Chemnet Tokyo 2002/8/7

信越ポリ「塩ビサイディング」に進出 三菱樹脂にOEM生産委託

 信越ポリマーは塩ビ樹脂の新規市場として注目されている、住宅やビルの外装材「サイディング材」事業に進出するため、このほど先発メーカーである三菱樹脂にOEM生産(相手先ブランドによる生産)を委託した。今後本格的に市場開拓に乗り出す方針だ。
 
 塩ビサイディング材は、耐久性や外観、熱遮断性にすぐれ、軽量で施工しやすい、などの特徴をもっている。このため、欧米ではサッシ(窓ワク)とともに早くから住宅建材として使われ、最近では塩ビ樹脂需要の15%をこれらの分野が占めている。
 
 これに対して日本は、外壁に木材やモルタル、タイル、コンクリートパネルを使ったものが多く、プラスチック・サイディング材は出遅れている。しかし素材としては、錆や塩害、腐食の心配がないうえ、気密性に優れているため、冷暖房などの省エネ効果が高いなど、既存製品にくらべても優位性が高く、伸びる余地は十分にあると見ている。
 
 塩ビサイディング材の国内メーカーは現在、三菱樹脂1社だけで、長浜工場で「サイダックス」の商品名で製造、販売中。ほかにゼオン化成がカナダがら「ゼオンサイディング」の商標で輸入販売している。信越ポリマーは「ポリマパネル」として市場参入した。


化学工業日報 1998/1/28

三菱樹脂 複合サイディング材十石膏ボード  年央にも総合評定取得  
  建築基準法の防火性能規定 住宅使用 本格化へ  

 三菱樹脂は、塩ビ・ウレタン発泡複合材のサイディング材(商品名・サイダックス)を本格晋及させるため、石膏ボードと組み合わせ、建築基準法の規定(同法22条)をクリアする手続きに入った。すでに昨年末、建材試験センタ一(通産省所管)により必要となる防火性能があるとの評価を得ており、これを受けて引き続き建設大臣認定を取得するための建築センター(建設省所管)での試験に入った。今年央にも総合的な評定を得る予定。これにより同サイディング材は新築を含めた一般住宅での使用が可能になるもので、遅れていた国市場での浸透にドライブがかかりそうだ。  
 三菱樹脂は金属サイディング材大手のチューオーと共同で、塩ビ押出板と硬質ウレタンフォームを組み合わせた強化タイプのサイディング材を開発した。96年には国産を開姶、住宅のリフォーム需要をターゲットに市場開拓に乗り出した。表面が自己消火性の塩ビのため、燃えにくく耐侯性があり、フォーム裏打ちにより耐衝撃・断熱性も保持している。  
 それまで同社は、裏打ち材のない輸入品を販売、こうした実績を加え、外壁リフォーム市場に本格参入したもので、これまで全国200棟以上の採用実績を得ている。  
 しかし日本の場合、防火基準が厳しく、新築住宅での使用には建築基準法の規定をクリアしなければならない。このため、難燃材である石膏ボードと組み合わせ、一体化したサイディング材とすることで、住宅地の相当部分を構成する22条該当地域(住宅密集地の防火・準防火地域以外)での使用認定に入った。


