2003/6/5 Chemnet Tokyo

経産省「高分子有機ELプロジェクト」  住友化学グループ採択へ

 住友化学、
トッキの両社が共同で、次世代ディスプレイ材料となる「高分子有機EL発光材料」の開発に挑戦する。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募していたフォーカス21プロジェクトに応募、競合プロジェクトもないところから、採択が確実となった。
 
 高分子有機ELは、現在各社が研究中の低分子ELのさらに先を行くといわれている発光材料で、製膜性に優れ、インクジェット塗布プロセスによるディスプレイの大画面化が可能となる。製造プロセスも大幅短縮され、低コストで生産できるようになる、など画期的な発光材料として注目されている。
 
 また、自発光型のため、液晶ディスプレイと異なり、バックライトを必要としない。このため軽量化、省エネルギー化が実現できる。電気信号に対する分子の応答が速く、動画再生も可能になる、などといった強みももっている。

 経産省によると、現在、わが国では住友化学が同材料の研究に取り組んでいるが、海外では米・ダウケミカル、独・コビオンの両社が開発を急いでおり、3社間で熾烈な競争が繰り広げられている。 
 
 住友化学グループ両社は、2005年の実用化をめざしているが、今後デファクト・スタンダードを獲得していくためには、とくに青色発光高分子材料の長寿命化と発光効率、高耐水性封止材料の開発が重要課題とされている。
 
 デジタル放送などブロードバンドの普及とともに、市場規模も今後はさらに拡大し、2010年には2.5〜5.7兆円に達すると試算されている。
 
 経産省は、15年度分として、同プロジェクトに対し4億7,000万円(補助率50%)の助成を行う方針である。


トッキ   http://www.tokki.co.jp/jpn/ir/gaiyou.html  

会社概要(2002年12月末日現在)

商 号   トッキ株式会社
    TOKKI CORPORATION
設 立   1967年7月29日
資本金   20億4,200万円
従業員数   185名
上場市場   JASDAQ
主な事業内容   FAシステム・インテグレーター事業
真空薄膜形成装置の開発・製造
NC工作機械のシステム販売
代表取締役社長   津 上 健 一


1986年1月
FAシステム、真空成膜システム事業を拡充させるため、津上特機・長岡プレシジョン・津上ロボティックス・ユーピーアルの関連4社を統合して、商号を『トッキ株式会社』に名称変更。新会社として発足。


2003/06/24 住友化学

住友化学、高分子LED用新規青色発光材料を開発
〜NEDOの助成交付により実用化を加速〜

 住友化学は、新しい構造を有する高分子LED(発光ダイオード)用青色発光材料の開発に成功し、実用化を満足するレベルである色度(CIE1931で規定されるy値が0.2未満)、約1万時間の寿命を達成する目処を得ました。さらに当社はこの材料の改良を加速し、高分子LEDの実用化を促進するために、技術開発を推進する政府系機関である
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の、経済活性化のための研究開発プロジェクト(フォーカス21)の高分子有機EL発光材料プロジェクトにディスプレイの製造装置のトップメーカーであるトッキ(株)と共同で応募し、このほど助成の交付が決定されました。
 有機LED(有機ELともいう)では、すでに低分子系の材料によるフルカラーディスプレイが本年から商品化され、実用化の段階に入っていますが、高分子LEDは、印刷によりディスプレイの主要部分が製造可能であるなど、製造プロセスが簡単であるので、低分子に比べディスプレイの生産コストが低減できることや、自発光型で省エネルギーであることなどが特長で、低分子系LEDの更に先を行く発光材料といわれています。しかしながら、現状では、主要メーカーの青色発光材料の寿命が数千時間に止まっているなど、実用化に十分な性能が得られていませんでした。
 今回当社が開発した高分子青色発光材料は、主要メーカーが開発を行っているフェニレンビニレン骨格、フルオレン骨格と異なり、当社独自の新規な骨格構造を有しています。その特徴は、より純粋な青色を発光することです。輝度の半減寿命について一部グレードにおいて実用に耐える約1万時間を達成しており、さらに高輝度・長寿命化に向けて検討しているところです。それに加えて当社は、この材料に適したディスプレイの製造プロセスの開発を同時に行い、ディスプレイメーカーの実用化開発を加速させるため、NEDOが公募していた高分子有機EL発光材料開発プロジェクトにトッキ(株)と共同で応募していました。今回、このプロジェクトの助成が決定されたことにより、高分子LEDの普及へ向けた取り組みが一段と加速されるものと期待しています。
 当社は今後、青色発光材料の量産化検討を進めるとともに、2005年度までに青色材料の技術を赤色、緑色発光材料に応用し、フルカラーディスプレイ用材料の開発を進めてまいります。2004年度中には青色材料から順次、事業化を開始していく計画です。
 さらに、蛍光材料である現在の有機LEDの次世代材料である燐光材料についても、当社は今回開発した高分子材料をベースに、緑色燐光発光材料を組み合わせることにより、高効率で発光する材料を開発しています。3.5Vから発光が見られるなど駆動電圧が低く、これまで知られている高分子系燐光材料に比べ特長を有しています。将来的には、ハイビジョンなどの大画面ディスプレイ用材料への展開を図ります。
 当社は、表示材料の分野では、現在需要が急成長している液晶表示材料の分野で積極的に国内外で設備投資を実施し事業の拡大を図っていますが、高分子LEDなど将来のキーテクノロジーへの研究資源の投入も積極的に行い、事業の長期的な成長も併せて確保してまいります。


