2003/5/28 三菱化学、富士通ほか

[三菱化学、ゾイジーン、富士通、セレスターのバイオ分野の協業関係構築について]

 三菱化学株式会社(以下三菱化学、本社:東京都千代田区、社長:冨澤龍一)とその100%出資のゲノム創薬資源の開発・ライセンス事業会社であるゾイジーン株式会社(以下ゾイジーン、本社:神奈川県横浜市、社長:中山 清)、富士通株式会社(以下富士通、本社:東京都港区、社長:秋草直之)およびセレスター・レキシコ・サイエンシズ株式会社(以下CLS、本社:千葉県千葉市、社長:土居洋文)は、今般、バイオ分野における総合的な協業関係を構築することといたしました。

 
三菱化学と富士通は、2001年3月、インフォーメーションテクノロジー(IT)を利用したバイオ分野での研究開発で協調していくことに基本合意し、以降、両社の技術やIP(知的財産)を利用したゲノム創薬や21世紀の新たなキーテクノロジーであるバイオとITの融合とライフサイエンスビジネスの新しい方向性を検討し、2001年12月に、三菱化学はゲノム創薬分野における創薬資源の開発とライセンス事業を行うゾイジーンを設立しました。
 これを契機に三菱化学と富士通は、ゾイジーンを核とした共同研究の検討を更に進め、2002年8月にはゾイジーンと富士通との間で、蛋白質の活性部位に結合する新規薬物候補を、高性能なシミュレーション能力を有するコンピュータを利用した従来の方法とは異なる新しいアルゴリズムで、より精緻に探索・設計する方法等、複数のテーマについて共同研究契約を締結しました。
 一方、CLSは、富士通のスピンアウトプログラムにより2000年8月に設立され、バイオインフォマティクス技術による創薬情報ビジネスを積極的に展開し、2002年10月には、富士通との間で、スーパーコンピュータの性能・運用性の向上を目的とした共同研究を開始しました。富士通とCLSの共同研究の成果は、富士通のUNIXサーバ「PRIMEPOWER」の性能・運用性向上に活用されております。

 こうした富士通/ゾイジーンならびに富士通/CLSの2つの共同研究体制の着実な基盤に立って本年3月31日、ゾイジーンとCLSとがコンピュータによる蛋白質の相互作用の予測と実証実験を内容とした共同研究契約を締結いたしました。本契約の締結により、三菱化学とゾイジーン、富士通、CLSの4社間の協業体制を構築することができ、スーパーコンピュータの高度利用による創薬ターゲットとなる蛋白質の選定と高精度のドラッグデザインの技術開発が加速し、ゲノム創薬に大きく貢献するものと期待しております。

【用語説明】

*1: ゲノム創薬(genomic drug discovery)
  ゲノム情報、更にはゲノム上に数%(ヒトの場合)の割合で存在する遺伝子およびそれを鋳型にして作り出される蛋白質の情報を基にして、疾患に関連した遺伝子、蛋白質を解明し創薬のターゲットを発掘し新薬の開発につなげていく創薬の手法。
   
*2: バイオインフォマティクス(Bioinformatics)
  バイオテクノロジー(生命工学)と情報技術(IT)が融合した技術分野のことで、生命情報科学ともいう。生命科学の実験から得られる大量のデータを、ITを使って処理し、学問的な知識や新薬開発など産業応用に有益な情報を創出する手法を指す。

【添付資料】
1)ゾイジーン、CLSの会社概要

[ゾイジーン社概要]
1.社名 : ゾイジーン株式会社
    (英文名:ZOEGENE Corporation)
    ※ゾイ(ZOE)とはギリシャ語でLifeの意
2.設立 : 2001年12月(2002/1〜営業開始)
3.資本金 : 25億円
4.出資構成 : 三菱化学(株) 100%
5.社長 : 中山 清 (なかやま・きよし)
6.従業員 : 約70名
7.事業内容 : ゲノム創薬ライセンス事業
    (主要事業)
・ 医薬リード化合物のライセンス
・ 創薬候補蛋白質のライセンス
・ 蛋白質3次元構造情報解析
・ 小麦胚芽抽出液(無細胞蛋白合成用)の製造・販売
8.技術基盤 : ・ 無細胞蛋白合成用小麦胚芽抽出液の大量合成(独占製造権所有)
・ 無細胞蛋白合成(数百蛋白/日の蛋白合成が可能。従来法は1蛋白/3〜6ケ月)
・ 蛋白/蛋白及び蛋白/化合物相互作用の解析
  (インビトロバイラス法、CLS社との共同研究による予測・実証)
・ 蛋白質3次元構造解析技術
・ 医薬候補品設計技術(デノボ化合物設計、富士通社との共同研究による
 超精密化合物結合エネルギー計算)
     
