日本経済新聞夕刊 2007/4/2 詳細
検証 米韓FTA 追加交渉
米韓FTA妥結 経済交流の拡大に弾み
米国と韓国が進めていた自由貿易協定(FTA)締結交渉が2日妥結した。
米韓両国は昨年6月にFTA締結に向けた本格交渉を開始。これまで合計8回の交渉を重ねたうえ、3月26日から閣僚級の最終交渉をソウルで開いていた。当初は3月31日を交渉期限としていたが、自動車や農産物分野の市場開放などで協議が難航。交渉期限を延長して2日午後に決着。交渉開始から約10カ月で妥結にこぎつけた。両国議会の批准を受けたうえで発効する。
最大の争点だった自動車では、米側が現行2.5%の乗用車の輸入関税を排気量3000t以下は即時撤廃し、3000tを超えるものは3年以内に撤廃することなどで大筋合意したもようだ。
米韓の現在の貿易額は年間約770億ドル。FTA締結は米国にとって、1994年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)に続く大型の通商協定となる。
FTA、取り残される日本 産業界に焦燥感も
2007/3/30 朝鮮日報
盧・ブッシュ大統領が緊急通話…韓米FTA急進展
カタールを訪問中の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は29日午後、ブッシュ米国大統領と電話で韓米自由貿易協定(FTA)交渉の重要議題として残っている自動車、農業、纎維問題などについて重点協議した。
両国首脳はこの日午後2時45分(日本時間午後8時45分)から20分間、電話で韓米FTAの終盤の争点に関して論議し、意見を同じくしたと青瓦台(チョンワデ、大統領府)の尹勝容(ユン・スンヨン)広報首席が明らかにした。
両首脳はまた韓米FTA交渉が両国にとってバランスよく利益をもたらすことで共同の利益を増進させなければならないという政治的意志を再確認し、それぞれ交渉代表団に相互最大限の柔軟性を持って交渉するよう指示することにした。また、北核問題について、ブッシュ大統領は韓米間協力と調整を高く評価し、早期解決の意志を再確認した。これに対して盧大統領は米国側決断を高く評価し、忍耐力を持って進展させようと伝えた。
ファストトラック権限とはFast Track ―― 直訳すれば、「高速コース」となろうが、より正確には、ファストトラックとは@議会の大統領に対する通商協定交渉権限の付与、A協定案に対する議会の一括審議手続き―― の2 要素から成る。
上記@の大統領に対する議会権限の付与は、米国憲法の規定に由来する。米国憲法第1 条第8 節は「連邦議会は次の権限を有する。租税、関税、一般税および消費税を賦課徴収すること....(中略).... 諸外国との通商、各州間の通商、およびインディアンの諸部族との通商を規制すること」(下線部は筆者付記)と定める。憲法は、対外通商協定締結交渉を含む通商分野は議会の権限に属すると明示しているのである。かかる権限を大統領に付託するということは、議会にとっては憲法上認められた自らの権限を委ねることに等しい。したがって、ファストトラックの採択は大統領に対する議会の信任投票という側面を有する。
Aの一括審議手続とは、大統領が締結した対外通商協定に対する議会の権限を制約するためのメカニズムである。この審議手続きが採択された場合、大統領の締結した対外通商協定について、議会は一定期限(通常60 日)以内にこれを全面的に支持するか、全面的に拒否するかの二者選択しか許されない。協定条文の修正や選択的採択はできないのである。
通常、米議会では、提出された法案がそのままの形で採択されることはまずない。法案は議会審議過程の中で当初案とは大きく姿を変えることが一般的である。ところが、一括審議手続きが採択されると、こうしたことは起こり得ない。ファストトラックとは、まさに議会による修正を排除するための仕組みだからだ。かかるメカニズムが何故に必要かと言えば、それが外国との通商交渉を有利かつ効率的に進めるための手段だからである。政府がこうした権限を保持して通商交渉に臨んで初めて、交渉相手国は妥結に至った協定案が米議会の修正要求により変質させられてしまうのではないかとの懸念を払拭させることができる。その結果、米国代表は相手に信頼感を与えつつ交渉を進め得る。ファストトラック権限が大統領にとって対外交渉
上の必須の武器とされる所以もここにある。
http://www.iti.or.jp/kiho45/kiuchi.pdf米大統領が外国との通商合意について、議会に対し一括・無修正の速やかな承認を求めることができる権限。政府の通商外交を大幅に加速させる目的で02年8月の包括貿易法成立により約8年ぶりに復活。
05年7月1日の期限切れを前に、ブッシュ大統領が2年間の延長を要請。期限までに上下両院で不承認案が審議されず、自動的に延長が決まった。
ファストトラック権限の新期限は07年7月1日までで、難航する世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)や自由貿易協定(FTA)の促進を目指す。》
韓米FTA追加交渉最終妥結…30日署名
米国側の要求で進行された韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉が29日、最終妥結した。
米国韓国が要求した専門職のビザクオータに対する協力を約束し、医薬品市販許可・特許と連携した義務履行を18カ月延期することにした。
また労働・環境分野で貿易報復などが可能な一般紛争解決手続きを導入するが、貿易・投資に影響を及ぼしたという立証要件を強化するなど紛争手続きの濫用を防止する装置を用意した。
韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理はこの日、報道機関の編集・報道局長との朝食懇談会で韓米FTA追加交渉が妥結され、これを協定文に含み30日(米国時間)午前10時、ワシントンで署名する予定だと明らかにした。
署名式は米下院部属建物であるキャノンビルで開かれてキム・ヒョンジョン通商交渉本部長、スーザン・シュワブ米貿易代表部(USTR)代表ら両側の通産長官が署名する。
政府はこの日午後、追加交渉最終妥結内容を公式発表して、署名式が終われば9月に開会される定期国会で批准同意手続きを踏む予定だ。
両国は16日、米国側の追加交渉提議以後、21〜22日(ソウル)、25〜27日(ワシントン)2回協議をし、キム本部長はワシントン会議を終えて28日に帰国、署名式出席のためにこの日また米国に発つなどあわただしく動いた。
追加交渉で米国側が修正提起した内容が相当部分で反映されたが、韓国側も米国側から議会に権限がある専門職ビザクオータについて、協力するという約束を取り付けた。
米国が要求した労働分野ではILO宣言に表明された結社の自由、団体交渉権の効果的認定、強制労働の除去、児童労働の効果的撤廃および苛酷な形態の児童労働の禁止、雇用と職業において差別除去などの権利を国内法令または慣行として採択、維持して執行することにした。
労働・環境分野で義務違反で紛争が発生すれば米国側の提議どおり特恵関税廃止など貿易報復ができる、または罰金を相手国に与えなければならないといった一般紛争解決手続きを取り入れることにした。
しかし、両国は労働・環境分野で一般紛争解決手続きの濫用を防止するため、両国政府が紛争当事者となり、政府の労働・環境関連法制度を紛争対象とし、紛争解決手続きについては政府間協議を行って貿易・投資立証要件を強化することで合意した。
医薬品知的財産権についてはFTAの医薬品関連条項が世界貿易機構(WTO)の知的財産権協定と公衆保健宣言による公衆保健保護措置を取ることを妨害しないという点を両側が確認した。これはエイズ(AIDS)など伝染病が広がれば医薬品の知的財産権にかかわらず伝染病を治癒するコピー薬を生産することができるという意味だ。これとともにコピー薬市販許可・特許連携履行義務を協定発効後18カ月間延ばすことにした。