化学工業日報 2003/1/16

出光石化、4月に千葉のPS 1系列休止

 出光石油化学は千葉工場のポリスチレン(PS)
1系列(能力8万5000トン)を4月に生産休止することを決めた。同社は旭化成、三菱化学とともに事業統合会社・PSジャパンを4月1日に発足させることで合意している。千葉工場の生産休止は、過剰能力を削減することでコスト競争力を強化するのが狙い。同社はかねてから千葉工場のPS小系列4万5000トンの休止を検討していたが、事業統合を決めたことにより、より大きな削減効果を目指すことにした。3社は海外事業でも事業統合の方向で検討に入っており、早ければ年内にも結論を出したい考え。


2003/2/19 化学工業日報

出光石化、PS休止を先送りへ

 出光石油化学は、3月末に予定していた千葉工場のポリスチレン(PS)プラントの休止を4月以降に先送りする見通しだ。グレードの切り替えに日数を要することが理由。同工場のPS小系列については、特殊グレード用として今後も生産を継続していく方針。


2003/7/15 Chemnet Tokyo 

PSジャパンの設備能力は、6月23日に年産8万5,000tプラントの操業停止によって4工場合計45万5,000tに縮小している。これに伴い、同樹脂業界全体の総設備能力は4社合計で104万4,000tに減っている。ピークは96年の9社合計155万8,600tであったが、わずか6年で67%に縮小したわけ。過去2年間だけでも約10万tの設備廃棄が実施されている。それに今回のPSジャパンの設備処理が加わったわけで、こによって全体の需給バランスは一段と改善されることになりそう。


(化学工業日報 2002/4/3)                   上記の通り修正

出光石化、千葉のポリスチレン1系列を休止

 出光石油化学は、千葉工場のポリスチレン(PS)プラント1系列の操業を休止する。年央までに時期を決定する方針。同社は、千葉工場に年産8万5000トンと同4万5000トンの2系列のPSプラントを有しており、休止するのは4万5000トンプラント。電機メーカーの海外生産移転などでPS国内需要は減少傾向にあり、将来も供給能力過剰は解消されないと判断した。今後は他社との提携も視野に入れた競争力強化を図るとともに、市場拡大が見込まれる中国に対してはマレーシア拠点の活用を重視する。


Chemnet Tokyo 2001/12/6

東洋スチレン、GP、バッチ設備5万3,000トンを廃棄

 東洋スチレンは6日、君津工場の
GPプラント1系列4万8,000トンを廃棄電気化学工業に委託していたバッチ5,000トンの連続法への切り替えと合わせて5万3,000トンの設備削減を行うと発表した。

 同社は1999年4月、電気化学工業、新日鐵化学、ダイセル化学工業3社のスチレン事業を統合して誕生したポリスチレン専業会社で統合時3社計47万6,000トンあった設備を現有の37万6,000トンの削減している。

 しかし、ポリスチレン業界を取り巻く環境はさらに悪化し、2001年度の需要は国内、輸出合わせて約100万トンと前年比13万トン、11%の減少が見込まれ、この傾向はなお続くとみられている。

 このため同社は効率的な生産と徹底したコストダウン図ろうと再度能力を縮小することにした。需要見合いの生産は同社の基本方針だとしている。

<ポリスチレン生産能力 (単位千トン)> 

      現状   削減後  
  GP   222.5   174.5 (△48)
  HI   148.5   148.5   ー
  バッチ     5.0     0.0 (△ 5)
  合計   376.0   323.0 (△53)

    


Chemnet Tokyo 2002/01/22 

東洋スチレン、新日化向け「MS樹脂」生産開始、削減のPS設備転用

 東洋スチレンは昨年末、君津工場(千葉県)にあるポリスチレン設備の一部 を休止したが、このほど「MS樹脂」専用プラントに転用、新日鐵化学から委 託を受けて本格生産に入った。 「MS樹脂」は新日鐵化学が開発したスチレンとMMA(メチルメタアクリレ ート)の共重合樹脂(商品名「エスチレンMS」)で、透明性に優れているた め用途も住宅分野から化粧品容器、サングラスなど幅が広い。特殊加工した高 級グレード品は、一眼レフカメラのプリズムにも使用されるなど、光学分野に も用途をもっている。

 東洋スチレンは電気化学、新日鐵化学、ダイセル化学3社のポリスチレン事 業統合会社で、君津、五井、広畑の3ヶ所の工場にGP年産22万2,500 トン、HI同14万8,500トン、バッチ同5,000トン、合わせて37 万6,000トンのポリスチレン製造設備をもっていたが、ポリスチレンの需 要が減少傾向にあるため昨年末、君津にあるGPプラント4系列のうち1系列 年産4万8,000トンを休止、削減した。  
 同社ではこのプラントを「MS樹脂」専用設備に切り換え、新日鐵化学から の受託生産に入った。


