ブログ 化学業界の話題 knakのデータベースから 目次
これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。
最新分は
英財務省は3月12日、中国が設立を主導する国際金融機関アジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank:AIIB)に参加する方針を発表した。G7からの参加は英国が初めて。
AIIBは中国が年内設立を目指しており、中国政府は3月6日、27か国が参加する見通しを明らかにしていた。楼継偉財政相は、「AIIBは中国が提唱した区域的で開放的かつ多国的な開発機構である。区域内で優先的に創始メンバーを募集するが、開放的でもあり、区域外の国家の加入も歓迎する」と述べた。
3月31日までに参加する国は創始国になるとしており、英国は創始国メンバーになる。
アメリカや日本は、世界銀行やアジア開発銀行など、既存の国際金融体制を揺るがしかねないとして、中国の動きに距離を置いている。
ホワイトハウスは、「英国独自の判断」としながらも、「いかなる国際金融機関も世銀の高い融資基準を備えるべきであり、AIIBがそれに合致するか懸念している」との声明を出し、米政府は引き続き距離を置く姿勢を示した。
麻生太郎財務相も、「誰がどうやって審査するのか分からず、いろんな問題がいっぱいある」と述べ、審査基準の不透明さや融資が焦げ付いた場合のリスクなどへの懸念を示した。
これに対し、訪日中の世界銀行のKim総裁は、「政治的な議論があることは認識しているが、新たな銀行の参入を歓迎する」と述べ、設立を評価する考えを示した。
そのうえで、「新興国や低所得国には、電力を使えない人や必要な衛生サービスを受けることができない人が多くいる」と述べ、新興国などでのインフラ需要は膨大で、開発支援を行う組織が増えることは望ましいという認識を示した。
訪日中のフランスの外相は3月14日、「どういう形で参加できるか検討中」と話し、加盟を検討していることを明らかにした。
「アジアのインフラ整備に金融機関が動くことには反対しない。現存のアジア開発銀行に影響はない」としつつ、「ただし、その仕組みは国際ルールにのっとったものでなくてはならない」と指摘した。
豪州の財務相も、参加するかどうかを検討すると明らかにした。但し、豪州政府内では、財務相らと、米国に配慮し参加に慎重なアボット首相らの間で意見が割れているとされる。
付記
ドイツのショイブレ財務相は3月17日、ドイツとフランス、イタリアの3カ国がAIIBに創設メンバーとして参加する意向であることを明らかにした。
ショイブレ財務相は中国の馬凱・副首相との共同声明で、「われわれは長らく国際金融機関に関わってきた経験を生かし、新たな銀行が国際的に高く評価されるよう、優れた基準を打ち立て設立に貢献することを望む」と述べた。
その後、下記の参加が続く。
3月19日 ルクセンブルグ、3月20日 スイス。合計33カ国となる。
内訳は、アジアが中国とASEAN全10カ国+7カ国 の合計18カ国、中央アジアが3カ国、中東が5カ国、欧州が6カ国及びニュージーランド。
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中国を中心としたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設準備の了解覚書は2014年10月24日に調印された。
アジア各国のインフラ整備を支援するAIIB設立構想は2013年10月、習主席が東南アジアを歴訪した際に表明した。日本主導のアジア開発銀行(ADB)に対抗するためとみられた。
当初は、ASEAN 10カ国のほか、韓国などの計16カ国が参加するとされた。中国との国境紛争を抱えるインドなどは交渉に加わっていなかった。
最終的に了解覚書に署名したのは、中国、ASEAN 10カ国と、インド、バングラデシュ、モンゴル、パキスタン、スリランカ、ネパール 、カザフスタン、ウズベキスタンと、アラブ圏のクウェート、オマーン、カタールの計22カ国となった。韓国は現時点では入らず、逆にインドが参加を決めた。
中国は韓国に対し、参加を要請、韓国政府は2015年前半には参加するかどうかについて決定する 。
米国はアジアインフラ投資銀行は国際金融秩序に適合しないと批判、参加を検討する韓国に慎重に検討するよう呼び掛けているとされる。
当初中国の出資比率50%に不満を表したインドは、加盟国間の対話で支配構造を調整することができるという中国の意思を確認し、参加を決めた。
豪財務相は、「AIIB参加を前向きに検討中で、創設準備の了解覚書に署名するだろう」としていたが、署名していない。
その後、2014年中にモルディブが参加、2015年に入り、ヨルダン、サウジアラビア、タジキスタン、更にニュージーランドが参加、合計27カ国となっている。
法定資本金は1000億ドルだが、 当初の資本金は500億ドル規模で、ADB (1650億ドル)の1/3となる。
2014/11/13 中国のシルクロード経済圏構想
現在参加を決めている27カ国は下記の通り。英国の参加で28カ国となる。
内訳は、アジアが中国とASEAN全10カ国+7カ国、中央アジアが3カ国、中東が5カ国に、ニュージーランドと英国。
これに、フランス、韓国、豪州が加わるとすると、日本も参加を考えた方がよいのではなかろうか。
それによると、生産、消費、投資、消費の伸び率が軒並み鈍化している。
鉱工業生産は前年同期比 6.8%増で、リーマンショックの影響で生産が落ち込んだ2009年1〜2月以来、6年ぶりの低水準だった。
消費の強さを示す小売り売上高も10.7%増で、9年ぶりの低い伸びとなった。
固定資産投資は前年同期比で13.9%の増にとどまった。(毎月は年初からの累計)
民間投資、不動産開発投資も伸びが鈍化している。
既に発表された統計でも同じである。
2月の生産者物価指数(PPI) は 国内の需要の弱まりを反映し、前年比マイナス4.8%で、5年4カ月ぶりの下落幅となった。
消費者物価指数(CPI) の上昇率も2月は1.4%にとどまった。
政府はCPIの目標を昨年は3.5%としていたが、2015年については「3%前後」に引き下げた。
政府は経済成長目標を、過去3年の7.5%から今年は7%に引き下げた。
政府は「量」から「質」への「新常態」(ニューノーマル)への移行を目指すが、これ以上の停滞は避けたい。
中国人民銀行は2月5日から預金準備率を引き下げ、3月1日からは基準金利を引き下げた。
(人民銀行総裁は3月12日、2014年11月に基準金利の1.2倍に引き上げ、今回さらに1.3倍に引き上げた預金金利上限を「年内になくす可能性が非常に高い」と述べた。)
市場では更なる金融緩和を求める声が出ている。
また、中国人民銀行は本年初めから、毎日発表する人民元の基準値を元安方向に設定しているが、変動幅2%の下限に張り付いている。
最近になって、米国企業に「ドル高」の悪影響が出始めており、また中国叩きが起こる可能性がある。
付記
中国人民銀行(中央銀行)が3月17日以降、断続的に人民元買い・ドル売り介入、基準値も引き上げ
過度な元安が中国からの資本流出につながることを懸念したとされる。
カナダの製薬大手
借入金込みで145億ドルとなる。
2015/2/28 Valeant Pharmaceuticals、 米同業Salix Pharmaceuticals を買収
Salix の1株について、Endoの株式 1.4607株(時価 130ドル)と現金45ドルを払うというもの。
買収が成功すれば、Salix株主は新統合会社の株の約40%を保有することとなる。
Endo が買収する場合は、Valeant は狙った2社 Allergan とSalix をともに獲得できないこととなる。
付記
Valeant Pharmaceuticals は3月16日、新しい条件での買収で Salix Pharmaceuticals と合意した。 →173ドル、総額101億ドル→111億ドル
1株当たり158ドルの現金で全株を買い取る 。(負債込みで158億ドル) Endo International は買収提案を取り下げた。
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2014/10/22 米製薬会社 Allergan を巡る買収合戦
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Endo International plc はアイルランドの製薬会社で、DuPont とMerckのJVであった DuPont Merckから分離した。下記の歴史を持つ。
DuPontが1969年にEndo Laboratories を買収して血液溶剤Coumadin(R) を上市
1991年にMerck との50/50JVのDuPont Merck Pharmaceutical を設立
1997年に3人の役員がEndo Laboratories のジェネリック製品を買収してEndo Pharmaceuticals Inc. を設立(Management Buyout)
DuPont は翌1998年にDuPont Merck Pharmaceutical のMerck持分を買収し、DuPont Pharmaceuticals と改称
2001年、DuPontは世界の事業の構造改革を実施した。
2001年4月 ポリエステルおよびナイロン工場の閉鎖を発表、3カ月後にはポリエステル事業の一部を売却。
