日本経済新聞 2000/11/5

東レ、12年ぶりポリエステルフィルム国内増強
 〜三島工場、100億円投じ新設備〜

 東レは磁気テープなどに使われるポリエステルフィルムの国内生産を12年ぶりに増強する。2002年をめどに、約100億円を投じて 三島工場(静岡県三島市)に年産2千5百トンの最新設備を建設する。 ポリエステルフィルムは市況低迷で東レの業績を圧迫していたが、 ここにきてパソコンや携帯電話など情報技術(IT)向けの需要が伸びている。東レは利益率の高いIT向けポリエステルフィルム製品の生産比率を高め、 同事業の収益工場をねらう。

 三島工場のプラントの能力は現在、年産3万4千トンで、ホームビデオなどの磁気材用やOA機器の熱転写リボンなど工業用が中心だ。 増設するプラントは、コンピュ−タ−の磁気記録媒体向けや携帯電話などの電子部品向けに生産する計画で、従来よりも利益率が 高いと言う。能力増強後は最大で年間約100億円の増収効果を見込んでいる。 同社はポリエステルフィルム事業の国際的な生産体制を再編する「グローバル・リエンジニアリング」構想を進めている。米国拠点を磁気材料向けから包装用や工業用途に切り替え、国内工業は、汎用の磁気・工業用途から特殊用途に品種転換する計画で、今回の増設はこの構想の一環。 国内拠点を増強するのは、1990年に岐阜工場(岐阜県神戸町)を能力増強して以来となる。 ポリエステルフィルムの世界市場は業界推定で年間4千億〜4千5百億円。東レは国内拠点のほか、欧米や韓国の合弁会社、東レセハンなどを通して、 世界で年産約30万トンの生産設備を持つ。生産規模は事業統合した帝人・デュポンと並び世界トップクラスとなっている。 ただ、ここ数年は米国や国内でビデオテープの価格下落などが響き市場は低迷。2000年3月期の東レの連結営業利益が前の期に比べ約3割落ち込む 要因の一つとなっていた。

 


2005年1月18日 東レ

中国・儀化東レポリエステルフィルム有限公司におけるコンデンサ用ポリエステルフィルム生産設備の増設について
http://www.toray.co.jp/news/pla/nr050118.html

 東レ株式会社と中国の化学コングロマリッドである儀化集団公司とのポリエステルフィルム製造・販売の合弁会社「儀化東レポリエステルフィルム有限公司(中国名:儀化東麗聚薄膜有限公司、所在地: 中国江蘇省儀征市、略称:YTP社)」は、このたび、中国におけるコンデンサ用ポリエステルフィルムの需要拡大に対応するべく、専用生産設備の増設を決定しました。増設するのは年産1,500トンの極薄コンデンサ用ポリエステルフィルム生産設備1系列で、主要機器については当社・滋賀事業場より移設します。投資額は1.5億元(約20億円)で、2006年初めの稼動開始を目指します。これによりYTP社のポリエステルフィルムの生産能力は22,500トンになります。

 現在、中国のコンデンサ用ポリエステルフィルム市場は、家電・電子部品メーカーの中国進出に伴う海外コンデンサメーカーの追従と、現地コンデンサメーカーの拡大により急成長しています。今回YTP社で本格展開する極薄コンデンサ用ポリエステルフィルムは中国国内ではまだ供給メーカーはなく、海外メーカーからの輸入に依存しているのが現状です。YTP社は、コンデンサ用ポリエステルフィルムの中国への急速なマーケットシフトに対応するべく、東レから主要機器を移設することで工期の短縮を図り、早期に現地供給体制を確立します。同社は従来の包装用、工業材料用フィルムに加え、コンデンサ用途への本格進出により、2010年までに売上高約8億元(約100億円)への更なる事業拡大を目指します。

 ポリエステルフィルムは、食品包装をはじめ、フレキシブル回路材料などの電気・電子部品、ディスプレー関連の光学部品、コンデンサなどの工業材料用途、並びにコンピュータメモリーテープといった磁気材料用途等に幅広く使用されており、世界需要は年110〜120万トンと推定されています。そのうち年20万トンの市場規模をもつ中国では、包装材料や工業材料を中心に年率10%以上の高成長が見込まれる一方で、コンデンサなどの電子部品関連用途でも高品質なニーズが高まっています。