Chemnet Tokyo 2000/10/12                   発表

ダウ・ケミカルと旭化成、中国PSプロジェクトの起工式を開催  2002年初頭の商業運転開始を予定  

 ダウ・ケミカルと旭化成は12日、中国張家港市で同日、両社のPS(ポリスチレン)合弁会社のプロジェクトの起工式を執り行った、と発表した。  
 このPSプロジェクトは、
ダウと旭化成の折半出資による合弁会社斯泰隆石化(張家港)有限公司(スタイロン石化ジャンジャガン)が事業を行い、2002年初頭にPS年産12万トン設備が商業運転開始予定。  
 起工式のスピーチでザ・ダウケミカル・カンパニーのクレイ ダン ポリスチレン事業・副社長は「ダウは中国で20年以上操業を続けてきており、中国はダウにとって慣れ親しんだ市場です。斯泰隆石化(張家港)プラントはこの著しい市場成長に対するダウのコミットメントをさらに示したものです」と述べた。  
 さらにダン氏は斯泰隆石化(張家港)プラントが世界でダウの20番目のPS工場であることに触れ、「このプラントは世界中のどこでも、すぐ近くからユーザーニーズに答える体制を整えるというダウの戦略の大切な一端を担う」と述べた。  
 煤孫浩士旭化成専務取締役はPS事業の成長性に触れ、「中国はPSの最大の市場になると信じている。」と述べた。また「家電機器の中国国内の普及は著しいものがあり、中国はIT機器でも最大の市場になると確信している」と述べた。  
 さらに「旭、ダウ両社はPS技術についての長い蓄積と強さを持っており、この2社は革新的な高品質の製品、技術サービス、その他サービスを通じてユーザーの競争力の増強、事業の成功に貢献ができる」と述べた。  
 ジョセフ ウォン斯泰隆石化(張家港)社長は「このプロジェクトは最先端のスタイロン ポリスチレン製造技術を取り入れた世界規模の設備となる。このプラントは中国の顧客に最大のバリューをもたらし、中国の家電産業、軽工業に重要な貢献ができると確信している」と述べた。


2000年10月12日 旭化成/ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー

中国でのダウ、旭ポリスチレン樹脂プロジェクトの起工式開催

 2000年10月12日張家港 ―ダウ・ケミカルと旭化成の両社は本日、中国張家港市で両社の合弁会社のプロジェクトの起工式を執り行いました。

 このポリスチレン・プロジェクトはダウと旭の 50/50 の合弁会社斯泰隆石化(張家港)有限公司(スタイロン石化ジャンジャガン)が事業を行います。このプラントは製造設備能力12万トン/年で2002年初頭に商業運転開始を予定しています。

 起工式のスピーチでザ・ダウケミカル・カンパニーのクレイ ダン ポリスチレン事業・副社長は「ダウは中国で20年以上操業を続けており、中国はダウにとって慣れ親しんだ市場です。斯泰隆石化(張家港)プラントはこの著しい成長市場に対するダウのコミットメントを更に示したものです。」と述べました。

 ダン氏は斯泰隆石化(張家港)プラントは世界でダウの20番目のポリスチレン工場であることに触れ、「このプラントは世界中のどこでも、すぐ近くからお客様のニーズにお応えする体勢を整えるというダウの戦略の大切な一端を担うもの」と述べました。

 煤孫浩士旭化成専務取締役はポリスチレン事業の成長性に触れ、中国はポリスチレンの最大の市場になると信じていると述べました。また「家電機器の中国国内の普及は著しいものがあり」、「中国はIT機器でも最大の市場になると確信している」と述べました。

 煤孫氏は旭、ダウ両社はポリスチレン技術についての長い蓄積と強さを持っており、この2社は革新的な高品質の製品、技術サービス、その他のサービスを通じてお客様の競争力の増強、事業の成功に貢献ができると述べました。

 ジョセフ ウォン斯泰隆石化(張家港)社長は「このプロジェクトは最先端のスタイロン* ポリスチレン製造技術を取り入れた世界規模の設備となる」と述べ、このプラントは中国の顧客に最大のバリューをもたらし、中国の家電産業、軽工業に重要な貢献ができると確信している旨述べました。

ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー

 ダウは多くの消費者市場に向けた革新的な化学品、プラスチック、農業関連製品とサービスを提供する科学と技術に基づいたグローバル企業です。ダウは世界162カ国をまたぐ顧客ニーズ、そして食品、運輸・交通、健康・医学、パーソナルケア・ハウスケア、建設など、人間の進歩に欠かせない様々な市場ニーズに対応しており、年間売上は190億ドルにのぼります。持続可能な発展を推進し、ダウ39,000人の従業員は経済、環境保護、社会それぞれに対する責任を果たしていきます。

旭化成工業株式会社

 旭化成は日本の大手石油化学企業の1社。売上高約100億ドル。化学、繊維、LSI、住宅、医薬など多くの事業分野をもちます。石油化学製品はポリエチレン、機能樹脂、その他樹脂等の樹脂およびアクリロニトリル、スチレン、その他の重要なモノマー等多岐にわたります。ポリスチレン事業は1998年設立した三菱化学との合弁会社エー・アンド・エム スチレンが運営しています。


