化学工業日報 2002/6/13 

昭電、アルデヒド法酢酸改造・スイング設備へ

 昭和電工は、大分工場で昨年8月末から休止中のアセトアルデヒド法酢酸設備年産15万トンについて、将来的には
酢酸誘導品とのスイングプラントに改造し、再稼働させることを検討する方針だ。酢酸については、大分のエチレン直酸法系列および英BPとの提携によるメタノール法系列からの玉を確保し、競争力の大幅な向上を実現させている。アセトアルデヒド法設備については、これをベースとした誘導品段階での拡充に向け、活用していく道を探っていく。


化学工業日報 2002/7/10

日本合成化学、PVAフィルムを本格販売

 日本合成化学工業は、液晶表示装置(LCD)向け偏光板用ポリビニルアルコール(PVA)フィルム事業の本格展開に乗り出す。昨年末、同社大垣工場(岐阜県大垣市)に年間1200万平方メートルの設備を新設。これまで国内を中心にサンプルワークを進めてきたが、ユーザー各社からの使用認可が出そろいつつあることから、本格販売を開始するもの。同フィルムはこれまで、ほぼクラレ1社での独占販売だったが、日本合成化学では2005年をめどに新設備をフル稼働させる計画で、15億円以上の売り上げを目指すとしている。


(1999/2/15 昭和電工発表)

 合併に関するお知らせ

 平成11年2月15日開催の当社取締役会において、当社は平成11年5月1日を期して、徳山石油化学株式会社を合併することを決定いたしましたので、ここにお知らせいたします。

1.合併の趣旨

 当社は、平成11年5月1日をもって徳山石油化学株式会社(当社の100%出資子会社)を吸収合併し、徳山工場とすることを決定いたしました。なお、この合併は商法第413条ノ3第1項の規定により、当社の株主総会における合併契約書の承認を得ないで行います。
 徳山石油化学株式会社は、昭和37年5月、資本金10億円(日本瓦斯化学株式会社(現在三菱ガス化学株式会社)60%、昭和電工株式会社40%出資)で設立、酢酸、酢酸エチル、ノルマルブタノールの製造・販売会社として発足しました。以来同社は当社の有機化学品部門の中核子会社として、酢酸エチルを主体に発展してまいりました。
 しかしながら近年、石油化学関連製品の事業環境は年々厳しくなり、いわばメガコンペティションを迎えております。
 このような状況下、当社のコア事業の一つであるアセチル事業が国際的競争に打ち勝っていくには、当社大分工場、および
インドネシアにおいて酢酸エチルを生産する昭和エステリンド社とリンクした最も効率的な生産体制を構築する必要があると判断し、昭和エステリンド社の操業開始にあわせ合併することといたしました。

(略)

(注)平成9年12月31日以降の資本金及び主要株主の移動について

 1)平成10年12月22日 任意有償減資実施
   資本金 790百万円 (発行済株式数 3,000千株→1,580千株となる)
   株 主 昭和電工株式会社     66.1%
        出光石油化学株式会社  33.9%   となった。

 2)平成11年 2月 1日  
   昭和電工株式会社が、出光石油化学株式会社より徳山石油化学株式会社の株式全株を購入。
   株 主   昭和電工株式会社   100.0%   となった。

(以下 略)


(1997/12/8 昭和電工発表)

新製法による酢酸新プラント竣工

 昭和電工株式会社(大橋光夫社長)は、独自開発の、
エチレンからの直接酸化による酢酸新製造プロセスにもとづく第一号プラントを大分工場(大分県大分市・北川順章常務取締役工場長)内に建設を進めておりましたが、8月末新設備が竣工し、順調な試運転の後、エチレン・プラント定修明けの11月第1週より商業生産を開始いたしました。  

 新プラントの設備能力は年産10万t、建設費は約40億円であります。当社は現在大分工場内に従来法のアセトアルデヒド法による年産15万tの酢酸プラントを有しており、新プラントとあわせた酢酸の年産能力は25万tとなります。

 当社が開発したプロセスは、従来のアセトアルデヒド法の、 
    ◆ エチレン → アセトアルデヒド → 酢酸  
 のプロセスを、パラジウムをベースとして開発した新触媒により、アセトアルデヒドを経由せず、
    ◆ エチレン → 酢酸
と直接酸化する製法で、プロセスを大幅に簡略化できます。