 東レグループのポリエステルフィルム“ルミラー”は、世界6極(日・米・仏・マレーシア・韓・中)で年産32万トン体制のもと、生産・販売ともに世界ナンバーワンの事業規模を誇ります。当社は2000年に同事業をグローバル規模で再編する「グローバル・リエンジニアリング」戦略を策定し、競合他社に先駆けて高効率かつ高収益な最適生産・販売体制を構築してきました。今回のYTP社における生産増強はその思想を引き継ぐとともに、2002年から取り組んでいる経営改革プログラム“プロジェクトNT21”に基づく事業構造改革の一環にあたります。東レは今回の決定により、中国におけるポリエステルフィルム事業の橋頭堡であるYTP社の競争力強化を図る一方、滋賀は先端材料開発のマザー拠点としての役割を一層明確にし、日本国内ではフラットパネルディスプレイ(FPD)向け光学用厚物フィルムの生産拡充や、ナノ積層フィルム、ポリ乳酸(PLA)フィルムといった次世代商品の開発を推進してまいります。

 東レは、2004年4月から“NT21”をブラッシュアップした中期経営課題「プロジェクトNT-II」をスタートして新たな飛躍を目指していく中で、ポリエステルフィルム事業では高効率かつ高収益な最適生産・販売体制の構築を推進する一方、東レフィルム加工株式会社を中核としたフィルム加工事業の育成拡大を推進し、世界のリーディングカンパニーとして一層の事業拡大を目指してまいります。

<ご参考>
儀化東レポリエステルフィルム有限公司(YTP社)概要
1. 社  名 : 儀化東レポリエステルフィルム有限公司 (YTP)
        (中国名:儀化東麗聚薄膜有限公司)
2. 設  立 : 2001年7月
3. 資 本 金 : 43.6百万US$(361百万元)
4. 出資比率 : 東レ50%、儀化集団公司50%
5. 代 表 者 : 総経理 邱達宏 (儀化集団公司出身)
         副総経理 中村 時夫 (東レ株式会社出身)
6. 所 在 地 : 中国江蘇省儀征市
7. 生産能力 : 21,000トン(2005年1月現在)

儀化集団公司:
 儀化集団公司はコングロマリットで、現在、ポリエステル事業(ポリエステル重合約150万トン、ポリエステル繊維約80万トン)は、その兄弟企業である儀征化繊股公司(株式上場会社)が行なっています。


2005年7月14日 東レ

韓国におけるFPD向け光学用ポリエステルフィルムの生産増強について
グローバル規模で成長分野に積極投資 高付加価値事業への転換加速
http://www.toray.co.jp/news/film/nr050714.html

 東レ(株)はポリエステル(PET)フィルム“ルミラー”事業において、このたび、韓国における光学用PETフィルムの生産増強を決定しました。グループ子会社である東レセハン社(TSI)に、約50億円を投じて年産能力13,200トンの最新鋭製膜設備を増設し、2007年上期の稼働開始を目指します。

 今回の増設は、韓国における液晶パネル(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)市場の急成長に対応するべく、FPDに組み込まれる光学用PETフィルムの現地供給体制を強化するものです。世界のFPD市場で高いシェアを持つ韓国セットメーカー各社では今後も大規模な設備投資を計画しています。一方で韓国の産業界では、部材や素材についても純国産品を調達する“BUY KOREAN”政策が加速しています。当社はこのような市場背景を踏まえ、いち早く現地供給体制を整備するとともに、同国のセットメーカー各社と培ってきた強固な連携を最大限に活かすことで、急成長する韓国国内需要の取り込みを図ります。

 東レグループでは昨年来、PETフィルム事業のグローバル・リエンジニアリングの一環として、総額150億円を投じて日本・韓国・マレーシアの世界3拠点で、厚物高機能フィルムの最適地供給体制の構築を推進しています。日本では既存設備の高性能化改造に着手し、FPD向けの光学透明フィルムや液晶反射板用フィルムの安定供給体制を整備する一方、フィルム加工事業においても情報通信分野を中心に強化を図っており、東レフィルム加工(株)を中核として高機能フィルム加工製品の生産体制を拡充しています。さらに今回、韓国でも光学用厚物PETフィルムの本格生産を開始することで、従来から進めているホームビデオ用薄物フィルムのマシン改造と併せて、製品用途の高度化を図り、高付加価値事業構造への転換を加速します。

