2023/5/3 全米14位のFirst Republic Bankが破綻、3月以降で3行目
資産規模で全米14位のFirst Republic Bank
が5月1日付で経営破綻となり、米連邦預金保険公社(FDIC)の公的管理下に置かれた。FDICはFirst Republic
Bankの破綻と、
JPMorgan
Chaseによる買収を同時に発表した。
経営不安が広がったSilicon
Valley Bankでは預金保護の対象とならない非付保預金が大量に流出し、経営破綻に追い込まれた。同行は長期財務証券に巨額の資金を投資していた。
米国では金融機関が加盟する連邦預金保険公社(FDIC)が1口座あたり25万ドルを上限に保護する仕組みがあるが、Silicon
Valley Bankはスタートアップ業界を顧客としており、2022年末の預金残高約1750億ドルのうち89%に当たる約1560億ドル(約21兆円)は預金保護の対象外だった。
First Republic BankはSilicon
Valley Bankと同様、非付保預金が全体に占める割合が高かった。
Silicon Valley Bank破綻後に米金融当局は預金の全額保護を打ち出したが、顧客から預金保険制度の限界を見抜かれて預金の流出を止めきれなかった。
顧客は数日のうちに約1,000億ドルの預金を引き出した。
3月16日には11の大手金融機関から経営への異例の支援策として合わせて300億ドル預金を受け取った。
JPMorgan Chase、Bank of
America、Citibank、Wells
Fargoが各50億ドル、GoldmanとMorgan
Stanleyが各25億ドル、その他5行が各10億ドルを預金した。
しかし、4月24日に発表した1Q決算で、3月末時点の預金残高が減少したことが明らかになると、再び、経営への懸念が高まった。
First Republic Bank
の預金は2022/12/31時点では2,126億ドルであったが、4/13には1,039億ドルとなっており、破綻時には920億ドルになっている。
米国の銀行の資産残高 2022/12/31時点 億ドル
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資産残高 |
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1 |
JPMorgan Chase |
32,019 |
First Republic
Bankの資産、負債を買収 |
2 |
Bank
of America |
24,185 |
|
3 |
Citibank |
17,668 |
|
4 |
Wells Fargo |
17,175 |
|
|
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14 |
First Republic Bank |
2,126 |
2023/5/1 破綻
JPMorgan
Chaseが資産、負債買収 |
16 |
Silicon Valley Bank |
2,090 |
2023/3/10 破綻 First
Citizens BancSharesが買収 |
|
Signature Bank |
1,104 |
2023/3/12 破綻 New York
Community Bancorpが買収 |
JPMorgan
ChaseはFDICが実施した緊急入札で落札、First
Republicの下記の資産と負債を引き受け、対価として106億ドルをFDICに支払う。
資産 融資債権(約1730億ドルを約13%の割引で)、保有証券(約300億ドル)
負債 預金(約920億ドル)、米連邦住宅貸付銀行(FHLB)制度による借入れ(約280億ドル)
さらに、JPMorgan とFDICは、First
Republicの一戸建て住宅向けローンと商業用ローンの損失と回収額を分け合う。
1994年に成立させた法律では、銀行が買収などにより米国内で10%以上、州内で30%以上の預金シェアを持つことを禁じている。すでに全米シェアが10%超のJPモルガンは通常であれば銀行の買収はできないが、「破綻した銀行の買収は例外」となる。
JPMorganはこの買収によって約26億ドルの一時利益と2023年~24年で約20億ドルのリストラ費用を見込む。
