日本経済新聞 2002/10/24       発表文

日立化成 感光性フィルム中国で来春生産

 
日立化成工業は23日、中国・広東省にプリント配線板の回路形成に使う感光性フィルムの工場を建設すると発表した。投資額は約20億円で、2003年4月に稼働する。日本、マレーシアを合わせた生産能力は約3割増の年2億平方メートルとなる。電気製品の生産拡大に伴い需要が増えているため。
 建設地は香港北方の東莞市。工場ではフィルムに感光性を持つ樹脂を塗る工程を手がける。生産能力は5千万平方メートルで、従業員数は約70人。フィルムは東莞のほか上海、番港に持つ加工工場に持ち込み、顧客の求める大きさに切断する。
 日立化成は日本とマレ−シアに感光性フィルム工場を持ち、生産能力は1億5千万平方メートル。中国には両国からフィルムを持ち込んでいたが、年10%以上の需要の伸びが見込めるとして工場建設に踏み切る。感光性フィルムの世界市場は年間約4億平方メートル。日立化成のシェアは26%。


2002/10/23 日立化成工業

中国にプリント配線板用感光性フィルムの生産拠点を新設

 日立化成工業株式会社(本社:東京、社長:内ヶ崎功、資本金:152 億円)は、2003 年4 月より、プリント配線板のエッチングレジスト等に使用される感光性フィルムの生産を
中国・東莞にて開始し、中国市場における事業基盤の強化を図る計画です。既に東莞では「日立化成工業(東莞)有限公司」が感光性フィルムのスリット加工を行っており、同社を増資した上で生産能力約5 千万u(年ベース)の工場を建設します。
 当社は、感光性フィルムの旺盛な海外需要に対応するため、
日本およびマレーシアでの感光性フィルムの生産とともに、台湾、オランダ、香港、マレーシア、韓国、上海、そして東莞にスリット加工拠点を設置し併せて営業、技術サービスの拠点とすることにより、短納期対応、技術サービスの充実を図り、事業拡大に努めてまいりました。
 近年、プリント配線板メーカーの中国への生産シフトが加速しており、プリント配線板のプロセス材料である感光性フィルムの中国市場は、今後年率10%以上の成長が見込まれ、2005 年には世界最大の市場になるものと予想されます。こうした状況の中、中国において感光性フィルムの一層のシェアアップを図るためには、中国で現地生産を行い、更なる納期短縮と技術サービスの充実に取り組むことが急務と判断し、今般東莞に工場を建設することにしたものです。
 当社は、本計画の実行により、中国における感光性フィルムのシェアを現状の30%強から5 年後の2007 年に約40%とする方針です。

<工場の概要>

設置場所 : 中国広東省東莞市茶山鎮
着工時期 : 2002 年10 月
稼動開始時期 : 2003 年4 月(予定)
土地面積 : 約4 万u
床面積 : 延べ6,000 u
生産能力 : 約5 千万u(年ベース)
投資額 : 約20 億円

<日立化成工業(東莞)有限公司の概要(生産開始後)>

社名      : 日立化成工業(東莞)有限公司
 (英文:Hitachi Chemical (Dongguan) Co., Ltd.)
所在地 : 中国広東省東莞市茶山鎮茶山工業園
資本金 : 1,000 万US$
株主 : 日立化成工業株式会社84%
  Hitachi Chemical Co. (Hong Kong) Ltd. 16%
事業内容 : プリント配線板用感光性フィルムの製造及び販売

2002/6/7 茨城新聞
  
http://www.ibaraki-np.co.jp/contents/news/2001/feature/koujyou/33.htm

日立化成工業山崎事業所 工業材料関連製品を生産

 日立化成工業(本社東京)は、エレクトロニクスや工業材料の関連製品、住宅機器・環境設備など、幅広い事業分野を持つ化学メーカー。山崎事業所は、それら製造部門の主力を担う。日立市やひたちなか市などにある県内四カ所の工場から成り、エレクトロニクス、工業材料関連製品の生産を受け持っている。

 ■有機、無機2つの流れ
 同事業所の製品技術の源流には、有機、無機二つの材料を扱う系譜がある。これにポリマー、無機化学の技術や、ボーダーレスな複合技術が組み合わされ、半導体関連や配線板用材料、ファインセラミックス、医薬品など多種多様な製品を生みだしている。
 製品の種類は数千種類。一見、とらえどころがないが、いずれも操業当時からの基幹製品がベース。時代ニーズに即応しながら、新製品が次々生み出されてきた。
 本体の日立化成工業は日立製作所の油性ワニス研究部門が独立して誕生した。日立工場の絶縁物工場が山崎事業所の原型だ。その後、カーボン、セラミックスなどの無機化学材料の関連技術分野が統合、現在の形になった。
 寺本直樹事業所長が「有機、無機の二つの流れがある」とするゆえんだ。

 ■しのぎ削る感光性フィルム技術
 配線板用材料の「感光性フィルム」は山崎事業所の主力製品の一つ。事業所全体の年間売上高四、五百億円のうち、約5分の1を占める。
 昨年はIT(情報技術)不況の打撃で売上高が減少したが「携帯電話、デジカメなど形は変わっても、コンピューターの普及が続く限り、長いスパンでは伸びるはず」(寺本事業所長)と安定需要が見込まれている。
 同事業所によると、感光性フィルムの市場規模は400億円。日立化成工業は堂々トップシェアを誇る。「機能向上と小型化」(同)が品質改良の方向で、技術競争はし烈を極めている。
 日立化成は
山崎事業所とマレーシア(ジョホール)の2カ所で感光性フィルムを生産。両拠点の生産量は月千万bに及ぶ。
 山崎事業所ではフィルムに自家製樹脂をコーティング。原反(げんたん)に仕上げ、さらに顧客ニーズに応じた寸法にカッティングするまでの工程が、24時間体制でよどみなく行われている。
 ただ最近は、技術面ばかりでなく、低コスト化も求められている。「原価を下げ、国際競争力をつけることが必要」(寺本事業所長)と、2年前から事業所を挙げて製造工程の短縮化や製造ロス削減のための取り組みが進んでいる。
 ほかに山崎事業所で力を入れている製品には、リチウムイオン電池用の負極材や医療用シンチレーター(検出器部品)などがある。

 ■目指すは全天候型
 IT不況による半導体需要の低迷で、エレクトロニクス部門が打撃を受けた。これを教訓に「景気変動の波を受けにくくする」(同)工夫が、製造面で図られるようになった。以前からある工業材料にも力を入れ始めた。「目指すは全天候型」(同)だという。

 ◆概要メモ◆

・所在地 日立市東町
・操業開始 1912年
・敷地面積 63.4f(4拠点)
・生産品目 エレクトロニクス関連製品、工業材料関連製品