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これは下記のブログを月ごとにまとめたものです。

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2017/1/16 Valeant Pharmaceuticals、L'Oréal にスキンケア3ブランドを、中国企業に子会社を売却 

経営再建中のカナダのValeant Pharmaceuticals International は1月10日、フランスのL'Oréal にスキンケア3ブランド、CeraVe、AcneFree、AMBI を現金13億ドルで売却すると発表した。

CeraVeは乳幼児向け製品を含むスキンケア製品ブランドで、皮膚科医と共同研究し、乾燥肌向けのクレンジングや乳液、日焼け止め、ベビー向けアイテムなどをそろえる。
AcneFreeはニキビ専門製品のブランド。Ambiはアフリカ系向けの専門製品ブランドで、
ホワイトニングに着目した洗顔料やCCクリームなどをそろえるいずれも全米の薬局やディスカウントストアなどで売られている。

これらはValeantが合計で150百万円程度で買収したものとされ、3ブランド合計の売上高は168百万ドルに過ぎず、買収価格は売上高の8倍に上る。
かなり高値の買収だが、
L'Oréal ではCeraVeが2年来で20%を超える平均増収率を達成していることなどを挙げて、買収対象が高い成長力の事業であることを強調している。

3ブランドは、L'Oréal のActive Cosmetics部門(LA ROCHE-POSAYVICHYSKINCEUTICALSなど)に合流する。買収により同部門の米国による売上高は2倍に増える見通しで、薬局・ドラックストアなど、L'Oréal が手薄だった販売チャネルに食い込める。ロレアルはCeraVeの世界販売も進める構え。

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Valeant は1月9日、子会社Dendreon Pharmaceuticals, Inc.を中国の三胞集団(Sanpower Group Co., Ltd)に819.9百万ドルで売却する契約を締結したと発表した。

同社の唯一の製品Provenge® (sipuleucel-T)  は2010年4月にFDAから、無症候性またはわずかに症状が見られる転移性でホルモン療法抵抗性の前立腺癌患者の治療薬として承認を受けている。

Valeantにとっては癌分野はコア事業ではないため、売却する。

三胞集団有限公司は、五大産業圏(New Finance、New Consumption、New Health、New Technology、New Real Estate)でシナジー効果を生かし活動する大型民営企業である。傘下の会社が100社以上であり、世界 中の従業員が合計10万人を超え、うち海外従業員が3万人である。

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Valeant はこれまで、成長の大部分を買収や、買収で手に入れた割安な医薬品の値上げに依存していた。
同社
は米国での医薬品値上げで監督当局や政治家から監視の対象となり、数カ月にわたって混乱に見舞われている。

カナダの製薬大手 Valeant Pharmaceuticals が2種類の心疾患治療薬を大幅に値上げしたことをめぐり、米議会下院の監視・政府改革委員会の民主党委員らが問題視した。

ValeantはMarathon Pharmaceuticals から2種類の心疾患治療薬(特許切れだがジェネリック品無し)を買収したが、即日、大幅値上げした。

医薬品 Marathon価格 Valeant価格 値上げ率
Isuprel 215.46$ 1,346.62$ 525%
Nitropress 257.80$ 805.61$ 212%

議員は、Valeantが2つの薬剤の権利を取得した当日にそれぞれ525%、212%値上げした根拠になる文書の提出を要請していたが、同社は機密性が高いとして情報の提出を拒んだ。

2016年3月15日の米国の株式市場で、Valeantの株価が51%下落した。
業績見通しを下方修正したことや、2015年第4四半期決算が予想を下回ったこと、4月の期限までに年次報告書を提出しなかった場合はデフォルトに陥る恐れがあると明らかにしたことなどが理由。

Valeant は再建対策の一つとしてコアでない資産の売却も検討しており、問い合わせもあるという。

Wall Street Journalによると、武田薬品と投資会社TPGから共同での買収提案があった。金額の提示はなかったとされ、Veleantはこれを拒否、その後の話し合いはないという。

Valeantは4月25日にライバルのアイルランドの製薬大手 Perrigo Co. のCEOのJoseph Papaを会長・CEOとして迎えることを決めた。

その後、資産家のWarren Buffett が5月初めに、Valeant のビジネスモデルには非常に大きな欠陥があると述べたこともあり、株価は2015年8月の高値から85%余り下落した。

2016/5/30   武田薬品、カナダのValeant Pharmaceuticalsに買収を提案、拒否される

Wall Street Journal は2016年11月1日、カナダの製薬大手Valeant Pharmaceuticals International が多額の債務を軽減するため、胃腸薬事業のSalix Pharmaceutical を武田薬品工業に約100億ドルで売却する交渉を行っていると報じた。

2016/11/4 武田薬品、Valeant Pharmaceuticalsの胃腸薬事業買収を交渉

 

Valeantは新任のJoseph Papa 会長・CEOの下で再建を進めており、今回の2件の売却収入を借入金の返済の充てる。

同社は2017年1月10日の経営説明会で、既に安定化が完了、今後成長に向けて動くとしている。

 

Valeant については下記記事を参照

2014/10/22 米製薬会社 Allergan を巡る買収合戦 
2015/2/28 Valeant Pharmaceuticals、米同業Salix Pharmaceuticalsを買収
2015/3/18 Salix Pharmaceuticals の買収合戦
2015/8/26 Valeant Pharmaceuticals、女性用バイアグラの Sprout Pharmaceuticalsを買収
2016/5/30 武田薬品、カナダのValeant Pharmaceuticalsに買収を提案、拒否される
2016/11/4  武田薬品、Valeant Pharmaceuticalsの胃腸薬事業買収を交渉

 

 


2017/1/17  米国で次世代原子炉申請 

米オレゴン州の原発メーカーNuScale Power は1月12日、開発を進めてきた次世代原子炉の小型モジュラー炉(SMR)を使った初めての発電所を建設・運転するための認可申請を米原子力規制委員会(NRC)に提出した。

発電所の所有者は
Utah Associated Municipal Power Systems で、アイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory )内に建設され、操業はEnergy Northwestが担当する。

NRCは40カ月かけて審査する。

SMRは出力が小さいため冷却が容易で、従来よりも安全性が高く、建設費用も安いとされる。
工場で建設され、トラックや貨車やバージで輸送され、現場で組み立てられる。

NuScale Power のSMRは直径 2.7m、高さ 19.8mで、1基当たりの出力は5万キロワットで、12基を組み合わせ、計60万キロワットの出力を予定している。

リアクターと容器は地下につくられたプールの水のなかに置かれる。

仕組みは以下の通り。

核反応によるエネルギーで一次冷却水が熱せられ、対流と浮力で上昇する。

上昇した熱は、蒸気発生器の数百本のチューブの壁を通して二次冷却水を熱し、蒸気にする。この蒸気がタービンを回し、発電する。 (リアクター1基に発電機1基)

冷たくなった一次冷却水は重力で落下し、再度熱せられる。(繰り返し)

モジュールの冷却には自然対流と伝導によるので外部配管やポンプ、駆動用の電源を必要としない。


各モデュールは24カ月に一度、10日ほどかけて核燃料が補給されるが、その間、他のモデュールは稼働している。

 

事故で原子炉が運転停止すると 、外部電源無しに、冷却水の補充なしに、オペレータの作業なしに、自動的に無期限に冷却され炉心溶融を防ぐ。

 

下記により安全を確保している。

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NuScale Power は英国での事業化を検討している。