FDICとJPMorganは今回の買収で、FRCから引き継ぐ住宅ローンや商業用ローンで損失が発生した場合、今後5〜7年はFDICが損失の8割を負担する契約を結んだ。
FDICはJPMorganに5年固定金利で500億ドルの融資も提供する。
2023/5/4 米FRB、3会合連続の0.25%利上げ
米連邦準備理事会(FRB)は5月2~3日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ
5.00~5.25%とした。
11 |
|
2018/12 |
2.25%~2.50% |
+0.25% |
2019/7 |
2.00%~2.25% |
-0.25% |
2019/9 |
1.75%~2.00% |
-0.25% |
2019/10 |
1.50%~1.75% |
-0.25% |
2020/3 |
1.00%~1.25% |
-0.50% |
2020/3 |
0.00%~0.25% |
-1.00% |
2022/3 |
0.25%~0.50% |
+0.25% |
2022/5 |
0.75%~1.00% |
+0.50% |
2022/6 |
1.50%~1.75% |
+0.75% |
2022/7 |
2.25%~2.50% |
+0.75% |
2022/9 |
3.00%~3.25% |
+0.75% |
2022/11 |
3.75%~4.00% |
+0.75% |
2022/12 |
4.25%~4.50% |
+0.50% |
2023/2 |
4.50%~4.75% |
+0.25% |
2023/3 |
4.75%~5.00% |
+0.25% |
2023/5 |
5.00%~5.25% |
+0.25% |
|
|
0.25%の上げ幅は2月から3会合連続。一方、声明文では、前回3月会合で明記していた「幾分かの追加利上げが適切と予想する」との文言を削った。
急ピッチの利上げで記録的なインフレが鈍化する一方、米銀の破綻が相次ぎ景気悪化懸念が強まっているため、早ければ次回6月会合で利上げを停止する可能性を示唆した。
相次いだ銀行破綻について「米国の銀行システムは健全だ」としたうえで「信用収縮が経済活動や雇用、インフレに影響を与えるだろうがその程度は不確実だ」と指摘した。
2023/5/3
全米14位のFirst Republic Bankが破綻、3月以降で3行目
パウエル議長は「我々はもはや追加利上げが適切と予想しているとは言わない。会合ごとに入手する経済データによって判断する」と述べた。一方「金融引き締めが必要となれば、より多くのことをする用意がある」と述べ、利上げ継続の可能性にも含みを残した。年内の利下げの可能性は否定した。
「インフレ率は物価目標である2%を大きく上回り、ことし3月のPCE・個人消費支出の物価指数が4.2%(コアは+4.6%)上昇した。去年の中頃からいくらか落ち着きつつあるが引き続きインフレ圧力は高く、2%の物価目標までは道のりは遠い」と述べた。

Flexible CPIは急降下しているが、「粘着インフレ」(Sticky
CPI)は高止まりしており、利上げでも下がる気配はない。

2023/1/5 米国のインフレの見通し
雇用については大きな変動はない。


2023/5/5 フロリダ州で反ESG法成立、民主党と共和党の対立が激化
Ron DeSantis
フロリダ州知事は5月2日、ESG(環境・社会・企業統治)投資の活動を制限する「反ESG法」に署名した。同法は7月1日に発効する。
知事は2月13日に法案を提案した際に、「ESGは、我が国の存立基盤である経済と個人の自由にとって脅威であり、フロリダでは即座に亡きものする」と述べた。
フロリダ州の政府や関連の年金基金が実施する投資に対し、金銭的なリターンを最優先するように求め、気候変動対策や多様性の向上といった要素を投資の評価に組み込むことを事実上禁止した。ESGの価値観を掲げる銀行を公的資金の預金先から外す方針も示した。
ESG関連の地方債を発行することも禁じた。債券全体の評価を下げるようなESGスコアを出す格付け会社とは契約そのものも禁じるとした。
法律の概要は下記の通り。