日本経済新聞 2003/7/27

造船重機 有機EL・液晶事業強化
 日立造船 薄膜加工装置に参入
 住友重機 測定器新たに4機種

 造船重機各社が有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)や液晶関連事業を強化している。日立造船が薄膜加工装置に新規参入したほか、住友重機械工業は有機EL分野に特化した子会社を通じ、測定器の品ぞろえを増やす。造船や重機市場はアジア勢の追い上げが厳しいため、精密加工のノウハウを生かして、急成長が見込める分野の拡大を狙う。

 
日立造船は昨春に資本参加した武井電機工業(佐賀県北茂安町、武井健治社長)と共同で薄膜の加工装置を開発した。有機ELや液晶向けカラーフィルターの加工用で、レーザーを使って薄膜に微細回路を描く。日本や韓国、台湾のディスプレーメーカーに売り込み、3年後に年間10億円の販売を目指す。日立造船は連結べースで2003年3月期に75億円だった薄膜加工機など精密機器事業の売上高を、2005年3月期に150億円まで増やす方針だ。
 
住友重機械は有機EL向け測定器事業を拡大する。子会社のオプテル(東京・墨田、坂田孝一社長)で有機ELの発光特性や強度、信頼性を評価する機器を4機種開発し、販売を始めた。来春までに有機膜の品質を高精度で測定する機器も投入、品ぞろえを増やす。オプテルの昨年度の売上高は3億円だったが、今期は8億円に増やす。
 
三井造船も有機EL製造システム分野に参入する。日本ビーテツク(茨城県水戸市、斎藤建勇社長)、長州産業(山口県小野田市、岡本要社長)と共同で開発し、来年夏から量産を始める。有機ELや液晶、半導体製造装置事業の売上高を2004年3月期に前期比2倍増の40億円に伸ばす計画だ。
 造船重機メーカーは半導体製造装置など精密加工の技術を持つ。有機ELなど薄型ディスプレー分野は将来性が大きいと判断、本業を補う事業の柱に育てる。

有機エレクロト・ルミネッセンス(EL)

 電圧をかけると自ら発光する有機化合物を使った表示装置。バックライトが必要な液晶表示装置(LCD)に比べて薄く、視野角が広い、消費電力が小さくて済むなどの特徴がある。LCDに代わる薄型の次世代表示装置として、携帯電話やデジタルカメラのディスプレーなどで需要拡大が期待されている。色の質や明るさ、寿命などに課題があり、各社が開発や量産にしのぎを削っている。

 


2003年7月28日 日立化成工業

小型カラーLCD用導光板の事業展開強化
  −新製品上市、生産能力倍増−

 日立化成工業株式会社(本社:東京、社長:長瀬寧次、資本金:152億円)は、小型カラー液晶ディスプレイ(LCD)用導光板のさらなる事業拡大を図るため、バックライトユニットの構成部材であるプリズムシートの枚数削減を可能にし、且つ輝度を20%向上できる新製品を2003年7月に上市するとともに、2003年秋までに生産能力を現在の年間5000万枚から1億枚に倍増します。

 近年、携帯電話の多機能化が急速に進み、多くの携帯電話でインターネットへのアクセスや写真・動画の撮影を行うことができるようになってきました。こうした携帯電話の多機能化に伴い、搭載されるLCDも、高精細化、大画面化、カラー表示・動画表示への対応が進んでいます。

 当社は2000年8月に小型カラーLCDに適した、表面に特殊光学設計を施した導光板を上市し、導光板事業に参入しました。
 携帯電話に搭載されているLCDは、パネル裏側の導光板の縁部分に光源として発光ダイオード(LED)を配置し、導光板により得られる面状発光を用いることにより画面表示を行っています。導光板とは、光源とその周辺部材を組み合わせたバックライトユニットの一部品で、その縁部分に配置した光源から出る光を画面方向に反射させる役割を果たします。
 当社の導光板は、上面・下面それぞれに新規光学設計を施しています。まず、LEDから照射された光を下面に一体成形されたV字反射構により、低損失で画面方向へ反射させ、次に、上面に一体成形された特殊光学形状により、通常、円形に拡散する光線を画面横方向に向かって線状に拡散させます。これにより、従来方式に比べ拡散範囲を圧縮し正面輝度向上を図ることができます。LCDの高輝度化と、LED光源を使うLCD特有の輝度ムラを減少できる特性が顧客から高く評価されており、現在では携帯電話に搭載されるカラーLCD用の導光板として世界シェア30%を有しています。

