2003/04/28 積水化学工業
積水化学グループの新中期経営ビジョン策定について
当社では、このたび積水化学グループの新しい中期経営ビジョン「SG21―premium(プレミアム)600」を策定しましたので、お知らせします。
I.これまでの取り組みと課題
1. | 1999年、経営ビジョン「GS21」(Growing Sekisuiin the 21ST Century)を策定し、21世紀に新たな成長をめざすための積水化学グループの基本スタンスを示す | |
(1) | 事業領域を3つに再編し、それぞれ伸びる領域を見定めて集中的に取り組む | |
(2) | 新しい時代に向けたマネジメントの革新 | |
2. | 2001年、市場環境の激変に対応すべく、事業構造改革に取り組む | |
(1) | 厳しい市場環境で勝ち残るために、スリムな体質へ一気に変革す | |
(2) | 低収益事業から成長分野へ経営資源を大幅にシフトし、大胆に事業ポートフォリオを改革する | |
3.以上の取り組みの成果 | ||
(1) | 3つの事業領域へのカンパニー制導入と強化 | |
(2) | 徹底した事業構造改革の推進による赤字体質の脱却 | |
4.課題 | ||
(1) | 厳しい経済環境にも左右されない確固たる収益基盤の構築 | |
(2) | 飛躍的な成長へ向けた事業拡大策の展開 | |
(3) | 新たなステージに進むためのマネジメント変革 | |
II.新中期経営ビジョン「GS21−Premium600」について | ||
1.企業理念 | ||
『積水化学グループは「際立つ」「高収益」企業として成長を続け、「お客様」「株主」「従業員」「地域社会」「地球環境」の5つのステークホルダーの期待に応えます』 | ||
2.全体編 | ||
3つのカンパニーがそれぞれの強みを生かして「際立つ」「高収益」に徹底してこだわり、コーポレート、カンパニーが一丸となって「プレミアムカンパニー」をめざす 『2005年度営業利益600億円の達成』 |
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(1) | 「高収益」を基準に、事業ポートフォリオを変革する −主力事業の高収益化と不採算事業の改革− |
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(2) | 「環境」と「先端技術(Chemistry)」で際立つ −環境や先端技術(Chemistry)に重点投資し、新事業創出をはかる− |
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(3) | 事業のグローバル展開の加速 | |
3.経営指標など
(1 )経営指標
単位:億円、%、人
2002 年度実績 2005 年度計画 売上高 (連結ベース)
7 ,997
9 ,300
営業利益(連結ベース)
140
600
ROA (税引前利益/総資産)
2
8
グループ総人員
20 ,500
20 ,500
(2 )財務指標(連結ベース)
・ 有利子負債の削減 1 ,000 億円 単位:億円
2002 年度実績 2005 年度計画 総資産
7 ,512
7 ,600
有利子負債
1 ,938
1 ,000
(3 )投資・研究開発費
・戦略投資の倍増(海外展開、新事業創出、M&A )
・新事業創出のための研究開発費50%増 単 位:億円
3ケ年累計 2000 〜2002年度 2003 〜2005年度 投資総額
750
1 ,000
内戦略投資
250
500
研究開発費
700
740
内新事業創出
200
300
4 .カンパニー編
(1) | 住宅カンパニー | |
『地球環境に優しく、60年以上安心して快適に住みつづけることのできる住まいを提供する』 | ||
[1] | 住宅事業の受注競争力を強化する | |
[2] | 住環境事業の拡大を加速する | |
(2) | 環境・ライフラインカンパニー | |
『環境ソリューションカンパニーをめざす』 | ||
[1] | 大胆な事業ポートフォリオ改革により、ROA7%を達成する | |
[2] | 環境ソリューション事業を早期に立ち上げ、3分野で売上高400億円の事業を確立する | |
[3] | 「システム」「グローバル」をキーワードに新しい事業モデルを構築する | |