(化学経済 2000/7)
  A&Mスチレン  海外事業も統合が確実に

 今後の問題の1つに海外展開がある。旭化成は Dow Chemicalと香港に Styron Asia を設立してアジア地域の日系ユーザーを中心に市場開拓を進めており、デリバリーはDowの香港、タイ、インドネシアの生産拠点(合計設備能力42万5000トン)を活用している。また両社は2002年に中国で12万トンの新設備を建設する。これはHIプラントであり、完成後は北部地域の需要をカバーし、南部は従来通り香港から供給する見通し。
 一方、三菱化学はタイのHMTポリスチレンを傘下に収め、98年に6万トンの新プラントを建設したため9万トン能力となっている。合弁相手のTOAは建材メーカーである。
 いずれにせよ、A&Mスチレンの強味は、Dowとの連携の下に展開できる基盤をもっていることであり、その活用がカギである。現在、海外事業は親会社の管轄となっているが、研究開発やテクニカルサービス機能がA&Mスチレンに移管されたことと、海外のユーザーも日系企業が主体であるため、国内におけるセールスと切り離せず、いずれA&Mスチレンに統合されることが確実である。とくに、中国における生産拠点が完成する2002年が移管の1つの契機とみられ、一方では日系メーカーよりも現地需要主体のHMTポリスチレンをどのように位置づけるかが注目される。
 親会社との関係では、原料のSMやHI用合成ゴムを受給する一方で、OPS用や変性PPE用のPS供給でつながり、工場用地は賃貸となっている。また工場の総務や業務は親会社に委託している。これら原料価格や委託費は一定のルールに基づいて取引される。人事的には社長、副社長以外は親会社からの出向である。
 しかし、親会社にとって最大の目的は配当であるが、A&Mスチレンの前3月期決算は設備移管によるフル操業体制の確立と99年5月からの第1次、10月からの第2次値上げが寄与して黒字に転換したため配当を行っている。PS業界は原料価格の高騰を受けて15円の第3次値上げに入っているが、各社とも設備フル操業の状態にあるため、浸透に自信をみせている。
 このように業界の事業統合で、合理化効果を販売価格の値下げに回す必要がなくなり、利益が安定して確保できれば合理化投資が可能になり、より競争力を強化できることになる。


(日本経済新聞 1999/11/6

ポリスチレン アジアで販売統合へ   三菱化学・旭化成・米ダウ・ケミカル    

 三菱化学と旭化成工業、米ダウ・ケミカルは2002年をメドに、代表的な汎用樹脂であるポリスチレンの販売事業を、日本を除くアジア全域で統合することで基本合意した。三菱化学と旭化成はすでに日本でのポリスチレン事業を統合、国内最大の勢力となっており、世界最大手のダウとの連携で成長市場での主導権確保を目指す。  
 ポリスチレンは主に家電製品や、パソコンをはじめとする情報機器の外枠などに使用する。日本を除くアジアでの年間需要は約300万トンで、世界需要の約4分の1を占める。3社を合計した日本を除くアジアでの供給量は年間70万トン前後となり、シェアは20%を超える見通し。  
 東南アジアの景気回復や、中国の経済成長などで、ポリスチレンのアジアでの需要は2003年には400万トンを超える規模に拡大すると予想されている。  
 統合に向けて、三菱化学と旭化成は日本からの輸出分については、
香港にあるダウと旭化成の合弁会社「スタイロン・アジア・リミテツド(SAL)」に移管した。今後、ダウと旭化成が建設を予定している中国の新工場のほか、三菱化学がタイに持つ工場、ダウの香港、フィリピンなどにある工場での生産分をSALを通じて販売する。SALがアジア地域の販売戦略を立案、遂行していく。  
 3社は各工場で生産品種の統合なども検討しており、生産面での協力を進める構想もある。三菱化学と旭化成は昨年、国内でのポリスチレン販売を統合したのに続き、10月には生産も統合。一方、旭化成とダウは中国でポリスチレンの共同生産を計画するなど、それぞれ親密な関係にあつた。  
 化学各社が戦略市場と位置付けるアジア地域では独BASFや米シェブロン、台湾の奇美実業などがポリスチレンの新工場建設を検討している。日米大手3社の提携により、主導権争いが激しくなると見られる。


1999/9/29 旭化成 

 エー・アンド・エム スチレン株式会社の製販統合について

 エー・アンド・エム スチレン株式会社は、昨年10月にポリスチレンの販売会社としてスタートし、爾来、製販統合に向けて、移管設備の特定や統合・合理化効果の極大化につき検討を重ねてまいりました。その結果、製造・研究開発の統合が不可欠との結論に至り、予定通り10月1日をもってこれらをエー・アンド・エム スチレン株式会社に移管・統合することと致しました。また、これを期に、親会社で対応しておりました輸出業務につきましても、エー・アンド・エム スチレン株式会社に移管することとし、国内・輸出販売の一元化による効率化を実現致します。
 ポリスチレン業界が過剰設備能力を抱えている状況の中で、業界トップメーカーとしてポリスチレン業界の構造改善に先導的役割を果たすべく、両親会社において8月に1系列(三菱化学・四日市)、9月に3系列(旭化成・水島2系列,三菱化学・四日市1系列)計160 千t/年の生産を停止し、400千t/年の生産設備を移管致します。これら製造設備の規模・立地面での最適化を実現する一方、グレード数の大幅な削減、規模に見合った要員・固定費の圧縮を併せて実施し、物流コスト・製造コスト等の低減に最大限の努力を傾注し ております。それらの自助努力と併せ、先般販売価格を適正水準に是正する意味で、値上げを実施させて頂きましたが、SMをはじめとする原料価格が激しく上昇しており、収益的には依然厳しい状況が続くものと予想されます。今後とも事業統合効果の極大化を追求することにより、一層のコストダウンを実現するとともに、品質向上・安定供給体制の確立を図り、事業再生に向け努力をしてまいる所存です。


(1999/2/8 A&Mスチレン・旭化成・三菱化学 発表) 

ポリスチレン製造設備の廃棄について

エー・アンド・エム スチレン株式会社は、昨年10月にポリスチレンの販売会社としてスタートし、爾来本年10月1日に予定しております製販統合時の移管対象設備につきまして、慎重に検討を続けてまいりました。このたびエー・アンド・エム スチレン株式会社および旭化成工業株式会社,三菱化学株式会社の3社間で下記内容にて合意に至りました。

