧州連合との政治・貿易協定の仮調印を済ませたが、ロシア寄りの姿勢を見せるヤヌコビッチ前大統領が2013年11月、EUとの関係を強化する「連合協定」の締結を見送り、ロシアとの協力関係を密にする方針に転換した。
(これが現在のウクライナ問題につながる)
EU規則は2007年9月のものだが、2013年12月までは
EUはSouth Stream 計画について何も問題視していない。
この時になって急に問題提起をしたのは、ウクライナ問題があったことは明らかである。
2014/7/11
天然ガスを巡るEUとロシアの攻防
今回のロシアの決定は、EUのこの方針に対
して行われた。
実際には、EUの承認問題に加え、パイプラインの海底部分建設のための140億ユーロの調達がEUの制裁で困難になっていることもある。
ーーー
ロシアとトルコは同日、黒海経由でトルコにつながる新たなガスパイプラインの建設で合意し、Gazprom が
トルコ の Petroleum Pipeline Corporation
(BOTAŞ) との間で覚書を交わした。
ロシア からトルコまでは黒海を通るBlue
Stream Pipeline があるが、新しいパイプラインを建設する。
新しい海底パイプラインは年間能力630億m3で、トルコのロシアからの輸入量の4倍以上である。
South Stream
のためにロシア側で準備した施設を生かし、最終的にギリシャの国境まで延ばし、南欧のガスハブに接続することを計画している。
欧州への新たな供給ルートを示し、利害が対立する欧州各国を揺さぶる狙いもうかがえる。
計画は初期段階で、コストや資金調達問題、完成時期などはこれから検討する。
また、ロイター通信は今回の計画中止の背景には、エネルギー価格の下落と欧州のエネルギー需要減少があるとの専門家の見方を伝えており、新パイプライン計画の先行きは不透明である。
ロシアはトルコに対しては「戦略的パートナーとの協力拡大の措置」として、2015年1月からBlue Stream
Pipelineを使ってトルコ向けガス輸出を30億m3(約20%)拡大して190億m3とし、合わせて
6%の値引きをすることにも同意した。トルコ側は15%の値引きを求めたとされる。
トルコはEUへの参加を要望しているが、そのトルコのロシア寄りの姿勢は対ロ制裁を求める EUと米国からは問題視されている。
ロシアは、トルコのエネルギー多様化計画を支援しており、ロシア国営原子力企業Rosatom はトルコで最初の原子力発電所を建設することになった。
トルコの環境・都市計画省は、地中海沿岸の Akkuyu
原発の環境への影響をまとめた報告を承認、これで2016年の着工、20年までに操業開始という計画が大きく前進した。
Akkuyu原発は 2010年6月にロシアのRosatomが契約、同年12月に「アックユ原子力発電株式会社」が設立された。ロシアの第3世代のVVR-1200を採用する。
トルコ政府は欧州の対ロ制裁を利用し、対ロ輸出を増やしている。トルコ農務相は最近、本年の1ー9月にロシア向けの鶏肉やシーフードの輸出が5倍以上になったと述べた。
果実、野菜、酪農品の対ロ輸出も増えている。
プーチン大統領は「ロシアとの経済協力など、トルコによる独自の決定を高く評価する。われわれのトルコのパートナーは誰かの政治的野望のために自己の利益を犠牲にすることを拒否した」とし、ロシアは西側の制裁でできた空白を埋めるためにトルコからの食料輸出が増えることを歓迎すると付け加えた。
なお、 ロシアのプーチン大統領は、トルコのエルドアン大統領とシリア情勢について協議し、イスラム過激派組織「イスラム国」への対応で協力を確認したが、アサド政権を擁護するロシアと、アサド退陣を求めるトルコとの立場の隔たりは埋まらなかった。
専門家は「 両国は政治的問題で経済的パートナーシップをだめにしようとはしていない。両国は見解の不一致を認め合うことに成功している」と述べた。
2014/12/5 大塚HD、米製薬ベンチャー
Avanir Pharmaceuticals を 買収
大塚ホールディングスは12月2日、米製薬ベンチャーの Avanir
Pharmaceuticals
を35億3900万ドルで買収する契約を締結したと発表した。
12月15日までにTOBを開始、完全子会社化を目指す。
Avanir Pharmaceuticals は1988年の設立で、中枢神経疾患領域に集中しており、情動調節障害(人前で突然泣き出すなど自分の感情がコントロールできなくなる症状)の治療薬
Nuedexta を世界で初めて(また世界で唯一)開発し、2011年に米国で発売した。
2013年7月から2014年6月の1年間で9400万ドルを売り上げた。
また、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、偏頭痛やその他の中枢神経系の分野の開発を行っている。アルツハイマー型認知症に伴う行動障害の適応をターゲットにフェーズ3臨床試験の準備を進めている。アルツハイマー型認知症は世界に3千万人の患者がいるとされる。
