Chemnet Tokyo 2004年02月05日

三井化学が「04中計」を発表、量から質への転換を強調
C3製品とアロマ事業は出光との事業提携で強化図る

 三井化学の中西宏幸社長は5日記者会見し、04年度から07年度までの4年間を目標期間とする同社の中期経営計画(04中計)の概要を発表した。

 はじめに同社長は、04中計の最大のポイントは「“量的拡大から質的拡大への転換“を実現することにある」と強調、次いで「そのために、(1)事業の選択と集中(2)機能性材料分野の拡大・成長(3)石化・基礎化分野の収益力強化--の3つのテーマーをきちんとクリアーして、事業構造の変革と収益力の強化を果たしていきたい」と述べて、企業体質の抜本的な改革にかける強い意欲のほどを示した。
 また、石化・基礎化学事業の拡充に当っては、「出光グループとの広範な事業提携や市原工場の“プロピレンセンター化”等によって、C3誘導品部門とアロマ部門の強化を図っていきたい」と、資本の枠を超えたダイナミックな形で競争力の強化に取り組んでいく考えを披露した。
 
 同社長の発言概要は以下の通り。

 成長の方向を示すキーワードは「量的拡大から質的拡大への転換」であり、ついては、機能性材料分野の拡大・成長と石化・基礎化分野の収益力の強化によって、事業構造を変革し、合わせて収益力の強化を果たしていくようにしたい。
 07年度の連結経営目標は、経常利益1,000億円、うち機能性材料分野の目標比率50%超、総資産経常利益率7%、株主資本比率に対する有利子負債1.0倍、売上高1兆3,000億円--とする。そしてかねて表明しているように、10年後には全体の利益の70%を機能性材料分野の事業で確保していけるようにしたい。
 機能性材料分野の拡大・成長に当っては、情報・電子材料、機能性ポリマーズ、ヘルスケア材料の3分野の充実・強化に特に力を入れていく。
 情報・電子材料事業の拡充については、現在の半導体材料、電子回路材料、ディスプレイ材料に加えて、エネルギー関連材料、情報記録材料、光回路材料の分野にも強力な基盤を作るようにしたい。機能性ポリマーズ部門では、機能性オレフィンポリマー、テーラーメイドポリマーシステム、ユニークポリマー等によって情報・電子、自動車、機能性包材等の分野で強みを発揮していくようにしたい。
 また、ヘルスケア材料に関しては、アグロケミカルズ、ビジョンケア材料、衛生材料に加えて医薬中間体、ホームケア材料、パーソナルケア材料といった次世代クラスターの拡大に力を入れていく。
 一方の石化・基礎化分野の収益力強化は、プロピレンチェーンとアロマチェーンの拡充によって実現していく考えだ。
 C3チェーンの拡充のためには、市原工場のプロピレンセンター化、PPの差別化、分解原料の多様化等に取り組み、またアロマチェーンの収益力強化のためには、現在タイで進めているPTAの増設に加えてのPETやフェノールやビスフェノールAのアジア拠点の拡充と、石油精製系企業との協調による競争力ある原料アロマの確保を実現していきたいと考えている。ついては、同じ千葉地区の出光石油化学と出光興産の両社と多方面に渡る事業提携が重要だが、さいわい両社との間で基本的な合意ができたのでこれから具体的な方法を話し合っていきたいと考えているところだ。
 こうした目標を実現していくための投融資額としては4年間合計で3,300億円を予定している。うち52%を機能材料分野に、30%を石化・基礎化分野に、そして18%を基盤その他分野に振り分けていく考えだ。また、研究資源としては1,800億円を用意していく。内訳は、機能性材料分野に61%、石化・基礎化分野に11%、コーポレット分野に28%となる。