ポリスチレン業界は、内需100万tに対して生産能力150万tという設備過剰状態にあり、この状況が早期に大きく改善することは期待薄であります。そういう状況の中、業界1位の旭化成工業と3位の三菱化学のポリスチレン事業を統合し、コスト競争力の強化を図る目的で、昨年10月に「エー・アンド・エム スチレン株式会社」が発足致しました。エー・アンド・エム スチレン株式会社は現在国内販売のみを行っておりますが、製販統合によるコスト競争力の格段の強化を実現すると同時に、業界トップメーカーとして、ポリスチレン業界の構造改善に先導的役割を果たすには、思い切った設備廃棄が不可欠と判断し、下記の通り実施することと致しました。

               (現状) (平成11/9末までに停止) (A&Mスチレンへ移管)
旭化成工業 千葉工場  207       −                207
旭化成工業 水島工場  164       56                108
三菱化学 四日市工場  188      103                 85
  計             559      159                400千t/年


(1997/10/14 発表)

大日本インキ化学工業(株)と出光石油化学(株)でポリスチレンの事業提携 

 この度、大日本インキ化学工業(以下、DIC)と出光石油化学(以下、出光)とは、GPPSとHIPSの相互生産委託による事業提携を行うことを決定しました。
 DICは、四日市工場内に、DIC技術による年産10万トンの生産能力を持つ大型GPPS設備を平成11年度稼動を目標に建設し、製品を両社で折半するとともに、出光よりHIPSの供給を受けます。新装置立ち上げに併せて、既存の年産3万トンのGPPS設備を自主的に廃棄し、更に、年産3万5千トンのHIPS設備を他の特殊樹脂の生産に転用します。
 一方出光は、徳山工場に有する年産6万トン(内1万トンは休止中)のGPPS設備を、平成10年度上期を目処に自主的に段階休止の後廃棄し、千葉HIPS設備でのGPPSスイング生産を拡大するとともに他社より融通を受け、平成11年以降は、DICの新設設備よりGPPSの供給を受けます。
 DIC及び出光では、各々単独で、PS事業の競争力強化と品質向上を目的に、スクラップ&ビルドによるGPPS装置の建設を検討してきましたが、国際的なコスト競争力の面からは、1系列10万トン以上の生産規模が不可欠であり、独自で新設備を建設することは、大幅な供給過剰にある環境下困難であると判断、今回の合意に至りました。
 DICは、PS事業の収益性向上に向け、製品差別化戦略としてスチレン系特殊樹脂の強化を推し進め、着実にその成果を挙げてきましたが、その結果GPPSの生産能力が大幅に不足してきていました。今回の事業提携により、生産能力不足を解消することができます。
 一方出光は、国内に年産18万トン、マレーシアに同12万トン、台湾に同10万トンの能力を有しトータル40万トンとアジアトップレベルの事業を展開してきました。しかしながら、事業環境が厳しい国内に於いて、GPPSのコスト競争力と商品力の強化が課題でした。今回の事業提携により、品質・コスト面で優位なHIPSに加えGPPSの充実・強化を図ることができます。徳山の設備廃棄及びHIPSの受託により輸出(GP・HIPS)を削減していきますが、統一ブランドによるアジア三極生産体制をフル活用した最適供給を図ります。

 


サンスチレン

1985/10 設立  電気化学、三井東圧、新日鐵化学JV
       電化千葉工場内にHIPS 34千トンプラント建設(三井東圧技術)

1993/10 新日鐵化学撤退 → 電気化学 50%、三井東圧 50%

1997/10 三井東圧が住友化学とPS事業一体化
        三井東圧の持株を電気化学に譲渡 

1998/3  電気化学が吸収合併  


(1997/6/2 三井東圧化学・住友化学工業 発表) 

ポリスチレン事業の共同事業化について

 三井東圧と住友化学は、このほど、本年10月を目途に、両社のポリスチレン(以下PS という)事業を分離、統合し、折半出資で新会社を設立することで合意いたしました。
 PS は、透明性・電気絶縁性に優れ、加工、着色、および発泡が容易で、家庭電化製品、食品包装材料、日用雑貨品、各種発泡製品等に幅広く使用され、日本国内で年間100万トンを超える需要がある汎用の合成樹脂です。
 両社は、その優れた開発力、製造技術を生かしてそれぞれ事業を行ってまいりましたが、近年の急激な円高による主要需要先である家電メーカーの海外生産シフトの進展などによる需給バランスの悪化など、日本でのPS 事業を取り巻く環境は、このところ厳しい状況が続いております。また、世界に目を向けましても、ダウやBASF 等の年間100万トンを超える生産能力を持つ巨大メーカーが存在する一方、中国やASEAN 各国では今後続々と新たな生産設備が誕生していくことが見込まれる等、ますます海外との厳しい競争にさらされていくことは明白となっております。
 両社ともこの様な今後の事業環境を見極め、それぞれ事業戦略を検討してきましたが、両社の技術力、開発力、営業力を結集し、より効率的な事業運営を行うことで、PS事業を継続、発展させることができるものと判断し、今般、両社のPS 事業を製・販・研一体の新会社に統合することと
したものです。
 PS につきましては、今後とも国内需要の大きな伸びは見込めないものの、食品包装材料等では着実な伸長が期待されており、スリムな組織のもと、三井東圧の有する優れた製造技術や住友化学の開発力、生産拠点が東西に位置する利点を生かしながら、国際競争力を有する会社として発展させるべく、事業運営を行っていく考えであります。


(1997/8/7 発表)

 三井東圧と住友化学は、本年10月を目途に、両社のポリスチレン(以下PS という)事業を分離、統合いたしますが、このほど、PS 事業共同化の新会社を下記のとおり設立いたしました。