買収により Avanir
の
@ 情動調節障害という未開拓な市場の中で創造した治療薬
Nuedexta
A
アルツハイマー型認知症に伴う行動障害の治療を目的とした AVP-786
B 「神経疾患領域」の臨床開発力及び市場開拓力
の新たな価値が大塚製薬に加わる。
大塚製薬が強みとする「精神疾患領域」に「神経疾患領域」が加わり、中枢領域全体に広がる。
精神疾患は心の症状(不安、抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想など)を扱う。
神経疾患は脳神経系の疾患(脳血管障害、パーキンソン病、ニューロパチーなど)を扱う。
大塚製薬は2013年10月に安定同位体等研究用試薬を製造する 米国のCambridge
Isotope
Laboratoriesを100%子会社としており、これのフラグメント創薬技術を加えることで、3つの創造性に満ちた会社の強みが融合してシナジーを生み出すことを期待している。
ーーー
大塚製薬は中枢神経領域における研究開発を1980年代に開始し、世界で初めてのドパミンD2 受容体パーシャル・アゴニストである抗精神病薬ABILIFYを創製している。
ABILIFYは世界60カ国・地域で販売され、世界の全医薬品売上ランキングで7位となった。
特に米国では大うつ病補助療法や双極性障害への処方が拡大し、初の全医薬品売上1位となった。
日本では統合失調症に加え双極性障害躁症状、うつ病・うつ症状の適応が広がった。
このほか、循環器領域では、14カ国・地域で発売しているバソプレシンV2-受容体拮抗剤サムスカ、胃の粘膜保護・改善する胃炎・胃潰瘍治療剤ムコスタなどを持ち、がん領域では、Bristol-Myers
Squibbと日米欧で共同事業を進めている抗悪性腫瘍剤スプリセル、造血幹細胞移植前治療薬ブスルフェクスを持つ。
更に、「健康な人を更に健康にする」をうたい文句にしたニュートラシューティカルズ(nutrition+
pharmaceuticals)事業では、水分・電解質補給飲料ポカリスエット、大豆が地球上の健康問題、環境問題などの解決になるとする「Soylution」製品(ヘルシー大豆スナック
ソイカラ、大豆バー ソイジョイ、大豆炭酸飲料 ソイッシュ)、「肌の健康」をテーマにした健粧品(コスメディクス)を扱っている。
世界で5700億円を売り上げている大塚製薬の精神疾患の治療薬 ABILIFYの特許は今年10月から切れ始めている。
このため、先行きの減収を補う新薬候補の獲得が必要で、同社は中期経営計画で「収益構造の多様化」を掲げている。
2014/12/6 新潟県、タクシー事業者の独占禁止法違反に係る審決に向け、 公取委に要望書提出
新潟市等に所在するタクシー事業者26社が2010年3月に北陸信越運輸局から運賃値上げの認可を受けた。
これに関し、公取委は2011年12月、タクシー事業者が共同して運賃を決定したとして、25社に対し排除措置命令及び総額2億3175万円の課徴金命令を出した。
新自動認可運賃で上限は据置き、下限は引き上げられたが、これについて、中小型については新自動認可運賃の下限、大型・特定大型については上限とすると決めたとしている。
課徴金は最高が3479万円、次が1423万円、他9社が1000万円以上となっている。
これに対し16社が審判請求を行い、2012年4月に審判が開始されたが、10月に審判請求を棄却する旨の審決案が出された。
これを受け、新潟県では 12月2日 、業界の置かれている窮状を踏まえ、課徴金納付により、タクシー事業者の廃業やそれに伴う従業員の失業を始め、労働条件の悪化が懸念され、地域社会全体にも大きな影響を及ぼす恐れがあることから、公正取引委員会に対し、下記の内容の要望書を手交した。
新潟のタクシー事業は供給過剰な状態で、輸送人員、営業収入ともに減少を続け、2008年には2社が廃業、280人が解雇され、2012年にも1社
(従業員 100人) が廃業した。
タクシー乗務員の賃金水準は全産業平均を大きく下回るが、労働時間は平均より長く、事業者・乗務員の置かれている状況は非常に厳しい。
このなかで、2009年にタクシー特措法が施行され、下限を下回る運賃の審査が厳格化された。
タクシー事業者が厳しい環境から、他社との競争を意識する中で、経営判断により下限運賃を選択 したのは、社会的に十分妥当性を持つ。
一方、課徴金は売上額の4%で、3千万円を超える負担となる事業者もある。
事業者の廃業、それに伴う従業員の失業、労働条件の悪化等が強く懸念され、地域社会全体に大きな影響を及ぼす恐れがある。
審決に当たっては十分斟酌して欲しい。
課徴金命令は受けていないが、新潟市に本拠を置くタクシー会社の「しあわせタクシー」が、11月21日付で新潟地方裁判所より破産手続の開始決定を受け倒産した。
