2003/02/24 チッソ
ガラス長繊維強化樹脂プラントを10,000tに増設
チッソ株式会社(本社:東京都中央区、社長:後藤舜吉)は、ガラス長繊維強化樹脂「商品名:ファンクスター」の製造設備を、本年3月完成の予定で、年産10,000トンに増設します。現在、チッソ石油化学(株)五井製造所内で建設を進めており、プラントの完成により、ガラス長繊維強化樹脂としては、国内最大の生産能力となります。
今回の増設は、自動車業界で急速に進行しつつある「モジュール化」に対応するもので、主に、自動車用大型構造部材(フロントエンドモジュール、ドアモジュール等の基材)用として材料供給を行います。
ファンクスターは、当社独自の技術により開発した、射出成形用のガラス長繊維強化樹脂で、94年に発売以来、家電、工業部品及び自動車分野の機能部品、大型構造部材用として、幅広い用途展開を行ってきました。昨年よりマツダ "アテンザ"、"デミオ"のフロントエンドモジュール、ドアモジュール用基材をマツダ(株)と共同開発して採用されたのをはじめ、日産自動車(株)向けの構造部材用として、カルソニック・カンセイ(株)に対しても供給を開始しました。
ファンクスターは、優れた剛性と衝撃性を有するため、従来のスタンパブルシートによる成型品と同等の性能が射出成形によって可能となり、格段に生産性の向上が期待できます。
この性能を発現させるためには、成形品中のガラス繊維の繊維長の保持と均一な分散に加え、樹脂とガラス繊維との界面接着性やベースポリマーのモルフォロジー等さまざまな検討が必要となります。当社では、これらの改良を進める事で、他の長繊維強化樹脂では達成し得ない高性能を有する材料の提供を可能としました。
また、当社はこれまで困難とされていた長繊維強化樹脂での部材の反り変形についての解析技術を、独自に確立しており、これにより顧客への部材開発のサポートが向上し、開発期間の短縮が図れることとなります。
現在国内外のメーカーでも各種モジュール基材を始め、様々な用途での採用が内定されつつあるため、今回の増設となったものです。さらに、今後は海外での需要増も考慮した次期増設を視野に入れ、事業展開を進めてまいります。
農業用フィルム事業提携のお知らせ
チッソ株式会社(本社:東京都中央区、社長:後藤舜吉)とシーアイ化成株式会社(本社:東京都中央区、社長:藤原正義)は、農業用フィルム事業の合理化と発展を目的とした包括的業務提携の実現に向け協議することについて基本合意に達しました。
農業用フィルムは、我が国の施設園芸の発展に貢献してまいりましたが、農業従事者の減少に伴う農家の省力化、長期展張化の要望を反映し、グレードの多様化、受注ロットの小口分散化が進み、事業の収益性は低下の一途をたどっております。
かかる事業構造の中で、両社は単独の経営合理化には限界があるとの共通認識に立ち、事業提携の可能性について検討してまいりました。
その結果、当事業の収益構造を改善し、将来的にも安定供給をはかっていくために、生産業務の効率化、物流拠点の統合、共同配送等の合理化を柱としたコスト削減を進めることに関し、両社で検討していくことについて基本合意に達しました。
なお、今回の合意には、販売業務に関する提携は含んでおりませんが、原料調達等他の業務提携については、今後さらに検討を進めてまいります。
当社はこの業務提携の実現により、農業用フィルム事業の基盤強化を図り、農業需要の主要地区である九州に存在する当社の生産拠点を最大限に活用するとともに、肥料事業との相乗効果によりアグリビジネスの今後の拡大を図ってまいります。
チッソ株式会社の概要 | ||
・設 立 | 昭和25年1月12日 | |
・本 社 | 東京都中央区勝どき三丁目13番1号(フォアフロントタワーU) | |
・代表者 | 取締役社長 後藤舜吉 | |
・資本金 | 78億円 | |
・従業員 | 887名 | |
・主要事業 | 化学品の製造販売等 | |
シーアイ化成株式会社の概要 | ||
・設 立 | 昭和38年(1963)1月24日 | |
・本 社 | 東京都中央区京橋一丁目18番1号 | |
・代表者 | 取締役社長 藤原正義 | |
・資本金 | 55億円 | |
・従業員 | 826名 | |
・主要事業 | 合成樹脂製品の製造販売等 |