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産経

再生可能エネルギーで放置竹林減へ 「竹チップボイラー」設置 淡路島



 再生可能エネルギーの活用と放置竹林減少を目指し、竹を燃やして風呂に給湯する「竹チップボイラー」が開発され、兵庫県淡路市北山の高齢者生活福祉センター「ゆうゆうライフ」に設置された。竹を燃料とした大型ボイラーは全国的にも珍しく、淡路県民局は「5年間で竹の消費量を50倍の500トンにする第一歩」と意気込んでいる。

 竹は木よりも熱量が大きく、燃えた後に二酸化ケイ素などが発生してかまを傷めやすいため、これまで竹を燃料とするボイラーはなかった。5年前から開発に取り組んできたNPO法人「淡路島環境整備機構」が、かまの鉄板厚を通常の3倍の15ミリとし、二酸化ケイ素などの発生を抑える燃焼温度に保つなどの工夫で問題を克服して完成させた。1時間で約1200リットルのお湯を供給でき、建屋などを含めて総工費650万円。

竹チップボイラーについて説明する伊藤秀樹理事長。放置竹林を資源に変える全国的にも珍しい試みとなる=兵庫県淡路市北山

 この施設は重油なら1日約40リットル、現在の価格では約3800円が必要だが、竹チップは約80キロ、約2800円で稼働できる。1年間で孟宗竹1920本、約20トンが削減できる計算。竹は同機構の杉本龍亮副理事長(58)が1キロ10円で買い取り、半年ほど乾燥させて専用機で約3センチ角のチップに粉砕。1キロ35円で販売する。

 平成22年の淡路県民局の調査では、竹林は2660ヘクタールと島内面積の約4・5%を占めている。生態系への影響だけでなく、イノシシのエサや、隠れ場所になって農業被害にもつながっている。県民局では現在年間10トンの竹チップ消費を5年後に500トンにする「あわじ竹資源5か年計画」を策定。今後は花卉(かき)栽培ハウスや温浴施設へ竹チップボイラーを導入していく方針。NPO法人の伊藤秀樹理事長(48)は「いろいろ問題はあるが、クリアしながら竹を減らしたい」と話した。竹の買い取りは杉本商店((電)0799・36・3960)で受け付けている。

特定非営利活動法人淡路島環境整備機構

所轄庁 兵庫県
主たる事務所の所在地 淡路市竹谷513番地4
代表者名 伊藤 秀樹
法人認証年月日 2010年09月21日
法人設立年月日 2011年02月02日
目的 この法人は、淡路島の放置竹林による農作物への浸食被害や災害防止のための整備事業を行うことにより、淡路島の自然環境の保護及び地域の活性化を図り、島民にとって豊かで住みよい環境づくりの推進に寄与することを目的とする。
活動分野 まちづくりの推進を図る活動 /環境の保全を図る活動 /職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動