<新会社の概要>
1 .社 名   日本ポリスチレン株式会社(Japan Polystyrene Inc.)
2 .本 社   東京都中央区日本橋本町三丁目7 番2 号
3 .社 長   阪本 寿一(住友化学)[副社長:伊藤 紀文(三井東圧)]
4 .設 立   平成9 年8 月1 日
5 .営業開始   平成9 年10 月1 日
6 .資本金   20 億円(両社折半出資)
7 .事業目的   PS の開発、製造、販売
8 .従業員数   約100 名
9 .事業所   [営業所]東京、大阪 [工場]大阪府高石市、千葉県袖ヶ浦市
10 .生産能力   現状 242 千トン/年
11 .売上高   初年度 250 億円(年間ベース)

 


1994/5/18 発表

 ポリスチレン事業の営業権等譲渡・譲受け


                                              旭化成工業株式会社
                                              昭和電工株式会社

 旭化成工業株式会社(大阪市北区、弓倉礼一社長)と昭和電工株式会社(東京都港区、村田一社長)とは、今般標記の件に関し以下のとおり合意に達しましたのでお知らせします。これは、現在両社間で実施しているポリスチレンの生産受委託契約をさらに実効あらしめるための検討を重ねてきた結果、合意に至ったものであります。

 現在、旭化成は水島(年産143千トン)・川崎(年産60千トン)・千葉(年産130千トン)に合計年産333千トン、昭和電工は川崎に年産30千トンのポリスチレン製造設備を有している。両社は、この度の石油化学不況に対応して、1992年10月より年15千トン規模のポリスチレンの生産受委託(昭和電工が旭化成に生産委託)を実施するなど、提携関係を深めてきている。本提携関係をさらに実効あらしめるための検討を重ねた結果、今般、昭和電工は同社の石油化学事業のリストラクチャリングの一環として、1994年末を目途に、同社が保有するポリスチレン(ACS樹脂を含む)事業に関わる営業権およびこれに付随する工業所有権等をかねて友好関係にある旭化成に譲渡することとした。今回の合意により、旭化成は、設備稼働率の向上が期待できる。
   
 両社は、営業権等の円滑な譲渡を図り、商社による営業協力を徹底するなど、今回の合意が需要家の皆様にご迷惑をおかけすることのないよう、万全の措置を講じることとする。
   
 両社は、本日以降早急に独占禁止法等必要な法的認可を取得するなどの手続きを進める。
   
 今回の合意を契機に、旭化成と昭和電工の両社はさらに友好関係を深め、樹脂業界の発展に寄与することを念願している。

以上


日本ポリスチレン工業(NPS) と 日本ポリスチレン(JPS) 

 日本ポリスチレン工業(NPS)

1963/5   日本オレフィン化学を設立
      昭和油化(昭和電工子会社)、鋼管化学工業(日本鋼管の子会社)合併
  SM,PSの製造販売
     
1966/11   日本ポリスチレン工業梶iNPS)設立 昭和電工 50%、住友化学 50%
      日本オレフィン化学のSM/PS製造設備譲受
  PS手直し増設、GP・HI合わせて年5万トン
     
1968/10   住化千葉にバジャー法SM 5万トンが完成、NPSのSMプラントを休止
     
1988   昭電(川崎)、住化(千葉)で、それぞれ昭電、住化の責任で増設を決定
      川崎 アトケム法  HI 3万トン           1990完成
  千葉 BASF法   GP 4万トン、HI 3万トン 1991完成
     
1993   旧設備停止
     
1994/5   昭和電工 PS事業撤退(旭化成への営業権譲渡)発表
     
1995   住化 NPSから撤退(NPSは昭電 100%の休眠会社に)
     
2001/2   昭電  3月末で休眠中の日本ポリスチレン工業との合併を発表

 


 日本ポリスチレン(JPS) 

1997/8   設立       住友化学 50% /三井東圧化学 50%

1997/10  営業開始


(2001/2/9 昭電 発表)

  子会社との合併に関するお知らせ

 平成13年2月9日開催の当社取締役会において、当社は平成13年3月29日を期して、下記のとおり当社の全額出資子会社である日本ポリスチレン工業株式会社と合併することを決議いたしましたのでお知らせいたします。
 なお、本合併は「簡易合併」の手続きにより行ないます。

1. 合併の趣旨

 当社は連結中期経営計画「チータ・プロジェクト」に基づき、グループ全体の整理統合を含めた経営効率化を進めておりますが、この一環として、今般日本ポリスチレン工業株式会社を吸収合併することといたしました。
 日本ポリスチレン工業は、ポリスチレン樹脂の製造を行っておりましたが、平成7年に当社がポリスチレン事業から撤退したことに伴い、現在製造を停止しております。日本ポリスチレン工業は当社川崎事業所(千鳥地区)と隣接しており、この合併により、当社川崎事業所における資産管理の一元化及び資産の効率的活用を図り、グループの経営基盤を強化してまいります。

2. 合併の要旨 以下略


1996/09/11出光石油化学発表 

「ザレック」商業プラント完成
 - 日本で発明された新規エンジニアリングプラスチック -
 
 この度、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)〔商品名:「ザレック(XAREC)」〕の世界初の商業プラントが弊社千葉工場内に完成し、試運転を開始します。なお、商業運転の開始は試運転を経た後の1997年初を予定しています。
 
