日本経済新聞 2002/6/27

OPEC 非公式会合 減産継続で合意
  9月末まで 需給ひっ迫の恐れ

 石油輸出国機構(OPEC)は26日、ウィーンで臨時総会を開いた。これに先立ち開いた非公式会合で、1月から実施している日量150万バレルの減産を9月末まで継続することで合意した。OPEC減産が続くことで市揚関係者の一部は10月以降に需給がひっ迫し、原油価格が一段と上昇すると予測している。
 OPECは2001年2月から2002年1月にかけ4度減産し、生産枠を日量500万バレル減らした。現在の生産枠は、OPECとして過去最低水準に近い日量2170万バレルで、この水準が9カ月続くことになる。
 OPECの生産引き締めにより、原油価格は北海ブレント先物で1バレル25ドル前後の高値で安定している。しかし、加盟国は「本格的な需要回復には至っていない」との見方で一致しており、今臨時総会での減産解除は見送る公算だ。しかし、国際エネルギー機関(IEA)によると、加盟国が生産枠を破って生産している「ヤミ増産」は5月に日量140万バレルに達した。ヤミ増産が増加すれば、減産解除しなくても価格は高騰しない。長期の大規模減産は非加盟国に市場シェアを奪われることを意味するため、加盟国内には「多少価格が落ちても生産量を増やすべきだ」との意見もある。


日本経済新聞 2002/7/5

変わる石油地図 米ロ接近、OPECに陰り

 1973年、サウジアアラビアの対米石油禁輸を受け、石油価格が4倍に高騰した。以来、石油輸出国機構(OPEC)は幾度かの危機を乗り越えながら今も価格への影響力を保っている。しかし、ここにきて弱体化の兆しが出てきた。背景にあるのはロシアと米国の接近だ。

 「ロシアは中東と互角以上の価格競争力がある」。4月下旬、ロシアのプーチン大統領の経済顧問であるイラリオノフ氏はパリの石油シンポジウムで熱弁をふるった。
 世界エネルギー研究所(CGES)によると、ロシアの原油生産コストは1バレルあたり7ドル。サウジは2.5ドルだから、単純なコストではOPECに歯が立たない。しかしイラリオノフ氏の主張は単なるセールストークとはいえない。
 OPEC加盟国は国家歳入の大半を石油輸出に頼っている。しかも民主化の遅れによる国民の不満を巨額の財政支出でかわしている面がある。CGESのジュリアン・リー上級アナリストは「市況が1バレル17ドルの水準ならばロシア政府は輸出で十分潤う。OPEC加盟国の財政は大半が破たんする」と分析する。ロシアはすでに値下がり覚悟で増産に動いているが、OPECは価格維持のため減産を続けざるを得ず、価格競争で不利な立場にある。
 攻めるロシアの背中を米国が押す。5月の米ロ首脳会談で、ブッシュ米大統領はプーチン大統領とエネルギー分野で包括的に協力することで合意した。実現には壮大な投資が必要だが、米国はカスピ海沿岸やシベリアの石油・天然ガスを確保し、米国に安定供給する道を探ろうとしている。
 米国のエネルギー政策は安全保障政策と表裏一体。ブッシュ政権はイランやイラクなど「悪の枢軸」と呼ぶ国が集まる中東での有事に備え、輸入原油の3割近くを中東に依存する状態を少しでも解消したいと考えている。昨春示したエネルギー政策では、中東以外の産油国との協力重視や国内油田・ガス田の開発加速を打ち出した。
   
 OPECにとって米ロ接近が外患なら、内憂はベネズエラの混乱だ。今年4月、同国では国営石油会社PDVSAのストライキに続き、軍部がチャベス大統領に対するクーデターを企てた。OPEC首脳は青ざめたが、ブッシュ政権内には歓迎ムードが広がった。ベネズエラはサウジ、メキシコ、カナダに次ぐ対米原油輸出国。OPEC3位の産油国だが、中東との宗教・民族的な結びつきは弱い。米国の対テロ戦争を厳しく批判し石油資源の国家管理を唱えるチャベス政権が倒れれば、ベネズエラがOPECを脱退する可能性もあった。
 クーデターは失敗に終わったが、PDVSA内の反チャベス派は「我々もロシアのように自由に増産し、もっと豊かになりたい」と欲求を募らせている。OPECは6月26日の臨時総会でベネズエラのシルバ・エネルギー鉱業相を事務局長に選出した。「ベネズエラをOPECにつなぎ留めるための方策」という見方もある。
 「アラブが石油を武器として使うことは二度とない」。73年に対米禁輸を主導したサウジのヤマニ元石油相はこう予測する。OPECは世界の石油埋蔵量の7割を握っており、その優位性が一朝一タに揺らぐことはない。しかし加盟国の財政余力が低下し、政治的結束も緩むなか、ストが打てない労組のようにじわじわと弱体化しようとしている。


2002/8/31 日本経済新聞                   

OPECの生産配分に課題 シェア伸ばす下位産油国 カタールなど油田開発進む

 カタール、アルジェリアなど石油輸出国機構(OPEC)内で生産量が下位だった産油国が原油の生産能力を向上させている。油田開発で外資の導入を渋ってきた上位国と違い、積極的に受け入れて生産能力向上を図ったためだ。中長期的にはOPECの生産調整にも影響するほか、原油価格の下押し要因になりそうだ。
 国際エネルギー機関(IEA)などによると、現在日量約78万バレルあるカタールの生産能力は2005年までに同100万バレル、アルジェリアは同110万バレルから150万バレルに、ナイジェリアも同230万バレルから同310万バレルにそれぞれ拡大する見通し。サウジアラビアやイランなど主要国の能力急増は目先期待できず、生産を伸ばす3国のOPEC内シェアは2005年には20%前後と約5ポイント増える方向だ。
 能力が向上している産油国の中で、日本と直接取引(DD)する原油があるのはカタールだ。同国はOPECの減産にもかかわらず、4月積みからDDの供給量を削減していない。逆に日本へ積極的な売り込みを展開しており、コスモ石油は同国から今年度のDDによる調達量を増やした。
 国家収入の大半を原油収入に頼る産油国の中でも、カタールは仏トタルフィナ・エルフ、アルジェリアは米アメラダヘス、ナイジェリアは米エクソンモービルなど外資を導入し、原油価格がやや持ち直した1990年以降、油田開発を積極的に進めてきた。特にナイジェリアは沿岸部の深海油田開発に成功、能力を拡大している。
 現在OPECは全体で稼働率を約7割に落とし減産しているが、その加盟国ごとの生産上限枠の配分は98年の生産量を参考に決めている。来月中旬のOPEC総会は増産でまとまる公算だが、市場関係者の間では「下位国の能力増に伴い来年以降は、生産枠の配分を巡りOPEC内で議論が紛糾するだろう」(河原一夫・石油連盟調査役)との見方が多い。
 さらに、外資を導入した油田開発は、減産時に加盟国政府の減産順守を難しくさせる。新規油田の稼働直後は、開発コストを回収するため収入の多くを産油国でなく外資など開発主体に優先的に回され、生産調整するにも外資の意向を重視せざるを得ないからだ。
 このため、ナイジェリアやアルジェリアがOPEC事務局に対して増産や増枠を要請する動きが相次いだ7月末から8月初旬にかけて原油価格はいったん弱含んだ。長期的にも「世界の原油需給は緩和する方向」(出光興産)といい、原油価格は上値が抑えられる公算が大きい。


日本経済新聞 2002/9/20

OPEC増産見送り決定 緊急時は「あらゆる対策」

 OPECは19日、イラクを除く加盟10カ国の生産上限枠(日量2170万バレル)を年内いっぱい据え置くことで正式合意した。冬場の石油製品の需要期入りを控えているうえ、米国によるイラク攻撃の懸念も消えていない。原油価格は当面、現在の高水準を維持するとみられ、世界の景気回復にとってマイナス要因となる可能性が大きい。
 米国などからの強い増産圧カにもかかわらず生産枠を据え置いたことで、ここ数年のOPECの高価格政策が際立った。今後も現在の高水準な価格維持を優先し、市場動向をにらんで生産調整を続けていく見通しだ。
 OPECのルクマン議長は総会終了後に大阪市内で記者会見し、高騰している原油価格について「1バレル3−4ドルはイラク情勢などの政治・戦争プレミアムだ」と指摘。実際の需給よりも投機的な思惑で高騰しているとの判断を改めて強調した。アジア経済危機直後の1997年にジャカルタ総会で増産を決めてその後の価格急落につながったことにも言及し、今後も高値維持に重点を置く姿勢を強調した。
 思惑通りに原油価格が高水準で推移すれば、世界経済にじわりと悪影響が及びそうだ。国際通貨基金(IMF)は1バレル5ドルの原油価格上昇が日本、米国、ユーロ圏の成長率をそれぞれ0.2%、0.4%、0.4%押し下げると予測する。米欧に比べて日本経済が受ける悪影響は小幅にとどまる見通しだが、成長率の低い日本には重荷になる恐れもある。
 石油元売り各社はOPECの据え置き決定を「織り込み済み」(新日本石油の渡文明社長)と冷静に受け止める。しかし原油価格の高止まりが予想され販売価格へのコスト転嫁を急ぐ必要があるにもかかわらず、消費者の低価格志向から市況の立て直しは難しく各社の収益を圧迫しそうだ。
 OPECは今回の総会で、12月12日に本部があるウィーンで総会を開き、改めて生産枠を協議することも決めた。価格の急変動やイラク攻撃など不測の事態が起きれば「随時臨時総会を開催し、緊急増産などあらゆる対策をとる」とルクマン議長は言明した。
 消費国側に配慮した発言だが、原油価格が高くなればOPEC加盟国・非加盟産油国が生産を増やして価格が下がってしまう事態を見越し、早め早めに手を打つ姿勢を示したともいえる。


