2009/07/11 産経新聞

海外企業に初の課徴金 ブラウン管カルテルで公取委方針 

 テレビなどに使われるブラウン管の販売をめぐり、日本、韓国、台湾、タイのメーカーが国際価格カルテルを結んでいたとして、公正取引委員会は、独占禁止法違反(不当な取引制限)で、清算された一部のメーカーを除く数社に排除措置命令を出し、総額数十億円の課徴金納付命令を出す方針を固めた。日本の公取委が国際カルテルで海外企業に課徴金納付を命じるのは初めて。

 関係者によると、カルテルに加わっていたとみられるのは、
パナソニックの子会社「MT映像ディスプレイ」(大阪府)「サムスンSDI」(韓国)など4カ国・地域の5社。

 5社は遅くとも平成17年ごろから会合を重ね、船井電機(大阪府)や三洋電機(同)などの東南アジアの子会社に販売するブラウン管の価格について事前に話し合いをして取り決めた疑いがもたれている。

 
台湾の中華映管もカルテルに加わった疑いがもたれているが、自主的な申告による減免制度を受ける見込み。

 公取委が海外企業に課徴金納付を命ずるのは初めてとなる。公取委は今年春ごろから各社に命令案を事前通知しており、反論や意見を踏まえ正式に命令を出す。

 関係者によると、3社はパナソニック子会社の「MT映像ディスプレイ」(大阪)とサムスン電子系列のサムスンSDI(韓国)、韓国のLG電子系列の製造メーカー。中華映管(台湾)とタイのメーカー(清算済み)も関与を認定されたもようだが、違反を自主申告したり、会社が存続していなかったりしているた め、命令を見送るとみられる。

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 企業活動のグローバル化に伴って国際カルテルの摘発に力を入れてきた公取委は08年2月、海上のタンカーから原油を送る「マリンホース」を巡る国際カル テルで初めて欧州企業に行政処分を出したが、各社とも日本市場での売り上げが無かったため、課徴金納付命令は出せなかった。

 しかし、日本の電機各社向け製品で価格カルテルが結ばれていた今回のケースは、日本市場に悪影響を及ぼすことなどから独禁法違反の適用ができると判断した。

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2007/11/09

ブラウン管カルテルの疑い/公取が松下子会社立ち入り

 テレビ用のブラウン管販売で国際カルテルを結んでいた疑いが強まったとして、公正取引委員会は8日、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで松下電器産業子会社のMT映像ディスプレイ(大阪府高槻市)を立ち入り検査した。

 関係者によると、同社は韓国などアジア地域のメーカーとともに、ブラウン管の販売価格を維持するため、国際市場で価格カルテルを結んでいた疑いが持たれている。

 ブラウン管テレビの販売数は世界的に減少傾向にあるが、中南米やインドなどでは需要が多い。

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松下、松下東芝映像ディスプレイを完全子会社化
−ブラウン管テレビの低コスト化を徹底

 松下電器産業株式会社は2007年3月30日、ブラウン管製造子会社の松下東芝映像ディスプレイ株式会社を完全子会社化すると発表した。

 松下東芝映像ディスプレイは、松下電器と東芝が出資し2003年4月に発足。テレビ用ブラウン管の開発/製造/販売子会社として展開してきたが、 3月30日付けで松下電器が東芝保有の全株(35.5%)を買い取り、完全子会社化する。併せて社名もMT映像ディスプレイ株式会社に変更する。