日本経済新聞 2002/11/21

半導体、積極投資に 日立・三菱電事業統合会社 来年度倍増1000億円

日立製作所と三菱電機は、来春発足する半導体事業統合会社の年間設備投資額を約1千億円とする方針を決めた。両社が今年度計画する設備投資額合計の2倍の水準で、半導体チップの最先端技術である直径300ミリの大口径ウエハーの生産能力を増強する。東芝も大口径ウエハー工場を新設する方針。海外勢に対抗して半導体大手が再び積極投資に動き始めた。
 日立と三菱電機が設立する「
ルネサス テクノロジ」の生産子会社となるトレセンティテクノロジーズ(茨城県ひたちなか市)の能力増強に重点投資する。トレセンティは昨春、月産7千枚規模で300ミリ ウエハーの量産を始めており、投資は同ウエハーの生産増にあてる。
 現在の建屋で月1万8千枚まで能力増強が可能といい、来年度以降、段階的に先端設備を導入する。2、3年後には、デジタル家電などの中核部品となる回路線幅0.13マイクロ(マイクロは百万分の1)メートル以下の最先端LSI(大規模集積回路)を量産する方針。投資資金はルネサスが発足時の手元資金と営業収益で賄う。
 日立と三菱電機は2000年度にそれぞれ2200億円、1500億円を半導体分野で投資。その後の情報技術(IT)不況を受け、2001年度は日立が220億円、三菱電機も600億円に投資額を圧縮。今年度計画では240億円、250億円と最低限の合理化投資に抑えている。
 しかし、米インテルや韓国サムスン電子などの海外大手は能力増強投資を継続。日立と三菱電機も国際競争力の維持には、現在の主流である200ミリ ウエハーに比べて生産コストが3割は下がる300ミリ ウエハーの生産能力増強を軸に、投資額の上積みが必要と判断した。


朝日新聞 2002/11/24

半導体フラッシュメモリー 富士通・米AMD、統合へ   → 統合

 富士通は、携帯電話などに使う半導体のフラッシュメモリー事業で、米半導体大手、AMDと新会社を設立し、事業統合する方向で最終調整に入った。新会社の出資比率など細部を詰めたうえで、年内にも合意したい考えだ。海外の有力メーカーと組むことで業界の主導権を確保するのが狙いで、両社のシェアを合わせると、この分野では米インテルと世界1位を争う規模になる。
 合意すれば、新会社を来年度にも設立する。技術開発や生産など、両社のフラッシュメモリー事業のほぼ全般を統合する方針。両社は93年から、開発と生産の一部で事業提携し、福島県会津若松市にほぼ折半出資の工場を持つ。一体化でさらに開発と生産のスピードを速め、大量生産による効率化を図る。

 市場調査会社などによると、世界市場での出荷額シェア(01年)は首位インテルが約26%で、2位のAMDが約13%、3位の富士通が約11%。4位以下は10%以下。ただ、大手の富士通でも携帯電話の価格下落などの影響で、今夏ごろから事業の収益が悪化していた。

 フラッシュメモリーは電源を切っても情報を保持でき、動画受信など情報の大容量化が進む携帯電話やデジタル家電に使われる。全世界の市場規模は1兆円前後とされるが、今後拡大が見込まれる。

 日本の半導体業界は、かつてパソコン向けなどの半導体メモリー、DRAMで世界の上位を独占したが、DRAMでは価格競争で韓国メーカーなどに敗れた。このため日本メーカーは、技術力でまだ優位にあるフラッシュメモリーで、世界上位を確保する戦略を加速している。国内半導体最大手の東芝は生産能力の大幅な増強を検討中。日立製作所と三菱電機は来年4月に新会社を設立して事業を統合する。


2003/4/1 富士通/AMD 

富士通とAMDがフラッシュメモリ事業を統合
  〜マーケティング・開発・製造を行う新合弁会社設立へ〜

 富士通株式会社(本社:東京都千代田区 以下「富士通」)と米国Advanced Micro Devices, Inc.(本社:米国カリフォルニア州サニーベール 以下「AMD」)はこのほど、両社のフラッシュメモリ事業を統合再編し、米国に新会社「FASL Limited Liability Company」を設立することについて、基本合意書を締結しました。

