(日本経済新聞 1996/10/23)
米に15平方キロ工場用地
信越化学 98年から塩ビ生産
信越化学工業は子会社を通じ、米ルイジアナ州に15平方キロメートル弱の工業用地を取得した。まず7億ドル(約790億円)を投資して年産能万50万トンの塩化ビ二−ル樹脂工場を建設、98年半ばに操業を始める。将来は他の製品も生産する考え。世界シェア首位の塩ビ事業を一段と強化するとともに「21世紀に向けてグループの大生産基地を米国に確保する」(金川千尋社長)狙いがある。
建設予定地はルイジアナ州バトンルージュ市の近郊。ミシシッピ川に面しており、大型外航船が出入りできることなどから取得を決めた。今月末にも敷地整備に着手する。敷地面積は、信越化学の日本国内にある工場用地の合計約2.3平方キロメートルを大幅に上回り、東京都目黒区の面積にほぼ相当する。
建設するのは信越化学の全額出資子会社であるシンテック(テキサス州)。塩ビ樹脂設備のほか、同樹脂の中間原料である塩ビモノマー設備(年産能力50万トン)、基礎原料である塩素生産設備なども設け、一貫生産体制にする。
シンテックはテキサス州にも工場を持ち、塩ビ生産能力は計175万トンに増える。日本なども含めた能力は約250万トンとなり、世界シェアは10%を超える。
道路、鉄道、変電所などの基盤整備も実施し、将来の塩ビ増強や、他の製品の設備建設に備える。
(日本経済新聞 1997/8/28)
米ルイジアナ州の塩ビ工場計画
信越化学 対立 環境団体
環境規則を満たしている : 黒人地域での建設は差別
米ルイジアナ州で塩化ビニール樹脂工場の建設を計画している信越化学工業が、米国での反対運動の高まりに苦慮している。環境保護団体グリーンピースが「ダイオキシンが発生する塩ビ工場を、黒人住民の多い地域に建設するのは人種差別」と攻撃。黒人運動指導者のジェシー・ジャクソン師もこのほど、建設中止を求める書簡を米環境保護局(EPA)に送ったという。信越化は「根拠のない主張」(金川千尋社長)と反論しているが、環境、人種という二つの大きな問題が絡んでいるだけに、EPAが
9月 2日にも下すといわれる判断が注目される。
信越化は昨年10月、全額出資子会社のシンテツク(テキサス州)が、ルイジアナ州コンベントに塩ビ工場を建設すると発表した。年産能力
50万トン、投資額 7億ドルの大型計画で、当初は98年半ばの操業を予定していた。
その後、排気、排水などの環壕対策について、州政府から許可を得る作業を進めていたが、今年3月、グリーンピースが計画中止を求めて会見。今回のジャクソン師のEPAに対する書簡はこれに続く具体的な反対行動で、現地の報道では州が既に出した排気許可を撤回するよう要求していると伝えられている。
金川・信越化社長はこれに対して 27日コメントを出し、「計画は米国のすべての環境規則を満たしており、州も産業発展、雇用拡大の見地から全面的に支持している」と反論。「人種差別との主張は全く根拠がない。EPAが正しい判断を下すことを望む」と述べている。ただ、現時点でも稼働時期は当初より1年前後遅れるのは確実な見通し。
塩ビ世界最大手の信越化はかねて「ダイオキシン問題は塩ビをなくしても解決しない。都市ゴミなどの焼却方法の改善が必要だ」と話しているが、グリーンピースなどの主張とは平行線をたどったままである。」
EPA blocks chemical plant for La.
town
The federal government Wednesday blocked, on technical grounds, a request for a chemical plant to be built
in an impoverished, predominantly black Louisiana town. And it
ordered further investigation of charges that the choice of the
site amounted to environmental racism.
In what lawyers are calling a landmark case, the Environmental
Projection Agency ruled that emissions from a polyvinyl chloride
plant proposed by Shintech, Inc., for Convent, La., would exceed
pollution standards under the Clear Air Act.
The EPA also found evidence that pollution from the plant might hurt
minorities in the area around
Convent, where 81% of the population is black. The state of
Louisiana was ordered to fully consider the concerns of Convent
residents if it decides to resubmit its plan for the factory.
"It is essential the minority and low-income communities not
be disproportionately subjected to environmental hazards,"
EPA Administrator Carol Browner wrote in her decision.
The EPA's action, the first it has taken on the issue of environmental racism, was not a total victory for the plant's
opponents because the request for a permit can be resubmitted in
a few months and the plant still could be built. It would produce
plastic PVC pipe used in such industries as plumbing and
construction.
But before that can happen, the state must first resolve charges
of environmental racism "with the full and meaningful
involvement of the surrounding community," Browner wrote.
She also held out the possibility that if the state doesn't
follow her orders, the federal government will speed up its own investigation under the
Civil Rights Act. Louisiana
now has 90 days to submit a revised draft permit for the plant,
which kicks off a 30-day period for public comment, during which
opponents can mount their arguments.
