日刊工業新聞 2003/1/30

東邦テナックス、03―05年度中計発表−炭素繊維で世界No.1へ    発表

 東邦テナックスは「炭素繊維事業で世界ナンバー1を目指す」ことを柱とした03―05年度中期経営計画「TENACIOUS PLAN2005」を発表した。06年3月期に売上高460億円(03年3月期見込み315億円)とするほか、炭素繊維中心の化成品、繊維、機械・エンジニアリング・サービスの3事業ですべて営業黒字化させる。

 同社はレーヨン事業からの撤退で営業02年3月期は営業赤字化するなど、苦戦が続いている。世界第2位の炭素繊維も航空・宇宙分野の需要減少やなどで調整過程で、営業赤字となっている。

 新中計は、炭素繊維事業を成長事業、他の2事業を安定収益事業と位置づけた。

 化成品事業の計画は03年以降の炭素繊維の需要が回復に向かい、需給バランスも改善することが前提。これに合わせ生産性向上やコストダウンで、品質・価格競争力を向上させ、世界トップを目指す。



2003/1/29 東邦テナックス株式会社


中期経営計画 (TENACIOUS PLAN 2005 、略称;TP 05 )について

 標記について、下記要領にて弊社2003年〜2005年中期経営計画(名称:TENACIOUS PLAN 2005 、以下、「TP 05」という。 tenacious =「強靭な」、「粘り強い」の意)を策定いたしましたので、お知らせいたします。

T.東邦グループ全体

  1 . TP 05 の目的
    当社グループが目指す「21 世紀に存在感のある企業」となるため
a .化成品(炭素繊維)事業を質・量ともに世界NO .1 にする。
b .コンポジット事業および環境関連事業を第二、第三の柱に育てる。
ことを目標としております。
上記a ,b を実現するため2003 年度から2005 年度までの経営数値目標の設定および目標達成に向けた基本戦略および主要施策を策定いたしました。
     
  2 .TP 05 の特徴
    化成品(炭素繊維)事業は利益ある成長(Profitable Growth )、繊維、機械・エンジニアリングおよびサービスの各事業は安定収益確保をターゲットといたしました。
     
  3 .TP 05 の数値目標 単位:億円
   
  02 年 03 年 04 年 05 年
売上高   315   380   420   460
営業利益    −2     7    15    29
税後利益    17     0     6    19
営業利益ROA −0 .5   1 .9   3 .9   8 .0
     
  4 .前提条件:為替レート 単位:円
   
  02 年 03 年 04 年 05 年
ドル          121   125   130   130
ユーロ   118   119   124   124
     
  5 .セグメント別目標(2005 年) 単位:億円
   
  売上高 営業利益
02 年 05 年 02 年 05 年
化成品(炭素繊維)   152   240    −5    20
繊維    91   120    −1     3
機械・エンジ、サービス    72   100     4     6
  315   460    −2     29
     
U.事業別基本戦略と主要施策
  1 . 化成品(炭素繊維)事業
    品質・コスト・開発の一層の改善を図り、競争力の強化、収益性の向上およびシェア拡大を目指す。
    (1) 需要動向
    航空宇宙分野:同時多発テロ後の調整過程を脱し、2003 年以降需要回復に向かう。
    スポーツ・レジャー分野:余り大き伸びは期待できない。                        
    産業資材分野:力強い成長が期待できる。風力発電、オフショア用途は今中期計画中に実現が見込まれ、大型需要である燃料電池や自動車用途への展開は2010 年前後と予測される。                                                  
    全体としての需給バランスは、現在の供給能力に対して2005 年にはバランスすると思われる。
       
    (2)基本戦略および主要施策
   
基本戦略 主要施策                                        
品質、価格競争力の向上により世界一流レベルの地位を堅持
既存ラインの生産性、品質向上およびコストダウン
  02/1 生産技術センター発足(TT 委員会)
工業用途、航空機用途の拡販と営業力強化
コンポジット事業を拡大し第2の中核事業へ育成
航空機、自動車、風力発電など成長分野への積極対応
  02/9 AMD チーム発足、02/10 揖斐川コンポジット工場稼動
大型化、高度化に対応した新技術の導入と量産技術の確立
  02/4 コンポジット技術開発センター発足
日米欧供給体制の確立
M&A および有力パートナーとの連携強化等により北米生産拠点を確保              
三極連携によるマーケティンク力の強化
中国市場への展開強化
既存ユーザーのアジア・中国シフト対応
中国市場の新規CF 需要の掘り起こしとクイック対応
  03/1 上海駐在員事務所開設
得意分野(耐炎繊維「パイロメックス」事業)の拡大
電極材用途(NAS 電池)向け増販
新規用途への展開
積極的な研究開発
新規用途の開拓およびプロセスの革新
帝人グループ内での連携強化
     
  2 . 繊維事業
    事業再構築効果に加え、開発型付加価値素材にシフトすることにより収益力を向上させる。
   
基本戦略 主要施策                                        
差別化素材の拡販
サンバーナー(吸湿発熱アクリル)、ベスコット(風合い安定コットン)の拡販
レーヨンおよびポリエステルと自社素材を組合せた複合糸・複合ニットの
拡販
不採算分野の縮小
綿ニット定番品等の輸入品に浸食される分野からの撤退
トーホウアパレル撤収
コストダウンの追求
揖斐川工場コスト競争力の一段の強化
SCM の展開による営業効率の向上
輸入糸・製品の拡販
海外拠点(中国、インド、インドネシア等)の活用
差別化素材の輸出強化
自社差別化素材を中心に日系アパレル等へ輸出販売
差別化素材(原綿、原糸、生地)の輸出
海外生産素材の輸出(自社差別化素材の海外生産・加工→販売)
     
  3 .機械・エンジニアリングおよびサービス事業
    得意技術・製品・サービスを核として、安定収益を維持すると共に、グループ内シナジーを追及し、
環境関連ビジネスの拡大を図る。
       
   
基本戦略 主要施策                                          
環境関連ビジネスの積極的展開
1 .営業領域の拡大と新商品の開発・販売
ダイオキシン等の分析サービス拡大と新規規制項目への対応
既存の蒸気脱着式溶剤回収装置等に加え電気脱着式の開発・販売
極微量有機ガス処理装置の開発・販売
CF を利用した水浄化装置の開発・販売
2 .グループ内連携強化等
主力機械製品の国内外での拡販
エラストマー注型機、ウレタン発泡機の機能強化、品質向上、コストダウンによる拡販
海外拠点(上海、韓国、台湾、タイ)づくりによる輸出販売の促進
グループ内連携強化
地域密着型の得意サービス分野の拡大
リネンサプライサービス、介護用品販売およびその周辺事業の拡充