石油化学新聞 2002/8/30

三菱樹脂、住宅リフォーム用塩ビ単板サイディング材を発売
    ノンウレタンの塩ビ単板タイプで初の国産品

 三菱樹脂は29日、住宅の外壁リフォーム用の硬質塩ビ樹脂単板タイプのサイディング材を開発、商品化したと
発表した。「サイダックスEX」の商品名で30日から販売を開始する。現在国内で販売されている塩ビ単板のサイディング材は,北米からの輸入品だが、今回の新製品は初めて国内(滋賀県)で生産する。ベージュ、グレーの2色を揃え、価格は1枚(長さ3,788×働き幅250_b、質量2`c)2,900円。初年度1億円の販売を目指す。
 同社は、96年から硬質塩ビ板にウレタンを裏打ちした複合プラスチック製サイディング材「サイダックス」を市場展開しているが、軽量で施工性に優れ、メンテナンスも容易で、塩害・酸性雨に強く、腐食や錆の発生がないなどの特徴が評価され年々需要を伸ばしている。新製品はこうした特徴に加え、ノンウレタンの塩ビ樹脂単板にすることでリサイクルを容易にし、従来品よりも価格を低く設定した。また、日本の風土に合ったデザインや施工方法(重ねながらひっかける方式)などを採用している。
 塩ビ製サイディング材は、北米をはじめ世界的に住宅の外装材として広く用いられているものの、国内では金属系や窯業系のサイディング材と比べて市場での普及が遅れている。同社では、新製品を「サイダックス」シリーズに加えたのを機に、機能面でのメリットをアピールして市場拡大に弾みをつけたい考え。


2002/8/29 三菱樹脂

住宅リフォーム用プラスチック製サイディング材 『サイダックスEX』を発売

 三菱樹脂株式会社は、住宅の外壁リフォーム市場向けに販売している複合プラスチック製サイディング材「サイダックス」シリーズに、ノンウレタンタイプのプラスチック製サイディング材『サイダックスEX』を追加し、8月30日から発売いたします。
 
 プラスチック製のサイディング材は、北米では住宅の外装材として広く普及しているものの、日本国内では金属系・窯業系サイディング材の人気が高く、使用されることはまだ少ないのが現状です。しかし、近年では日本国内でもその特性が評価され、徐々に需要が高まっており、当社が1996年から販売している複合プラスチック製サイディング材「サイダックス※」は、軽量で施工が容易なうえ、塩害・酸性雨に強く、腐食や錆が発生しないことから、毎年販売実績を伸ばしています。

今回新しく発売する『サイダックスEX』は、硬質塩化ビニル単板のサイディング材で、軽量で施工が容易であることや塩害・酸性雨に強いという特長に加え、ノンウレタンタイプであるためリサイクルが容易で、価格はウレタンを裏打ちしている従来製品より低く設定しています。また、現在国内で販売されているノンウレタンの硬質塩化ビニル単板のサイディング材は、北米からの輸入品ですが、『サイダックスEX』は、同タイプの製品としては初めて国内(滋賀県)で生産を行います。
 当製品の希望小売価格は2,900円/枚で、住宅リフォーム市場およびプラスチック製サイディング材市場の拡大による需要増を見込み、初年度販売は1億円を予定しています。

※複合プラスチック製サイディング材「サイダックス」
   硬質塩化ビニル板にウレタンの裏打ちを施した複合プラスチック製のサイディング材。

■ 「サイダックスEX」の主な特長 

  @ 軽量なので既存壁に負担をかけず、施工も容易に行えます。
  A 既存壁材の上からそのまま施工できるので工期短縮が図れます。
  B プラスチック製なので錆びたり腐ったりしません。酸性雨や潮風にも強く塩害地域に最適です。また凍害にも強く、寒冷地での使用にも適しています。
  C 衝撃強度が強いため、割れにくく、メンテナンスが容易で美しさが長持ちします。
  D ノンウレタンなので容易にリサイクルできます。
  E 日本の風土にあったデザイン・施工方法(重ねながらひっかける方式)を採用。

■ 製品概要

  1. 商品名:サイダックスEX
2. 材質:硬質塩化ビニル樹脂
3. カラー:ベージュ、グレーの2色
4. 規格:長さ3,788mm 働き幅250mm 質量2.0(kg)
5. 発売日:2002年8月30日
6. 小売希望価格:2,900円/枚

 


