平成1678日 アサヒビール

アサヒビール(株) 容器包装研究所
ガスバリア性と遮光性を飛躍的に高めた『ビール用PETボトル』を開発
年内にもPETボトルの特性を活かした新商品を発売

http://www.asahibeer.co.jp/news/2004/0708.html

 アサヒビール株式会社(本社東京、社長池田弘一)の商品技術開発本部・容器包装研究所(所在地茨城県守谷市、所長山辺良樹)は、清涼飲料などに活用されている一般的なPET容器に比べ、ガスバリア性と遮光性を飛躍的に高めた『ビール用PETボトル』を開発しました。
 アサヒビール(株)は、この開発した技術を活かし、PET容器の形状の自由度や軽量感、ファッショナブルなイメージ、利便性を活かした新商品を、本年中に発売します。

*PET:Poly Etylene Telephthalate の略で、テレフタル酸とエチレングリコールの重合体

 PETボトルは、清涼飲料の容器として広く利用されていますが、ビールの容器としては、気体透過や光線透過などの要因で、現在大手ビールメーカーでは商品化している例はありません。

 今回開発した『ビール用PETボトル』は、ガスバリア性の飛躍的な向上のためにボトル内面にガラスの成分である酸化珪素の膜を蒸着させ、キャップには酸素吸収樹脂を使用しました。内面に厚さ約10ナノメーター(ナノは10億分の1)の酸化珪素膜を蒸着することで、現在の清涼飲料などに活用されている内面のバリアを施していない一般的なPET容器に比べ、酸素バリア性を約20倍、炭酸ガスバリア性を約4倍に向上することに成功しました。
 また、紫外線などの光線の遮光性を大幅に向上するために、ボトル側面に遮光性のあるシュリンクラベルを装着することとしました。これでボトル側面からの光線を遮断し、あわせてボトル底に遮光用の底パッドを組み合わせ、ボトル底からの光線も遮断します。
 また、今回開発した『ビール用PETボトル』は、キャップとシュリンクラベル、遮光底を簡単に取り除くことができ、気体透過を低減するボトル内面の酸化珪素膜は、資源再利用の阻害要因とならず、リサイクルが可能な容器となっています。

 アサヒビール(株)は、年内の商品化に向け、福島工場(所在地福島県安達郡本宮町)に、PETボトル専用の製造ラインを新設します。
 本年中に『ビール用PETボトル』の新商品を発売し、お客様にとっての新しい利便性やファッション性、機能性をご提案していきます。

 アサヒビール(株)は、お客様の“うまい”を徹底的に追求することを、商品開発の最重点事項に本年改めて位置づけ、様々な技術や発想を結集し、お客様に驚きや感動をご提供する商品やサービスの開発を実践していくことを目指しています。
 容器開発においては、本年、“感性工学”の考え方を取り入れてお客様の“飲みやすさ”“注ぎやすさ”を徹底的に追求した「うまくち缶」を早稲田大学理工学部の棟近雅彦(むねちかまさひこ)教授の研究グループと共同で開発し、市場展開を開始しています。
 今回の『ビール用PETボトル』開発も、容器分野での業界に先駆けた全く新しい挑戦であり、お客様へ新たな価値をご提供することで、ビール市場全体を活性化することを目指していきます。


2004/9/14 グリーンピース

グリーンピース、アサヒビールに「CSR失格大賞」を授与
 
〜ペットボトルビール問題への対応の“まずさ”を評価〜
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/toxics/press/2004/20040914_html

 国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンは、ペットボトル入りビールの販売を表明しているアサヒビール株式会社(以下、アサヒビール)に対し、かねてより、環境負荷などについての質問を送っていたが、今日までに回答がないことなどから企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility:CSR)能力が欠如しているとして、「CSR失格大賞」を授与することを本日決定した。受賞者であるアサヒビールに対しては、表彰状と副賞として同社製品スーパードライのスタイニーボトル空き瓶5本を贈呈する。このリターナブルなボトルには、環境に良い取り組みを継続・拡大してほしいとの消費者からのメッセージを込めた。

これまでの経緯
 アサヒビールは200478日にペットボトル容器入りのビールを販売すると発表した。
 これに対しグリーンピース・ジャパンは、ペットボトルビールの販売が地球温暖化やごみ問題の悪化につながると懸念し、712日付けで大手ビールメーカー5社(アサヒビール株式会社、キリンビール株式会社、サッポロビール株式会社、サントリー株式会社、オリオンビール株式会社)に公開質問状を送付。アサヒビール以外の4社からは回答期限の726日までに「ペットボトルビールの販売を検討していない」との回答を得た。しかし、アサヒビールは8月上旬までの回答延期を希望。その期限である810日には9月上旬までの回答延期を再度希望。さらに、自ら予告した9月上旬の期限さえ守らずに昨日913日の夜になって回答期限も明記しない3度目の回答延期を一方的にFAXで伝えてきた。

 また、グリーンピース・ジャパンは当初から、面談希望を電話で伝えているが、アサヒビール側は「回答がまとまるまではお会いできない」(環境社会貢献部)と面談を拒否している。

 ペットボトルビールの販売に関しては、グリーンピース・ジャパンだけでなく消費者団体、廃棄物問題に取り組む市民団体からも公開質問状が届けられている。また、グリーンピース・ジャパンが展開しているサイバーアクションやWeb投票では、合計1141通(914日現在)の一般消費者からの意見が寄せられるなど消費者の関心は非常に高いが、それらの意見に対してもアサヒビールは回答していない。

 グリーンピース・ジャパンの有害物質問題担当の佐藤潤一は「アサヒビールグループの『CSRレポート2004』には『お客さまとのコミュニケーションを企業活動に反映しています』とは記載されているが、コミュニケーション自体が行われていないことが今回明らかになった。『CSR失格大賞』受賞を真摯に受け止めてほしい。」と述べた。

 グリーンピース・ジャパンは、他の消費者団体、環境保護団体と連携を広げながら、アサヒビールのペットボトルビール販売見直しを訴えていく。


平成16930日 アサヒビール株式会社

78日発表のPETボトル容器入りビール新商品に関するお知らせ
http://www.asahibeer.co.jp/news/2004/0930.html

 アサヒビール株式会社(本社東京、社長池田弘一)は、7月8日に発表したPETボトル容器入りビール新商品の発売を見合わせることとしましたのでお知らせします。

 アサヒビール(株)は、PETボトル容器の利便性やファッション性に着目し、PETボトル容器入りビール新商品を本年中に発売すると7月上旬に対外発表しました。その後、多くのお客様から予想を上回る反響を頂戴しました。
 この大きな反響から、当社のPETボトル容器入りビール新商品の発売をきっかけに、アルコール市場においてもPETボトル容器の普及が当初予測していた以上に加速することが想定され、順調に機能している現行のPETボトルのリサイクルシステムに多大な影響を及ぼす可能性があると判断しました。
 この判断に基づき、本年中に計画していたPETボトル容器入りビール新商品の発売を当面見合わせることとします。

 なお、今後もより魅力ある受容性の高い商品の研究開発を継続していくとともに、市場展開につきましては、PETボトル容器入りビール新商品に関わる影響度合などを検証しながら慎重に検討していきたいと考えています。