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出光グループ新中期経営計画について
http://www.idemitsu.co.jp/company/news/news-2002/020422.html
平成14年度までの現在の中期経営計画は、目標としていたコスト削減1,200億円、有利子負債返済6,500億円について、一年前倒しで平成13年度末までに概ね達成の見通しとなりました。
今般、新たな中期経営計画を策定致しましたので、内容をお知らせ致します。
1. 目指す姿
出光グループでは、将来の拡大・発展を目指して、平成18年度の株式上場を目標としています。出光の経営のあり方を広く世に問う機会と捉え、企業価値の向上を図り、消費者・需要家はもとより、マーケットからも支持される企業を目指します。
出光は創業以来一貫した「消費者本位」の事業方針に基づき、顧客の抱える課題を一緒になって解決する独特の社風を育んでまいりました。今後共この特徴を活かした「顧客に最も近い企業」であり続けたいと考えています。
2. 計画骨子
新中期経営計画は平成18年度の上場に向けた計画であり、平成14年度から17年度までの4ヶ年計画としています。
計画では、上場に相応しい経営体質の構築を主眼に、以下の内容に取り組んで
まいります。
事業面 | ||
: | ○ | エネルギー事業領域と出光独自の技術領域での事業の選択と集中 強化分野を中心とする2,400億円の事業投資実施(4年間) |
○ | 競争力強化のための製油所体制の見直しや石油化学事業の再構築等、事業構造の改革 | |
財務面 | ||
○ | 500億円を目処とする第三者割当増資の段階的実施 平成17年度末自己資本額4,100億円 |
|
○ | 4,400億円の有利子負債削減 平成17年度末グループ連結借入金残高1兆円以下 |
3. 計画主要4項目(事業、環境、財務、組織・体制)
1)事業関連
ア.強化分野について
今後強化していく分野を既存4分野、新規2分野の計6分野とし、経営資源を集中投入致します。
<エネルギー事業領域−事業の安定性確保>
SSリテール分野 |
|
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二次エネルギー・ ガス体エネルギー分野: (新規分野) |
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石油開発分野 | ○ ダウンストリーム事業のリスクヘッジとして、収益規模の 維持・拡大を図る。 |
<技術立脚型事業領域−事業の成長性確保>
石油化学/機能性樹脂コンパウンド(複合材料) 特殊化成品事業分野 |
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潤滑油事業分野 | |||||
先端技術事業分野 (新規分野) |
○ 電子材料、アグリバイオ関連分野を新たな事業部門 として立ち上げる。 |
イ.事業投資について
今後4年間の総投資額を2,400億円とし、強化6分野への重点配分を行う計画と
致します。(10〜13年度(4年間)対比20%増)
燃料油品質規制対応や装置更新投資 |
800億円 |
省エネ、コストダウンのための装置合理化投資 |
200億円 |
強化分野への戦略的投資 |
1,400億円 |
計 |
2,400億円 |
(戦略的投資の内訳)
SSリテール関連420億円、二次エネルギー・ガス体エネルギー関連330億円、石油開発関連310億円、
技術立脚型事業関連280億円、その他60億円
ウ.事業構造改革について
グループの更なる競争力強化のため、以下の事業構造改革を行います。
●製油所体制
石油需要の漸減傾向に鑑み、現状の製油所体制の見直しを行います。
平成14年末までに具体的な体制を決定致します。
●石油化学事業
製油所との一体運営や他社との業務提携を進め、事業の再構築を行います。
基礎化成品事業の興産との更なる一体化、樹脂事業での業務提携、不採算事業からの撤退等、