[CLS社概要]
1.社名 : セレスター・レキシコ・サイエンシズ株式会社
    (英文名:Celestar Lexico-Sciences, Inc)
※ セレスター (Celestar)とはラテン語で光り輝くの意、
  レキシコ(Lexico)とはラテン語で辞書の意
2.設立 : 2000年8月22日
3.資本金 : 221百万円
4.出資構成 : 土居洋文、富士通株式会社、バイオフロンティア・グローバル投資事業組合
5.社長 : 土居 洋文 (どい・ひろふみ)
6.従業員 : 48名
7.事業内容 : 遺伝子情報に基づく創薬情報の提供
    (主要事業)
・ 創薬標的遺伝子の探索およびライセンス
・ 創薬標的候補蛋白質相互作用の予測・実証実験およびライセンス
・ 遺伝子発現像データベース販売
・ バイオ実験試薬販売
8.技術基盤 : ・ 蛋白質相互作用の計算機予測
・ 蛋白質相互作用の多検体高速実証実験方法
・ 文献ベースの創薬候補蛋白質の評価方法(1200万件の文献データからマイニング)
・ インサイチュ・ハイブリダイゼーションによる大規模遺伝子発現像データベース作成
  (3万遺伝子クローン/月の情報を処理)

2)4社の協業関係


2004年02月24日 三菱化学

ジェンコム社解散について
http://www.m-kagaku.co.jp/newsreleases/2003/20040224-1.html

 三菱化学株式会社(社長:冨澤 龍一、本社:東京都港区)は、今般、ヒト遺伝子機能解析を目的とした研究開発型ベンチャーである100%出資の潟Wェンコム(社長:鈴木四郎、本社:東京都町田市、以下「ジェンコム社」という)を3月末をもって、その事業活動を停止し解散することにいたしました。
               
 ジェンコム社は、1999年9月、当社と吉富製薬株式会社(現・三菱ウェルファーマ梶j、協和発酵工業株式会社の3社で設立され、実験動物の遺伝子組み替え・蛋白質/蛋白質相互作用解析によるヒト遺伝子機能解析の受託研究並びにヒト型モデルマウスの作出を事業目的として、その研究開発活動を推進してきました。2002年春には、in vitro(試験管内の)蛋白質解析に関する事業を当社に譲渡することでin vivo(動物を使った)遺伝子解析に研究テーマを特化し、その体制も当社100%出資子会社に改め、実用化技術の早期確立・早期事業化を図るべく鋭意努めてきました結果、いくつかの学術的な成果もあげつつあります。
 
 しかしながら、近年、バイオテクノロジー分野において世界的な開発競争が激化する中、in vivo遺伝子解析の実用化技術の確立までには克服すべき研究開発上の課題もあり更に多大な時間と資金が必要となること、あわせて早期の事業化には未だしかるべき期間を要すること等を勘案し、本年3月末をもってジェンコム社を解散することを決定いたしました。

添付資料
<ジェンコム社の概要>

1)社名   株式会社ジェンコム(GenCom Corporation)
2)本社   東京都町田市南大谷11
3)社長   鈴木 四郎
4)設立   1999年9月
5)資本金   278百万円
6)出資比率   三菱化学社 100%
 設立時出資構成:
   三菱化学 66.7%
   吉富製薬 16.7%
   協和発酵 16.7%
7)従業員数   約20名
8)事業内容   ・ヒト遺伝子機能解析の研究
・ヒト型モデル動物の作出