The issue of jobs vs. pollution had split the community of
Convent, located between New Orleans and Baton Rouge.
Shintech, a Japanese-owned company, had promised to practice
affirmative action in hiring 2,000 workers to build the plant
over a span of 18 months and the 165 workers needed to run it
after completion. Permanent workers could make $45,000 a year,
far above the $5,000 annual average income of black residents in
the area.
But opponents argued that pollution from the plant would have
made Convent unlivable because there are already 10 plants
producing fertilizer and other chemicals in the area.
"People who've been given the short end of the stick have
always been picked for where these industries should be,"
said Monique Harden, a Greenpeace lawyer who co-wrote the
petition asking the government to stop the project. "We see
a real desperation on the part of this company."
Shintech officials say the company picked Convent as a site
purely because of its access to raw materials, deep water, and
railroads.
"We've worked for 16 months putting together what we felt
was the safest and most environmental-friendly plan ever
constructed," said David Wise, a Shintech engineer.
"There is no case of environmental racism in this issue.
We've had extensive outreach programs with the community and we
feel like we've approached this process in the spirit of the
law."
By Paul Hoversten, USA TODAY
(日経産業新聞 1998/6/5)
信越化学社長会見
米塩ビ工場の建設反対問題 「建設急ぐ必要なし」
信越化学工業の金川千尋社長は4日、都内で記者会見し、米ルイジアナ州での塩化ビニール工場建設に環境保護団体グリーンピースが批判していることに関連して「今は塩ビの市況が良くない。建設を急ぐ必要は全くない」と述べ、当初計画の98年半ばの操業開始に固執しない姿勢を強調した。「米国法人の広報責任者が話し合いに応じる。その上で相手の不合理な主張には、訴訟も含めて対応を考える」との見解を表明した。
グリーンピースの主張は「黒人が多数住む地域に環境汚染の懸念のある工場を造るのは人種差別」という内容。この点について、金川社長は「地域住民を対象にした世論調査では6割以上の人が工場建設に賛成してくれている」と反論。さらに「グリーンピースが日本に来て直接合いたいと言ってきたが、米国の弁護士に相談したところ、会う必要は全くないとのことなので会わないことにした」と述べた。
信越化学は当初は、約7億ドルを投じて年産能力50万トンの塩ビの一貫生産工場を建設、98年半ばの操業開始を予定していた。
(朝日新聞 1999/1/26-29)
米、高まる「環境差別」論 工場、なぜ黒人居住地にばかり
世界最大の塩化ビニル(塩ビ)メーカー信越化学工業の米国法人シンテック(本社・ヒューストン、金川千尋社長)がルイジアナ州のミシシッピ川沿いの工業地帯に計画していた最新鋭工場が、地元住民や環境保護団体の反対にあい、立地の変更を余儀なくされている。「近隣の貧しい黒人社会に公害を集中させることになる」というのが住民らの主張。「環境レイシズム(人種差別)」または「環境差別」という考え方で、米国社会で1980年代後半から注目されだした。クリントン政権が94年に人種・階層間の「環境的公正」を求める大統領令を出し、政策化したため、工場の立地や拡大をめぐって産業界にも大きな影響を与えている。
*環境内公正のための大統領令
クリントン大統領による1994年2月11日の大統領令。少数民族や低所得者の共同体に対し、過重な環境負荷や健康被害を与えないような財政上の配慮を行政に求めた。人種差別を禁じた公民権法(64年)に基づいている。
日系企業 抗議受け立地変更