 この「ザレック(XAREC)は1985年、「合成樹脂・繊維の基本発明は欧米産」との過去の常識を覆し、出光興産が
メタロセン触媒の応用により、初めて合成に成功した純国産のエンジニアリングプラスチックです。
 
 SPSの存在の可能性は従来より指摘されていましたが、合成方法は全く知られておらず、出光興産による合成の成功はきわめて高い学術的評価を得ることとなり、素材開発の歴史上でビニロン以来の日本が世界に誇る発明であると言われております。
 
 この歴史的な発明には、世界有数の化学会社・
米国ダウ・ケミカル社も早期から着目し、我が社と共同で工業化に至るまでの開発を行って来ました。
 
  「ザレック」は軽量で耐熱性、耐薬品性などに優れ、電気・電子・自動車分野など、広範な工業分野での活用が期待され、多くの注目を集めています。

1. プラントの概要  
  (1) 所在地   千葉県市原市姉崎海岸1番1号
        出光石油化学(株)千葉工場内
  (2) 生産能力   5,000トン/年(生産量の半分はダウ社へ供給)
       
2. 開発の経緯
     1985年   出光興産(株)中央研究所がシンジオタクチックポリスチレン(SPS)の合成に成功
     1987年   出光石油化学(株)で工業化検討と用途開発を開始
     1988年   米国ダウ・ケミカル社と共同研究を開始
     1995年   第1号商業プラント着工
     1996年   同完成、試運転開始
 
3. 「ザレック」の特長
  (1) 比重は非強化品で1.01,繊維強化品(30%ガラス)でも1.25とエンジニアリングプラスチックとしては極めて軽量
  (2) 融点270℃の耐熱性
  (3) 強酸・強アルカリ、その他耐薬品性
  (4) 極めて優れた電気絶縁性
       
4. 用途分野と有用特性
  (1) 電子部品  (ハンダ耐熱性、高周波絶縁性)
  (2) 自動車部品  (低比重、耐薬品性)
  (3) 家電機器部品  (耐熱性、耐薬品性)
  (4) その他シート、パイプ等  (剛性、成形性)

 


2002/10/31  旭化成、ダウ

旭化成とダウのPS合弁会社の生産開始について

 旭化成とダウ・ケミカルとの折半出資の合弁会社である、斯泰隆(スタイロン)石化(張家港(ジャンジャガン))有限公司では、2002年11月1日より、中国張家港にあるポリスチレン(以下PS)プラントの商業運転を開始することとなりましたのでお知らせします。

 このPSプラントは1998年10月に中国におけるPSの製造・販売を目的に設立された、斯泰隆石化(張家港)有限公司が建設を進めてきたもので、12万トン/年の製造能力を持つものです。
 近年、中国におけるPS市場は年率7〜8%(旭化成推定)と、世界で最も急激に拡大している市場であり、なかでもPSは家電製品、情報機器、包装、玩具用途などの幅広い分野で使用されており、今後も拡大が期待されます。今回のPSプラントの完成により、旭化成とダウ・ケミカルは、中国国内での高品質な製品の供給および技術サービスを通じて、お客様の競争力の向上、事業の成功に一層貢献できることとなります。なお、第二期の増設に関しては、将来の需要動向を見極めながら検討を進めることとしています。

・斯泰隆(スタイロン)石化(張家港(ジャンジャガン))有限公司の概要

(1)会社名 : 斯泰隆(スタイロン)石化(張家港(ジャンジャガン))有限公司
  英文名: SAL Petrochemical(Zhangjiagang) Co.,Ltd.
(2)設立 : 1998年10月
(3)代表者 : 社長 ジョセフ・ウォング(Joseph Wong)
(4)資本金 : 26.8百万US$
(5)出資比率 : 旭化成50%,ダウ・ケミカル50%
(6)工場立地 : 中華人民共和国江蘇省張家港中興

1999/9/16 大日本インキ化学

発泡ポリスチレン事業からの撤退について

 当社は昨年来、選択と集中の観点による事業の見直しと再構築に注力し、諸施策を実施していますが、その一環として、発泡ポリスチレン(
EPS)事業を9月末日をもって積水化成品工業株式会社に営業譲渡し、EPS事業より撤退することを決定しました。
 当社は、スチレン事業の一環として
1982年に年産1万トンのEPSプラントを四日市工場に建設し、生産を開始しました。その後、事業は順調に推移し、1990年には3万トン規模へと増設するまでに至りました。しかし、この数年来、新規メーカーの参入に加え、EPSの主用途である緩衝材が、家電製品の海外への生産シフトにともない激減するなどにより需給バランスは悪化し、さらに販売価格の下落から採算面で厳しい状況が続いていました。
 当社では、この
EPS事業の構造改革を目指して、昨年10月より自社生産を中止し、積水化成品工業に生産委託(OEM)し、販売活動に専念してきました。しかしながら、EPSを取り巻く事業環境は、依然極めて厳しい状況が続いていることから、当社では同事業の収益体質への転換は困難と判断するに至ったものです。
 なお、当社は今後、今夏竣工した大型プラントによる汎用ポリスチレン(
GPPS)およびそのダウンストリームである二軸延伸ポリスチレンシート並びにプラント専用化による当社独自の透明耐衝撃性樹脂(商品名:クリアパクト)等をベースにスチレン事業のコスト競争力強化と特殊化を推進し、その基盤の一層の強化を図ります。


