Chemnet Tokyo 2003/02/27

「次世代半導体材料」研究に10社が結束        発表文

 最先端の次世代半導体材料を、材料メーカー10社で共同研究しようという、世界的にも異例の開発プロジェクトが近く立ち上がる。参加するのはJSR、住友化学、住友ベークライト、積水化学、東京応化、東レ、日産化学、日東電工、日立化成、富士写真フィルムの10社で、27日「次世代半導体材料技術研究組合」(CASMAT)の創立総会を開催した。
 
 NEDOの公募に応じ、正式承認を得たあと3月中旬登記を行い、4月1日から正式スタートする。理事長にはNEC会長の佐々木元氏、副理事長には日立化成の内ヶ崎功氏、専務理事には日立化成常務の原田征喜氏を選任。顧問として広島大学ナノデバイス・システム研究センターの角南英夫教授が就任する。
 
 研究は「次世代半導体での配線工程から、アセンブリー用ウエハー加工材料までの総合ソリューションの提案」を目標とし、材料評価法の統一や設計指針などを主テーマに共同研究に取り組む。研究期間は2003年度から3年間、研究拠点を東京・国分寺市の日立製作所中央研究所に置き、各社から研究スタッフを派遣する。事業予算は国の補助金(50%)を含め3年間で総額約120億円。経産省では15年度予算で「フォーカス21」事業の一つとして、初年度分20億7、000万円の開発予算を確保済みだ。
 
 27日記者会見した、原田征喜日立化成常務、筧允男住友ベークライト顧問、別所信夫JSR取締役の3氏は、それぞれ「コンペティターというべき半導体材料メーカーばかり集まって共同研究するのは日本では初めてだし、世界にも例がないと思う。それだけに、ぜひ成功させたい。半導体は開発のスピードが速いし、材料メーカーは単独でやっていくには負担が大きい。共同でやれば効率的だし、日本の材料のポジションを世界に高めていくこともできる。モデルケースにしたい」などと抱負を語った。 


2003/2/27 次世代半導体材料技術研究組合設立準備委員会 

次世代半導体材料技術研究組合(CASMAT)の設立について

 JSR株式会社、住友化学工業株式会社、住友ベークライト株式会社、積水化学工業株式会社、東京応化工業株式会社、東レ株式会社、日産化学工業株式会社、日東電工株式会社、日立化成工業株式会社、富土写真フイルム株式会社の10社(50音順)は、本日、「次世代半導体材料技術研究組合(Consortium for Advanced Semiconductor Materials and Related Technologies)(略称:CASMAT)」の創立総会を開催する運びとなりました。設立登記は3月中旬を予定しております。

 本技術研究組合は、昨年10月に発足した設立準備委員会において、その設立準備が進められていたもので、φ300mmウェーハおよび65nmノード(注1)を中心とする次世代半導体での配線工程材料からアセンブリー用ウェーハ加工材料までの統合的ソリューションの提案を目標とし、材料評価法の統一、プロセスを勘案したTEC(注2)による材料評価、材料の設計指針の提示などを主な研究テーマに掲げ、2003年産がら3年許画で実施されるものです。事業予算は3年間で総額約120億円を計画しており、経済産業省のFOCUS21事業として新エネルギー・産業技術総合開発機構(NED0)が公募予定の「次世代半導体ナノ材料高度評価プロジェクト」へのプロジェクト提案を行う予定です。

 理事長には日本電気株式会社取締役会長の佐々木元氏が、副理事長には日立化成工業株式会社取締役社長の内ケ崎功氏が、専務理事には日立化成工業常務取締役の原田征喜氏が、それぞれ創立総会および総会後の理事会において選任される予定です。
 技術顧問には広島大学ナノデバイス・システム研究センターの角南英夫教授に就任いただき、研究の方向性について大局的な観点からご指導を得るほか、研究部門の責任者については、本技術研究組合は半導体プロセス技術のインターフェイスが非常に重要であることから、大手半導体メーカーでプロセス開発の統轄経験をお持ちの方々から人選を行い、株式会社日立製作所デバイス開発センタ主管技師長の川本佳史氏に就任いただくこととなりました。
 研究者は公募および参加各社からの派遣人員を合わせ約30名を計画しております。公募は、半導体メーカーでプロセス構築の実務経験があるプロセスエンジニアや大学で電子工学関係に携わる博士研究員などを対象に行っており、募集要項は本技術研究組合のホームページ(
http://www10.ocn.ne.jp/~casmat/) にも掲載しています。
 また、研究処点については、日立製作所中央研究所(東京都国分寺市)内のクリーンルームおよび事務所を借用する予定です。

 本技術研究組合は、半導体メーカー、装置メーカーならびに株式会社半導体テクノロジーズ(Selete)、株式会社先端SoC基盤技術開発(ASPLA)、半導体MIRAIプロジェクトなどのコンソーシアムとの相互補完関係を築いていくことで関係業界のご理解をいただくとともに、今後の活動への期待を強めていただいております。最終製品である半導体およびアプリケーションの観点を材料開発に取り入れ、世界のデファクトを獲得する革新的な半導体材料技術を先行開発することにより、日本の半導体産業の更なる発展に材料面から貢献したいと考えております。

注1   65nmノード:半導体素子の最小回路線幅を65nmに加工するために必要な設計、プロセス、材科に係る技術世代の総称
注2  TEC(Test Element Group):半導体デバイスに材料を適用するに当たり、材料の基本的な特性だけでなく、材料がデバイスの電機特性に及ぼす影響を調べるための評価ウェーハ