「グォン、グォン、グォン」−卵の腐ったようなにおいとともに家の中にまで伝わってくる低い機械音は、真夜中になってもやむことはない。「毎日毎晩ですよ」とパトリシア・メランコンさん(45)はいう。彼女が生まれ育ったコンベントの町は、巨大な石油化学コンビナート群の海に浮かぶ小島のような住宅地だ。周辺には石油メジャーのシェブロンなど8つの化学工場が集中している。
人口2千6百余のこの町に、シンテックが新工場の建設を提案したのは96年1月ごろ。原料生産から塩ビ樹脂製造にいたるまでの一貫工場だ。1200ヘクタールの敷地に約7億ドルを投資し、98年半ばごろには生産を始める予定だった。
ところが、「技術的には何の問題もなく着工に入るはずだった」(E・シュロイダー副社長)シンテックに、全く予期しなかった反対運動がもちあがる。メランコンさんら住民が「これ以上の化学工場はもうたくさん。黒人など少数派住民が多く住む地域への工場集中は差別だ」と訴えて、建設阻止に立ち上がったのだ。環境の悪化を特定の人種や低所得者層などの少数派に押し付けるという「環境差別」論が足場になった。背景には多民族社会の長い歴史がある。
コンベントは、がんの多発地帯とされる「キャンサー・アレー(がん回廊)」の中心地でもある。しかも、建設予定地一帯の住民は8割が黒人で、4割が貧困水準以下の暮らし。典型的な少数派居住地域だ。メランコンさんも、88年に57歳だった母親を腎臓がんで亡くし、75歳になる父親は皮膚がんと診断されている。6人の子どものうち4人は重度のぜんそくと気管支炎で、2人は原因不明の鼻血に苦しんできたという。住民の健康状態の悪さと化学工場の集中には関係があるとメランコンさんらは信じている。
猛毒物質ダイオキシンが発生するとして塩ビ追放運動を展開する環境保護団体グリーンピースなども、「環境レイシズムの典型」として政府に建設許可の見直しを要請した。クリントン政権の「環境的公正」を求める大統領令に基づき、環境保護局(EPA)は州政府に「環境的公正」への配慮を指示した。
行き詰まったシンテックは昨年9月、計画を変更。コンベントから約50キロ上流の白人住民が多数を占めるプラクミンに新工場建設を提案した。受け入れられれば、コンベントから正式に撤退するという。
プラクミンを含むイバビル郡はコンベントより平均所得も高く、地元の商工会議所などはすでに建設賛成を決めている。黒人の割合もコンベントよりは低い。それでも住民の46%は黒人で、全米平均の12%よりはるかに高い。近くには黒人の最貧困層の共同体も点在しており、こうした地域では反対は根強い。
シンテックは現在、プラクミン各地で地元住民への説明会を開くなど、広報活動に懸命だが、いまだに正式の着工・操業申請は出せないでいる。
環境差別 米社会の底辺から
工場集中でも残る貧しさ
「反対運動の中で学んだことの一つは、地域の指導者といわれる人たちが、結局は信頼できる人たちではなかったということです」
米ルイジアナ州の黒人の町コンベントで、信越化学工業の100%子会社シンテックによる塩化ビニル工場建設計画に反対してきたグロリア・ロバーツさん(73)は、苦い思いで張り返る。
計画を知るや、近くの約百世帯とともに「雇用と環境のためのセント・ジェイムズ市民の会」を組織。反対運動の先頭に立った。1996年8月のことだ。
反対署名はすぐに千人分を超えたが、部長のデイル・ヒメル氏(43)ら郡幹部はすでに「シンテック賛成」を決めていた。ロバーツさんは郡の高齢者委員会の委員でもあり、ヒメル氏らとはしょっちゅう顔を合わせていたが、シンテックの進出計画については一切聞かされなかったという。
地元は企業誘致派と環境保護派に二分され、貧しい黒人同士の間にも、不信と分裂をもたらした。ヒメル氏は「町を貧困から救うにはシンテックのような企業が仕事をつくり、地域経済活性化の起爆剤になってくれることだ」と主張。シンテックも新規雇用の165人を「できるだけ地元から採用したい」(E・シュロイダー副社長)と表明した。
しかし、「市民の会」代表のパトリシア・メランコンさん(45)は「化学工場が地域の発展に役立つというのなら、こんなにも多くの化学工場を抱えた私たちの地域が、なぜいまだに全米で最低水準の貧しさなのか。なぜみんな病気なのか」と指摘。イメルダ・ウェストさん(73)も「オートメーション化された化学工場が高卒の学歴さえない住民を雇うものか。ここが政治力のない、貧しい黒人の町だからこそ狙われたのさ」と断じる。
「とんでもない」とシンテックのディック・メイソン広報担当は反発する。「(コンベントにまだ進出もしていない)わが社が何をしたというのだ。(現状の健康被害に)わが社には何の責任もない」
シンテックは現在、メキシコ湾岸沿いのテキサス州フリーポートに世界一の生産量を誇る塩ビ工場を稼働させているが、74年の操業開始以来、十数倍に成長。これ以上、1カ所で生産を拡大するより、需要の多い米国東部により近い場所に、新たな一貫工場の立地を求めることにした。広大な土地と人口密度の低さ、塩の埋蔵量など重要原料の入手しやすさ、ミシシッピ川の水運などが理由で、30数カ所の候補地の中からコンベントが選ばれた。「人種のことなど考えもしなかった」という。
「もし工場を20持っていて18までが貧しい黒人地域に位置するならレイシズムだという主張もあり得る。しかし、技術的に絞っていった第2工場の候補地が偶然黒人地域だったからといって、そんな主張は成立しない」と説明する。
コンベント地域にはすでに多くの石油化学企業の工場群もあり、「立地に何の問題もなかろう」とふんでいたシンテック幹部にとって、反対運動は予想を超えたものだった。が、その既存の工場群自体が逆に「なぜわれわれの町にばかり来るのだ」という「環境差別」の主張をつくりだし、進出の障害となった。