2001/3/5 DIC発表

スチレン系透明耐衝撃性樹脂生産体制の増強について

 当社はこのほど、スチレン系透明耐衝撃性樹脂「クリアパクト」の需要拡大に対応するため、本年
4月をメドにその生産体制を2系列、年産7万トンとし、供給能力を大幅に増強します。
 これは、四日市工場の当社独自技術による
GPPS(汎用ポリスチレン)10万トンプラントが一昨年夏の稼働開始以来、順調に推移する一方、クリアパクト専用プラントも国内外需要の好調からフル稼働状態が続いており、今後も食品包装材料向け・OA機器関連向けのさらなる増加が見込まれることから、スチレン系透明耐衝撃性樹脂のリーディングメーカーとしてユーザーへの供給責任を円滑に果たすため、実施するものです。
 この設備増強は、
四日市にあるGPPS 1系列3万トンプラントを原料供給・予備重合およびペレット化工程の重点的な改造により、クリアパクト専用の4万トンプラントに転用するもので、現在稼働中のクリアパクト専用の1系列3万トンプラントはGPPSとの併産プラントとします。
 当社は
PS事業において特殊化・高付加価値化をその基本としており、汎用銘柄については高効率化によるコストダウンを目指しています。一昨年の出光石化とのアライアンスによる1系列10万トンプラントもまたその一環となるものです。特殊化路線の中核を担う製品であるクリアパクトは、10万トンプラント完成時に既存PSプラント1系列3万トンを専用化していました。今回の7万トン体制への増強により当社はPS事業全体の特殊化比率を今後15%から40%へと大幅に引き上げ、事業基盤の一層の強化の実現を目指します。
 これを機に当社は、能力的制約からこれまで手薄となっていた海外展開や、電材などへの積極的な新規用途開拓により、
PS事業のさらなる拡大を推進していく方針です。


化学工業日報 2002/7/3

旭化成-三菱化学-出光石化、今秋にもPS事業を統合へ      
発表文

 旭化成、三菱化学、出光石油化学の3社は、ポリスチレン(PS)事業を統合することで基本合意した。旭化成と三菱化学の折半出資によるPS事業会社「エー・アンド・エムスチレン」(A&M)と、出光石化のPS事業を統合させるかたちで新会社を設立する。国内のPS業界は、1990年代後半からの需要減少に対応し、設備の統廃合を実施するためこれまで5社4グループ体制に再編されてきた。しかし、電気・工業用分野の空洞化を背景に内需が一段と減少した昨年から、水面下でさらなる再編を模索する動きが広がっていた。その先陣を切るかたちで3社が事業統合に踏み切るもので、日本のPS業界は今後、二大グループに収れんされる方向となってきた。
 新会社の出資比率は
旭化成45%、三菱化学および出光石油化学27.5%が予定されている。原料のスチレンモノマーは出資見合いで親会社が供給する。社名、設立時期などは明らかとなっていないが、今秋にも新会社での営業を開始するものとみられている。
 今回の新会社設立には出光石化と提携関係にある大日本インキ化学工業(DIC)は参加しないとみられているが、トップ企業のA&Mに出光石化のPS事業が加わることで生産能力が年産53万トンとなり、国内総生産能力の45%を占める大勢力となる。しかし新会社は、拡大した能力と生産拠点をべースに、生産グレードの最適化を図りながら余剰設備のさらなる休廃止を進めていく見通しだ。
 PS業界は、かつての最大用途だった電気・工業用分野の需要減少に直面し、90年代の後半から数社の事業を統合させる再編が進められてきた。97年8月に三井化学(当時は三井東圧化学)と住友化学工業が日本ポリスチレンを設立したのに続き、98年10月に旭化成と三菱化学がA&Mを、さらに99年4月に電気化学工業、新日鉄化学、ダイセル化学工業の3社が東洋スチレンを設立した。
 一方、出光石化とDICは、事業統合は行わなかったものの、97年10月に製品の相互受委託を中心とする提携関係を結んだ。これらの再編・提携により各社はPSの余剰設備や老朽設備の休廃止を実施、90年代半ばに年産約150万トンに達していた国内の生産能力は、2001年末時点では117万4千トンヘ減少している。
 こうしたなか、PS業界で「再々編」の動きが広がっているのは、電気工業用分野の需要が一段と減少し、昨年、合計の内需がついに90万トンを下回ったことによる。これに対応し、PSメーカーは余剰設備のさらなる休廃止の必要性に迫られているが、実現するには再再編によって1社当たりの生産能力を一段と拡大することが不可欠。
 A&Mと出光石化の事業統合により、他のPSメーカーも再編の動きを加速することは確実だ。
 さらにPSが二大グループヘの再編に向かった場含、ポリオレフィンや塩化ビニル樹脂など他の汎用樹脂の再編にも弾みがつき、エチレンセンターを頂点とする日本の石油化学工業全体の再編が大きく動き出しそうだ。


2002/7/3 旭化成、三菱化学、出光石油化学

ポリスチレン事業の統合について

 旭化成株式会社(千代田区有楽町一丁目 社長:山本 一元)と三菱化学株式会社(千代田区丸の内ニ丁目 社長:冨澤 龍一)及び出光石油化学株式会社(墨田区横網一丁目 社長:厩橋 輝男)とは、旭と三菱との折半出資会社エー・アンド・エム スチレン株式会社(以下「A&M」)と出光がそれぞれ展開しているポリスチレン事業を再編・統合するため、この度、三社間での合弁会社の発足について基本合意しましたのでお知らせいたします。