英国の国立研究所の研究で、このSMRで通常の軽水炉用原子燃料のほかMOX燃料についても使用可能であることが確認された。
MOX燃料を一部もしくは全量使う場合のいずれの場合においても原子炉の設計や運転には最小限の影響しか与えないことを確認した。

5万kWのSMRを12基連結したプラントでフルMOX燃料での運転を行えば、40年間で 2,000億kWhの電力を発電しつつ100tのプルトニウムを消費できるとしている。


2017/1/18   アブダビ2油田の権益25年延長

世耕経済産業相は1月15日、訪問先のアラブ首長国連邦(UAE)でアブダビ国営石油会社(ADNOC)のCEOと会談し、 国際石油開発帝石(INPEX)が保有するアブダビ海上のサター油田及びウムアダルク油田(合計生産量:日量約3.5万バレル)の権益期限の延長(25年間) とウムアダルク油田の権益比率増に基本合意した。

日本にとってUAEはサウジアラビアに次ぐ原油供給国で、自主開発する原油の約4割はアブダビに集中する。
経産省では次の通り述べている。

日本政府は、アブダビの首長家及び閣僚等に対し、海上油田の権益延長に向けたハイレベルでの働きかけを継続的に行ってきたほか、アブダビ側の関心が高い産業・投資、教育、医療、先端技術等、広範な分野での協力を実施してきました。今般の権益延長の基本合意は、日本企業の実力とともに、こうした日アブダビ間の幅広い関係が評価されたものと言えます。

両社はこの合意に基づき、権益期限の延長(2018/3/8→2042/12/31)及びウムアダルク油田に関するINPEXの権益比率増(現在の12%→40%) を含む詳細な条件を協議し、合意を目指す。

INPEXは
2004年5月に、石油公団(当時)が保有するジャパン石油開発(JODCO)の全株式を株式交換により取得し、同社を完全子会社化した。
ジャパン石油開発はUAEのADMA鉱区に下記の権益を有しているが、
これらの油田は2018年3月に期限が来るため、延長交渉を行って きた。

契約地域(鉱区)

権益比率

期限
JODCO ADNOC その他
ウムシャイフ油田 12%  60% BP    14.67%
TOTAL  13.33%
今後交渉
ナスル油田
ウムルル油田
下部ザクム油田
上部ザクム油田 12% 60% ExxonMobil 28% 延長済み
ウムアダルク油田 * 12% 88%   今回、延長基本合意
サター油田 40% 60%  

* ウムアダルク油田 については、JODCOの比率を40%にすることで交渉中。

このうち、上部ザクム油田については2014年1月20日に2041年12月31日まで延長された。

1日あたりの生産能力は全体で約55万バレルで、INPEXの取り分はその12%分の日量6万バレル以上になる。

生産コストが安く探鉱リスクもないことから、BPやトタルなど国際石油資本(メジャー)が比率拡大を狙うほか、中国も新規参入を目指している。今後、期限切れを見越して激しい国際競争が予想されている。

ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20170117/k00/00m/020/092000c#csidxaf4f159259e4622acad4c3b18e3772e
Copyright 毎日新聞
生産コストが安く探鉱リスクもないことから、BPやトタルなど国際石油資本(メジャー)が比率拡大を狙うほか、中国も新規参入を目指している。今後、期限切れを見越して激しい国際競争が予想されている。

ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20170117/k00/00m/020/092000c#csidxaf4f159259e4622acad4c3b18e3772e
Copyright 毎日新聞

問題は残る油田で、生産コストが安く探鉱リスクもないことから、BPやTOTALが比率拡大を狙うほか、中国も新規参入を目指しており、今後、激しい国際競争が予想される。

 

なお、国際石油開発帝石は2015年4月27日、アブダビ首長国の陸上のADCO鉱区の5%の参加権益を取得し2015年1月1日からの40年間を契約期間とする利権契約を同国政府及びアブダビ国営石油会社(ADNOC)と締結したと発表した。

ADCO鉱区は同国陸上に位置する11の生産油田と4つの未開発油田から構成されており、本鉱区全体で日量約160万バレルの原油が生産されている世界でも有数の巨大油田群。

2015/4/29  国際石油開発帝石、アブダビ首長国の陸上ADCO鉱区の権益取得  

ーーー

アブダビ石油(コスモ石油 64.4%、JX石油開発32.2%ほか)はアブダビ沖の油田権益を持つが、新利権協定が、2012年12月6日に発効した。

アブダビ石油が同国において操業中の既存3油田(ムバラス油田、ウルアルアンバー油田およびニーワットアルギャラン油田)の利権が今後30年にわたり更新されるとともに、既存3油田と同程度の生産規模が見込まれる既発見未開発の新鉱区(ヘイル油田)について、新たに30年の権益が確保された。

2009/1/23 アブダビ石油の油田権益 20年延長へ


 

2017/1/19 BREXIT の12のポイント 

英国のTheresa May首相は1月17日、EUからの離脱を巡り、移民制限や司法権独立など英国の権限回復を優先し、EU単一市場から完全に離脱すると表明した。

単一市場に残りながら移民を制限する “soft Brexit ” は、「いいとこ取り」を認めると他に離脱国が出ることを恐れるEUが認めないことが確実なため、“hard Brexit" に踏み切った。

付記

英国の最高裁は1月24日、EUからの離脱開始のプロセスについて議会での投票が必要との判断を明らかにした。

EUとの離脱協議を正式に開始するには、EUの基本条約である「リスボン条約」50条を発動させ、離脱を通知する必要がある。裁判は、この離脱通知を、議会の承認なしに、政府が行使する「国王大権」で行えるかどうかが争われた。

判決は、一審のロンドンの高等法院が2016年11月に示した判決を踏襲。英国をEUから離脱させる手続きは、EU法の効力を国内に及ぼすことを定めた国内法の効力を失わせると指摘し、議会の主権を認めた上で、「国王大権」には、議会が制定した国内法で認められた国民の権利を変更する権限はないと判断した。

May首相は3月末までに50条を発動する意向を表明しているが、議会の承認が必要となり、スケジュールに遅れが生じる可能性も出てきた。

付記

英下院は2月8日、494 対122 の賛成多数でEU離脱通知法案を可決した。

付記

英上院は3月1日、法案を一部修正し、358 対 256で可決した。英国内のRU出身者の権利保障を求めるもの。
上院は3月7日、366対268で再修正案を可決した。離脱協議の最終合意について上下両院で承認を求めるもの。
いずれも、英政府は交渉の手足を縛ると反発している。

英下院は3月13日、下院が上院による修正案を否決したことを受けて、上院もこれを追認し、当初の原案通り可決した。

 

首相はBrexit計画の12のポイントを挙げた。

1) Provide certainty about the process of leaving the EU

EU離脱のプロセスのすべてを明らかにすることは出来ないが、概要は伝え、パニックや市場の混乱が生じるのは防ぐ。

EUとの最終合意については議会で議決する。

2) Control of our own laws

英国の法律は、EUのLuxembourgで作られるのではなく、 英国のWestminster、Edinburgh(Scotlandの首都)、Cardiff(Walesの首都)、Belfast(Northern Irelandの首都) でつくる。

欧州司法裁判所(European Court of Justice)ともサヨナラだ。

3) Strengthen the Union between the four nations of the United Kingdom

強い英国には、英国のBritain、Scotland、Wales、Northern Irelandの4か国の統合強化が必要。

Brexitについて、Scotland、Wales、Northern Irelandの主張は聞くが、最後は英国政府が決める。
特にScotlandに、英国を離脱し、新しい国境をつくるなどしないで欲しい。


