日本経済新聞 2006/7/21

旭化成、ろ過膜事業拡大
 国内拠点を増強/中国に工場新設 年産能力2倍に

 旭化成は飲用水や半導体製造に使う産業用水の製造、排水処理などに使う精密ろ過膜事業を拡大する。国内工場の能力増強に加え中国で組み立て工場を新設、年産能力を3万本から6万本に引き上げる。急増する米国需要を取り込むほか、成長が見込める中国市場を開拓。現在の約3倍の300億円としていた2010年の世界販売目標を500億円に上方修正する。
 旭化成の精密ろ過膜は太さがスパゲティ程度の頑丈な特殊繊維を中空糸にし、側面に網目状に微細な穴を開けて束ねたもの。直径数マイクロ(マイクロは百万分の1)から0.001マイクロメートルの穴を通して海水や汚水を浄化したり、無菌水や精製水をつくる。
 同社のろ過膜はフッ素系の高結晶樹脂が原料で、複数の膜を組み合わせた競合製品に比べて強じんで、薬品などに対する耐久性などに優れ、ろ過の精度も高いという。超純水の製造など電機業界向けにシェアは高く、需要も拡大している。
 昨秋、子会社の旭化成ケミカルズ富士支社(静岡県富士市)の工場で生産能力を年2万本から3万本に増強したが、来年中にさらに能力を倍増させる。1本で100トンの処理能力を持つろ過膜の年産能力を6万本規模に拡大する。
 中国では杭州にろ過膜の組み立て工場を新設。8月から本格稼働する。社員100人規模でこのほど試運転を開始し、年間3万本のろ過膜を中国市場に供給するほか米国などにも輸出する。投資額は明らかにしていないが、中国投資と国内二度目の生産増強で10億円規模に膨らむとみられる。
 米国では浄水場の塩素で消毒できない病原虫の駆除を徹底するよう米環境保護庁(EPA)が規制を強化。大きさ数マイクロの同虫を確実に除去できる精密ろ過膜の需要が急増している。
 出遅れていた中国市場では組み立て工場新設に合わせて北京と台湾に営業拠点を新設し、各6、7人の営業担当を置いたうえ、ろ過膜の営業部門の総責任者を現地に常駐させた。工場やプラント、発電所など産業用水の生産や廃水処理向けの市場を開拓する。

ろ過膜
 ポリエチレンやポリフッ化ビニリデンなどの樹脂で作った膜の表面に微細な穴を開け、穴との大きさの差を利用して液体から不純物や特定の物質を除去する。半導体や液晶の洗浄に用いる超純水や原子力発電用の純水、医薬・食品や化学工場に必要な無菌水や精製水などが製造できる。砂や塩素を使った浄水場に比べて、施設の小型化が可能。平らな「平膜」など形状は多様だが、精度の高いろ過にはマカロニ状の側面に微細な穴を開けた「中空糸膜」が広く用いられる。

2006年7月20日 旭化成
ウイルス除去フィルター「プラノバ」の組立工場増設について

 旭化成メディカル株式会社(本社:東京都千代田区  社長:吉田 安幸)では、ウイルス除去フィルター「プラノバ」の組立工場の生産能力を 年産20,000m2増設することを決定しましたので、お知らせいたします。 これにより、「プラノバ」の生産能力は、現在の倍増の年産40,000m2となります。
 
1. 工場増設計画の概要
  (1) 場 所 宮崎県延岡市旭町
  (2) 能力増設 20,000m2/年 (トータル能力40,000m2/年)
  (3) 投資額 約7億円
  (4) 工 期 2006年10月着工、2007年10月竣工予定
  (5) 販売計画 2010年度 80億円(2005年度の倍増)超の計画
   
2. 工場増設の背景
   「プラノバ」は工業用のウイルス除去フィルターで、 血漿分画製剤やバイオ医薬品といった生物製剤の製造工程において広く使用されています。 その優れたウイルス除去性能とタンパク質の透過性能について国内外で高い評価をいただいております。 現在では、90%弱の顧客が欧米を中心とした海外となっています。
 近年、世界において生物製剤のウイルス安全性に対する要求が高まっていることに加え、 モノクローナル抗体を中心としたバイオ医薬品の開発が盛んになってきたことから年々需要が増加しており、 今後もこの動きは世界的に続くことが予想されるため、組立工場の増設を決定しました。
 なお今後とも、当社は積極的に研究開発、投資を行い高性能、高品質の製品を開発し、 世界のニーズに対応した新製品を生み出すと共に、生物製剤の安全性の向上に貢献してまいります。
  ※「プラノバ」は、旭化成メディカル(株)の登録商標です。
     