・大手銀行、信託銀行、その他の金融機関が、国境警備、銃器の所持、エネルギー独立の促進を含む、宗教的、政治的、社会的な信条によって、顧客を差別することを禁止する。
・金融機関が、銀行業務や融資業務において、フロリダ州民がローンや信用枠、銀行口座を取得できないようにすることを目的とした、いわゆる「社会的信用スコア(Social
Credit Scores)」を考慮することを禁止する。
・企業アクティビズムに従事する銀行が、適格公的預託機関(Qualified Public
Depository)として政府資金を保有することを禁止する。
・州および地方レベルのすべての投資決定においてESGを使用することを禁止し、ファンドマネージャーが最高収益率を最大化する財務要因のみを考慮することを保証する。
・全ての州および地方自治体、およびそれが直接支援する団体が、調達および契約プロセスの一環としてESGに関する情報を考慮、優先、または要求することを禁止する。
・国や地方公共団体が債券を発行する際にESG要素を使用することを禁止する。これには、ESG格付けが、発行体の債券格付けに悪影響を及ぼすような格付け機関に対する契約を禁止することが含まれる。
・司法長官および金融規制庁長官に対し、これらの規定を法の及ぶ限り執行するよう指示する。
米の保守州では、ESG投資はリベラル・左派の影響を強く受けすぎているとみなす傾向がある。既にインディアナ州とカンザス州が州の退職金口座が
ESG 関連ファンドに投資することを禁止している。
カンザス州は4月24日、公的資金の運用や政府契約の締結を決定する際に、環境・社会・ガバナンス(ESG)要因を考慮することを制限・禁止する法を成立させた。
同法は、州の公務員退職金制度において、加入者と受益者の経済的利益のみを考慮して資金運用すべきだとし、州がESGの基準を取り入れることや個人や企業に当該基準に従うよう働きかけることを制限している。
「反ESG」の旗頭であるDeSantis
知事の動きを受けて、ほかの保守州でも同様の動きが広がる可能性がある。
知事は3月16日に、「Ron DeSantis 知事、18州の同盟を率いてBiden大統領のESG金融詐欺と闘う」という声明を発表した。下記の各州知事と提携し、米国経済とグローバルな金融システムを不安定にするバイデン大統領のESG政策を押し戻すとしている。
Alabama, Alaska, Arkansas, Georgia, Idaho, Iowa, Mississippi, Missouri,
Montana, Nebraska, New Hampshire, North Dakota, Oklahoma, South Dakota,
Tennessee, Utah, West Virginia, Wyoming の18州
共和党は、気候変動対策の一環で政権が進めるESG投資促進への反発を強めている。
今回、バイデン大統領はESG投資関連で就任後初の拒否権を発動した。
バイデン政権は昨年11月、退職年金基金の運用担当者が、投資先選定や議決権行使に際し、ESG投資の観点を反映させることを認める規則を決定し、今年1月末に発効した。
米議会下院は2月28日に、上院は3月1日に、この規則の無効を求める決議を、賛成多数で採択した。上院では民主党系が多数を占めるが、民主党から有力議員を含む2人が賛成に回り、50対46で可決した。
なお、上院での可決には通常60票以上の賛成が必要となるが、単純過半数で可決できるという議会審査法の仕組みが利用された。
バイデン大統領は3月20日、この決議について、大統領就任後初めてとなる拒否権を発動した。
バイデン大統領が今回拒否権を発動したことで、政権・民主党と共和党との対立構造が一層深まった。
Ron DeSantis 知事は18州と提携して、州レベルで対抗しようとしている。3月16日の声明では、下記の通り述べている。
今月初め、連邦議会はアメリカ人の退職金に政治を介入させないための法案を可決する行動に出たが、バイデン大統領は自身の進歩的なアジェンダを推進するため、この法案に拒否権を発動すると約束している。フロリダ州と18の州は、アメリカ経済の活力とアメリカ人の経済的自由を脅かすESGの動きから個人を守るために、州レベルの取り組みを主導することを約束する。例えば、「受託者の義務よりも政治を優先する」というESGモデルに従う会社からすべての州年金基金と州が管理する投資を取り除いていくことだ。
