1982/12/29 日本経済新聞           社名のブルーは最終的に変更になった企業)

石油化学、3グループに再編 誘導品で共販会社 合併並み効果めざす

 @三菱化成・三菱油化・旭化成工業・昭和電工・東燃石油化学・出光石油化学・日本ユニカー

 A三井石油化学・三井ポリケミカル・三井東圧工業・日本石油化学・宇部興産

 B住友化学工業・東洋曹達・新大協和石油化学・日産丸善ポリエチレン・チッソ・徳山曹達

 石油化学業界は、再編成の焦点となっているポリエチレンなど主力誘導品の生産・販売のグループ化について関係企業18社を3グループに集約することで基本的に合意した。企業間で話し合いを進めた結果、@三菱系2社を軸にした7社A三井系3社を軸にした5社B住友と日本興業銀行系など6社ーの3グループが成立することになったもの。

@  三菱系2社は同一資本系列。昭和電工は三菱油化と製品融通関係にあり、東燃石化に対して中低圧ポリエチレン工場を売却したいきさつがある。日本ユニカーはその子会社。旭化成は昭電、出光とトップ同士が親密な関係にある。さらに旭化成と三菱化成は岡山県水島地区にエチレンの共同生産会社をもっている。こうした関係から7社連合が出来上がった。
   
A  三井系3社に、三井石油化学とエチレン共同生産会社を持つ日本石油化学が加わる。さらに三井東圧系のエチレン生産会社に出資していて三井グループと関係が深い宇部興産も参加する。三井系はエチレンでも密接な関係があるため、このグループでエチレンの集約化も検討している。
   
B  住友化学と、東洋曹達、新大協和石油化学、日産丸善ポリエチレン、チッソの興銀系4社の連合にポリプロピレンを手がける徳山曹達が参加。

 3つのグループのシェアはポリエチレン2品目では、三菱系が約48%、三井系が約30%、住友・興銀系が22%。ポリプロピレンは三菱系が約38%、三井系が約30%、住友・興銀系が32%。


1982/12/30 日本経済新聞

三菱油化など石化7社 来月中旬にも共販会社届け出

 ポリエチエンなど主要樹脂について生産・販売集約化のためのグループ結成を目指す三菱油化・旭化成工業・昭和電工など石油化学7社は、三菱油化と昭和電工の2社が窓口となり共同販売会社設立について年明け早々に公正取引委員会と折衝を開始することを明らかにした。公取委の内諾を得て来年1月中旬にも共販会社設立を届け出、3月までに第1号共販会社の発足にこぎつけたい意向だ。
 樹脂のグループ化構想はポリエチレン、ポリプロピレンが対象で、関係企業18社が3グループに分かれるというもの。第1段階としてグループごとに汎用品分野向け販売で、グループを構成する企業が共販会社を作る計画。3グループの中で三菱油化、昭電を核としたグループはポリエチレンで48%と最大のシェア(市場占有率)を持つ。同グループを構成する各社は三菱油化、昭電を窓口に公取委との折衝に入ることで合意した。
 残りの三井系5社、住友・興銀系6社もそれぞれ、三井石油化学、住友化学がグループの中心になり、グループ化に向け詰めている。先行する三菱油化などのグループと公取委の調整をみながら、この2つのグループも相次いで公取委との調整に入る予定。3グループともエチレンの不況カルテルの期限切れになる3月末までに共販会社発足を希望している。


1983/1/13 日刊工業新聞

宇部興産、丸善と同調   オレフィン系3樹脂 共販会社で

 同社は高圧ポリエチレンを生産している千葉の丸善石油化学コンビナートの運営を重視、住友化学と興銀系化学会社を核とする第三グループ入りを表明した。

 関係筋は、同社のポリプロピレン設備が三井東圧が筆頭株主の大阪石油化学・堺コンビナートに立地していることから、三井東圧、三井石油化学、三井ポリケミカル、日本石油化学の第二グループは、宇部興産の全面的な第三グループ入りには難色を示すだろうとみている。


1983/2/24 日刊工業新聞

来月、共販会社の設立申請へ ポリオレフィン3樹脂で住化など6社

 (住友化学、東洋曹達、新大協和石油化学、宇部興産、チッソ、日産丸善ポリエチレン)