●● 直接酸化法の特長 ●● は以下のとおりです。

@ 同規模のメタノール法、アセトアルデヒド法プラントと比較して、建設コストを大幅に削減できます。
A 小規模プラントから大規模プラントまで実用可能であり、需要に見合ってプラントサイズを決定できるため、市場近接型の立地が可能です。
B プロセスが極めてシンプルなため、メタノール法と比較して安定運転が容易です。
C アセトアルデヒド法に比較して、排水等を大幅に削減できます。

 当社は、中期事業戦略『α−21計画』において、酢酸を始めとするアセチル系製品を『成長事業』と位置づけております。当社は、今回の大分の稼働に引き続き、酢酸需要がPTA新設備稼働等により継続的に増加中のアジア地区において、新たな酢酸プラントの建設を検討しております。


(1997/2/5 昭和電工発表)

 酢酸エチル直接付加法を開発、新プラントをインドネシアに建設決定

 昭和電工株式会社(村田 一社長)は、酢酸エチルを中間のアセトアルデヒドのプロセスを省き、
酢酸とエチレンより直接に合成する画期的プロセスの開発に成功いたしました。

 当社は新製法による世界初の商業プラントを、インドネシアにおいて現地ディストリビューターであるCV Indo Chemical、シンガポールのディストリビューターであるChin Leong(CLP)Corporation PTE LTDおよび株式会社トーメンとの合弁で1998年央完成予定で建設することに合意いたしました。 新会社は当社のマジョリティー出資であり、プラント能力は5〜7万t/年、投資額は約20億円であります。プラントは、インドネシア メラク地区に建設いたします。

 当社はアセチル化学を石油化学の成長事業と位置づけ、酢酸エチルのアセトアルデヒド法に代わる直接付加法の研究を進めるとともに、最適立地のF/Sを進めてまいりました。今回開発した直接付加法はアセトアルデヒドを経由する従来法と比べ、プロセス全体の建設費が約1/2以下に抑えられるなどコスト優位性が高いプロセスであり、酢酸の直接酸化法プラントの大分建設に続き、酢酸エチル直接付加法を世界に先駆け建設するものです。

 酢酸エチル需要は国内はほぼ横這いに推移しておりますが、中国、東南アジアでは塗料、インキ向けに大きく伸びております。またインドネシアの内需は現在約2万t/年であり年率10%の成長を続けております。

 こうしたアジアの需要増加に対し、関係会社の徳山石油化学(株)は技術改良を重ねており、新プラント完成までの間に必要あればデボトル増設にて柔軟に対応する予定です。

 新プラント完成後の当社の酢酸エチルの生産能力は、デボトル増設の可能性を含めて約20万t/年となり世界のトップレベルの規模となります。

新会社名   PT.Showa Esterindo Indonesia
資本金   12.4 百万U.S.$
新プラント立地   インドネシア メラク地区
出資比率   昭和電工(株)
CV Indo Chemical
Chin Leong (CLP) Corporation PTE LTD
(株)トーメン
51%
30%
 5%
14%

現地パートナーの概要

 CV Indo Chemical

本社     ジャカルタ (インドネシア)
事業内容   化学品販売
社長      Rusli Gunawan
資本金    4,000千U.S.$

 Chin Leong (CLP) Corporation PTE LTD

本社     シンガポール
事業内容  化学品・建材・プラスチック販売
社長     Lim Khoon Aik
資本金   3,500 千U.S.$

徳山石油化学(株)の既存の酢酸エチル設備能力  10万t/年

酢酸エチル新法の製法、特徴

 (製法) エチレン+酢酸→酢酸エチル
 (特徴) 当社の従来法(エチレン→アセトアルデヒド→酢酸エチル)に比べ、
中間物を経る必要がない為、設備コストが小さい。

酢酸直接酸化法プラント   当社大分工場に97年8月完成予定で建設中。
                  能力 10万t/年   


(2001/4/19 昭和電工発表)

酢酸でBP社と合意、マレーシアで約12万トンの引取りを開始

 昭和電工株式会社(大橋光夫社長)は、有機化学品事業の基幹製品である酢酸事業において、英国BP社の子会社であるビーピー ペトロナス アセチルズ社(
BP PETRONAS Acetyls Sdn. Bhd. マレーシア、以下BPPA)との間で、BPPAがマレーシアに新設し保有する酢酸プラントの総能力の約30%の製品を、供給保証契約に基づき、昭和電工が長期安定的に引取ることで合意いたしました。