日本経済新聞 2002/12/13             

OPEC非公式協議 実質150万バレル減産合意 「ヤミ増産」是正を狙う

 石油輸出国機構(OPEC)は12日、ウィーンで総会前の非公式協議を開き、来年1月から日量150万バレルを実質減産することで合意した。現在の生産量は日量約2450万バレルで、生産枠(2170万バレル)を大幅に超えている。この「ヤミ増産」分を大幅削減し、来年以降の値崩れを防ぐ。
 OPECのルクマン議長は非公式協議後、「(来年1−3月の)生産枠は日量2300万バレルになり、(実際の生産量も)それに合わせる形になる」と語った。今夏から加盟国がヤミ増産を拡大、生産枠が有名無実化していた。このため生産枠を130万バレル拡大してヤミ増産分を一部追認する代わりに、加盟国が1月から生産枠を順守することにした。
 原油需要は来年も伸び悩む可能性が大きいが、ロシアなど非加盟国は積極増産に動いている。サウジアラビアなどのOPEC加盟国はヤミ増産に伴う原油価格の急落を懸念していた。
 実質減産で原油が一段と値上がりすれば、先進国の景気回復の足を引っ張る恐れがある。過去にもほとんど例のない1バレル25ドル強の価格水準での減産には消費国側の批判が強まりそうだ。


日本経済新聞 2002/12/14

OPEC実質減産合意 生産枠順守に不透明さ残す

 石油輸出国機構(OPEC)のウィーン総会は生産枠を無視した「ヤミ増産」の自粛による実質減産で合意した。OPECの減産はこれまで生産枠の引き下げを常とう手段としてきたが、今回はヤミ増産分が日量280万バレルと巨大なため、2年ぶりに枠を広げる一方でその順守をうたう複雑な決着となった。加盟国が新しい枠を守るかは不透明で、戦略が裏目に出る可能性もある。
 総会はサウジアラビアのヌアイミ石油相が描いた青写真通りになった。だが、年明け1月からの生産枠を日量130万バレル増やしたことは新たなリスクを生みかねない。加盟国の間で「ジャカルタの悲劇が繰り返される」と危ぐする声もある。
 5年前のインドネシアでの総会も、ヤミ増産が拡大した中で開いたため、現状追認で枠を引き上げ、それ以上の生産の自粛を決めた。しかし結局、生産枠は守られず、アジア経済危機による需要急減も加わり、原油は1バレル10ドルに暴落した。


朝日新聞 2002/8/11

原油の自主設定生産枠を無視 OPEC減産態勢、崩壊

 石油輸出国機構(OPEC)の加盟産油国が、自分たちで決めた原油生産枠を大きく上回る生産を始め、1月から続ける減産態勢を実質的に「反古(ほご)」にしていることが明らかになった。この2年余りにわたって的確な増減産で安定的な原油価格を維持してきたOPECだが、組織のタガが緩んで価格影響力が弱まることも予想される。
 日米欧などの石油消費国で作る国際エネルギー機関(IEA)の9日の発表によると、イラクを除くOPEC加盟10カ国の7月の原油生産実績は日量2320万バレルに達し、生産枠を150万バレル超過してちょうど減産前の水準になった。非加盟のロシアなどが7月から協調減産を打ち切ったのに伴い、シェア低下を恐れる加盟各国も独自に生産水準を元に戻したとみられる。

 OPECの生産枠超過にもかかわらず、原油の国際市況は1バレル=25ドル前後で高止まり状態にある。米国の対イラク攻撃が現実味を帯びる中、消費国が石油備蓄を積み増していることが油価を下支えしている。しかし、OPECの組織としての結束力が緩んだことで、「今後は市況が不安定さを増す」とロンドンの市場関係者はみる。

 OPECの盟主であるサウジアラビアや事務局は表向き、「価格安定を優先する」との姿勢を維持している。しかし、生産余力が拡大しているアルジェリアやナイジェリアは増産を認めるよう声を上げている。9月19日に大阪で開かれるOPEC総会では、生産枠をどう調整し、結束力を再び強めることができるかが焦点になる。


日本経済新聞 2003/1/14

OPEC増産150万バレルで合意

 石油輸出国機構(OPEC)は12日ウィーンで開いた緊急総会で、2月1日から生産枠(日量)を150万バレル引き上げ2450万バレルとすることで合意した。反政府ストによる
ベネズエラの生産減少分を埋め合わせ、高騰する原油価格を安定させるため大幅増産で一致した。

原油安定へ姿勢示す 価格主導権維持へ決断

 12日のOPEC緊急総会は大幅増産で決着し、原油価格安定へ向けた姿勢を世界に示した。非OPEC諸国などに対抗し原油市場における主導権を維持するための決断でもあった。
 緊急総会で最有力国サウジアラビアは日量150万バレルの生産枠引き上げを主張する一方、クウェートなど加盟国の多くは100万バレル増で十分との意向を表明、意見が分かれた。原油高が世界経済を悪化させ、原油需要の長期低迷を招くことを懸念するサウジが押し切った。
 OPECの現行の生産枠は日量2300万バレル。これに対しベネズエラの生産が生産枠(264万6千バレル)を大幅に下回る一方、各国がヤミ増産している結果、実際の生産量は2250万バレル前後で推移している。今後、OPEC全体の生産量が新生産枠2450万バレルに一致するよう主要国間で調整するとみられ、生産量は実質200万バレル程度増える見通し。
 会見したアティーヤOPEC議長は「原油は早期に適正価格に戻る」と強調した。適正価格は1バレル25ドル前後と想定しており、現状の30ドル前後から5ドル程度の値下がりを見込んでいる。同議長は「(米軍のイラク攻撃で)供給問題が生じれば再び加盟国が協議する」と語った。


毎日新聞 2003/1/14

「増産」は政治ショー 生産実態追認が本音

 石油輸出国機構(OPEC)は、12日の緊急総会で、2月から生産枠を現行の日量2300万バレル(イラクを除く10カ国)から同2450万バレル(同)へ150万バレル増やすことで合意した。しかし、業界関係者によると「表面の増産合意と違って、生産実態に大きな変化はない」という。今回の合意の政治的背景や原油の生産実態をまとめた。

早分かり

 新生産枠はゼネストで事実上、生産が止まったベネズエラ分も含むのか?
 そうだ。総会開催のそもそもの目的が、ベネズエラの消失分の穴埋めだったはずなのに、新生産枠には、ベネズエラの約280万バレル分が全部含まれている。生産枠から外れたら、一時的にせよ、正常化後の配分復活が難しくなることを懸念して、別扱いに反対したベネズエラのメンツを立てた形だ。
   
 それでは、実際にベネズエラが抜ける分はどうなるの?
 OPECの生産量は表面の数字と生産実態が違う。今月から適用された現行の生産枠は、表面上は増産だが、昨年12月時点で、当時の生産枠より大幅に増産していたため、本当の狙いは実質減産だった。しかし、ベネズエラのスト長期化で、購入先からの引き合いが強まり、結局、ベネズエラを除く9カ国は、約束に反して実質減産をしなかった。むしろ増産し、今月は9カ国だけで日量2300万バレル以上の水準に達する見込みだ。
 OPECは、今回の緊急会台で、1バレル=28ドル以下に原油価格を抑制するには、日量2300万バレルで十分と判断した。現状の生産実態を追認したのが、今回の決定の本音であり、ベネズエラ分はすでにカバーされている。しかし、生産されていないベネズエラ分を上乗せして生産枠を形式的に計算すると、日量2550万バレル超と大幅な生産増になり、市場が妙な判断をしても困る。それで、政治的判断として、今回は日量2450万バレルを選んだというのが実情だ。
   
 緊急総会を開く必要があったのか。
 一つの政治ショーと見れぱいい。実態とは別に、まず「増産」のイメージを固め、価格上昇に歯止めをかける狙いがある。そうすることで、OPEC批判に走りがちな米国にいい顔をする、というのが本当の狙いではないか。
   
 原油価格は下落するのか?
 いったんは落ち着くかもしれないが、イラク情勢緊迫化が加われば、サウジアラビアが単独で増産しても、再び値上がりは確実だろう。ベネズエラは2月半ばまでに日量250万バレルの回復は可能と言っているが信用する人は少ない。ストが終わっても生産回復までに少なくとも2〜4カ月かかるとも言われる。OPECもストがこれほど深刻化するとは思っていなかったはずだ。
   

ベネズエラ 「生産完全復活に半年」 専門家語る 原油高騰の長期化憂慮

 ゼネストによるベネズエラの石油生産の停滞が、世界の原油価格を高騰させている。同国の石油事情に詳しいアンドレス・ベジョ大(カラカス)のオルランド・オチョア教授(41)は、国営ベネズエラ石油(PDVSA)のストが終わったとしても、40日を超えた操業停止の被害は大きく、同国の原油生産が完全復活するには、半年はかかると語った。
 国営ベネズエラ石油は資源、エネルギー関連では南米最大の企業。約3万8000人の職員のうち、約3万人がストに参加している。チャベス大統領はストヘの制裁措置として約1000人の管理職らの解雇を決め、アルジェリアやブラジルから技術者を集めている。
 同教授は「ベネズエラの油田は、地下数百メートルからくみあげるサウジアラビアなど砂漠地帯の油田と異なり、油層が地下2〜3キロの深さにある」と指摘する。このため、原油掘削の操業コストはサウジでは1バレル当たり40セントだが、ベネズエラでは3ドルかかる。同教授は「特殊な技術が求められ、他国の技術では簡単に代替できない」と説明した。
 同教授は「チャベス政権は蛇口をひねれば原油が出ると考えているが、停止中の油井は徐々にダメになる」と述べ、早期に資金と技術を投入しなければ、復旧には長い時間がかかると指摘。「米国のイラク攻撃なども絡み石油価格は長期にわたり高値を続けるだろう」と憂慮を表明した。


