2002年1月29日 昭和電工

新中期経営計画「プロジェクト・スプラウト」の策定について(骨子)
 −市場からの発想よる成長戦略事業の強化−

 昭和電工株式会社(大橋光夫社長)は、2000年〜2002年の3年間を新たな成長へ向けての「経営刷新期間」と定めた中期経営計画「チータ・プロジェクト」を推進いたしております。

 本計画では「事業構造改革(戦略的縮小)」を主眼に、事業ポートフォリオから外れる事業・関係会社の売却、有利子負債の削減、人員削減を推進し、固定費の圧縮、バランスシートの改善を実現し、事業構造の改善を図ってまいりました。

 当社は、これを受け2003年〜2005年をターゲット期間とし、従来の「事業構造改善」から転換し、「成長戦略事業」の育成・強化をテーマとする新中期経営計画を策定、「プロジェクト・スプラウト」(注)と命名いたしました。
 「プロジェクト・スプラウト」は"成長のためのアクション・プラン"として、当社が保有する「無機・アルミと有機の技術融合」を推進力に、成長が期待される「ITネットワークライフ」、「カーライフ」、「アメニティーライフ」の3市場に向け、12の「戦略的市場単位(SMU)」を設定し、個性的で競争力ある高付加価値製品群を集中投入いたします。

(注) スプラウト(Sprout):英語で"発芽、発芽する、成長する"の意。 当社シンボルマールの由来であり、木の芽が大地を突き破って伸びていく姿をイメージし、当社の成長と発展に対する強い意思を込めました。

1. 経営理念の制定

私たちは、社会的に有用かつ安全でお客様の期待に応える製品・サービスの提供により企業価値を高め、株主にご満足いただくと共に、国際社会の健全な発展に貢献いたします。

2. 成長戦略の基本コンセプト

 ・ 技術シナジーの追求

事業シナジーが希薄な多数の事業の展開であった「総合化学」から、「無機・アルミと有機の融合」による技術シナジー追求で競争力に転化する「個性派化学」への転換を図ります。

 ・ 生産からの発想から市場からの発想へ

はじめに製品ありきの「生産からの発想」から、ターゲット市場(戦略的市場単位)と「個性派技術」から事業ドメインを決定する「市場からの発想」へ180度の転換を図ります。

3. 当社が目指す市場と事業領域
 (1) ポートフォリオの位置付け

当社が保有する広範な事業群と技術シーズ、成長が期待される3大ターゲット市場分野(ITネットワークライフ、カーライフ、アメニティーライフ)の分析を基に、当社コア技術との組み合わせで事業の成長が期待できる「戦略的市場単位(SMU)」を設定しました。戦略的市場単位とコア技術による検討により、全ての事業を下記の3区分に分類しました。

@SMUに直結し、グループの成長エンジンとする「成長戦略事業」、
A成長性は高くないが、成長戦略事業を支える「基盤事業」、
B現状収益力に拘らず再構築が必要な「再構築事業」 

 (2) 事業ポートフォリオ

セクション 成長戦略事業 基礎事業 再構築事業
石油化学   高分子
(ビニルエステル、
アリルエステル)
オレフィン
有機化学
合成樹脂
合成樹脂加工
化学品 特殊化学品
(化粧品原料、医農薬中間体、
アミノ酸類等)
基礎化学品
(アンモニア、
産業ガス等)
農薬、防疫薬
 
電子・情報 半導体特殊ガス・薬品
化合物半導体
レアアース
アルミ高分子固体コンデンサー
  HD・MD
無機材料 ファインカーボン
ファインセラミックス
人造黒鉛電極 汎用セラミックス
アルミニウム他 高機能アルミニウム*
コンデンサー用高純度アルミ箔
熱交換器

