2005年3月30日 新日本石油株式会社

2005〜2007年度 第3次連結中期経営計画について
http://info.eneos.co.jp/press/2004_2005/e71_pr_20050330_03.html

 このたび、当社は、2005年度から2007年度の3ヵ年におけるグループ経営戦略をまとめた『第3次連結中期経営計画』を策定しましたのでお知らせいたします。

1.第3次連結中期経営計画の概要

 当社グループは、1999年4月の旧日本石油と旧三菱石油の合併以降今日に至るまでの6年間に亘り、第1次・第2次の連結中期経営計画を強力に推進し、エネルギー業界における競争激化の中にあって、盤石な経営基盤の構築に努めてまいりました。
 一方、当社を取り巻く経営環境は、国内石油需要が伸び悩む中、エネルギー間の垣根を越えた厳しい競争が展開されており、また、地球温暖化問題をはじめとする環境対策の必要性の増大やアジアエネルギー市場の成長といった大きな構造変化を迎えております。
 かかる状況を踏まえ、当社は、本年4月からスタートする第3次連結中期経営計画の位置付けを「発展へ向けての基盤固めの時代」といたしました。そして、
ア. コアビジネスである石油開発・石油精製/販売・石油化学からのキャッシュフローの創出
イ. 当社グループの基本戦略である「一貫操業体制の確立」「総合エネルギー企業グループ体制の確立」を達成するためのビジネスモデルの構築       
を重点課題に据え、2010年度においてこれを達成するための「基盤固め」のフェーズであると認識しております。
 第3次連結中期経営計画の具体的経営目標としては、最終年度である2007年度の経常利益目標を1,900億円(在庫影響除き)、目標ROEを10%と設定いたします。
 この目標達成のために、コスト削減効率化330億円を中心とした収益改善運動、成長分野に重点をおいた設備投資5,000億円を柱とした諸施策を実行してまいります。
 なお、株主還元の一環として、2005年4月中に自社株消却を実施するとともに、年間の配当を一株あたり12円に引き上げる計画でありますので、併せてお知らせいたします。

2.目標とする経営指標
 第3次連結中期経営計画の経営指標(目標)として、利益計画および財務体質の改善目標を以下のとおり設定いたしました。

(1) 財務目標
 第3次連結中期経営計画の最終年度である2007年度の連結ROE=10%を達成いたします。
また在庫影響除きの経常利益については、2004年度実績見通しの1,510億円から、1,900億円へと高めてまいります。
  2007年度目標
連結ROE 10% 
連結経常利益 1,900億円

* ROE=当期利益÷株主資本

(2) コスト削減効率化計画
 当社グループはこれまでに、第1次・第2次連結中期経営計画を経て、既に約2,200億円/6年間のコスト削減効率化を実施いたしましたが、第3次連結中期経営計画においては、SC(サプライチェーン)改革運動による継続的かつ抜本的なコスト構造見直しを含めて、3年間計で330億円のさらなるコスト削減効率化を目指します。
  2005〜2007年度
コスト削減効率化 330億円/3年間
 
   
3) 設備投資計画
 設備投資は、事業戦略を進めていくうえでの大きな柱です。当社グループは、第2次連結中期経営計画を上回る金額を、選択と集中をもって、戦略重点分野である「石油開発」「石油化学(CRI*)」「電気事業」を中心に投下し、総合エネルギー企業グループ体制実現に向けた布石を盤石なものにしてまいります。
  2005〜2007年度
設備投資総額 5,000億円/3年間
   
  <内訳>

戦略投資    :3,400億円(全体の68%) 石油開発・石油化学(CRI*)・電気事業等
石油精製・販売:1,100億円
その他事業   :   500億円

  *CRI=Chemical Refinery Integration:石油精製と石油化学の一体化

 
(4) キャッシュフロー計画
 第3次連結中期経営計画期間において安定的に高い利益水準を確保できる見通しであることを踏まえ、成長戦略推進の観点から、前述のように重点分野への積極的な投資を進めていく一方で、本年4月に自社株消却を実施するとともに、年間配当を一株あたり12円にまで引き上げ、株主還元をさらに拡大してまいります。
  2003年度  2004年度  2005〜2007年度
配当(年間)  7円/株  10円/株   12円/株
 
     
   また、有利子負債残高については、2007年度末までに9,000億円以下にすることを目指し、結果としてネットD/Eレシオ70%以下を達成いたします。 
 ただし、今後、有望な投資機会が出てくれば投資を追加することも念頭におき、下記の有利子負債削減枠については柔軟に対応することとし、状況に応じた最適な資本戦略を選択する予定です。

減価償却費   3,730億円
税引後利益   2,670億円
資産売却ほか   400億円 
 →  設備投資      5,000億円
自社株消却      500億円
配当等         590億円
有利子負債削減   710億円
 
