2007年10月25日 読売新聞

薬害肝炎訴訟、厚労相が和解へ意欲…30万人追跡・告知も

 舛添厚生労働相は24日の衆院厚労委員会で、薬害肝炎訴訟について、謝罪や金銭的救済を含めた和解の意向があるかとの質問に対し、「その決意で全力をあげます」と答え、和解に向けて強い意欲を表明した。

 福田首相も、訴訟の解決について首相官邸で記者団の質問に答え、「早ければ早いほどいい」と発言。原告約170人が全国5地裁に起こした訴訟は、全面解決に向け、早期に政治決断が下される可能性が高まった。

 薬害肝炎訴訟では現在、大阪高裁が和解を打診している。和解について、舛添厚労相はこれまでも、前向きな姿勢を見せてきたが、「その決意で全力をあげる」との答弁は、民主党の山井和則衆院議員が「金銭的な救済や謝罪も含め、そういう方向で和解を検討するということを明確に言って下さい」と求めたのに対して答えたもの。

 また、「争うのではなく、和解の中で国は責任を認めて謝罪すべきじゃないか。国の責任と謝罪についてどう思うか」との質問にも、「同じ考えだ。そういう意味で精力的に動いている。年が明ける前にやりたい」と、和解で国が責任を認めることにも前向きと受け取れる発言をした。

 厚労相は、血液製剤「フィブリノゲン」を投与されたと見られる約30万人全員に対して告知する考えを表明。投与された人を追跡調査し、国やメーカーの負担で検査や治療を勧める意向だが、すでにカルテを廃棄している病院が多いとみられる。


2007年10月27日  読売新聞

C型肝炎の治療者、公費助成で10万人に倍増
 インターフェロン 1000〜2000億円助成…厚労相表明

 ウイルス性肝炎患者に対する国の救済策について、舛添厚生労働相は27日、治療費の公費助成により、C型肝炎に有効なインターフェロン治療を受ける患者数を現在の5万人から10万人に倍増させる意向を記者団に表明した。

 治療費助成は7年計画で、一般財源から計1000億〜2000億円が必要になるとの見通しも示した。具体的な制度の枠組みは、与党プロジェクトチーム(PT、座長=川崎二郎・元厚労相)が来週中にもまとめる見込みで、その案に沿った内容になるという。

 インターフェロン治療は、C型肝炎の6割程度に効果があるとされ、よく効くタイプなら9割ほどが完治するとも言われる。しかし、現在は公費助成がなく、1年前後の治療期間に自己負担が月約7万〜8万円と高額の費用がかかるため、治療を受けたくても経済的な事情で受けられない患者も多い。

 インターフェロン治療について、与党PTは今年9月、治療費を公費助成する方針を示し、自己負担額をどうするかなど、具体的な助成制度の仕組みについて検討してきた。

 舛添厚労相によると、助成策では、患者の所得に応じて自己負担額に段階を設ける方針。低所得者には自己負担を月1万円程度にとどめて残りの治療費を公費で助成、一定以上の高所得者には助成しない案が検討されている。必要な予算は年200億円程度になるとみられ、7年程度の長期的な計画で助成する考えだ。

 インターフェロン治療の公費助成策は、民主党も自己負担額を原則月1万円とする支援策を定めた法案を参院に提出している。

 舛添厚労相は「公平で国民が納得できる数字を示す必要がある。与党PTが早ければ来週いっぱいくらいで案を出すと思うので、それを受け、政府として対応したい」と話した。

 C型肝炎ウイルスは血液を介して感染する。血液製剤の投与で感染した薬害肝炎患者のほか、検査体制が不十分だった時代の輸血などで感染した人もおり、感染者は全国で150万人以上とされる。旧ミドリ十字(三菱ウェルファーマを経て田辺三菱製薬)の血液製剤「フィブリノゲン」などで感染した患者が、全国5か所で薬害肝炎訴訟を起こし、最も審理の進んでいる大阪訴訟で、大阪高裁が和解を打診している。