環境ビジネス
アルミニウム缶 地金合金
汎用アルミ材

*ショウティックTM、高熱伝導アルミ板(ST60)、レーザープリンタ用感光ドラム

4. 昭和電工のコア技術

 当社が保有するコア技術を下記に掲げます。これらは、 ITネットワークライフ、カーライフ、アメニティライフの3大ターゲット市場における戦略的市場単位での当社の強みとなります。コア技術を深化、融合させることにより、顧客のニーズに合う個性派製品を提供いたします。

有機エレクトロニクス材料
電池、キャパシター、記録材料
無機エレクトロニクス材料
結晶成長・薄膜成長プロセス
微細加工プロセス
マイクロシステムプロセス
機能性ガス、極限条件プロセス
伝熱システム
鋳造プロセス
塑性加工
接合
機能性金属材料
機能分子設計
精密反応設計
高機能触媒
機能性樹脂設計
ファインパーティクル
バイオ、有機製造プロセス
表面・界面化学

組成・構造解析、化学解析、数理技術


5. 戦略的市場単位(SMU)

戦略的市場単位は事業ポートフォリオ決定の重要な判断基準です。当社の強みと市場の成長性から、3大ターゲット市場の中に12の戦略的市場単位を設定しました。

6. 戦略的市場単位と成長戦略事業の関係


7. 戦略的市場単位:具体例

(1) ディスプレイ/材料:無機・アルミと有機の融合による個性派技術のビジネス
 ・ 化合物半導体 : 多彩なLED事業のアクティビティー(多結晶からエピウェハー、チップまで)
 ・ 液晶用ポリッシング材 : セリアをディスプレイ用ガラス板へ展開
 ・ 放熱用アルミ材料 : 純アルミに匹敵する高熱伝導新アルミ合金でPDP放熱板へ展開
 ・ 有機EL : 高効率発光材料を開発、省エネルギー次世代有機EL材料を提供
   
(2)電池材料:電極黒鉛化技術ベースの高温技術による電池部材
 ・ 気相法ナノファイバー
   (VGCFs)
: 多彩なLED事業のアクティビティー(多結晶からエピウェハー、チップまで)
 ・ 燃料電池部材 : リチウムイオン電池用VGCFビジネスからナノサイズカーボン
  戦列強化
 ・ 導電性高分子 : PAFC炭素部材ビジネスをベースに次世代PEFC用部材開発
 ・ レジスト材料 : 当社独自技術の高分子固体電解質による新規電池材料への参入
   
(3) 半導体プロセス材料:無機技術と有機合成技術によるトータルソリューション
 ・ 半導体用高純度ガス : フッ素系ガスを中心としたエッチング・洗浄用ガス、廃ガス処理、
  耐食・耐磨耗材料等製品群によるガスソリューションを提供
 ・ 半導体用高純度溶剤 : フッ素系ガスを中心としたエッチング・洗浄用ガス、廃ガス処理、
  耐食・耐磨耗材料等製品群によるガスソリューションを提供
 ・ CMP用材料 : STI用セリアスラリービジネスから洗浄液・リサイクルまで、
  CMPプロセスのソリューションを提供
 ・ レジスト材料 : ソルダーインク、レジストインク、光重・株)J始剤、ドライフィルムカバーレイ等
  製品群によるソリューションを提供
   
(4) 自動車軽量化部品:独自技術のアルミニウム鋳鍛造技術(ショウティックTM)と高精度加工技術        による自動車軽量部材ビジネス
 ・ コンプレッサ部品 : ショウティック鍛造品の世界4極体制によるグローバル展開
 ・ サスペンションアーム : 接合技術の深化による足廻り部品の展開
 ・ サブフレーム : 鋳鍛造材料による軽量構造部材の展開
   
(5)化粧品原料:有機合成、無機合成技術をベースにした高機能化粧品基材群
 ・ ビタミン誘導体
  (安定化ビタミンC)
: APM/APSビジネスの深化
 ・ バイオサーファクタント : バイオ合成技術による高機能界面活性剤の提供
 ・ ナノパーティクル : 金属酸化物ナノパーティクルによる・株)O線遮蔽用途の拡大
   