     
3. 計画実現に向けた重点施策  
(1) 石油・天然ガス開発事業
 上流事業は、その成長性・収益性の面からみて、当社戦略分野の柱と位置付け、以下の施策により積極的に拡大させてまいります。
 
 
ア. 重点エリア中心の投資
 第3次連結中期経営計画においては、3ヵ年計2,000億円の投資を、当社の重点エリアである東南アジア・英国北海・米国メキシコ湾・豪州に重点的に投下いたします。
イ. 資産買収と探鉱の適切な組み合わせ
ウ. 公団保有株式の買取り
 第2次連結中期経営計画において、本年3月に日本ベトナム石油鰍ルか3社の公団保有株式の買取りを実施いたしました。これらプロジェクトは採算性も高く、第3次連結中期経営計画期間における利益面での貢献が期待できます。
 
     
  <年度別生産計画>
  2004年度(実績) 2007年度 2010年度目標
生産計画 11万BD
(2005年3月末
   
15万BD)
 18万BD  20万BD

*数量は、各年度の平均ベース

 
(2) 石油精製・石油化学事業
 製油所のフル稼働化による効率化と高付加価値化にむけ、以下のような施策を実施してまいります。
 
 
ア. CRIの更なる推進による石油化学製品の増産
 今後、中国を中心に石油化学品需要がますます拡大することが見込まれるアジア市場をにらみ、特に需給の逼迫が予想されている
プロピレン・パラキシレンに軸足を置き、設備投資とCRIの更なる推進によるコスト競争力を確保しつつ、輸出を拡大してまいります。
イ. 石油製品輸出・中国からの受託精製の拡大
ウ. 電気小売事業(PPS)の拡大(下記(4)ご参照)
 
     
  主要化学品のグループ生産計画(万トン/年)
  2004年度
(実績) 
2007年度
     
2010年度
目標      

プロピレン

60

80

100

パラキシレン

100

140

200

 
     
(3) 国内販売事業
 主として以下の施策により、『量から質』への販売構造転換をさらに徹底していきます。
 
 
ア. 競争力ある製品の供給
 利益率向上の施策の柱として、本年1月の発売以来、その国内最先端の環境性能とエンジン清浄性能をお客様から高く評価いただいているハイオクガソリン「ENEOS NEWヴィーゴ」の増販を目指します。
イ. 高付加価値SS網の構築
 現在、全国約1,950ヵ所で展開しております、当社独自の高付加価値型SSモデルである『Dr.Drive』を、2005年度末までに2,500ヵ所まで拡大していくことを目指します。
ウ. 特約店網の再編
 SSネットワーク重複の解消、販社の管理費削減を目指し、当社50%超出資の子会社販社の再編・集約をさらに推進いたします。
 
     
(4) 新エネルギー事業
 電気事業は当社戦略重点分野のひとつとして、また水素事業(燃料電池)は、将来の成長分野への布石としてそれぞれ位置付け、成長戦略を確実なものにしてまいります。
 
 
ア. 電力小売(PPS)事業
 当社5製油所で展開しているIPP事業については、既に昨年(2004年)秋から総計70万kW体制がスタートし、順調に稼動しております。今後は、川崎製油所跡地に現在建設中の天然ガス発電等、製油所インフラのさらなる活用による電気小売事業(PPS)の推進を計画しております。  
 第3次連結中期経営計画の最終年(2007年度)のPPS売電量は20万kWを計画しておりますが、これに前掲の川崎天然ガス発電が加わる2008年度以降は、売電量を100万kW体制にまで発展させる計画です。(注:売電量はプロジェクト会社ベース)
イ. 分散型電源事業
 オンサイト(分散型電源)発電事業については、高効率機器の開発やさらなるコストダウンにより、現行の売電量17万kWを、2007年度には23万kWにまで拡大してまいります。
ウ. 燃料電池(FC)事業
 燃料電池に代表される水素事業は、国際的にみても環境問題解決への大きな切り札であり、将来への布石として引き続き事業を推進してまいります。本年3月に商品化された家庭用LPG1kW機を、2007年度には1000台にまで拡販していく計画に加え、2006年度中には、家庭用・業務用の灯油機の商品化も予定しております。
 
     
(5) 海外事業
 潤滑油事業を中心に、海外事業を拡大してまいります。
 
 
ア. 潤滑油事業
 現在中国・台湾・タイ・北米等で展開している日系需要家向けの潤滑油販売をさらに強化し、日本国外での潤滑油販売数量を、2004年度実勢見通しの年間14万キロリットルから、2007年度には年間22万キロリットルにまで拡販することを目指します。
イ. LCフィルム事業
 中国・蘇州の工場が本年2月に商業生産を開始しており、第3次中期経営計画への大きな利益貢献が見込まれております。
ウ. 石油化学事業
 米国・テキサスとアトランタにおいて、独自技術を活かした高機能特殊化学品の製造・販売を拡大してまいります。