 当社では、導光板事業のさらなる拡大を図るため、新しいタイプの導光板を7月中に上市するとともに、本年秋までに生産能力を増強します。
 この新製品は従来の上下面の特殊光学形状をさらに改良強化した導光板です。本製品を使用することによって、バックライトユニットの構成部材であり、集光機能を果たすプリズムシートの枚数を現在の2枚から1枚に削減できるほか、現状品より輝度を約20%向上できます。これにより、高輝度化およびLCDのトータルコスト低減を実現できます。すでにサンプル出荷を行っており、複数の顧客への7月中の正式採用が決定しています。
 上記新製品の投入と、今後見込まれる携帯電話用LCDのさらなるカラー化の進展に伴い、当社導光板への引き合いは一段と増すものと予想されます。こうした需要増に対応するため、当社では本年秋までに生産能力を現在の年間5000万枚から1億枚に倍増する計画です。

 当社では、これらの施策により、2004年度には携帯電話に搭載されるカラー液晶用の導光板やバックライトユニットについて、売上高120億円を目指す計画です。


日本経済新聞 2003/8/7

リチウムイオン電池用の樹脂膜 旭化成、3割増産

 旭化成はリチウムイオン電池の隔壁(セパレーター)向け樹脂膜を約3割増産する。約20億円を投資して守山支社(滋賀県守山市)に年産能力1200万平方メートルの設備を建設、2004年秋に稼働する。
 携帯電話やパソコン向けに電池需要が増えているため。膜は厚さ20マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル前後で微細な穴が開いており、充・放電時にリチウムイオンを通す。ポリエチレン樹脂を引き伸ばして作る。
 今年10月に1系列を増設するが、需要に追いつかないためもう1系列増やす。総生産能力は年5800万平方メートルとなり、売上高は100億円に達する見通し。
 旭化成はセパレーターでは世界の約4割のシェアを占める最大手。 


日本経済新聞 2003/8/7

大日本印刷 液晶部材を増産 
 カラーフィルター200億円投資 国内・台湾に工場

 大日本印刷は6日、液晶の主要部材となるカラーフィルターの新工場を来夏までに日本と台湾に建設すると発表した。総投資額は200億−250億円となる見込みで、月産能力は5割増の470万枚(14インチ換算)となる。液晶需要の伸びに合わせ、凸版印刷や住友化学も増産計画を打ち出しており、競争が激化してきた。
 日本では三原工場(広島県三原市)に150億円を投じて新ラインを設置、早ければ来年4月に稼働する。台湾では来年1−3月の稼働を目指し、南部の台南県で工場建設を進める関連会社に追加出資する。台湾での投資負担は50億−100億円の見込み。日本と台湾の新工場では、1メートル四方の大型ガラス基板を製造工程で使う「第五世代」液晶ライン向けのカラーフィルターを生産する。


2003年8月6日 大日本印刷

第5世代向けLCD用カラーフィルターの新工場建設
日本国内、台湾の2拠点で同時に着手 生産能力は業界No.1に
   
http://www.dnp.co.jp/jis/news/2003/20030806.html

 大日本印刷株式会社(以下:DNP)は、ますます需要拡大が加速している、液晶TV用カラーフィルターの生産能力を大幅に増強するために積極的な投資をおこない、広島県のDNP三原工場内に第5世代LCD用カラーフィルターの新工場を増設すると同時に、台湾のJV製造新会社へ共同出資することになりました。

 国内の新工場は、DNP三原工場(広島県三原市)内にある既存鉄骨2階建屋を利用し、約150億円を投資することで第5世代LCD用カラーフィルターの製造新ラインを導入するものです。
特に、国内で第5世代ラインを導入する役割として、製造能力の増強に加えて、新技術の開発、大型ラインによる生産技術の向上を図ることがあげられます。
 今回導入する新ラインは、ガラス基板投入から出荷梱包までの製造基本プロセスを自動化し、且つフレキシビリティにとんだライン構成となっており、生産性の大幅な向上を可能にしました。また、大型液晶TVに対応できるよう柱状スペーサ (注1)工程をはじめ、広視野角技術であるIPS(注2)やMVA(注3)など、多様化する顧客の要求仕様にも対応したカラーフィルターを供給できる様々な工程を完備したラインになっています。この新ラインの生産能力は月産64万枚(14インチ換算)となり、2004年第2四半期稼動の予定です。

 また、台湾LCDパネルメーカーによる第5世代ラインの急激な立ち上げに対応するため、台湾の南光電股有限公司(注4) (以下南光電)に出資し、旺盛なカラーフィルター需要に対応することになりました。南光電はDNPが出資しているSinTek社が参加するJV製造新会社であり、現在生産能力が月産96万枚(14インチ換算)の第5世代LCD用カラーフィルター製造ラインを、2004年第1四半期稼動を目指して建設中です。これにより、DNPグループ全体のLCD用カラーフィルター生産能力は、日本国内の三原工場、大利根工場、ACTI社に加え、台湾のSinTek社ならびに南光電を含めて、合計約470万枚(14インチ換算)となり、業界No.1の生産能力を持つことになります。