2001年6月、DuPont Pharmaceuticals をBristol-Myers Squibbに売却 。
Endoは1999年にAlgos Pharmaceutical Corporation を買収・統合し、上場した。
2014年2月にカナダのスペシャルティ医薬会社 Paladin Labs を買収・統合し、Endo International plc と改称、主に米国で事業展開するが、本社をアイルランドに置いた。
同社は2014年10月、米国のAuxilium Pharmaceuticals Inc
の買収で合意した。
現金と株式の組み合わせで約26億ドルを支払う。(前月に22億ドルでの買収を持ちかけたが、拒否されていた。)
Auxilium Pharmaceuticals Inc は法人税の低い国に本社を移転して節税する「inversion」を目指し、カナダの眼科薬メーカー QLT Inc と合併する計画であった。
しかし、Endoの提案を受け入れ、QLTには2840万ドルの違約金を支払った。EndoとAuxilium は事業統合で、年間約1億7500万ドルのコスト削減効果を見込む。
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Salixの買収を争うEndo とValeantのCEO
は師弟関係にあった。
EndoのCEOのRajiv de
Silva と Valeant CEO
のMichael Pearson は以前はともにMcKinsey & Co.のコンサルタントで、Valeantでは de SilvaはPearson
CEO の直属の部下であった。
de Silvaは2013年にEndo の経営のため、Valeant を離れた。
Endoでは Valeant のやり方を真似し、好ましくない事業を売却し、買収に当たってはリスクのある初期段階の医薬品に投資するのではなく、皮膚薬のように実績のある儲かる事業を買収している。しかしValeant とは異なり、開発後期の医薬品にも投資を行っている。
日本化学会は3月13日、第6回化学遺産として工業用アルコールの発祥、塗料工業の発祥、ナイロン工業の発祥など5件を認定したと発表した。
3月27日、日本大学理学部船橋キャンパスで開催する「第9回化学遺産市民公開講座」で紹介する。
今回認定したのは、次の5件。
(1)「早稲田大学蔵 宇田川榕菴化学関係資料」
宇田川榕菴が遺した化学研究の足跡を示す資料群が早大図書館に所蔵されていた。
宇田川榕菴(1798-1846)は『舎密開宗』(1838〜1846)を著わし、それまでこの国に知られていなかった化学という学問をはじめて体系的に紹介した。
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認定化学遺産第1号は、杏雨書屋蔵 宇田川榕菴化学関係資料である。
杏雨書屋は5代武田長兵衞氏が、関東大震災により東京で貴重な典籍が灰燼に帰したことを大いに痛嘆し、私財をもって購入した日本・中国の本草医書の文庫。
1977年武田科学振興財団当財団が継承し、本草医書を中心とする図書資料館として開館した。
榕菴がその『舎密開宗』を著わすに当って渉猟した多くの蘭書の覚書やその稿本類など、多くの貴重な資料が一括して杏雨書屋に所蔵されている。
認定化学遺産第1号は、刊行手沢本、自書稿本類、肖像画、宇田川家伝来の蘭引等、延べ50点に及ぶ。
(2)「工業用高圧油脂分解器(オートクレーブ)」
油脂化学工業の近代化は油脂の分解による高純度脂肪酸及びグリセリンの製造でスタートした。
ライオン石鹸工場(現ライオン)が所蔵する明治43年(1910年)製の高圧油脂分解器は現存する日本最古のオートクレーブ。ーーー
ライオンは1891年10月に「小林富次郎商店」として開設され、主として石鹸の製造・販売を行った。
1896年に粉歯磨「ライオン歯磨」発売、1911年に「ライオン練歯磨」発売。
1910年に「合資会社ライオン石鹸工場」を設立した。 今回指定の化学遺産はこの時のもの。その後の推移は下記の通り。
1918 鰹ャ林商店に 1919 ライオン石鹸 分離 1940 ライオン油脂に改称 1949 ライオン歯磨に改称 1980 ライオン歯磨、ライオン油脂対等合併、ライオン 発足
(3)「日本の工業用アルコール産業の発祥を示す資料」
1934年に昭和酒造(現メルシャン)が無水アルコールの大規模生産を開始した。
1938年5月操業開始の国営出水アルコール工場(現日本アルコール産業)のもろみ塔は工業用アルコール産業の発祥を示す資料として貴重。
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メルシャンは現在、キリンの100%子会社。
同社の歴史は下記の通りで、原料アルコールはメルシャンの100%子会社の第一アルコールで扱っている。
1934 昭和酒造創立 1935 川崎工場でアルコール製造開始 1949 三楽酒造に改称 1961 日清醸造(「メルシャン」)を吸収合併 1990 メルシャンに改称 2006 麒麟麦酒によるTOB 2010 第一アルコール設立
(協和発酵バイオとの原料アルコールJV )2013 上記をメルシャン100%に ーーー
アルコール専売事業は1937年のアルコール専売法施行によって始まった。
内外の情勢から、燃料の安定確保と地域農業の振興および化学工業の助長発展を目的に、国営事業として創設された。大蔵省専売局所管下に専売が開始され、1938年に出水国営無水アルコール工場が竣工、1941年までに各国営アルコール工場が操業開始した。
2001年4月にアルコール専売法が廃止され、アルコール事業法が施行された。
NEDOに暫定措置として5年間を目途に一手購入機能を付与するとともに民営化のための準備を行った。2006年4月、日本アルコール産業が発足、鹿島、千葉、磐田、出水工場を引き継いだ。
(4)「日本の塗料工業の発祥を示す資料」
塗料の国産化は1881年に日本ペイントの前身である光明社が設立されたことに始まる。
当時のボイル油製造設備などが日本ペイントに保存されていた。ーーー
洋式塗料が日本に現れたのは1853年のペリー来航時である。
1878年、茂木春太、重次郎兄弟は日本で初めて亜鉛華(酸化亜鉛)の製造に成功、1880年に固錬り塗料を製作し、第二回内国勧業博覧会で褒章を受章した。
当時軍艦の塗料用に国産ペイントの開発を望んでいた海軍はこれに注目し、茂木兄弟の固錬り塗料製造技術を中心に、塗料油を海軍に納入していた田川謙三、光明丹という錆止め塗料を製造していた橘清太郎の三者による塗料工業の共同事業化計画を支援した。1881年に光明社が設立され、海軍の専属塗料工場となった。
1898年、株式会社組織化し、日本ペイント製造 となった。
(5)「日本のナイロン工業の発祥を示す資料」
1939年に米国デュポンが開発したナイロン繊維のインパクトが日本にも広がり、戦後東洋レーヨン(現東レ)がいち早く工業化した。
東レ所蔵の第1号ナイロン紡糸機や東レとデュポンとの技術援助契約調印式の写真などが資料として認定された。ーーー
東洋レーヨンは1938年のデュポンの特許公告の1年後に文献トレースでナイロン66の合成と紡糸に成功した。
1941年にドイツIGのe-カプロラクタム重合体に関するイタリア特許でナイロン6の開発を決定、1943年に滋賀工場に試験プラントを建設した。e
海軍から電気絶縁材料として要請され、1944年11月に工場を完成、終戦までに8トンを納入した。
(ナイロン66も検討したが、原料面、設備材料面から中止した。)戦後、研究を再開、1951年にDuPontとナイロンに関する技術提携契約を締結した。
田代会長の判断で、当時の資本金750百万円に対し、特許料として1,080百万円を支払った。
デュポンからは特許権のみ購入、ノウハウは自社開発した。(技術裏付けあり)
また、DuPontがナイロン66、東レはナイロン6 と異なることを承知の上で特許権を購入した。
(物質特許の重要性、製品輸出時の特許係争を予想したもの)1951年に名古屋にカプロラクタム合成設備、愛知にフィラメント重合・紡糸設備を建設した。
(栂野棟彦「昭和を彩った日本の石油化学工業」から)
過去に認定された化学遺産は下記の通り。
2010/3/18 化学遺産認定 |
第1号 杏雨書屋蔵 宇田川榕菴化学関係資料 |
第2号 上中啓三 アドレナリン実験ノート | |
第3号 具留多味酸(グルタミン酸) 試料 | |
第4号 ルブラン法炭酸ソーダ製造装置塩酸吸収塔 | |
第5号 ビスコース法レーヨン工業の発祥を示す資料 | |
第6号 カザレー式アンモニア合成装置および関連資料 | |
2011/3/17 化学遺産、第二回認定 |
第7号 日本最初の化学講義録 朋百舎密書(ポンペせいみしょ) |
第8号 「化学新書」など日本学士院蔵 川本幸民化学関係資料 | |
第9号 「日本のセルロイド工業の発祥を示す建物および資料」 | |
第10号 日本の板硝子(ガラス)工業の発祥を示す資料 | |
2012/3/17 化学遺産、第三回認定 |
第11号 眞島利行ウルシオール研究関連資料 |
第12号 田丸節郎資料(写真および書簡類) | |
第13号 鈴木梅太郎ビタミンB1発見関係資料 | |
第14号 日本の合成染料工業発祥に関するベンゼン精製装置 | |
第15号 日本初期の塩化ビニル樹脂成形加工品 | |
第16号 日本のビニロン工業の発祥を示す資料 | |
第17号 日本のセメント産業の発祥を示す資料 | |
2013/3/21 化学遺産、第四回認定 |
第18号 小川正孝のニッポニウム発見:明治日本の化学の曙 |
