2009/5/4 三菱樹脂

QUADRANT社との戦略的提携について

 三菱樹脂株式会社(本社:東京都中央区、社長:吉田 宏)は、今般、世界最大手のエンジニアリングプラスチック製品(以下「EPP」)の加工メーカーであるQUADRANT AG(本社:スイス、以下「QUADRANT社」)とEPP事業の世界展開の一環として、戦略的提携(以下「本件戦略的提携」)を行うことに合意しましたので、以下のとおりお知らせいたします。なお、本件戦略的提携におけるQUADRANT社株式の公開買付けは、日本の金融商品取引法第27条の2第1項に規定する公開買付けには該当いたしません。

1.背景及び概要
 当社は、昨年4月1日に、三菱ケミカルホールディングスグループの機能材料事業を担う中核事業会社として新発足し、企業ビジョンとして「最適なソリューションを通じお客様の良きパートナーの役割を担える開発型企業を目指す」を掲げております。
 また、2008年度スタートの中期経営計画(以下「中期経営計画」)において、事業の規模、収益性、市場における優位性、市場の成長性により選定した「育成事業」、「集中事業」、「基盤事業」、「再編・再構築事業」の4象限の事業ポートフォリオを策定しました。
 その中で、基盤事業に位置づけたEPP事業は
日本のみでの展開となっているのが現状ですが、その事業拡大のためにはグローバルな事業展開が不可欠と考えております。
 当社が基盤事業として事業拡大を目指すEPP事業は、1966年に米国ザ・ポリマーコーポレーション(以下「ポリマー社」)と合弁で、
日本ポリペンコ株式会社(以下「日本ポリペンコ社」)を設立し、日本におけるMCナイロン(モノマーキャスティングナイロン)を中心とするEPPの加工・販売事業の展開を開始し、その後、1989年にオランダDSM N.V.(以下「DSM社」)がポリマー社を買収、2001年にQUADRANT社がDSM社のEPP事業を買収し、現在に至っておりますが、その優れた特性により、主に産業機械部品など産業用途で競争力の高い事業であり、今後においても用途拡大が見込まれ需要の増大が期待されております。
 この度、当社とQUADRANT社の創業者は、オランダにおける合弁形態での持株会社の設立、同持株会社によるQUADRANT社株式の公開買付けの実施などの方法を通じて、当社とQUADRANT社の間でEPP事業の世界展開に関する戦略的提携を行うことで合意に至りました。
 QUADRANT社は、1996年に創業者が設立し、2001年にEPP事業を買収し、その後、繊維樹脂複合材の事業買収などにより、世界19箇所に製造・販売拠点を有する世界最大手のEPP加工製品をはじめとする樹脂加工メーカーです。
 本件戦略的提携により、当社は、QUADRANT社の生産技術、R&D、生産設備、販売ルートを通じたEPP事業及び高機能繊維複合材事業の拡大による集中事業化ならびに当社製品の海外展開を促進させ、売上高、利益及び海外売上比率を向上させ、より強い利益体質を実現することを目指します。また、中期経営計画の重点課題である海外売上比率40%(2012年度目標)の達成のうえで、大きな飛躍となります。

2.本件戦略的提携の目的
(1) EPP事業における世界的リーディング企業としての地位の実現
EPP事業における世界的リーディング企業としての地位を実現するとともに、高成長のアジア地域での積極展開が一層強固なものとなります。
(2) ワールドワイドな生産体制の確立と海外展開の促進
日本における生産拠点である日本ポリペンコ社に、QUADRANT社の生産拠点が加わることにより、ワールドワイドな生産体制を実現します。これにより、EPP事業のグローバルな顧客基盤に加え、当社の高機能樹脂複合材事業をはじめとする各種製品の海外展開を促進することができます。
(3) 事業シナジーの発現
両社とも樹脂加工を中心とした事業を展開しており、両社で手がけるEPP事業、高機能樹脂複合材事業では事業シナジーの発現が期待でき、また、射出成形品事業においても欧米市場における協力が可能となります。
   

3.本件戦略的提携の概要
(1) 当社とQUADRANT社の創業者により、オランダに合弁形態で持株会社を設立する。

(持株会社の概要)
 @ 商 号:AQUAMIT B.V.
 A 資 本 額:2,598千ユーロ(約3.4億円)
        (邦貨換算為替レート130円/ユーロ)
 B 本店所在地:Strawinskylaan 3105, 1077 ZX Amsterdam, The Netherlands
 C 出資比率: 当社50%、QUADRANT社創業者50%
 D 持株会社は、当社の連結対象とする。

(2) 持株会社によるQUADRANT社株式の公開買付けを実施する。
   (買付上限なしで100%買付けを目指す。)
 公開買付総額(予定):約162百万スイスフラン(約146億円)
 買付価格:86スイスフラン/株
 買付条件:上限なし、下限66.7%

(3) スケジュール
 @ 2009年5月1日 提携契約、持株会社にかかる合弁契約等締結
 A 2009年5月下旬から8月(予定) 公開買付け期間
   *Swiss Takeover Board による審査・承認を経て買付けを開始します。

【ご参考】
QUADRANT社の概要
 代 表 者 : Dr. Adrian Niggli
 本 店 所 在 地 : Hardstrasse 5 5600 Lenzburg, Switzerland
 主な事業の内容 : EPP加工品、繊維樹脂複合材、その他の製造及び販売
 決 算 期 : 12月
 従 業 員 数 : 2,400名(連結、2008年12月末時点)

 最近事業年度における業績動向(連結):
               2006 年12 月期     2007 年12 月期    2008 年12 月期
   売上高         804.3(723.9 億円)  811.8(730.6 億円)   733.4(660.1 億円)
   (参考)EBITDA     94.7(85.2 億円)    98.4(88.6 億円)     68.0(61.2 億円)
   当期利益         36.1 (32.5 億円)   39.6 (35.6 億円)    10.8 (9.7 億円)
  (単位:百万スイスフラン。邦貨換算為替レート90円/スイスフラン)

日本ポリペンコは1967年にMCナイロンの製造販売を開始し、金属に代わる新素材(エンジニアリングプラスチック)として一躍注目を浴びました。
その後、ポリペンコアセタール(POM)等品種を増やしながら、さらにHPM(High Performance Materials)素材として、ポリペンコPEEK等を取り揃え、幅広い用途に最適な材料を供給してまいりました。
最近では半導体製造装置などのより厳しい条件下でその真価を発揮する耐熱グレード、帯電防止グレード等を開発してまいりました。
日本ポリペンコは常に時代を先取りしたエンジニアリングプラスチックのパイオニアとして、更なる開発・開拓型企業を目指します。

提携相手 The Polymer Corporation DSMQuadrant

1996/1/1 
DSM NV, the parent company of The Polymer Corporation (
purchased in 1989) and Sheffield Plastic, has announced that these wholly owned subsidiaries will now form DSM Engineering Plastic Products.

2001/2/19

Quadrant Holding (Zürich, Switzerland) and DSM N.V. (Heerlen, The Netherlands) have reached agreement on the takeover of DSM's Engineering Plastic Products (EPP) business group with the effective date of 1 January 2001. DSM Engineering Plastic Products, which manufactures engineering plastic stock shapes and finished products for a variety of industrial markets, has operations in 16 countries and employs 1,085 people. The takeover by Quadrant Holding will have no direct consequences for the business group's employees.