一つひとつの工場が環境法や環境規制をすべてクリアしていても、「蓄積された環境負荷」こそが問題にされたのだった。
アフリカン・アメリカン(黒人)、ヒスパニック、先住アメリカ人(アメリカ・インディアン)など非白人の共同体が有害廃棄物の処分場や迷惑施設の立地先として集中的な被害を受けているーという「環境レイシズム」あるいは「環境差別」の主張が米国社会の中で頭をもたげている。米日財団(ニューヨーク)の交換研究員として2カ月余、米国各地の現場を調査してきた記者が報告する。
*意図せぬ差別
合衆国憲法の差別禁止条項をもとにしたこれまでの裁判では、「差別側の意図の立証」が被害者側にとって大きな壁となってきた。しかし、94年の大統領令以降、少なくとも米環境保護局(EPA)による行政不服審査では、意図的かどうかにかがわらず、環境被害がマイノリティーや低所得者層に偏ることを立証できればよくなった。こうした変化の背景には、レイシズムが単なる「偏見」や「心の姿勢」ではなく、社会・経済に組み込まれた構造的差別であるという考え方への理解が広がってきたことがある。
工場拡大で村が消えた
「まさか」。昨年9月のある朝、米ルイジアナ州プラクミンの自宅で、リズ・エイバンツさん(48)は地元紙の記事を前に色をなした。塩化ビニルメーカー信越化学の子会社シンテックが、プラクミンに進出するとの報道だった。
50キロ離れたコンベントヘの同工場建設反対運動の応援団の一人だった。「そのシンテックがよりによって、わが町を狙ってくるなんて……」
いくつかの世論調査は、コンベント住民の過半数が「建設賛成になった」ことを示していた。シンテックは強気に見え、簡単にはコンベントをあきらめないだろうと思われていた。コンベントもプラクミンも「がん回廊」と呼ばれる重化学工業地帯にある。この一帯は、公民権運動に基づいた「環境レイシズム」告発運動が発展した地でもあった。
この地域では、サトウキビ栽培のプランテーションで、白人たちはばく大な利益をあげてきた。しかし、1950年代に入り、ミシシッピ川の水運と工業用水に目を付けた石油化学会社が、広大な農園を次々と買い占め始めた。
新しい工場が来るたびに裕福な白人たちは引っ越していった。黒人の多くは、工場の間に残されたサトウキビ農園の労働者として食いつなぐか、化学工場の中の最も汚染度の高い職場で最低賃金で働くか、あるいは失業するか、しかなかった。
そんな中、地域の住民運動は、公害を告発しながら経済発展の公正をめざすという新しい環境保護運動を生みだし、「美しい自然」を守るという白人中産階級中心の運動への大きな批判勢力となっていった。80年代、プラクミンでの産廃用焼却炉建設計画に反対を訴えることから始まったエイバンツさんらの運動も、こうした「がん回廊」の環境的公正運動の流れの中にある。今回も彼女たちはシンテック進出への新たな反対組織「PROTEST」をすぐに立ち上げた。11月2日の第1回抗議集会には百人近くが集まり、気勢を上げた。 シンテック側は「プラクミンはコンベントと違い、白人が多数派だ」という。しかし、新しい建設予定地の近くには、黒人の貧困層が9割以上を占める小さな共同体がいくつかある。
そうした黒人街の一つに住むローラ・ベクネルさん(49)は、ダウ・ケミカル社の工場敷地に接するモリソンビルで生まれ育った。1870年代に解放奴隷によって開かれた小さな村だが、もはや存在しない。
1950年代にここに進出したダウは、時代とともに工場を拡張。自ら汚染した周辺の土地を次々と買収し、百世帯以上の住民は移住を余儀なくされて、村はゴーストタウン化した。
「ダウが来るまでは、私たちは川で泳ぎ、釣りをし、その魚を食べてきた」とベクネルさん。5年前に母親を肺がんで亡くし、重いぜんそくと呼吸器障害に苦しんでいた夫は昨年2月に死んだ。「工場というのはいったんできてしまうと、どんどん大きくなっていくもの」と化学会社への不信感をあらわにする。
シンテックの新工場が第二の候補地プラクミンで日の目を見るのかどうかは、予断を許さない。しかし、地域社会とその歴史的背景への理解なしに、企業の経済活動もままならない時代に入っていることだけは確かなようだ。
*がん回廊(キャンサー・アレー)
米ルイジアナ州バトンルージュからニューオーリンズにかけてのミシシッピ川下流域約140キロの地帯には130以上の石油化学工場や製油所などが密集。住民の間でぜんそくや気管支炎などの呼吸器系疾患、がんの発生が報告されてきた。ワシントンDCのハワード大学などの調査によると、黒人居住率は約37%で全米平均12%の3倍以上。失業率も貧困率も平均を大きく上回る。
ふん尿に続き核廃棄物
米ルイジアナ州の黒人の町コンベントが、新しい塩化ビニル工場の立地問題で揺れていたとき、隣のテキサス州でも「環境レイシズム」をめぐる大きな論争が巻き起こっていた。
メキシコ国境の町、エルパソからリオグランデ川沿いに東へ約120キロ。砂漠の中を車で2時間ほど走るとシェラブランカという小さな村がある。人口わずか800、住民の7割近くがヒスパニックで、4割が貧困層、スペイン語しか話さない人も多い。村に入るとどこからもアンモニアのにおいが漂ってくる。この村の北部一帯約3万7千ヘクタールが、6年以上にわたり、ふん尿処分場としてニューヨーク市の下水汚泥を受け入れているのだ。
ニューヨーク市民のふん尿は、船と貨車で3千キロ近い旅を続け、1日
250トンから400トンの割合で週3回ここに運び込まれてくる。それなのに、この村には自らの下水道施設さえまだ完備されていない。