第19号 女性化学者のさきがけ、黒田チカの天然色素研究関連資料 | |
第20号 フィッシャー・トロプシュ法による人造石油に関わる資料 | |
第21号 国産技術によるアンモニア合成(東工試法)の開発とその企業化に関する資料 | |
第22号 日本における塩素酸カリウム電解工業の発祥を示す資料 | |
2014/3/20 第5回化学遺産認定 |
第23号 日本の近代化学の礎を築いた櫻井錠二に関する資料 |
第24号 エフェドリンの発見および女子教育に貢献のあった長井長義関連資料 | |
第25号 旧第五高等学校化学実験場および旧第四高等学校物理化学教室 | |
第26号 化学技術者の先駆け 宇都宮三郎資料 | |
第27号 日本のプラスチック産業の発展を支えたIsoma射出成形機及び金型 | |
第28号 日本初のアルミニウム生産の工業化に関わる資料 |
農林水産省は3月17日、「食料・農業・農村基本計画」を公表した。
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/bukai/H27/pdf/150317_2.pdf
次期基本計画における食料自給率目標として、カロリーベースの目標をこれまでの現在の50%から45%に下げた。
2005年度 | 2010年度基本計画 | 次期基本計画 | |||
目標年度 (2015) |
基準年度(2008) | 目標年度(2020) | 基準年度 (2013) |
目標年度 (2025) |
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自給率(熱量) | 45% | 41% | 50% | 39% | 45% |
自給率(生産額) | 76% | 65% | 70% | 65% | 73% |
飼料自給率 | 26% | 38% | 26% | 40% |
付記 家畜の餌の自給率が2013年ベースで26%と低いため、国内産の畜産物の74%が輸入品扱いとなっている。
今回、新しく「食料自給力指標」を設定した。
国際的な食料需給の不安定が存在し、また、多くの国民が国内生産による食料供給能力の低下を危惧してい る中、平素からその時点(輸入が途切れた場合)における我が国農林水産業が有する食料の潜在生産能力を評価しておくことが重要。
「食料自給率」の場合、非食用作物(花き・花木等)が栽培されている農地が有する潜在的な食料生産能力が反映されない。
このため、我が国農林水産業が有する潜在生産能力をフルに活用することにより得られる食料の供給熱量を示す指標として、食料自給力指標(その時点における我が国の食料の潜在生産能力を評価する指標)を設定する。
食料自給力指標では、以下の4パターンで、熱量効率を最大化して作付けするケースを想定した。
いずれのケースも荒れた農地のフル活用を想定している。
栄養バランス
一定程度考慮 考慮せず 主要穀物(コメ、麦、大豆)中心 パターン A パターン B いも類を中心 パターン C パターン D
計算結果は下記の通りで、いも類中心の場合はエネルギー摂取必要量(1人・1日当たり2,147KCal)を超える。
パターンC、Dの場合の食事メニュー例
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しかし、食料の輸入が途切れる場合は、石油も肥料も途切れることとなり、この構想は成り立たない。
石油も肥料もないと収穫量は激減する。
膨大な作業をしているが、全く意味がなく、予算の無駄使いである。
石油がないと、耕運機もコンバインも動かせない。
国内で使用される化学肥料は、化石資源やりん鉱石、加里鉱石等の鉱物資源を原料としており、我が国はその全てを輸入に依存している。
農林水産省 肥料原料の安定確保に関する論点整理
河野太郎代議士は2010年のブログ「ごまめの歯ぎしり」で、「始めよう、農政改革」として、以下の通り述べている。
地元のJAとの農政勉強会。
カロリーベースの食糧自給率などというまったくのデタラメを政策目標に掲げているような農政では、日本の農業は改革できないと力説する。
こんなことをしている農水省なんか潰してしまって経産省の第一次産業局にでも農政を任せる方がよっぽど農業を強くできる。
食糧自給率などというまやかしをやめ、農業生産額、農業所得、農作物の輸出を増やすことを目標に掲げ、流通やマーケティングを強化しながら農業を強くすべきだ。そのためにJAはできることを最大限にやるべきだ。
東京大学大学院農学生命科学研究科の川島博之准教授の著書「食料自給率の罠 輸出が日本の農業を強くする」は下記の通り論じている。
・カロリーベース自給率は陰謀
輸入食料の85%は贅沢品で、輸入が止まっても、大きな問題ではない。「カロリーベースの食料自給率は、農水省が国民の危機感をあおり、税金から補助金を出させるために作り出した道具にすぎない」
(カロリーベース自給率は、1983年から農水省が始めた日本独自の計算方法で、政府が計算しているのは日本と韓国だけ)・食料の海外依存でも、不測の事態は起こり得ない。
(仮に輸入が止まる場合、石油も、化学肥料のうち全量輸入のカリと燐酸も止まることとなる。)
・穀物は安く、利益を出すには規模拡大しかないが、地方の人口が多い日本では規模拡大はできない。
日本は1戸当たり面積が米国の1/100。
米国並みの農業にするには農家100戸を1戸にまとめることが必要だが、
安い価格で農地を売らない。
人口減で「村」がつぶれる。
仮に集約できても、生活水準の高さなどから、タイなどには負ける。
結論:自給率を高めるのは無理・広い土地を必要としない農業は有望
農業における選択と集中(守るべき分野と強くする分野)・オランダの例
安い穀物を全量輸入、高価な農産品を輸出し、農業貿易収支で黒字。2010/11/10 TPP参加と農業問題
東京電力は1月23日、福島第1原発構内のタンクに保管している高濃度汚染水の2014年度内の全量浄化処理を断念する方針を決め、経済産業省に伝えた。
浄化処理完了の見通しは5月中としている。
しかし、河野太郎衆議院議員によると、東電は「汚染水処理」の定義を変えており、5月中の処理完了も不可能である。
これを受け、経済産業省は2月24日、高濃度の汚染水の浄化を終える時期が2015年度中になるとの見通しを示した。
この日の自民党部会で、5月に終わるのはストロンチウムの除去であり、汚染水を十分に放射線量が低い状態まで浄化するには「6月から数カ月かかる」との見通しを示した。
2015/2/16 福島第一原発の汚染水、年度内処理断念
東京電力は3月16日、放射能汚染水について、下記の通り発表した。
・ 目標の5月までに「処理」しきれない分が2万トン(全体の3%)に上る。
「RO濃縮塩水の処理は、事故後、早い段階で発生した海水成分の多い汚染水約3%(約2万トン)を除き、5月末までに完了する予定。」
事故後、早い段階で発生した海水成分の多い汚染水は、
・カルシウム・マグネシウムの影響で定格流量運転ができず、時間を要することが判明。
・処理には、さらに数ヶ月を要する見込み。
・ (河野代議士のいう通り) 「処理水」にはストロンチウム処理をしただけのものが大量にあり(5月末で全体の31%)、これらは今後、ALPS処理をする。
「ALPS以外で処理をしたストロンチウム処理水については、今後、ALPSで再度浄化し、さらなるリスク低減を図る。」
* ここまでの「処理」はMETI定義の「処理」で、トリチウム以外の核種も残っている。
・ ALPSで処理した水のうち、過去の装置トラブル時に浄化性能が低下した際の処理水があり、再度浄化を進める。
「ALPSで処理した水のうち、過去の装置トラブル時に浄化性能が低下した際の処理水については、再度浄化を進める。」
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ALPSでは、除去不可能な トリチウムを除き、62核種が除去できるとされてきた。
ところが、当初の処理分で4核種が除去できていないという。
河野代議士の「ごまめの歯ぎしり」(2015/3/18)によると、3月10日の衆議院予算委員会第7分科会で上田エネ庁長官が、「特に早期に処理をしたものについては、コバルト60、ヨウ素129等々の一部の核種が相当程度残っているという部分がある」と説明した。
これらの水の処理をどういうふうにしていくのかということについては、東京電力とも十分今後相談していきたいとしている。
自民党の秋本代議士の質問に対するものだが、宮沢経産大臣はこのことを直前に知ったという。
ALPSに改めて通すかどうか、未定という。
このことは昨年(2014年)2月5日の原子力規制委員会の会議で報告されている。
東京電力の事故対策室長が次のように報告している。
多核種除去設備ですけれども、こちらにつきましては、まだ除去性能が十分に現れていない核種が4つほどあるということで、追加的な吸着塔の設置の検討をしておりまして、その性能確認のためのいろいろな試験を続けているところであります。
試験結果につきましては、来月ぐらいに出るということも報告を受けておりますので、---
その後、改良を行って62核種が全て処理できるようになったと思われる。
しかし、2014年度中に汚染水の全量浄化処理を完了するとしながら、4核種の残った処理水の扱いは1年間、放置されていたことになる。
会議では田中委員長が司会をしており、この事態は当然知っていると思われるが、処理を促した形跡はない。
ユーロ圏 19か国の財務相会議は2月20日、2月末で期限を迎えるギリシャの金融支援について4か月間延長することで合意したが、延長の条件とされた4月までの改革案策定が進まず、ギリシャはほとんど融資を受けていない。