一層の競争力強化と事業のスリム化を図ります。
●石油ガス事業
平成13年度に事業部門を分社致しました。
業界再編に主体的な役割を果たし、事業基盤の強化を図ります。
●本業を補完する関連事業
資産スリム化による事業効率の向上を図ります。
出資子会社について、経営管理面や事業効率を勘案して統廃合を進めます。
2)環境関連
出光は昨年度、本社部門でISO14001番(環境ISO)の認証を取得致しました。
今後更に地球環境問題への取り組みを強化すべく、本年4月に「地球環境プロジェクト」を立ち上げました。本プロジェクトでは、環境関連のグループ統括機能と共に、豪州、中国、中東等で、出光が保有する緑化技術や省エネ技術の移転を行い、CO2排出権確保に向けた活動を展開致します。
3)財務関連
18年度の上場に向けて、財務内容の改善を着実に行います。
ア.自己資本
平成17年度末までに4,100億円の自己資本を確保します。(自己資本比率20%)
13年度末の自己資本額見込み(*) | 2,700億円 | |
14〜17年度収益による積み上げ | 900億円 | |
第三者割当増資(14年度以降4年間) | 500億円 | |
合計 | 4,100億円 | |
(*)再評価差額金1,500億円含む |
イ.有利子負債の一層の削減
平成17年度末までに4,400億円返済し、グループ連結借入金残高を1兆円以下と致します。
(原資) | 営業キャッシュフロー | 4,300億円 | |
現預金取り崩し等 | 1,200億円 | ||
増資、資産圧縮等 | 1,300億円 | ||
計 | 6,800億円 | ||
(使途) | 事業投資 | 2,400億円 | |
有利子負債返済 | 4,400億円 | ||
(参考:平成13年度末借入金残高見通し1兆4,400億円) |
ウ.収益見通し
平成17年度営業利益1,100億円、経常利益760億円を計画致します。
4)組織・人員
ア.社内意思決定システムの見直し
戦略企画機能と事業部門の業務執行機能を分離し、上場に向けた体制整備を
行います。
イ.グループ内の機能集約
グループ内で重複する機能を一本化します。平成14年度中に製造部門の保全・
生産技術などの集約化や、
情報システム部門の統合を行います。
ウ.人員体制
今後益々専門化する業務の質的変化に対応して事業毎の社員プロパー化など、雇用形態の多様化を進めます。
引き続き少数精鋭での業務遂行を前提に、現状対比1,000名の少数化を図り、
平成17年度末でグループ在籍人員を
6,000名とします。(13度末対比14%減)
4. まとめ
平成18年度の上場と、上場以降の更なる飛躍のため、この中期経営計画達成に
向けて一丸となって邁進致します。今後共ご支援の程、宜しくお願い申し上げます。
<添付資料>
○ 土地再評価の内容
資産の部 | 再評価前の帳簿価額 | 約3,100億円 | ||
再評価後の帳簿価額 | 約5,800億円 | |||
(再評価差額金) | (約2,700億円) | |||
負債の部 | 再評価に関わる繰延税金負債 | 約1,200億円 | ||
資本の部 | 再評価差額金 | 約1,500億円 |
* 尚、本評価が損益に与える影響はありません。
■ 第2次(2005年度〜2008年度)連結中期経営計画について
〜グループ収益の25%を高付加価値事業で〜
http://www.idemitsu.co.jp/company/news/news_2005/050525.html
当社は、今般、2005年度から2008年度を対象とする第2次連結中期経営計画(以下「当中計」)を策定しましたので、内容をお知らせ致します。
1. 第1次(2002年度〜2005年度)連結中期経営計画の達成状況
2002年に策定・公表した第1次連結中期経営計画(以下「前中計」)は、「上場に向けた経営基盤づくり」を目標として掲げ、主として
@事業構造改革の推進
Aバランスシートのスリム化
B経営管理体制の整備
の3点に取り組んでまいりました(参考資料(1)第1次連結中期経営計画の達成状況)。