そんな村がテキサス、メーン、バーモントの3州間協定によって、今度は3州の原発から出る低レベル放射性廃棄物などの処分場として提案されたのだ。1996年に操業許可の草案が発表され、地元を中心とした反対運動は、国境を挟んでメキシコ国会まで巻き込んだ。
処分場の州内の候補地については、テキサス廃棄物公社が検討、85年3月、シェラブランカ一帯を「地質学上不安定な地域(地震が起きやすいなど)」として候補から除外する報告書を作成していた。しかし、91年2月になって、州議会が再び有力候補地として選定したことから「環境レイシズムに基づいた政治的選定」との批判が出るようになった。
また、同公社が84年に委託した世論調査の分析は、候補地として「学歴の低い、低所傷者層のヒスパニック社会」に着目。「彼らの間では放射性廃棄物に関して知識が増えるに従い、反対派が増えるという強い相関関係が発見された。公社はこのことを十分認識すべきである」との記述があることも分かった。
そんな中で昨年10月22日、処理場の建設許可を審議するテキサス自然資源保全委員会の公聴会が開かれ、「安全性の立証と地域社会への社会・経済的影響の分析が不十分」として「不許可」の決定が出された。
「社会・経済的影響」というくだりが、「シェラブランカという貧しいマイノリティー社会への影響」を「環境的公正」の視占から分析する必要性を指摘している。委員会の3人の委員は、共和党のブッシュJr.州知事の指名で、保守的な弁護士や大企業の出身者ら。反対派にとっても「予想外の勝利」と受け止められ、産業界には大きな衝撃が走った。
ブッシュ氏は次期大統領選への出馬も取りざたされる上、今回の決定が州知事選の直前だったこともあり、「ヒスパニックの票が欲しかった氏の意向をくんだ政治的決定だ」とも批判された。
「政治的決定? それは分かっている。だけど、そもそもシェラブランカが選ばれたこと自体、政治的だった。それを地域住民の反対運動でくつがえした。これが民主主義さ」。村で唯一の食料品店を経営する反対派のリーダー、ビル・アーディントン氏(44)は、メキシコからの支援者らとともに決定を喜んだ。
クリントン政権の環境的公正政策や相次ぐこうした決定に対し、産業界などから「自由競争や経済発展を阻害するものだ」との批判は多く、政策の撤回を求める意見も根強い。
しかし、環境保護局(EPA)の「環境的公正のための諮問評議会」には、すでに米最大の廃棄物処理会社ウエイスト・マネジメントやデュポンなど大企業からの評議員も参加し、環境保護団体の代表とともにEPAへの政策提言を練っている。
その内容は、移民労働者の農薬被ばくから有害廃棄物の途上国輸出まで多岐にわたる。経済活動も環境保護運動も地球規模化したいま、日本の産業界も無視できない動きになりつつある。
*環境レイシズム
米国の連合キリスト教会人種的公正委員会は87年、研究報告「有害廃棄物と人種」を発表。全米の地域社会の人種構成と処理施設などの分布を郵便番号ごとに分析し、@黒人とヒスパニックの5人に3人は有害廃棄物投棄場所を抱える共同体に住んでいるAインディアンやアジア・太平洋諸島出身者の約半数は有害廃棄物を抱える共同体に住んでいるB2カ所以上の有害廃棄物施設を抱える共同体の有色人種人口はそうした施設をもたない共同体の3倍以上などの点を明らかにした。これをきっかけに、迷惑施設の立地や公害被害においては白人貧困層よりも黒人中流層の方が犠牲になりやすいといった事例が相次いで報告され、「人種が単独の最も強い指標である」(ゴア副大統領/93年)ということを連邦政府自身も認め出した。貧困層への差別も含め「環境差別」と総称し、是正のための「環境的公正政策」はクリントン政権の環境政策の柱の一つになっている。
信越化学 米に塩ビ新工場
3−5年以内完成 環境問題で立地変更
信越化学工業は、米ルイジアナ州イバビル郡に塩化ビニール樹脂の新工場を建設することを決めた。当初は同州内での別の立地を予定していたが、環境保護団体による建設反対運動に巻き込まれたため、提携関係にある米ダウ・ケミカルの塩ビ工場の隣接地に変更する。米国では建材向けを中心に塩ビの需要が年率5%程度伸びており、立地を変えることで早期着工を目指すのが得策と判断した。
計画では、年産59万トンの塩ビ工場を今後3−5年以内に完成する。投資額は約2億5千万ドル(約330億円)。信越化学は日、米、ポルトガルに塩ビの生産拠点があり、今回の工場新設で生産能力は同270万トン(このうち日本は同55万トン)に拡大、世界最大の塩ビメーカーとしての地位を固める。
同社は当初、ルイジアナ州セントジェームス郡に塩の電気分解から樹脂に至る塩ビの一貫生産工場を建設する計画で、昨年5月に州政府の認可を得た。しかし、その後、米環境保護局(EPA)から計画の一部見直しを求められていた。
(日本経済新聞 1998/9/18)
信越化学の米工場建設 収益向上のシナリオ崩れる
一貫生産棚上げ “ダウ離れ”果たせず
信越化学工業が米ルイジアナ州で進めていた塩化ビニールの工場建設が、当初計画を大きく軌道修正してようやく動き出す。塩の電気分解からの一貫生産を棚上げし、米化学大手ダウ・ケミカルから原料を購入する新計画は、投資と環境の2つのリスクを踏まえての現実策。だが、原料からの自社生産で“ダウ離れ”を果たし利益率を向上させようとのシナリオは、もろくも崩れてしまった。
米国で樹脂だけを生産してきた信越化学は、7億ドル(約940億円)の巨費を投じて、悲願だった一貫生産に乗り出すはずだった。しかし昨年5月、ルイジアナ州政府から着工許可を得たものの、米環境保護局(EPA)から環境対策にクレームが付く。環境保護団体グリーンピースも、地域住民を動かし建設反対運動を繰り広げた。
