JSR 2002
3ヵ年の新中期経営計画「JSRevolution」
〜情報電子材料事業を成長の核に企業価値を拡大〜
http://www.jsr.co.jp/co/images/jsrevo2002.pdf
JSR 株式会社は、2002年度から2004年度までのグループ新中期経営計画「JSRevolution
」を策定いたしました。
当社はこの計画において、情報電子材料事業を成長の核と位置付け、企業価値の継続的な拡大を図ります。
中長期ビジョン |
「Revolution & Evolution」を企業像のキーワードに掲げ、技術と人材を核に「変革」に挑戦し、グローバルに「進化」を続ける企業を目指します。
このような決意を込めて、計画名称を「JSRevolution」としました。
基本方針 |
@ | 情報電子材料事業を核に、独自の技術開発力による新事業をスピードを上げて創出し、そのグローバルマーケットでの展開によって、今まで進めてきた事業構造の変革を一層すすめていきます。 |
A | 失敗を恐れず、現状を打破し、常に変革に挑戦し続ける企業風土を熟成していきます。 |
B | 株主等すべてのステークホルダーからの満足を得るべく、継続的に企業価値を創造し拡大する企業を目指します。 |
ターゲット事業領域 |
当社は、合成ゴム、合成樹脂などの石油化学系事業から半導体用フォトレジスト、液晶表示材料などを中心とする情報電子材料事業へとグローバルに展開してきましたが、情報電子材料事業を成長の核として一層の事業拡大に努めると共に、さらにはその周辺領域に事業を拡大し、将来的には、メディカルおよび環境・エネルギーといった領域まで参入して、常に進化し続けるJSR を目指してまいります。
2004 年度の収益計画 |
「JSRevolution
」における収益計画、数値目標は下記のとおりです。
@連結売上高:2,500 億円以上
A連結営業利益:200 億円以上
B情報電子材料を中心とする多角化部門の売上構成比:40
%以上
CROE :8 %以上
ビジョンの達成に向けて |
中長期のビジョン達成に向けまして、次ぎに掲げる4 つのコーポレート要件と3つの事業シナリオを軸に取り組んでまいります。
<コーポレート要件> | ||
@ | 情報電子材料事業およびその周辺拡張領域と次世代事業へ積極的に資源投入していくポートフォリオ・マネジメントの徹底 | |
A | コア技術の深耕および新規獲得 | |
B | 財務安定性の維持 | |
C | SVA (Shareholder’s Value Added )による収益・資産管理強化 | |
これらの要件を満たすことが、次の事業シナリオを実現する前提となります。 | ||
<事業シナリオ> | ||
@ | 石油化学系事業では、収益の安定化 | |
A | 情報電子材料事業では、新規材料を積極的に投入することにより現在の領域の拡張 | |
B | 次世代事業では、メディカル等の新事業領域の創出 | |
以下に具体的にご説明いたします。 |
4つのコーポレート要件 |
1
.ポートフォリオ・マネジメント(資源配分計画)
ポートフォリオ・マネジメントについて、資源配分計画という観点からの基本方針は、次の通りです。
@石油化学系事業については、収益の安定確保の観点から、資源投入を厳選します。 A情報電子材料事業については、新規材料関連を中心に積極的に資源投入していきます。 B次世代事業については、研究開発要員の投入を拡大していきます。 以上の基本方針のもと、2002 年度から2004 年度の設備投資計画を450 億円とし、その約65%を情報電子材料事業を中心とする多角化部門に投入します。 また、研究開発要員については、多角化部門の要員を現状6 割から7 割まで引き上げて、次世代事業に積極的に投入します。 |
2 .コア技術の深耕・新規獲得
当社のコア技術は高分子技術から始まり、これまで合成ゴムなどの石油化学系事業、さらに情報電子材料事業を拡大させてまいりました。
顧客のニーズに合致した素材を提供することにより事業拡大につながっています。今後次世代事業を立ち上げていく上でも、こららのコア技術が成長の源泉となります。
こうしたコア技術の深耕、新規獲得によって、今後も新規材料の投入や、新事業領域を創出して事業拡大を図ってまいります。
