インド経済シンポジウム            日経記事   カースト問題

主催:早稲田大学インド経済研究所
    日本経済新聞社
協賛:三菱UFJ証券梶A岡三証券梶Aピーシーエ一・アセット・マネージメント梶A全日本空輸梶A
    鰍ンずほコーポレート銀行、三菱商事梶A且O菱東京UFJ銀行、潟Cンド経済フォーラム
後援:インド大使館、国際協カ銀行

場所:日経ホール

2007年5月28日(月):第1日目

午前の部(10:00-12:00)
  基調講演 ヤガ V. レディ インド準備銀行総裁 「インド経済の安定的成長」
  コメント   福井俊彦日本銀行総裁
  パネルディスカッション
         レディ インド準備銀行総裁 
         福井 日本銀行総裁 
         榊原英資 早稲田大学教授(コーディネーター)

5月29日(火):第2日目

午前の部(10:00-12:00)
  基調講演 バール K. チャトゥルベディ インド政府内閣官房長官
             「インドの持続可能な経済成長とインフラ開発」
  コメント  田波耕治 国際協力銀行副総裁
  パネルディスカッション
        チャトゥルベディ内閣官房長官
        田波 国際協力銀行副総裁
        ハルディア計画委員会副委員長顧問
        榊原 早稲田大学教授(コーディネーター)

1991年経済危機で現在のシン首相が大胆な広範囲な改革

最近の成長率 8.6%
インフレ率(卸売物価) 5%

内需中心

 サービス部門が大きい。GDP比50%
  今後、製造業を30%へ。

通常は一次産業→二次産業→三次産業
 インドは 一次産業→三次産業→二次産業
   高等教育を受けた少数
   初等教育を受けていない多数  ◎カースト制度?

   人口10億で識字率 65%
    最近は就学率は高いが、drop-out 多い。
    今後、教育投資にGDP比 6%

貧困層(生活費 1$/日以下)が22% 

   政府対応 農民雇用 最低100日/年 確保へ

人口 2035年には中国を抜き世界一へ

  平均年齢 26歳、今後もピラミッド型

  これを如何にして成長に利用するか。

製造業
  海外展開  
    最先端技術取り込み、海外市場

   Cosmopolitan mind
   Capability of English

    欧米企業との親近感

今後も成長を続けるために インフラ整備が必須

  次の5年で320B$

    Road   50-60B (5years)
    Railway  5B (貨物)
    Port   1.35B (7 years)
    Airport 9B (5 years)
    Telecom 22B
    Power 200B (7 years)    

 

連邦制度

  国、州、両方


2007/5/28 日本経済新聞夕刊

インド経済 日銀総裁「金融市場整備を」 印中銀総裁「物価上昇4%近く」

 日本経済新聞社と早稲田大学が主催する「インド経済シンポジウム」が28日午前、東京・大手町の日経ホールで始まった。日銀の福井俊彦総裁は講演で、インド経済が成長を持続する条件として「(過熱しがちな)株式市場に偏らない金融市場の整備」が重要と指摘、債券市場育成がカギになるとの認識を示した。印準備銀行(中央銀行)のレディ総裁は景気過熱に向け5%半ばで推移する物価上昇率を「4%近く」まで抑制するとの目標を掲げた。
 福井総裁はIT(情報技術)産業などサービス業を成長の原動力とする印経済について「製造業も収益力を高めている。経済規模は2025年ごろには日本をしのぐと予想されている」と指摘。さらなる成長持続には、投資期間の長い資金を呼び込む「受け皿」をつくるなど金融インフラの整備が必要だと述べた。レディ総裁は「過去4年間の成長率は8.6%で高成長期に入った」自国の経済に景気過熱懸念があることに言及した。

製造業重視へ構造改革
 シンポでインド中銀総裁 労働者の質向上へ教育強化

 28日の「インド経済シンポジウム」で、印準備銀行(中央銀行)のレディ総裁は自国経済の成長持続に向け、サービス業に偏重した自国の産業構造を改革して製造業の比重を拡大する必要があると提唱した。製造業振興策の一環として、製造業に携わる労働者の質の向上を図るため「初等教育の強化」を進めるべきだとして、教育改革を訴えた。
 現在の産業構造の問題として「サービス業だけでは雇用を吸収できない。今後は製造業を重視する」と分析。ただ「IT(情報技術)産業など先行して伸びた知識部門を製造業の発展に活用できる」とも主張し、製造業育成に自信も示した。
 教育改革では、IT技術者らを育てる高等教育だけではなく、労働力の「中間層」拡充を目指す必要があると語った。
 海外からの直接投資受け入れや社債市場の整備など、インド政府に資本の自由化を求める声が強まっていることについては「手順を立ててやらなければならない」として、性急な自由化策には否定的な立場を強調した。
 懸案の財政赤字を巡っては、政府や地方の債務残高の国内総生産(GDP)比が高いことは認めながらも「緩やかながら(財政収支は)改善している」「州レベルの経常赤字はゼロに近づいている」などと述べた。国内のインフラ整備の遅れは今後、年金基金など国内の資金を財源に振り向けることで解消を図れると説明した。
 同シンポは2日間にわたり開催。28日午後はハルディア印計画委員会顧問らが講演。29日はチャトゥルベディ印官房長官や国際協力銀行の田波耕治副総裁らのパネル討論などを予定している。

