日本ユニペット、ボトル用PET樹脂を増強
日本ユニペットは、ボトル用PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂を増強する。10月に岩国工場(山口県)で年産3万3000トン能力の1系列を新設する一方、効率の悪い老朽化した同1万1000トンの1系列を廃棄する。こうしたスクラップ・アンド・ビルド(S&B)により、四日市工場(三重県)と鯖江工場(福井県)を合わせて国内で同14万トン体制を確立する。PETボトルは清涼飲料向けを中心に大型品、小型品ともに需要が増加している。とくに今年は、お茶ブームなどで市場が成長、樹脂メーカー各社はフル稼働が続いており、同社では来シーズンからの安定供給体制を目指し増強に着手する。
日本ユニペット(株) 三菱化学 44.9% /東洋紡 ボトル用PET樹脂
ペットボトル再商品化事業の合弁会社設立について
東洋紡(社長 柴田稔)と荏原(社長 前田滋)は、このたびペットボトルの再商品化を事業目的とした合弁会社を設立することに合意しました。
新会社は、4月1日より施行される容器包装リサイクル法により、回収された使用済みペットボトルをフレークまたはペレットにし、再生して東洋紡に供給します。
東洋紡はこれを原料にポリエステルファイバー等を製造し、一部はリサイクルポリエステル商品「エコールクラブ」ブランドで販売します。
1.合弁会社設立の目的
1. | 容器包装リサイクル法施行を機会に、使用済みペットボトルのリサイクルに係わることでエコビジネスの拡充を図る。 | |
2. | 異業種企業との連携により、環境リサイクル事業に対するシステム・技術を構築する。 |
東洋紡としては、
1. | 東洋紡グループとしてボトル用レジンの製造・販売からリサイクル商品まで取り組む。
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2. | 「エコールクラブ®」、不織布用途等への安定供給。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
荏原としては、 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1. | 「ゼロエミッション」構想の一環として、ペットボトル再商品化事業への参画。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2. | 産業廃棄物処理プラントメーカーから、リサイクルシステムを含めた総合エンジニアリング会社を目指す。 |
2.合弁会社の概要
会社名 | :東洋紡エコテック | |
代表者 | :社長 藤岡慶三(東洋紡) | |
資本金 | :1億円(東洋紡-80%、荏原-20%) | |
事業目的 | :使用済みペットボトルを原料とした再商品化製品(フレークまたはペレット) の製造・販売 |
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本社所在地 | :大阪市北区堂島浜2丁目2−8(東洋紡本社内) | |
工場所在地 | :山口県岩国市灘町1−1(東洋紡岩国工場内) | |
設備能力 | :ボトル処理量-8,000トン/年 | |
設備投資額 | :約13億円 | |
役員構成 | :東洋紡-4名、荏原-1名 | |
人員数 | :約20名 | |
設立時期 | :'97年4月 | |
本生産開始時期 | :'98年4月(予定) |
3.販売先
全量東洋紡に販売。
東洋紡では、引取量の約30%を三菱商事鰍ニ共同で展開しているリサイクルポリエステル事業「エコールクラブ」製品の原料として使い、他は不織布用途等の原料として使用。
(2001年7月号 日経エコロジー・抜粋)
リサイクルのデパート目指す、「エコ」のトップブランド育成
ワイシャツ20万枚、傘10万本−。これは昨年、エコールクラブ・ブランドで販売した繊維製品の一部だ。そのほか、かばんやスポーツ衣料など、再生繊維品の販売では群を抜くトップブランドに育っている。
三菱商事・アパレルユニットの武田圭一マネージャーが、東洋紡に話を持ちかけたのは94年秋。東洋紡の竹内郁夫・グリーン商品チームリーダーは、 「工場では手間のかかるペット再生樹脂を嫌う空気が強かった。三菱商事の提案がなければ踏み切れなかった」と、当時を振り返る。
三菱商事は東洋紡から再生繊維を仕入れ、アパレル業界などと協力して商品化する。武田マネージャーは、商品企画の際には、必ずその分野のトップ企業と組むことにしている。ワイシャツや傘の場合も三菱商事が持つ中国での現地生産のノウハウを提供して、「バージン原料と比べても見劣りしない商品」を同じ価格で販売できる生産・物流体制を作り上げた。
96年に始まったエコールクラブ事業は99年黒字転換し、2000年に20億円の売り上げ規模に成長した。同社の企業規模では、「担当者1人の小さなビジネスに過ぎないが、全社的に見ても営業利益率が高い」(武田マネージャー)のは、それが他社には真似のできない、独自に作り上げた仕組みだからだろう。
日本経済新聞 1999/7/27 鐘紡発表
カネボウ合繊 販売権移管、事実上の撤退