1951年に創業の同社は、新潟市内を中心にタクシー運行を手掛けていたものの、景気低迷に伴う競争激化などから業績が悪化し今回の措置に至った。
ーーー
EUの欧州委員会は 2010年6 月、浴室の設備メーカー17社が価格カルテルを結んでいたとして、総額6億2225万ユーロの制裁金を命じた。
このうち5社については、当初想定していた制裁金を科すと倒産する恐れがあると判断し、制裁金を減額する異例の措置を講じた。
17社のうち、10社が欧州委員会に対して制裁金を支払えないと申し出た。
比較的規模の小さい企業が多く、金融危機で住宅投資が減少し、企業収益が悪化している。
欧州委員会では、 各社の最近の決算書や今後の損益予想、諸財務比率(健全性、収益性、支払能力、流動性など)、銀行や 株主関係、 各社の社会的・経済的状況を検討、更に制裁金のために倒産に追い込まれた場合に各社の資産価値が大幅に失われるかどうかを 検討した。
評価は、公平性を確保し、 EUの抑止力を維持するよう、出来るだけ客観的に、数値化して行われた。
この結果、10社のうち、3社に対しては50%の減額、2社に対しては25%の減額とした。減額対象となった企業名は明らかにされていない。
Joaquin Almunia
競争政策担当委員は、違法な行為は摘発していくこと、制裁金は違法行為をやらせないような水準にすることを強調しつつ、「制裁金の目的は経済的苦境にある企業を倒産に追い込むことではない 」と述べた。
2010/6/25 欧州委、倒産の恐れを考慮しカルテル制裁金を減額
タクシー業界の苦境は小泉政権下の2002年に施行された「改正道路運送法」でタクシー 事業への参入が原則自由化 され、タクシー 会社が乱立したことにある。
本件についてカルテルの事実関係は分からないが、こういう状況が背景にあり、これ以上の混乱を生まないための苦肉の策ではなかろうか。
特に今回の場合、一般市民に影響を与える中小型については新自動認可運賃の下限とすると決めたとされる。
この場合、最低の値上げで済むこととなり、一般市民には有利な結果となる。
合意により、「取引分野における競争を実質的に制限していた」としても、「公共の利益に反して」はいない。
料金を下限にすることによる不当利益はなく、課徴金をとることは不当利益を取り戻すという趣旨に反する。
法律上、免除の規定がないから出来ないというなら、上限に設定して「公共の利益に反して」いると思われる大型、特定大型の売上高についてのみ、課徴金を求めるということも可能である。
欧州委員会の言うとおり、 「制裁金の目的は経済的苦境にある企業を倒産に追い込むことではない 」。
2014/12/8 サウジアラビア、米・アジア向け原油値下げ
サウジアラビアは12月4日、米国とアジア向けの2015年1月積みの原油価格を大幅に引き下げると発表した。
アナリストは、「サウジアラビアは市場シェアを失いたくないとの姿勢を明確に示している」と指摘している。
Saudi Aramcoは代表油種 Arabian
lightの米国向け公式販売価格(OSP)を12月から0.70ドル引き下げ、Argus Sour Crude
Indexより1バレル当たり0.90ドル高い水準とする。
アジア顧客向けの価格は1バレル当たり1.90ドル引き下げ、ドバイ原油とオマーン原油の平均価格より2ドル安い水準とする。
一方、欧州向けのOSPは1バレル当たり0.20ドル引き上げたが、ブレント加重平均価格より3.15ドル低い水準である。
OPECは11月27日の総会で原油の減産見送りを決定した。
5カ月連続の原油価格下落を受け、最も打撃を受けているベネズエラ、アンゴラ、ナイジェリアなど8カ国が減産を提案した。
これに対し、サウジなどが異議を唱えたため、全会一致の賛成が必要な減産の提案は退けられ、日量3000万バレルの生産目標を据え置いた。
ベネズエラは経済が悪化の一途をたどり、深刻な外貨不足のなかで対外債務の支払いをまかなうため、輸入削減を余儀なくされている。
「ベネズエラの物資不足はシリアより深刻だ」とされる。
原油価格の下落で、債務不履行の可能性への懸念さえ出てきている。
一方、サウジアラビアなどは財政赤字になる価格水準が相対的に低く、財政的にも余裕がある。
Forbes 誌によると、歳入と歳出が均衡する原油価格は
以下の通り。
サウジ 100$、クウェート 75$、カタール 71$、UAE 80$
ベネズエラ 162$、イラン 134$、ナイジェリア 126$、ロシア 100$
さらに、サウジ側には、過去に減産を決めても、イランやベネズエラが原油収入を確保するため「ヤミ生産」を繰り返してきたことへの不信感も強かった。
また、OPEC減産で原油価格を回復させても、米国のシェールオイルなど非OPECの原油生産が増加すればシェアを奪われるという危機感がある。
2013年の原油生産量シェアはOPECが42.5%、非OPECは57.5%で、うちロシアが12.4%、米国が11.5%となっている。
