化学工業日報 2002/3/6                               

住友べーク フィルム・シート事業、アジア展開本格化  
  医療向けPTPなど、マレーシアを供給基地に  
  食品用真空パッケージ、中国向け輸出をスタート

 住友べークライトは、フィルム・シート事業のグローバル展開に乗り出す。
 マレーシア拠点で医療分野向けPTP(プッシュ・スルー・パック)フィルムや耐熱・絶縁用塩化ビニル樹脂製シート生産を本格的に立ち上げ、今秋にも中国や東南アジアなどアジア向け生産基地とする。とくにPTPフィルムは欧米や日系の医薬メーカー進出により需要拡大が目込めることから、供給体制を整備する。
 また中国を対象にパッケージ用多層フィルムの輸出を始めた。ハム・ソーセージ用の真空パッケージ用途で、同国での市場拡大に対応する。国内では工業用途の高付加価値対応を強化する一方、グローバル展開に弾みを付けることで同事業の拡大を図る。
 マレーシア拠点は硬質塩ビ樹脂を使った高機能性フィルム・シートの生産拠点で、2000年秋に現地企業の
リジテックスに51%資本参加するかたちで同事業初の海外拠点を確保した。昨年にはカレンダー成形ライン1系列を増設し、月産能力1000トン体制に倍増。工業用途向けの耐熱・絶縁用塩ビシートに加え、医薬分野の錠剤やカプセル包装向け塩ビ樹脂製PTPフィルムのアジア需要に対応可能な体制を整えるている。 これまでPTPフィルムは日本からの輸出で賄ってきたが、生産設備を本格的に立ち上げ、今秋にも中国や東南アジア地域の全需要に対応できる体制に移行する。
 同社のPTPフィルムは日本を中心に展開し、国内シエアは約7割を占める。今後、マレーシア拠点や尼崎工場(兵虜県尼崎市)の生産能力を活用し、アジア以外の全世界にも供給していきたい考え。
 またオレフィン系のパッケージフイルムでも海外市場開拓に乗り出した。日本では高いシェアを持つスライスハムやソーセージ用の真空パッケージフィルムで、このほど中国での需要拡大に対応し輸出を開始した。 同社はフィルム・シート事業で、国内ではIT(情報技術)関連用途を中心としたエンジニアリングプラスチック製フィルムなど高付加価値対応を推進。国内で高いシエアを持つ機能性フィルムーシート製品のグローバル展開を図ることで、同事業拡大に拍車をかける。


化学工業日報 2000/9/20 

マレーシアに生産拠点 機能性フィルムで住友べ−ク 
 現地社の経営権取得 来春、年1.2万トン体制

 住友ベークライトは19日、機能性フィルム(硬質塩ビフィルム)事業でマレーシアに進出する、と発表した。現地企業の「リジテックス」社に資本参加(51%)し、経営権を取得するもの。同時に約5億円を投資し、カレンダー成形ライン1系列を増設、来春には年産1万2千トン体制とする。今後、フィルム需要は高機能化する傾向にあり、新ライン導入により事業拡大につなげていくとともにマレーシアなど東南アジア地域のほか、中国やオセアニア地域を視野に入れて新市場開拓を加速していく。なお機能性フィルム事業では初の海外拠点となる。同日現地で契約に調印した。
 資本参加するリジテックス社は、マレーシアの一部上場企業である
サイエンテックス社のグループ企業。三井物産との合弁で、資本金は3500万マレーシアリンギット(約10億円)、従業員は約70名の規模。マラッカの本社工場(敷地面積・約2万平方メートル)で汎用品を主体とする塩ビ硬質フィルムを生産していた。
 今回、住友ベークライトは同社の発行株式の
51%を買い取り、経営権を取得した。これにより株主構成は、住べのほか、サイエンテックス社グループが24.3%、三井物産が19.0%、SPMメンブレン・スイッチ社が5.7%となり、10月にも作業を完了する。同時に機能性フィルムの生産技術を供与、約5億円を投じて新たにカレンダー成形ライン1系列を増設する。2001年1月に完成する予定で、生産能力は2系列・年産1万2千トンとなり、汎用品に加え、機能性フィルムの供給休制を整える。販売計画は、初年度4千万マレーシアリンギット、将来的には年間7300万マレーシアリンギットヘと拡大していく。
 住べは機能性フィルム事業で、カレンダー成形技術をベースに、硬質塩ビフィルムを主体とした高付加価値製品戦略を推進している。とくに医療分野向けPTP(プッシュ・スルー・パック)フィルムや、耐熱・絶縁シートなど工業用資材分野では国内トップシェアを有する。一方、昨年には筒中プラスチック工業と生産合弁会社「エス・ティ・フィルムシート」を設立するなど、体質強化策を進めている。今回の海外拠点確保もその一環で、電気・電子や医薬品など顧客の海外展開に対応するとともに、今後成長が期待できるアジア市場をターゲットに、事業拡大を図る。