(6)ライフサイエンス:個性派技術で暮らしを支えるスペシャルティーケミカルズ
 ・ 医農薬中間体 :固有原料をベースに誘導体を展開
 ・ アミノ酸類 : α-アミノ酸、ヒダントイン類、キレート剤を拡充
 ・ 光触媒 :表面処理技術によるナノチタニアの高付加価値化
 ・ 環境・分析システム : ショウデックスTM(高速クロマトグラフィー)をベースに幅広いニーズに対応
  排水処理(ユノックスTM法)で環境保全に貢献


8. 戦略的市場単位へのアプローチ

 「プロジェクト・スプラウト」に先行し、「戦略的市場単位」へのアプローチとして下記の施策を本年3月より推進します。

・ 部門横串プロジェクト : 複数事業部門に跨る戦略的市場単位については
  横串プロジェクトにより早期事業拡大を図る。
・ 技術コンソーシアム : 27のテクノロジー・プラットフォームを有機的に結合し、
  戦略的市場単位にフォーカスした技術戦略を強化。

9. 基盤、再構築事業

 (1) 基盤事業 :成長性は高くないが、「成長戦略事業」を支える事業群

・ 安定的利益・キャッシュフローを確保 
   基礎化学品、農薬・防疫薬

・ 成長戦略事業育成のベースとなるコア技術を保有
   人造黒鉛電極 ⇒ ファインカーボン

・ マテリアルフロー上、成長戦略事業と密接な関連
   基礎化学品 ⇒ 特殊化学品

 (2) 再構築事業:現状収益力に拘らず、マーケット構造、成長戦略事業との技術
    シナジーの不足から再構築が必要な事業群

・ 再構築事業は最適経営環境を追求し、提携・売却も視野
   (例)石油化学事業、汎用アルミ材料事業、HD・MD事業

10. 設備投資

減価償却費を上回る投資を「成長戦略事業」を中心に積極的に実施する。
  減価償却費 1,065億円、 設備投資額 1,140億円 (3年間累計)

11. 研究開発

研究開発体制の改革:成長戦略に向け、本年3月に技術系組織を改革
  ・ 技術融合:テクノロジー・プラットフォームによるコア技術の深化と融合
  ・ 技術マネジメント:ビジネスの追求、テーマの選択と集中
     ⇒ステージゲート制によるマネジメントの高度化を図る。

技術研究費
  ・ 戦略的市場単位でのビジネス拡大に向けた研究開発に集中投入 
  ・ 研究費 3年間で約400億円

12. 小さな本社

再構築事業の動向を睨み、間接部門をスリム化
 (本年3月より本部スタッフ経費削減プロジェクトを始動)

・ 本社費の削減目標:2002年予想 130億円 ⇒ 約95億円(約35億円削減)
・ 間接人員を2003年末までに大幅削減:
   2001年末 約400人  ⇒ 2003年末 約250人(150人削減)

13. 事業区分別売上高・営業利益目標 (単位:億円)


2002年(予想) 2003年 2004年 2005年
売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益
成長戦略事業 1,350
119
1,600
180
1,800
215
1,950
249
基盤事業 2,200
132
2,200
130
2,200
140
2,250
161
再構築事業 3,250
114
2,700
115
2,700
108
2,600
109
全社・共通  
△ 65
 
△ 49
 
△ 47
 
△ 19
合 計 6,800
300
6,500
376
6,700
416
6,800
500

14. 有利子負債削減

3年間の削減目標: 800億円

・2002年末 6,000億円(予想) ⇒ 2005年末 5,200億円
・削減額の内訳

   3年間のフリーキャッシュフロー  450億円
   日本ポリオレフィン非連結化  400億円
   運転資金増加 △ 50億円
   計  800億円

         
15.連結ROA目標

連結ROA推移(2001年〜2005年) (単位:億円)