(3) | 高機能プラスチックスカンパニー 『ChemistryforyourWin』 |
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[1] | 事業ポートフォリオによる事業の選択と拡大を推進する | |
[2] | グローバル化をさらに進め、海外売上高700億円、海外比率1/3をめざす | |
[3] | 電子情報材料分野、メディカル分野で得意領域NO.1を確立する | |
単位:億円
カンパニー 2002 年度実績 2005 年度計画 住宅
売上高
3 ,999
5 ,000
営業利益
53
300
環境・ライフライン
売上高
1 ,896
1 ,900
営業利益
6
100
高機能プラスチックス
売上高
1 ,722
2 ,000
営業利益
104
200
5.マネジメント変革の推進 | |||||||||||
(1) | 財務戦略 | ||||||||||
株主価値最大化をめざしてキャッシュフロー経営を徹底する | |||||||||||
(2) | 人事戦略 | ||||||||||
「自ら手をあげ挑戦する」風土づくりと成果主義を徹底し、変革に絶えず挑戦し勝ちきる人材を創出する | |||||||||||
(3) | 技術・開発戦略 | ||||||||||
「際立つ」技術を創り上げ、事業の収益力強化と成長事業の育成に貢献する | |||||||||||
6.広く社会から信頼される企業をめざす | |||||||||||
(1) | 「環境創造型」企業をめざす | ||||||||||
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(2) | コンプライアンス体制を構築する | ||||||||||
(3) | CS優良企業をめざす |
環境経営の取り組みの強化について
〜積水化学グループは環境活動を経営の基軸に「環境創造型企業」を目指す〜
積水化学工業株式会社(本社:大阪市、社長:大久保尚武)では、グループ全体にわたり、製品開発から生産・販売、及び使用後の廃棄段階に至るあらゆる活動において、環境・安全に配慮した先進的な取り組みを進めてきました。
今後は、この活動をさらに強化し社会的責任を果たすと同時に、エコロジーとエコノミーとを両立させ、環境を基軸に企業としての継続的な成長を図る"環境経営"を積極的に推し進め、環境で際立つ「環境創造型企業」を目指していきます。
1.積水化学グループの環境経営
<目指す姿 =「環境創造型企業」> | |
: | エコロジー(地球環境への配慮、地域環境との共生)とエコノミー(お客様と企業の経済性)とを両立させ、環境を基軸に継続的な成長・革新ができる企業体質・風土により、広く社会から信頼される企業 |
<狙い>
「環境創造型企業」を目指すことで
・環境で成長する
・環境で経営を刷新する
・環境で事業コストを低減する
2.環境経営の基本方針 | |
1) | 環境を切り口とした現有事業・技術の再編による事業創造と、先端技術での次世代環境事業の創出 |
2) | グループ社員全員の意識の向上とグループ全体のマネジメントシステムの改革による企業風土の変革 |
3) | 環境保全の一層の強化と環境を切り口とした事業活動の効率化によるコスト低減 |
4) | 自然保護・地域貢献活動などを通じた社会貢献活動の充実 |
以上の取り組みを強力かつ迅速に推進するため、コーポレート組織に環境経営推進部を設置しました(4月1日付)。
3.具体的取り組み
1 )環境事業による成長
(1) 環境配慮製品売上の大幅増
2005
年度連結売上高増分目標約1,300 億円(2002
年度対比)のうち1,000 億円を環境配慮 製品で達成する。 |
|
(参考:連結売上高2002 年度実績7,997 億円、2005 年度計画9,300 億円) | |
環境配慮製品売上高(2005 年度目標) | 1 ,000 億円増 (2002 年度対比) |
(2)環境事業分野(現有事業・技術再編での事業創造と先端技術での次世代環境事業創造)
主な現有事業 | 新事業 | |
省エネ・創エネ | ・光熱費ゼロ住宅 ・太陽光発電システム搭載住宅 ・遮熱中間膜 |
・高度エネルギー利用住宅 (燃料電池関連など) |
