2002/12/5 日本経済新聞  

不良債権 みずほ、最大5兆円分離
 新持ち株会社で再編 統合完了から1年足らず

 みずほホールディングスは4日、最大5兆円の不良債権を新会社に分離することなどを柱とする事業再編策を発表した。来年3月にグループ内の銀行・証券・信託を統括する新持ち株会社を設立する。グループ企業をすべて持ち株会社傘下に収め、国の持つ優先株への配当原資をねん出する。今年4月の本格経営統合から1年足らずで、事業再編に追い込まれた。


 不良債権の分離は2003年上期中に実施する。不良債権を集中管理する新会社をグループ内に設立、みずほ銀行、みずほコーポレー卜銀行、みずほアセット信託銀行の3銀行の不良債権を移管する。分離するのは、金融支援中の要管理先や破たん懸念先などに分類されているゼネコン(総合建設会社)やノンバンクなどの債権。
 新会社に不良債権を集中し、企業再生や回収効率をあげ、早期処理を目指す。ただ、不良債権管理会社は持ち株会社傘下に置くので、外部に売却したり企業を再建して正常債権にしない限り、グループ内に不良債権は残ることになる。
 グループ内再編も加速。カード、システム会社を含むすべてのグループ企業を統括する新持ち株会社「みずほフィナンシャルグループ(MHFG)」を3月に設立、上場会社とする。今の持ち株会社のみずほホールディングスは銀行、不良債権管理会社、証券会社の監督に特化、上場を取りやめる。みずほホールディングスの前田晃伸社長がMHFG社長も兼ねる。
 みずほアセット信託銀行とみずほ信託銀行の信託2行も合併、MHFG子会社にする。グループ企業を持ち株会社の傘下に置いて、その収益を取り込み、政府保有の優先株などへの配当原資にする。国の経営への関与を避けるのがねらいだ。
 みずほグループは2000年9月に第一勧業、富士、日本興業の3行を統括する持ち株会社を設立、今年4月には3行の経営も統合した。だが、3行の主導権争いなどで不良憤権処理の遅れが目立ち、株価が急落するなど抜本的な事業再編を迫られていた。