4) Maintain the Common Travel Area with Ireland

英国とアイルランド共和国では1923年の協定で圏内の移動の自由が認められている。(「Common Travel Area:CTA」)

Brexit 後も、EUメンバーであるアイルランドとの間で移動の自由を続ける。EU加盟以前に戻るだけだ。

5) Control of immigration coming from the EU

欧州からの英国への移民の数をコントロールする。

医者や科学者や技術者は受け入れるが、コーヒー店で働くような移民は制限する。

EU市民の貢献は認めるが、記録的な移民が賃金を引き下げ、学校や病院や住宅が満員になり、これ以上受け入れ出来ない。

6) Rights for EU nationals in Britain, and British nationals in the EU

英国でのEU市民の権利は保証するが、それはEUで英国市民の権利が保証される場合である。

7) Protect workers' rights

英国政府は欧州の法律で決められた労働者の権利を守るとともに、英国でも権利保護の法をつくる。

労働党党首Jeremy Corbynは、EUに残留することは「有給休暇や差別禁止の規制、産休、父親の育児休暇、そしてとりわけ環境保護」を守ることになると言うが、Brexitでこれらが変わることはなく、逆にもっと良くなる。

8) Free trade with European markets through a free trade agreement

EUとの間で大胆で野心的なFTAを締結する。ある種の関税協定を結び、関税支払いを不要とする。

これが無理なら、低税率で規制の少ない経済に移行し、ビジネスにとってEUよりも魅力的な国にする。

ーーー

ロジャーズ前駐EU大使はEUとの「将来協定」締結には各国議会の承認が必要で、「10年かかる」と英政府に報告したと伝えられる。


9) New trade agreements with other countries

EU以外の他国と貿易協定を結び、偉大な、グローバルな、貿易国家としての役割を再発見する。

そのキイはDonald Trumpだ。

ーーー

オバマ米大統領は2016年4月に、英国がEU離脱を選択した場合、米国との通商協定締結交渉は「最後列」に並ぶことになると述べた。
これに対し、トランプ次期大統領は
、大統領就任後数週間内に英国に対して貿易協定のチャンスを提供すると述べた。(2017/1/16 The Times )

しかし、EUの制度では正式な離脱まで加盟国として扱われ、第三国との交渉に入れない。

交渉にも入れないのであれば、離脱後、長期間にわたり、第三国との間に協定なしとなるが、どうするのだろうか。


10) The best place for science and innovation

科学、研究、技術分野でのEUとの協力継続の協定を歓迎する。

11) Cooperation in the fight against crime and terrorism

EU離脱後も、犯罪対策、テロ対策でEUと緊密に連携する。

12) A smooth, orderly Brexit

移行期間が必要だが、それは短くしたい。

 



2017/1/20 ソウル地裁、サムスン電子副会長の逮捕を認めず 

朴槿恵大統領が絡む疑惑と親友の崔順実被告の国政介入事件を調べている韓国の特別検察官の捜査チームは1月16日、贈賄などの容疑でサムスングループの事実上のトップ、李在鎔サムスン電子副会長の逮捕状を請求した。

逮捕には裁判所の許可が必要である。

ソウル中央地裁は1月19日、特別検察官チームによる李在鎔副会長に対する贈賄や横領、偽証容疑の逮捕状の請求を棄却した。

判事は「現段階で逮捕の事由や必要性を認定するのは難しい」と発表。理由として「賄賂犯罪の要件となる対価関係、不正な請託などに対する現在までの証明の程度や、各種支援経緯に関する具体的事実関係とその法律的評価をめぐり争いの余地がある」と指摘した。

特別検察官チームは在宅起訴を検討するとみられる。

韓国ロッテグループの不透明な株取引を巡る昨年の捜査でも、検察は背任などの容疑で辛東彬(重光昭夫)会長の逮捕状を請求したが、裁判所は発付を認めなかった。

2016/10/3 ロッテ会長の逮捕状請求棄却と高高度防衛ミサイル(THAAD)配置 

付記

韓国の特別検察官は2月14日、李在鎔サムスン電子副会長について贈賄などの疑いで逮捕状を請求した。13日に出頭を求め、改めて事情聴取。再請求に踏み切った。

ソウル中央地方裁判所は2月17日、副会長の逮捕を認めた。「新たに構成された犯罪事実と追加の証拠資料などを考え、拘束の必要性を認める」と説明した。
地裁側も、朴氏の疑惑に対する国民の関心が高く、野党が一致して李副会長の逮捕を求めていたことを考慮したとみられる。

ーーー

サムスンは2015年8月に崔順実被告のドイツ法人であるCore Sportsと220億ウォン台のコンサルティング契約を結び、このうち38億ウォンを送金した。
2015年10月と2016年1月には崔被告のめいのチャン・シホ氏が設立した韓国冬季スポーツ英才センターにも16億2800万ウォンを後援した。
崔被告が設立に深くかかわった文化支援財団「ミル財団」とスポーツ支援財団「Kスポーツ財団」に204億ウォンを拠出した。

支援を約束したものまで含めると総額430億ウォン(約41億3600万円)に上る。

特検チームはこうした支援が2015年7月に朴大統領が保健福祉部傘下の国民年金公団を通じサムスン物産と第一毛織の合併を助けたことに対する答礼だとみており、これらの資金協力が李副会長の指示もしくは了解のもと実行されたとし、副会長に崔被告側への贈賄罪が成立すると判断した 。

これに対し

サムスングループはコメントを発表し、「特別検察官の決定は理解しがたい。副会長が対価を望んで支援したことは決してない。
崔順実被告に対する支援とミル財団・Kスポーツ財団への支援金は、朴大統領の強要により仕方なく出したものだ。
とりわけ、合併や経営権の継承と関連して不正な請託があったとする特別検察官の主張は受け入れがたい。裁判所の正しい判断を信じている」として、裁判所が、特別検察官側の逮捕状の請求を認めないことに期待を示した。

ーーー

Samsung Group の持株会社 第一毛織(Cheil Industries Inc.) が2014年12月18日に上場した。

上場は創業家の事業継承の一環で、「李在鎔・電子副会長らは上場で得た資金を、病床にある父親の李健熙・電子会長の資産を引き継ぐ際の相続税か、系列会社の株式の買い増しに使うのではないか」と見られている。

李健熙会長は、三星生命の20.76%、三星電子の20.76%を保有しており、李在鎔副会長がこれを相続すれば、相続税は約7兆ウォン(約7千億円)とされる。

第一毛織は旧称 三星エバーランドで、レジャー関連事業(ソウル南方の龍仁市にあるテーマパーク、三星エバーランドを運営)などの事業を行うが、事実上のサムスングループの持ち株会社としての性格も持つ。

2013年9月に旧 第一毛織からファッション事業部を買収した。

2014/12/2 Samsung Group の持株会社 第一毛織の上場 

2015年7月18日の臨時株主総会で、第一毛織とサムスン物産(Samsung C&T) の合併を決めた。これにより、財閥の中心の三星電子に対する李一族の支配権が強化される。

ヘッジファンドのElliot Managementなどが反対したが、
国民年金公団などの賛成で承認した。 賛成は69%強で、必要な2/3にギリギリであった。

サムスン物産の株式 7.12%を保有しているElliot Managementは、過度に不利な割合でも合併案を可決するサムスン物産を理解しがたいと述べた。

議決権の諮問機関であるISS(Institutional Shareholds Service)とGlass Lewis、韓国企業支配構造員なども相次いで合併比率がサムスン物産に不利だと国民年金に反対を勧告した。