 今後、公正取引委員会の事前相談を経て、年内の早い時期を目途に新会社としての事業が開始できるよう、詳細検討を進めていく予定です。

 ポリスチレン事業については、これまでA&M、出光はそれぞれ設備の統廃合、各種の合理化を通じ、需要に見合った供給体制と収益の改善を進めてきました。しかし、現在ポリスチレン事業を取り巻く環境は、国内需要の長期低迷化、需要業界における生産拠点の海外移転、海外競合メーカーとの競争激化等により、年々その厳しさを増しています。このような状況下、将来に亘って事業の維持、発展を図るためには、事業統合によって、設備の更なる統廃合を含む徹底した合理化を推進し、より一層強固な事業基盤を構築し国際競争力を強化することが必要不可欠であるとの認識で、三社が一致したものです。

 なお、新会社の概要等は次の通りです。

<新会社概要>

1.事業内容   ポリスチレンの国内における製造、販売、研究開発
ポリスチレンの海外事業については別途三社で協議します。
2.営業開始時期   平成14年年内見込
3.売上高   約500億円
4.社長   旭化成から派遣
5.従業員   三社からの出向
6.出資比率   旭 45%、 三菱化学 27.5%、 出光石化 27.5%
  会社名、本社所在地、資本金については未定です。


ポリスチレン生産能力

  A&Mスチレン 出光石油化学   計      

水島

108,000

108,000

千葉

207,000

130,000

337,000

四日市

85,000

85,000

400,000

130,000

530,000

※エー・アンド・エム スチレン株式会社:旭化成と三菱化学の折半出資会社
   (水島、千葉工場は旭化成、四日市工場は三菱化学)


日刊工業新聞 2002/7/8

苦悩する化学会社、事業再々編のジレンマ PS

 石油化学製品の業界再編が進んでいない。内需低迷に加え、海外製品と比べたコスト競争力の劣勢は深刻で、石化各社が生き残りをかけるにはまず余剰設備の統廃合が不可欠。そのために体力を身につける合従連衡は避けて通れないことを頭で理解しながら、具体策で二の足を踏むのはなぜか。再々編の第一歩を踏み出そうと動き出したポリスチレン(PS)などを検証する中で、複雑に絡み合った製品群を持ち、ジレンマに頭を痛める化学各社の姿を追った。

 「(苦境にあえぐPS業界に)一つのメッセージを示せたのではないだろうか」。出光石油化学の山本侑会長はそう胸を張った。PS事業で旭化成と三菱化学の二人三脚に、出光石化が加わった新会社を年内にも発足することで合意。一見して“オールジャパン"で再スタートを切るようにみえる。だが現実はそう簡単でもない。3社の背後に見え隠れするのは、PSで世界首位にある米ダウ。旭化成はダウと中国でPS合弁の稼働を02年秋に予定するなど、アジアでパートナーとしての関係を築いており、その「ダウの傘の下」(山本一元旭化成社長)に3社で寄り添おうという構図だ。
 もちろん今回の再々編の直接の引き金は需要の急減にある。一次統合を機に一部設備を廃棄して能力を絞ったPS各社。にもかかわらず大口需要先の家電メーカーなどがアジアに生産を移したこともあって、需要の減少には歯止めがかからず、総需要はついに“危険水域"の100万トン台割れ寸前の水準にまで追い込まれてしまった。
 さらに深刻なのは需要移転が進むアジアに外資系メーカーが押し寄せたこと。足もとの合理化さえおぼつかない日系企業にとって、規模の力学で勝る外資を相手に競り勝つのは至難の業。「現体制に限界を感じた」というのが3社の本音だ。
 そこで注目を浴びたのは、対抗より協調の道を選んでいた旭化成。規模で劣るものの、きめ細かい対応を求める日系家電メーカーに豊富な経験でこたえられる強みで存在感を示せる。「傘下入り」(山本社長)で、たとえ名を捨てようとも実を取れればそれでいい、という考え方だ。
 統合会社の出資比率が従来の50%から「自然体」(冨沢龍一三菱化学社長)の27.5%に変わろうとも、PSの継続を願った三菱化学。依存度の高いアジア向けの輸出実績を失いたくない出光石化。経営の柱であるスチレン系事業でダウと合弁の中国で攻勢をかける一方で、統合会社で国内の守りも固めたい旭化成。各社の思惑が入り交じる中で判断が下った。
 「生き残りをかけ、あらゆる可能性を探りたい」一。国内首位グループが再々編に動いたのを受けて三井化学の木村峰男常務はそうつぶやいた。PS再々編の次の焦点は「日本ポリスチレン」と「東洋スチレン」の行方。双方が歩み寄る形で新グループを形成するとの見方が有力ながらも、日本ポリスチレンの親会社は自らの統合作業に追われる三井化学と住友化学工業だけに、一朝一夕にはいきそうにない。


2003/4/7 Chemnet Tokyo

東洋スチレン、五井工場のPS 4万5,000トン休止

 東洋スチレンは7日、五井工場にあるポリスチレンプラントのうち、HIタイプの一系列、年産4万5,000トン設備を昨年11月に休止したことを明らかにした。世界的な景気後退や、主要ユーザーである家電産業の海外シフトなどから、事業環境はさらに厳しくなると判断した。
 
 同社は1999年、電気化学工業、新日鐵化学、ダイセル化学工業3社のポリスチレン事業を統合して発足。当時は五井、君津、広畑の3工場にGP、HI、バッチ合せて年産37万6,000トンの能力をもっていたが、2001年末、GPプラントの休止やバッチ設備の連続法への切り替えなどによって5万3,000トンを削減し、能力を32万3,000トンとした。今回さらに五井工場のHIプラントを休止し、3工場の合計能力を27万8,000トンに縮小した。