報道によると、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は、米国のシェールオイルブームに対抗する必要があるとし、減産を見送ることで原油価格を抑制し、米国のシェールオイル生産業者の収益を圧迫すべきと強調したという。
関係者は、「ヌアイミ氏は米国との市場シェア争いに言及した。サウジが市場シェア争いを望んでいるため、減産を主張していた加盟国はサウジの意向に沿うしか選択肢がなかった」と明かした。
OPECの減産見送り決定を受け、値下がりを続けていた原油価格は更に下がり続けている。
今回のアジア向け及び米国向け値下げは、サウジがシェア防衛に出たと受け止められ、WTI原油価格は約5年ぶりの安値となった。
ナフサ価格も同様である。
2014/12/9 日本、中国原産の輸入TDI にダンピングの仮決定
経産省と財務省は12月4日、中国産TDIに係る不当廉売関税の課税に関し、不当廉売
と日本の産業に与える損害等の事実を推定する仮の決定を行ったと発表した。
2013年12月17日に三井化学から要請を受け、本年2月14日より、不当廉売関税の課税の可否に関する調査を実施
、利害関係者からの証拠の提出、意見の表明等の機会を設け、中国メーカー等に対する客観的な証拠の収集等を行った結果、今回の決定を行った。
付記
12月19日、不当廉売関税を賦課する政令が閣議決定した。
中国産TDIに対して、69.4%のアンチダンピング関税を暫定的に課す。
実施期間は2014年12月25日から2015年4月24日までとする。
今後、利害関係者からの証拠の提出、意見の表明の機会を設けるとともに、引き続き調査を行い、最終判断を行う。
実施されれば、2008年の南アフリカなど4か国から輸入された乾電池材料の「二酸化マンガン」以来となる。
ーーー
中国からのTDI輸入は2011年は1,001トンだったが、2012年は13,163トンに急増した。
(2013年は10,546トンだが、2014年1-10月は3,121トンに減っている。)
日本のTDI及びMDI事業は、中国を中心とするアジアでの大規模な新増設による市況悪化のため収益が低迷しており、三井化学のウレタン部門の営業損益は2012年度が
-26億円であったが、2013年度は -52億円と悪化している。
三井化学は2014年2月、ポリウレタン材料事業及びフェノール事業、高純度テレフタル酸(PTA)の再構築を発表、これに伴い、事業構造改善費用として206億円を特別損失に計上した。
汎用ウレタン原料については、国際競争力が劣位の鹿島TDI、大牟田MDIを2016年12月末に停止し、国際競争力を十分有する他のプラントで、最適生産体制による同事業での勝ち残りを図る。
2014/2/10 三井化学の事業構造改善計画
ーーー
皮肉なことに、中国商務部は11月20日、三井化学を含む 日本・米国・韓国減産のTDIに対するダンピング課税を終了すると発表した。
中国は2002年5月に調査を開始し、2003年11月22日にダンピング課税を行った。
5年の課税期間が過ぎ、再調査を行って、2009年11月20日に課税延長を行った。
今回、更に5年が経過し、再々延長の要請がなかったため、課税を終了した。
日本メーカーのダンピング税率は下記の通り。(2006年1月に税率が変更された)
三井化学(当初は三井武田ケミカル)
4%→12.45%
日本ポリウレタン
5 %→60.02%
その他
49%→60.02%
米国メーカーはBASFとBayer、韓国メーカーはOCIケミカル(当初はDCケミカル)、韓国ファインケミカル、韓国BASFがダンピング課税の対象となっていた。
ーーー
現在日本がダンピング課税中の案件は電解二酸化マンガンのみ。
課税期間
2008年9月1日〜2019年3月4日(2014年3月5日から5年延長)
原産地・ダンピング税率
スペイン 14.0%
中国 貴州紅星発展大龍錳業有限責任公司:34.3%、他社 46.5%
南ア 14.5%
他にオーストラリアがあったが、2013年8月に終了した。(延長なし)
過去のダンピング調査は以下の通り。
カットシート紙(インドネシア産)
2012年に調査を開始したが、2013年に調査終了、課税せず。
ポリエステル短繊維の一部(韓国、台湾)
2002年課税、2012年課税終了。
綿糸20番手等(パキスタン)
1995年課税、1999年課税終了。
フェロシリコンマンガン(中国)
1993年課税、1998年課税終了
参考 中国のダンピング課税については http://www.knak.jp/japan/china.htm#ichiran
2014/12/10 BHP Billiton、分離会社の社名は
“South32”
豪英資源大手 BHP Billitonは2015年前半に非中核事業を切り離して新会社を設立するが、同社は12月8日、新会社の名称を“South32”
とすると発表した。