ギリシャが抱える3200億ユーロ超の公的債務の大半は、ユーロ圏とIMFからの支援融資で、IMFからの融資は2015年中に期限を迎えるものも多い。
6月末までは、ギリシャのIMFへの返済額は毎月4億5000万〜15億ユーロに上る。
付記 ギリシャは4月9日の返済期日にIMFに450百万ユーロを返済した。
付記
ギリシャ統計当局の4月15日の発表では、
2014年の財政赤字はGDP比で3.5%と、想定の2倍となった。
公的債務残も3171億ユーロで、GDP比 177.1% となった。S&Pは4月15日、「Bマイナス」から「CCCプラス」に格下げした。
さらに7、8月には、欧州中央銀行(ECB)が保有するギリシャ国債計78億ユーロの巨額の償還が控える。
EUは3月19日から2日間の日程で、ブリュッセルで首脳会議を開催、19日の全体会合後に、ギリシャのチプラス首相や独仏の首脳、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁らが協議した。EUは追加融資の条件として詳細な改革案の提示や実行を求め、ギリシャが数日内に財政・構造改革の詳細なリストを提出することになった。
ギリシャのチプラス政権が態度を変えないため、ユーロ圏の中で孤立している。Wall Street Journalは以下のように分析する。
アイルランド、ポルトガル、スペインおよびバルト諸国は、自分たちは難しい政治的コストを背負ったものの、最終的にこれが奏功したと認識しており、ギリシャだけこうした困難を避けるべきとする理由が理解できないとする。
スロバキアやバルト諸国などはギリシャ以上の貧困国であり、最低賃金もより低い。どのような形であれ、ギリシャ債務に対する追加的減免策を講じれば、他のユーロ圏加盟国が債務を肩代わりすることになる。
域内の規則を守ろうとしないギリシャの急進派政権に大きく譲歩すれば自国の反対勢力が勢いを増し、自分たちの立場が危うくなる。
ーーー
ギリシャは場外戦を始めた。
ギリシャのチプラス首相は2月8日、ナチスドイツによる第二次世界大戦時の巨額損失をドイツに請求するべきだと表明した。
要求額は1620億ユーロで、ギリシャが抱える3200億ユーロ超の公的債務の半分を上回る。
1946年パリで行われた第一回国際会議で、ドイツはギリシャに7億ドルの賠償金を支払うことが決定していたことに加え、戦時中にナチスドイツがギリシャから強制的に借りた3.5億ドルの合計を、現在の物価に変換するとと1620億ユーロになるという。
これに対しドイツは、賠償問題はすでに終わっているとし、賠償金を払う意思がないことを伝えた。
チプラス首相は3月10日、今度は第2次世界大戦中のナチス・ドイツ占領による損害の賠償を求める考えを議会で示した。
第2次世界大戦中の1944年6月、ナチス・ドイツは抵抗組織をかくまったとして、ギリシャ中部のディストモで生後2カ月の乳児や妊婦、老人ら218人を虐殺した。
ギリシャ最高裁は2000年、ドイツに対し、この遺族への2800万ユーロの賠償を命じたが、ドイツの反発を恐れた当時の法相は、執行を命じる文書に署名しなかった。
これに対し、独政府の報道官は3月11日、「ドイツは1960年に1億1500万マルクを支払い、賠償問題に関して完全に終了した」と述べ、ギリシャの主張を否定したが、ギリシャのパラスケボポウロス法相は、適切な時期に最高裁の2000年の判決を執行する書類に署名し、ギリシャ国内にあるドイツ資産を没収する用意があると明らかにした。
1960年の協定でドイツはギリシャに1億1500万マルクを支払ったが、それはインフラの破壊や戦争犯罪、ナチスに強要された戦時融資を完全に賠償するものではないとしている。
ドイツがギリシャに所有する総資産は2690億〜3320億ユーロだと推定される。
ドイツ国内でも、ドイツは賠償を払うべきだとの声もあると報じられている。
ギリシャ政府は別途、ドイツに対する奇妙な戦術を採っている。
ギリシャの防衛大臣は3月8日、ドイツがギリシャに打撃を与えるなら、ISILのテロメンバーを含む多数の難民をドイツに送り込むと脅した。外務大臣も同様の発言をしている。
ここ数年、イタリアに流れ着くシリアやソマリアの難民が問題になっていたが、ギリシャも地中海から、また、トルコ経由で陸路からも流入し、難民の保護でお手上げ状態になっている。
ドイツ内部ではギリシャを欧州における国境撤廃を目指すシェンゲン協定(Schengen agreement)の対象外にすべきだとの声が起こっている。
ーーー
ギリシャを側面から応援するような記事も出ている。
3月16日の英 Financial Times はフランスの財政赤字を取り上げ、これを罰しないのは誤り (Failure to fine the country is really an indictment of the EU’s rules) とした。
以下、記事の概要。
ユーロ圏には1997年6月締結の「財政安定化・成長協定(SGP:Stability and Growth Pact)」がある。
・ 単年度の財政赤字額の比率がGDP の 3% を上回ってはならない
(ここでいう財政とは、中央政府に限らず、地方政府などのすべての公共財政の合計を指す)
・ 国債残高が GDP の60%を下回ることその基準をクリアできず、EU経済財務相理事会が「過剰な赤字」と評価すれば赤字是正が勧告され、その後、赤字の解消に進展がないとみなされればペナルティー(罰金)が科される。
1990年代半ばにドイツの連邦財務相Theodor Waigelが提唱したもので、単一通貨圏において、一国が多額の借り入れを行い、中央銀行が通貨膨張の圧力にさらされ、インフレになった場合、1つの国の浪費によるコストを他のすべての国々に拡散して負担させることになり、同盟でも弱体化させるからである。
ーーー
付記
なお、2013年1月1日に「各年の一般政府の構造的財政収支赤字がGDP比0.5%を超えない」とする新財政協定が発効している。
2012/12/26 EUの新財政協定、2013年1月1日発効
ーーー
ドイツとフランスは、2002年以降3年連続で違反を続け、罰金の適用も停止させた。
フランスとドイツの圧力を受け、2005年3月の欧州理事会で見直しが行われ、財政赤字規律の条件を超えても、「小幅かつ一時的」な場合、経済成長がマイナスであれば過剰財政赤字とはみなされないことになった。
単年度赤字発行 3%、累積公債発行残高 60% という上限は残されたものの、ある国に対して債務が基準を超過していることを通告するにあたって、景気にあわせた財政動向、債務水準、景気低迷の期間、赤字発行による生産性向上の可能性といった指標を用いることが認められた。
その後、フランスとドイツは別々の道をたどる。
ドイツは経済改革を急速に進めることで対応し、現在では経常黒字が7%になるまで回復している。
それとは対照的にフランスは1970年代から財政黒字を計上していない。本年の財政赤字は4%を超える見込みだ。
EU財務相会議は2013年、フランスが財政赤字の対GDP比率を3%以内とする期限を2015年まで2年延期することで合意した。
フランス政府は本年2月、これを3年先延ばしにし、2018年とするよう要請した。
これを受け、EU財務相は3月10日の理事会で、財政再建の達成期限の2年延長を承認した。2000年以降でフランスが基準を達したのは2006年と07年の2回だけ。
フランスの期限延長は2009年以降3度目となり、EU財政規律の信頼性を損ねかねないとして懸念の声が上がっている。
アイルランド、ポルトガル、ギリシャは速やかに赤字を削減することでこれよりもっと深刻な景気後退を持ちこたえた。
欧州はその不均衡に悩まされている。それは単に小規模な赤字国の過失だけによるものではなく、これらの国々だけが非難されるべきではない。
二重基準では、既に弱体化している欧州の結束はぼろぼろになる。銀行の「大きすぎて破綻させられない」問題と同様に、この「大きすぎて罰金を科せられない」問題も有害だ。
2015/3/24 米内務省、シェールガス・オイルの新規制発表
米内務省は3月20日、シェールオイル・ガス開発に関する新規制 “Oil and
Gas; Hydraulic Fracturing on Federal and Indian Lands” を発表した。
http://www.doi.gov/news/pressreleases/interior-department-releases-final-rule-to-support-safe-responsible-hydraulic-fracturing-activities-on-public-and-tribal-lands.cfm
化学物質を混ぜた水を岩盤に高圧で送り込んでガスや石油を取り出す「hydraulic
fracturing(水圧破砕法)」が地下水などを汚染する懸念に対応することが狙い。
公有地や先住民保護地区(public and American Indian lands)にある油井の水圧破砕法
を規制するもので、油井の構造、排水処理、使用薬品の開示の要件を決め、安全性を向上させ、地下水を保護するものである。
規制の主な点は下記の通り。
・油井の構造や、裸孔と水の層の間に強力なセメントバリアがあることの検証による地下水保護
フラッキングの液体が飲料水を汚染するリスクに対応
・水圧破砕法に使用される薬剤の公開
・大気、水、野生生物へのリスクを回避するため、回収廃水の保管基準の見直し
open
pit ではなく、sealed tank での保管を求める。