1. 合意の内容

 当社は、2001年7月よりBPPAの最新鋭のメタノール法酢酸プラント(初期能力年産 40万t)の約30%(年間約12万t)の酢酸の引き取りを開始いたします。BPPAのマレーシア立地を最大限に活用して、アジアの顧客に販売するとともに、当社の酢酸エチル製造子会社向け等に原料として供給いたします。
 BPPAは英国BP社70%、マレーシアの国営石油会社ペトロナス30%出資の合弁会社で、2000年11月からマレーシアのケルテーにて新規に酢酸の商業運転を開始いたしました。

2. 契約の背景

 昭和電工は、現在推進中の中期経営計画「チータ・プロジェクト」において、有機化学品事業のコア事業として、アセチル系製品(酢酸、酢酸ビニル及び酢酸エチル)の競争力強化を推進しております。既に、当社は世界初のエチレン直接酸化法による酢酸プラントを1997年に大分コンビナート内に竣工させるとともに、需要が拡大中のアジア地域における酢酸生産拠点の確保に向け、フィージビリティ・スタディを実施しておりました。
 今回のBPPAとの契約により、BP社が開発した効率の良い触媒を採用した最新鋭・大型のメタノール法による酢酸をマレーシアで確保することとなりました。

 これにより

@ 原料(エチレン/メタノール)価格変動に柔軟に対応できる「2生産体制」の確立
A 成長著しい市場に拠点を得ることにより、円滑、迅速なデリバリーなどのサービス向上と、カスタマーズ・サティスファクションを高める、

ことを図り、当社のアセチル系事業全体の国際競争力の強化を実現いたします。

 BPPA社は、今回の合意により新設の
メタノール法40万tプラントの安定的な稼働率向上を図ります。
 当社は、昨年エチレンプラントの効率化施策を国内他社に先駆け実施しており、今回のBPPAとの合意に基づくアセチル事業の競争力強化により、当社の石油化学事業の事業基盤は一段と強化されます。

BP PETRONAS Acetyls Sdn. Bhd. (BPPA)の概要

株主構成   BP Holding International BV(Netherlands Company) 70%
         Petroliam Nasional Bhd. 30%
従業員数   98名(2001年末の予定人員)
所在地    本社……Kuala Lumpur, Malaysia
        工場……Kertih, Malaysia
生産能力   400,000t/年


電気化学ホームページ http://www.denka.co.jp/product/main/jusi/aceti/more_01.htm 

 当社酢酸は、昭和16年に日本醋酸製造(製法として歴史の古い木材乾留法)を吸収合併したことからはじまります。
 また合成法については、、昭和15年に企業化を計画、終戦後にはすでに青海工場において
カーバイドアセチレン法製造設備を完成させ、25年頃には月間150トン程度の生産を行なっていました。当時の酢酸の主用途は、食品・染色の助剤、ゴム老化防止剤及び医薬品などであり、また酢酸エステルの原料としても使用されていました。これらを主たる用途としている限り酢酸の需要量には限界がありましたが、合成酢酸工業化の基礎が確立されたことから酢酸繊維素の原料である無水酢酸の製造を通して酢酸ビニルへと発展、さらに酢酸ビニルを通してポリビニルアルコールなど合成繊維の原料としての用途が開けるにおよび、酢酸の需要は、急速に高まっていきました。
 昭和37年ころから酢酸の原料であるアセトアルデヒド製造の技術革新が進み、酢酸の製法は従来のカーバイドアセチレン法から
ヘキストワッカー法へと急速に移行していきました。
 昭和40年代には、原料であるアセトアルデヒドの石油化学への原料転換を考慮し、千葉工場に年産6万トンの連続酸化法による酢酸製造設備を建設し、44年から稼動を開始し、青海工場でのカーバイドアセチレン法による酢酸製造設備を停止しました。これに引き続いて千葉工場に年産4万5,000トンの酢酸ビニル製造装置を完成させました。
 また、この頃より大口需要家向けには、ケミカル船による海上輸送が可能となり、輸送は大幅に合理化されました。また、千葉工場では昭和50年まで、酢酸原料用アセトアルデヒドを外部購入に依存していたため、アセトアルデヒド不足時にはその影響を受けていましたが、51年には千葉工場で石油化学方式(ヘキストワッカー法)による同製造設備の完成をみました。これにより千葉工場では、アセトアルデヒド・酢酸・酢酸ビニルの一貫生産体制が確立されました。
 その後、昭和53年に圧倒的コスト競争力を有する
メタノール法酢酸の協同酢酸(兵庫県姫路市)に共同参画(当社・ダイセル化学工業・三菱ガス化学・協和発酵工業・チッソ各社との共同出資)、同社への製造委託を開始すると同時に千葉工場での酢酸製造を中止、現在に至ります。
 現在、国内の酢酸製造プラントは3拠点、トータル能力は約70万トンです。
 一方、アジア全般においてBP(マレーシア/40万トン[2000年4Q])、CELANESE(シンガポール/50万トン[2000年3Q])の大型プラントが新設されました。