信越化学は事態の成り行きを見守っていたが、当初の予定地での建設をあきらめ、同じルイジアナ州にあるダウの工場の隣按地で塩ビ樹脂工場(年産59万トン)を新設する。
ダウから原料供給を愛ける計画に変更したことで投資額は2億5千万ドル(330億円)に圧縮。リスクは小さくなったが収益もあまり期待できない「ローリスク・ローリターン」事業に衣替えした。
信越化学は米テキサス州の塩ビ工場でもダウから原料供給を受けており、ダウへの依存は当面続く。ただ、「一連の工程のどこで利益を確保するか、原料メーカーと樹脂メーカーは互いに疑心暗鬼になっている」(塩ビメーカー首脳)状況は変わっていない。同社の金川千尋社長は、一貫生産のチャンスを引き統き模索する考えで、信越化学が米困で再び投資に動く可能性も残されている。
(化学工業日報 1999/4/9)
塩ビ第2工場 年内にも着工 米シンテック ルイジアナ州に許可申請
信越化学工業の米国子会社であるシンテック(本社・テキサス州)は、年内をめどに塩化ビニル樹脂の第2工場の建設に着手する。ルイジアナ州当局に建設許可申請を出したもので、認可が得られ次第着工する方針。同社が打ち出している計画は、約2億5千万ドルを投資して年産能力59万トンの工場を2001年から2003年にかけて建設するという内容。これによってシンテックの生産能力は合計200万トンを超える。
シンテックの第2工場については当初、ルイジアナ州セント・ジェームス郡に電解設備からの一貫体制を構築する計画だった。しかし、環境保護団体グリーンピースの反対運動もあって具体化にはいたらず、立地を変更して建設する修正計画を昨年9月に明らかにした。
新立地はルイジアナ州イバビル郡プラックマン。ここにはダウ・ケミカルの工場があり、原料供給を受けるかたちとなる。シンテックは3月末にルイジアナ州の環境管理部(LEDQ)に建設許可を申請しており、許可が得られた段階で整地作業に入る。手続きが順調に進めば、年内にも可能とみている。シンテックでは公聴会のほかに、独自に説明会を開催して地元住民の理解を得る取り組みを行っている。
シンテックのフリーポー卜工場はさきに塩ビ樹脂の生産能力を16%上げ、年145万トン体制としており、第2工場計画が実現すれば合計年204万トンに拡大する。信越化学はこのほかに、シェルケミカルとの間で欧州の塩ビ事業を買収することで交渉中。塩ビ樹脂年60万トン、塩ビモノマー同80万トンを取得する内容だが、精密な資料調査を行っている段階で、契約締結に達するにほもう少し時間がかかりそうだとしている。
OFFICIIALS REJOICE! Shintech
picks Iberville for $1 billion investment
http://www.postsouth.com/articles/2005/01/28/news/news01.txt
The Iberville Parish economy will
get perhaps the biggest boost ever from the construction of a $1
billion chemical plant planned by Shintech at the old Ashland Chemical plant
site south of Plaquemine.
Gov. Kathleen Babineaux Blanco
joined other state and local officials at Shintech's PVC facility
Tuesday afternoon as Plant Manager David Wise announced the
company's choice of the Iberville site over two other sites
considered for the development.
"This is a significant
investment that will mean a lot to families in Louisiana,"
Blanco told the crowd. "This plant has strengthened the
economy of West Baton Rouge and Iberville parishes."
"This is a message to the
state, nation and to the world that we wanted this
investment," said Parish President J. Mitchell Ourso Jr.,
one of many officials who campaigned for Shintech's location
here.
Ourso compared the company's choice
to locate here to winning the lottery.
Iberville Parish's governing bodies
got the benefits of a record year of sales tax collections -
nearly $33 million -- in 2002 when Dow Chemical made $50 million
at its site here. The taxes on the $1 billion construction
project will easily dash that record.
