2002/10/29 旭化成
アクリル繊維事業の撤収について
旭化成株式会社(本社東京、代表取締役社長山本一元)は、このたびアクリル繊維事業(「カシミロン」<アクリル短繊維>、「ピューロン」<アクリル長繊維>、「ラスタン」<アクリル耐炎繊維>)からの撤収を決定しましたのでお知らせします。
当社は、アクリル繊維事業の再構築に努力してまいりましたが、新中期経営計画“ISHIN−05”に沿って、選択と集中の加速、高収益事業群の拡大を進め、繊維事業の構造改革を実現するためには、同事業を撤収せざるをえないと判断いたしました。今後は繊維事業においては、スパンデックス、不織布などの競争優位にある事業の拡大を通じて収益力を強化してまいります。
1.事業撤収決定の背景 | |
(1) | 当社アクリル繊維事業の主力である「カシミロン」事業は、国内にあっては市場の継続的縮小、海外市場にあっては為替・原料価格の乱高下にさらされ続けるという、厳しい構造の中で不採算が続いていました。このため、差別化原綿の拡大、生産・販売体制のスリム化を進める等、可能な限りの構造改善策を実施してまいりましたが、将来的に再投資に耐えうる事業採算性を見出すに至らず、やむなく撤収を決意いたしました。 |
(2) | 「カシミロン」と同じ原料設備、原液、回収設備等を共用している「ピューロン」「ラスタン」につきましても、「カシミロン」撤収後の単独での事業存続に関しては、多大の投資を要するため、事業継続は不可能との結論に至り、「カシミロン」と併せて撤収することを決定しました。 |
2.事業撤収の予定日程、対応等 | |
(1) | 予定日程:生産の終結 2003年(平成15年)3月末(予定) 販売の終結 2003年(平成15年)6月末(予定) |
(2) | 上記予定日程で事業撤収を進めてまいりますが、永年ご愛顧をいただいた取引先各位とは、充分に調整させて頂き、極力ご迷惑をおかけしないよう努力いたします。 |
(3) | 当社従業員につきましては、原則として再配置することを予定しております。 |
<ご参考:当社アクリル繊維事業> (1)歴史(事業化年度) |
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「カシミロン」は、日本初の国産(自社)技術によるアクリル繊維であり、1959(昭和34)年に富士市にて事業化いたしました。柔らかい風合い、ウールに似た触感等から、セーター、毛布等を中心に用途展開し、また早くから海外輸出も量を伸ばしていきました。1962(昭和37)年には川崎にアクリロニトリル工場を建設して、原料一貫体制を構築、1967(昭和42)年に「ピューロン」、1986 (昭和61)年に「ラスタン」を事業化しており、アクリル繊維事業は当社繊維事業の中核の一つとなっておりました。 |
(2)現況
売上高 :150億円(2001年度単独)
内 訳「カシミロン」(アクリル短繊維)
「ピューロン」(アクリル長繊維)
「ラスタン」(アクリル耐炎繊維)120億円
22億円
8億円工場所在地 : :静岡県富士市 従業員数 :189名
生産量 : :2001年度実績 「カシミロン」
「ピューロン」
「ラスタン」69,000トン/年
1,900トン/年
230トン/年
アクリル繊維事業のアイルランド子会社の撤収について
当社はこの度、アイルランド゙西部で運営しているアクリル原綿製造子会社
(旭シンセティックファイバーズ)とアクリル紡績子会社(旭スピニング)
を清算し、アイルランドから撤収することを決定致しました。
両社は、1974年5月に設立され1977年に生産開始しましたが、
当初より厳しい経営が続き、1981年にヨーロッパでの販売力強化を
はじめとする経営改善策を講じました。その結果経営の安定をみましたが、
近年の競争の激化、原材料の高騰、欧州通貨の為替激変等により、
ここ数年厳しい経営が続いていました。
当社は、従業員の雇用継続を第一義に考え、
MBO(マネージメント・バイ・アウト=現地人経営者及び従業員による株式買収)
方式を提案し、政府、従業員等と調整を進めて参りましたが、
最終的な合意に到らず撤収することになったものです。
<会社概要>