2001/6/18 化学工業日報

中国など候補に酢酸生産でFS−ダイセル化学

 中東、東南アジアでメタノール法酢酸の生産を計画しているダイセル化学工業が、新たに中国での生産を検討し始めた。アセトアルデヒド法設備が中心の中国に、新たな生産拠点の候補として着目したもの。同社の中国事業は、1995年から西安で操業しているタバコフィルター用アセテートトウの生産設備(年産8000トン)があるが、この計画が具体化すれば、酢酸関連事業の本格的な中国進出が実現する。同社は2005年をめどにアジアにおけるアセチルチェーンの構築を計画しており、誘導品のアジア生産も含め、今後はコスト面を考えながらFS(企業化調査)の詰めを急ぐ。



2000/11/6 日本合成化学

高機能PVOH 製造用多目的プラントの新設について

 当社はPVOH (ポリビニルアルコール)をコア事業と位置づけ、PVOHフィルムなど川下への垂直展開を図ると同時に、多種多様なお客様のニーズ、ウオンツにお応えし、特殊な機能を付与したPVOH を開発し品揃えしていく水平展開を進めてまいりました。このたび、高機能PVOH の増産を行うべく、多目的プラントの新設を決定いたしましたので、ご連絡いたします。
 PVOH は水溶性の合成樹脂ですが、当社では1950 年の本格企業化以来、50年の長きにわたり、繊維、紙、接着剤等幅広い分野で用途を拡大してまいりました。
 これらの用途は今後も世界的に年率2 〜3 %の市場の伸びが期待されております。当社の汎用用途向けPVOH は商品名「ゴーセノール」「ゴーセナール」の商品名のもと、各種産業分野でご愛顧頂いておりますが、それぞれの分野で技術革新が進むなかで、PVOH に対しても新しい技術に即応する様々な品質要求をいただいてまいりました。
 一例を挙げますと、近年、IT 革命の進展が印刷機器や印刷技術の革新の原動力となっており、そのなかで情報記録紙においてもより高度な品質が要求されるようになってまいりました。POS ラベル等に代表される高品質印刷物用の記録紙には当社が開発した高機能PVOH が使用されています。
 当社は他社に先駆け、お客様の品質要求にきめ細かくお応えするという事業方針のもと、高機能、高付加価値型PVOH の開発に取り組んでまいりました。機能性を付与するための変成技術、狭い範囲の品質要求に対する精製技術などさまざまな商品設計を行ってまいりました結果、当社の高機能PVOH は「ゴーセファイマー」「ゴーセラン」「エコマティ」等の商品名にてお客様のご好評を頂いております。これらの技術と知見の蓄積により、当社は、今や高機能PVOH 分野での品揃えの豊富さおよび品質の高さでは世界一であると自負しております。
   


Chemnet Tokyo 2002/9/12 

米国政府、ポバールでアンチダンピング調査

 ポバール業界によると、米国のデュポン、セラニーズの両社は5日、同国商務省およびITC(国際貿易委員会)に対し、日本、韓国、中国、ドイツ、シンガポールの5か国を原産国とするポバールを対象に「アンチダンピング提訴」を行った。このほどITCから国内の一部メーカーに対して調査開始の連絡があった。
 
 国内のポバールメーカーはクラレ、日本合成化学、電気化学工業、ユニチカケミカルの4社で、合わせて年間約25万トンを生産している。このうち輸出は約63,000トン(01年実績)で、ほとんどが東南アジア向けとなっている。
 
 日本からの米国向け輸出は、米国側の通関統計によると99年3,090トン、00年3,687トン、01年3,240トンとなっており、全輸入量(約23,000トン=01年)に占める日本のシェアは14−15%となる。
 
 今後は、ITCがダンピングの状況や国内産業への影響について、どのような調査結果をまとめるかが焦点となる。米国では、96年にもポバールの輸入をめぐってアンチダンピング調査を実施しており、このときは「クロ」裁定を下している。


Chemnet Tokyo 2002/9/13

ポバール4社、米国ダンピングに共同で「応訴」

 ポバールの米国向け輸出をめぐって現地メーカー2社から「アンチダンピング提訴」を受けた、ポバールメーカーのクラレ、日本合成化学、日本酢ビ・ポバール、電気化学工業の4社は、13日会合を開き今後の対応を協議した。その結果、米側の提訴内容には納得がいかないとし、4社共同で「応訴」することを決めた。
 