 今後、液晶ディスプレイ市場は従来からのパソコン用途に加えて、放送デジタル化の進展に合わせた液晶テレビの需要が急拡大し、画面サイズも14〜15インチから20インチ以上の画面へとますます大型化が進んでいます。LCDパネルメーカー各社は、この需要に対応する為ガラス基板の大型化を急ピッチで進めていますが、現状は各社とも大型ガラス基板に対応したカラーフィルターの確保が安定生産のネックになると予想されています。

 DNPは、三原工場での新ライン建設、台湾でのカラーフィルターJV製造新会社への資本参加によって、日本、韓国、台湾への第5世代カラーフィルター供給拠点を持つことになりました。DNPは今後もLCDディスプレイ市場の需要拡大、コストダウン、ハイエンド製品などの差別化対応要求に応えるため、生産性の改善と品質の向上、更にはカラーフィルターの新技術開発にも引き続き努めて、高品質、高機能カラーフィルターの安定供給をしていきます。

《用語解説》

(注1) 柱状スペーサ
  パネルで使用する2枚のガラスの隙間を均一に保つためにカラーフィルターに取り付けられるもので、液晶画面大型化に伴なう、パネルの製造組立工程の高効率化を可能とする液晶滴下法(One Drop Fill法)では、柱状スペーサ付きカラーフィルターが必須となります。
   
(注2) IPS
  In-Plane-Switching(横電界)方式液晶の略称で、TFT液晶表示方法の一つです。
   
(注3) MVA
  Multi-domain VerticalAlignment方式液晶の略称で、TFT液晶表示方法のひとつです。
   
(注4) 南光電股有限公司
  所在地 : 台南科學工業園區台南縣新市郷南科七路三號之C棟二樓
面積   : 土地 約10万1,600m2
       工場建物面積 約19,200m2

2003/9/22 三菱樹脂

中国を中心としたアジア地域における情報電子材料の販売力を強化
香港に100%出資の販売子会社を設立 10月1日から営業開始
   
http://www.mpi.co.jp/index.html

 三菱樹脂株式会社は、中国(香港含む。)、韓国をはじめアジア地域における情報電子材料の販売力の強化と売上拡大を図るため、香港において100%出資の販売子会社「MP International(Hong Kong)Ltd.」を設立し、本年10月1日から営業を開始します。


◆新会社の概要

1) 社名   MP International(Hong Kong)Ltd.
(菱麗樹脂(香港)有限公司)
2) 所在   中華人民共和国香港特別行政区
3) 資本金   65万香港ドル(約1,000万円)
4) 代表者   董事長    松浦 史郎(兼 三菱樹脂 情報電子事業部 副事業部長)
董事総経理 福田 直仁
董事      堤 正弘(兼 三菱樹脂 経理部 主幹)
5) 営業開始   平成15年10月1日(現地時間)
6) 従業員   6名(非常勤2名含む。)
7) 主要業務   難燃絶縁性フィルム、プラスチック・金属複合板などの情報電子材料の販売
8) 決算   12月末
9) 売上目標   2004年 約7億円
2005年 約10億円

◆新会社設立の目的
 日本の電子・電気機器メーカーのアジア各国への生産拠点シフト等に伴い、2001年に、アジア地域での難燃絶縁性フィルムを中心とした電子材料の本格的なマーケティング活動を目的として、三菱化学香港有限公司に駐在員を派遣しました。その結果、新規顧客の開拓に成功し、現在では香港を中心とした現地メーカー向けに、年間約2〜3億円輸出実績があります。その中で、現地の各メーカーの購買担当からは、直接価格交渉等の商談等ができるように販売子会社を設立して欲しいという要望が強くなり、また、従来のマーケティング活動だけに止まらず、当社が顧客ニーズをこれまで以上に深く把握することにより、より迅速で的確な提案活動を進め、更なる売上拡大を図るために、現地に販売子会社を設置することといたしました。

◆今後の展望
 今回の販売子会社の設立を機に、グローバルな競争力を持った企業として躍進していくためのノウハウの蓄積を図ります。さらに、香港の販売子会社では、情報電子材料だけでなく、当社他製品のアジア地域の販売拠点としての拡充も検討していきます。


2003/11/21 日本電気/トクヤマ 
         
ナノデバイスを実現する超高解像度電子線レジストを開発
   
http://www.nec.co.jp/press/ja/0311/2101.html

 NECと株式会社トクヤマはこのたび、線幅8nm、ラインエッジラフネス(注1)1nm以下という高品質な極微細ナノ構造の形成を可能にする電子線露光用の超高解像度レジスト「カリックスアレーン」を開発し、株式会社トクヤマより販売を開始いたしました。