旭シンセティックファイバーズ 旭スピニング 設立 1974年5月 1974年5月 本社 アイルランド国メイヨー州キララ アイルランド国メイヨー州キララ 社長 相沢 尚 相沢 尚 資本金 7.5百万アイリッシュポンド(約13億円) 3.0百万アイリッシュポンド(約5億円) 当社出資比率 85%(残りはアイルランド国系公団) 85%(残りはアイルランド国系公団) 売上高('97/3) 25.3百万アイリッシュポンド(約44億円) 4.4百万アイリッシュポンド(約8億円) 従業員数 約180名 約120名
アクリル繊維事業強化策について
東洋紡績株式会社(以下東洋紡)と日本エクスラン工業株式会社(以下エクスラン工業)は、1998年度以降アクリル繊維業界が極めて厳しい状況に直面する中で、今後のアクリル事業のあり方について検討してきました。その結果、次の事項を決定しましたのでお知らせいたします。
決定事項 | |
東洋紡は、アクリル繊維事業の強化策として、10月1日をもってアクリル繊維の販売業務をエクスラン工業に移管します。エクスラン工業でアクリル繊維の生産、販売、開発業務を一体運営し、意思決定のスピードアップを図るものです。 ただし、東洋紡グループの繊維総合力を活かすために、エクスラン工業の販売は東洋紡を通して行うこととします。また、エクスラン工業と東洋紡各部門との連携体制は従来どおり継続します。 これを機会に、東洋紡は、アクリル繊維事業について、東洋紡グループ繊維部門の一翼を担う事業として一段の事業内容の高質化を図ります。エクスラン工業の固有技術と東洋紡グループの総合力によって、従来以上に特化素材、機能素材に経営資源を集中し、これを基軸とする事業構造への転換を加速します。 この実現のため、エクスラン工業は9割無償減資を実施し、さらに東洋紡がエクスラン工業の土地の一部を買い上げることにより累積損失を解消します。また東洋紡は、一方の株主であり主原料のメイン・サプライヤーでもある住友化学工業とともに17億円の株主割当増資に応じて、エクスラン工業の資本金を20億円とします。 |
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決定を行った背景 | |
: | 東洋紡のアクリル繊維事業は、1989年の東洋紡と三菱レイヨン株式会社との共 販会社、ダイヤファイバーズ株式会社の解散以来、エクスラン工業が生産と開発を、東洋紡が販売を担当して事業展開を行ってきました。この間、東洋紡グループの総合力を生かし、アクリル繊維事業内容の高質化を図ってきました。
1998年以降、輸入浸透率の急激な上昇と、中国の生産能力増強による国際的な需給バランスの失調により、アクリル汎用素材の採算は大幅に悪化してきました。汎用素材については、今後も厳しい環境の継続が予測されます。 一方、国内外の市場ニーズの高度化ともあいまって、エクスラン工業の固有技術と東洋紡グループの総合力によって開発してきた特化素材、機能素材が有望な商品に育ってきております。 このような状況を考慮して、このたび、東洋紡グループの総合力を活用しながら、アクリル繊維の生産、開発、販売をエクスラン工業に集中一体化し、意思決定のスピードアップと経営資源の集中化、効率化を進めることによって、特化素材、機能素材を基軸とした事業構造への転換加速を図ることとしました。 また、この対策を円滑に遂行するために減資と土地の買い上げによる累積損失の解消を図ることとしました。また増資については、両株主が持ち株比率に応じて引き受けることになりましたので、出資比率は従来通り東洋紡80%、住友化学工業20%となります。 |
参考
日本エクスラン工業株式会社の概要
設立 1956年9月1日 本社 大阪市北区堂島浜二丁目2−8 資本金 減増資後 20億円(東洋紡績80% 住友化学工業20%) 現資本金 30億円(東洋紡績80% 住友化学工業20%) 社長 柴本 豊造 営業内容 アクリル繊維の製造販売 社員 285名(2001年8月1日現在)
中国でのアクリル繊維事業認可について
設立
三菱レイヨン株式会社(本社:東京都港区、社長:皇芳之)は、中国におけるアクリル繊維製造に関する"立項申請"を
2000年8月に中国国家発展計画委員会に提出し、2001年11月に同委員会より批准を得ました。アクリル繊維製造に関しては、
外資合弁企業として初の事業認可であり、今後、本プロジェクトの具体化の検討を加速させていきます。
中国におけるアクリル繊維需要は今年度約90万トンが見込まれ、そのうち約50万トンが国産、約40万トンが海外からの輸入となる
予想であり、中国のWTO加盟とともに今後とも一層の需要拡大が見込まれます。
立項内容:
@設立場所(建設地) : 中国浙江省寧波経済技術開発区 A投資額 : 約1億USドル B生産規模 : 年産 5万トン C資本金 : 50百万USドル D出資予定社 : 日本側
中国側三菱レイヨン株式会社
三菱商事株式会社
丸紅株式会社
伊藤忠商事株式会社
寧波連合投資控股有限公司55%
10%
10%
10%
15%
2002/12/9 三菱レイヨン
中国におけるアクリル繊維合弁会社設立について
三菱レイヨン株式会社(本社:東京都港区、社長:皇芳之)は、2003年2月を目処に、中国浙江省寧波市にアクリル繊維の製造販売会社を設立します。総投資額は約1億ドルを予定し、合弁先として寧波連合投資控股有限公司、三菱商事株式会社、伊藤忠商事株式会社、丸紅株式会社を予定しています。
アクリル繊維は肌触り・発色性・堅牢性などが優れていることから、セーター・肌着・靴下・縫いぐるみなどの衣料及び雑貨品や毛布・カーペットなどのインテリア寝装品等々の幅広い分野に使用されています。中国国内の需要は02年で約96万トンであり、今後とも、WTO加盟もあって再加工輸出も含め需要量は順調に伸び、05年には105万トン程度に達する見込みです。
三菱レイヨンのアクリル繊維は湿式・乾式短繊維及び長繊維に加え人工皮革と多様な製品を持ち、大竹事業所に年産13.6万トンの生産設備を有する日本最大手で且つ、世界唯一のアクリル繊維総合メーカーです。長年に亘って培った高度な生産技術・コスト競争力とともに、品質や高付加価値品に対しても内外から高い評価を得ています。この度、世界のトップメーカーを目指し、事業基盤強化及び収益力の向上のため、中国政府に「寧波麗陽化繊有限公司」(仮称)の設立申請を行うこととしました。
新会社の商業生産開始は2005年7月を予定し、3年後の売上げ約80〜90億円を見込んでいます。
【新会社の概要】
1.社名 : 寧波麗陽化繊有限公司(仮称) (Ningbo Rayon Acrylic Fibers Co.,Ltd.) 2.代表者 : 未定 3.住所 : 浙江省寧波市経済技術開発区青峙工業区 (Qingzhi Park Ningbo Economic & Technical Development Zone,
Beilun Ningbo, Zhejiang China)4.資本金 : 50百万USドル 5.出資比率(予定) : 日本側 三菱レイヨン株式会社 55% 三菱商事株式会社 10% 伊藤忠商事株式会社 10% 丸紅株式会社 10% 中国側 寧波連合投資控股有限公司 15% 6.事業内容 : アクリル繊維の製造販売 7.生産能力 : 50,000トン/年
「 スーパーバルザー®
」事業からの撤収と鐘淵化学との共同商品企画について
三菱レイヨン株式会社のアクリル繊維事業については、世界トップレベルのアクリル繊維メーカーとしての地位を確固とすべく、主力工場の大竹事業所アクリル繊維工場の生産能力の増強・合理化、及び国際競争力強化を目標とした、国内外の紡績体制の整備を進めてまいりました。
この度、モダクリルファイバーである「スーパーバルザー®」の生産及び販売を段階的に縮小し、
最終的にはモダクリル分野から撤収することにいたしました。
当社の撤収に伴い、「スーパーバルザー®」のユーザーの皆様には、同じモダクリルファイバーである「カネカロン®」を供給させていただくことも可能である旨、鐘淵化学工業(株)の了解を得ております。
アクリル難燃素材「スーパーバルザー®」は、発売から10年を越え、主力用途のハイパイル・ボア分野への輸出を中心に、2,500〜3,000トン/年の生産販売を行っております。今次の撤収により、主力素材の「ボンネル®」への
設備転換・増強による生産効率の一層の向上、並びに、モダクリル繊維主力である、鐘淵化学工業(株)とのアクリル素材全般における取組強化に将来の発展性を確信し、今回の決定に至ったものです。
また、これを機に、三菱レイヨンと鐘淵化学工業(株)の両社はお互いの主力素材である「ボンネル®」及び「カネカロン®」の特色を活かした新しい商品企画の検討を共同で進め、アクリル素材の総合的な普及拡大に寄与していく所存です。
*1 モダクリル繊維(modacrylic fiber)
国際規格(ISO)においては、AN単位を85%以上含むものを「アクリル」、35〜85%含む ものを「モダクリル」と規定している(日本の家庭用品品質表示法では「アクリル系」と規定)。 AN85%未満と塩化ビニル・塩化ビニリデンなどを共重合させた、難燃性アクリルなどが代表的で ある。