2007/5/29 日本経済新聞夕刊

インドが外資導入 インフラ整備  
 経済シンポで官房長官表明 電力、鉄道など

 東京・大手町の日経ホールで開いている「インド経済シンポジウム」(日本経済新聞社と早稲田大学が主催)は29日午前、インドのインフラ整備を巡り、日印の関係者が講演、討論した。印政府のチャトゥルベディ官房長官は「経済成長を下支えするための投資が欠かせない」と強調。電力、石油・ガス、道路、鉄道、港湾、航空の各分野で積極的に外国投資を導入してインフラ整備に取り組む考えを表明した。
 内外から遅れを指摘されるインフラ整備を進めるため、印政府計画委員会は5年間で約4400億ドル(約53兆4千億円)の投資が必要としている。だが、電気通信分野などに外資参入規制があるため、資金調達は国営企業の株式売却や外貨準備の活用が主軸で外資導入には慎重だった。長官の発言は外資政策を事実上、軌道修正して本格的にインフラ整備を進める姿勢を伝えたものだ。
 長官は経済成長見通しにも触れ「最近は年9%の伸び率を示しているが、2040一50年ごろまで長期的に5−6%成長が続く」として、持続的な成長路線を維持すると予測した。
 インフラ関連投資の内訳も説明。電力分野では発電や送電などに2500億ドル、石油・ガス分野の生産能力向上には5年間で650億ドル、道路整備に600億ドル、幹線鉄道2路線や貨物専用鉄道などに880億ドルがそれぞれ必要だとした。中でも道路とデリー、ムンバイ両空港の近代化計画を含む航空、港湾の各分野の整備では、官民パートナーシップ方式(PPP)で民間資本と外資の双方を活用すると述べた。


2007/6/2 毎日新聞

インド西部 「指定カースト」優遇求め 暴動で25人死亡

 インド最貧困州の一つ西部ラジャスタン州で、教育や就労などの優遇措置が受けられる「指定カースト(身分制度)」への登録を求める農民らが暴徒化し、警察当局と衝突。死者は1日までに25人に達し、軍が鎮圧に出動する事態となった。騒動の背景には経済成長に伴う貧富の差の拡大や社会に残る「カースト」対策を選挙の集票策として利用する政治勢力ヘの不満がある。
 騒動を起こしたのは遊牧民をルーツとするカースト「グジャール」に属する人々。最初の衝突は5月29日、「政府の仕事」を求め道路を封鎖した数千人と警官が小競り合いとなり、警官がが発砲。怒った人々が警察署を襲撃、放火し、暴力がエスカレートした。
 グジャールは全国に約5300万人いるとされ、抗議行動は首都ニューデリーなど各地に広がり始めている。
 政府は1947年の独立後、カースト差別解消のため、国立大学や病院を含む中央政府機関に低位カーストに属する人々を一定の割合で雇用、入学させる「指定カースト」制度を導入。現在、中央政府機関職員・学生の定員の22%、州政府機関の22〜37%が指定枠として低位カーストの人々に割り振られている。
 しかし、最下位層に属さないグジャールは「指定」外のまま。「下位カーストの人々が優遇措置を受けており、我々が事実上の最下層だ」との不満が根強い。
 特に騒動の発端となったラジャスタン州は、中央では野党のインド人民党(BJP)が州政府を掌握しており、州を通じたグジャールの指定カーストヘの登録要請が中央政府に「たなざらしにされている」との不満がある。
 インドでは下位カースト層も政治的に大きな力を持つ。下位カーストの政治勢力は優遇枠を47.5%に拡大するよう中央政府に圧力を強める。シン政権は2年以内に予定される総選挙へ向け、選挙対策として受け入れる姿勢を見せている。
 これに対し、上位カースト層は「努力しても報われなくなる」と反発し、昨年来、抗議活動を続けている。昨年12月から今年1月にかけ、中央政府の大学の入学枠拡大計画に上位カーストの学生たちがニューデリー、ムンバイ、バンガロールなど全国各地で同時多発デモを行い、警察が鎮圧に当たる騒ぎとなった。

力ースト
 紀元前13世紀ごろに作られた身分制度。聖職者階級の「バラモン」を頂点に、君主階級の「クシャトリア」、農民階級の「バイシャ」、奴隷階級の「シュードラ」の4区分があり、各区分に計3000の職業集団がある。それ以外を「不可触民」と呼び、差別されている。「グジャール」はバイシャの中に位置する。
 経済成長に伴いカーストによる職業区分も薄れつつある。このため上位カーストに所属しながら経済的には豊かではない層が、下位カーストを優遇する「指定カースト」制度に反発。一方で経済成長の恩恵を受けていない下位層が指定枠の拡大を求め、対立が激化している。