資源循環 | ・水の再利用 (生ゴミ処理システム、 地下貯水システム滞水材) ・リサイクル発泡三層塩ビ管 |
・住宅の再利用(再築システム) ・水循環システム ・木材の再資源化 |
環境負荷低減 | ・環境配慮材料 (脱溶剤系接着剤ほか) ・更生管事業 |
・高機能材料の環境分野展開 (高機能微粒子など) |
2)環境マネジメントシステムの改革
全社環境マネジメントシステムの再構築 | : | グループ全体での環境マネジメントシステムへの発展(海外関連会社含む) |
業績評価への環境指標の導入 | : | 環境への取り組みを業績評価に明確に反映させる指標の策定(事業評価、個人評価) |
環境配慮対応促進制度の導入 : | : | 環境配慮製品の開発及び環境負荷低減活動等のためのインセンティブ制度導入 |
3)環境保全の一層の強化と環境負荷低減活動の徹底による事業コストの低減
(1)環境保全の一層の強化
2010年度環境目標達成にむけ環境負荷低減活動を強化する
(炭酸ガス排出量、省エネルギー、廃棄物など)
(2)環境負荷低減をはじめとする環境を切り口とする事業活動の効率化によるコスト削減額
2005年度目標 50億円(2002年度対比)
4)自然保護・地域貢献活動などを通じた社会貢献活動の充実
(1)環境に貢献する研究活動の支援
「積水化学 自然に学ぶものづくり研究助成プログラム」継続
(2)社会貢献活動の充実と組織的展開
・ 経団連自然保護協議会への継続的参画
・ 地域活動の展開(積水化学自然塾、ビオトープ)
・ グループ社員への教育体系の充実
(参考)積水化学グループの2010年度環境目標
炭酸ガス排出量(総量):生産事業所の炭酸ガス排出量(総量)
7%削減(1990年度比)
廃棄物:生産工程から出る廃棄物発生量の生産売上高原単位 50%削減(1998年度比)
本社、支社、研究所をゼロエミッション化
新築及び解体、増改築に伴う建築廃棄物のリサイクル率100%
<別紙> 積水化学グループの環境に関するこれまでの取り組み
・環境に配慮した製品・技術の開発に関する取り組み
環境配慮新製品の開発 | 141品目(1999年度から2001年度までの3年間) 新製品売上高に占める環境配慮新製品の売上高比率32.5% |
太陽光発電システム搭載住宅 | 累計2 万棟達成(2003年3月) |
リサイクルの推進 | 再築システムの家(URU )事業(2002年5月) |
・環境保全などに関する取り組み
CO2 削減 | CO2 総量1990年度比2.3%増(2001年度) |
ゼロエミッション | 26生産事業所で達成(2001年度) 全10 住宅生産工場で達成(2001年9月、大手住宅メーカーで初) |
グリーン調達の導入 | グリーン調達システム運用開始(2001年〜) グリーン調達率66.4 %(2001年度) |
ISO 14001 | 国内38 生産事業所・研究所及び34 住宅販社で取得(2001 年度) |
環境会計 | 1999 年度より実施 |
・自然保護・社会貢献活動に関する取り組み
経団連自然保護基金 | 1997年より実施 |
積水化学自然塾 | 1997年より実施 延べ参加人数累計207名(2001年度) |
・社外からの評価
「進ドマーニJX 」 | 新エネルギー大賞・資源エネルギー庁長官賞(1999年度) |
CO2 ヒートポンプ給湯器 | 省エネルギー大賞・経済産業大臣賞(2001年度) |
自由断面SPR 工法 | 関東地方発明表彰 東京都知事賞(2001年度) |
環境レポート2002 | 第6回「環境報告書賞
優良賞」受賞 (東洋経済新報社、グリーンリポーティング・フォーラム) |
環境レポート2001 | 第5回「環境レポート大賞
優秀賞」受賞 ((財)地球・人間環境フォーラム) |
潟gーマツ審査評価機構による環境格付け評価 A ランク | |
おおさか環境賞 | 大賞(大阪府、2000年度) |
自動車分野における事業拡大について
―『AT1000プラン』を策定 ―
http://www.sekisui.co.jp/pr/060119.html
■2007年末までに海外3工場(中国、オランダ、アメリカ)を新設
■新分野参入に向け2006年度、自動車材料開発センターを新設