日本経済新聞 2003/1/16

ベネズエラ混迷 消えた原油250万バレル
 国営石油が反旗 政治利用に強い反発

 南米ベネズエラのゼネストが、国営石油会社(PDVSA)の原油生産を停止寸前まで追い込んだ。石油輸出国機構(OPEC)は12日の緊急総会で同国の生産肩代わりを決めたが、原油相場の高騰は止まらない。〇PEC3位の大生産国で何が起きているのか。
 14日の原油先物相場は一時、ニューヨーク市場のWTIが1バレル33ドル付近まで上昇。ロンドン市場の北海ブレントは2年1カ月ぶりの高値をつけた。緊迫するイラク情勢に加え、ベネズエラの動きが引き続き買い材料になったもようだ。
 最新推計で、同国の産油量は通常の日量約300万バレルから50万バレル程度まで約250万バレル減少。OPEC生産量の約1割の原油が市場から消えた勘定だ。原油生産を一手に握る国営石油が、昨年12月上旬に始まったゼネストに同調した影響は大きい。政府は国軍や退職技術者を動員して復旧を急いでいるが、未熟練者による操業で事故多発との報告も出ている。
 政府はストに参加した職員を「破壌主義のテロリスト」(チャベス大統領)と決めつけ、既に約千人の配置を解いた。幹部職員の刑事責任まで追及する構えだ。輸出額の約8割、歳入の5割強を稼ぎ出す国営石油は「ベネズエラ経済そのもの。このままストが続けば国が破たんする」と、首都カラカスの石油業界関係者は警告する。
 大統領と国営石油の対立が決定的になったのは昨年4月。同社のストが引き金になってクーデター未遂事件が起き、大統領が一時的に失脚した。
 伏線はあった。大統領はその2カ月前に、総裁を含む国営石油の一部役員を更迭。代わりにシンパを特進させ、抗議ストを招いた。
 「国営石油は人材も規模も欧米メジヤー(国際石油資本)級。国営とはいえ政府とは一線を画してきた」。1980年代にエネルギー鉱業相や同社総裁を歴任したカルデロンベルティ氏は指摘する。
 同国の石油産業は二十世紀初頭にロイヤルダッチ・シェル、旧エクソンなど欧米メジャーの手で始動したが、その後は資源ナショナリズムが高揚。石油国有化法に基づき76年に誕生したのが現在の国営石油だ。
 歴代幹部は国際原油相場の多少の下落を招いてもシェアを確保すべきだとの拡大路線を志向。99年にチャベス政権が発足するまで、ベネズエラはOPECで隠れ増産の常連だった。
 しかし大統領の政策は「国営石油を政治的に活用しようとするものばかりだった」(カルデロンベルティ氏)。生産設備の国際入札を中止し、国庫への上納額も引き上げた。昨年2月の総裁更迭も、総裁が再投資の必要性を訴えて収益を国庫に回すことに異議を唱えたためだ。
 貧困層を支持基盤とするチャベス大統領にとって、国営石油は貧困対策のための「打ち出の小づち」にしか映らない。生え抜き幹部らは大統領を毛嫌いし、国内唯一のエリート企業の存続に危機感を募らせる。
 大統領と国営石油のこうした対立が今回のストの底流にある。双方とも歩み寄る兆しはなく、混迷はなお長期化する様相を見せている。

▼ベネズエラ国営石油会社
 売上高約463億ドル(5兆5600億円)、従業員数約4万人の南米最大の企業。本杜所在地は首都カラカス。昨年就任したアリ・ロドリゲス総裁は同国エネルギー鉱業相、OPEC議長、事務局長を歴任した大物。

 

貧困層は大統領派 スト解決、八方ふさがり

 「独裁者チャベス(大統領)は即刻辞任せよ」。連日、首都カラカスを練り歩く数万人規模の反大統領派のデモ。国営石油会社(PDVSA)を巻き込んだゼネストは15日で45日目となった。経営者団体フェデカマラスやベネズエラ労働者連盟も労使協調でデモを主導。大多数の国民が大統領辞任を求めているように映る。
 だが、「不沈艦」のようにチャベス政権は倒れない。なぜか。
 定職を持たず労組にすら入れない、毎日の食糧にも事欠く貧困層からの支持があるからだ。同国国立統計院によると、こうした層は全人口の約5割。チャベス大統領は「原油で得た富は、等しく国民に回す。貧者の革命を起こす」などの発言で貧困層の熱狂的な支持を得て当選した。
 対照的な光景がある。貧困層が多く住むカラカスの西部地区では商店やレストランはストを破って営業を続け、高級住宅街やオフィスが立ち並ぶ東部地区では多くの店がシャッターを閉じる。
 「大統領の支持率は以前より落ちたが、貧困層からの人気は根強い」と分析するのは反政府系夕刊紙タルクアルの編集局長のペトコフ元調整企画相。「今、選挙をやってもチャベス大統領が勝つ見込みは相当ある。本人も自覚しているはずだ」。陸軍中佐時代の1992年、汚職が相次ぐペレス政権にクーデターを決行、失敗し投獄された「義憤の闘士」のイメージも貧困層の間で生きている。
 強気の大統領は「原油生産は回復しており、(日量50万バレルと言われる最悪時に対し)すでに80万バレルに達した」といった発言を繰り返し、ストの影響をわい小化。納税拒否の構えを示す反大統領派に政権側は厳罰の適用で応じるなど力ずくの抑え込みに懸命だ。
 チャベス大統領への昨年4月のクーデター未遂事件では謀反が相次いだ国軍は、その後に反大統領派の粛清が進み、ゼネストに同調する動きはほとんどみられない。
 反大統領派は大統領の信任を問う国民投票を実施し、大統領を辞任に追い込むシナリオを描く。国民投票を求める署名は規定数に達し、選管は投票日を2月2日に設定した。だが、手続きの不備により延期や中止となる公算も浮上している。
 ぺトコフ元調整企画相は「事態の解決には2006年の大統領選の前倒し実施しかない」と指摘する。そのためには憲法修正が必要だが、大統領は断固拒否。与党連合は国会でも絶対多数を占め、実現の可能性は低い。
 見かねた米国、ブラジル、スペインなど6カ国は15日、「友好国グループ」を結成。対話による解決を支援する国際的な枠組みを整えた。ただ、チャベス氏は外圧を極端に嫌う。ベネズエラをエネルギー安保上の要衝と位置づける米国と、左派政権に移行したばかりのブラジルが、友好国グループ内で対立し合う可能性も捨てきれない。
 現状では、ゼネストも、日量約250万バレル激滅した原油生産も正常化する見通しは立たない。八方ふさがりの中、ニューヨーク原油先物市場では15日、WTI期近2月物が2年2カ月ぶりの高値となる1バレル33.21ドルで取引を終えた。


日本経済新聞 2003/4/25

OPEC、200万バレル減産 緊急総会合意 6月実施 なお供給過剰も

 石油輸出国機構(OPEC)は24日の緊急総会で、日量200万バレルの実質減産で合意した。実施は6月1日から。主要加盟国はイラク情勢の緊迫を受け増産してきたが、戦争終結を受け生産量を削減する。ただ、世界景気の悪化で原油需要は低迷しており、大幅減産してもなお原油が供給過剰に陥る可能性もある。
 減産によって、OPECの原油生産量は現在の日量2740万バレルから同2540万バレルになる。アティーヤ議長は同日「原油市場は200万バレル以上の余剰であり、早期に生産量を減らす必要があった」と語った。
 OPECは3月の総会で生産枠(2450万バレル)を据え置いたが、イラク情勢の緊迫化で原油価格が1バレル30ドルを大きく上回ったため、サウジアラビアなど主要国が生産枠を上回る形で積極増産していた。
 この結果、OPECの原油生産が生産枠を290万バレル上回る形となったため、今回の総会では減産を決める一方で、現状を追認して生産枠を2540万バレルに90万バレル引き上げた。
 OPECが24日に発表したバスケット価格(7油種平均)は23日取引分で1バレル25.14ドル。「適正価格」の水準にあるが、加盟国の多くは原油が5月以降に余剰供給に陥り値崩れが起きることを警戒している。
 市況の下支え要因になっていた米国の原油在庫は歴史的な低水準から回復しつつある。また、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は「新型肺炎、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)の広がりが原油需要に悪影響を及ぼす司能性がある」とも指摘した。
 OPECの月次報告書によると、4−6月の世界の原油需要は前年同期比で微増の日量7600万バレル弱。ロシアなど非加盟国の供給量は5300万バレル近くに増えるため、OPEC原油の需要は2300万バレルになる可能性がある。今回減産しても200万バレル以上余る計算になる。
 米系シュローダー・ソロモン・スミスバーニーのエイデン・ブラッドリー氏は「OPECが大幅減産を実施しても、北海ブレント先物は短期的に20ドル前後まで下落する」と予測する。OPECが原油価格を25ドル前後で維持するには6月の定例総会でも一段の減産を迫られる可能性がある。


イラク復帰、波乱に  OPEC内、枠巡り争奪戦

 OPECにとって、今後最大の問題になるのがイラクの原油市場への本格復帰だ。
 イラク南部ルメイラ油田などでは原油生産が再開した。国内向けの石油製品や発電燃料用で、今週末には大型製油所も再稼働する見込み。米政府当局者は南部油田の生産量は5月中旬までに日量80万バレルに達するとみている。キルクークを中心とする北部の油田地帯でも近く生産を再開、生産量は2−6週間で同80万バレルに達する見通し。
 イラク復帰でOPEC加盟国内の割当枠の争奪戦は激しくなりそうだ。イラクは90年の湾岸危機前はイランとほぼ同じ300万バレル程度を生産していた。だが、クウェート侵攻後、サウジアラビアがイラクの割当枠の多くを自国分に加え、540万バレルから一挙に800万バレルに増やした。サウジは他の加盟国から割当枠削減を迫られる見通しだ。


日本経済新聞 2004/2/11

4月に100万バレル減産 OPEC,3月は据え置き

 石油輸出国機構(OPEC)は10日、アルジェで総会を開き、3月の減産を見送る代わりに、4月1日から生産枠を現行の日量2450万バレルから100万バレル減らすことで合意した。1バレル30ドル近い原油高での減産は異例。4月からの原油需要の季節的な減少やイラクの生産回復に伴う相場下落を警戒している。
 OPEC各国は現行生産枠を上回る150万バレル相当の「ヤミ増産」をただちに解消することでも一致した。

 米ホワイトハウスのダフィー報道官は10日、OPECの4月からの減産合意について、「産油国が米経済や消費者らに打撃を与えるような行動を取らないことを期待する」と語った。