2002年 2003年 2004年 2005年
営業利益 300 376 416 500
総資産
(期末ベース)
10,370 9,800 9,800 9,800
ROA 2.9% 3.8% 4.2% 5.1%

 

16. セグメント別売上高・営業利益目標 (単位:億円)


2002年(予想) 2003年 2004年 2005年
売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益 売上高 営業利益
石油化学 2,100
105
1,720
91
1,740
89
1,730
91
化学品 800
62
810
73
850
80
870
87
電子・情報 820
50
950
106
1,080
128
1,160
146
無機材料 520
50
470
11
480
24
490
38
アルミニウム他 2,560
125
2,550
144
2,550
142
2,550
157
全社・共通  
△ 65
 
△ 49
 
△ 47
 
△ 19
合 計 6,800
300
6,500
376
6,700
416
6,800
500

 


2002/12/10 昭和電工

中期経営計画の進捗状況について(骨子)
“個性派化学の確立”

 昭和電工株式会社(大橋光夫社長)は、2000年〜2002年の3年間を新たな成長へ向けての「経営刷新期間」と定めた中期経営計画「チータ・プロジェクト」(以下「チータ」)を推進いたしております。 本計画に基づき、事業ポートフォリオから外れる事業・関係会社の売却、有利子負債の削減、人員の削減、固定費の圧縮、バランスシートの改善を推進すると共に、成長戦略事業への積極投資を行い、事業構造改革を進めてまいりました。
 経済環境の激変により、「チータ」策定当初の収益目標は未達となりますが、「チータ」に定めた経営の主要課題は2002 年末には達成できる見込みです。
 当社は、「チータ」完遂を受け、2003 年〜2005 年をターゲット期間とし、「事業構造改革」から転換し、「成長戦略事業」の育成・強化をテーマとする
新中期経営計画「プロジェクト・スプラウト」を策定、本年1 月に発表いたしました。
 「プロジェクト・スプラウト」は、“個性派化学の確立”をスローガンとして、当社が保有する「無機・アルミと有機の技術融合」を推進力に、成長が期待される「IT ネットワークライフ」、「カーライフ」、「アメニティーライフ」の3 市場に向け、12 の「戦略的市場単位(SMU )」を設定し、個性的で競争力ある高付加価値製品群を集中投入いたします。
 チータ最終年の2002 年末を迎えるにあたり、「チータ・プロジェクト」の総括と、「プロジェクト・スプラウト」始動に向けた取組みをご紹介申し上げます。


Part 1 チータ・プロジェクト」の総括

1.2002 年業績見通し (2002年8月20日発表)

項目    億円
売上高  6 ,800
営業利益     300
経常利益     165
当期利益     145
剰余金      30
有利子負債  5 ,900

2 .「チータ・プロジェクト」目標:バランスシートの改善

(1) 欠損金の解消(「チータ」目標:2002年末での一掃)
中間期末の欠損金9 億円を当期末に解消、剰余金30 億円を計上の見込み。
(2) 有利子負債の削減(「チータ」目標:6,000 億円以下)
「チータ」基準年の1998 年末に7,116 億円あった有利子負残高を「チータ」期間内に1,216
億円削減し、当期末残高は5,900 億円まで減少する見込み。
(3) デット・エクイティ・レシオ改善(「チータ」目標:4.0 倍以下)
1998年末8.2倍であったD /E レシオを当期末に3.9倍まで改善の見込み。
(4) 人員の削減 (「チータ」目標:2,500人以上削減)
1998年末13,464人の人員を、当期末10,973人まで2,491人削減。 実質支配力基準の
導入等による新規連結子会社の増加2,758人を除くと当期末8,215人となり、実質5,249
人減少の見込み。
(5) 総人件費の削減(「チータ」目標:200億円削減)
1998年総人件費1,020億円を、当期844億円まで176億円削減。新規連結による増加
117億円を除くと同727億円となり、実質293億円削減の見込み。