"I know it's going to make my
job a lot easier in the next couple of years," Ourso said.
The availability of
port facilities was the
deciding factor in Shintech's choice of the 1,725-acre Ashland
site over expanding at the company's six-year-old Addis facility
and at Freeport, Texas, site, Wise said.
The competition between Iberville
and West Baton Rouge parishes for the huge investment ended
peacefully. Officials of both parishes told Shintech just not to
take the project to Texas.
"People in Iberville Parish
need to stand up and applaud that a company wants to invest $1
billion in the parish," said Iberville Chamber of Commerce
Executive Director Hank Grace, describing it as a
"tremendous boost."
"It's good for the region and
good for the state," siad Lary Durbin of the Wet Baton Rouge
Chamber. "We worked together to get it here."
The plant will mean
2,000 construction jobs and 150 permanent jobs at salaries in the
$60,000-a-year range, plus other benefits that will echo through
the local economy, officials
said, touting Shintech as a company which hires locally and buys
locally.
At the proposed facility, Shintech
plans to produce 1.1 billion pounds of chlorine, 1.1 billion
pounds of caustic soda and 1.65 billion pounds of vinyl chloride
monomer (VCM) as the raw material for its polyvinyl chloride
(PVC) production. Historically, Shintech has manufactured only
PVC, and the new plant will be its first "integrated
complex."
Shintech currently produces 1.1
billion pounds of PVC year at its Addis facility. The additional
raw material supply will allow the company to expand its annual
PVC capacity in Louisiana by 1.3 billion pounds "to meet
growing customer demand and build on its leading market
position," according to information from the company.
Wise told the POST/SOUTH the company
would continue with its long-term contracts with Dow Chemical for
raw material, shipped by pipeline from the Dow plant across La.
1.
In the future, Shintech could run a
pipeline from the Ashland site to the Addis facility, and plans a
new PVC plant as part of its Iberville facility.
Shintech still has environmental
hurdles to pass before it can begin construction - buying enough
pollution credits from other companies in the area to keep from
worsening the already severe ozone problem and getting its
environmental permits to operate the new plant.
Both Blanco and Ourso said they
expected Shintech to meet stringent environmental standards.
Blanco said the state intends to
"protect human health and the environment. I hope that
Shintech, as a world-class company, will exceed our rigorous
standards."
"Environmental protection is
the number one priority for all of us in Iberville," the
parish president said.
Local environmentalists objected to
the Shintech's location here at a series of community meetings
the company held before announcing its decision.
Les Ann Kirkland, co-leader of
AWARE, said they planned a more serious effort as Shintech goes
through the public hearings required for its environmental
permits from the state Department of Environmental Quality.
"We're already the nation's
sacrifice zone for vinyl chloride production," Kirkland
said, noting that plants in this area have permits for fully a
quarter of the nation's production.
The U. S. Environmental Protection
Agency (EPA) lists vinyl chloride as a known carcinogen.
"I don't think any amount of
jobs is going to make up for the risk we incur by having
[Shintech] here," Kirkland said in a telephone interview.
Chemical poisons threaten
agriculture, fishing and other traditional enterprises that are
sustainable, the environmental activist said.
Shintech intends to begin the
regulatory permitting process in February 2005, break ground this
summer and start its operations here in late 2006, Wise said.
The company plans to announce a
training program very soon, the plant manager said.
Iberville School Superintendent
Martin Bera said that, beyond the taxes the school system can
expect from t he $1 billion in construction, h e was excited to
work with Shintech on providing additional educational
opportunities here.
He said he was working with Wise to
provide local schools to train future Shintech employees.
He said he was also was working with
the Baton Rouge Community College for a westbank campus.
"The more businesses like
Shintech that are building and developing here in Iberville
Parish, it gives us more of an opportunity to pursue that,"
the superintendent said.
PVC maker Shintech agrees
$12 million settlement with EPA in TX
Shintech, and its subsidiary K-Bin, has agreed a $12 million
settlement with the US Justice Department and Environmental
Protection Agency to to comply with the Clean Air Act and the
Resource Conservation and Recovery Act (RCRA:資源保全回復法).
The companies will spend $4.8 million to reduce
chlorofluorocarbon フロン emissions and improve hazardous
waste management at their facilities at Freeport, Texas. The
companies have also agreed to pay a $2.585 million civil penalty
to resolve violations of the Clean Air Act, RCRA, and the Clean
Water Act, and to perform $4.7 million worth of supplemental
environmental projects.
As part of the settlement, Shintech and K-Bin have agreed to
reduce emissions of ozone-depleting refrigerants by replacing six
refrigeration units. In addition, the two companies have agreed
to third-party audits of their handling of ozone-depleting
refrigerants, increased training, and other steps to ensure
compliance with EPA regulations under the Clean Air Act.
Under RCRA, the federal hazardous waste law, Shintech will close
a lagoon and a drying bed that were not designed to handle
hazardous waste, implement a series of audits and reviews of its
hazardous-waste handling practices, and add a treatment tank to
its waste-water treatment system.