OPEC減産 高値維持へ先手 米、景気への影響懸念

 石油輸出国機構(OPEC)が4月からの減産実施を前倒しで合意したのは、4月以降の相揚下落を警戒したからだ。現状の生産量を維持すれば、OPECの指標であるバスケット価格(7油種平均)が「適正価格」の1バレル25ドルを割り込む可能性がある。ただ、今回の決定に米政府が阜速けん制球を投げるなど、OPECは高値維持に向け難しいかじ取りを迫られている。 サウジアラビアのヌアイミ石油相は10日、「原油価格はいったん暴落すると戻るのに2年かかる。今回は予防的措置の意味がある」と述べた。
 バスケット価格は今年1月末まで1カ月以上も30ドルを超える高値基調が続いた。米国の原油在庫が28年ぶりの低水準に落ち込み、イラクの生産・輸出の回復が遅れたからだ。だが、原油高を支えたこれらの要因も変わりつつある。
 米原油在庫は1月末から増加。イラク石油省は3月末にも同国南部にある現在休止中のアル・アマヤ積み出し港(出荷能力40万バレル程度)を活用する方針を打ち出した。昨年11月から日量200万バレル前後で推移したイラクの生産量が3月末の目標である280万バレルに近づく可能性がある。
 今年4−6月は季節的な要因で世界需要が200万バレル程度減るとみられ、欧州の石油アナリストの間では北海ブレント先物が4月ごろには現在より1バレル3ドル以上低い25ドル前後に下がるとの指摘が増えていた。
 ただOPECが今回の合意で価格維持を実現できるかは不透明。米大統領報道官はOPECの合意に関し、石油価格の高騰が米景気の回復を阻害しかねないことに懸念を示した。米ガソリン価格は1月以降、再び上昇基調に転じており、一段の値上がりは家計や企業活動を直撃しかねない。
 こうした米国の意向を受け、ロシアやアンゴラなど非加盟国が増産を継続する可能性が強い。〇PEC加盟各国も生産枠を上回る増産に走っている。バスケット価格が目標価格帯下限の22ドルに近づく状況まで下落しなければ、生産量削減で加盟国の足並みがそろわないとの指摘もある。


日本経済新聞 2004/6/4

OPEC 200万バレル拡大合意
50万バレル8月上積みも 生産量、現状を追認

 石油輸出国機構(OPEC)は3日ベイルートで開いた総会で、原油の生産枠(現行日量2350万バレル)を7月に日量200万バレル引き上げ、必要に応じて8月から50万バレルをさらに上乗せすることで合意した。生産枠拡大により原油高を抑制する姿勢を示したものの、すでに現行の生産枠を上回って生産している「ヤミ増産分」を追認するにとどまり、市場では原油高是正につながるか疑問視する声もある。
 OPECは最有力国サウジアラビアが最大250万バレルの生産枠拡大を提案、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)、ナイジェリアなども支持した。これに対し、イランのザンガネ石油相は100万−150万バレルの拡大にとどめるよう主張。こうした声に配慮し7月の総会で必要に応じて50万バレルを追加決定する二段階の生産枠拡大で決着した。
 OPECの5月の生産量は生産枠を250万バレル以上超過する日量2600万バレル強。250万バレル増やしてもヤミ増産分を追認するだけにとどまる。記者会見したプルノモ議長は実質的な増産については言及しなかった。ただ、サウジ、UAE、クウェートは総会を前に6月から合計100万バレル近い実質的な増産に踏み切る方針を表明しており、生産能力に余力がないイランやベネズエラが強く反発している。


日本経済新聞 2004/8/26

原油価格はどう決まる? 
 基本は需給、思惑で変動

 原油価格の高騰が続き、代表的な指標であるニューヨーク原油先物は20日、1バレル49.40ドルの過去最高値を付けました。世界経済への影響も懸念され始めたが、そもそも原油はどんな種類があり、価格がどのように決まっているのでしょうか。

Q 原油とは何ですか。
A 油田から産出した状態の石油を指し、精製することでガソリンや軽油、灯油など石油製品になります。比重によって特重質から軽質まで大きく4つに分かれ、軽質の原油ほどガソリンや灯油を精製しやすいという特徴があります。一般に軽質原油ほど価格は高くなります。

Q 原油価格はどうやって決まるのですか。
A 指標油種と呼ばれる特定の種類の原油が取引されることで決まります。最も影響力が大きいとされるのがニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されるウェスト・テキサス・インターミディェート(WTI)原油先物です。米テキサス州沿岸部で産出される非常に軽質な原油で、1983年に上場されました。WTIの価格は主に需給要因で動きますが、思惑的な売買で乱高下することもあります。
 このほかロンドン国際石油取引所(IPE)の北海ブレント先物、東京スポット(当用買い)市場で取引されるアラブ首長国連邦(UAE)産のドバイ原油(現物取引)があります。ドバイ原油は取引所外でトレーダー(総合商社、石油会社などの市場参加者)間で取引されています。それぞれ取引量が多い欧州、アジア地区での価格指標になっています。アジアの取引所では、東京工業品取引所で2001年から中東産原油の先物取引が始まっています。

Q 指標油種にはどんな役割があるのですか。
A 指標油種の価格は消費国が実際に輸入する原油の購入価格に影響します。日本は原油の8割を中東に依存しています。例えば
サウジアラビア産の原油は基本的にブローカーなどを通さず、石油会社が同国から直接調達します。この購入価格は、ドバイ原油とオマーン原油のスポット価格の月間平均値を足し、2で割ったものに調整金を付け加えて決まります。このため東京スポット市場のドバイ原油の取引価格は日本の原油輸入価格の先行指標として注目されています。

Q ニューヨークの夜間取引とは何ですか。
A 午前10時から午後2時30分まで開かれている昼間の取引に対し、それ以外の時間に電子取引で行われるアクセス相場を指します。時間外取引と呼ぶこともあります。日本や欧州では米国と取引時間が異なるため、アクセス相場を参考にしながら取引を行う場合もあります。
Q なぜ原油価格が高騰したのですか。
A 世界的な需給ひっ迫懸念が強まり、投機的資金が流れ込んだためです。米国や中国の需要が伸びる一方、中東など産油国の治安悪化で原油の安定供給に対する不安が強まっています。これらを背景に先高を見越した投機資金がNYMEXに流入し、世界の相場を引っ張っているとされています。
 もともと指標油種は性質が異なるため、油種間で価格差が生じます。相場上昇時には投機的な動きも強まるため、需給以上に価格差が開くこともあります。



世界の代表的な原油取引

場所 取引油種 最低取引
単位(1枚)
 
ニューヨーク・マーカンタイル取引所 ウェスト・テキサス・インターミディェート 1000バレル 先物
ロンドン国際石油取引所 北海ブレント 1000バレル 先物
シンガポール取引所 中東産原油 1000バレル 先物
東京工業品取引所 中東産原油 100キロリットル 先物
東京スポット市場 ドバイ原油  ー 現物

(注)ニューヨーク・マーカンタイル取引所の先物は現物引き渡しも可


日本経済新聞 2004/11/30

サウジ、生産能力増強 原油、14%増の日量1250万バレル 石油相方針

 石油輸出国機構(OPEC)の最有力国サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は29日、原油生産能力を今後数年間で現状より14%増の日量1250万バレルに増やす方針を表明した。大幅な能力増強計画を示すことで原油高を是正するねらいとみられる。
 ロンドンの英王立国際問題研究所での講演後に記者団に「2油田の能力を最近大幅増強した結果、現在の生産能力は(日量50万バレル増の)1100万バレルに達した」と述べた。現在の生産量は950万バレルで、余剰能力は150万バレルとなる。「十分な余剰能力の存在が原油価格安定につながる」と語り、生産能力をさらに150万バレル増やす重要性を強調した。
 原油需給について「現在は世界の供給量が若干需要を上回る健全な状態にある」と語った。欧米の原油先物市場では1バレル45−50ドルの高値が続くが「需要がそれほど増えておらず、サウジは当面、950万バレルの生産を続ける」と明言した。
 OPECは来月10日にエジプトのカイロで総会を開き、来年1月以降の生産量を決める。一部加盟国からは市況下落を警戒して生産量抑制を主張する声も出ている。


日本経済新聞 2004/12/2

原油価格 異例の逆転 中東産 米向け高騰、日本向け上回る
 NY先物 独歩高響く

 ニューヨーク原油先物、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)が再び50ドル台を目指す高値となっているが、これがもとで、中東からの日米向けの原油価格で、米向けが日本向けを逆転する現象が起きている。

 従来、アジア向けに直接取引される中東産原油は欧米より1ドル程度割高とされ、「アジアプレミアム」と呼ばれている。だが、WTIの上昇に比べ、アジアの指標原油がさほど高くなっていないことから、アジア向けが欧米向けを下回る状態となっている。
 中東産原油のアジアプレミアムは域内に競合する主力原油が存在しないため起こるとみられている。アジアでは原油の中東依存度は8割前後だが、欧米では2−3割にとどまる。サウジの主力原油で世界で一番流通量が多いアラビアンライトの場合、従来の輸出価格はFOB(本船渡し)べースでアジア向け平均が欧米向けよりも1バレル1−1.5ドル高かった。
 しかし、現在は11月積みの試算で、米が日本を5ドル強、欧州が同2ドル強上回る格好だ。「輸出価格の指標となるWTIとドバイの価格差が広がったことでアジア向けが相対的に低くなり、東西格差といえる逆転した状況」(コスモ石油の日下部功海外部長)
 世界最大の産油国サウジアラビアの原油輸出価格は地域ごとに異なる計算式(フォーミュラ)で決まる。米向けはWTI原油先物、欧州向けは北海ブレント、アジア向けはドバイ原油とオマーン原油を基準価格とし、これに調整金を加えたり、引いたりしている。アラビアンライトに比べ軽質で価格が高めなWTIと北海ブレントに対しては割り引き、重質なドバイ原油は価格を積み増してバランスをとる。
 ただ10月以降、ハリケーンの影響などで米国の原油市況がひっ迫し、WTIが独歩高といえる状況になった。北海ブレントもWTIにつれ高となったが、重油などの精製比率が高い中・重質原油であるドバイ・オマーンはさほど上昇せず、WTIとドバイ・オマーンの価格差は従来の4−5ドルから11月は12.7ドルまで開いた。

