日本経済新聞 2007/3/6                      07〜09年度の中期経営計画

住友化学 3年で3700億円投資 液晶部材や医薬に重点

 住友化学は5日発表の2007-09年度の中期経営計画で総額3700億円を投資する方針を明らかにした。使途を決めない2千億円の予備枠も設けた。市場拡大が見込まれる液晶テレビの主要部材や医薬などに重点配分する。サウジアラビアでの合弁石油化学事業の完成に全力をあげる一方で、今後成長が期待できる電子材料などの事業基盤確立を急ぐ。
 3700億円の投資額の約7割は、情報電子や医薬品・農薬の分野に投入する。液晶テレビの主要部材である偏光フィルムの生産能力を09年度までに06年度の2.1倍の7600万平方メートルに引き上げる一方で、歩留まり改善に取り組む。
 1989年から研究開発を続けてきた薄型テレビなどの表示装置として期待される有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を近く事業化する。08年に携帯電話向け、09年に大型テレビ向けを事業化する計画。
 09年度の連結売上高の目標は06年度見込み比で34%増の2兆4千億円。経常利益は同67%増の2500億円、純利益は65%増の1500億円とした。
 中計期間の08年後半に、サウジ国営企業と合弁で手掛ける世界最大級の石油化学・石油精製プラント「ラービグ計画」が商業運転を開始。石化部門の売上高は同59%増える。主力事業の収益基盤を固め、長期的な成長分野に積極投資する。
 ラービグ計画は「完遂が最重要課題」(米倉弘昌社長)と位置づけ、09年度から収益に寄与する見通し。09年度目標の経常利益2500億円に対して、同計画で500億円の利益貢献を見込む。


2007年03月05日 Chemnet Tokyo

住友化学・米倉社長、新中計発表「グローバル化さらに推進」
 09年度目標 売上高24,000億円、純利益1,500億円

 住友化学の米倉弘昌社長は5日記者会見し、
07〜09年度の中期経営計画を発表した。来年秋に操業開始する「ラービグ計画」の完遂を柱に「さらなるグローバル化を図り、大きな成長、飛躍を目指す」方針を強調した。
 
 09年度の業績目標は、連結売上高2兆4,000億円(06年度は1兆7,850億円見込み)、経常利益2,500億円(同1,500億円)、純利益1,500億円(同910億円)と設定した。営業利益は2,000億円で、持分法損益は650億円。このうちラービグの利益は500億円。また売上高に占める海外比率は48%(06年度36%)に上昇する見込み。
 
 設備投資額は3年間で3,700億円を予定。営業キャッシュフローは5,300億円と想定、このフリーキャッシュフローを活用して最大2,000億円の戦略投資予備枠を別途設定する。将来、大型投資案件が発生した際に活用し、次の飛躍につなげる。

 ラービグ計画は、06年3月の着工以来順調で基礎工事は100%完了。現在、配管工事やリアクターなど機器の据付けに入っている。現場には3,600トンという、世界最大のクレーンが入り、フル稼動している。作業員2万人が働いている。住化からは社員100人が常駐し指導に当たっている。08年央には予定通り完成の見込みだ。
 
 新中計では「ラービグ」以外にも、とくに高成長が見込まれるライフサイエンス・情報電子両分野には引続き経営資源を投入し、成長を加速させる。
 
 各事業部門の付加価値拡大のための方策及び09年度の目標売上高は以下の通り。

 【基礎化学】
 ・MMAシンガポール第3期計画の垂直立ち上げ
 ・カプロラクタムのコスト競争力強化
 ・09年度売上高=3,200億円(06年度見込み、3,000億円)

 【石油化学】
 ・日本・シンガポール・サウジでのグローバルな最適生産体制の構築
 ・ポリプロコンパウンド事業の強化などの高付加価値化推進
 ・09年度売上高=8,600億円(5,400億円)
 