2001/6/20 住友ベークライト/日東紡績 

高圧メラミン化粧板事業の合弁会社設立について

 住友ベークライト株式会社(社長;守谷恒夫)と日東紡績株式会社(社長;相良敦彦)とは、両社の高圧メラミン化粧板事業を統合し、新たに合弁会社を設立することについて基本的に合意しました。今後、公正取引委員会に対する事前相談を経て問題がなければ平成13年10月1日を目処に新会社を設立できるよう、詳細検討を進めていく予定です。

 高圧メラミン化粧板事業は、建材業界の長期低迷やユーザーのニーズ多様化に伴う他の建材事業との競争の激化等により、年々厳しさを増しています。このような状況下、両社は高圧メラミン化粧板事業の製造・販売・研究開発を統合し、より効率的な事業展開を図ることがコスト競争力の強化につながる最適な選択であると判断し、合意に達したものです。なお新会社の概要は次のとおりです。

(新会社の概要)

1. 会社名   未定
2. 資本金   20億円の予定(出資比率=住友66.7:日東紡33.3)
3. 設立   平成13年10月1日の予定
4. 本社所在地   東京都
5. 役員   社長   住友ベークライト株式会社より指名の予定
副社長  日東紡績株式会社より指名の予定
6. 事業内容   高圧メラミン化粧板およびその関連製品(加工物等)の製造・販売
7. 従業員   約270名(両社より出向の予定)
8. 事業所   工場   藤枝市、鈴鹿市
営業所  東京都、大阪市、名古屋市、札幌市、仙台市、 浜松市、広島市、福岡市
研究所  鈴鹿市
9. 生産能力   30万枚/月(枚=3尺×6尺換算)
10. 売上高   約160億円/年(平成15年度)


両親会社の概要

会社名 住友ベークライト株式会社 日東紡績株式会社
本社 東京都品川区東品川2-5-8 福島県福島市郷野目字東1番地
代表者 代表取締役社長 守谷 恒夫 代表取締役社長 相良 敦彦
資本金 268億円 197億円
売上高 1,215億円 905億円
主要製品 半導体関連製品、回路製品・電子部品材料、
工業資材、医療・建材・包装関連製品他
繊維、建材、グラスファイバー、
バイオ・ケミカル、エンジニアリング他
主要株主 住友化学工業(株) 中央三井信託銀行(株)、
(株)日本興業銀行



2001/7/2 住友ベークライト

グッドリッチ社電子材料部門の買収

 住友ベークライト株式会社(本社:東京都品川区、守谷恒夫社長)は、このたびグッドリッチ社(本社:米国ノースカロライナ州シャーロット)の電子材料部門(米国:オハイオ州クリーブランド)を買収することで、同社と基本的に合意致しました。

背景および目的
 当社は、情報通信分野、高機能プラスチック分野、クオリティーオブライフ(QOL)分野を重点事業分野としており、積極的なグローバル化を推進いたしております。この分野は技術革新が速く、事業の拡大・発展には、研究開発力の強化およびスピードアップが必要不可欠であります。

 以上のような背景において、買収対象であるグッドリッチ社の電子材料部門は、(1)エレクトロニクス・オプトエレクトロニクス分野に特化した樹脂開発を行っている研究開発部門(研究所)であり、当社が指向している分野と合致している(2)当社の既存の研究所とのシナジー効果により研究開発効率の向上(スピードアップ)が期待できる(3)さらに事業のグローバル化という観点からも、当該分野における先端技術開発が活発なアメリカに研究拠点を所有することにより、情報通信分野での研究開発力の向上が期待できるという理由から、当社が目指す情報通信分野での事業のさらなる発展が図れると判断し、当該部門を買収することといたしました。

買収対象
 グッドリッチ社電子材料部門(研究所)保有の全資産
  ・ 設備
  ・ 保有技術(特許)

買収の効果
 グッドリッチ社電子材料部門が保有する、高耐熱、高透明、優れた電気特性等の特長を有する
シクロオレフィンポリマー技術を導入することで、当社におけるエレクトロニクス、オプトエレクトロニクス分野での材料開発の幅が広がるという寄与が期待される。また、該研究所を通して米国の他の研究機関とのつながりがこれまで以上に強くなることにより、先端技術情報により速くアクセスできることも期待される。

当該部門の概要

(1) 社員46名
(2) 基盤技術
    ・ 樹脂合成技術
    ・ 環状ポリオレフィン技術
    ・ 材料化技術
(3) 主な開発製品分野
    ・ 半導体関連材料分野
    ・ 光関連材料分野

買収形態
 当社100%出資の新会社を設立し、 グッドリッチ社の同部門資産を買収する。

 