 アラビアンライトの調整金は年初は米向けがWTIから1バレル3.9ドルの割り引き、アジア向けがドバイとオマーンの基準価格に0.95ドルの積み増しだったが、11月積みは米向けを7.3ドルの割り引き、アジア向けを0.2ドルの積み増しとし、その幅を広げた。だがWTI高騰に比べ調整金の下げ幅は小さく、結果的には米向けはアジア向けより割高になった。
 日米の価格差逆転については「米国の原油需給が急激に改善しない限り、WTIの大幅下落は考えにくく、米国向けの中東産原油がアジア向けを上回る状況は当分続きそう」(中東経済研究所の長和彦主席研究員)との指摘がある。
 アジアプレミアムの根底には域内に中東産原油に競合する油種が乏しく価格交渉力が弱いといわれている。日本は中東産原油に8割を依存していることもあり、根本的な解決策が必要との声が出ている。

輸出先別に異なる基準価格と計算式
 サウジアラビアの価格フォーミュラのうち、米向けは積み日から50日後を中心とした前後10日間のWTI平均として算出する(FOBの場合)。この50日は中東から米国までのタンカー運航日数などを基に設定。欧州向けは同じく積み日から40日後の10日間の北海ブレントを基に算出。このため正確には1,2カ月後の原油相場に左右される。
 これに対してアジア向けの価格フォーミュラはWTIや北海ブレントといった取引所での上場原油先物ではなく、スポット市場でのドバイ原油とオマーン原油の月間平均を2で割った価格が基準となる。積み日が11月中であれば、11月の月間平均を適用する「後決め」方式となる。
 また、サウジの調整金は各地域のスポット市況やガソリンなど石油製品の製品マージンなどを勘案して、前月の月初に発表している。中東諸国はサウジの価格を基に、自国の輸出価格を決める例が多く、サウジの影響力は大きい。輸入する側の価格はFOBにタンカー運賃や保険料、税金などが加算される。


日本経済新聞 2004/12/11

OPEC100万バレル実質減産 総会合意 生産枠削減見送り

 石油輸出国機構(OPEC)は10日、カイロで総会を開き、日量2700万バレルの生産枠を超過して生産している日量100万バレルを来年1月から削減し、実質減産することで合意した。原油相場は10月下旬から約2割下げているうえ、来年春以降の需給緩和を見越し、生産量抑制で先手を打った。ただ、原油相場は欧米市場で1バレル40ドルを超す高値圏にあり、消費国の反発が強まるのは必至だ。
 OPECのプルノモ議長(インドネシア・エネルギー鉱物相)は10日、「現在も大幅な供給過剰にあるが、来年春には需要が日量100万バレル以上も減る。市況の安定には生産量の削減が必要だった」と強調した。
 現在、生産枠対象の10カ国(イラクを除く)の生産量は日量2800万バレル程度。今年春からの相場高騰を受けて約200万バレル増産した結果、需要期である10−12月でも世界的に150万バレル強の供給過剰となる見通しで、先進国の在庫も急回復している。このため、生産枠の削減は見送るが、「ヤミ増産」と言われる枠の超過分を削減する。
 OPECは1月30日に臨時総会を開くことで合意した。相場下落が続いた場合、生産枠削減などの追加的な減産に踏み切る構えだ。
 欧米の原油先物相場は10月下旬に史上最高値を更新した後、12−13ドルも下落したが、なお40ドルを超す歴史的な高値圏にある。OPECは通常、少なくとも50万−100万バレルも枠を超えた生産をしており、「(今回の合意で)実際の生産量が生産枠まで減るかは不透明だ」(市場関係者)との見方も多い。


日本経済新聞 2005/2/18

ナフサ乱高下 インドが台風の目 突然の放出、市況かく乱

 石油化学製品の基礎原料、ナフサ(粗製ガソリン)のアジア市場で、インドが市況のかく乱要因となっている。昨春以降、同国から大量のナフサが輸出されるようになったのだ。余剰分を予測の難しいタイミングで供給する「インド玉」。最近のナフサ価格乱高下の一因ともいわれ、石化会社の原料調達戦略を難しくしている。
 今度はいつインド玉が出てくるのか。国内の石化原料担当者やナフサトレーダーは年末年始のナフサ価格急変の再来を懸念している。

 今年1月、アジアでナフサの価格指標となる東京オープンスペックは高値が1トン当たり432ドル、安値が同385ドルで、その差は47ドルに達した。昨年12月の84ドルには及ばないが、かなりの高低差だ。原油価格の急変などいくつかの要因が挙げられたが、月内に25万トンともいわれる大量のインド産ナフサが市場に出回り市況に影響を与えたとする声は多い。
 東アジアを中心としたアジア市場には中東から年間約3千万トンのナフサが流入する。最大はサウジアラビアの約900万トン。クウェート、アラブ首長国連邦が各700万トンで続く。ただ昨年の域内供給で一気に存在感を増したのはインドだ。もともと年200万−220万トンを輸出していたが、昨年は「300万トン強に増えた」との見方がある。
 インドでは1999年に総合石化会社のリライアンスが年2700万トンの原油処理能力を持つ巨大製油所を建設し、ナフサも増産基調にある。昨年はアジアの素材インフレで石化製品が高騰し、同国の製油所も原料ナフサをフル生産した。
 これにインド国内の原燃料事情の変化が重なった。インドでは長年、ナフサを石化原料に限らず、発電所や工場の燃料、肥料原料として使っていた。しかし同国政府は昨年4月、初めて割安な液化天然ガス(LNG)をカタールから輸入、国内企業にナフサからの燃料転換を促した。その結果、余剰ナフサが大量に発生。製油所の増産分と合わせ、年間80万−100万トンが新たに輸出されるようになった。
 石化会社の悩みの種は、これらのナフサが不定期に出てくることだ。中東産ナフサは一般に2カ月前には輸出計画が分かるが、余剰分を輸出するインド産は「2週間前にいきなり輸出計画が出てきたりする」(大手商社)。
 長期的にみるとインド産ナフサの輸出はこれ以上増えないとの見方もある。同国内で石化産業が急成長し、原料ナフサの消費もつれて増え、06年以降は輸出余力低下の可能性も指摘される。だが、しばらくは余剰が発生すればアジア市場に流出するインド玉に石化会社の原料担当者が振り回される状態は続きそうだ。


日本経済新聞 2005/3/15-

原油のイロハ 

ドバイがアジアの指標 スポット取引、油種少なく

 原油が過去最高値圏にある。世界経済にも大きく影響する原油はどうやって取引され、価格が決まるのか。キーワードをもとにマーケットをひも解く。
 アジアの原油価格はドバイ原油のスポット価格を基準に決まる。ドバイ原油とはアラブ首長国連邦(UAE)を構成するドバイで産出する原油。日量約15万バレルと中東全体の1%に満たない。日本は原油輸入の9割を中東に依存している。中東産が指標になるのは自然だが、少量のドバイが指標になったのは1980年代にさかのぼる。
 中東産油国は当時、政府の公式価格で販売していた。しかし世界的な供給過剰で価格主導権を失い、スポット価格連動性に切り替えた。この時に指標に選んだのが全量スポット販売していたドバイ原油だった。
 サウジアラビアをはじめ多くの中東産油国は長期契約で販売する。スポット市場では今でも主にドバイ原油と、同じアラビア半島のオマーン原油が取引される。80年代に日量40万バレル前後だったドバイ原油の生産量はその後、大幅に減った。わずかな取引しかない油種が中東産全体の価格を決める構造はいびつとの指摘もある。

DDはスポット連動 需給映す調整金を加減

 日本が輸入する原油の8割近くを直接取引(ダイレクト・ディール=DD)原油が占める。産油国が国際石油資本(石油メジャー)などの手を通さず、消費国の石油会社などに直接販売する原油を指す。
 産油国はかつて石油メジャーなどが油田開発などに参加した際、見返りに原油の引き取りを認めていた。1979年からの第二次石油危機後にこの政策を転換。原油事業の国有化を進め、現在の原油所有権は基本的に産油国が持っている。

 大半のDD原油は長期契約で販売される。年初までに期間と数量を決め、日本では1年契約が主流。数量は需要変動に応じ、船積みする前の月に産油国が削減を通告することもある。
 価格は指標油種のスポット価格をもとに月ごとに調整金を加減する後決め方式だ。サウジアラビアの場合、ドバイ原油とオマーン原油の月間平均価格をもとに決める。調整金は産油国が事前に通告し、需給を反映する。3月積みでは軽質原油のアラビアンエキストラライトは1バレル2.85ドルの積み増し、重質のアラビアンヘビーは同4.15ドルの割引だった。

WTlと北海ブレント ガソリンなど精製比率高い

 国際的な指標となる油種はドバイ原油以外に、ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)と北海ブレントがある。WTIは北米向け、北海ブレントは欧州向けの指標油種だ。
 WTIは米テキサス州沿岸部で産出する原油で、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で先物が取引されている。産出量は日量150万バレル程度だが、NYMEXでの取引量は1日当たり2億5千万バレル相当にのぼる。
 正確にいうと、NYMEXが上場しているのは「ライト・スイート・クルードオイル」。ライトは軽質、スイートは低硫黄の意味で、その標準的な油種がWTIだ。中東産のドバイ原油に比ベガソリンやジェット燃料の精製比率が高く、価格も高い。
 北海ブレントは英国領海内の北海にあるブレント油田で日量約80万バレル産出する。これもWTIに近い軽質原油だ。ロンドンの国際石油取引所(IPE)に先物市場がある。WTIも北海ブレントも1983年に上場された。
 サウジアラビア産原油の欧米向け価格は両油種の先物価格に沿って決まる。米国向けは積み日から50日後を中心に前後10日間のWTI平均値に調整金を加減して算出。欧州向けも同じような仕組みで、北海ブレントに連動する。