製油所閉鎖による特別損失や減損会計の早期適用により、当期純利益及び株主資本比率は計画未達となりましたが、それ以外の項目は達成し、上場に向けた経営基盤づくりはほぼ完了したと考えております(参考資料(2)第1次連結中期経営計画の達成状況)。
2. 第2次連結中期経営計画の概要
前中計の達成に目処がついたことから、2008年度を最終年度とする新たな中期経営計画を策定致しました(参考資料(3)第2次連結中期経営計画の位置づけ)。
当社では、創業以来の『人間尊重』という考えを、事業を通じて実践し、広く社会で期待され信頼される企業になりたいと考えています。今後もこうした理念を大切にしながら、
◆
事業の安定性と成長性のバランスが取れた企業
◆
環境・安全への取り組みで社会から信頼される企業
◆ 経営の透明性の高い企業
となることを目指し、各事業分野でお客様に満足いただける製品、サービスの提供と、環境・社会への貢献を通じて、企業価値を向上させるべく努力を積み重ねてまいります。
(1) 当中計のテーマ
『安定的かつ持続的成長の実現』
(2) 主要な経営課題
◆ 高付加価値事業※1の積極拡大
◆ 基盤事業※2における安定したキャッシュフローの創出
◆ 環境・安全への一層の取り組み
◆ 2006年度上場の実現
※1 高付加価値事業
当社の成長を支える事業群であり、潤滑油、電子材料、機能化学品、エンジニアリングプラスティック、電熱供給、微生物農薬等を指します。多くは、当社独自の保有技術をベースに事業を展開しております。
※2 基盤事業
当社の基盤となる事業群であり、燃料油、LPG、基礎化学品等を指します。
(3) 経営目標
ア.前提条件
原油価格 : ドバイ40$/バレル
為替 : 110円/$
イ. 財務目標
2008年度に、営業利益(持分法投資損益※を含む)を1,400億円、投下資本営業利益率を10.0%まで向上させます。
また、高付加価値事業の営業利益を350億円(全社営業利益の25%)まで伸ばします。高付加価値事業は、
市況の影響を受けにくく、「収益の安定性」、「成長性」、「資本効率」のいずれにも優れることから、
当社が今後積極拡大していく事業群です。
※
持分法投資損益 プライムポリマー、PSジャパン、出光クレジットが主な対象です。
単位:億円、倍
2004年度
実績2006年度
計画2008年度
計画営業利益
1,003
1,100
1,400
投下資本※
14,253
13,600
14,000
投下資本営業利益率
7.0%
8.0%
10.0%
株主資本比率
13.2%
23.0%
26.0%
ネットD/Eレシオ
3.2
1.5
1.1
高付加価値事業営業利益
134
220
350
同構成比
13%
20%
25%
※ 投下資本=株主資本−有利子負債−少数株主持分
(参考資料(4)事業の安定性と成長性を両立する事業ポートフォリオの構築)
【営業利益内訳】
(4) 主要な事業戦略
ア. 高付加価値事業(2008年度増益効果:2004年度比+216億円)
|
@ | 保有技術の海外展開(潤滑油、機能化学分野) 潤滑油においては、CVT用ミッションオイル、新冷媒対応エアコン用オイルなどの高機能潤滑油の開発、販売強化に努めると共に、アジア・欧米地域を中心に海外販売を拡大してまいります。機能化学においては、ポリカーボネートなどの固有技術をもとに海外展開を行います。 |
A | 先端技術による市場創出(電子材料・機能化学分野) 有機EL材料、透明電極材料(IZO)については、顧客との共同開発等により市場を能動的に創出していきます。また、材料設計・高分子加工での蓄積技術を活用した高機能エンジニアリングプラスティックの開発・強化に取り組んでいきます。 |
B | 技術・サービスソリューション事業の強化 電熱供給、微生物農薬、エンジニアリング、クレジットカードなどの事業群を拡大していきます。 |
また、燃料電池については、国が実施する大規模実証事業への参加を通じて、早期事業化を目指していきます。
(参考資料(5)高付加価値事業の製品群)
イ. 基盤事業(2008年度増益効果:2004年度比+227億円)
|