サムスン側は合併実現に必死で、サムスン物産は自社株を親密企業に売却し、追加の議決権を作り出した。また賛成票を確保するための緊急対応チームを設け、株主訪問をさせた。

2015年9月1日、第一毛織とサムスン物産(Samsung C&T)が合併し、新しいサムスン物産(Samsung C&T) とな り、Samsungグループ支配構造の事実上の持ち株会社となった。

李一族 → サムスン物産(Samsung C&T) → 三星生命 → 三星電子

付記  新しい出資比率は次の通り。サムスン電子への一族の直接の出資は少ない。
    今後、サムスン物産と新設の持株会社サムスン電子ホールディングスを統合し、サムスン電子への支配を強める。

 

この合併について、朴政権が第一毛織とサムスン物産2社の大株主だった国民年金公団に対し、所管官庁の保健福祉省を通じて合併に賛成するよう圧力をかけた疑いがある。

国民年金基金運用委員会が投資委員会を開き、合併に賛成することに決定した過程を記録した議事録が出て疑惑が増幅された。

この合併に対する疑惑は下記の通り。

@ 国民年金が、サムスン物産・第一毛織間の合併比率1対0.35 (サムスン物産1株を第一毛織 0.35株で交換)が不利という点を明確に認識しながら合併に賛成した。

国民年金リサーチチーム長は、「私たちが算出した両社の適正価値に基づいて合併比率をを見ると1対0.46で、サムスンが提示した合併比率はサムスン物産に多少不利だ」と認めた。

A サムスンが出した合併比率を適用すれば、国民年金が独自に算出した適正比率より3468億ウォン損害を被ることを知りながらも合併に賛成した。

国民年金の資料では、第一毛織の終値18万ウォンを基準に国民年金が保有したサムスン物産と第一毛織株式の総価値を計算すると、
サムスンが提示した合併比率(1対0.35)では、2兆2799億ウォン、適正合併比率(1対0.46)では 2兆6267億ウォンとなる。

B 国民年金にとって合併比率が不利にもかかわらず、賛成の理由として、合併のシナジー効果が2兆ウォン以上あり、合併比率の差による損失を相殺するとした。

   しかし、これは国民年金が独自判断で合併シナジー効果を算出したのではなく、サムスンの発表をそのままコピーしただけ。

C ヘッジファンドのElliot Managementが合併反対の立場を表明した後、国民年金が急に合併に賛成したのは、大統領府と政府の圧力のためではないか。

この 議事録によると、正式参加者の中ではリスク管理センター長、運用戦略室長、海外証券室長が、サムスンが提示した合併比率の不公正性、合併後シナジー効果の不確実性などを理由に最後まで反対したが、基金運用本部長は議論が明確に整理していないのに表決を強行し、出席者12人のうち8人の賛成で決定した。

ハンファ証券は合併に否定的な報告書を二度出し、サムスン物産株式を持った国内の50あまりの機関投資家の中で唯一、株主総会で合併に反対した。
社長はその後、グループのトップからの圧力で退職を余儀なくされた。

その元社長の発言。

サムスンは、副会長一家の持分が多い第一毛織に有利に合併を実現させるため、サムスン物産の実績をわざと悪くして株価を低下させた。

外国の機関投資家らは大部分反対したが、国内の機関投資家たちもファンド加入投資者たちに損だということを知りながら、共に合併に賛成した。
金融会社としては、サムスンが最大顧客であり、サムスンが全方位ロビーを行った。

 


2017/1/21 「早死したくなければ、女医を選べ」 

Don't want to die before your time?  Get a female doctor” --- USA Today (Dec. 19, 2016) のタイトルです。

女性の内科医が診る入院患者は、男性の内科医が診る患者よりも死亡率が低いという米国での分析結果を、Harvard T.H. Chan School of Public Healthの津川友介研究員(医療政策)らのグループがまとめ、JAMA Internal Medicine に論文が掲載された。

Comparison of Hospital Mortality and Readmission Rates for Medicare Patients Treated by Male vs Female Physicians

調査対象は2011〜2014年にMedicare (高齢者・障害者向けの公的保険)に加入している65歳以上の高齢者で、肺炎や心疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの病気で緊急入院した患者およそ130万人。

対象患者の入院後の経過と担当医の性別との関連を解析するため、Medicareに登録されたデータから病状や診療に関するデータを入手し、入院日から30日以内の死亡率(30日死亡率)と退院後の30日以内に再び入院する確率(30日再入院率)を女性医師と男性医師とで比較した。

この際、患者の重症度や年齢、入院の原因以外に持っている病気など患者の特性と、医師の特性(年齢、出身医学部など)、入院している施設をそろえるなど、結果に影響を与えそうな条件を補正したうえで比較を行っている。

条件を補正した後で、女性医師が診た患者が入院から30日以内に亡くなった割合は11.07%だったが、男性医師の場合は11.49%だった。この差は「統計学的に有意」(偶然や計算上の誤差では説明がつかない程)に低いもので、男性医師の患者の死亡率が女性医師の患者並みに下がれば、米国の65歳以上の死亡数を年間約3万2000人減らせるという。

退院後30日以内に再入院する割合も女性医師の患者の方が低かった。特に重症の患者で差が大きいという。

対象を「ホスピタリスト」(病棟勤務の内科医。患者を順番に担当するので、軽症患者を意識的に選ぶことはできないし、患者が医師を指定することも不可能で、担当する患者の重症度は同じレベルにそろう )に限定した場合でも、女性医師が担当した患者の30日死亡率は10.8%、男性医師では11.2%、再入院率は女性医師14.6%、男性医師15.1%で、「統計学的に有意に」女性医師のほうが低かった 。

津川氏の説明によると、一般に女性医師は、診療ガイドラインなどルールの遵守率が高く、エビデンス(科学的根拠)に沿った診療を行うほか、患者とより良いコミュニケーションを取ることが知られている。また、女性医師は専門外のことを他の専門医によく相談するなど、可能な限りリスクを避ける傾向があるようで、practice patterns の違いが分析結果に影響したとみている。

米国では、医学部卒業生の男女比は1:1だが、女性医師の割合は約1/3。 給与面にも格差があり女性医師の給与は男性医師よりも平均8%低いという。
(日本では女性の内科医は全体の
18.9%とされる。)


2017/1/21 初の中国・英国 直通貨物列車、ロンドン到着

国発・英国着の貨物列車・中欧班列(China Reilway Express)が1月18日午後、ロンドンの駅に無事到着した。

この列車は、中国製の衣料、靴、スーツケースその他の34個のコンテナーを積み、1月1日に中国の義烏西駅を出発し、18日間をかけて、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツ、ベルギー、フランスを経由、英仏海峡トンネルを渡り、1万2451キロを走り、終点に到着した。
国によって鉄道のゲージ幅が異なるため、貨物は数箇所で別の車両に積み替える必要がある。

今後、週に1便が運航する。

貨物輸送の場合、費用は航空便の半分で、輸送期間では船便の半分という。

中国と欧州の間には既に、北京とハンブルグ、重慶とドイツのDuisburg、義烏とマドリードの間で運行されている。

2014/12/13 中国と欧州を結ぶ国際貨物列車の第三路線が開通 

 

付記

初のチェコの首都プラハ行き国際定期貨物列車「中欧班列」が2017年9月9日、浙江省義烏市を出発した。この列車は44車両に標準コンテナ貨物88個が積み込まれ、その中身は主に布製品、衣類・靴類・帽子類、クリスマス用品などで、総額は2200万元(約367万円)を超えるという。