 東レはTSI社を、当社グループの情報・通信機材事業における最重要拠点のひとつと位置付けており、同社の新工場では電子部品・FPD等向けフィルム加工品の生産設備増強も進めています。 日本とともに情報通信分野で世界市場をリードする韓国に、IT関連フィルム素材の一大生産拠点を確立することで、グループ先端材料事業の拡大を推進していきます。

 東レのポリエステルフィルム“ルミラー”事業は、日本・米国・フランス・マレーシア・韓国・中国の世界6拠点で年間31万トンの生産能力を保有し、現在約20%(*1)の世界トップシェアを誇ります。当社は引き続きPETフィルム“ルミラー”事業において、中期経営課題 “NT-II”の「攻め」の経営プロジェクトに基づき、「ナンバーOne事業の拡大」と「先端材料の拡大」、および「海外事業の戦略的拡大」を推進し、最適地生産体制の深化とフィルム加工事業の育成・拡大により、ベースフィルムから加工製品までの垂直統合型ビジネスを拡大してまいります。 *1 2004年(当社推定)

(ご参考)
東レセハン株式会社(TSI社)概況:
(1) 事業内容: ポリエステル長繊維、不織布、ポリエステルフィルム、フィルム加工品、 及びPETチップの製造販売
(2) 設 立   : 1999年10月
(3) 資本金  : 3,360億WON(336億円) (東レ89.38%、セハン10.62%)
(4) 代表者  : (会長)中谷 修 (社長)李 泳官 (副社長)玉造 稔
(5) 従業員  : 859人(内東レ出向者8名)(2004年12月現在)
(6) 売上高  : 6,426億WON (2004年実績)


2007/9/13 三菱化学ポリエステルフィルム

ポリエステルフィルムの生産設備増強について

 三菱化学ポリエステルフィルム株式会社(本社:東京都港区、社長:矢野 彰毎)は、当社滋賀事業所(所在地:滋賀県米原市、事業所長:西川 裕)において、2008年10月完成を目標に、フラットパネルディスプレイ(“FPD”)向けポリエステルフィルム(商品名「ダイアホイル」)の生産能力増強と、FPDの大画面化に対応したポリエステルフィルムを生産するためのコーティングライン*1の新設工事を開始いたしました。
 FPD向けの光学用ポリエステルフィルムについては、FPDの出荷台数*2の増加にあわせて需要の大きな伸びが見込まれています。特に液晶、PDPテレビに関しては大型化が進み、ポリエステルフィルムの消費量に関係する画面の面積で比較すると、2004年に比較して2007年には4.2倍、2010年には7倍まで増加すると予想されています。
 このような状況下、お客様の旺盛な需要を満たすべく、
ポリエステルフィルムについては10,000トン/年、コーティングラインについては、4,000トン/年の生産増強を実施いたします。
 当社では、これからもお客様の高度な要求に対応した高機能な製品を開発、製造、販売し、より一層のお客様の信頼を築きながら、世界のポリエステルフィルムリーディングカンパニーとして邁進してまいります。

*1 コーティングライン:光学用ポリエステルフィルムにシリコーンをコーティングさせて大画面に対応できる巾とする。

*2 2004年 約130万台
  2007年 約350万台
  2010年 約500万台 見込み ※三菱化学ポリエステルフィルムの予想数字に基づく

○ ポリエステルフィルム概要
1. 日本の生産能力 (今回の増強後):
     ポリエステルフィルムライン 65,000トン/年
     コーティングライン      15,000トン/年
2. 今回投資金額 : 70億円
3. 生産稼動時期 : 2008年10月予定
4. 生産拠点 : アメリカ(グリアSC)、ドイツ(ヴィスバーデン)、インドネシア(メラク)、日本(滋賀県)

<三菱化学ポリエステルフィルム株式会社の概要>
1. 設 立 : 1975年5月
2. 本 社 : 東京都港区
3. 資本金 : 47.8億円
4. 資本構成: 三菱化学株式会社 100%
5. 社 長 : 矢野 彰毎