本社を置く豪西部 Perthは南緯32度で、アルミニウムやマンガンなど新会社の資産が集中する南アフリカも同じ緯度にあることが由来。
South 32は2015年5月にBHP Billiton の株主総会での承認を経て発足する。豪
、英、南アで上場する。従業員は2万4000人。 BHP
Billitonは分社化により鉄鉱石や銅、石油、石炭の中核事業に経営資源を集中させ、生産性向上やコスト削減を急ぐ。
付記
新会社 South 32
は2015年5月18日、豪州証券取引所に上場した。時価総額は約109億豪ドル(約1兆500億円)で豪資源会社では4位となる。
ーーー
BHP Billitonは8月19日、アルミ、石炭、マンガン、ニッケル、銀などの事業の分離を発表した。
新会社を設立し、現在の株主に新会社の株式を与える。
現在、世界中で41の事業を行っているが、大規模・長寿命の鉄鉱石、銅、石炭、石油、カリの19の事業に集約する。
これらの事業は2014年のグループのEBIT(利息、税金控除前利益)の96%を占める。
分離後も、 BHP
Billitonは 世界最大の原料炭輸出業者であり、鉄鉱石の三大生産者の1社であり、四大銅精鉱輸出業者の1社であり、外国からの米国のシェールへの最大の投資者であり、 カナダのSaskatchewan州の世界で最も良いカリ資源の開発者であり続けるとしている。
分離後の同社の事業箇所は下記の通り。
分離する事業は以下の通りで、時価総額は約80億ドルに達する。
豪州のCannington
は世界最大の銀の生産者。
マグネシウム事業は、豪州の GEMCO、南アのHotazel 鉱山を持ち、豪州のTEMCO、南アのMetalloys
は世界トップの精錬メーカーである。
アルミ事業では、豪州のWorsleyは世界最大で最も低コストのアルミナメーカーであり、南アの
Hillside、モザンビクのMozal
は競争力ある精錬メーカーである。またブラジルにボーキサイト、アルミナ、アルミのJVを持つ。
豪州のIllawarra Coal
は原料炭を輸出しており、南アのEnergy Coal South
Africaは燃料炭の南ア最大の輸出業者である。
コロンビアのCerro Matosoは高品質のフェロニッケルを生産している。
(Operated
は自社が運営、Non-operatedは他社が運営、%は出資比率)
@
Cerro Matoso:Operated
(99.9%)
コロンビア北部の露天掘りニッケル鉱山とフェロニッケル精錬所
A
Brazilian
Aluminium:Non-operated (36–40%)
Porto Trembetasのボーキサイト鉱山とSao
Luisのアルミナ〜アルミ精錬のJV
B
GEMCO:Operated (60%)
北豪州の世界で最低のコストの一つのマグネシウム鉱山
C
Cannington:Operated (100%)
D
Illawarra
Coal:Operated (100%)
E
TEMCO:Operated (60%)
タスマニア島の高カーボンフェロマンガン、シリコンマンガン、焼結物のメーカー
F
Worsley:Operated (86%)
G
Hotazel
Manganese Mines:Operated (44.4%)
マンガンの高品質グレード鉱石(露天掘り及び地下)
H
Metalloys:Operated (60%)
マンガンアロイとフェロマンガンアロイのメーカー
I
Mozal:Operated (47.1%)
J
Hillside:Operated (100%)
なお、これとは別に、BHP Billitonは5月14日に西豪州のNickel West
事業の売却を検討すると発表した。
しかし、希望の条件では売れず、当面非コア事業として維持する。
付記 分離後のBHP Billiton 本体の主な事業は下記の通り。
@
Jansen カリ計画
Operated (100%)
Onshore US
Operated (<1–100%)
– 4つのシェールオイル (Eagle Ford,
Permian, Haynesville and Fayetteville)
B
Gulf of
Mexico Operated and non-operated (24–44%)
– 海上油田(Shenzi、Atlantis、Mad Dog ほか)
@
Cerrejón Non-operated (33.3%)
– 露天掘り燃料炭、港湾とそこまでの鉄道
A
Angostura Operated (45%)
– 海上の石油・ガス開発
B
Antamina Non-operated (33.8%)
– 露天掘り銅・亜鉛鉱山JV
C
Pampa Norte Operated (100%)
– 銅鉱山(Cerro Colorado、Spence
鉱山ほか)
D
Escondida Operated (57.5%)
– 世界最大の銅鉱山.
