(2002/3/27 住友電工)                                           

建設・電販向け電線事業に関する事業統合について

 住友電気工業株式会社(社長 岡山紀男、以下住友電工)、タツタ電線株式会社(社長 小松慶次、以下タツタ電線)と日立電線株式会社(社長 原精二、以下日立電線)は、建設・電販向け電線事業に関し、製造・物流・販売の再編等と共同事業会社の設立について検討を進めてきましたが、公正取引委員会のご判断も頂き、今般、諸条件について基本的な合意に達しましたので、これの実現に向け具体的な検討に入ることと致しました。

1.事業統合の目的
   建設・電販市場は、民間設備投資の低迷等により需要が停滞していることに加え、市況も低調に推移していることから、事業採算が極めて厳しいものとなっており、抜本的な改善策が求められていました。

 3社は個々に自社及びグループ内の効率化に努めてまいりましたが、個別企業・グループ内での構造改善には限界があり、本統合に踏み切ることと致しました。

 この統合により、3社の優れた技術開発力を継承・発展させるとともに、生産性の向上に努め、ユーザーへの安定供給とサービス向上を図ります。

2.事業統合の範囲
(1)共同事業会社の設立
   3社は、2002年7月を目途に共同事業会社を設立し、建設・電販向け電線事業に係る製品の販売・物流管理及び生産管理を移管、集約致します。

 営業開始は、2003年1月を予定しており、主要製品のブランドについても可及的速やかに統合を行う予定です。

(2)製造部門
   製造については、従来、3社及びそれぞれのグループ関連会社にて行っていたものを、再編致します。

 共同事業会社と製造会社は互いに独立法人の形をとりますが、製造会社は、共同事業会社が決める最適な生産配分の枠組みに従って製造を行うものとし、共同事業会社が建設・電販向け電線事業を統括する実質的な製販一体の形態を目指します。

3.共同事業会社の概要

 共同事業会社の概要は下記の通りです。

  ・商  号 :未定
  ・設  立 :2002年7月(予定)
  ・営業開始 :2003年1月(予定)
  ・資本金 :未定。但し、5億円未満
  ・株  主 :日立電線40%、住友電工40%、タツタ電線10%、東日京三電線10%
  ・社  長 :未定。但し、初代社長は、日立電線から選任予定。
  ・従業員 :約200名(予定)
  ・売上高 :約500億円/年(2003年度目標)
<ご参考>
 
1.用語説明 「建設・電販向け電線事業」
 

 主として工場・ビル等の建設に使用されるケーブル・電線を対象とし、電気工事業者殿、電線販売 業者殿、電設資材販売業者殿向けに販売。

 品種としては、低圧(600V)CVケーブル、制御用ケーブル(CVV)、屋内用ビニル絶縁電線(IV)等が主体。

2.統合形態 概要

【従来】

       従来

【共同事業会社営業開始後】

      

 


日刊工業新聞 2003/3/20

古河・矢崎が事業統合、建設用電線で新会社 
 ブランド統一、業界2位誕生、収益回復急ぐ フジクラ合流は未定

 古河電気工業は矢崎総業(東京都港区、矢崎裕彦社長)と建設用電線事業を統合する方向で最終調整に入った。工場やビルの屋内配線に使われる建設用電線は需要低迷と供給過剰で過当競争に陥っている。グループ内での合理化には限界があると判断。生産、物流、販売を全面的に統合することで収益回復を急ぐ。
 古河電工と矢崎総業の子会社である矢崎電線は共同出資の新会社を設立し、両社の建設用電線事業を移管する案が有力。物流拠点や販路の共同活用、ブランドの統一などを検討している。統合により、建設用電線のブランドは02年末時点の8ブランドから5ブランドに集約されることになる。
 統合後のシェアは、02年7月に先行して同事業を統合した
住友電気工業、日立電線、タツタ電線の3社陣営に次ぐ第2位となる。
 統合により古河電工は成長分野であるエレクトロニクス製品に、矢崎総業は自動車部品に経営資源を集中投下できる。大手電気工事ルートに強い古河電工と、全国規模の流通網を持つ矢崎総業は販売面で相互補完できるという見方もある。
 01年以降、電線業界では再編が加速。住友電工と日立電線は電力会社向けの高圧電線事業を統合したのに続き、02年7月には建設用電線も統合。一方、古河電工は01年10月にフジクラと高圧電線事業の一部を統合。建設用電線事業統合も模索しているが、今回の矢崎総業との事業統合にフジクラが合流するかどうかは「まだ分からない」(古河潤之助社長)としている。

解説  単独での合理化限界
 古河電工が他社との事業統合を模索する背景には厳しい収益環境がある。既存電線事業の成熟化と将来の収益源に位置づけてきたエレクトロニクス製品の低迷というダブルパンチで、02年9月中間期は電線大手6社すべてが最終赤字を計上。中でも01年11月に米ルーセント・テクノロジーズの光ファイバー部門を買収した古河電工の最終赤字幅は1015億円と抜きんでている。子会社への事業移管などグループ内での合理化努力には限界があるとの判断が競合他社との事業統合への背中を押している。
 97年度に3043億円あった建設用電線の出荷額は、01年度には8割以下の水準に落ち込んでいる。各社は過去にも市況悪化に見舞われ赤字に陥った建設用電線事業の合理化に取り組んできた。
 その一つが「共同販売制度」。84年に特定産業構造改善臨時措置法による構造改革業種の指定を受け、当時50社近くが独自ブランドで過当競争を繰り広げていた建設用電線を大手の系列ごとに集約。同時に大手6社系の6販社が設立され、この販社を通じて需要家の電気工事業者へ電線を供給する体制を維持してきた。
 だが住友電工、日立電線が建設用電線事業を統合したことで、共同販売制度の一角が崩れた。01年に始まった電線の業界再編劇は佳境に入ってきた。