3 .「チータ」期間の事業・関係会社の売却
  計 画:事業ポートフォリオに基づく15 社以上の売却
      それによる有利子負債500 億円削減
  実 績見込:25社売却、それによる有利子負債280億円削減

  石油化学 化学品 電子・
情報
無機材料 アルミニ
ウム
その他 合計
会社・事業数 25
内容 海外射出成
形子会社(ハイ
モールド)6 社
北海道工業
ガス 他
昭和キャボ
ットスーパ
ーメタル
高純度電解
鉄事業
パネル事業
子会社
三峰川電力、
昭和物流
 


4 .設備投資・投融資と研究開発投資

(1)設備投資・投融資(3 ヵ年累計)
    計 画     1,200 億円(減価償却費 1,260 億円)
    実 績見込  1,010 億円(減価償却費 1,180 億円)
    IT 不況による投資計画延期と効率的投資の推進により減少。

(2)研究開発投資(3 ヵ年累計)
    計 画      610 億円
    実 績見込   600 億円

5 .コストダウン(1999 年対2002 年予想比較)

(1)コストダウン総額400 億円を実現(連結範囲変更による影響を除く)  

内、総人件費圧縮   140 億円  
製造コストダウン   200 億円  
SCM ・物流    40 億円  
一般管理費等削減    20 億円  

(2)本社費削減 40 億円(上記の内数)

6 .事業ポートフォリオに基づく着実な戦略実施

(1) 電子・情報
    事業分野拡充と、世界最強の技術力維持・強化
     ・HD 事業強化
     ・ 化合物半導体拡充
     ・ レアアース1 .5t 炉増設
     ・ 特殊ガスの海外拠点網構築
(2 ) アルミニウム
    一体化によるシナジー効果追求、合理化、海外展開加速
     ・ 昭和アルミニウム、ショウティックとの合併
     ・ 熱交換器 世界四極体制構築(日米欧亜)
     ・ ショウティック世界四極体制構築(日米欧亜)
     ・ 汎用事業のコストダウン
(3) 化学品
    高収益事業の着実な伸長とコストダウン
     ・ 川崎IPP (電力卸供給事業)参入
     ・ 冷媒事業における旭硝子との提携強化
     ・医農薬中間体ラインアップ拡充
(4) 石油化学
    大分エチレン生産能力縮小、大分・徳山を中心とする徹底的コストダウン及び
    アセチル事業の再構築
     ・ 大分エチレンクラッカー戦略的能力縮小(年産60 万t 体制)
     ・ メタノール法酢酸海外生産拠点確保
(5) 無機材料
    合理化実施と低収益事業からの撤退
     ・フェロクロム(周南電工)撤退決定
     ・汎用セラミックス(汎用耐火材等)撤退

7 .まとめ

(1)飛躍のための戦略的縮小

 ・ フローの収益は「チータ」比未達ながら、欠損金一掃、有利子負債削減等の財務体質改善
目標を達成しました。
 ・ 後半3 ヵ年の成長戦略の策定
トップダウンによる「チータ」推進により所期の経営刷新効果が得られたため、“成長のためのアクションプラン“として新中計「プロジェクト・スプラウト」を策定いたしました。
   
(2)企業カルチャー変革
  従業員の意識改革(「ぬるま湯」からの脱却)、業績評価制度改革・組織改革を併行して推進することにより、当社グループを、“個別事業の寄り合い集団から、求心力と共通目標を有する戦う集団へ”転換、企業カルチャーの変革を実現いたしました。
  @意識改革 ::危機感共有、スピード最重視、リーガルマインド定着
  A業績評価制度改革(ROA 、キャシュフロー等で評価)
   ・ グループ役員の報酬評価制度改革
 ・ 課長級以上従業員の業績評価制度改革
  B組織改革
   ・ 本部組織改革(戦略機能統合・強化など)
 ・ 事業部門組織改革(工場制廃止、SCM の導入など)
   