・使用される薬剤、流体による油井間のクロス汚染のリスクを下げるため、地層、深さ、既存の油井の位置等のより詳細な情報の提出
対象となる土地での水圧破砕法による採掘は、天然ガス採掘の11%、石油の5%程度である。
これ以外の土地での採掘は州政府に規制権限がある。ニューヨーク州が昨年12月にフラッキングを禁止する規制を作るなど、現在は州ごとに対応がわかれている。
2014/12/19 ニューヨーク州、フラッキング(水圧破砕)を禁止へ
政府はこの新規則が、各州の規則の原型となることを希望している。
石油関連企業団体の
Independent Petroleum Association of AmericaとWestern Energy Alliance
は同日、新規制は必要性が証明されていないとして、実施の差し止めを求める訴訟をワイオミング州の連邦地裁に起こした。
共和党の上院議員はこの規則の施行を止める法案を提出した。
他方、環境団体は、シェール開発そのものに反発しており、今後、内務省にさらに厳しい対応を求める。
内務省は引き続き、水圧破砕法で発生するメタンガスの焼却の新基準を出す予定。
またEPAは健康リスクの長年の研究を継続している。
ーーー
このなかで薬剤の開示は画期的である。
水圧破砕法では、特殊な砂粒や、酸・防腐剤・ゲル化剤・摩擦低減剤などの化学物質を添加した大量の水が使われる。化学物質の内容、組成は企業によって異なる。
薬剤には有害物質、危険物質が含まれており、また地下にある物質と反応して発ガン物質が発生することもある。
アメリカでは飲料水の安全確保のため、水源地帯の土中に異物を混入する行為は厳重に規制されている。
しかし、水圧破砕法で使用される薬剤は開示も求められていない。
水圧破砕法を推進しているHalliburtonの元CEOであったDick
Cheney副大統領(当時)がガス開発を優先する特例を推し進めた。
2005年連邦エネルギーポリシー条令で水圧破砕を飲料水安全条令から適用除外にした。シェールガス開発で危険物質を使用するのを認め、物質の開示さえも不要とした。
「Halliburtonの抜け穴」と呼ばれる。
2011/8/8 「ガスランド 〜アメリカ 水汚染の実態〜」
2015/3/13 BS世界のドキュメンタリー 「シェールガス開発がもたらすもの」
Lanxessが合成ゴム事業(2014年売上高51億ドル)をJV化することを検討しており、持分の40%程度を売却する交渉を行っており、Saudi Aramcoが交渉相手に含まれていると本年2月初めに報じられた。
同社は2014年8月に3段階にわたる全社構造改革の実施を発表しているが、そのPhase 3
に当たるもの。
(構造改革のPhase 1 の人員削減は予定通り実施されている。)
合成ゴム市場の過剰能力とそれによる値下げ圧力に対応するため、安い石油・ガス関連原料を持つパートナーを探している。
インドのReliance やロシアのSibur などのような新興市場での低コストの競争相手に打ち勝ち、グローバルに事業を拡大することを狙っている。
候補の各社に対し、具体的なオファーを出すよう求めているとされる。
アナリストは事業価値を26.5億ユーロ程度と見ている。
Lanxessはその後、この報道を事実であると認めた。
付記 2014年に下記のとおり改組した。
子会社 Rhein Chemie はLanxessに取り込み、 Functional Chemicals とRubber Chemicals
と合わせ、Rhein Chemie Additives Unitとした。
分離を検討しているのは、Performance Polymers部門のTyre & Specialty Rubbers と High Performance Elastomers。
ーーー
Lanxessは 3月19日の2014年決算発表時にPhase 2 の事業の競争力強化策の一つとして合成ゴム事業の合理化を発表した。
合成ゴムの過剰能力に対応するため、EPDM とネオジウム触媒ポリブタジエンラバー(Nd-PBR)の能力を最適化する。
1)EPDM
同社のEPDMの歴史は下記の通り。
Lanxess(Bayerから分離独立)はドイツのMarlで年産6万トン、テキサス州のOrangeで6万トンの合計年産12万トンのEPDM(Buna® EP)を生産していた。
Lanxess は2010年12月、Royal
DSM からのDSM Elastomers部門の買収を発表した。買収額は310百万ユーロ。
オランダのGeleen
(16万トン)とブラジルのTriunfo(4万トン)を加え、能力は12万トンから32万トンに増えた。
2010/12/20 LANXESS、DSM Elastomersを買収
2011年9月、オランダのGeleen のEPDMの50%を最新のKeltan ACE技術に転換すると発表した。3系列のうち最大の系列を転換する。
2011/10/5 LANXESS、EPDM事業を強化
2012年9月、江蘇省常州市のChangzhou
Yangtze Riverside Industrial Parkに世界最大のEPDMプラントを建設すると発表した。
能力は年産16万トン、投資額は235百万ユーロで、2015年に生産開始する。
2012/9/10 Lanxess、中国江蘇省に世界最大のEPDMプラント建設
以上により、現在の能力は51万トンに達する。
今回、ドイツのMarl
のプラントを2015年末に停止することを決めた。
同社のEPDMプラントのうち、規模の点とエネルギーコストと原料コストが比較的高いことから、最も経済性で劣るためで、最新鋭の中国プラントで補完する。
2)ネオジウム触媒ポリブタジエンラバー(Nd-PBR)
Nd-PBR
はタイヤに使用される原料の一部で、他の多くのタイヤ用ゴムに比べ、より効率的な燃費をもたらし、タイヤ摩擦も低減する。自動車の安全性、環境保護、経済性の向上においてより重要な役割を果たす。
世界中で、燃費性能、ウェットグリップ性能、騒音などの新規制に対応できる「グリーンタイヤ」の原料ゴムのニーズが増大している。
Lanxessは2011年6月、新しいNd-PBRの立地をシンガポールに決めたと発表した。
2億ドルを投じて、ジュロン島に年産14万トンのプラントを建設する。2015年上半期の操業開始を目指す。
2011/6/6 Lanxess、シンガポールでポリブタジエンゴムを生産
この結果、同社はフランスとドイツ、米、ブラジル、シンガポールの5箇所にプラント持つこととなった。
今回、ドイツのDormagen とシンガポールをNd-PBR
の生産の本拠地とし、米国とブラジルのプラントはそれぞれの地域のみに供給する。
フランスのプラントと米国プラントの一部は将来、他のブタジエンゴムの生産に転用する。米国プラントは4系列のうち、3系列だけをブタジェンゴム生産に使う。
以上により、EPDMとNd-PBRについては、欧州、北米、南米、アジアに一つずつのプランを持つこととなる。
Phase 3 では合成ゴム事業で他社との協力を通じての競争力強化を狙っており、「現在、数社と交渉中で、本年下半期には報告できるだろう」としている。
米国の女優
Angelina Jolie(39)が卵巣癌の予防のため、すべての卵巣と卵管の摘出手術を受けたことを明らかにした。
3月24日付けのNew York Timesに“Diary
of a Surgery” というタイトルで寄稿した。
彼女の場合、癌抑制遺伝子BRCA1の変異があり、2013年には乳癌予防の目的で両乳房の切除手術を受けていた。
乳房の手術を決めた際に、医師から「乳癌になる確率が87%、卵巣癌の確率が50%」と告げられていたが、2週間前、血液検査で卵巣癌につながる異常がわかり、検査を経て手術を決断した。
ーーー
乳癌に関して、癌抑制遺伝子BRCA1、BRCA2 (Breast cancer susceptibility gene ) が見つかっている。
通常は、DNAの損傷変異が修復できないぐらい多数に及ぶ場合、BRCA1タンパク質が機能し、増殖シグナルを停止し、癌の発生を防止する。
松本邦夫・金沢大学がん進展抑制研究所教授の「知の拠点セミナー」資料
しかし、遺伝子変異でBRCA1の機能が破綻すると、遺伝子異常をもった細胞が蓄積し、癌が発生する。
変異したBRCA1・BRCA2遺伝子は世代から世代へと受け継がれる特徴があり(1/2の確率で親から子へ遺伝)、遺伝のパターンとしては[卵巣癌のみ][乳癌と卵巣癌][卵巣癌と結腸癌]という3種類が確認されている。
乳癌の場合は卵巣癌も、卵巣癌の場合は結腸癌の心配もしなければいけない。
Angelina Jolieは母親・叔母を乳癌で亡くし、母方の祖母も卵巣癌のため40代で命を落としている。
特にBRCA1は、若い年齢で乳癌を発症する可能性が高く、40歳過ぎてからの卵巣癌のリスクも高い。しかも治療が難しい。
そのため、Angelina Jolieはリスク低減手術に踏み切った。
寄稿の最後で、「助言を求め、自分に合う選択をしてほしい。知識こそ力です」と、女性にメッセージを送った。
“It is not easy to make these decisions. But it is possible to take control and tackle head-on any health issue. You can seek advice, learn about the options and make choices that are right for you. Knowledge is power”.
