2010/10/1 日本経済新聞夕刊

エクソン、ガソリンスタンド売却へ
 まず九州 伊藤忠系などと交渉

 石油世界最大手、米エクソンモービルが日本国内のガソリンスタンド事業を売却する見通しになった。まず、九州地区にある約400のガソリンスタンドの営業権を売却する方針で、伊藤忠商事や三菱商事など大手商社系の石油販売会社に打診した。エクソングループは国内のガソリン販売シェア2位だが、自動車保有台数の減少などで国内のガソリン需要は縮小が続く。価格競争も激しいため、採算が低い小売事業から段階的に撤退する考えだ。

全地域で撤退も
 エクソンは九州地区でガソリンを販売するための営業権や、直営スタンドの資産を売却する。買収には大手商社系石油販社のほか、九州の地元資本の石油販売会社なども関心を示している。売却が順調に進めば、日本の他地区でも同様に営業権の売却を進め、将来は日本での小売事業から撤退することも視野に入れている。
 エクソン側は「エッソ」「モービル」「ゼネラル」のブランドの使用と、エクソングループの製油所で精製したガソリンの購入の継続などを条件にしているとみられる。売却先に地区内の物流や各ガソリンスタンドヘの販売支援などの機能を移管することにより、エクソンは営業経費を減らせる。九州地区はエクソングループでは収益性が低く、売却候補に挙がっていた。
 エクソンは国内で約4100のガソリンスタンドを抱える。2009年度の国内ガソリン販売量シェアは約17%で、新日本石油(現JX日鉱日石エネルギー)に次ぐ2位。
 エクソンは米国やオーストラリアで自社ブランドを残しながらガソリンスタンド事業から撤退し、石油開発や石油精製・化学部門に事業領域を絞り込んでいる。日本でも今後、同様のモデルを導入する可能性もある。

2010年10 月2 日 エクソンモービル

エクソンモービル・ジャパングループの小売事業に関して

 2010年10月1日の一部報道において、エクソンモービルが日本の小売事業から撤退するとの報道がなされましたが、これは誤報です。同日のどの報道も、当社の発表に基づくものではありません。
 われわれは、事業ポートフォリオを最適化するための検討をたゆみなく行なっており、先んじて効率をあげ、長期的観点から健全な小売ビジネスの基盤を確立する事に力を注いでおります。
 効率性と長期的視点を重視する当社グループの事業方針は、117年以上に渡り日本におけるビジネスを展開するなかで確立されたものです。
 そうした取り組みの一環として、今回、九州地区におきましては、同地区の少数の社有物件の売却を通した、エクソンモービルブランドのサービスステーションの所有権の変更といった新たな施策を検討しているところです。
 エクソンモービル・ジャパングループでは、日本における競争力を維持すべく、これまで同様に新たな施策を通じてリテールビジネスのサポートを継続してまいります。こうした新たな施策には、日本の市場において、競合他社を凌駕し続けてきたエクスプレスのネットワークを更に拡大し続けること、また、現時点で35店舗になった、「セブン-イレブン複合併設店舗」の展開を推進していくことが含まれます。
 当社グループは、こうした施策が、リーテルビジネスの収益性の向上に貢献する共に、代理店・特約店とエクソンモービル双方のビジネスの強化に繋がるものと考えています。