8 .6年間のグループ経営基本戦略(1999 年策定)
 ・ 2000 〜2002年「チータ・プロジェクト」−飛躍のための戦略的縮小−
 ・ 2003 〜2005 年 後半3 ヵ年実行計画 −成長路線への転換−
   
  「チータ」完遂により、スローガンを「個性派化学の確立」とする後半3 ヵ年の成長戦略「プロジェクト・スプラウト」を策定(2002年1月発表)いたしました。


Part 2 「プロジェクト・スプラウト」の展開

1 .経営理念の制定 (2002年1月発表)

私たちは、社会的に有用かつ安全でお客様の期待に応える製品・サービスの提供により企業価値を高め、株主にご満足いただくと共に、国際社会の健全な発展に貢献いたします。

 「プロジェクト・スプラウト」による成長戦略推進により経営理念の実現を目指します。

2 .「プロジェクト・スプラウト」の基本コンセプト

(1 ) 技術シナジーの追求

事業シナジーが希薄な多数の事業の展開であった「総合化学」から、「無機・アルミと有機の融合」による技術シナジー追求で競争力に転化する「個性派化学」の確立を図ります。

(2 )生産からの発想から市場からの発想へ

はじめに製品ありきの「生産からの発想」から、ターゲット市場(戦略的市場単位)と「個性派技術」から事業ドメインを決定する「市場からの発想」へ180 度の転換を図ります。

3 .事業ポートフォリオ

(1 )事業ポートフォリオの位置付け

当社が保有する広範な事業群と技術シーズ、成長が期待される3 大ターゲット市場分野(IT ネットワークライフ、カーライフ、アメニティーライフ)の分析を基に、当社コア技術との組み合わせで事業の成長が期待できる「戦略的市場単位(SMU )」を設定しました。戦略的市場単位とコア技術による検討により、全ての事業を下記の3 区分に分類しました。

@SMU に直結し、グループの成長エンジンとする「成長戦略事業」
A 成長性は高くないが、成長戦略事業を支える「基盤事業」
B 現状収益力に拘らず再構築が必要な「再構築事業」

(2 )事業ポートフォリオ

セグメント 成長戦略事業 基盤事業 再構築事業
石油化学   特殊高分子
(ビニルエステル、
 アリルエステル)
オレフィン
有機化学品
合成樹脂
合成樹脂加工
化学品 特殊化学品
(化粧品原料、医農薬中間体
 アミノ酸類等)
基礎化学品
(アンモニア、産業ガス等)
農薬・防疫薬
 
電子・情報 半導体用特殊ガス・薬品
化合物半導体
レアアース
アルミ高分子固体コンデンサー
  HD ・MD
無機材料 ファインカーボン
ファインセラミックス
人造黒鉛電極 汎用セラミックス
アルミニウム他 高機能アルミ部材*
コンデンサー用高純度アルミ箔
熱交換器

環境ビジネス
アルミニウム缶 地金・合金
汎用アルミ材料

* ショウティックTM 、高熱伝導アルミ板(ST60)、レーザープリンター用感光ドラム

 

4 .戦略的市場単位(SMU)

当社の強みと市場の成長性から、3 大ターゲット市場の中に12 のSMU を設定しました。「プロ
ジェクト・スプラウト」では全ての成長戦略事業をSMU アプローチで展開いたします。


5 .チータ期間における「スプラウト」の「助走」

(1)技術 ・技術系本部一本化 (研究開発と生産技術)
    ・テクノロジー・プラットフォーム(TPF )スタート
      (コア技術 27 プラットフォーム)
    ・ 研究開発におけるステージゲート制の導入(いずれも2002 年3 月実施)

(2)SMU ・SMU プロジェクト発足(12 SMU )(2002 年 5 月)
    ・SMU 戦略の策定 (2002 年 7 月)
    ・SMU 内情報共有システム稼動(2002 年12 月)

(3)各事業の個別戦略
    ・全事業の個別戦略策定(2002 年10 月)
      (基盤事業、再構築事業を含む)