≪ご参考≫
〔会社概要〕
1. 旭化成メディカル株式会社の概要
  (1) 代表者 吉田 安幸
  (2) 設 立 1974年7月
  (3) 資本金 8億円(旭化成ファーマ鰍P00%出資)
※旭化成ファーマ(株)は、旭化成(株)の100%出資会社
  (4) 本 社 東京都千代田区神田美土代町9−1
  (5) 工 場 延岡工場(人工腎臓向け中空糸膜製造、「プラノバ」紡糸工場及び組立工場)、大分工場(人工腎臓他組立加工)、中国工場(浙江省杭州市 人工腎臓組立加工)
  (6) 従業員数 約1,700名(2006年3月末)
  (7) 売上高 401億円(2006年3月末)
  (8) 主要製品 人工腎臓、輸血用白血球除去フィルター、血液浄化関連製品、ウイルス除去フィルター「プラノバ」等の開発・製造・販売
   
<用語解説>
1. 「プラノバ」
   銅アンモニア法再生セルロースを原料とした中空糸型 ウイルス除去フィルター。孔径サイズにより、15N,20N,35Nの3種類のほか、 プレフィルターとして75Nを発売しており、それぞれについて各種サイズのフィルターを用意している。
2. 血漿分画製剤
   血漿から精製して得られる治療に有益なタンパク製剤で、 感染症の治療に用いるグロブリン、血友病などの治療に用いる血液凝固第[因子などの血液凝固因子製剤など がある。
3. バイオ医薬品
   遺伝子工学、細胞培養などのバイオテクノロジーを 利用して生産されるペプチドやタンパク質を有効成分とする医薬品。 インターフェロン、成長ホルモン、エリスロポエチン、モノクローナル抗体などがある。
4. 生物製剤のウイルス安全性に対する要求
   肝炎などの原因となるウイルスが、 ヒトおよび動物由来成分を原料とした医薬品(生物製剤)に混入するのを避けるように、 ウイルスに対する安全性を確保することが強く求められている。
5. モノクローナル抗体
   単一の抗体産生細胞から作られる一種類の均一な分子で できた抗体であるが、医薬品としては、通常、遺伝子組替え技術で作られる。 近年、リウマチ、癌などに対する抗体医薬の開発が盛んである。

2006年10月31日 旭化成

子会社の統合について

 当社グループでは、当社の100%子会社である旭化成ケミカルズ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:藤原健嗣 以下、ケミカルズ)と旭化成ライフ&リビング株式会社(本社:東京都千代田区、社長:亀井啓次 以下、L&L)を、2007年4月1日付で統合し、一体運営す
る組織に再編することを決定いたしましたのでお知らせします。
 これにより、当社グループでは、生活消費材事業・ポリマー加工事業の更なる強化・拡大を図り、お客様により高品質・高機能で、快適な暮らしに一層の貢献ができる製品群を提供し続けてまいります。

1.統合の目的
 当社グループでは、2003 年10 月の「分社・持株会社制」の導入に伴い、ケミカルズを有機・無機工業薬品、合成樹脂・合成ゴム、高機能化学品等のケミカル事業会社として、またL&L を生活消費材、食品用・産業用フィルム等の生活製品関連事業会社として、発足させました。
 「分社・持株会社制」移行後3 年が経過し、本年4 月より新たに事業の高度化・高付加価値化を戦略の一つとする中期経営計画「Growth Action-2010」をスタートさせました。この計画を着実に実行し、当社グループの生活消費材事業およびポリマー加工事業分野の更なる拡大を加速するためには、両社の持つ多様な経営資源を融合させ、最大限にシナジーを発揮させることが効果的であると判断し、統合することを決定いたしました。

2.統合の内容
(1)生活消費材ビジネスの拡充
 生活消費材事業を担う会社として、統合後のケミカルズが100%出資する「
旭化成ホームプロダクツ株式会社」を新設し、L&L の生活消費材開発機能とサランラップ販売株式会社のマーケティング・販売機能を移管し、独立した権限と責任を持った運営を行っていきます。ケミカルズが持つ素材、加工技術、化学技術とL&L が持つ生活消費材の新商品開発・マーケティング機能を融合させるとともに、両社が持つ経営資源を戦略的に投入して、生活消費材の更なる拡販と事業の強化・拡大を目指します。