 このたび開発した超高解像度レジストは、NECと株式会社トクヤマの高度な化学合成技術により実現した、ベンゼン環をリング状に4個接続した直径0.7nmの低分子量レジスト材料を使用したもので、主な特長は以下の通りです。

(1) レジスト材料の分子量を低減したことにより、8nm幅という世界最高の解像度を実現。
(2) 分子量の低減に加え、結晶化しにくい特性により、ラインエッジラフネスを1nm以下に低減。
(3) 分子の形態が変化しやすいため溶解性が高まり、地球環境・作業環境への負荷が低い安全溶媒を使用可能。
(4) 高純度化プロセスを開発し、金属不純物の濃度を低減したことにより、LSIのプロセスラインへの導入が可能。

 このたびの開発により、10nmレベルの微細なパターン形成を必要とする最先端トランジスタや新たなナノデバイスの開発が加速され、将来のユビキタスIT社会を支える高性能LSIの早期実現が可能になります。

 近年は、ナノテク研究の活発化により、ナノレベルの微細な構造の形成にも対応できる高解像度レジストへの要求が高まっております。NECでは、これまでにもベンゼン環をリング状に6個接続したカリックス6アレーンレジストを使用して、電子線露光により10〜12nmレベルの微細パターンを形成し、一部のナノスケールデバイスの研究開発に応用してきました。しかし、金属不純物が多く、不純物汚染を嫌うLSIの製造ラインには適さないことや、環境に優しい安全溶媒には溶解しないという課題があり、最先端のLSIの開発には利用できませんでした。

 今回開発したクロロメチル化カリックス4アレーンレジストは、これらの課題を克服した超高解像度の電子線露光用ネガ型レジスト(注2)で、高度の化学合成技術により、ベンゼン環4つをリング状に接続した分子を合成し、分子量を下げることにより高解像度化を実現しています。
 本レジストは、クロロメチル化(注3)することにより、電子線に対する感度を向上しています。また、分子構造上4アレーンは6アレーンに比べて形態変化しやすいため、分子の結晶化を抑制してレジストライン側面の凹凸の抑制を実現しました。同時に、形態が変化しやすい性質から安全溶媒にも可溶となり、作業環境や地球環境にやさしい溶媒を使用できるようになりました。本レジストを電子線で露光した結果、線幅8nm、ラインエッジラフネス1nm以下という、高品質な超微細パターンの形成に成功しました。さらに金属不純物を除去する高度な精製技術により、低不純物濃度を実現しました。

 NECでは、本レジストを用いた微細パターン形成技術(FineNano(TM):※)を、微細MOSデバイスのゲートとなるポリシリコンの加工に適用し、線幅10nm、高さ60nm、周期35nmの高アスペクト比のパターン形成にも成功しました。このたびの開発は、従来よりもさらに微細なゲートを必要とする将来のLSI用の極微細トランジスタの試作・評価を可能にするもので、NECでは今後、本成果を活用して、高性能LSIの開発を加速させていきます。また、ナノメートルサイズで起こる現象を利用した新たなナノデバイスの開発にも応用していきます。

 本成果の一部は、1991年度から2000年度にかけて行われた通産省産業科学技術研究開発制度の一環としてNEDOから財団法人 新機能素子協会(FED)を通じて委託された「量子化機能素子の研究開発」によるものです。

※ 「FineNano(TM)」はNECの登録商標です。

(注 1) ラインエッジラフネス:
レジストの線(ライン)パターンを上面から見たときの側面の凹凸のこと。ラフネスは小さいほどデバイスの性能が向上する。
(注 2) ネガ型レジスト:
現像後、レジストの電子線を照射した部分が残るものをネガ型という。その逆はポジ型といわれる。
(注 3) クロロメチル化:
分子(ここではカリックスアレン分子)を修飾する基として塩素原子の付いたメチル基で修飾されているもの。電子線などの放射線に対して敏感になり、レジストの感度が向上する。

日本経済新聞 2003/12/2

高機能フィルム 富士写、1100億円投資 液晶向けなど4年間で

 富士写真フイルムは電子機器向けの高機能フィルム事業の強化に向け2004年度からの4年間で合計1100億円を投資する方針を決めた。需要が急拡大する液晶テレビ向けフィルムを増産するほか、プラズマテレビ用素材を新規に開発、供給する。主力の写真用フィルムが伸び悩む中、成長性の高い電子機器向けフィルム事業を次の収益源と位置付ける。
 高機能フィルムはすでに液晶テレビやノートパソコン向けなどに手がけており、同事業の売上高は今年度見込みで約670億円。積極投資により生産能力拡大や用途開拓を進め、2008年度には約3倍の2千億円に増やす計画。
 4年間で投じる1100億円はすべて工場の新設・増強に充てる。液晶パネルの表示性能を高める部材である偏光板の素材用フィルムや、視野角を広げる高機能フィルムなどを大幅増産する。事業参入した1998年以降、小田原工場(神奈川県小田原市)などを中心に年平均で100億円前後を同事業に投じて生産能力を拡充してきたが、今後は同二百数十億円規模の投資を継続する。
 素材フィルムの供給先である偏光板メーカーが韓国や台湾への工場移転を進めている。富士写の新工場は両地域、もしくは地理的に近い九州での建設も検討する。
 1日付で液晶用フィルム事業を手掛けていた産業材料部を「フラットパネルディスプレー材料事業部」に格上げしたほか、神奈川県南足柄市に関連の新研究所を開設した。新体制で今後急成長が見込まれる大型液晶テレビ用に映像が見やすくなる專用部材の製造に着手するほか、フィルム技術を利用してプラズマテレビの発光性能を高める新規材料や有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)向けなどの発光体を開発、製品化する。