貨物は新疆自治区の阿拉山口市で輸出税関に運ばれて輸出手続きが行われ、カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、ポーランドを経由した後、最終目的地のプラハに到着する。到着までの所要時間は16日間前後で、水上輸送の場合と比べて半分以下になる。

 


2017/1/21 トランプ新政権の最初の政策方針 

トランプ新政権は1月20日正午の就任演説の直後に、ホワイトハウスのホームページ上でエネルギーや通商など6項目の政策方針を発表した。
通商政策ではTPPから離脱すると表明。NAFTAも再交渉すると主張し「米労働者の利益にならなければ離脱を通知する」と踏み込んだ。

1) America First のエネルギー計画

有害不要の規制の廃止
米国のエネルギー源の活用ーーシェール、クリーンな石炭技術
安全保障のためのエネルギー自立
最後に、環境保護も

2) America First の外交

力による平和

3) 雇用と成長

成長のための税制
規制廃止
雇用中心の通商交渉
25百万人の雇用をつくり、Make America Great Again

4) 軍の再建

5) 治安

安全なコミュニティ
犯罪率の引き下げ
違法移民の侵入防止のための壁の建設
犯罪歴のある不法移民の送還

6) 通商政策

ワシントンのエリートのためでなく、アメリカの労働者とアメリカのビジネス第一の通商政策
まずTPPからの離脱
NAFTAの再交渉、いやなら離脱
通商ルール違反国対策

 

また、トランプ新大統領は同日、オバマケアの撤廃に向けた最初の大統領令に署名した。オバマケアの迅速な撤廃に向け、「各省庁に現行制度による経済的負担を軽減するよう指示するためのもの」。

 

以下は政策方針の発表全文:

An America First Energy Plan
Energy is an essential part of American life and a staple of the world economy. The Trump Administration is committed to energy policies that lower costs for hardworking Americans and maximize the use of American resources, freeing us from dependence on foreign oil.

For too long, we’ve been held back by burdensome regulations on our energy industry. President Trump is committed to eliminating harmful and unnecessary policies such as the Climate Action Plan and the Waters of the U.S. rule. Lifting these restrictions will greatly help American workers, increasing wages by more than $30 billion over the next 7 years.

Sound energy policy begins with the recognition that we have vast untapped domestic energy reserves right here in America. The Trump Administration will embrace the shale oil and gas revolution to bring jobs and prosperity to millions of Americans. We must take advantage of the estimated $50 trillion in untapped shale, oil, and natural gas reserves, especially those on federal lands that the American people own. We will use the revenues from energy production to rebuild our roads, schools, bridges and public infrastructure. Less expensive energy will be a big boost to American agriculture, as well.

The Trump Administration is also committed to clean coal technology, and to reviving America’s coal industry, which has been hurting for too long.

In addition to being good for our economy, boosting domestic energy production is in America’s national security interest. President Trump is committed to achieving energy independence from the OPEC cartel and any nations hostile to our interests. At the same time, we will work with our Gulf allies to develop a positive energy relationship as part of our anti-terrorism strategy.

Lastly, our need for energy must go hand-in-hand with responsible stewardship of the environment. Protecting clean air and clean water, conserving our natural habitats, and preserving our natural reserves and resources will remain a high priority. President Trump will refocus the EPA on its essential mission of protecting our air and water.

A brighter future depends on energy policies that stimulate our economy, ensure our security, and protect our health. Under the Trump Administration’s energy policies, that future can become a reality.

America First Foreign Policy

The Trump Administration is committed to a foreign policy focused on American interests and American national security.

Peace through strength will be at the center of that foreign policy. This principle will make possible a stable, more peaceful world with less conflict and more common ground.

Defeating ISIS and other radical Islamic terror groups will be our highest priority. To defeat and destroy these groups, we will pursue aggressive joint and coalition military operations when necessary. In addition, the Trump Administration will work with international partners to cut off funding for terrorist groups, to expand intelligence sharing, and to engage in cyberwarfare to disrupt and disable propaganda and recruiting.

Next, we will rebuild the American military. Our Navy has shrunk from more than 500 ships in 1991 to 275 in 2016. Our Air Force is roughly one third smaller than in 1991. President Trump is committed to reversing this trend, because he knows that our military dominance must be unquestioned.

Finally, in pursuing a foreign policy based on American interests, we will embrace diplomacy. The world must know that we do not go abroad in search of enemies, that we are always happy when old enemies become friends, and when old friends become allies.

The world will be more peaceful and more prosperous with a stronger and more respected America.

Bringing Back Jobs And Growth
 Since the recession of 2008, American workers and businesses have suffered through the slowest economic recovery since World War II. The U.S. lost nearly 300,000 manufacturing jobs during this period, while the share of Americans in the work force plummeted to lows not seen since the 1970s, the national debt doubled, and middle class got smaller. To get the economy back on track, President Trump has outlined a bold plan to create 25 million new American jobs in the next decade and return to 4 percent annual economic growth.

The plan starts with pro-growth tax reform to help American workers and businesses keep more of their hard-earned dollars. The President’s plan will lower rates for Americans in every tax bracket, simplify the tax code, and reduce the U.S. corporate tax rate, which is one of the highest in the world. Fixing a tax code that is outdated, overly complex, and too onerous will unleash America’s economy, creating millions of new jobs and boosting economic growth.

As a lifelong job-creator and businessman, the President also knows how important it is to get Washington out of the way of America’s small businesses, entrepreneurs, and workers. In 2015 alone, federal regulations cost the American economy more than $2 trillion. That is why the President has proposed a moratorium on new federal regulations and is ordering the heads of federal agencies and departments to identify job-killing regulations that should be repealed.

With decades of deal-making experience, the President also understands how critical it is to negotiate the best possible trade deals for the United States. By renegotiating existing trade deals, and taking a tough stance on future ones, we will ensure that trade agreements bring good-paying jobs to our shores and support American manufacturing, the backbone of our economy. The President plans to show America’s trading partners that we mean business by ensuring consequences for countries that engage in illegal or unfair trade practices that hurt American workers.

By standing side-by-side with America’s workers and businesses, the President’s policies will unleash economic growth, create 25 million new jobs, and help Make America Great Again.

Making Our Military Strong Again

Our men and women in uniform are the greatest fighting force in the world and the guardians of American freedom. That’s why the Trump Administration will rebuild our military and do everything it can to make sure our veterans get the care they deserve.

Our military needs every asset at its disposal to defend America. We cannot allow other nations to surpass our military capability. The Trump Administration will pursue the highest level of military readiness.

President Trump will end the defense sequester and submit a new budget to Congress outlining a plan to rebuild our military. We will provide our military leaders with the means to plan for our future defense needs.

We will also develop a state-of-the-art missile defense system to protect against missile-based attacks from states like Iran and North Korea.

Cyberwarfare is an emerging battlefield, and we must take every measure to safeguard our national security secrets and systems. We will make it a priority to develop defensive and offensive cyber capabilities at our U.S. Cyber Command, and recruit the best and brightest Americans to serve in this crucial area.

Let us never forget that our military is comprised of heroic people. We must also ensure that we have the best medical care, education and support for our military service members and their families – both when they serve, and when they return to civilian life.

We will get our veterans the care they need wherever and whenever they need it. There should be no more long drives. No more wait lists or scheduling backlogs. No more excessive red tape. Just the care and support our veterans have earned through sacrifice and service to our country. The Trump Administration will transform the Department of Veterans Affairs to meet the needs of 21st century service members and of our female veterans. Our reforms will begin with firing the corrupt and incompetent VA executives who let our veterans down, modernizing the bureaucracy, and empowering the doctors and nurses to ensure our veterans receive the best care available in a timely manner.