@ | 石油精製と石油化学のインテグレーションの強化 コンビナートの中核として、周辺企業と協働できる強みなどを活かして、2004年度比100億円のコスト削減・付加価値向上を目指します。 |
A | 顧客密着型ネットワーク活用によるマーケティング力強化 既存SSの運営力強化により販売店の競争力を高めると同時に、ブランド活動の強化や「まいどプラスカード」を中心とした販売施策により、1SS当たりのガソリン販売量を増加させることで、当社と販売店の収益力を同時に向上させます(当社の増益効果50億円)。 |
B | 継続的な合理化・スリム化 物流コスト、製油所精製コスト及び石化工場の生産コストの改善、組織・人員体制の簡素化などにより、4年間で130億円の合理化・スリム化を計画しております。のインテグレーション効果を合わせた合理化効果は230億円になります。 |
なお、北海道製油所のフル稼動、製品マージンの圧縮、資材費の上昇リスク等を織り込み、最終的に基盤事業の営業利益は2004年度対比+227億円の650億円になります。
ウ. 資源事業(2008年度増益効果:2004年度比 ▲46億円) エネルギー事業者の使命として、石油・非石油/化石・非化石エネルギーという観点から、石油・石炭・ウラン・地熱という4種類の一次エネルギーに取り組み、引き続き中長期的視点で生産量の維持・拡大に努めてまいります。なお、当中計では、北海油田の生産方針の変更等により、2004年度に比して営業利益は減少しています。 |
@ | 石油資源 北海エリアにおいて安定生産に努めると共に、保有鉱区での探鉱及び資源買収を推進していきます。 |
A | 石炭資源 豪州自社鉱山での生産拡大に取り組むと共に、保有する未開発鉱区の開発に着手します。 |
B | ウラン資源 2007年より、カナダ・シガーレイク鉱山で生産開始を予定しています。 |
C | 地熱エネルギー 大分滝上での地熱バイナリー発電を検討してまいります。 |
(参考資料(6)−1、2資源事業への取り組み)
(5) 投資計画
税後利益、減価償却費、増資等による4年間のキャッシュフローを5,600億円と見込んでおり、このうち3,000億円を投資に振り向けます。これは、
2001年度から2004年度までの4年間の総投資額2,307億円を700億円上回ります。内訳は、高付加価値事業700億円、基盤事業1,500億円、資源事業800億円です。
(6) 環境・安全への取り組み
ア.環境
当社では、以下のとおり環境への取り組みを強化していきます。
重点課題
◆ 地球温暖化対策の強化 ・ 全製油所・石化工場での自主省エネ目標の達成 ・ 京都メカニズムを活用した途上国の温暖化対策の推進 ◆ 環境負荷低減の努力 ・ 全製油所・石化工場でのゼロエミッション※1の達成 ・ 土壌・地下水汚染の調査・対策の強化 ◆ グリーン購入・調達の拡大 ◆ 環境配慮型製品・サービスの開発と提供 ◆ コミュニケーションの強化・充実 ・ CSR報告書を始めとする情報開示の強化 ・ 地域社会とのコミュニケーション体制の強化 |
数値目標
◆ 製油所エネルギー原単位※2 1990年度対比▲20% ◆ 石化工場エネルギー原単位 1990年度対比▲30% ◆ 製油所・石化工場でのゼロエミッション達成 100% (全6事業所) ◆ 事務用品グリーン化率 60%以上 |
※1 ゼロエミッション
廃棄物の最終処分量が廃棄物発生量の1%以下の状態と定義しています。
※2 エネルギー原単位
製品生産に当たって投入するエネルギーを総装置通油量で除した数値です。
イ. 安全
2003年に発生した北海道製油所の地震火災事故の教訓を踏まえ、安全への取り組みを強化しております。社外アドバイザリー・コミッティである「安全保安諮問委員会」、社長を本部長とする安全環境統括本部下の「安全強化委員会」、製造部門の2つの専門セクション(保安管理統括セクション、専門技術セクション)を設置し、潜在的なリスクの管理に努めています。
当中計においては、
@潜在的なリスクの認識と対応
Aタンク構造の強化
B技術・技能の伝承及び専門技術力向上のための教育研修の充実
C各種災害を想定した実戦的訓練プログラムの充実
に取り組んでまいります。