先物、現物に影響カ 欧米ではスポットの指標に

 原油価格をみる時は先物価格とスポット(当用買い)価格の違いに注意しよう。先物価格は将来その原油をその値段で売買する権利を市場で取引して決めた価格。一方、スポット価格は実際にその原油を必要とする石油会社や商社など、またはこれら実需業者に依頼されたトレーダーらが当座の需要を満たすために現物を売買する時の価格だ。
 指標油種のうち、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエー卜)と北海ブレントは先物、ドバイ原油はスポットだ。このためWTIが1バレル55ドルだったとしても、その時に現物を購入する値段が55ドルになるという訳ではない。ただWTIの平均価格を基準として現物の原油価格が決まる仕組みになっているため、先物価格が現物価格に及ぼす影響力は大きいと言える。
 スポット市場での取引は、例えば大型タンカー1隻分の中東産原油を欲しがっている買い手が「指標のドバイ原油に対し1バレル2ドルの割引価格で購入したい」と唱え、売り手が「OK。それで売る」となれば成立する。
 欧米では「あるアフリカ産原油を北海ブレントに対して1ドルの割増金で販売する」というように先物価格を指標にしてスポット価格が決められる例も多い。指標に対する割増金、割引金には油種の違いが反映するが、需給により幅も上下する。

勢いづく投機筋 買い越し、8000万バレルに接近

 「現在のWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)の適正価格は1バレル40−45ドル」とする石油関係者の声がある。原油の需給などを考えた適正水準がその近辺で、残り10−15ドルは不安定な中東情勢などのリスクを見越し「投機資金」が流入した、かさ上げ分との見方だ。
 石油輸出国機構(OPEC)も原油高騰の一因として、ファンドなどの投機資金を挙げる。ではこの投機筋とは何を指すのか。
 米国の先物市場では米商品先物取引委員会(CFTC)が市場参加者を大まかに2種類に分けている。石油会社など実需業者とみられる「商用(コマーシャル)」と非商用である「投機資金(ノンコマーシャル)」だ。ノンコマーシャルによる先物の買越枚数が多いほど、投機資金の流入も多いことになる。過去最高の買越枚数は04年3月2日の8万2451枚。今年3月8日現在は7万6663枚で過去最高に近い。最低取引単位の1枚は千バレルなので、8千万バレル近い買い越しで、世界の一日の需要量に匹敵する。
 一般に巨大な資金を運用する大手ヘッジファンドや金融機関が、株式や外国為替市場への投資のリスクヘッジ(保険つなぎ)として.原油市場を使っているとされる。ただこの区分は自己申告に近く、実態はよく分からない。


2005/6/16 日本経済新聞

OPEC 生産枠最大100万バレル拡大 2段階、来月まず50万バレル
 原油高抑制は不透明

 石油輸出国機構(OPEC)加盟国は15日午後、生産枠を二段階で最大で日量100万バレル拡大することで合意した。現状生産量を追認する50万バレルの枠拡大で合意する方向だったが、欧米の原油相場が再び上昇したため、追加拡大に含みをもたせることにした。
 7月1日から現行生産枠(日量2750万バレル、イラクを除く加盟10カ国が対象)を50万バレル拡大。その後も1バレル50ドルを超える高値が7日間続けばアフマドOPEC議長が他国と協議した上で8月以降に50万バレル追加拡大する。
 50万バレルの枠拡大では「現状追認にすぎず、原油高是正への効果はない」という市場の懸念に対応した格好だが、石油市場に与えるインパクトはまだ弱い。15日午前のニューヨーク原油先物相場は急反発。余剰生産能力の乏しいOPECが、原油高を抑制できるかどうかは不透明だ。
 OPECとしても原油価格が一段と上昇すれば消費者心理を悪化させ、市況の急落を招きかねない。ただ、OPECの余剰生産能力は現在日量150万バレル程度と世界需要の2%弱にすぎない。年末の需要期には世界需要は現在より日量300万バレルも増える見通しだ。
 設備増強に着手した産油国もあるが、稼働するまでには時間がかかる。OPECが生産枠の拡大をアピールしても、実際の生産量が当面変わらない以上、市場への影響は限られる。鎌倉上・三菱商事石油事業本部リスクマネジメント室長は生産枠拡大で「市場からはむしろOPECは最後の切り札を切ってしまったとも受け止められかねない」と指摘する。


日本経済新聞 2005/9/21

OPEC 生産枠据え置き決定 製油所新増設も合意

 石油輸出国機構(OPEC)は20日の総会で、
原油生産枠(日量2,800万バレル)を据え置くことで合意した。また10月から3カ月間、余剰能力である日量200万バレルを活用し、石油会社の注文に応じて機動的に供給することを決めた。歴史的な原油高の最大の原因である精製施設の能力不足を補うため、加盟国が製油所の新増設に積極投資することも合意した。
 OPECのアフマド議長(クウェート・エネルギー相)は総会後の記者会見で、「OPECは市場が必要とする以上の原油を供給し、市場の不安心理を和らげるつもりだ」と強調した。
 アフマド議長は当初、生産枠の50万バレル拡大を提案した。しかし「来年から需要の伸び鈍化で相場が下落する可能性がある。生産枠の引き下げによる減産は加盟国の意見調整が難しいので、今回は拡大すべきではない」(有力閣僚)との反対論が強く、据え置きで決着した。一方、「機動的な増産」は需要が減れば臨時総会などの手続きなしに取りやめることができる。
 ただ「相場への影響は限定的」との見方が多い。余剰能力の大半はサウジアラビアの硫黄分の多い重質油。ガソリン生産に不向きなために需要が乏しい。
 OPEC加盟国は今総会で原油以上に需給逼迫の目立つガソリンなどを生産する石油精製施設への積極投資でも合意した。アフマド議長は「相場を押し上げる製品分野でも投資を拡大する。加盟各国が海外で建設する製油所を除いても、今後5−6年で200万バレル以上は精製能力を増やせるし、これは相場の(中長期的な)安定に寄与するはずだ」と指摘した。


日本経済新聞 2005/12/13

OPEC 生産枠据え置き合意 原油価格50ドル割れ警戒

 石油輸出国機構(OPEC)は12日、クウェートで総会を開き、現行生産枠(日量2800万バレル)を据え置くことで合意した。前回の総会で決めた「同200万バレルまでの機動的増産」は取りやめる。供給超過の市況から増産は必要ないと判断した。一部加盟国からは需要が減少する春先に向けての相場下落を警戒し、生産抑制を求める声も出ている。
 アフマド議長(クウェート・エネルギー相)は総会後の記者会見で「生産枠は据え置き、実際の生産量も減ることはない」と強調、供給懸念を打ち消してみせた。
 8月末に1バレル60ドルを突破したOPECの指標、バスケット価格(11油種平均)が11月中旬には50ドルを割り込む中で、生産枠の据え置きと機動的増産の中止は当初予想通り。意外だったのは、原油価格が歴史的にはなお高水準にあるにもかかわらず、先行きの相場下落を懸念する声が相次いだことだ。
 来年1月からOPEC議長に就任するナイジェリアのダコウル石油資源担当相は「来年の第2・四半期(4−6月)は一挙に世界需要が日量200万バレルも減る。(生産抑制など)何らかの対応が必要になるかもしれない」と指摘した。
 先進国の原油在庫は54日分と、1998年に相場が1バレル10ドルまで下落した当時の「56日分」の線に接近中。現生産量を維持すれば一段と在庫が膨らみ、価格が下落する可能性があると見ているためだ。
 OPECは来年1月31日にウィーン本部で臨時総会を開くことで合意。次回の3月総会を前に再び生産戦略を協議し、相場の高値維持を狙う。「バスケット価格で1バレル50ドルが消費国も産油国も受容できる水準」(アフマド議長)との分析を踏まえ、在庫増などでそれを下回った場合には1月総会で生産抑制を協議する見通しだ。
 他方、アフマド議長は12日朝の総会記念講演で、今後の生産能力の拡大策に言及した。今月末までに日量50万バレル増の3250万バレルとなり、来年はさらに100万バレルの上積みが可能だという。加盟国が中期目標として2010年までに合計で1千億ドルを投資し、能力を3800万バレルに拡大することも明かした。


日本経済新聞 2006/10/13

OPEC減産 現状追認の様相 
 生産枠届かず 加盟国の対応割れる

 原油市場で石油輸出国機構(OPEC)が減産に踏み切るとの観測が広がってきた。価格下落と需給緩和を受けて加盟国が生産枠削減で合意するとの見方が浮上、値動きにも影響し始めた。ただ各国の姿勢に温度差があるうえ、多くの国が実質減産している現状追認の様相も強い。市況への影響は限られそうだ。

 「OPECが12月の総会前に減産に踏み切ることを検討している」。海外でこんな情報が出た直後の9月27日、投機筋の買い戻しなどでニューヨーク原油先物相場(期近)は前日比3%上昇した。その後も減産を巡る情報が流れるたびに相場は変動。今月10日には加盟国の対応が割れているとの見方が強まり、2%下落した。
 減産観測が強まっている主因は8月以降の価格急落だ。7月中旬に1バレル78ドル台の過去最高値を付けたニューヨーク相場は11日で57ドル台。「70ドル台を経験した産油国が減産を決めても不思議ではない」(国内石油会社)。原油と石油製品の在庫は世界的に潤沢で、「備蓄タンクに余裕がない石油会社も多い」(原油トレーダー)。
 加盟国ではベネズエラとナイジェリアが10月からの自主減産を表明したほか、クウェートなども同調姿勢を示している。
OPEC首脳も加盟国に日量100万バレルの減産を提案したとされる。協調減産が実現すれば、2004年4月以来となる。
 だがOPEC全体での減産には不透明感が漂う。最大の供給力を持つサウジアラビアが姿勢を示していないためだ。サウジは11月積みのアジア向け直接取引原油を契約量通り供給すると通告、ナイジェリアやベネズエラとの違いを印象づけた。「サウジも減産すればガソリン価格上昇につながり、11月に中間選挙を控えた米国の反発を招きかねない」(国内石油会社)。現在の価格水準ならサウジは協調減産に賛同しないとの見方も強い。
 減産の実効性を疑問視する声もある。供給余力低下や需要減退で多くの加盟国が既に事実上の減産に追い込まれているためだ。サウジは工場燃料などに使う重質原油の需要停滞に見舞われ、欧州向けなどで「供給を日量30万バレル程度減らしている」(大手商社)もよう。ナイジェリアは反政府組織の石油設備襲撃で供給余力が低下。ベネズエラやインドネシアも生産枠分を供給できていない。
 加盟国のうちイラクを除く10カ国の総生産量は3月以降、生産枠の日量2800万バレルを数十万バレル下回る状況が続いている。OPECが100万バレルの生産枠削減に合意しても、削減分がそのまま減るわけではない。
 原油市場ではハリケーンや中東政情不安による供給減少懸念が薄れ、強材料がはげ落ちている。市場参加者の関心は0PECの減産に集中しているが「価格の下落ぺースを抑える程度で、押し上げる効果はない」(みずほ総合研究所の吉田健一郎シニアアナリスト)との見方が優勢になりつつある。