1) 原告7人を患者と認定し、昭電に1人330万〜440万円(総額2420万円)の支払いを命じた。
原告は新潟市や同県阿賀野市に住む40〜80代の男女 で、多くは祖父母や両親が水俣病認定患者で、子どもの頃に阿賀野川の魚介類を食べて育ち、大人になってから症状が激しくなったとして提訴した。
国と県は、国の認定基準で棄却されているため、水俣病患者ではないとしたが、判決は、「症状が手足末端の感覚障害のみの人も存在する」とし、水銀摂取から40年以上経過後に発症する「遅発性水俣病」の存在も否定できないと指摘した。
(国の新指針は、摂取から発症まで「通常1カ月前後、長くても1年程度」であれば因果関係の確からしさが高いと例示している。)
同居家族に認定患者がいることを重視する見解を示し、7人を患者認定した。
3人については感覚障害を認めたが、同居家族に認定患者がいないなどとして請求を退けた。
故人1人は係争中に水俣病と認定され、昭電への訴えは取り下げていた。
2) 国と県の賠償責任については、工場排水を規制しなかったことが違法とはいえないとして認めなかった。
原告主張:1956年には熊本の水俣病が確認されており、同種の工場がある新潟でも発生が予見できた。
被告主張:新潟水俣病が公式確認された1965年5月時点では工場の水銀排出は終了していた。
判決:新潟水俣病が確認された1965年以前に、国や県が阿賀野川での被害発生を認識していたとはいえない。・1965年以前に阿賀野川での被害発生を認識していなかった。
・アセトアルデヒドの製造工程でメチル水銀が生成されることが裏付けられたのは1965年11月
・ごく微量のメチル水銀を含む排水でも魚介類を介することで人体に危険性があることが解明されたのは1968年ごろ
3) 損害賠償請求権は消失していない。
身体に蓄積する物質が原因で、一定の潜伏期間経過後に症状が表れる。除斥期間は発症した時から起算すべきで、20年を経過していない。
弁護団長は、「行政の責任を認めなかった不当な判決だ。患者が出ないようにするのが行政の責任ではないか」と述べ、控訴する意向を示した。
また、「症状はあっても、同居している親族に認定患者がいなければ認められないという、これまでの判決の悪い点を引用していて残念だ」と述べた。
新潟水俣病の経緯は下記の通り。(共通)は水俣病、新潟水俣病の両方
1956/4 | (水俣病公式確認) |
1965/5 | 新潟水俣病公式確認 |
1967/6 | 一次訴訟(四大公害訴訟ー両水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病ー最初の訴訟) |
1968/9 | (共通)政府統一見解、「工場排水が原因」 |
1971/9 | 一次訴訟で患者側勝訴。昭和電工の工場排水が原因と確定 |
1982/6 | 二次訴訟 |
1995/12 | (共通)政府が未認定患者救済策を閣議決定 |
1996/2 | 閣議決定を受け、二次訴訟和解 |
2007/4 | 三次訴訟 |
2009/6 | 四次訴訟 |
2009/7 | (共通)水俣病救済法 成立 2009/7/3 水俣病救済法案、衆院を通過、来週成立の見通し |
2010/3 | (水俣訴訟、熊本地裁で和解) 2010/3/20 水俣病集団訴訟で和解案 |
2010/4 | (共通)政府、水俣病特別措置法の「救済措置の方針」を閣議決定 2010/4/16 水俣病「救済措置の方針」を閣議決定 |
2010/10 | 四次訴訟和解勧告、協議開始→10月21日基本合意 |
2013/4 | 水俣訴訟、最高裁判決 「52年判断条件」に基づく高裁判決を破棄 |
2013/12 | 未認定患者ら6人が新潟市に処分取り消しと認定を求め提訴 未認定患者ら22人が国・昭電を提訴(5次訴訟) |
2014/1 | 環境省、水俣病認定基準 厳しい条件 |
2014/9 | 三次訴訟結審 |
2015/3 | 同上 判決 |
新潟水俣病第4次訴訟では和解が成立したが、3次訴訟の原告は和解ではなく、判決を求めていた。
新潟水俣病を巡っては、国と昭電を相手取り損害賠償を求めた5次訴訟など2件が係争中。
Pirelli は 1872年の創業で、ブリヂストン、フランスの Michelin、米Goodyear、
独 Continentalに次ぐ世界5位のタイヤメーカー。
中国でも「倍耐力」のブランドでよく知られている。
ChemChinaがタイヤ製造子会社・中國化工橡膠(China National
Tire & Rubber)を通じ、Pirelliの持株会社Cam Finanziaria (Camfin)から発行済株式の26.2%を買い取る。
価格は両社で合意したPirelliの価値 71億ユーロ(約9200億円)で計算した1株当たり15ユーロ。前週末終値(15.23
ユーロ)とほぼ同額で、株価は身売り観測で上昇していた。
中國化工橡膠は投資会社を設立し、残り全株を1株15ユーロでTOBを行う。TOBは夏にも開始し、年内にも買収手続きを終えたいとしている。
Pirelliの持株会社Camfinの出資者も売却収入の一部を出し、中國化工橡膠 の投資会社に49.9%出資する。その後のTOBの資金を出せば、この出資比率を維持できる。
新Pirelliは本社はイタリアに置き、PirelliのMarco Tronchetti Provera会長と現経営陣が引き続き経営に当たる。会長は退陣時期を自分で決める権利を持つ。
Camfin の出資者は、Marco Tronchetti Provera会長のNuove Partecipazioni と2つの銀行及びロシアの国営石油会社Rosneftである。
Rosneft は2014年3月、間接的にイタリアのタイヤメーカーPirelli の筆頭株主になる契約を締結した。Pirelliの最大株主はPirelliの会長のMarco Tronchetti Proveraと投資会社のClessidra 及び2つの銀行が出資する持株会社Cam Finanziaria (Camfin) だが、交渉の結果、Camfinを解散し、新しい持株会社をつくり、Rosneftが50%を出資する。Clessidra は離脱し、会長と2つの銀行は新比率で出資することとなった。
最終的にRosneft のPirelliへの出資比率は13.1%となり、Marco Tronchetti Provera会長の10.5%を上回り、最大株主となった。
Cam Finanziaria
(Camfin)Nuove Partecipazioni
(Marco Tronchetti Provera)39.09% → 新持株会社
CamfinRosneft 50% Pirelliの13.1% Clessidra SGR
(private equity company)24.06% 新会社 Nuove Partecipazioni
(Marco Tronchetti Provera)80% 50% Pinelliの10.5% Intesa Sanpaolo
(bank)18.43% Intesa Sanpaolo
(bank)10% Pinelliの1.3% Unicredit
(bank)18.43% Unicredit
(bank)10% Pinelliの1.3%
2014/3/25 ロシアのRosneft、イタリアのタイヤメーカー Pirelli の筆頭株主に
中國化工橡膠の投資会社(Pirelliの26.2%保有)は下記の通りとなる。
Camfin出資者は、今後のTOBの費用を負担すれば、合わせて最高49.9%の出資を維持できることとなる。
計画通り進めば、ChemChina
は高級タイヤを製造する技術にアクセスでき、Pirelliは巨大な中国市場での地位を強化できる。
Pirelliは2005年に山東省兗州(Yanzhou)市に進出、約4億USドルの投資を行ってきた。2011年11月に発表されたビジネスプランに沿って、2014年までに2億USドルの追加投資を行い、乗用車用タイヤ生産能力を拡張、2011年の410万本から、年間1,000万本以上に生産量が増加させた。
Pirelli の不採算のトラック用及び工業用タイヤ事業は中國化工橡膠及び同社の子会社のオールスチールトラックタイヤのメーカーAeolus
Tyres (風神輪胎)の資産と統合する。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設準備の了解覚書が2014年10月24日に22カ国により調印された。
(うち、インドネシアの実際の調印は11月25日となった)
その後、参加が続き、2015年3月初めには27カ国となった。
3月12日に英国が参加、仏、独、伊が続き、現時点では欧州では合計7カ国が参加した。
2015/3/16 英国、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加
香港も参加した。香港は「一国二制度」が適用されており、アジア開発銀行(ADB)などの国際機関に中国とは別に加入している。
中国と米国の板ばさみとなっていた韓国は3月26日、AIIBへの参加を決定し、中国に通知した。
韓国政府は以下の発表を行った。
アジア開発銀行(ADB) の調査によると、アジア地域のインフラ施設投資需要は2020年まで毎年、7300億ドルに達するとされています。しかし世界銀行、ADBなど既存の多国間開発銀行のこの地域に対する投資資金供給は、これに全く及ばないという実情です。
従ってAIIBは、既存の他国開発銀行との相互補完関係の中にこの地域の不足した投資資金供給に力を注ぐことによって地域経済発展を先導し、地域内国家間の経済金融協力関係を強化するという趣旨で設立が推進されています。
AIIBが今後、本格的に運営される場合、アジア地域に大型インフラ建設市場が開かれると予想されています。このような状況で韓国のAIIB参加決定により、建設・通信・交通などのインフラ事業に多くの経験を持つ韓国企業の事業参加が拡大されます。
これまで政府は、AIIBの支配構造やセーフガードなど国際的水準によって設計されなければならないという意見を主な友好国と共に積極的に表明しながら、中国側に設立案改善を継続的に要求してきました。最近、これに関して相当の進展がありました。
政府は今後も主な友好国と緊密に協力しながら、AIIBが責任性・透明性・支配構造・負債の持続可能性などで既存の多国間開発銀行に合った高い水準の模範的基準を持てるようにすることによって、経済の発展に寄与するよう積極的な努力をしていくつもりです。
トルコも3月26日に参加を決定した。
トルコの副首相は訪日中の3月16日、「トルコは、AIIBに参加する意向はない」と語 っていた。
オーストラリアのアボット首相は3月25日、組織運営の透明性などを条件に「豪州もぜひ参加したい」と述べた。参加に向け、オバマ米大統領や安倍首相らと協議を重ねていることも明らかにした。
現在の参加国は下記の通りで、37カ国・地域となった。
アジア | 中央アジア | 中近東 | 欧州 | オセアニア | ||
1 | 2014/10/24 |
中国 | カザフスタン、 ウズベキスタン |
クウェート、 オマーン、カタール |
||
モンゴル | ||||||