Chemnet Tokyo 2004/1/8

ポラテクノ、プロジェクター用偏光板の米社買収
LCDの大画面用、ガラス基板にアルミ蒸着

 LCD(液晶表示装置)用の耐久偏光板大手であるポラテクノ(高瀬光市社長、新潟県板倉町、TEL/0255-78-4700)はナノテクベンチャーのモクステック(ユタ州ノースオレン)を買収することになった。

 買収金額は明らかにしていないが、モクステックは資本金274万ドル、年商約900万ドル、従業員約60人でブリガム・ヤング大学のX線解析技術をベースに1986年に設立された。1月中にも手続きを完了する予定。社名はモスクテックを引き継ぐ。

 ポラテクノは米子会社とモクステックを合併し、全額出資の子会社とする。これによりモクステックが独占的(世界市場の80%)に保持している次世代の大画面プロジェクター用偏光板事業を手中におさめ、欧米などの需要増に対処する体制ができる。

 通常の偏光板はポバールなどを主原料とするフィルムだが、モクステックの技術はガラス基板にアルミを蒸着する。耐久性や耐熱性にすぐれ、高精細な画像が表示できることから、次世代リア型プロジェクター用として需要が急増している。

 これまではポラテクノが、モクステックとアジア地域での加工・販売を行うため01年から提携してきたが、買収で新社が昨年の売り上げ約6億円を、07年には60億円に拡大できると予想している。モクステックの生産能力は5インチウエハー換算で年15万枚。
 
 モクステックは光学部材のほかにX線解析用部材をもち、在来の分析機器向けのほか、生体分子構造の解析、環境ビジネスなどの用途開拓も行う。

 なお、
ポラテクノは日本化薬55%、有沢製作所45%の出資で91年に発足。資本金12億4,000万円、年間売り上げ約200億円、従業員約300人。

ポラテクノ 
http://www.polatechno.co.jp/
Moxtek     http://www.moxtek.com/

 


2004/2/17 昭和電工

ハードディスク事業に関する台湾トレース社とのMOU締結について

 昭和電工株式会社(大橋光夫社長)は、昨年5月に技術供与を行った台湾のハードディスク(以下HD)メーカーTrace Storage Technology Corp.(CEO:Chao-Chin Tung 以下トレース社)に、資本出資を検討することについてMOU(Memorandum of Understanding:覚書)を締結しましたのでお知らせします。

 出資スキーム等については、今後実施するトレース社の資産査定(Due Diligence)結果によって決定しますが、トレース社が実施する第三者割当増資を当社が引受ける予定です。また、本件実施にあたっては、台湾政府からの認可取得が前提となります。
 なお、詳細につきましては、合意成立後改めて発表の予定です。

 トレース社(1990年設立、資本金5200万US$)は台湾四大財閥のひとつのKoos(和信)グループに属し、HD基板(アルミサブストレート)製造設備を併せ持つHD一貫メーカー(月産200万枚)です。トレース社は、当社からの技術供与により80ギガバイトHDのユーザー認定を取得し、9月以降は高稼働を継続しております。

 当社のHD事業は、昨年1月の昭和電工エイチ・ディー・シンガポール社(SHDS)のスタートおよび10月以降の月産100万枚の能力増強、さらにはトレース社との提携等による事業拡大策により、現在、世界で唯一ガラス・アルミハードディスク双方を生産するハードディスク専業メーカーとして世界最大の月間830万枚の供給能力を有します。