カネボウ合繊は26日、汎用ボトル用PET樹脂で三井化学、三菱化学とそれぞれ提携することで合意に達したと発表。防府合繊工場(山口県防府市)のボトル用PET樹脂設備は三井化学、北陸合繊工場(福井県鯖江市)の設備は三菱化学からの受託生産に切り替えるというもので、汎用PET樹脂生産・販売から事実上撤退する。カネボウ合繊は、ポリエステル長繊維やナイロン繊維など合成繊維の製造・販売の一方で、汎用ボトル用PET樹脂、特殊PET樹脂、シート、機能性樹脂など高分子事業を展開してきた。このうち汎用ボトル用PET樹脂は小型PETボトルの増大で需要は拡大しているが、海外安値品の流入、価格競争などで採算性が大幅に悪化していた。鐘紡グループ全体では得意分野への「集中と拡大」を基本方針に掲げており、汎用ボトル用PET樹脂については原料からの一貫事業体制でなければ競争出来ないと判断し、今回、三井化学、三菱化学の両社に販売を移管、受託生産事業に転換することを決めたもの。今後は特殊PET樹脂によるポリカーボネート樹脂代替、塩ビ代替シート、電磁波シールドなど機能性分野でナイロン、PBT、PEN樹脂に集中、積極的な需要拡大を進める方針。三井化学は汎用ボトルPET樹脂の国内生産設備をフル稼動しており、事業収益の改善を図るためには能力の拡大による安定生産供給体制の確立と生産合理化が課題となっていた。三菱化学は鐘紡との折半出資会社である越前ポリマーに北陸合繊工場の製造設備を移管し、販売については東洋紡と主要株主となる日本ユニペットに集約する。三菱化学にとって今回の事業再構築は、原料の高純度テレフタル酸(PTA)、エチレングリコール(EG)から樹脂までを含めたポリエステルチェーン強化の一環となる。
汎用ボトル用ペット樹脂分野で三井化学、及び三菱化学と事業提携
カネボウ合繊は高分子事業のなかでボトル用ペット樹脂、フィルム用ペット樹脂、A−ペットシート、その他機能性樹脂の製造・販売を行なっております。
ボトル用ペット樹脂事業のうち、汎用ボトル用ペット樹脂分野において、原料メーカ
ーである三井化学(株)、および三菱化学(株)のそれぞれと事業提携を行うことで合意に達しましたので、お知らせ致します。
カネボウグループでは、得意分野への「集中と拡大」を推進しておりますが、この事業提携もその一環であり、汎用ボトル用ペット樹脂の安定操業体制の構築とともに、経営資源を収益性の高い高機能の樹脂製品分野に集中し、環境対応などの新市場に向け積極的に拡大させ、高分子事業の体質強化を図ってまいります。
両社との事業提携内容、並びに当社の高分子事業の今後の運営方針は下記の通りです。
<カネボウ合繊と三井化学、三菱化学との事業提携内容>
(1) 生産関係 | ||
1) | カネボウ合繊が生産する汎用ボトル用ペット樹脂に関し、カネボウ合繊が引き続き生産し、防府合繊工場の生産品(年間24,000トン)は三井化学に、北陸合繊工場の生産品 (年間27,000トン)は三菱化学に全量を供給する。 | |
2) | 北陸合繊工場で生産する汎用ボトル用ペット樹脂については、将来的に鐘紡と三菱化学との合弁企業である越前ポリマー(株)に設備を移管する計画である。 | |
(2) 販売関係 | ||
1) | 防府合繊工場の生産品については、本年8月1日より三井化学が販売する。 | |
2) | 北陸合繊工場の生産品については、本年10月1日より三菱化学を経由して同社が資本参加する日本ユニペット(株)が販売する。 |
<今後の当社高分子事業について> | ||||
1. | 韓国、台湾、インドネシアなどの設備増強に伴う輸入増加や、原料価格の上昇など不安定な事業環境の中で、当社は原料や販売価格に左右され難い体制を構築し、付加価値の高い商品分野に特化し、高分子事業の体質強化を図る。 | |||
2. | 環境問題や新市場に対応し、当社独自の機能特性を付与した商品の拡販を図る。 | |||
1)特殊ペット樹脂 : | リサイクルなどの環境への配慮からの塩ビやポリカーボネート代替市場への拡販を図る。 | |||
2)A-ペットシート | ダイオキシン問題により塩ビ代替が進む市場のなかで、多層シートなど付加価値の高い商品へのシフトを行う。 | |||
3)機能性樹脂 | 電磁波シールドなどのニューメディア分野やスポーツ分野に対し高機能のナイロン・PBT・PEN製品の売上げ拡大を図る。 |
<参考資料>
1)高分子事業の売上げ構成(1998年度)
分 野 販売量(t) 売上げ 汎用ボトル用ペット樹脂 50,100トン 80億円 特殊ペット、フィルム用樹脂 14,660トン 24億円 A-ペットシート 10,040トン 25億円 その他機能性樹脂 14,050トン 17億円 合計 88,850トン 146億円
2)カネボウ合繊株式会社の概要
■社名 | カネボウ合繊株式会社 | |
■設立 | 1996年10月1日 | |
■資本金 | 6,055百万円 | |
■本社 | 大阪市北区梅田一丁目2-2 | |
■代表者 | 代表取締役 社長 今吉 淳一 | |
■事業の内容 | ・合成繊維事業(ナイロン、ポリエステル、アクリル製品の製造、加工、販売) | |
・高分子事業(合成樹脂ならびに合成樹脂シート、フィルム等の成形品の製造、 加工および販売) |
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■売上高 | 598億円 (1998年度) | |
■社員数 | 1,147名 (1999年3月末) | |
■工場 | ・防府合繊工場
(山口県防府市) ・北陸合繊工場(福井県鯖江市) ・彦根工場(滋賀県彦根市) |