(ASEAN) ミャンマー、ラオス、 タイ、ベトナム、カンボジャ、 マレーシア、シンガポール、 フィリピン、ブルネイ |
||||||
インド、スリランカ、パキスタン、 バングラデシュ、ネパール |
||||||
22 | 2014/11/25 | (ASEAN) インドネシア | ||||
25 | 2014/11/28 | タジキスタン | サウジアラビア | ニュージーランド | ||
26 | 2014/12/31 | モルディブ | ||||
27 | 2015/2/7 | ヨルダン | ||||
28 | 2015/3/12 | 英国 | ||||
31 | 2015/3/17 | フランス、ドイツ、イタリー | ||||
32 | 2015/3/18 | ルクセンブルグ | ||||
33 | 2015/3/20 | スイス | ||||
34 | 2015/3/23 | 香港特別区 | ||||
35 | 2015/3/24 | オーストリア | ||||
37 | 2015/3/26 | 韓国 | トルコ | |||
37カ国・地域 | 20カ国・地域 | 3カ国 | 6カ国 | 7カ国 | 1カ国 |
付記
中国財政省は3月28日、ブラジル、オランダ、グルジアがAIIBに参加申請したと発表した。
ロシアのイーゴリ・シュワロフ第一副首相はボアオ・アジアフォーラムで、プーチン大統領の認可を受け、ロシアはAIIBへの参加を表明すると発表した。
デンマークは3月28日、参加を正式表明し、中国側に書面を提出した。
オーストラリアのアボット首相は3月29日、参加方針を正式表明した。
中国財政省は3月30日、エジプトとフィンランドが参加を決めたと発表した。中国財政省は3月31日、キルギスとスウェーデンが参加申請したと発表した。
合計47カ国・地域となった。
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中国の楼継偉財政相とアジア開発銀行 (ADB)の中尾武彦総裁は3月22日、北京市内で開かれた経済フォーラムにそろって出席した。
中尾総裁は会場からの質問に答える形で「アジアには非常に大きなインフラ需要があり、ADBとAIIBは協力が可能だ」と強調した。そのうえで「環境への影響を少なくするように、AIIBは(融資審査などの)国際的な基準を守る必要がある」とくぎを刺した。ADB自身も融資能力を高めるために改革を進めていると説明した。
これに対し、楼財政相は「先進国のルールが最良とは思わない」と述べ、ADBなどを「官僚主義で(融資などの)手続きが煩雑だ」と批判し、「AIIBは途上国が主導する機関で、彼らの要求を考慮する必要がある」と主張した。理事会を常設しないなど、意思決定を迅速にする独自の体制を築く構え とされる。
AIIBの初代総裁に就く見通しの金立群・元中国財政次官も講演し「世界銀行やADBを補完するものであり、取って代わるものではない。現行の国際金融秩序を推進するものであり、転覆を狙うものではない」と訴えた。
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安倍首相は3月20日の参院予算委員会で、AIIBへの日本政府の関与について「慎重に検討していく必要がある」と述べた。
AIIBの課題として「公正なガバナンスを確立できるか、そして債務の持続可能性を無視した貸し付けを行うことにより、他の債権者にも損害を与えることにならないか」と指摘した。
政府内の一部からは参加を求める声もあり、麻生財務相は同日午前の閣議後記者会見で、融資審査の透明性の確保などを条件に「中に入って(参加に向けて)協議になる可能性はある」と発言していた。
経団連の榊原定征会長は3月23日の記者会見で、日本の成長力を高めるには海外のインフラ需要の取り込みが欠かせないと指摘し、「日本企業が競争上不利にならないような対応が必要だ」と述べ、政府内で参加の是非をめぐる議論を急ぐよう求めた。
3月26日の報道では、政府は創設メンバーとなるための期限の3月末までには参加判断を行わない方針を固めた。
日本は、理事会の設置など企業統治のあり方や、融資に関する環境・社会への配慮が不透明として、参加に慎重な姿勢を崩していない。
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安倍首相はAIIBの課題として「公正なガバナンスを確立できるか 」をあげているが、米国主導の世界銀行、IMFも問題を抱えている。
ルー米財務長官は3月18日、議会での証言で、国際通貨基金(IMF)の改革を議会が承認しないことは戦略的に危険で、中国が主導するアジアインフラ銀行創設といった問題で米国の影響力が低下するとの懸念を示した。改革案の米議会での批准が遅れていることで、新興国の間でIMF以外の機関から資金を調達する傾向が出ているとの認識を示した。
米国が承認を遅らせていることで、他国は国際機関に対する米国の姿勢を疑問視していると指摘。IMFの改革を議会が承認しないことは「戦略的に危険で間違いだ」と述べた。
IMFは2010年に、新興国の出資比率を引き上げ、理事会への登用を増やす「IMF改革」に合意した。
改革案が実現すれば、IMFへの出資比率で米国、日本に続く第3位に中国が浮上、更に上位10カ国にインド、ロシア、ブラジルが入り、新興国の発言力が増す。
IMFへの出資比率 (%)
現状 改革後 米国 17.67 米国 17.41 日本 6.56 日本 6.46 ドイツ 6.11 中国 6.39 英国 4.51 ドイツ 5.59 フランス 4.51 英国 4.23 中国 4.00 フランス 4.23 イタリア 3.31 イタリア 3.16 サウジ 2.93 インド 2.75 カナダ 2.67 ロシア 2.71 ロシア 2.50 ブラジル 2.32 しかし、米国では議会の賛成が得られず、批准されていない。
重要事項の議決には投票権で85%以上の賛成が必要で、唯一15%超の比率を持つ米国が事実上の拒否権 を行使している。
BRICS (ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の第6回首脳会議が2014年7月15日、新興国や途上国の社会基盤整備支援を目的としたNew Development Bankと、5カ国が金融危機の際に資金を融通しあう外貨準備基金(BRICS Contingent Reserve Arrangement)の設立に合意する「Fortaleza Declaration and Action Plan」に署名した。
この宣言でも「2010年に採択されたIMF改革案が実行されないことに失望し、深刻な懸念を持っている。これはIMFの正当性、信用性、有効性を傷つけている」と厳しく批判した。
世銀に対しても、もっと民主的な運営を求めている。
2014/7/23 BRICS開発銀行 設立へ
2015/3/28 国際石油開発帝石、石油関連の減損損失計上、住友商事も損失追加
国際石油開発帝石は3月23日、原油価格の下落等に基づく事業環境悪化を踏まえ、減損テストを実施した結果として下記の固定資産減損損失の計上を発表した。
1) カナダJoslyn Oil Sand計画 約275億円
2) チモール海共同石油開発地域 JPDA06-105鉱区 約75億円
原油価格下落に伴い、減損損失の計上が相次いでいる。
ーーー
1) カナダJoslyn Oil Sand計画 国際石油開発帝石、カナダJoslyn Oil Sand計画 の権益を売却
国際石油開発帝石ホールディングスは2007年11月、仏 Total からカナダのアルバータ州のJoslyn Oil Sand上流開発プロジェクトの10%の参加権益(含付随パイプラインへの権利)を取得するとともに、同州エドモントンでTotalの計画するオイルサンド改質(合成原油製造)プロジェクトに参加する権利を取得した。
Joslyn Oil
Sand上流開発プロジェクトは、カナダ・アルバータ州アサバスカ地域フォート・マクマレーの北西約60kmに位置する3 つの陸上のリース鉱区で実施されている。
付記 国際石油開発帝石は2018年9月3日、この権益をCanadian Natural Resourcesに売却することで合意したと発表した。他の権益保有者も全て、同社に売却する。
鉱区面積 | 約220km2 |
権益保有者 | 国際石油開発帝石 10% Total 38.25% Suncor 36.75% Occidental 15% |
計画 | 2010年代初頭 日量10万バレル露天掘り 第二段階 日量23万バレル |
オイルサンド改質プロジェクトは、Total がアルバータ州エドモントンに改質プラントを建設し、2010 年代前半までに、第一段階として日量13 万バレルの合成原油をオイルサンドから製造することを計画。
2) チモール海共同石油開発地域 JPDA06-105鉱区 約75億円
同社はチモール海共同石油開発地域において、JPDA06-105鉱区と、バユ・ウンダンプロジェクトに参画している。
JPDA 06-105鉱区 キタン油田 今回減損損失計上
権益比率
ENI (Operator) 40% 国際石油開発帝石 35% Talisman Energy (加) 25% 2001年10月より生産開始
Bayu-Undan
Conoco Phillips 56.72% ENI 12.04% Santos (豪) 10.64% 国際石油開発帝石 10.53% Tokyo Timor Sea Resources
(東京電力 2 /東京ガス 1)10.08% 埋蔵量 石油分約4億バレル(コンデンセート・LPG)と天然ガス約3.4兆立方フィート(LNG換算約8,000万t)
同社はオーストラリアにおいては、世界的にも大規模なLNGプロジェクトであるイクシスプロジェクトの開発を推進している。
2009/9/18 Chevron、豪州でのGorgon Natural Gas Project 実施の最終決定 後半に記載
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住友商事は2014年9月に減損損失計上を発表したが、2015年3月25日、損益予想を大幅に下方修正した。
米のシェールオイルや北海油田の減損損失を追加し、米国のタイトオイルの減損損失なども追加した。
損益予想修正の要因となった主な事業は下記の通り。
計上損失 |
2015/3 見直し |
|||
見直し後 | ||||
米 タイトオイル | -1700億円 |
保有資産譲渡 |
-2000億円 |
継続方針の南部地区の減損 |
豪 石炭 | -300億円 | 石炭価格下落 | -260億円 | |
ブラジル 鉄鉱石 | -500億円 | -650億円 | ||
米 タイヤ事業 | -200億円 | -220億円 | ||
米 シェールガス、 北海油田 |
ー | -400億円 | 原油・ガス価格下落、事業計画見直し | |
(合 計) | -2700億円 | -3520億円 | ||
税効果等 | 300億円 | 280億円 | ||
株主帰属損益 | -2400億円 | -3250億円 |
同社の2015年3月期連結決算業績予想の推移は下記の通り。(百万円)