 業界筋によると、日本側の主張点は大きく分けて(1)ポバールの対米輸出に当たっては、前回(96年)ダンピング問題で「クロ」裁定が出たこともあり、その後はできるだけ注意し、むしろ手控えながら輸出してきた。数量、価格両面とも、米国市場に悪影響を与えたとは思えない。

(2)提訴状によると、ポバール製品の規格範囲が広く、中には米国メーカーが製造していないものが含まれている。日本から輸出している年間約3、000トンのうち2、000トン以上は、塩ビ重合用や変性品など技術的にも高度で、米国ではつくられていないものだ、の2点という。

 4社は今後、経産省にもこれらの点を説明し、理解と支援を求める。また弁護士などを通じて対応策を1本にしぼり、共同で対処していく方針である。


日本経済新聞夕刊 2002/10/22

日本製ポバール樹脂 ダンピング 米が仮決定

 米国際貿易委員会(ITC)は21日、合成繊維や接着剤の原料などに使われるポバール(ポリビニルアルコール)樹脂を日本企業などが不当に安い価格で輸出していると米メーカーが訴えていた問題で、米国内にダンピング(不当廉亮)による被害の兆しが認められるとする「仮決定」を下した。
 ITCの仮決定を受けて米商務省も調査に入り、来年2月までにダンピングの有無について仮決定を下す。
 ダンピング提訴を起こしたのは米化学大手デュポンとセラニーズ・ケミカルの2社。対象国は日本を含め5カ国で、日本メーカーは最大手のクラレ、ユニチカ、日本合成化学工業、信越化学工業、電気化学工業など7社が訴えられた。
 ポバールは接着剤のほか、塗料や繊維加工材、機能性フィルムなど幅広い目的に用いられる機能性樹脂で、日本は生産量で世界最大となっている。


日本経済新聞夕刊 2003/4/30

日本製樹脂にダンピング認定 米商務省が本決定

 米化学メーカーが、日本などから輸入される産業用の高機能樹脂ポリビニルアルコール(PVA)についてダンピング(不当廉売)提訴した問題で、米商務省は29日までに、ダンピングの事実を認める「クロ」の本決定を下した。
 認定された最高ダンピング率は仮決定と同じ144.16%。クラレ、電気化学工業、日本酢ビ・ポバール(本社大阪府堺市、信越化学工業とユニチカが折半出資)の3社に加え、仮決定では25.82%だった日本合成化学工業にも、「資料提出を拒むなど調査に非協力的だった」(商務省)として最高率が適用された。


Platts 2003/6/5

US Dept of Commerce to issue anti-dumping on Japanese PVOH

The US International Trade Commission determined Thursday that a the US PVOH industry was threatened with material injury because of imports of polyvinyl alcohol from Japan, which the US Department of Commerce determined were sold in the US at less than fair value. As a result of the Commission's affirmative determination on Japan, the US Department of Commerce will issue an anti-dumping duty order on imports of PVOH from Japan. The Commission also determined that the US industry was not materially injured by imports of PVOH from Germany that the US Department of Commerce determined was sold in the US at less than fair value. No anti-dumping order will be issued against Germany.


日本経済新聞 2003/1/18

協和発酵・昭和電工 酢酸エチル生産統合 年内にも共同出資会社

 協和発酵と昭和電工は塗料の代表的な溶剤である酢酸エチルの生産を統合する。2003年内にも共同出資会社を設立し、新会社の下に統合する案が有力だ。協和発酵は医薬、バイオ事業への集中をめざし化学品事業は縮小する方向。生産規模拡大でコスト競争力強化を狙う昭和電工と思惑が一致した。
 新会社への両社の出資額などは調整中だが、昭和電工の出資比率が50%を超える見通し。計画では協和発酵が四日市工場(三重県四日市市)の酢酸エチル生産を中止する一方、昭和電工は大分事業所(大分県大分市)などで生産能力を高める。生産した酢酸エチルは新会社を通じ昭和電工と協和発酵の両社に供給、それぞれが販売する。
 酢酸エチルの2001年の国内生産量は約22万5千トン、生産額は約200億円。国内シェアトップの昭和電工と3位の協和発酵を合わせると国内生産量の約8割を占める。協和発酵は酢酸エチルを手放すことで、石油化学品工場の設備投資や操業に伴う経費など年間10億円程度の費用を軽減できる可能性がある。