化学工業日報 2000/2/28

VEC開発専門部会 塩ビサイディング 住宅外壁向け普及活動強化  
    汚れにくく遮音性も 見栄えも上々 施工家屋2件を現地調査  

 住宅外壁用の塩ビサイディンクの普及に取り組んでいる塩ビ工業・環境協会の開発専門部会(佐々木慎介部会長)は、その普及活動の一環として、このほど部会員などによる都内の施工家屋2件の現地調査を行った。同研究会では昨秋の「ジャパンホームショー」に続いて、来月には「西日本トータルリビングショー」(北九州市)に出展し、それぞれアンケート調査のフォローを通じた普及活動に力を注ぐ一方、主要工務店やハウスメーカーを対象とした塩ビサイディンクの認知活動なども積極的に展開している。さらにモデルハウスの設置やモニター制度などによるPR、各種の調査活動のほか、酸化チタン光触媒の応用や省エネ・放射冷却効果の検討など開発活動にも取り組んでいく考え。  
 今回訪問したのは、大洋塩ビの日野清司社長宅(東京・世田谷区、三菱樹脂施工)と日本ゼオン前監査役の梅澤秀夫氏宅(同・大田区、ゼオン化成施工)で、両氏宅とも建築後15−16年が経過しており、モルタル外壁をリフォームする際に塩ビサイディンクを採用、昨年7月ごろに完成した。  
 住宅地のなかで、とくに違和感もなく見た目には他のサイディング材との区別はつかない。しかも完成から半年余りが経過しているが、汚れもほとんどない。日野夫人は「とても丁寧に工事をしていただき、結果については満足しています。ご近所の方は声や音があまり聞こえなくなったとおっしゃいます」という。  
 三菱樹脂の製品は硬質ウレタンフォームと複合化しているための効果とみられる。  
 一方、梅澤氏は「当初思っていた以上の出来栄えだと思うし、見た目にもこれがプラスチック(塩ビ)だと分かる人はいないだろう」という。また「プラスチックとはいっても、雨音なども気にならない」とも…。  
 開発専門部会では、現在、日本で400−500棟とみられる施工実績を拡大していくことを当面の大きな課題としており、「2000年は三菱樹脂とゼオン化成の2社で何とか1千件を達成したい」(佐々木部会長)という。そのため前述のような多様な普及活動を展開しており、VEC会員各社にもPRパンフレットを配布している。さらに主要工務店などを対象とした施工例の見学会なども計画している。  
 北米では塩ビサイディンクは着実に伸びており、99年はPVC換算で100万トンに達したとも推定されており、大きな市場を形成している。日本では普及の緒についたばかりであるが、同部会では数万トン規模を目指して、来年度も積極的な活動に取り組んでいく方針としている。

 


注 サイディング材の防火性能について

住宅の防火性能については、建築基準法に決められている。

@ 防火地区、準防火地区: サイディング材使用不可
  外壁に耐火構造、準耐火、防火壁が要求され、使用する材料は、不燃、準不燃材である。
この地域は全戸数の約30%をしめる。
  *防火地域:都市の中核となる建築物の密集地域
  準防火地域:都市と郊外の住宅との中間の地域
*地域指定は、市町村が都道府県知事の承認を受け指定。(都市計画法8条、9条)
   
A 建築基準法第22条区域とその他の区域:
  防火上の規制がない「その他地区」と合わせ、全戸数の約70%をしめる。
     22条区域 下記の防火性能要求に満足すればサイディング材使用可能
    その他区域 サイディング材使用可能
B建築基準法第22条区域とは:
   特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域
    : 22条区域では
延焼のおそれのある部分(隣地境界線から1階は3m以内、2階以上は5m以内の範囲)に
「土塗り壁同等の外壁」以上の防火性能が要求され、新築時に建築確認申請において性能を満足する材料であるかチェックされる。
    *22条 特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内においては、耐火建築物及び準耐火建築物以外の建築物の屋根は、不燃物でなければならない。
 23条 前条の市街地の区域内にある木造の建築物の
外壁は、「延焼の恐れがある部分」を上塗壁又は同等以上の構造としなければならない。
   
    「土塗り壁同等の外壁」の防火性能とは、表面材料のサイディング単独の防火性能ではなく、下地構造を含めての防火性能であり、従って塩ビサイディングを貼る下地構造が問題となるので個別認定となる。

 

  三菱樹脂(株)は、下地が「モルタル塗り外壁」に塩ビサイディングを施工した場合、試験により「土塗り壁同等の外壁」の防火性能が確認でき建設大臣より個別認定を取得している。
  ゼオン化成はスラブ石膏板+塩ビサイディングで個別認定を取得している。