6 .昭和電工の27のコア技術

当社の強みである下記コア技術を深化、融合させることにより、お客様のニーズにお応えする個性派製品を提供いたします。

有機エレクトロニクス材料  
電池 
キャパシター
磁性・記録材料
無機エレクトロニクス材料  
結晶成長プロセス 
薄膜成長プロセス
微細加工プロセス
マイクロシステムプロセス
機能性ガス
極限条件プロセス
伝熱システム 
鋳造プロセス
塑性加工
接合 
機能性金属材料   
機能分子設計 
精密反応設計
高機能触媒
機能性樹脂設計
ファインパーティクル
バイオ
有機製造プロセス
表面・界面化学

組成・構造解析、化学解析、数理技術

7 .SMU アプローチ

当社グループの特徴・強みを活かした個性派(差別化・高付加価値)戦略を全ての成長戦略事業で展開いたします。SMU アプローチを例示いたします。

(1 )ディスプレイ/材料SMU

(2) 電池材料SMU

(3)情報通信デバイスSMU

(4)ナノパーティクルの展開

8 .基盤・再構築事業
(1)基盤事業
  ・ 基礎化学品 コストダウンをはじめとする競争力強化
     (アンモニア事業における回収プラスチックのガス化など)
  ・ 人造黒鉛電極 市場立地の日米2 拠点体制で、品質・コスト世界一

(2)再構築事業
  ・石油化学   大分エチレンプラントを中心にアジアトップクラスの競争力実現
            合成樹脂は日本ポリケムとのアライアンス実現
            アセチル事業積極展開
  ・HD ・MD   三菱化学のHD 事業買収 外販メーカーとして世界最大に
            (内製を含む世界シェア15%)
  ・汎用セラミックス 中国への生産移転
  ・汎用アルミ材料
      圧延品  成長戦略事業へのシフト(高熱伝導性アルミ板(ST60)、
            コンデンサー用高純度アルミ箔)
      押出品  高付加価値品へのシフト、生産拠点集約
      スカイアルミニウム・古河電工軽金属部門の経営統合

9 .グローバル戦略:積極的なグローバル展開 中国・アジアに注力

顧客立地 コスト・原料立地
HD(シンガポール)*
MD(マレーシア)
半導体ガス(台湾、上海、シンガポール)
熱交換器(タイ、米国、チェコ)
ショウティック
(米国、シンガポール、ポルトガル)
感光ドラム(米国)
酢酸エチル(インドネシア)
人造黒鉛電極(米国)
ビニルエステル樹脂、BMC(上海)
レアアース(中国)*
熱交換器(フィリピン、インドネシア)
酢酸(マレーシア)
汎用セラミックス(中国)*
他に複数の案件を検討中


*印はスプラウトで展開

10 .財務体質の強化: チータに引き続き財務体質強化を推進

  2002 年 ⇒ 2005

ROA(営業利益ベース)

3 .0 % ⇒

5 .1 %

有利子負債

5 ,900 億円 ⇒

5 ,200 億円

デット・エクイティ・レシオ

3 .9 倍 ⇒

2 .8 倍


11.組織変更(2003 年1月実施)
(1)ファインカーボン部の独立(炭素・金属事業部より分離)
   ・VGCF
®、VGNF®等ナノカーボンの戦略的拡大
   ・ 電池材料SMU の中核事業の一つとして機動的展開を可能に

(2)HD 、MD 両事業部の統合 :三菱化学グループのHD 事業買収を機に一体化

(3)企業倫理委員会の設置 :法令遵守に関する体制を強化

12. 2003 年のコストダウン (2002 年対比)

@人件費・小さな本社   20 億円
A 製造コストダウン   40 億円
B 購買   20 億円
CSCM ・物流   20 億円
合 計  100 億円

当社は、「プロジェクト・スプラウト」で定めた戦略の完遂により企業価値の増大を図り、経営理念の実現を目ざします。