朝鮮日報 2008/3/6

KOTRA、中国からの無断撤退問題で相談窓口

 大韓貿易投資振興公社(KOTRA)は6日、中国の青島、上海、北京、広州にある韓国投資企業支援センターに「経営リスク支援デスク」を設置したと発表した。中国で今年初めに労働契約法が施行されたことで人件費が2540%上昇し、進出企業の無断撤退が増えていることを受け、支援を強化するのが狙いだ。

 中国の政策が最近、国土の均衡発展と選別的な投資誘致を行う方向に転換したため、アクセサリー、衣類、かばんなど労働集約的な加工を手掛ける韓国企業の経営環境が急速に悪化している。

 経営リスク支援デスクは弁護士、会計士など8人の専門家で構成され、中国の複雑な法律や規制で困難に直面している中小企業を対象にコンサルティングを行う。進出企業は労務、税務、会計など経営上の問題点のほか、中国の他地域や第三国への生産移転、中国からの撤退などに関する相談を行うことができる。

 このほか、中国での内需市場開拓に向けた支援も行う。中国の流通市場進出に関する案内資料をまとめるほか、大手の百貨店や流通企業との商談会を開く。自動車、情報技術(IT)、電子分野のグローバル企業からの部品受注を目指したアウトソーシング商談会も予定している。


2008/02/27 朝鮮日報

中国からの無断撤退、法的制裁に注意呼び掛け

 中国に進出した韓国企業が経営環境の悪化で無断撤退するケースが相次ぐ中、専門コンサルタント会社は両国の司法協力により、韓国企業が法的制裁を受ける可能性があると警告した。

 MKチャイナ・コンサルティング代表理事の李万守(イ・マンス)弁護士は26日、大韓商工会議所が開催した「中国の外資企業清算制度」と題するセミナーで、「税金滞納の未申告、未納は脱税、賃金未払いや経済補償金(退職金)の未支給は労働法違反に当たる犯罪行為だ」と指摘。その上で、「清算が難しいとの先入観を捨て、複雑な清算手続きを踏むための計画を立てた上で、撤退を進めなければならない。中国市場に再進出するためにも合法的な手続きを経ることが重要だ」と強調した。

 また、アンセ会計法人の安教碩(アン・ギョソク)会計士は、「中国で清算手続きを進める場合、税務当局に設立当初の納税証明書類を求められ、提出できないと重加算税を取られるのが実態。普段の帳簿の管理をしっかりしておくことが清算時のトラブルを避ける上で大事だ」とアドバイスした。


2008/02/20 朝鮮日報

中国進出韓国企業、10社に3社が撤退検討

 10年前に中国山東省青島市に進出した衣料メーカーS社は、最近の賃金上昇に加え、今年から施行された労働契約法により人件費負担が増え青息吐息だ。

 同社関係者は「従業員が退職する際に補償金を支給しなければならない上、最低賃金を20%引き上げ、保険への強制加入などで人件費が昨年に比べ3040%増加した」と嘆いた。

 大韓商工会議所は20日、中国韓国商会加盟350社を対象に実施した経営環境実態調査の結果を明らかにした。それによると、回答企業の25%が「中国での事業清算を真剣に検討したことがある」、3.1%が「現在清算準備を進めている」と答えた。双方を合わせると10社に3社が撤退を考えていることになる。

 また、85.5%の企業が「中国の企業環境が今後悪化する」と答え、「変化はないと思う」(10.3%)、「好転する」(3.9%)との回答を大きく上回った。

 昨年3月に実施した同調査で、企業環境の悪化を予測した企業が33.1%だったのに比べ、わずか1年間で悲観的な見通しが急速に広がったことになる。

 中国に進出する韓国企業の経営活動で最も困難な点については、43.1%が労務管理を挙げ、法規や制度の変更(21.4%)、内需市場開拓(13.3%)、資金調達(10.5%)、税制(6.1%)などが続いた。

 上海韓国商会のチョン・ヨンジン事務局長は「企業所得税の引き上げ、加工貿易禁止品目の拡大、労働契約法の施行、土地使用税の徴収など中国進出企業は困難に直面している。最近は人民元切り上げ圧力も加わり、進退窮まっているのが現状だ」と述べた。

 また、進出企業の無断撤退が問題となる中、会社清算時の問題点として、複雑な清算手続き(56.7%)、過去にさかのぼって土地使用料や減免された税金の納付を求められる(18.7%)、地方政府の非協力的態度(14.7%)、債務償還(3.3%)、賃金未払い(2.0%)などが挙げられた。

 しかし、経営環境の悪化や競争激化にもかかわらず、進出企業の70%は中国でのビジネスを継続、発展させていく考えだ。

 大韓商工会議所の関係者は「経営環境の悪化で撤収まで考えている企業が増えているが、大多数の進出企業は依然として中国での事業継続を望んでおり、内需市場の拡大や業種転換など、中長期的な政府、関係機関の経営支援策が必要だ」と指摘した。


2008/2/13 朝鮮日報

中国・山東省の韓国企業、無断撤退が加速

賃金上昇で経営環境さらに悪化

 低賃金環境を求め中国に大挙して進出した韓国の製造業者が、正式な会社清算手続きを経ずに、無断で撤収するケースが急増している。賃金が年15%以上のペースで上昇していることに加え、中国政府のさまざまな規制措置で経営環境が悪化し、累積赤字に耐え切れず、生産設備まで放棄する企業が相次いでいるためだ。

 中国・山東省煙台市で先月12日、工業団地に進出していた韓国系繊維会社S社の韓国人役員10人余りが夜逃げ同様に姿をくらました。経営難から従業員3000人余りと生産設備を置き去りにした格好だ。同社は下請け会社に3000万元(約44700万円)の債務があり、従業員に対する賃金支払いが滞っているという。

 韓国輸出入銀行が12日に発表した報告書によると、同省青島地区には2000年から昨年までに8344社の韓国企業が進出したが、うち2.5%に当たる206社が無断撤退したことが分かった。中国進出企業の無断撤退は0002年には1件もなかったが、03年の21件以降年々増え続け、昨年には87に達した。

 無断撤退が多いのは低賃金で労働集約的な業種で、アクセサリー生産業者が63社で最多だった。このほか、縫製(33社)、皮革(28社)、かばん(14社)、靴(13件)などが続いた。

 報告書は「従業員の賃金が年15%を超える上昇を示し、中国政府が環境汚染防止という名目で外資系企業の加工貿易禁止品目を拡大したことで、輸出ルートが断たれ、経営難にあえぐ企業が急増している」と分析した。

■無断撤退

 海外進出企業が撤退する場合、進出国の法律に従い会社清算手続きを進める必要がある。無断撤退はこうした手続きを踏まずに操業を中止すること。中国から撤退するには、五つの官庁から承認を受けなければならない。過去に適用を受けた税制優遇分の税金を納付しなければならないなど厳しい条件には企業の不満が根強い。