積水化学工業株式会社(社長:大久保尚武)高機能プラスチックスカンパニー(プレジデント:松永隆善)では、自動車関連事業の更なる成長を狙いに、2010年度売上高1000億円を目標とする『AT1000プラン』を策定しましたのでご報告いたします。
1.自動車関連事業の現状 − 2つの世界シェアNo.1事業
当社自動車関連事業(AT事業)は「製品の高機能化」と「グローバル展開の加速」を基本方針に、「自動車向け合わせガラス用中間膜」「自動車内装用発泡体」「自動車向けテープ」「自動車バンパー」等多様な製品を供給し、2005年度売上高で約500億円を見込めるまでになりました。特に「自動車向け合わせガラス用中間膜」と「自動車内装用発泡体」は世界で40%を超えるトップシェア製品に成長し、他の自動車関連製品においても世界初の製品群を持ち、現時点で50品目以上の製品を供給しています。
2.今後の自動車関連事業 −『AT1000プラン』の策定
今日、自動車産業はグローバルな技術競争下にあり、「環境、安全、快適」の向上を基本とし、燃費向上、軽量化、エレクトロニクス化等に取り組んでいます。当社では「グローバル展開の加速による現行事業の更なる強化」を最重要課題としていますが、加えて自動車の技術競争に伴い発生する新たな需要に対して、「探索・企画・開発機能を強化」していきます。2006年度、自動車材料開発センターを新設するとともに、自動車関連事業企画室の機能を強化していきます。なお、売上目標としては「2010年度1000億円(2005年度対比倍増)」を目指します。
3.『AT1000プラン』の概要
<基本方針> @現行事業の拡大 ・グローバル展開の加速 − 需要地生産の推進 2006年夏 中国初の自動車専用架橋ポリオレフィン発泡体工場を新設 2006年秋 オランダに合わせガラス用中間膜原料工場を新設 2007年秋 アメリカに合わせガラス用中間膜工場を新設 A新分野への参入 ・自動車材料開発センターの新設(2006年度) ・自動車関連事業企画室の機能強化 <目標> 2010年度:売上高1000億円(2005年度対比倍増) |
@現行事業の拡大 ―
グローバル展開の加速に向け2007年末までに海外3工場を新設
現在、自動車向け合わせガラス用中間膜事業の世界シェアは約40%です。需要地生産を推進し、生産拠点を日本、メキシコ、オランダ、タイ、中国の5箇所、販売拠点はアフリカを除く世界各地に13箇所持ちます。また、世界シェアの約47%を占める自動車内装用発泡体事業においても需要地生産を推進、日本、アメリカ、オランダ、タイ、韓国等12箇所において生産を実施、販売拠点は世界に43箇所持ちます。その他の自動車関連製品においても、世界初となる製品の開発を実施し、輸出によりグローバル市場への参入を行っています。今後はグローバル展開の加速に向け、海外生産拠点の拡充を加速します。具体的には
2007年末までに、中国に発泡体工場、オランダに中間膜の原料工場、アメリカに中間膜工場を新設します。
新設する工場 | 生産品 | 生産能力 | 稼動予定 | 備 考 |
中国
発泡体工場 (河北省) |
・自動車内装用架橋ポリオレフィン発泡体 | 150万台分/年 | 2006年夏 | 中国初の自動車専用発泡体工場 |
オランダ
中間膜原料工場 (リンブルグ州) |
・合わせガラス用遮音及び通常中間膜用の原料樹脂 | 1200万台分/年 | 2006年秋 | 欧州での遮音中間膜の需要拡大に対応 |
アメリカ
中間膜工場 (ケンタッキー州) |
・自動車向け合わせガラス用通常中間膜 ・自動車向け合わせガラス用遮音中間膜 |
600万台分/年 | 2007年秋 | 北米でのシェア拡大 |
A新分野への参入 −
2006年度に自動車材料開発センターを新設
当社の住宅やIT事業で培ってきたコア技術(ナノ材料技術、接着力制御技術、樹脂設計技術、精密重合技術等)を生かし、「車載用電装品」、「音の快適性」等の新規成長分野への参入をめざします。
開発体制強化に向けては、2006年度、自動車材料開発センターを新設するとともに、自動車関連事業企画室の機能を強化していきます。
B2010年度売上高1000億円を目指す
現行事業のグローバル展開の加速及びコア技術での新分野参入により、2010年度売上高1000億円を目指します。2005年度約500億円(見込み)の現行事業を、2010年度には80%増の900億円まで拡大するとともに、新分野で100億円の売上を目指します。