売上高 | 税引前利益 | 株主帰属利益 | |
2014/5/1発表 | 8,600,000 | 332,000 | 250,000 |
2014/9/29発表 | 8,600,000 | 62,000 | 10,000 |
(増減) | (-270,000) | (-240,000) | |
2015/3/25発表 | 8,600,000 | -33,000 | -85,000 |
(当初比) | (-303,000) | (-335,000) |
同社は同日、新しい中期経営計画を発表した。
そのなかで、次の点が挙げられている。
「成長戦略の推進」 資源上流ビジネスの取り組み方針見直し →非資源分野にシフト
「経営改革の推進」 リスク管理の抜本的な見直し・強化
東京電力は3月25日、原子力規制委員会の第33回特定原子力施設監視・評価検討会に提出した資料で、2014年4月からの1年ほどの間に、福島第一原発から7420億ベクレルの放射性セシウムが海に漏出していたとの試算を明らかにした。
資料:https://www.nsr.go.jp/data/000101568.pdf P.66
うち、護岸から専用港への流出が5100億ベクレルで最大である。
314日間の流出量 (億ベクレル) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
A排水溝とK排水溝からは外洋に流出 |
このうち、護岸からの流出に対しては、海側遮水壁で流出を防ぐこととなっていた筈である。
政府の原子力災害対策本部は2013年9月3日、東京電力福島第1原発で相次ぐ汚染水漏れ事故について、政府として主体的に取り組むことを明記した「基本方針」を了承した。
汚染水を漏らさない対策の一つとして、海側遮水壁(鋼鉄製の板の壁で、海底から海面上まで幅800mにわたり約700本)を設置し、内側を埋め立てるとなっていた。
2013/9/7 福島原発 汚染水対策
現在、東電のホームページでは以下の通り記載されている。
海側遮水壁
汚染水の海洋流出を阻止するため、2012年5月より、1〜4号機の護岸海側に遮水壁を建設しています。
全長約780mの海側遮水壁は、現在、約770mまで建設されたところです。(2015.1.1現在)
しかし実際は、海側遮水壁が完成すると地下水が行き場を失って水位が上がるため、全780mのうち770mを造ったところで中断し、残り10mの部分から地下水を海に流出し続けている。
下記のサイトに広河隆一氏の空撮写真が掲載されているが、遮水壁の内部が埋め立てされているうち、1箇所だけ壁板がなく、海水が出入りできる状態であることが見られる。
http://oshidori-makoken.com/?p=921
東電によると、陸側対策が完成してから、海側遮水壁を閉じることになっているが、凍土壁の完成する時期が見通せない状況が続いており、今後も流出が続くこととなる。
なお、専用港では遮水壁未完成箇所を含め3箇所にシルトフェンス(海面から海底までカーテン状になっている汚濁防止フェンス)を張っているだけで、港外への流出防止は完全ではない。
(汚染水が流出してシルトフェンス内側の水量が増えると、フェンスを超えてフェンス外に出る。シルトフェンスの破損事故もあった。船が接岸する際はフェンスを外す。)
Dow Chemical は3月27日、同社のクロルアルカリ事業の大半を分離してOlin Corp と合併させ、売上高70億ドルのグローバルリーダーをつくると発表した。
Reverse Morris Trust
という手法により、同社のクロルアルカリ事業を分離して無税でOlinに売却し、Olinはこれを統合する。
新しいOlinにはDowが50.5%を出資する。
Dow Chemicalは2013年12月に塩素事業からの撤退を発表した。
2013/12/5 Dow Chemical、塩素事業からの撤退を発表
しかし、今回は売却という形をとるが、新しいOlinの株式の50.5%を持つことで、実質的には自社のクロルアルカリ事業を出してOlinを買収することとなる。
これまでの
付記
コメントを戴き、調べたところ、上記が間違いであることが判明した。
Dow のLiveris CEO が下記の通り発言している。
「DowはOlin 株の50.5%を所有する。しかし、追ってDowはDow株主にOlin株を直接所有するよう、オファーする。
最終的には、3人の取締役を出すだけで、それ以外にはOlin の経営には全く関与しない。」取得したOlin株をDowの株主に売却することを通じて、クロルアルカリ事業を完全に売却することとなる。
付記
両社は6月16日、独禁法の Hart-Scott-Rodino (HSR) Antitrust Improvements Act of 1976 に基づく待機期間が満了し、独禁法上の問題がなくなったと発表した。
7月17日、IRSから取引を認めるレターを受け取ったと発表。
ーーー
米国には、Morris Trust が開発し、その後、税法上承認されたMorris Trust 取引と、これの変形のReverse Morris Trust 取引がある。
通常、事業を売却すれば売却益に対して課税される。
但し、売却側の企業の株主が、買収した事業を統合した後の買収企業の株の50%かそれ以上を所有する場合には無税となる。
売却側企業の株主が、Spin-off した子会社を統合した買収企業の株の過半を支配している。売却はしたが、依然として spin-off
した子会社の持分を継続支配しているため、実質的には売却ではなく、売却利益は発生していないという理屈である。
(その後で、株を売却すれば、株の売却益に課税される。)
下図で、A社が本体をB社に売却する形でB社と統合する場合がMorris Trust
取引、不要事業を売却する形でB社と統合する場合がReverse(逆)Morris Trust 取引である。
いずれの場合も新しいB社の株の50%以上をA社が持つ場合に売却が非課税となる。
ーーー
今回の場合は下記の形をとる。
Dow はクロルアルカリ事業をスピンオフし、Olin に売却する。
1) 対象はメキシコ湾岸のクロルアルカリ〜塩ビ事業と、グローバルな有機塩素事業及びグローバルなエポキシ事業
三井物産との50/50 JVのDow Mitsui Chlor Alkali のDow持分を含む。
ブラジル、ドイツ、豪州の事業は取引の対象外。
2) 売却額は合計50億ドル(非課税)で、内訳は下記の通り。
現金 20億ドル
Olin株式 22億ドル相当
年金その他の債務引継ぎ 8億ドル。売却代金の一部としてOlin 株式を受け取ることにより、Dow は新Olinの50.5%を取得し、無税売却の条件を満たす。
(課税取引なら、この手取りを得るためには80億ドルでの売却が必要との計算)
3) Dowは20年間のCapacity Rights Agreement により、Olinにエチレンを供給する。
4) 合併によるシナジー効果として年2億ドルを見込んでいる。
5)
新Olinの取締役会にはDow指名の3人の取締役が加わり、現在のOlinのCEOのもとで、統合新チームが経営にあたる。
新しいOlin は売上高が70億ドル、EBITDAが10億ドルのクロルアルカリ業界でのグローバルリーダーとなる。
1)EBITDA 10億ドルの構成
Olin Corp の前身は1892年にFranklin W. Olin が設立した火薬会社 Equitable Powder Company で、1898年にWestern Cartridge Companyとなり、 その後ウインチェスター銃で有名なWinchester Repeating Arms を買収した。現在もOlin はWinchester の商標を保持し、弾薬を扱っている。
2) 塩素の能力
Georgia Gulf は2013年1月にPPG Industriesのcommodity chemical divisionと合併し、Axiall Corp.となった。
2015/3/31 日本IBMの課税処分取消請求訴訟、2審も取り消し命じる
本件の事態は下記の通り。
1) 米IBMは2002年にアイ・ビー・エム・エイ・ピー・ホールディングス(IBM APH)という持ち株会社を設置し、米IBMが持つすべての日本IBM株をこの持株会社に売却した。
2) 日本IBMは2002年から2005年にかけて、IBM APHから自己株を3回に分けて安値で購入した。
IBM APH は計約3995億円の巨額損失を計上した。
3) 2008年から連結納税制度を導入し、日本IBMの黒字とIBM APHの赤字を相殺した。
4) 国税局はこれを租税回避行為とみなし、1197億円を追徴課税した。
今回のケースは課税処分がおこなわれた時点では合法であるが、国税当局は「税の負担を不当に減少させる結果」となる場合に租税回避行為として認めない法人税法上の規定を適用して課税した。
5) 日本IBM側は「日本の税法上要求されている税金はすべて納付している」とし、処分取り消しを求めて訴えた。
国側は「IBM APHはペーパーカンパニーで、株売買の条件も経済合理性がない」などとして、こうした取引が税逃れ目的だったと主張した。
他方、IBM側は「法的に問題ない」と主張した。
裁判長は判決理由で「IBM APHはグループ内で資金を柔軟に移動させるなど、持ち株会社としての一定の機能があった」として、ペーパーカンパニーだったとの国側主張を退けた。
株の売買条件などについても「不合理、不自然とは言えず、事業目的のない行為をしたとは認められない」と判断し、こうした手法を明確に禁じた当時の法規定も見当たらないとして「制度を乱用して税逃れを図ったとまではいえない」と結論付けた。
国側は「株取引は経済的合理性を欠く。損失は見せかけだ」と主張した。
裁判長は、「損失が発生したのは法人税法の規定を適用した結果であり、見せかけの損失という国側の主張は根拠を欠き、採用の余地はない」と述べた。
(国内法人での同種訴訟では「制度の乱用で租税回避行為」と判断された例もある。)
東京国税局は「上告するかどうかを検討中」としている。
付記 国は4月7日、最高裁に上告受理を申し立てた。
付記 最高裁第一小法廷は2016年2月18日付の決定で、国の上告を受理しない決定をした。
素朴な疑問だが、IBM APH は米IBMから買った日本IBM
株を日本IBMに売っているが、売値が買値よりもはるかに安いために多額の損失が発生した。
直前の買値よりもはるかに安い株価での譲渡を寄付金として損金算入を認めないという手は取れなかったのだろうか。
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なお、上記の仕組みは現在では利用できない。
2010年度税制改正により、100%グループ内の法人間取引について税務上の取扱いが整備された。
100%グループ内の資産の移転による譲渡損益は、移転を受けた方がその資産をグループ外に売却した時点で計上される。
このため、現在のルールでは、外部への譲渡が行われるまでは、IBM APHの譲渡損失はゼロのままであり、租税の回避は出来ない。
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