*2 スーパーバルザー®
高度難燃性アクリル繊維。繊維そのものが難燃性をもち、自己消化性を持っている。 日本防炎協会認定であり、難燃製品としての認定を受けている。 国内での主な用途:カーペット、カーテン、寝具、衣料など
アクリル繊維紡績部門の再編について
当社アクリル紡績については、今まで定番の梳毛紡糸を中心に
内地・海外の生産体制整備に努めてまいりました。今後のアクリル
事業の一層の基盤強化に鑑み、比較的内地生産のウェイトが高かった
スフ紡糸についても「付加価値品は国内生産、定番品は海外生産」
という位置づけをより明確にし、下記内容の生産体制再編を行います。
1. 再編の趣旨 | ||
当社国内紡績の主力拠点 MRCテックス(株)を付加価値品、小ロット、 短サイクル特化新鋭工場と位置づけ、当社海外主力拠点ボネックス社の 生産能力を増大することにより、当社アクリル紡績糸の販売力強化・コスト 競争力強化をさらに推進します。 | ||
2. 再編内容 | ||
(1) | MRCテックス(株)(岐阜県大垣市)の現行2工場のうち、 1工場を主力生産工場として効率化を図るとともに、残る1工場は 紡績開発、並びに物流業務拡充基地として活用することにより、 紡績糸の生産・物流効率化、付加価値品開発強化を行います。 | |
(2) | 上記に従い、16,000錘を当社海外主力拠点の ボネックス社 (インドネシア・ジャカルタ)に移設し、生産量を増強します。 |
3. MRCテックス(株)、ボネックス社の生産能力について
1. MRCテックス(株)
現在 ボネックス
移設廃棄 新設 再編後 錘数 41,600 16,000 8,400 4,240 21,440 年産トン 4,500 − − − 2,700
2. ボネックス社
スフ紡 梳毛紡(参考) 現在 再編後 現在 錘数 8,000 24,000 27,860 年産トン 1,380 3,900 11,500
4. 投資の規模
1. MRCテックス(株)
約3億円 (建屋改造、紡機購入(*1)など含む)
(*1) 新鋭AD精紡機購入 10台
2. ボネックス社
約10億円強 (MRCテックス(株)からの紡機購入、土地建物含む)
5. 実施時期
MRCテックス(株)の体制整備は、99年3月を目途に完了したいと考えておりますが、 進行状況により 99年4―9月期にずれ込む可能性もあります。
ボネックス社への紡機移設は、99年夏期になる予定です。 稼働は、2000年初頭をめざします。
ボネックス社 第四工場の竣工について
三菱レイヨン株式会社の紡績拠点であるボネックス社(インドネシア)では、 99年初めより第四工場の建設を開始しておりましたが、予定通り、2000年 2月に竣工の運びとなりました。 同工場の生産能力は、2,500トン/年で 生産品は主として日本向けに供給する予定です。
同工場は12,000uの建屋に、MRCテックス社よりスフ紡16,000錘 を移設し建設したもので、これにより、ボネックス社全体の設備及び紡績糸生産能力 は以下の通りとなります。
梳毛紡*1 30,600錘 1 2,000トン/年 スフ紡 *2 24、160錘 3,700トン/年 合計 54,760錘 15,700トン/年 【注】
*1 梳毛紡(=そもうぼう):
繊維長の長い化繊の紡績方法で50〜150o程度の繊維長を紡績する。
*2 スフ紡:
繊維長50〜60oを紡績する方法。「2インチ紡」とも呼ばれる。
本工場の完成により、約2年を掛けて実施してきた一連の国内外の紡績体制整備 は、ほぼ完了しました。今後はこれら内外の拠点(別紙[資料]参照)を積極的に活用するとともに、 更なる強化・充実策の検討を行ってまいります。
尚、本工場の竣工式は2月4日(金)現地にて執り行う予定です。
【会社概要】
P.T.Vonex Indonesia
所在地 : インドネシア ジャカルタ 設 立 : ’74年4月 事業内容 : 紡績 及び 染色 資本金 : 8,366百万ルピア
(=約122百万円 0.0146円/1ルピア)社 長 : 豊口 晋
旭化成株式会社のアクリル長繊維に関する技術等の譲り受けについて
〜アクリル繊維事業のさらなる拡大に向けて〜