 


日本経済新聞 2004/1/23

電カ電線事業 古河・フジクラ統合へ 3グループ体制固まる

 古河電気工業とフジクラは電力用電線事業を統合する方向で交渉に入った。3月末にも基本合意する見通し。生産・販売を中心に両社の関連部門を別会社に集約する。電力会社の設備投資抑制で電線市場は急激に縮小している。先行して住友電工と日立電線が生産部門の統合会社を設立したほか、三菱電線工業と昭和電線電纜も一昨年、事業統合しており、これにより3グループ体制が固まる。
 古河電工とフジクラは2001年9月に大規模発電所間を結ぶ地中埋設用電線の研究・設計部門の統合会社「ビスキャス」を設立済み。同社にこのほか架空送電線、市街に張る配電線など電力用電線の研究開発、生産、販売、施工の各部門を集約する計画だ。
 統合後のシェアが5割近くになる品目もあるため、公正取引委員会との調整が済み次第、基本合意する。公取の判断によっては、販売部門の統合は見送る可能性もある。
 電力用電線は現在、古河電工が千葉事業所(市原市)など3工場で、フジクラが富津事業所(富津市)など3工場で主に生産している。生産ラインの廃止など生産拠点の集約も進める。

電線各社の統合会社

社名 株主 事業内容 前期売上高
ビスキャス
(01年9月設立)
古河電工
フジクラ
地中送電線の設計・研究と
海外営業
約500億円(※)
エクシム
(02年4月設立)
三菱電線
昭和電線
電力用電線の製造と
国内外の営業、設計・研究
142億円
ジエイ・パワーシステムズ
(01年7月設立)
住友電工
日立電線
電力用電線の製造と
海外営業、設計・研究
525億円

(注)ビスキャスの売上高は古河電工とフジクラの電力電線部門の合計額


2004/12/27 フジクラ/ 三菱電線工業

建設・電販市場向け販売事業の統合について
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=89838&lindID=4

 株式会社フジクラ(取締役社長 辻川 昭、以下フジクラ)と三菱電線工業株式会社(取締役社長 岡本 洋、以下三菱電線工業)は、それぞれの販売会社である藤倉商事株式会社(取締役社長 津下本 健一郎)と三菱電線工業販売株式会社(取締役社長 高良 欣士)、株式会社ダイヤケーブル(取締役社長 三橋 健二)の建設・電販部門を統合した新たな合弁会社を設立し、2005年4月1日より営業を開始することで合意に達しました。

 なお、現在公正取引委員会に事前相談を申請しております。

1.事業統合の趣旨と目的
 建設・電販市場における銅電線の出荷は、ピーク時の1990年度銅量実績405.6千トンから住宅、オフィスビル、工場等の需要低迷のため、2003年度銅量出荷実績は366.0千トンまで低下いたしました。更に市況も低調に推移しており、石油価格の高騰により副資材であるPVC、ポリエチレン等の価格も上昇及び銅価の高騰により事業採算が極めて厳しい状況になっております。

 このような市場規模の縮小と製品価格下落に対し、フジクラと三菱電線工業はグループ内の構造改革に懸命に取り組んでまいりましたが単独での採算改善は限界に達しており統合に踏み切ることになりました。この統合により両社の技術開発を継承、発展させると共に、お客様に満足頂けるサービスの向上に努力してまいります。

2.事業の統合範囲
 フジクラと三菱電線工業は、2005年1月末を目途に共同事業会社を設立し、建設・電販市場向け製品の販売・物流・生産管理を移管集中いたします。

 営業開始は、2005年4月1日を予定しており、両社及びグループ関連会社の主要品種(汎用三品種、耐火、耐熱、警報、FCPEV、分岐付ケーブル)のブランド統合を行なうとともに、営業ネットワークや物流の効率化をはかり、最適生産体制の構築を進めてまいります。

3.共同事業会社の販売先
 電線問屋殿、電材店殿、等の市販向け得意先及び代理店殿経由、直接販売による電設工事業者殿

4.共同事業会社の取扱製品
 建設・電販市場に販売する全ての品種(汎用三品種、耐火、耐熱、VVF、VVR、メタル通信ケーブル、光通信ケーブル等)

5.ブランドの統合
 以下の品種は、ブランドを統合し「新しいブランド」で販売いたします。
 IV、CV、CVV、耐火電線、耐熱電線、警報電線、FCPEV、プレハブ分岐ケーブル

6.共同事業会社の概要
・商号:未定
・設立:2005年1月(予定)
・営業開始:2005年4月1日(予定)
・資本金:未定
・出資比率:フジクラ60%、三菱電線工業30%、西日本電線10%
・社長:未定
・従業員:約200名
・売上高:約440億円/年(2005年度目標)