(2)ポリマー加工事業の強化・拡大
 L&L のフィルム・シート・フォーム事業とケミカルズのフィルム・シート事業を統合・再編し、高機能で高付加価値なフィルム・シート・フォームの新規用途分野への展開・拡大を図り、より戦略的なポリマー加工事業運営を推進していきます。なお、L&L の関連会社である旭化成パックス株式会社とサンディック株式会社は、本統合・再編後の事業組織の関連会社として更なる発展を目指します。

(3)鈴鹿地区の生産拠点・研究開発拠点としての活用
 今後成長が期待される高機能フィルム・シート・フォーム等のポリマー加工分野を統合し、三重県の鈴鹿工場・サランラップ工場をこの分野での生産拠点・研究開発拠点として強化を進め、世界に誇れる高機能フィルム・シート・フォーム事業の基地として活用していき
ます。

(4)PVDC(ポリ塩化ビニリデン)の一貫生産体制の確立
 統合により、PVDC の基礎原料から製品までの一貫生産体制を構築し、PVDC 全事業の世界的成長戦略を展開してまいります。

3.統合の方法
 ケミカルズを存続会社とする吸収合併方式とします。

4.統合予定日 2007 年4 月1 日

5.今後の見通し
 当社グループの連結業績や連結総資産への影響はありません。

6.統合する子会社の概要
(1)旭化成ケミカルズ株式会社(2006 年9 月末現在)
@事業内容:有機・無機工業薬品、合成樹脂、合成ゴム、高度化成肥料、塗料原料、ラテックス類、医薬・食品用添加剤、火薬類、感光性樹脂・製版システム、分離膜・交換膜等を用いたシステム・装置などの製造、加工及び販売
A本店所在地:東京都千代田区有楽町1−1−2
B代表者:代表取締役社長 藤原健嗣
C設立年月: 2003 年10 月1 日
D資本金 : 30 億円
E総資産 : 474,382 百万円
F従業員数: 5,860 人
G連結売上高:6,604 億円(2006 年3 月期決算)

(2)旭化成ライフ&リビング株式会社(2006 年9 月末現在)
@事業内容:「サランラップTM」、「ジップロックTM」、各種フィルム・シート、フォームなどの製造、加工及び販売
A本店所在地:東京都千代田区有楽町1−1−2
B代表者:代表取締役社長 亀井啓次
C設立年月: 2003 年10 月1 日
D資本金 : 30 億円
E総資産 : 40,498 百万円
F従業員数: 1,135 人
G連結売上高:519 億円(2006 年3 月期決算)


2007/10/2 日本化薬

産業火薬事業の統合について

 日本化薬株式会社(本社:東京都千代田区 社長:島田 紘一郎)と旭化成ケミカルズ株式会社(本社:東京都千代田区 社長:藤原 健嗣)とは、各々の企業グループが行っている産業火薬事業の統合及び新会社設立に関する基本契約に合意いたしましたのでお知らせします。

<背景・経緯>
 産業火薬の国内市場は公共投資の削減や土木工事の減少によって毎年縮小を続け、今後もその傾向は続くとみられます。そのような環境の下、統合により、事業の集中や規模拡大による生産性の向上、さらには間接コストの低減によって、効率的な経営資源の活用が可能となり、収益力の向上が図れます。また、両グループ会社の技術力統合による相乗効果によって、生産や火薬消費の安全性向上も果たせるという両社の判断が一致し、本年5月に事業統合に基本的に合意いたしました。
 その後、詳細につき検討、協議を進めてまいりましたが、このほど、事業統合、新会社の設立に関する基本契約について合意に至りました。
 統合新会社は、それぞれの持分法会社として、グループの拡大発展に寄与することと期待しております。

<新会社の概要>
1. 社   名:未定
2.本社所在地:東京都墨田区
3.統合の方法:日本化薬株式会社と旭化成ケミカルズ株式会社、それぞれの産業火薬事業(子会社による事業を含む(注1))を分割し、北洋化薬株式会社(現在は日本化薬の100%子会社)を承継会社とし、事業を統合する。北洋化薬株式会社は、統合新会社として事業開始までに社名変更をする予定。日本化薬と旭化成ケミカルズは新会社に50%ずつ出資する。
4.統合実施日:2008年1月2日(予定)
5.事業内容 :産業火薬の製造、販売
6.社   長:未定 
7.資 本 金:6,000万円
8.売 上 高:約100億円(2008年度)
9.出資比率:日本化薬50%、旭化成ケミカルズ50%
(注1)株式会社カヤテック(日本化薬100%子会社)及び旭化成ジオテック株式会社(旭化成ケミカルズ100%子会社)