 


2001/5/9 住友ベークライト

エポキシ樹脂銅張積層板事業の海外展開について

 住友ベークライト株式会社(本社:東京、社長守谷恒夫)は、エポキシ樹脂銅張積層板事業の独自海外展開を検討しておりましたが、このほど
中国マカオに100%出資の子会社(社名は未定)を設立し、当社独自で工場進出することを決定いたしました。

 エポキシ樹脂の銅張積層板はその多層品での品質の優位性やユーザーの高品質品へのニーズの増大などで、パソコンや通信関連、デジタル家電、ゲーム機用のプリント基板の素材として、特にアジアで市場が伸長しております。成長する市場により近い立地、コスト競争力を考え国内ではなく、海外に投資を行って顧客のニーズに応えることといたしました。 なお、アジアにおける本事業での日系企業の単独進出は初めてとなります。
 これにより当社はアジアでの原料調達、生産に一層のコスト競争力を持つことになりますが、当社の先端技術を移管してIT機器産業のニーズに応えられる工場をめざします。今回の投資は生産設備1ラインの設置となりますが、今後の市場動向をみて追加投資を検討し、最終的には生産設備2ラインで月60万平方メートルの生産を目指します。進出先としては香港に近く物流にすぐれ、税制上の恩典も大きく、インフラの安定しているマカオを選択いたしました。第1期の投資についてはできるだけ早く生産を開始したいと考えております。

概要は以下の通りです。

1. 建設場所   中華人民共和国 マカオ特別行政区
2. 投資額   約28億円
3. 出資   住友ベークライト 100%
4. 工場面積   約3万7千平方メートル
5. 従業員数   約100名
6. プレス能力   月産 30万平方メートル
7. 販売計画   初年度 約35億円
8. 完成予定   2002年12月末



化学工業日報 2000/9/11

子会社事業など移管 ベークライト商事合併で住ベ 保有株も譲渡

 住友べークライトは、10月1日に
販売子会社・ベークライト商事を合併するのにともない住ベグループ以外の他社製品を販売する事業およびベークライト商事が直接出資する子会社4社について事業移管、譲渡または清算する。べ−クライト商事の他社品販売事業(グループ製品の一部を含む)については、子会社のべ商プラスチックヘ商権・従業員とも移管する。また、べークライト商事の子会社3社(べ商プラスチック、扶桑物産、北陽機材)の株式を第三者に今月末までに譲渡し、海外のべ−クライト商事シンガポールは今月末までに清算する。
 今回の措置は、住友ベークライトが現在進めている中核事業の強化・拡大と経営資源の集中化の一環として実施するもの。合成樹脂製品の販売を主力業務とするべ商プラスチックについては、他社品販売事業の移管後、全株式を森村商事に譲渡する。移管されるのは化成品、原料、工業薬品などの他社品を主とする仕入れ・販売業務で、年間売上高は190億円(うち住友べークライトグループ製品30億円)。
 また、北海道札幌市に本社を置き、水道資材や住宅機器の販売を手掛ける扶桑物産については全株式を個人(砂田信行氏)に譲渡ずみ。さらに、同じく札幌市に本社を置き水道資材の卸売業務を行っている北山機材については、ベークライト商事の保有株式(全株式の80%)を譲渡する方針で、現在交渉を進めている。
 一方、ベークライト商事が直接出資し、シンガポールで合成樹脂製品の販売を行っているベークライト商事シンガポールは今月末までに清算することにしている。

 * ベ商プラスチック

住友べ一クライト製品以外の商品を中心とした商権の継続と、森村商事グループの有機化学品分野強化を担う目的で、10月1日をもって、企業規模を拡充して新たな出発。


化学工業日報  2000/5/30

住ベ ベークライド商事吸収  

 住友ベークライトは29日、販売会社であるベークライト商事を10月1日付で合併すると発表した。連結経営の本格化にともなう両社の経営資源の一元化で、経営効率の改善と競争力アッブを目指す。存続会社を住友ベークライトとし、住友ベークライトとベークライト商事の合併比率は1対26.8。これにより、単独売上高は10億円増の1210億円となる。  
 住友ベークライトは、封止材やプリント板など半導体・電子部品関連や工業用資材、医療包材など手掛け、売上高は1245億円(2000年3月期)で、ユーザーの海外展開に応じて、IT技術を積極導入したサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)体制の構築を積極的に進めている。
 一方のベークライト商事(野川寛人社長)は、1953年の設立で、住友ベークライトが99%出資する関連会社。各種合成樹脂製品の販売を手掛け、住友ベークライト製品は、ほば半分程度を占めていた。売上高は582億円(同)で従業員は約220名の規模。  
 両社の合併で、住友べ−クライトのコア事業以外の販売品目については今後検討していく考え。