E
Samarco Non-operated (50%)
– ValeとのJVの鉄鉱山、396kmのパイプライン、2箇所の 選鉱場
@
Queensland Coal Operated (50–80%)
– Bowen
Basinの原料炭の三菱とのJV、三井とのJV
A
New South Wales Energy
Coal Operated (100%)
– 露天掘り燃料炭
B
Bass Strait Non-operated (50%)
– 海上油田、精製
C
North West Shelf Non-operated
(8.3–16.7%)
– 海上油田、精製
D
Pyrenees (62%) and Macedon
(71.4%), Operated
– 海上油田、精製
E
Western Australia Iron Ore
Operated (85%)
– Pilbara地区の鉄鉱山、鉄道、港湾
2014/12/11 BP、メキシコ湾岸原油流出事故の補償費増大
2010年のBPのメキシコ湾岸原油流出事故に関し、BPが補償に関する米国の地裁と高裁の判断の見直しを求めて最高裁に上告していたが、最高裁は12月8日、理由を述べずに上告を却下した。
BPの補償額が際限なく増える恐れがある。
ーーー
BPは2012年3月、New
Orleansでの個人や企業を原告とする訴訟の併合審理手続き(Multi-District
Litigation)で、原告側の運営委員会との間で和解に達したと発表した。
提案された和解条件は承認のため裁判所に提出され、4月18日、和解が最終決定した。
基金からの賠償額に不満を持つ個人や企業が訴訟を起こしたもので、漁業関係者、清掃業者、ホテル、不動産会社など10万以上に及ぶ。弁護士は340人。
和解は2つの部分に分かれる。
一つは経済的損失で、これには メキシコ湾の海産物業界への経済的損害(補償額 23億ドル)やメキシコ湾岸の観光促進のための宣伝費支援などが含まれる。
もう一つは医療費で、現実の健康被害の補償や、21年間の健康相談、今後の健康被害への対応など。更に地域の(原告以外の人も含めた)ヘルスケアの幅、質の向上のための資金(105百万ドル)が含まれる。
BPの推定では和解で払われる総額は約78億ドルで、全額が被害補償のための200億ドルの基金(Gulf
Coast Claims Facility) から払われる。
2012/3/5 BP、メキシコ湾岸原油流出事故で漁業関係者などと和解
具体的には裁判所が任命した管理人が個別の補償額を決めるが、BPはこの管理人が和解協定を誤って解釈し、補償を決めているとの不満を持った。
問題は「経済的損失」についてで、被害が立証されていないのに補償がなされているというもの。
例えば、ミシシッピーのホテルの場合、無関係の火災事故で数ヶ月営業を停止しているのに450千ドル以上が支払われた。
ルイジアナの養老院の場合は原油漏洩事故の前に閉鎖されたのに、662千ドルが支払われたという。
他にも、 原油流出が起きる前の時点ですでに車両の数を減らしていたトラックリース会社や、フロリダ州から支払いを受ける時期をずらした非営利のカウンセリングサービスなどもある。
BP側の訴えに対し、地裁も高裁も、BPが結んだ和解協定では事業者は直接的に原油漏洩事故で被害を受けたと立証する必要はなく、漏洩事故の後の3〜8ヶ月に漏洩前の期間と比較して収入が減少していることを示すだけでよいとの判断を示した。
英政府と米商工会議所などの経済団体は米最高裁に審理を始めるよう求めていた。
英政府は、BPが支払う補償金の件で「深刻な」懸念が生じており、下級裁判所の判決により「国際通商に不可欠な信頼」が損なわれるリスクがあると指摘した。
今回最高裁は、理由を述べずにこれを却下した。
BPは当初、この和解で78億ドルの支払いを見込んだが、今回の上告却下で、補償額は97億ドルを超えてどんどん膨らむと懸念している。
BPでは「 原油流出事故の被害を受けていない原告にも補償金を支払うことになると憂慮しており、それにより、こうした原告の弁護士たちが不当な利益を得ている」と述べ、「 補償の対象とはならない不正請求に応じる考えはなく、疑わしい請求に対する調査はこれからも続ける」としている。
ニューオーリンズの裁判所がBPに一つの方法を示した。
原油流出事故で被災しなかった原告を個別に偽証罪で訴えることである。補償金額の請求書類は原告を「原油流出事故による経済的損失を受けた者」としており、事故による損失を受けていなければ偽証したこととなる。
ーーー
もう一つ、大きな問題がある。
米政府による 水質浄化法( Clean
Water Act) に基く民事訴訟 の裁判で、New
Orleansの District Court
のCarl Barbier 裁判官は9月4日、BPに「重大な過失」(gross negligence )と「故意の不法行為」(willful
misconduct)があり、これが大量流出の原因となったとし、BPは水質浄化法によるバレル当たり4,300ドルの罰金に値するとの判決を言い渡した。
水質浄化法 では原油の流出量
1バレルに対して、1,100ドルの罰金が決められている。
但し、重大な過失による場合は、罰金は4,300ドルとなる。
流出量については双方に大きな差があり、具体的な罰金額については、2015年1月以降に審理する見通し。
BPは35億ドルと見込み、引き当てをしているが、最悪180億ドルにもなるとされる。
2014/9/8
2010年の原油流出事故、「BPに重大な過失」と認定
BPは10月に裁判所に対し判断を見直すか、新たに審理をするかを求めたが、裁判官は11月13日、これを拒否した。
BPは上告するとしている。
2014/12/12 米国Merck、Cubist Pharmaceuticals
を買収
米製薬大手Merckは12月8日、抗生物質を手掛ける米 Cubist
Pharmaceuticals, Inc. を買収する契約を締結したと発表した。
買収額は84億ドル(最近の株価に35%のプレミアムを付した額)だが、11億ドルの債務があるため、実質的に95億ドルでの買収となる。
Merckは病院向けの救急医療を4つの主力事業の1つと位置づけて抗生物質の品ぞろえ強化を進めており、Cubist
の買収で2015年の売上高を10億ドル以上押し上げるとしている。
残りの3つは、糖尿病、ワクチン、癌治療薬。
しかし、その翌日の12月9日、米地裁がCubist の主力医薬品の特許無効の判決を下した。
これに対しMerckは買収の方針に変更はないとしている。
ーーー
Cubistは複数の薬に耐性を持つ細菌に効く新タイプの抗生物質の開発に力を入れている。
主力製品は2003年発売の
CUBICIN®で、 黄色ブドウ球菌性菌血症( S.