Shintech will also add at least 300 acres of forest and wetlands
to Austin's Woods preserve (also called the Colombia Bottomlands
area) managed by the US Fish and Wildlife Service. Shintech will
create a recycling program in the city of Houston that will pick
up and recycle, at no cost to residents, residential appliances
containing ozone-depleting frigerants.
Finally, Shintech will retrofit part of its manufacturing process
to reduce emissions of polyvinyl chloride by 10,000 lbs/year.
The Clean Air Act regulates emission of ozone-depleting chemicals
such as chlorofluorocarbons, hydrochlorofluorocarbons, and other
chemicals that leak from refrigeration units.
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December 2, 2008 Houston Business Journal
Shintech, K-Bin settle with feds
Shintech Inc. and its subsidiary, K-Bin Inc., have agreed to pay about $12 million as part of a settlement with the U.S. Justice Department and Environmental Protection Agency to comply with federal regulations at their manufacturing facilities in Freeport.
The Houston-based companies produce polyvinyl chloride (PVC).
The Justice Department and EPA, in the U.S. District Court for the Southern District of Texas, Houston Division, alleged that both companies violated the Resource Conservation and Recovery Act by placing laboratory waste into two structures with earthen bottoms, and failed to comply with provisions of the Clean Air Act that require the prompt detection and repair of refrigeration units that leak ozone-depleting chemicals.
As part of the settlement, the two companies will spend $4.8 million to upgrade their manufacturing facilities; pay $2.6 million in civil penalties to resolve environmental violations; and perform $4.7 million worth of supplemental environmental projects.
Among other agreed measures, Shintech will create a free recycling program in the city of Houston that will pick up and recycle residential appliances containing ozone-depleting refrigerants.
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December 2, 2008 The Facts
Shintech settles with agencies over violation
Shintech Inc. and one of
its subsidiaries have agreed to a settlement of more than $12
million for federal air violations at its Freeport site.
Shintech and subsidiary K-Bin Inc. will spend $4.8 million to
comply with the Clean Air Act and Resource Conservation and
Recovery Act, agree to reduce chlorofluorocarbon emissions and
improve hazardous waste management, according to a joint
announcement by the U.S. Department of Justice and the
Environmental Protection Agency.
The companies also will pay a $2.58 million civil penalty to
resolve environmental violations under the Clean Air Act, RCRA,
and the Clean Water Act, and to perform $4.7 million worth of
supplemental environmental projects.
“This
enforcement action will produce real environmental benefits:
Lower emissions of ozone-depleting chemicals, lower emissions of
vinyl chloride, and much better procedures for the handling of
hazardous waste,” said Ronald J. Tenpas, Assistant
Attorney General for the Justice Department’s Environment and Natural
Resources Division. “We are pleased that Shintech was
willing to cooperate with us and address these environmental
issues.”
EPA and justice
department officials declined to comment about the violations.
Shintech officials said in a statement the violations were found
during an August 2004 inspection, and they implemented further
monitoring devices and revamped operation procedures.
“We
have been working with EPA for many months to resolve these
issues without litigation,” Freeport site Manager Jim Hodges
said in a statement. “In addition to what we’ve already done, we will implement
upgrades and perform the additional monitoring, reporting and
compliance activities and the supplemental environmental projects
identified in the federal consent decree.
“We
regret these alleged violations and fully recognize the need for
vigilant compliance with environmental regulations,”
Hodges said.
According to court documents, Shintech and K-Bin agreed to reduce
emissions of ozone-depleting refrigerants by replacing six
refrigeration units with ones that use refrigerants which do not
harm the atmosphere’s protective stratospheric ozone
layer.
In addition, the two companies have agreed to third-party audits
of their handling of ozone-depleting refrigerants, increased
training, and other steps to ensure compliance with EPA
regulations under the Clean Air Act, according to court
documents.
“It
is imperative that business and industry do their part to
minimize the possible harm their operations may cause to our
environment,” EPA Regional Administrator Richard
E. Greene said. “This agreement will ensure
corrective action is taken and provide added benefits to the
environment through supplemental projects.”
Shintech agreed to
perform three environmental projects as part of the settlement,
according to the statement.
It will add at least 300 acres of forest and wetlands to the
Austin’s Woods preserve, which is managed
by the U.S. Fish and Wildlife Service. The company also will
create a recycling program in Houston that will pick up and
recycle, at no cost to residents, residential appliances
containing ozone-depleting refrigerants. Finally, Shintech will
retrofit part of its manufacturing process to reduce emissions of
polyvinyl chloride by 10,000 pounds per year.
Shintech spokesman Richard Mason said the company’s Freeport site produces 3.2
billion pounds of polyvinyl chloride resin annually. It is used
in building materials such as piping, siding, flooring and
medical supplies.
“We
are committed to meet all of our regulatory responsibilities and
make sure something like this does not happen again at any of our
facilities,” Hodges said in a statement.