 【精密化学】
 ・レゾルシン・医薬化学品の競争力強化
 ・09年度売上高=1,100億円(900億円)
 
  【情報電子】
 ・液晶関連材料の収益力強化
 ・新規材料の開発
 ・09年度売上高=4,700億円(2,750億円)

 【農業化学】
 ・成長製品(メチオニン・スミソーヤ・オリセットネットなど)の強化
 ・住化武田農薬の統合によるさらなるシナジー効果の実現と推進
 ・09年度売上高=2,300億円(1,950億円)
 
 【医薬品】
 ・戦略製品への経営資源の集中投入と新製品販売の早期最大化
 ・09年度売上高=2,650億円(2,350億円)
 
 【その他】
 ・09年度売上高=1,450億円(1,500億円)

 【売上高合計】
 ・09年度売上高=24,000億円(17,850億円)


2007/3/5 住友化学          


中期経営計画(2007〜2009年度)を策定
〜 「グローバルカンパニーとしてのさらなる飛躍」 〜 

 住友化学は、このほど、2007〜2009年度の中期経営計画を策定いたしました。新しい中期経営計画では、現行中期経営計画での着実な事業拡大と利益成長を踏まえ、その基本的な考え方を踏襲しつつ、2008年後半に商業運転を開始する「ラービグ計画の完遂」を最重要の課題として位置付けるとともに、さらなる飛躍のための施策を盛り込むことといたしました。

1.本中期経営計画の基本方針
   「グローバルカンパニーとしてのさらなる飛躍を目指して、株主の期待する事業付加価値を生み出す高収益体質の確立、堅持、持続する成長力を確保する」
   
2.基本的な取り組み
「ラービグ計画の完遂」
 「ラービグ計画」は、当社石油化学事業の基盤を抜本的に強化し、収益性を飛躍的に向上させるとともに、グループ全体のグローバル化を大幅に加速させる。現時点での最重要課題として、全社一丸となって予定どおり完遂させるとともに、安定操業への早期移行を目指し、販売体制の整備などを進める。
   
「グローバル経営の充実」
 当社のグローバル化は、ラービグ計画の実現に伴い飛躍的に進展する。グローバルな事業展開を支える経営基盤の強化・充実を図る。
   
「各事業部門の事業付加価値の拡大」
 各部門における中核事業について、設備増強やコスト合理化、新規製品の上市、高付加価値品へのシフト等により、収益基盤の強化を一段と押し進める。
   
「ライフサイエンス、情報電子分野の事業拡大と競争力強化」
 引続き市場の成長が見込まれる、ライフサイエンス、情報電子分野に、タイミングを捉えて、これまで同様に重点的に経営資源を投入するとともに、収益性の向上を図っていく。
   
「さらなる成長への布石」
 設備投資は、3年間で3,700億円を予定。一方、想定される営業キャッシュフローは5,300億円で、このフリーキャッシュフローを活用して最大2,000億円の戦略投資予備枠(現段階で使途未定)を別途設定、将来の“飛躍の礎”となる投資案件が発生した際に活用・執行することで、さらなる成長を目指す。研究開発活動については、新規分野の開発・育成、早期事業化に向けて力を注いでいく。

3.業績目標 (億円)

  2006年度
(見込み)
2009年度
目 標
連結売上高  17,850  24,000
連結経常利益   1,500   2,500
連結純利益     910   1,500 

 本中期経営計画の業績目標は、最終年度の2009年度において、売上高2兆4,000億円、経常利益2,500億円、純利益1,500億円と設定いたしました。

 財務体質につきましては、利益水準の上昇に伴う株主資本の充実の結果、最終年度の2009年度において、株主資本比率が37%に増加、デット・エクイティ・レシオが0.5倍程度まで減少する見込みです。

 本中期経営計画を、迅速かつ着実に実行していくことで、住友化学グループは、高収益体質の確立と持続的な成長の実現に向けて確実に前進してまいります。