日本経済新聞 2006/12/15

OPEC、2月から日量50万バレル追加減産
 原油価格安定狙う アンゴラ加盟も承認

 石油輸出国機構(OPEC)は14日、アブジャで臨時総会を開き、2007年2月から原油を日量50万バレル追加減産することを決めた。OPEC全体の生産量は日量2580万バレルとなる。米国など消費国の在庫が積み上がっており、需要期が終わる春以降に原油価格が急落する懸念があるためだ。

 OPECは11月から日量120万バレルの減産を始めている。ただ、実際には申し合わせの5―6割しか実現できていないとの見方もあり、追加減産もどこまで実効性があるかは不透明だ。

 ダウコル議長(ナイジェリア石油資源担当相)は総会後の記者会見で「市場の需給バランスを考慮した。原油価格の安定のために追加減産が必要だ」と述べた。

 OPECは
07年1月にアンゴラが加盟することも承認した。加盟国が増えるのは1975年にガボンが加わって以来。これで加盟国は計12カ国となる。


2007/9/11 AFP

Saudi pressures OPEC into output hike, analysts question impact

OPEC exporters agreed Tuesday to pump an extra 500,000 barrels of oil a day to cool near-record crude prices, in a victory for Saudi Arabia over its reluctant partners.

Analysts said that while the gesture would ease fears about a supply crunch heading into the northern hemisphere winter, the peak demand period for oil, it would be unlikely to lower prices significantly.

Tuesday evening, New York's main futures contract, light sweet crude for delivery in October climbed 74 cents to close at 78.23 dollars per barrel, a record closing high, near its all-time intraday high of 78.77 dollars hit August 1.

The 12-member cartel said Tuesday it would open the taps from the beginning of November amid concerns that high oil prices could drag down the world economy, already suffering from the consequences of the US housing crisis.

OPEC's decision "will take some of the near-term supply concerns off, but shouldn't put too much downward pressure on markets," said analyst David Kirsch from Washington-based consultancy PFC Energy.

Analyst John Hall from London-based John Hall Associates called the move a "token gesture."

"It's a step in the right direction that will take some of the pressure off the market," he said.

Saudi Arabia appears to have forced through the increase despite stiff opposition from most of its partners, notably OPEC price hawks Iran and Venezuela.

Until the weekend, an output increase had been entirely discounted, but tension in markets and pressure from consumer countries led the Saudi kingdom, a close US ally, to spearhead a campaign for action, analysts believe.

Member countries have "decided to increase the volume of crude supplied to the market... by 500,000 bpd, effective 1 November 2007," said OPEC spokesman Omar Ibrahim.

Secretary General Abdullah el-Badri added: "Our message to consumers is that we care."

But Paul Tossetti of PFC was more cynical, saying: "They wanted to look like good people."

The 10 OPEC members that are bound by production limits have raised their output target by 1.4 million barrels per day to 27.2 million bpd, from its current level of 25.8 million bpd, ministers explained.
(Two members - Angola and Iraq - are not bound by the cartel's official output quotas
* Angola 2007/1 OPEC
加盟)

But this represents a real increase of 500,000 barrels per day from current levels because OPEC was already producing 900,000 bpd more than its output target, ministers said.

Countries belonging to the Organisation of Petroleum Exporting Countries produce about a third of global oil supplies.

Before the decision was announced, some ministers had talked of their unease at increasing production at a time when the outlook for global economic growth -- which determines future demand for oil -- is uncertain.

Algerian Energy Minister Chakib Khelil drew parallels with an OPEC meeting in Jakarta in 1997 when Saudi Arabia forced through an output increase just as the Asian financial crisis was unfolding.

Fears of a recession and reduced demand sent oil prices into a tailspin and crashed to 10 dollars in 1999.

"We still have a meeting at the summit (in November in Saudi Arabia) and an extra meeting in December where we could make the right decision and not the wrong decision -- like what happened in Jakarta before, where we had the same situation and we made the wrong decision," argued Khelil.

OPEC also announced Tuesday that the Algerian minister had been elected president of the organisation for 2008. He will replace UAE Energy Minister Mohammad bin Dhaen al-Hamli from January 1.

Global financial markets have been in turmoil in recent months due to problems linked to the US housing crisis and fears of tightening credit conditions.

Many economists have lowered their forecasts for growth, particularly for the United States, but the impact of the market turmoil and tightening credit cannot be assessed at present.

The 1997 Asian financial crisis started with the collapse of the Thai baht before spreading to the rest of the region, raising fears of a global economic recession and setting back many Asian economies.

Despite speculation it could re-join OPEC, Ecuador, which left the cartel in 1992, did not take part in Tuesday's conference.

"We have not been officially invited by OPEC," the country's Energy Minister Galo Chiriboga told AFP Monday.

But OPEC spokesman Omar Ibrahim shot back: "Why do we have to invite them? We never asked them to leave."

 


2007/10/16 日本経済新聞

「季節外れ」の原油高騰 異変示す5つの不思議

 原油価格の騰勢が止まらない。米国のガソリンシーズン真っ盛りの夏に高値をつけ、冬に向けて下落という近年のバターンとは明らかに異なる。錯綜した原油市場の5つの不思議をまとめてみた。

▼需給は本当に逼迫しているのか?
 米国の最新の在庫では、ガソリンは過去5年の平均と比べ920万バレル減、暖房油は1,170万バレル減。ガソリンは消費量でわずか20日分足らずと極めて少ない。だが原油は2,660万バレル増と、決して少ないわけではない。
 製油所のトラブルが相次ぎ、生産に支障が出たことが響いた。背景には、かねて指摘されてきた製油所の、老朽化と能力不足があり、製品供給にボトルネックがあることがうかがえる。

▼ガソリン価格は大幅に下がってきた。製品主導なら原油は下がるはずだが?
 原油とガソリンの値差から割り出したマージンは一時1バレルあたり30ドルもあったのが、最近は5ドル以下。ガソリンシーズンが峠を越したとはいえ、依然堅調な需要を考えると「原油の割高、ガソリンの割安」は際だつ。いずれガソリンに追随する形で原油高が修正されるかもしれない。
 実は原油価格は見かけほど上がっていないという説がある。ドル建てでは昨年の高値1バレル78ドル台を超え、9月に84ドル台をつけた。が、ユーロに換算すると、昨年の高値61ユーロに比べ9月の高値は59ユーロ。欧州の消費者からすれば驚くほどの上昇ではない。



▼需給よりもマネーが高値の主因としたら一体誰が買っているのか?
 ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のファンドなどの買い越し量は昨年の高値を抜いた7月末には13万枚(1枚=1千バレル)近くあったのが、最近は5万枚台。9月以降の上昇過程では投機マネーの影響はそんなに大きくないようにみえる。
 「午後2時の買い」がマーケットでうわさになっている。ニューヨーク市場で午後2時になると決まって上がるのだという。投資か実需家のヘッジか。はたまたオイルマネーか最近語題の政府系ファンド(SWF)なのか。正体不明ながら、店頭市場での買いが当業者を通じて市場に入ってきていると推測できる。

▼WTI(ウエスト・テキサス・インターミディェート)高は米国のローカルな需給の反映?
 今年前半WTIは北海産ブレントより6ドルも安くなる異変が起こったが、最近は3ドル高とほぼ常態に戻った。WTIの期近だけみると大幅に上がったようにみえるのは、NYMEXの受け渡し場所での現物在庫が過剰から過少へと転じてきたことの反映に過ぎない。テクニカルな要因だが、最近のWTIの高騰の、一端を説明している。

▼石油輸出国機構(OPEC)が増産を決めたのになぜ上がる?
 たかだか日量50万バレルでは焼け石に水との見方もあるだろうが、価格の上昇に対してOPECが増産で対応するとのメッセージを発したことは重要だ。市場はこのメッセージを無視しているようにみえる。

 様々な不思議を解き明かす説にまだお目にかかっていない。だが首をかしげながらも当面「価格のベクトルは上を目指している」とみるほかないであろう。


2007/11/13 London Time

Chávez sees oil at $200 if Iran invaded

Hugo Chávez, Venezuela's president, has warned that oil prices could reach $200 a barrel if the US invaded Iran.

He also said that Venezuela would propose at the Opec summit this weekend a new method for measuring the price of oil and a formula to protect poor countries from rising prices.

He told reporters in the capital that West Texas Intermediate, the widely used crude oil benchmark, was "a very, very, very small proportion if we compare it to the global daily production of oil . . . so it is not the best indicator". He did not elaborate on alternative indicators.

Mr Chávez also suggested that Opec should become a more important player in geopolitics, and finance social development programmes for poor countries in areas such as literacy, health, education and housing.

The oil cartel should "go beyond just energy, it should have the appearance of politics - even more so given the context in which this summit will take place", hesaid.

Although Mr Chávez did not expand on his proposals for measuring the oil price, he said it would not involve the creation of a new price band for Opec crude.

Soon after he gained power in 1999, Mr Chavez managed to persuade Opec to maintain oil prices at between $22 and $28. But while the lower limit was kept, the upper limit was not.

Indeed, the Venezuelan president reiterated his long-held view that oil prices would hit $100, although he believes that Opec should attempt to stabilise prices at that level "for several years". This "should prompt developed countries to moderate their consumption".

One of Mr Chávez's most important victories was to persuade Opec countries in 1999 to adhere to production quotas, leading to one ofthe largest non-war related price increases in the past decade.

However, an even greater leap could be possible, he warned. "If the empire [the US] decides to invade Iran, surely oil prices could go as high as $200 a barrel."

He offered to mediate between Washington and Tehran to ease tension, but added that "no one has asked us for help". Mr Chávez is currently acting as a mediator in the conflict between the Colombian government and Farc, the leftwing guerilla group.

The Venezuelan president also repeated a long-standing threat to cut off oil exports to the US should it decide to attack his country. Caracas is already pursuing a policy of gradually reducing its exports to the US in favour of China.