aureus bacteremia)や複雑性皮膚・軟部組織感染症(cSSSI) の治療薬として唯一認められており、これまで200万人以上の患者に使われている。がん患者の発熱を伴う好中球減少症(白血球の一種である好中球の数が異常に減少)の治療薬としても研究されている。
CUBICINはCubist の売上高の80%を占める。
開発中の複雑性尿路感染症の治療薬
ZERBAXA™ は、FDAの優先審査に指定され、今月中にも承認が見込まれており、Merckでは大いに期待している。
Cubistは 薬物耐性菌の治療薬として4つの新薬を2020年までに投入する方針。
耐性菌の脅威が高まっているため公衆衛生当局は企業に新しい抗生物質への投資を促している。
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2014/12/12 中国企業がエボラ薬模造か
富士フイルムグループは12月10日、同社子会社の富山化学がエボラ出血熱の治療薬として開発し、世界的に注目されている「アビガン(一般名ファビピラビル) 」について、中国医薬品大手「四環医薬」が模造薬を製造している可能性があると明らかにした。
在日中国大使館に調査を求めるなど事実の究明を進めており、特許侵害が確認されれば提訴も視野に入れる。
本年9月にスイスで開かれたWHOの専門家会合で、中国の出席者から四環の薬がエボラ熱薬の候補として提案された。
WHOの担当者が「アビガンと成分が同じだ」と指摘し、富士は事態を把握したという。
富士フイルムは2004年から2013年にかけて、中国でアビガンの関連特許を取得している。
中国の医薬品大手「四環医薬」(Sihuan
Pharmaceutical Holdings
Group)は中国で3番目に大きい処方箋薬メーカーと自称しているが、元々は中国軍の研究機関であった。2001年にスピンオフし、現在の形となった。 Morgan
Stanleyが出資している。
心血管薬や脳循環改善薬に注力しており、2010年には心臓・脳血管疾患治療薬を製造するDupromise
Holdings を買収している。
同社は、中国人民解放軍の最高医学研究機関であるAcademy of
Military Medical Sciences (AMMS=軍事医学科学院)とタイアップ契約を締結し、AMMSが開発し緊急軍事用のみに承認を得ているエボラ治療薬
JK-05 の中国での承認取得、販売で協力することとした。
JK-05はAMMSが5年間、研究、開発してきたもので、富士のfavipiravirと似ていると言われていた。
四環医薬は10月にJK-05をアフリカに送った。エボラ対策支援に従事する中国人を対象にテストする。
アフリカには数百万人の中国人が住んでおり、エボラの蔓延するシエラレオネ、ギニア、リベリアなどに約1万人が住んでいる。
朝日新聞によると、同社は「薬はまだ実験室での研究段階のため、いかなる権利の侵害も発生していない」としている。
2014/12/13 中国と欧州を結ぶ国際貨物列車
の第三路線が開通
中国と欧州を結ぶ国際貨物列車「義新欧鉄道("Yixinou Railway")」の第1号列車が12月9日、スペイン
のマドリードに到着した。
義新欧の義は出発点の義烏、新は経由する新疆ウイグル、欧は欧州。
中国製の輸出商品の入った標準コンテナ82個を積み込んだ第1号列車は、11月18日に浙江省・義烏市を出発し、新疆ウイグル自治区阿拉山口の国境で中国を出国し、カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツ、フランスを通過して、21日後にマドリードに到着した。総延長は1万3千キロメートルに達し、中国と欧州を結ぶ鉄道では最長
である。
海上輸送よりは10日以上速い。
浙江省によると、「義新欧鉄道の運行は中国がシルクロード経済ベルトと21世紀海のシルクロード構想 という重大戦略を実施し、中欧の協力・交流を強化する上での重要な内容の一つだ。この鉄道が開通することで、双方の商品・貨物の輸出入コストが低下し、輸送効率が高まるだけでなく、浙江省や中国の商品がよりスムースに世界に進出するよう効果的に促進し、また世界の商品をよりスムースに浙江省に集めることができるようになる」としている。
ドイツの貨物輸送業者DB Shenker Rail の子会社のEuro Cargo
Rail では来年からの月2往復のサービスを検討している。
中国と欧州の間の貨車輸送は技術的な問題や、国毎に異なる事務手続きが障害になっている。
今回のスペインまでの輸送では、国によって鉄道のゲージ幅が異なるため、貨物は3箇所で別の車両に積み替える必要がある。
しかし、船輸送の場合は30日以上かかるため、貨車輸送は速く、安く輸送できる。
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もう一つは重慶と
ドイツ西部の工業都市 Duisburg を結ぶ貨物鉄道「渝新欧鉄道(Yuxinou Railway)」である。
重慶から北上して西安から今回の義新欧鉄道と同じルートで Duisburgに到るもので、11,179km。
‘Modern Silk Road’ と呼ばれるこのルートは2012年8月に開通した。
渝新欧の渝は重慶の略称(重慶市内にある嘉陵江の古称、渝水から取られた)、新は経由する新疆ウイグル、欧は欧州。
2014/12/13 韓国石油公社と豪Woodside、日本海で
大規模天然ガス田発見?
