軽量耐熱複合材CMC技術開発 事業評価用資料 - 経済産業省
SiC 繊維は東北大学で1975 年に開発され,その後,日本カーボンのニカロン繊維,宇部興産のチラノ繊維として商品化された。
炭化ケイ素連続繊維の生産能力を大幅増強
− 航空機エンジン部材向けの需要拡大に対応 −
このたび日本カーボン、GE 、およびサフランの、3社合弁により設立したNGS
アドバンストファイバーは、炭化ケイ素連続繊維の生産能力増強のため、新工場の建設を決定いたしました。
具体的には、NGS
アドバンストファイバーの既設工場隣接地に新たに第二工場を建設するもので、最新の製造技術の導入により、原材料から紡糸、不融化(電子線照射)、焼成に至る一連の製造ラインを増設いたします。特に高機能グレード製品である、「ハイニカロン®」「ハイニカロン®タイプS」の生産能力を現状の10倍に拡大いたします。
この炭化ケイ素連続繊維は、千数百度の高温大気中においても耐熱性、耐酸化性に優れた繊維です。NGSアドバンストファイバーは同繊維を、GE
社(50%出資)とサフラン社(50%出資)による合弁会社であるCFMインターナショナル社が開発しているベストセラーのLEAP ジェットエンジン用のセラミック・マトリックス複合材(CMC:Ceramic
Matrix Composites )部品に供給しています。
LEAP エンジンは、高圧タービンの部品に同繊維を使用したCMCを適用しており、高熱部にCMC 部品を使用する世界で初めての民間航空機エンジンとなります。
今後中長期的には、世界の航空機エンジン市場を中心に更なる需要拡大が見込まれており、今後も積極的な設備投資により世界最大規模の生産体制の構築を目指してまいります。
■会社概要
社名:NGS アドバンストファイバー株式会社
設立:2012 年4 月
所在地:富山県富山市高内1-1
資本金:11.5 億円
株主:日本カーボン(50%)、GE 社(25%)、サフラン社(25%)
代表取締役:奥澤 明
従業員:25 名
■新工場概要
所在地:富山県富山市高内1-1
操業開始:2017 年予定
主要導入設備:電子線照射装置・焼成設備等
生産能力:10t/年
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ハイテク無機繊維事業で日米仏3社の合弁会社設立
‐次世代航空機エンジン部材向け素材の需要拡大に対応−
炭素事業大手の日本カーボンと、世界的な航空機エンジンメーカーであるアメリカのGE
及び同じく世界的な航空機エンジンメーカーであるフランスの
Safran S.A
は、本日、今後需要の拡大が予想される次世代航空機エンジンの主要部材に使われる素材である炭化ケイ素連続繊維(ニカロン®
Nicalon)の製造・販売を行なう合弁会社を設立することに合意しました。
GE及び
Safran (の子会社SNEVMA)は、1974年に(50/50で)設立した合弁会社(CFM
International)により、小型機向けとしては、これまでにない革新的なテクノロジーが採用された航空機エンジン「LEAP」の共同開発を進めてきました。
エンジン技術におけるブレイクスルーとなるそれらのイノベーションには、軽量で耐久性の高い素材をはじめとし、最先端の航空力学に基づく設計技術、および業界最高水準の環境技術などが含まれます。
日本カーボンでは、GEおよび
Safran
が開発するLEAPに用いられる高い耐熱性が求められる部材向けとして、同社が開発・製造販売を行う「ニカロン®」の供給に向け、両社が研究・開発を行ってきたセラミック複合材のテストに協力してきました。
現在、同エンジンの開発は最終段階に入り、その高い性能と経済性により、今後、さらなる需要の拡大が予想されています。
こうした需要の拡大に伴い、重要素材であるニカロン®の需要も今後10年間で約10倍以上の急拡大が見込まれております。
このような背景を踏まえ3社による協議を重ね、今後見込まれる需要増加に対応する形でニカロン®
の安定供給を確保し更に事業を拡大するためには、JVを設立して3社共同で事業を行なうことが最善であるとの結論に達しました。
<新会社の概要>
社名 NGSアドバンストファイバー株式会社
本社 東京都中央区(予定)
資本金 約10億円(予定)
資本構成 日本カーボン 50%、GE 25%、サフラン 25%
設立完了時期 今後数ヶ月以内
スキーム 日本カーボンから新会社にニカロン事業を事業譲渡する
日本カーボンについて
炭素工業のパイオニアとして、電炉製鋼用の人造黒鉛電極、太陽電池やシリコン半導体向け特殊炭素製品、断熱材用途の炭素繊維製品、リチウムイオン電池負極材などを手がけ、積極的なグローバル展開を進めています。
1980年 日本カーボンが新科学技術開発事業団より炭化ケイ素繊維ニカロン®の開発受託 1983年 ニカロン®の製造技術開発認定について成功認定 1992年 日本カーボンが新科学技術開発事業団より、超耐熱性炭化ケイ素繊維ハイニカロン®の開発受託 1995年 ハイニカロン®の製造技術開発認定について成功認定 2012年 日本カーボン、GE、サフランによる合弁会社、NGSアドバンストファイバー株式会社設立
日本カーボンよりニカロン事業を継承Nicalon® Hi-Nicalon® Hi-Nicalon® TypeS
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「LEAPエンジン」について
運航開始予定: 2016年〜2017年
LEAPファミリー:
LEAP-1A(エアバスA320neo向け)
LEAP-1B(ボーイング737MAXに独占提供)
LEAP-1C(COMACの新型C919に独占提供)
特徴
小型機向けとしては、これまでにない革新的なテクノロジーを採用
‐ 軽量で耐久性の高い素材
‐ 最先端の航空力学に基づく設計技術
‐ 業界最高水準の環境技術など
「炭化ケイ素連続繊維 ニカロン®」について
炭化ケイ素連続繊維「ニカロン®」とは、有機ケイ素ポリマーを紡糸、焼成することにより得られるセラミックス繊維です。
ニカロン®は炭化ケイ素の微細な結晶より構成される繊維であるため、高温大気中においても高強度、高弾性率を保持し、耐熱性、耐酸化性に優れています。また、細くてしなやかな繊維の束からなっているので、各種織物に加工することもできます。
最近注目を集めている炭素繊維は、軽量で高強度という特長があり、ゴルフクラブや航空機の機体などに広く利用されています。しかし、炭素は高温大気中では燃えてなくなってしまうので、この環境下では使用できません。
一方、炭化ケイ素は炭素と異なり、高温大気中でも高い耐熱性を有しています。
そのため、炭化ケイ素繊維は、軽量で高強度に加えて大気中での耐熱性も兼ね備えています。
この特長を利用して、セラミックスを炭化ケイ素繊維で強化することで、高温でも高強度を保持する材料が得られます。
また、セラミックスの強化繊維としては、炭化ケイ素繊維が唯一実用化に向けた開発が進められています。
この炭化ケイ素繊維強化セラミックス材料は、ジェットエンジンや火力発電機のタービンなど高温部品への適用が研究されており、燃費の改善やエネルギー効率の向上が期待されています。