2023/5/8 Armが米国市場上場へ
ソフトバンクグループ傘下の英半導体開発大手Arm
Limitedが4月29日、米国証券取引委員会に普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)の新規公開計画に必要な届け出書類のドラフト版を提出した。
ソフトバンクグループは、新規株式公開の完了後もArmが引き続き連結子会社であることを想定していると発表した。
新規株式公開の規模及び価格帯はまだ決定されていないが、報道によると、80億~100億ドルの資金調達を目指しているとされる。
英政府はロンドン証券取引所で上場するよう求めており、1月の時点ではロンドン証券取引所への上場についてスーナク英首相がソフトバンクと協議を再開したと報じられていた。
しかしArm
は今回、米株式市場への単独上場が「最善の道だと判断した」としている。Armは英国内の本社は維持するとした上で「今後も英国政府とは協力していく」との見解を示した。
投資銀行業界はArmの企業価値は300億〜700億ドルとみていると報道されている。
ーーー
Armは、英国ケンブリッジに本社機能を置いた半導体メーカー。1990年に設立し、一時は英国で上場していた。
同社が設計開発した「ARM Architecture」をベースとしたCPUは、ほとんどの携帯電話メーカーに採用されている。「Nintendo
Switch」や、無線LANを中心としたネットワーク機器にも採用、2023年1月にAppleの「Macbook」への搭載もスタートした。
Armは自社でCPUの製造を行わず、あくまで設計開発とライセンス提供のみを行っている。製造については最大手ファンドリー「台湾TSMC」とのパートナー関係を構築している。
ソフトバンクグループは2016年9月に日本企業の海外買収案件としては過去最大の240億英ポンド(310億米ドル)でArmを買収した。
(このうち24.99%をソフトバンク・ビジョン・ファンドに移管した。)
ソフトバンクグループは2020年9月13日、傘下の Arm Limited
の全株式を米国の半導体メーカーであるNVIDIA
Corporationに対して最大400億米ドルと評価した取引で売却することについて最終的な契約の締結に至ったと発表した。本取引は、英国、中国、EU及び米国を含む必要な規制当局の承認、その他の一般的なクロージング要件の充足を条件とし、完了までには約18カ月かかると見込んだ。
Armの事業のうちIoTに関連するサービス事業のInternet-of-Things
Services Groupは本取引の対象外で、本取引の完了までにArmから分離される。
2020/9/15 ソフトバンク、Arm
LimitedをNVIDIA
に売却
これを受け、Google、Microsoft、Qualcomm
などが規制当局に苦情を申し立てた。
EUの欧州委員会は2020年10月27日、本買収について競争法(独占禁止法)に基づく本格調査に入ったと発表した。ArmがNVIDIAの傘下に入ることで価格の上昇などを招く可能性があると懸念している。
米FTCは2020年12月2日、反トラスト法に基づき、買収差し止めを求める訴訟を起こした。NVIDIAの競合企業もArmの技術に依存しており、買収を認めれば、技術支配力を利用して競合他社を弱体化させるとした。
裁判は2022年8月9日に開廷の予定であった。
英政府も安全保障の見地から調査するよう英競争・市場庁(CMA)に指示するなど規制当局からの認可取得は難航していた。
ソフトバンクグループ(SBG)とNVIDIA
Corporationは2022年2月8日、NVIDIAがSBGからArm
Limitedの株式を取得する契約を解消したと発表した。
取引完了のために誠意を持って取り組んできたが、これを阻む規制上の大きな課題があったため、契約の解消に至ったとしている。孫社長は、IT業界や「各国政府の強い動きで断念した」と説明した。背景には「シリコンバレーのほとんどが直接的、間接的にArmの製品を使っているからだ」との認識を示した。
当初の契約の条項に基づき、SBGはNVIDIAが前払いした12.5億米ドルを保持し、利益計上する。NVIDIAは20年間のArmライセンスを保持する。
