日本経済新聞 2007/1/12

べトナム WTO正式加盟 主要市場5年で開放へ 外資の投資急拡大

 ベトナムが11日、世界貿易機関(WTO)に150番目の加盟国として正式に加わった。今後5年程度をかけて金融などサービス分野の市場開放や輸入関税の大幅な引き下げを実施する。人口8300万人を抱え、年率8%を超える経済成長が続く有望市場を狙い、韓国、日本、米国など海外企業の投資が急拡大している。
 ベトナムは対象となる1万600品目のうち3800品目の輸入関税を5−7年以内に引き下げる。
 農産物の輸入関税は11日から従来平均の31.6%から25%強に下げた。最終的に21%にする。IT(情報技術)関連機器の関税は3−5年で撤廃する。
 外資参入を規制してきた銀行、流通、通信なども5年以内をメドに大幅に開放する。政府は「2010年には他の東南アジア諸国並みかそれ以上に外国企業が進出しやすくなる」(貿易省)と説明。06年から5年間の海外直接投資の誘致目標を550億ドルと従来目標から5割以上、上方修正した。
 ベトナムは06年の海外直接投資認可額が過去最高の102億ドル(速報値)に達した。うち40億ドルはWTOがベトナム加盟を承認した11月以降。国別投資額では韓国が25億ドルとトップになった。日本も前年比約5割増の13億ドル弱に達した。
 本格開放を前に、金融サービス分野でも昨年11月に岡三証券と国内証券大手のBIDV証券が業務提携。韓国のSK証券もパオベト証券と連携した。野村証券グループの野村インターナショナルもハノイに駐在員事務所を設けた。

主な市場開放スケジュール

流通業(小売り除く) 49%を上限とする外資の合弁事業を認可。09年以降に外資100%の現地法人設立を認可
銀行 07年4月1日以降、外資100%の傘下銀行の設立を認可
証券 加盟後5年以内に外資100%の証券会社設立などを認可
保険 外資100%出資子会社の設立を認可。5年以内に非生命保険の支店開設を認可
医療 外資100%の病院経営を認可
観光・娯楽 加盟後8年以内に外資による ホテル建設や現地ホテルの買収などを認可。
加盟後5年以内に外資49%までの娯楽サービス合弁会社設立を認可

ベトナムは1995年にWTOへの加盟交渉を開始し、2006年3月には、WTOに加盟するほとんどの国と二国間交渉を妥結した。2006年5月には最終交渉相手国であった米国と市場開放協定を締結した。  
2006年11月7日、世界貿易機構(WTO)の一般理事会でベトナムの加盟が承認された。


人口約8400万人の同国は、WTOに加盟していない国としては、ロシアの次に人口が多い国だった。

WTOには現在、ロシアのほか、アルジェリアやベラルーシ、ウクライナ、アゼルバイジャン、レバノン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、リビア、イラク、セルビア、シリアの各国が加盟を申請している。
ベトナムの前は、2005年12月にサウジアラビアが加盟したのが最後だった。