Under the Trump Administration, America will meet its commitments to our veterans.

Standing Up For Our Law Enforcement Community

One of the fundamental rights of every American is to live in a safe community. A Trump Administration will empower our law enforcement officers to do their jobs and keep our streets free of crime and violence. The Trump Administration will be a law and order administration. President Trump will honor our men and women in uniform and will support their mission of protecting the public. The dangerous anti-police atmosphere in America is wrong. The Trump Administration will end it.

The Trump Administration is committed to reducing violent crime. In 2015, homicides increased by 17% in America’s fifty largest cities. That’s the largest increase in 25 years. In our nation’s capital, killings have risen by 50 percent. There were thousands of shootings in Chicago last year alone.

Our country needs more law enforcement, more community engagement, and more effective policing.

Our job is not to make life more comfortable for the rioter, the looter, or the violent disrupter. Our job is to make life more comfortable for parents who want their kids to be able to walk the streets safely. Or the senior citizen waiting for a bus. Or the young child walking home from school.

Supporting law enforcement means supporting our citizens’ ability to protect themselves. We will uphold Americans’ Second Amendment rights at every level of our judicial system.

President Trump is committed to building a border wall to stop illegal immigration, to stop the gangs and the violence, and to stop the drugs from pouring into our communities. He is dedicated to enforcing our border laws, ending sanctuary cities, and stemming the tide of lawlessness associated with illegal immigration.

Supporting law enforcement also means deporting illegal aliens with violent criminal records who have remained within our borders.

It is the first duty of government to keep the innocent safe, and President Donald Trump will fight for the safety of every American, and especially those Americans who have not known safe neighborhoods for a very long time.

Trade Deals Working For All Americans

For too long, Americans have been forced to accept trade deals that put the interests of insiders and the Washington elite over the hard-working men and women of this country. As a result, blue-collar towns and cities have watched their factories close and good-paying jobs move overseas, while Americans face a mounting trade deficit and a devastated manufacturing base.

With a lifetime of negotiating experience, the President understands how critical it is to put American workers and businesses first when it comes to trade. With tough and fair agreements, international trade can be used to grow our economy, return millions of jobs to America’s shores, and revitalize our nation’s suffering communities.

This strategy starts by withdrawing from the Trans-Pacific Partnership and making certain that any new trade deals are in the interests of American workers. President Trump is committed to renegotiating NAFTA. If our partners refuse a renegotiation that gives American workers a fair deal, then the President will give notice of the United States’ intent to withdraw from NAFTA.

In addition to rejecting and reworking failed trade deals, the United States will crack down on those nations that violate trade agreements and harm American workers in the process. The President will direct the Commerce Secretary to identify all trade violations and to use every tool at the federal government’s disposal to end these abuses.

To carry out his strategy, the President is appointing the toughest and smartest to his trade team, ensuring that Americans have the best negotiators possible. For too long, trade deals have been negotiated by, and for, members of the Washington establishment. President Trump will ensure that on his watch, trade policies will be implemented by and for the people, and will put America first.

By fighting for fair but tough trade deals, we can bring jobs back to America’s shores, increase wages, and support U.S. manufacturing.


2017/1/23  Bayer-Monsanto、合併承認を条件に米国での投資と雇用増を約束 

Trump次期大統領(当時)は1月12日、New YorkでBayer のCEOのWerner Baumann、MonsantoのCEO の Hugh Grant と会談を行った。

両社は合併を決めているが、米国の農民団体などはTrump氏に対し、競争が減り、種子や農薬の価格が上がるとして合併を認めないよう求めていた。

会談当日は、Bayerは、「農業の将来やイノベーションの必要性についての生産的な会談であった」とのみ発表した。

Bayer-Monsanto の合併もDow Chemical - DuPontの合併もまだ承認されておらず、Trumpが指名する司法省反トラスト局と連邦取引委員会(Federal Trade Commission)のトップが決めることとなる。
承認はされるとみられるが、いくつかの製品群を売却する必要があると思われる。


しかし、BayerとMonsanto両社のCEOがTrump次期大統領に対し、合併が承認された場合に米国での80億ドルの投資と数千人の新しい雇用を約束していたことが1月17日に判明した。

Trump氏のスポークスマンによると、BayerのCEOは、合併が承認された場合、Monsantoの本社を今まで通り St. Louisに置くとともに、3000人を追加雇用すると約束した。

BayerとMonsantoも次の共同声明を発表した。

両社のCEOはTrump 次期大統領とそのチームとの間で農業の将来とイノベーションの必要性について建設的な会談を行った。

両社の合併を行うのは、イノベーションを増やし、加速することで、世界の農民が気候変動や食料安全保障のような問題に対応するのを助けるためである。

米国は農業での世界のリーダーであり、両社の合併はこの役割を確実にする。

合併後の会社は今後6年間で農業分野でのR&Dに約160億ドルを投資する予定で、少なくともその半分は米国で投資する。数千人の高所得のハイテク職を新しく雇用し、米国を農業革新の最先端に置き、米国の農民によりよい製品とサービスをもっと早く供給する。

遺伝、ロボット、衛星写真分析、技師、データ処理、先進飼育、統計など、これらのハイテク職は農業におけるイノベーションを推し進める。


これに対し、合併に反対する農民団体などからは懸念の声が出ている。

米国第二の農民団体のThe National Farmers Union は会談が新政権による合併承認につながるなら問題だとの発表を行った。

合併には他の諸国の承認も必要である。

ーーー

Trump 大統領のモットーのMAGA(Make America Great Again)と twitter による米国の雇用の追加要求を受け、各社が米国での雇用増のPRをしている。

下記がその例の一部。
枠内はtwitter で、外国(特にメキシコ)生産を批判し、米国での投資・雇用増には称賛と感謝を表している。

 

ソフトバンクグループの孫正義社長は12月6日、Trump 次期米大統領とニューヨークの Trump Tower で45分間会談し、米国のスタートアップ企業などに500億ドルを投資し、5万人の雇用を生みだすと約束した。

Masa (SoftBank) of Japan has agreed to invest $50 billion in the U.S. toward businesses and 50,000 new jobs....

Masa said he would never do this had we (Trump) not won the election!

2016/12/7  ソフトバンク孫社長、米に500億ドル投資 

米航空機エンジン・機械大手 United Technologies 傘下の空調大手 Carrier は11月30日、メキシコに移転予定だったインディアナ州のIndianapolis 工場の1,000人の雇用を維持することで、Trump  次期大統領と Pence 次期副大統領(同州知事)と合意したと発表した。

“Trump is already delivering the jobs he promised America”

引用している記事では、@Trump氏と会談した孫正義氏のソフトバンク傘下のSprintが5,000人、出資を決めた衛星通信ベンチャーのOneWeb が3,000人の雇用増を行うこと、ACarrierの移転阻止で1,000人の雇用が維持されることを報じている。

 

2016/12/6   Trump 次期大統領、米空調大手のメキシコ移転阻止

 

Ford は2016年4月5日、メキシコのSan Luis Potosi に小型車の工場を新設すると発表した。Trump氏は当時、これを「全くの恥」と呼び、「私が大統領になったら、こうした雇用をつぶすばかげた取引を認めるつもりはない」と表明した。

Ford はその後もメキシコの工場への移管を進めたが、本年1月3日、メキシコでの工場新設をとりやめ、代わりに米ミシガン州 Flat Rock工場で7億ドルを投じて電気自動車と自動運転車をつくると発表した。700人を雇用する。

"Ford to scrap Mexico plant, invest in Michigan due to Trump policies"

 

"Thank you to Ford for scrapping a new plant in Mexico and creating 700 new jobs in the U.S. This is just the beginning - much more to follow"

2017/1/5 米フォード、メキシコ工場建設を中止 

付記 Fordは1月26日、メキシコ工場の撤回費用として2億ドルを計上したと発表した。

 

Trump氏は同時に、GMがChevy Cruzeをメキシコで生産し、無関税で米国に輸入しているとし、米国で生産するか、高関税をはらうかどちらかだと脅かした。

"General Motors is sending Mexican made model of Chevy Cruze to U.S. car dealers-tax free across border. Make in U.S.A. or pay big border tax!"