2022/2/9 ソフトバンク、Arm
Limited のNVIDIA
への売却を断念、Armの株式上場に変更
SBGは同社の株式上場の準備に入った。「ナスダックを中心に米国での上場を考えている」としていた。
2023/5/9 米国の債務上限問題と米憲法修正第14条
2023年1月19日に債務は31兆4000億ドルの上限に到達した。数カ月以内に財政危機を招く恐れがある。
下院議会は4月26日、連邦債務上限を最大1兆5,000億ドル引き上げ、連邦政府の支出を4兆5,000億ドル削減する法案を賛成217、反対215で可決した。
法案は上院に送られるが、上院民主党トップの"Chuck"
Schumer 院内総務は「上院に到着した直後に廃案になる」と述べており、民主党が多数の上院で可決される見込みは低い。
米財務省は早ければ6月1日にも支払い不能になる恐れがあると警告しており、議会が債務上限を引き上げるための時間は限られつつある。
2023/5/2 米債務上限問題で与野党が攻防
付記
バイデン大統領は5月9日、債務の上限引き上げを巡り、下院共和党のマッカーシー下院議長とホワイトハウスで会談したが、上限引き上げの合意には至らなかった。5月12日に再協議する。
一部の法律専門家は、議会が行動しなかった場合、大統領は連邦政府が支払いを継続できるよう憲法修正第14条を発動して危機を回避する選択肢があると指摘する。
バイデン米大統領は5月5日、米国債のデフォルトを回避するために合衆国憲法修正第14条を発動する可能性について、「まだそこには至っていない」と述べた。
この選択肢を排除していないことを初めて示唆したが、関係者によると、ホワイトハウスや他の政権当局者はこの選択肢を検討したものの、法廷闘争を乗り切る可能性の低い最後の策として却下する意見が大勢だったという。
イエレン財務長官は5月7日、議会が債務上限を引き上げることなく「大統領が債券を発行し続けることが可能かどうかを、われわれが検討する必要が生じる段階に進むべきではない」と発言、「こうしたことは憲法上の危機を招くだろう」と語った。
2011年には財務省の特別チームが、第4節前段の適用により債務上限に関係なく財務省証券を発行し続けることが可能かを協議していることが報道された。しかし当時のオバマ大統領は7月6日に「憲法に論点を移すことなど考えるべきでない」とこの議論を批判し、ホワイトハウスは7月27日に「憲法を引用することで突然借り入れが可能になることはない」との公式見解を示した。カーニー大統領報道官は「容易な解決策などない。トリックはなく、憲法を引用することで突然借り入れが可能になることはない」と言明し、修正第14条が問題の解決策にはならないとの考えを示した。
ーーー
憲法修正第14条は、南北戦争後に成立した3つのアメリカ合衆国憲法修正条項の1つであり、元奴隷の権利を確保することが意図されたものである。これには適正手続条項や平等保護の条項が含まれている。1866年6月13日に提案され、1868年7月9日に批准された。
修正第14条
第1項
合衆国内で生まれまたは合衆国に帰化し、かつ、合衆国の管轄に服する者は、合衆国の市民であり、かつ、その居住する州の市民である。いかなる州も、合衆国市民の特権または免除を制約する法律を制定し、または実施してはならない。いかなる州も、法の適正な過程によらずに、何人からもその生
命、自由または財産を奪ってはならない。いかなる州も、その管轄内にある者に対し法の平等な保護を否 定してはならない。
第2項
下院議員は、各々の州の人口に比例して各州の間に配分される。各々の州の人口は、納税義務のないインディアンを除き、すべての者を算入する。
但し、合衆国大統領および副大統領の選挙人の選出に際して、または、連邦下院議員、各州の執行部および司法部の官吏もしくは州の立法部の議員の選挙に
際して、年齢21 歳に達し、かつ、合衆国市民である州の男子住民が、反乱またはその他の犯罪に参加した
こと以外の理由で、投票の権利を奪われ、またはかかる権利をなんらかの形で制約されている場合には、 その州の下院議員の基礎数は、かかる男子市民の数がその州の年齢21
歳以上の男子市民の総数に占める割合に比例して、減じられるものとする。
第3項
連邦議会の議員、合衆国の公務員、州議会の議員、または州の執行部もしくは司法部の官職に