Venezuela, a founder member of Opec, is the fourth-largest supplier of oil to the US, which receives about half of its production.


Associated Press : November 13, 2007

Chavez proposes OPEC sell oil cheaper to poor countries

Venezuelan President Hugo Chavez proposed OPEC should come up with a plan to sell oil to poor countries at dramatically lower prices than those paid by wealthy nations.

Chavez said late Tuesday that he will ask members of the Organization of Petroleum Exporting Countries at a summit in Saudi Arabia this weekend to consider a plan to aid poor countries struggling with rising oil prices.

"I would sell oil to a rich country at US$100 (Euro68.50), and to a poor country perhaps at US$20 (Euro 14)" a barrel, Chavez said. "That breaks with the schemes of capitalism. ... OPEC could do it, although there are hard positions on it, but I'm taking the issue to discuss it."

He said Venezuela is setting an example by selling oil under preferential credit terms to various Latin American and Caribbean countries. But he suggested that with world crude prices near record levels, oil producers all have a moral obligation to help the neediest countries with below-market prices.

"How are you going to sell oil to Haiti, one of the poorest countries in the world, at US$100, the same price that you sell it to the United States? It's not right ethically," Chavez said in an interview broadcast on state television late Tuesday.

"We're going to try to obtain the support, if not of all OPEC countries, of some of them, and of other major producers to design a formula thinking of the coming years," Chavez said.

OPEC supplies about four out of every 10 barrels on world oil markets. Chavez said he believes it is time for the cartel to "raise its level of political action."

He said during a news conference earlier that if oil producers agree to the effort, they could also establish a US$100 billion (?68.5 billion) fund that could finance health, education and housing for poverty-stricken nations.

"I always say it would be marvelous if we sold oil to the rich countries at US$200 (?135) a barrel and to the poor countries at US$5 (?3.50) a barrel. It would be a marvelous mechanism of redistribution of the world's wealth, but it's an explosive issue," Chavez told reporters.

Leaders from many of the world's top oil producers, including Chavez, will meet this weekend in the Saudi Arabian capital of Riyadh to discuss the challenges a potential global recession and the weakening value of the U.S. dollar present to the international oil market.

Chavez predicted that crude prices would keep climbing to US$100 (Euro68.50) a barrel. He warned that prices could reach US$200 (Euro 137) a barrel if the United States were to invade Iran ? Venezuela's closest ally in the Middle East.

Light crude for December delivery fell US$4.17 (Euro 2.85) to US$90.45 (Euro 61.92) a barrel on the New York Mercantile Exchange on Tuesday. Just last Thursday, crude prices traded as high as US$98.62 (Euro67.52) - a record.

Venezuela is a major supplier of oil to the United States.


Nov. 17, 2007 CBS/AP

Chavez Uses OPEC Summit To Blast U.S.
Venezuelan President Urges Group To Drop Dollar As Oil Pricing Standard And Warns Iran Attack Could Double Oil Prices

Venezuelan President Hugo Chavez warned the Unites States on Saturday that oil prices could more than double if Washington attacked his country or Iran - part of a provocative opening address here to a rare OPEC summit.

The Venezuelan leader also appealed to fellow members of the Organization of Petroleum Countries to join his crusade for social justice, saying the group should be "at the vanguard in the fight against poverty."

After Chavez's speech, Saudi Arabia's King Abdullah, the conservative head of the world's largest oil exporter, appeared to rebuke the leftist president by insisting "OPEC has always acted moderately and wisely."

"Oil is an energy for development, it should not become a tool for conflict and emotions," said Abdullah, a strong U.S. ally.

The king also sought to head off Chavez's attempt to reshape OPEC in his socialist image, saying the organization "has not overlooked its responsibilities to developing countries and poverty alleviation." He highlighted that the OPEC Fund for International Development has made donations to over 120 developing countries.

The OPEC summit opened Saturday in the Saudi Arabian capital of Riyadh with heads of states and delegates from 13 of the world's biggest oil-producing nations. It was the third OPEC summit since the organization was created in 1960.

But Chavez's comments overshadowed another controversial discussion, whether to drop the dollar as the standard for pricing petroleum, reports CBS News correspondent Randall Pinkston.

In part, the move was political -- to embarrass the United States, but there are also basic economics involved. The value of the dollar against foreign currencies is dropping, which in turn is one of the reasons oil prices are rising.

Some OPEC members, including Saudi Arabia and Algeria opposed the idea, which was put forth by Venezuela and Iran, fearing the move could trigger a recession in the U.S. and damage America's ability to keep buying huge quantities of crude.

"We would like to see the dollar, you know, stabilized," said Algeria's minister of energy and mines, Chakib Khelil.

Some economists say this talk signals global concern about the strength of the U.S. economy and foreign investor confidence in the dollar, reports Pinkston.

"If foreigners decide we don't want to hold dollars anymore, and they start to sell dollars for other assets like euros, that means that our dollars buy a lot less in the world," said Benn Steil, director of international economics at the Council on Foreign Relations.

Some analysts say OPEC's threat to ditch the dollar is a bluff, reports Pinkston. OPEC nations have billions of dollars in their reserves, and a sell off would hurt them, as well as the U.S., which buys more oil than any other nation in the world.

Chavez used his position as the summit's opening speaker to further his faceoff against the U.S. "We are witnessing constant threats against Iran," Chavez said. "If the United States attempts the madness of invading Iran or attacking Venezuela again, the price of oil is probably going to reach $200, not just $100," Chavez said.

If the United States attempts the madness of invading Iran or attacking Venezuela again, the price of oil is probably going to reach $200, not just $100.

Venezuelan President Hugo Chavez The Venezuelan president has accused Washington of backing a short-lived 2002 coup against him -- a claim U.S. officials strongly deny.

The U.S. is at odds with Iran over its nuclear program, which Washington claims is cover for weapons development and Tehran insists is peaceful.

Chavez's calls to OPEC to increase its efforts to redistribute wealth to the world's poorest countries were equally strident, proposing the group "put itself at the forefront in the design of a new international economic structure."

Prior to the summit, the Venezuelan president had suggested OPEC sell oil to poor countries at much lower prices than those paid by wealthy nations. During Saturday's speech, he also suggested the group set up a bank to fund increased international development.

During his address to a hall full of heads of state, ministers and journalists, King Abdullah sought to redirect the focus back toward one of the summit's key agenda items, which was OPEC's efforts to mitigate the impact of the oil industry on the environment.

He announced that Saudi Arabia would donate US$300 million to a program for environmental research, and urged fellow member countries to do the same.

He also countered Chavez's views of OPEC with a more traditional representation, saying the group has had "two essential objectives" since its creation: "First to defend the interest of its members, and second to protect the international economy from sudden shake-ups in oil prices and supplies."

The run-up to the meeting was dominated by speculation over whether OPEC would raise production following recent oil price increases that have closed in on US$100.

U.S. Energy Secretary Samuel Bodman called on OPEC to increase production earlier this week, but cartel officials have said they will hold off any decision until the group meets next month in Abu Dhabi, United Arab Emirates.

Both Chavez and Abdullah potrayed the current price of oil as fair, saying it was close to the levels in the seventies and eighties when adjusted for inflation.

Also, OPEC officials have cast doubt on the effect any output hike would have on oil prices, saying the recent rise has been driven by the falling dollar and financial speculation by investment funds,rather than any supply shortage.


The Associated Press April 8, 2008          

Energy Department revises oil price projections for 2008 to $101

Crude oil prices in the U.S. are expected to average $101 per barrel this year, the Energy Department's analytical arm said Tuesday, revising upward its price projection on the back of expected global demand growth and low surplus production capacity.

The Energy Information Administration had previously forecast that the average for the benchmark West Texas Intermediate crude would average $94 per barrel. The revision comes as crude prices have spiked over the past couple of months, hitting a trading high of $111.80 a barrel as investors hedged against a weakening dollar.

"The combination of rising world oil consumption and low surplus production capacity is putting upward pressure on oil prices," the EIA said in a monthly report on petroleum supplies and demand. "The flow of investment money into commodities has contributed to crude oil price volatility."

Next year, the agency expects oil to average $92.50 a barrel, up from a previous projection of $86.

While high prices are damping demand in the U.S., petroleum consumption remains strong in China, India, Russia and the Middle East, the EIA said.

The EIA also projected that OPEC oil production will average 32.3 million barrels a day this year, up about 100,000 barrels a day from previous forecasts.

On Tuesday, the WTI May futures contract fell 13 cents to $108.96 a barrel on the New York Mercantile Exchange. But prices fluctuated as investors kept an eye on the dollar and on Iran, which announced plans to expand its uranium enrichment program.

In oil price projections, the agency acknowledged "significant uncertainty" in its oil price projections, noting that unexpected supply disruptions due to conflict in oil-producing nations, unusual weather or refinery outages could send prices spiraling sharply higher.

"Prices can fall as rapidly under a different set of circumstances, such as easing of geopolitical tensions or further weakening of U.S. and world economic growth," the EIA's report said.

The strength in crude was expected to hit U.S. consumers hard on the retail level, undercutting gasoline demand in the peak summer driving season when many Americans take to the road for vacation.

The EIA said retail gasoline prices will peak near $3.60 per gallon in June, and high prices and a weak economy are expected to cut gasoline demand by about 0.4 percent. The government had previously estimated that gas prices would peak near $3.50 a gallon, but many analysts predict prices will rise even higher and approach $4 a gallon.

The EIA said it was also possible that gasoline "prices at some point will cross the $4 per gallon threshold."

Overall consumption of petroleum products will drop by 90,000 barrels a day this year. Previously, the EIA had projected petroleum consumption would rise by 40,000 barrels a day.

On Tuesday, gas prices slipped slightly to a national average of $3.331 a gallon from Monday's record of $3.339, according to AAA and the Oil Price Information Service. Prices are 55 cents higher than a year ago.

Diesel prices, which are already averaging more than $4 a gallon nationwide, will average $3.62 a gallon this year, up 74 cents from 2007, the EIA said. Diesel fuel is used to transport the vast majority of the world's food, consumer and industrial products. High diesel prices are one of the reasons food prices are soaring.