これに対しては、GMは「米国で売られているChevrolet Cruze のセダンはすべてオハイオ州の Lordstownで生産されている。メキシコでは海外向けのChevrolet Cruzeのハッチバックを生産しており、米国ではごく少量が販売されているに過ぎない」と述べ、メキシコ計画を進めるとした。

しかし、GMは1月17日、米国の工場に10億ドルを追加投資すること、サプライヤーがメキシコで生産していた車軸をミシガン州で生産すること、キイとなる成長分野で5000人以上を雇用することを発表した。
これとは別にWalmartも雇用増を発表した。

"Thank you to General Motors and Walmart for starting the big jobs push back into the U.S.!"

トヨタの豊田社長は1月5日の経済3団体の新年祝賀パーティーで、メキシコ新工場について、「工場建設はひとたび決めた以上は雇用と地域への責任がある。現地に行く以上はそこで貢献したい。決断はしっかりやりながら、動き出してからは粘り強くやる」と述べ、現時点で見直す予定はないという考えを示した。

その直後に、Trump次期大統領は twitterでトヨタのメキシコを取り上げた。米国に工場をつくるか、それとも多額の国境税を払えとする。

"Toyota Motor said will build a new plant in Baja, Mexico, to build Corolla cars for U.S.
NO WAY!
Build plant in U.S. or pay big border tax."

これを受け、トヨタ自動車は1月9日、今後5年間で米国に100億ドル(約1兆1600億円)を投資すると発表した。デトロイトで同日開幕した北米国際自動車ショーの会場で、豊田章男社長が記者会見を開いて明らかにした。

豊田社長は米国で13万6000人を雇用し、過去60年間で220億ドルを投資したと説明した。100億ドルの新たな投資の使途に言及しなかった。雇用増についても触れていない。

Trump氏はトヨタの発表に対しては、何もつぶやいていない。 雇用増を約束しなかったためではないかと言われている。


付記

トヨタは4月10日、1月公表の「今後5年間の米国内での100億ドル投資計画」の一つとして、ケンタッキー工場の刷新に13.3億ドルを投資すると発表した。

大統領のtwitter

"Toyota's decision to invest $1.3 billion in their Kentucky plant is further evidence that manufacturers are now confident that the economic climate has greatly improved under my administration and echoes the recent National Association of Manufacturers' 2017 Outlook Survey showing that 93% of manufacturers are now optimistic, which is an increase of 37% from just a few months ago."

付記

トヨタは2017年8月に
マツダと共同で米国に新工場を建設することを発表し、メキシコ新工場で生産するはずだったカローラは米国の新工場に移管する方針を示した。カローラは米国で集中的に生産することで効率を高める。

メキシコ新工場ではピックアップトラックのタコマを生産する計画に変更した。当初はカローラを年間20万台生産する予定であったが、タコマ10万台とし、投資額も10億ドルから7億ドルに3割減らす。

 


Fiat Chrysler Automobiles は1月8日、ミシガン州とオハイオ州の工場の設備増強のため計10億ドルを投じ、約2000人を追加で雇用すると発表した。「米市場で進む大型車への需要シフトに対応するため」としている。

ミシガン州Warren工場の設備を3年かけて入れ替え、ジープ2種を新たに生産する。また大型ピックアップのRamの生産をメキシコから移す。 オハイオ州Toledo 工場を近代化し、新しいピックアップトラックを生産する。

同社では、国と地方政府からの補助金支給をこれらの投資の前提条件としている。

“It's finally happening - Fiat Chrysler just announced plans to invest $1 BILLION in Michigan and Ohio plants, adding 2000 jobs. This after... 
Ford said last week that it will expand in Michigan and U.S. instead of building a BILLION dollar plant in Mexico. Thank you Ford & Fiat C! ”

 

そして、大統領就任後のtwitter

"We will follow two simple rules: BUY AMERICAN & HIRE AMERICAN!" 

 

"We will bring back our jobs. We will bring back our borders. We will bring back our wealth - and we will bring back our dreams!"

 

ーーー

付記

鴻海精密工業の郭台銘董事長は1月22日、液晶パネル工場を米国に新設する検討に入ったと表明した。投資額は70億ドルを超えるとされる。

ソフトバンクの孫社長が2016年12月6日にTrump 次期大統領とともに記者団の前に現れた際、写真の紙を示した。

次の4年に米国に500億ドル+70億ドルを投資し、米国に50千人+50千人の雇用を生むとなっており、Softbank に加え、Foxconn鴻海精密工業)の社名が示されている。

 



2017/1/24    東芝の原子力事業の損失の実態 

東芝は、アメリカの原子力事業の損失額について、当初の見通しよりさらにおよそ2000億円拡大し、7000億円規模に上る可能性があるという見通しを取りまとめたことが明らかになった。

東芝は12月27日、2015年末のStone & Webster (S&W) 買収で数十億ドル規模の「のれん」計上の可能性が生じたことを明らかにしていた。最高で5000億円とみられていた。

2016/12/30       東芝、Stone & Webster買収で数十億ドル規模の「のれん」計上の可能性

昨年末の想定を超える理由は、米の原発事業に絡むコストの実態解明が進んだことで、あらゆる費用を洗い出し、回収可能性を慎重に見積っている。円安で円建ての赤字が増える。



Westinghouseが受注し、S&Wが建設中の米国の4つの原発は、主にS&Wの責任により工事が大幅に遅延し、コストが急増している。 (安全基準の強化によるコストアップも)

Westinghouseは2015年にS&Wを
CB&I から建設の遅れについては責任を一切免責する(to get a "complete end to responsibility or liability")という条件で無償で買収した 。
(既報の229百万ドルは、建設完成後の報酬と機器引き渡しなど事後に
CB&Iが実施するものの対価である)

また、原発の発注元の電力会社との間では、S&W買収と同時に、コスト増のうちの電力会社負担分で合意しており、それ以上の求償できない。

このため、工事完成までのコストアップ分は全てWestinghouseが負担せざるを得ないこととなる。

WestinghouseはS&Wと一緒に事業を行っており、実態は熟知している筈である。

完成まで、どれだけ遅れるかは当然知っている。
電力会社との裁判を通じて、これまでのコストアップや今後の追加コストについても知っている筈である。
電力会社への追加請求ができないことも、自身が和解の当事者であるため知っている。

それにもかかわらず、CB&I を免責したのは理解しがたい。

また、東芝のトップが事態を2016年12月に初めて知ったというのも理解しがたい。

大幅なコストアップ分の負担が必要なことは早期に分かっている筈である。

後述するが、東芝は2016年8月21日の発表で、売買条件の実行についてCB&I が裁判所に申し立てをしたと明らかにしているが、実はWestinghouse側がコストアップ分20億ドルを請求していたのを、CB&I側が契約違反として申し立てたものであることがCB&I側の発表で分かった。
契約上、求償できないのは明らかである。