ある者として、合衆国憲法を支持する旨の宣誓をしながら、その後合衆国に対する暴動または反乱に加わ
り、または合衆国の敵に援助もしくは便宜を与えた者は、連邦議会の上院および下院の議員、大統領およ
び副大統領の選挙人、文官、武官を問わず合衆国または各州の官職に就くことはできない。但し、連邦議 会は、各々の院の3 分の2
の投票によって、かかる資格障害を除去することができる。
第4項
法律により授権された合衆国の公の債務の効力は、暴動または反乱の鎮圧のための軍務に対する恩給および賜金の支払いのために負担された債務を含めて、これを争うことはできない。
(The validity of the public debt of the United States, authorized by law,
including debts incurred for payment of pensions and bounties for services in
suppressing insurrection or rebellion, shall not be questioned. )
但し、合衆国
およびいかなる州も、合衆国に対する暴動もしくは反乱を援助するために負担された債務もしくは義務につき、または奴隷の喪失もしくは解放を理由とする請求につき、これを引き受けまたは支払いを行ってはならない。かかる債務、義務または請求は、すべて違法かつ無効とされなければならない。
第5項 連邦議会は、適切な立法により、この修正条項の規定を実施する権限を有する。
問題は第4項で、公的債務の妥当性が法律によって承認されていることを定めている。
第4条の主文の意味を「ChatGPT」に聞いたところ、下記の返答があった。
この文は、アメリカ合衆国憲法第14条の4項目であり、アメリカ合衆国の公的債務の妥当性が法律によって承認されていることを定めています。この債務には、反乱や蜂起を鎮圧するためのサービスに対する年金や賞金の支払いなどが含まれます。この条項は、アメリカの財政的安定性と信用力を維持するために重要であり、政府が債務不履行に陥ることを防止するために制定されました。つまり、アメリカ合衆国の公的債務の妥当性は、法律によって認められており、その妥当性に疑問を投げかけることはできないということです。
政権が債券発行を継続できるかを巡って憲法学者やエコノミストの間で解釈が分かれている。裁判所がこの条項を扱った例はほとんどない。
2023/5/10 Ely Lillyが開発中のアルツハイマー病治療薬、進行を35%抑制
米医薬品大手 Ely Lillyは5月3日、同社が開発したアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ (Donanemab) 」の後期臨床試験で、ドナネマブを投与した患者は薬効のない偽の薬(プラセボ)を投与した患者に比べて認知機能の低下が35%抑えられたとの結果を発表した。
ドナネマブは臨床試験での全ての目標を達成した。
付記
Ely
Lillyのアルツハイマー病薬「ドナネマブ」について、米食品医薬品局(FDA)は外部の専門家による諮問委員会を2024年6月10日に開き、承認推奨を全会一致で決めた。
FDAはこれを踏まえて、承認を最終判断する。
アルツハイマー病の初期段階と診断された1182人を対象にした臨床試験で、投与を受けた人の認知機能の低下は、プラセボを投与された人と比べて35―36%遅らせることができた。効果がみられた対象患者は脳のスキャン画像でアミロイドたんぱくの脳内沈着とタウたんぱくが中間水準であることを示していた。
他にタウたんぱくが高水準だった552人の患者に実施した試験では、あまり効果がない可能性が高いことが示唆された。
これらの両方の患者を合わせたドナネマブの試験結果で、認知機能と日常生活を送るための活動を測定するためにIly Lillyが開発した基準で22%、より一般的な認知症進行の基準では29%、それぞれアルツハイマー病の進行を遅らせることが可能なことを示した。
対象者の約24%で脳の腫れ、これと重複する31.4%で脳の出血がみられ、同様の薬にみられる副作用があった。
アルツハイマー病協会の最高科学責任者は「今回のデータは、これまでのアルツハイマー病治療薬の第3相試験の結果としては最も強力だ」と評価している。