三菱レイヨン株式会社(本社:東京都港区、社長:皇 芳之)は、旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:蛭田史郎)の所有するアクリル長繊維に関する技術、一部の生産設備を2003年4月、一部の商標権(ピューロン、タクタス、リーカス)を2003年7月をもって譲り受けます。
アクリル繊維は、発色性と堅牢性に優れ、軽く柔らかい繊維で、短繊維はウールに似た風合いを活かしてセーター、毛布、ぬいぐるみなどの衣料品、寝装品、インテリア素材などに幅広く使用されており、長繊維は、鮮やかな色合いに加え、独特のシルキー感覚と清涼感があり、春夏衣料素材として、婦人向けセーターなどに使用されています。
三菱レイヨンは、湿式・乾式短繊維及び長繊維に加え人工皮革と多様な製品群を持つ国内最大手の総合アクリル繊維メーカーであり、急拡大する中国市場では2005年7月の稼動を目指して浙江省寧波市に生産プラントを建設するなど、アジア市場での圧倒的優位性の確立を目指して諸策を推進しています。
長繊維に関しては、旭化成が繊維事業の構造改革のためアクリル繊維事業から撤収し、2003年3月末で生産を終結したことにより、三菱レイヨンが世界で唯一の製造メーカーとなりました。このような状況下で、三菱レイヨンは、オンリーワン素材としてアクリル長繊維の用途拡大を進めるため、一方、旭化成も高度なアクリル長繊維技術の譲渡をスムーズに実行するためには実績のある三菱レイヨンが最適であると判断し、今回の合意に至りました。
本譲り受けにより、三菱レイヨンはアクリル長繊維「シルパロン」の技術基盤を更に強固なものとし、高機能製品の開発や高品質化、及び生産性向上を図り、将来は増設も視野に入れて、アクリル長繊維事業拡大を目指します。
2003/08/08
カネボウ(株)
アクリル事業の撤収に関するお知らせ
当社は、この度100%子会社であるカネボウ合繊株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長 今吉 淳一)が事業展開しているアクリル事業からの撤収を決定しましたので、お知らせいたします。
当社は、アクリル事業の再構築に努力してまいりましたが、期間収益力向上と財務体質改善を進め、合繊事業の構造改革を実現するためには、長期的に回復が見込めない同事業から撤収せざるをえないと判断いたしました。
今後、合繊事業においては、固定費圧縮、ポリエステル系の独自品の強化を柱に、今後更なる成長が期待できる生分解性繊維「ラクトロン」事業の本格展開を実施し、非価格競争力を有している事業への構造転換により収益基盤を強化してまいります。
1.事業撤収決定の背景
・ | 当社アクリル事業は、1972年に生産を開始して以来、レギュラー綿「カネボウアクリル」と難燃アクリル綿「ルフネン」を主力商品として展開してまいりました。 |
・ | しかしながら、国内市場の縮小に加え、原料価格の高騰による市況変動リスクと8割を超える輸出依存型の事業構造による為替変動リスクに左右され、不採算が続いておりました。 |
・ | この間、当社は2002年秋に防府合繊工場アクリル製造部の紡糸設備3系列のうち1系列を停止し、「ルフネン」を中心とした独自品に特化、生産・販売体制のスリム化によるコストダウンなど諸対策を講じてまいりましたが、将来的に事業収支を均衡させ、再投資に耐えうる事業採算性を見出すことは困難であると判断し、やむなく撤収を決定いたしました。 |
2.事業撤収に伴う対応
(1)日程:生産の終結2003年(平成15年)12月末(予定)
販売の終結2004年(平成16年) 3月末(予定)
(2)アクリル事業に従事する従業員の人員措置につきましては、現在、労働組合と協議中であります。
【ご参考:当社アクリル事業について】
(1) | 沿革 |
「カネボウアクリル」は、1972年(昭和47年)に防府市にて原綿の生産を開始、同年に彦根市にて紡績を開始致しました。1976年(昭和51年)には難燃アクリル「ルフネン」の販売を開始、1987年(昭和62年)に編立部門を設立し、当社合繊事業の中核の一つとなっておりました。 | |
(2) | 現況 |
売上高:74億円(2002年度) 総従業員数:142名(2003年6月末) 工場:防府合繊工場アクリル製造部 所在地:山口県防府市 従業員数: 77名(2003年6月末) 生産量: 21,823トン(2002年度実績) 彦根工場 所在地:滋賀県彦根市 従業員数: 45名(2003年6月末) 生産量:紡績 2,003トン(2002年度実績) 編立 3,268千m(2002年度実績) |