韓国石油公社(KNOC)とオーストラリアの石油探査企業 Woodside
Petroleumは12月10日、日本海のBlock 8、Block 6-1-N
鉱区の深海で精密探査を行った結果、韓国の年間天然ガス消費量の1.3倍に相当するガスが埋蔵されているとみられることが判明したと発表した。
3次元(3D)精密探査の結果、生産可能なガスの埋蔵量は3200万−3600万トンと推定された。具体的な埋蔵量は来年実施する試掘で確認する。
Block 8、Block 6-1-N
は浦項市の沖合いにある。その南部にあるBlock 6-1-Cでは1988年にKNOCが東海1号ガス田(DH-1) を発見し、2001年に開発許可を受け、2004年から生産を開始した。更に2005年に近くに東海2号ガス田(DH-2) を発見、開発の準備をしている。
Woodsideは2004年の東海1号の生産開始後、大陸棚に石油やガスが埋蔵されている可能性が高いことに着目し、KNOCの探査資料を約1年間かけて再分析し、ガス田の可能性を予測した。
2007年2月、KNOCとWoodsideは50/50での共同開発契約を締結した。
付記
大宇インターナショナルは2015年1月22日、日本海のガス田で天然ガス層を発見し、ガスの噴出試験に成功したと発表した。
2014年12月から東海大陸棚6−1南部鉱区のDガス田地域で地下3283メートルまで試掘井の掘削を実施し、厚さ約90メートルのガス層の存在を確認した。
同社は2011年、同鉱区の権益70%を取得し、韓国の民間企業としては初めて、国内でのガス探査権を取得した。残る権益30%は韓国石油公社が保有している。
韓国では黄海側と日本海側、及び日韓共同開発地域(JDZ) で石油とガスの探査が進められている。
KNOC, Woodside Plan to Drill East Sea Oil
Blocks in 2011
by Shin Jung-Won
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Dow Jones Newswires
|
Thursday, August 13, 2009
Sea of Japan (East Sea)
SEOUL (Dow Jones Newswires), Aug. 13, 2009
South Korea's state-run oil developer Korea National
Oil Corp. and Australia's Woodside Petroleum plan to conduct
exploratory drilling in Block 8 and the northern part of
Block 6-1 in the East Sea in early 2011, according to the
Ministry of Knowledge Economy Thursday.
The two companies did preliminary exploration of the
two blocks, covering 12,560 square kilometers, until June
this year after having obtained the exploration right in
February 2007, the ministry said in a statement.
After a detailed analysis, they have determined the
possibility of discovering oil and gas is quite high and
decided to proceed with the second phase of the project,
which runs from August this year to August 2011. The third
phase runs until February 2013, it said.
It's the first time a foreign company has joined an
oil and gas block exploration project in the East Sea since
the early 1990s, after Kirkland Resources of the U.K. pulled
out in 1994 after failing to discover oil and gas.
Copyright (c) 2009 Dow Jones & Company, Inc.
- See more at: http://www.rigzone.com/news/oil_gas/a/79278/KNOC_Woodside_Plan_to_Drill_East_Sea_Oil_Blocks_in_2011#sthash.iMVLP88S.dpuf
Block
Area (km2 )
Working Interest
Operator
1
21,584
KNOC
100%
KNOC
2
29,311
KNOC
100%
KNOC
6-1C
2,710
KNOC
100%
KNOC
6-1S
2,530
KNOC/DAEWOO
30%/70%
DAEWOO
6-1N
3,665
KNOC/Woodside
50%/50%
KNOC/Woodside
6-1E
1,300
KNOC
100%
KNOC
6-2
8,719
KNOC
100%
KNOC
8
6,257
KNOC/Woodside
50%/50%
KNOC/Woodside
7(JDZ-1)
12,711
KNOC
100%
KNOC
他のBlockは現在のところ、オープン。
次へ
最新分は
2006-5-1
http://blog.knak.jp