 富士通とAMDは、これまでの富士通エイ・エム・ディ・セミコンダクタ株式会社(本社:会津若松市 略称「FASL」)での製造合弁での実績を基に、さらに両社のフラッシュメモリのマーケティング・開発・製造機能を一体化させることにより、事業の効率化と競争力強化を実現してまいります。

 具体的な合意の内容は、次のとおりです。

新会社への出資比率は、富士通40%、AMD60%。
新会社の本社は米国カリフォルニア州サニーベール。日本本社は東京。
両社は約25億ドル相当の資産を新会社に提供。
新会社のCEOは、Bertrand Cambou(AMD senior vice president, Memory Group)を予定。
新会社の会長は、小倉正道(富士通 経営執行役常務、電子デバイスビジネスグループ長)を予定。
新会社の取締役会メンバー10人のうち、6人をAMDから、4人を富士通から指名。
新会社は、富士通およびAMDにフラッシュメモリ製品を供給し、両社はそれぞれ、新会社ブランドにて当該製品の販売を行う。
従業員は当初約7,000人。


これに伴い、新会社へは以下が移管されます。

◇富士通からは、
    フラッシュメモリ事業部門、Fujitsu Microelectronics(Malaysia)Sdn. Bhd.
(後工程工場、略称「FMM」)
◇AMDからは、
    フラッシュメモリ事業部門、R&Dセンター(米国カリフォルニア州サニーベール)、前工程工場Fab25(米国テキサス州オースチン)、後工程3工場(タイ、マレーシア、中国)
◇富士通エイ・エム・ディ・セミコンダクタ株式会社(現在、両社の折半出資会社)
    全面移管の上、富士通から移管されるフラッシュメモリ事業部門と統合し、日本における開発・製造の拠点として、新会社の100%子会社に再編。


 新会社は、富士通/AMDの間での最終契約および関係当局の認可後、2003年(暦年)第3四半期を目処に、営業を開始する予定です。

 新会社は、フラッシュメモリの専業会社として、両社の高度なテクノロジや製造能力を融合しお客様のニーズに迅速かつ的確に応え、今後とも成長の見込まれる市場におけるリーディングカンパニーを目指してまいります。


日本経済新聞 2003/4/1

富士通・米AMD 事業統合 フラッシュメモリー世界2位に

 富土通は米半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)と、主要半導体のフラッシュメモリー(電気的に一括消去・再書き込み可能なメモリー)事業を統合する。米国に共同出資の新会社を設立する。日米の半導体大手が事業統合するのは初めて。米インテルに次ぐフラッシュメモリー世界二位の企業として成長市場で生き残りを目指す。


日本経済新聞 2003/2/22

NEC・日立DRAM連合 インテルが資金支援
 200億円 世界3強めざす

 NECと日立製作所が折半出資する半導体メーカーのエルピーダメモリ(東京・中央)は、米インテルから200億円程度の資金を受け入れる方向で最終調整に入った。パソコン用の主要半導体であるDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)事業を国内で唯一手掛けるエルピーダは、インテルの支援を得て増産体制を構築、韓国サムスン電子、米マイクロン・テクノロジーと並ぶDRAM世界三強を目指す。


日本経済新聞 2003/6/4

エルピーダ 1000億円調達 DRAM生産5倍 インテルなど30社出資

 NECと日立製作所が折半出資する半導体メーカー、エルピーダメモリは10月に1千億円を調達する。3日に同社への出資を発表した米インテルや親会社2社に加え国内外の半導体関連企業など約30社が出資する。エルピーダは調達資金を設備投資に使い、最先端製品の生産能力を5倍以上に引き上げる。
 エルピーダは国内唯一のDRAM(記億保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)メーカー。非上場企業が1千億円を一度に調達するのは異例。インテルが1億ドル(約120億円)、親会社2社がそれぞれ最大95億円出資する。3社以外の出資は坂本幸雄エルピーダ社長が同日、日本経済新聞のインタビューで明らかにした。
 エルピーダが配当を優先する必要のない無議決権株式を発行。米部品メーカー、国内の半導体製造装置メーカーや商社などが5億−60億円程度の出資に応じる。一部は投資組合を活用する。
 エルピーダは1月に広島県の工場で直径300ミリシリコンウエハー対応の最新鋭工場を稼働。800億円を投じ月3千枚の生産能力を来年2月に同1万6千枚に引き上げる。