 当社は、トレース社への出資完了後、同社における生産設備の増強を視野に入れており、月間1000万枚を超える供給を目指します。


2004/2/24 旭硝子                      日経記事

TFT−LCD用大型ガラス基板の製造能力増強
http://www.agc.co.jp/news/2004/0223.pdf

 旭硝子株式会社(本社:東京、社長:石津進也)は、TFT−LCD(薄膜トランジスタ方式液晶ディスプレイ)用の大型ガラス基板の製造能力を増強することを決定しました。台湾に大型ガラス基板対応の製造窯並びに研磨ライン(2本)を増設します。総投資額は約260億円を見込んでいます。製造窯については、本年3月に着工し2005年4月に量産開始、研磨ライン(2本)については、本年4月に着工し2005年2〜4月に量産開始の予定です。
 今回新設する窯は、パソコンやテレビ向けの旺盛な需要に対応するため、現在台湾で建設中のガラス基板製造窯(本年9月稼動予定)に隣接する形で設置する台湾で2基目の製造窯であり、当社としては6番目の窯となります。
 なお、今回の投資により総生産能力は、京浜工場(3窯)、関西工場(1窯)並びに現在建設中の台湾(1窯)を含め、製造窯6基フル稼働時に1800万u/年となります。
 現在、TFTパネルの需要はこれまでの予想を上回る伸びを示しており、パソコン用途に加えテレビ用途でも需要が本格化しており、今後も年率20%程度の増加が見込まれます。また、テレビ用を中心にパネルがより大型のものにシフトしていることから、ガラス基板の需要はパネルを上回る規模で大幅に増加すると考えられます。
 TFTパネルメーカーにおいては、第6世代サイズの大型ガラス基板を用いたパネル生産を開始しているところもあり、今後もさらに大型サイズの基板の導入を予定していることから、大型を中心にガラス基板の需給が一層逼迫することが懸念されます。
 一方、当社のTFT−LCD用ガラス基板は、他の基板メーカーとは異なり、大型基板を大量に生産するのに適したフロート法で製造しています。また、たわみが少ない、パネル製造時の熱による収縮が少ないなどの特徴を持つ他、環境への関心の高まりとともに、通常、製造工程で気泡を抜くために使用される砒素・アンチモンといった有害物質を含まない‘環境に配慮したガラス’としてもパネルメーカーから高い評価を得ています。
 当社は、大型基板の需要が高まるこの機を捉えて本事業での「Global NO.1」を目指し、製造能力増強を決定いたしました。今回行う能力増強の内容は以下のとおりで、製造窯から研磨ラインまでの一貫した効率的な生産体制を増強することにより、旺盛なガラス基板の需要に対応していきます。

○ガラス基板製造窯
 旭硝子ファインテクノ台湾社(斗六市、出資比率100%)において、TFT−LCD用ガラス基板製造窯を増設します。増設窯の能力は400万u/年であり、超大型サイズ基板を効率的に生産するため、約4 m 幅でのガラス基板製造が可能なものとしています。
 現在、同社においてガラス基板製造窯を建設中ですが、今後さらに成長が期待されるパネルメーカーの要求にタイムリーに応えるため、台湾での製造窯の増強を行うものです。設備投資額は約120億円です。

○ガラス基板研磨ライン
 ガラス基板製造窯と同様に、旭硝子ファインテクノ台湾社において、主として今回増設する窯で製造された大型ガラス基板用の研磨ラインを2本増設します。設備投資額は2ライン合計で約140億円です。

<ご参考>

1.当社製TFT−LCD用ガラス基板の特徴について
 当社は世界で唯一、TFT−LCD用ガラス基板の製造プロセスにフロート法を採用しています。
 1998年に上市した「AN100」の大きな特徴は、次の通りです。
(1) 大型ガラス基板を大量に且つ安定的に供給できる。
(2) TFT−LCD業界で主流化している第5世代(1m角以上のサイズ)以上のラインで使用される大型ガラス基板に求められる特性を充分に備えている。
  @ 他社のガラス基板に比べて、高ヤング率(高剛性)であるために、顧客ライン搬送中のたわみ量が少ない
  A 反りや歪みが小さく、熱的寸法安定性にも優れている 
(3) 製造工程で有害物質であるAs2O3(亜砒酸)Sb2O3(アンチモン)を使用しない唯一のTFT―LCD用無アルカリガラス基板であり、環境問題にも充分な配慮をしている

2.旭硝子のTFT-LCD用ガラス基板製造フロー 

   ガラス基板製造窯    研磨加工工場    
           
   ・京浜工場(横浜市)
・関西工場(尼崎市)
・旭硝子ファインテクノ台湾
*1窯建設中2004.9 稼動予定
*今回1窯増設2005.4 稼動予定
   ・関西工場(尼崎市)
・旭硝子ファインテクノ(米沢市)
・旭硝子ファインテクノ台湾
*今回2ライン増設2005.2〜4 稼動予定
  お客様  
           
  <素板生産工程>   <研磨加工工程> <製品仕上げ>    

             
3.旭硝子ファインテクノ台湾社の概要

(1)商号  : 旭硝子發殷科技股イ分有限公司
    [英名:Asahi Glass Fine Techno Taiwan Co., Ltd]
(2)本社及び工場所在地   台湾斗六市
(3)代表取締役社長   村山武靖
(4)資本金   1520million New Taiwan$
(5)株主   旭硝子株式会社
(6)営業品目   TFT−LCD用ガラス基板
(7)設立年月   2000 年7 月
(8)従業員数   379 名

 