3 .財務安定性の維持
今後、情報電子材料事業を成長の核として、積極的に資源投入を行っていく上でも、財務安定性を維持することが不可欠です。
計画期間の3
年間でフリー・キャッシュ・フローは300
億円超を確保する見通しであり、借入金・社債の返済、配当後に残る資金については、M
&A 、自己株式消却など戦略資金として備える予定です。2004
年度における株主資本比率も50%以上を確保し、安全性を維持してまいります。
4 .SVA
による収益・資産管理の強化
当社では、2000 年度からSVA (Shareholder's Value Added )による業績管理を導入しております。今後グループ連結においてもSVA
による収益・資産管理を重視し、企業価値拡大に向けた体制を強化いたします。
3つの事業シナリオ |
1 .石油化学系事業 | |
@ | 収益の安定化 |
石油化学系事業の基本方針は、内部努力による競争力の回復に取り組むことで収益の安定化を図ることです。対応策としては、石油化学系事業を中心として徹底的なコストダウンを実行し、さらに独自性、優位性のある製品の比率を高めることにより収益安定化を図ります。 内部努力による収益安定化を図る過程で、他力活用することが有利かつ可能な事業に関しては、アライアンス等の具体化を積極的に進めます。 |
|
A | CR −G (Cost Revolution for Growth )プロジェクト |
2002年度より新たにCR
−G
プロジェクトというコストダウンプロジェクトを発足させました。2002年度から2004年度の3年間で120億円以上のコスト削減に取り組みます。 コストダウンに対する基本的な考え方は、トップダウンによるサプライチェーン全体の最適化です。製品の絞り込みやプラント再編を伴う事業シナリオ変更を含め、原料購買から物流まで一体となったコストダウンに取り組んでまいります。 |
2 .情報電子材料事業
情報電子材料事業では、新規材料の相次ぐ投入・拡大により領域を拡張し、業界において存在感のあるグローバルプレーヤーになることを基本戦略としています。その前提となる当社の競争優位の柱としましては、次の5つのコア・コンピタンスが挙げられます。
@ | 当社は情報電子材料事業をコアビジネスとして認識し、常に設備投資、研究開発等に関して強くコミットしています。 |
A | 研究開発戦略からリソースマネジメント、ビジネスプランと技術ロードマップの策定と実行に至るまでの研究開発マネジメント力を背景に広範かつ最先端のコア技術を保有しています。 |
B | 半導体材料事業を中心に、米国、欧州、日本・アジア三極での製造、販売体制が確立され、 グローバル展開が実を結んでいます。 |
C | 最先端ユーザーとの強い信頼関係を幅広く構築しています。 |
D | 以上を背景として広範な製品ラインアップを取り揃えています。 |
これらのコア・コンピタンスの優位性を生かして情報電子材料の各事業を次のような考え方で運営していきます。 | |
<半導体材料事業>
半導体用フォトレジスト、CMP
スラリー、CMP パッド、低誘電層間絶縁膜材料(Low-
k材料)などウエハープロセス向け材料の一層の拡張を図るとともに、新たにパッケージング材料への参入を目指します。
<ディスプレイ材料事業>
LCD 材料、PDP
材料での製品拡充に加え、有機EL
材料の開発を加速化し、FPD
(フラット・パネル・ディスプレイ)業界のトータル・マテリアル・サプライヤーとして業容拡大を図ります。
<光学材料事業>
中期的に成長が期待できる光ファイバー用コーティング材料の高シェアを維持しながら、反射防止膜やハードコート材、位相差フィルムといった高付加価値分野の拡大を図ります。
3 .次世代事業、新事業領域の創出
環境・エネルギー、メディカル、情報通信といった分野において、材料売りにとらわれない新たなビジネスモデルによる新事業創出を考えています。
その過程では、情報電子業界ユーザーの情報、社外の研究機関等の外部資源とナノテク、既存技術等の内部資源をうまく活用し融合を図ることで、新技術、新素材の開発と新市場の開発を図ります。
常に数件の明日をになう事業テーマを維持していく計画です。