・・・ 当初この第三グループに参加が予定されていた徳山曹達は、先行した三菱系主導の第一グループ7社の区分割による第四グループ結成に参画予定のため欠席した。

     → 徳山曹達は最終的にこのグループに残留


1983/3/3 日本経済新聞

石化7社共販案の見直しを正式指示 公取委

 公正取引委員会は2日、汎用樹脂の共同販売会社設立を目ざしている三菱化成、三菱油化、昭和電工、旭化成、東燃石油化学、出光石油化学、日本ユニカーの石油化学7社の常務クラスの役員を呼び、佐藤徳太郎経済部長から「7社の共販会社案はシェア(市場占有率)が大きすぎるので、再検討したうえ、再提出願いたい」と正式に伝えた。


1983/3/5 日本経済新聞

石化共販 4グループ案固まる 来週早々に決定 三菱2社で新グループ

  4グループ化案

   三菱化成・三菱油化

   昭和電工・旭化成・東燃石油化学・出光石油化学・日本ユニカー

   三井石油化学・三井ポリケミカル・三井東圧・日本石油化学・宇部興産

   住友化学・東洋曹達・新大協和石油化学・日産丸善ポリエチレン・チッソ・徳山曹達

  (注 この日経記事は誤りで、宇部興産は第四グループ)


1983/3/10 日本経済新聞

石化共販、二分割を正式決定 三菱油化、昭電など7社

 ポリエチレンなど汎用樹脂の共同販売会社構想を進めてきた三菱油化、昭和電工など7社は9日、専務、常務クラスの会合を開き、2つのグループに分割することを正式に確認した。これは対象品目のシェア(市場占有率)が高過ぎるとの公正取引委員会の判断を受けたもので、新たに三菱油化、三菱化成工業2社と、昭電、旭化成工業、東燃石油化学、日本ユニカー、出光石油化学の5社でそれぞれ共販会社設立を目指すことになる。一両日中に通産省などに報告するとともに、公取委との再交渉に入る。
 この結果、汎用樹脂の共販会社は住友・興銀系グループ、三井グループとともに合計4グループでそれぞれ設立準備が進むことになった。

 

◎当時の報道によれば、通産省は4グループ化を主張しており、業界案をバックアップしなかった。


1983/3/19 日本経済新聞

石化共販4グループ案 公取委が難色 シェアなお高い
  住友・興銀系がを問題視

 住友・興銀系のシェアは3品目合計で約33%だが、「品目によってはシェアが高過ぎるものもあるはず」とし、品目別のシェアに重点を置いて検討する考え。
 また、シェアの高い上位3グループの合計シェアが約80%になることにも公取委は難色を示している。


1983/3/24 日本経済新聞

石化共販 シェア調整へ特殊品除外 4グループ案推進 難色示す公取委へ"答案”

・・・ これによって最大のシェア(市場占有率)を握る住友・興銀グループは30%を切り27%台まで低下する。一方、昭電系、三井系を加えた上位3グループの合計シェアも70%を下回り67%に落ち着く。


1983/5/17 日本経済新聞

石化共販会社 4グループの概要固まる 月内にも公取に届け出

 

グループ 社名 社長派遣会社 資本金 社員数 販売シェア
三菱系(2社) ダイヤポリマー 三菱油化 1億円  130  14%
昭和電工系(5社) エースポリマー 昭和電工 2億円   50  22%
住友化学・興銀系(6社) ユニオンポリマー 住友化学 4億円  160  27%
三井系(4社) 三井・日石ポリマー 三井石油化学 9億円  150  18%

   販売シェアは輸入品・特殊品を除いたもので、日経推定
   住友・興銀系は新大協和石油化学が出資しないため6社


1983/5/24 「特定産業構造改善臨時措置法(産構法)」施行


1983/5/28 日本経済新聞

石化共販4社 認可へ 公取委来週にも 住化系のシェア圧縮

・・・ 住友・興銀系のシェアが30%以下になるメドがついたため。・・・・

 ただ、公取委は今後製品市況が回復した場合、石化業界が共販会社設立の前提条件となる生産設備の合理化、業界再編などの構造改善に意欲をなくすことも考えられるとして、各グループから今後構造改善計画を予定通り実施するよう確認を求めている。この確認が5月中にとれれば6月早々にも石化業界が設立を正式に申請する予定。

 


             → 最終結果