Westinghouseの経営陣と東芝の本事業担当の責任者は何を考えていたのであろうか。

今回は実態解明が進み、更なるコストアップが明らかになったもの。

「債務超過」を避けるため、東芝は主力のメモリー半導体事業を分社し、提携するハードディスク駆動装置(HDD)世界最大手の米 Western Degital などから出資を受ける交渉を始めている。半導体事業の分社化で数千億円を調達するほかに、他の事業を売却するなどして別途、3000億円規模を確保する。

但し、3月末までに間に合う保証はない。昨年の東芝メディカル売却で使った奇手は使えない。


付記 2017年1月30日 東芝、原発事業を見直し

ーーー

東芝は2016年10月5日、Westinghouse が米国の電気設備メーカーであるAZZ Inc.との間で、同社の子会社で第三者の部品供給メーカーとして米国内で最大規模のNuclear Logistics, LLCの原子力発電所向け部品事業を取得することに合意したと発表したが、1月20日にこれを取り止めると発表した。代わりに、AZZ Inc.との間での原子力発電所向け部品事業における協業契約を締結した。

ーーー

Westinghouseは米国で4件、8基の原発を受注したが、このうち、Vogtle原発、Virgil C. Summer 原発の各2基を建設中である。いずれもS&Wが建設を担当している。

現状・今後
    機種 当事者 経緯 現状
South Texas Project
(テキサス州)
3、4号機 ABWR (NRG Energy) / 東芝 2008/3 東芝受注、12%出資
2010/11  Shaw Group と提携(S&Wが建設)
2011/4 NRGが撤退(後継 未定)
2016/2
  ABWRとして初の認可
(未着工)
新パートナーを探し、進め方を決める。
2016/5/16 東芝、米国大手エンジニアリング会社との原発建設に関する協力関係を解消
Levy Project
(フロリダ州)
1、2号機 AP1000 Progress Energy
 
Duke Energy
2009/1  WH が受注
福島事故で認可時期が後ろ倒し
2013  建設断念
2014  契約解除
WH 352百万ドルの費用補填求め訴訟
2016/12 結審 30百万ドル+金利のみ
(建設断念・解約)
Vogtle Project
(ジョージア州)
3、4号機 AP1000 Southern Co. 2012/2  NRC認可 現在建設中

建設遅れのコスト負担で訴訟
2015/10 WHによるS&W買収時に解決
 

Virgil C. Summer Project
サウスカロライナ州)
2、3号機 AP1000 SCANA/Santee Cooper 2012/3  NRC認可
2012/4/4 米、2件目の原子力発電所新設を承認

しかし、両プロジェクトは、主にS&Wの問題で工事が大幅に遅延し、建設費も予算を大幅にオーバーした。

Vogtle Project で14億ドル、
Virgil C. Summer Project は当初予定の81.8億ドルから94.5億ドルに12.7億ドルの超過となる。(いずれも2015年時点)

東芝は「別の工場で大型モジュールをつくり、現場に運んで組み立てるので、36カ月で完成する」と宣伝したが、S&Wは大型モデュールをつくれなかったという。

超過費用の負担で、電力会社側とWestinghouse、Westinghouse とS&Wの間の争いになった。

 

S&Wは、Westinghouse に20%出資するShaw Groupの子会社であった。

2012年7月に米国大手エンジニアリング会社のCB&I が Shaw Group を買収することで合意、2013年2月に買収した。

CB&I は原子力関係事業からの撤退を決めた。

このため、東芝は、2012年10月10日にWestinghouseの株式 20%を Shaw Groupから取得すると発表した。 (Shawが当初の株式取得時のオプションを行使 )

また、Westinghouse は2015年10月にS&Wの買収を決め、12月31日に子会社とした。

Westinghouseは、S&Wを取得することで、米国プロジェクト全体の一元管理・遂行が行える推進体制を構築する とした。

2016/5/16 東芝、米国大手エンジニアリング会社との原発建設に関する協力関係を解消 

また、S&W取得のタイミングに合わせ、Vogtle Project と V.C. Summer Project での電力会社との間の訴訟で和解し、価格とスケジュールを見直すことにも合意した。

電力会社側は、WestinghouseがS&Wを買収し、建設側が一体化することを和解の条件とした。逆にいえば、買収しなければ争いが長期化する可能性があった。

Vogtle Project については、電力側の追加負担は建設側の要求よりも著しく少ない350百万ドルで、3号機は2019年稼働、4号機は2020年稼働とした。(当初予定は2016年4月稼働)

V.C. Summer Projectについては、電力側の負担は286百万ドルで、2号機は2019年8月末、3号機は2020年8月末完成とした。(当初予定は2018年後半〜2019年上期)

S&Wの買収に際し、WestinghouseはAP1000プロジェクトクトすべてに関し、過去・現在・将来の責務を負担し、CB&Iを免責するとしている。
かつ、WestinghouseはCB&Iに対し、原発計画の完成後に161百万ドル、CB&Iが継続してモデュール、組み立てパイプや特定のサービスを供与することに対し68百万ドル、合計229百万ドルを支払う。

この時点で東芝は87百万ドルの「のれん」を想定していた。(大幅なコストアップ負担を引き受けたにしては、余りにも少なすぎる)

後の報道では、東芝関係者が「S&Wを買収しなければ、2015年中に減損処理に追い込まれていたかもしれない。資産査定などの時間は限られていたが決断せざるを得なかった」と述べたという。
十分な計算をせずに、買収を決めてしまったとみられる。

東芝の2016年8月12日の発表によると、S&Wの買収契約には 下記の「価格調整条項」がある。

購入契約上、CB&Iは S&B の運転資本額として1,174百万ドル相当額を計上した状況で株式を譲渡する義務を負う。

買収完了後に運転資本額を精査し、運転資本額がこれを下回った場合は、差額をCB&Iが支払い、
逆に、上回った場合は、差額をCB&Iに支払うこととなっている。

見解に相違があった場合は、第三者の会計士が判断する。

この発表によると、Westinghouse では、これに基づく算定結果を含む書面をCB&Iに提出していたが、CB&Iは7月21日に 、第三者会計士へ判断を委ねることの差し止めを求めデラウエア州公衡平法裁判所に行った。

東芝は一切触れていないが、CB&Iによると、CB&Iは運転資本の算定の結果として基準を428百万ドル上回る結果を報告したが、Westinghouseは逆に20億ドルを請求したという。CB&IはS&Wの売買契約の免責条項を理由にこれを拒否し、裁判所に提訴した。

おそらく、Westinghouseはこの時点では30億ドル強の損失を認識し、これをマイナスの運転資本額として、差し引き20億ドルを請求したと思われる。

東芝は8月12日の発表時点で、Westinghouseが算定結果を含む書面をCB&Iに提出していること、即ち、多額の損失があること、かつCB&Iがこれを拒否していることを認識している。
Westinghouseの損失となる可能性が極めて強いが、このことを12月までトップにあげていないこととなる。

粉飾決算事件から再出発した筈の東芝の経営体制は一体、どうなっているのだろうか。

毎日新聞の1月23日付「風知草」は述べている。「議論なし、会計操作優先というメーカーに原発を造らせ、他国に輸出してよいか。安倍政権と経済産業省の良心に問いたい。」

東芝は2016年7月のカンパニー別PR説明会で、2030年度までに45基以上の原発受注を目指すと述べた。

2016/7/14  東芝、2030年度までに45基以上の原発受注を目指す  


 


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