アンモニアソーダ法(ソルベー法、単独法)

アンモニアを媒介とし、原料は塩と石灰石、燃料は重油とコークスを用いてソーダ灰をつくる。

石灰石はコークスと焼き、炭酸ガスと生石灰をつくる。 CaCO3 → CaO+CO2

生石灰はさらに消和し、石灰乳として各工程に送る。

CaO+H2O→ Ca(OH)2

主工程は塩の飽和溶液をつくり、不純物を除いたうえアンモニアを吸収させてアンモニアかん水とする。アンモニアかん水は、さらに炭酸ガスを吹き込んで重炭酸ナトリウムを析出させ(炭酸化)、これを分解する。

NaCl+NH3+CO2+H2O→ NaHCO3+NH4Cl

得られる重炭酸ナトリウムを粗重ソウという。粗重ソウを分離した液に石灰乳を加え蒸留しアンモニアは回収して循環使用する。

2NH4Cl+Ca(OH)2→ 2NH3+CaCl2+2H2O

粗重ソウをV焼して炭酸ナトリウム(ソーダ灰)とし、発生する炭酸ガスは回収して炭酸化工程に用いる。

2NaHCO3→ Na2CO3+H2O+CO2

〔塩水の精製〕
原塩を海水で溶解する。飽和塩水はカルシウム塩、マグネシウムを含むので、これらを除くために精製を行う。

〔アンモニアの吸収〕
精製した塩水にアンモニアを吹き込みアンモニア塩水とする。このアンモニアは大部分蒸留塔から循環してくるものを用い、損失分だけを補給する。この吸収は多量の熱を発生するので、塔の中間から一度液を抜き出して冷却し、再び塔内にもどして吸収を完了させ、液中のアンモニアとNaClとの比を1.1〜1.2(モル比)に調整する。吸収塔頂からの排気は90%の炭酸ガスであり、減圧ポンプで吸引し、さらに圧縮機冷却塔を経て炭酸化塔に吹き込む。

〔炭酸化〕
アンモニアかん水に石灰炉で発生する石灰炉ガスとV焼炉、粗重ソウ分解塔、アンモニア吸収塔から循環してくる吸収ガスを吹込み、重炭酸ソーダを析出させる工程で、主反応は次のようになる。

NaCl+ NH4HCO3→ NaHCO3+ NH4Cl

〔粗重ソウの分離〕
炭酸塔を出た仕上げ液は、分離装置にかけて粗重ソウと母液とに分離する。母液が付着しているので少量の水で洗う。この粗重ソウはNa2Oとして32.5〜35%くらいである。分離装置には、真空炉過機または水平軸遠心分離器が使用される。

〔粗重ソウのV焼とソーダ灰の重質化〕
粗重ソウのV焼には蒸気(30kg圧)加熱式の回転炉が使用される。粗重ソウには付着水分が多いので、そのまま炉内へ入れると、固着したりするので通常焼上げソーダ灰を約50%混合して、これを防ぐ。取り出したソーダ灰の温度は180〜200℃であって、ここに得られるものは粒子が微細で見掛け比重が小さいので、これを軽質ソーダ灰または軽灰という。発生するガス中の炭酸ガス濃度は約90%である。飛散しやすい軽灰をきらって、見掛け比重の大きい重質ソーダ灰が要求されるので、Na2CO3・H2Oに相当する水(16〜18%)を加えて十分に混合し、結晶を熟成して回転炉で加温、乾燥し重質ソーダ灰(重灰)をつくる。フルイ分けを行って粒灰および粉灰としてから市販している。


塩安併産法

工程としてはアンモニア法ソーダ灰と似ているが、塩化アンモニウムとソーダ灰を生産する。アンモニア法では、原料塩成分中のナトリウム分だけを利用し、塩素分はほとんど利用されず廃棄されるが、未利用の塩素分を塩化アンモンとして使用し原料塩利用の合理化を図っている。この塩安併産法の進歩したプロセスが塩安ソーダ法で塩安ソーダ法のプロセスはアンモニア法では原料から製品へと単線的なものであるが、この方法では母液が循環している形をとっている点に特色がある。この製法では原料塩原単位はアンモニア法の1.4tに比べて1.3t程度と著しく合理化される。

NaCl+NH4OH+CO2→ NaHCO3+NH4Cl

これによりできた重ソウを焙焼してソーダ灰とする。


カ性ソーダの炭酸化法

この方法には液体カ性ソーダに炭酸ガスを吹き込み炭酸ソーダ1水塩結晶を得る方法ほか無水塩法、セスキ炭酸ソーダ法、重曹法などがある。これはカ性ソーダと塩素のバランス対策の一環として昭和44年7月に設備を完成し旭硝子、東ソー、徳山曹達(現トクヤマ)、セントラル硝子で実施していたが、最近はほとんど行われていない。

2NaOH+CO2→ Na2CO3+H2O