日本経済新聞夕刊 2004/2/27

NEC、有機EL撤退 合弁持ち株 サムスンに売却

 NECは有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)事業を韓国サムスングループでブラウン管世界最大手のサムスンSDIに売却する。3月をメドに、同社との合弁会社の持ち株や関連特許を総額100億円前後で譲渡する。有機ELは液晶、プラズマに続く薄型テレビ向け表示装置の本命とされ、日本企業が事業化を急いでいる。サムスンは事業買収をテコに、世界市場での主導権確立を狙う。
 NECはサムスンSDIと2001年1月に
サムスンNECモバイルディスプレイ(SNMD、韓国・蔚山広域市)を設立した。資本金は約174億円(1740億ウオン)で出資比率はサムスンSDIが51%、NECは49%。SNMDは携帯電話の表示装置などに使われる「パッシブマトリックス」と呼ばれる方式の有機ELの開発や製造、販売などを手がけており、業界推定で世界シェアは約4割。パイオニアと並んで世界トップの販売額を抱える。
 SNMDはこれまで約100億円を投資してきた。しかし、パネルの省電力化や画面の大型化、高精細化に適した表示装置開発のためには、今後、500億円以上の追加投資が必要となる。NECは薄型表示装置を非中核事業と位置づけており、今月初めにはパイオニアヘのブラズマパネル事業売却を発表。有機ELからも撤退することで、コンピューターネットワークと半導体分野への事業集中を明確にする。


2000/12/6 サムスンSDI/日本電気               解説

有機ELディスプレイの合弁会社設立について
http://www.nec.co.jp/press/ja/0012/0601.html

 サムスンSDI株式会社(本社:ソウル特別市、代表取締役社長:金淳澤)とNEC(本社:東京都港区、代表取締役社長:西垣浩司)の両社はこのたび、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display)の開発、製造および販売をおこなう合弁会社「サムスンNECモバイルディスプレイ株式会社」(英文表記:SAMSUNG NEC MOBILE DISPLAY CO.,LTD.)を2001年1月に設立し、両社共同でIMT−2000などの次世代モバイルディスプレイ市場に本格参入することを決定いたしました。
 本日午前、ソウルのWestin ChosunホテルにてサムスンSDIの金淳澤代表とNECエレクトロンデバイスの杉原瀚司カンパニー社長はじめ、関係者約70名が参席した中で合弁契約の調印を行いました。
有機ELは、自発光、ブラウン管並みの高画質、薄型・軽量、動画表示に適した早い応答速度、低電圧駆動などの特徴を持つ次世代ディスプレイであり、次世代の携帯電話や携帯情報端末(PDA)、カーナビなど幅広い用途が見込まれています。

 新会社の資本金は940億ウォン(約94億円)であり、サムスンSDIとNECが各々51対49の比率で出資します。今後5年間の総投資額は約5,000億ウォン(約500億円)を予定しており、サムスンSDI釜山事業場内(韓国・蔚山広域市)に本社工場を置き、サムスンSDI水原事業場(韓国・水原市)とNEC相模原事業場内(神奈川県相模原市)の2ヶ所に開発拠点を置き運営いたします。
サムスンSDIとNECは、本年7月に事業協力の為の基本合意書を交わし、9月からフルカラー・パッシブマトリックス(PM)有機ELディスプレイの共同開発に着手しております。事業初年度である2001年から釜山事業場にて両社で開発した2インチクラスのPM有機ELディスプレイの生産を開始いたします。なお、釜山事業場の生産能力は月産70万個ですが、2003年には月産150万個に増産する計画です。

 さらに、新会社は2001年に、PM有機ELディスプレイに比べ大型化、低消費電力化、高精細化に適したアクティブマトリックス(AM)有機ELディスプレイの開発に着手し、2002年以降本格事業化することを計画しております。

 2005年に全世界で3億個以上と予想されるIMT−2000用携帯電話市場の30〜40%に有機ELディスプレイが採用されると考えており、2005年の有機EL市場全体では1億個以上と予想しております。サムスンSDIとNECは、このたびの新会社設立により2005年に世界の市場シェア30%、売上額1兆ウォン(約1,000億円)以上を達成することにより、有機ELディスプレイ市場において世界1位を目指す戦略です。

 サムスンSDIとNECの両社は、有機ELを次世代モバイル用ディスプレイのコア商品と位置付け積極的に開発を推進してまいりましたが、

サムスンSDIの有機ELの豊富な開発人員やSTN液晶で培われたモバイルディスプレイの優れた技術力に、フルカラー有機ELディスプレイに関するNECの優れたノウハウ、基礎技術力を融合することにより、お互いのメリットを生かすWin−Win戦略を実現でき、開発力の強化と量産化のスピードアップが図れること。
両社による合弁事業化により、有機ELの世界的な市場形成の加速化が見込まれること。
共同事業化により投資リスクが低減できること。
サムスンSDIとNECは、カラーブラウン管の技術提携などにより極めて緊密かつ友好な関係を確立しており、パートナーとして最適であること。

などから、今般、両社で合弁会社を設立することにいたしました。
 サムスンSDIは、1970年創立のブラウン管マーケットシェア1位、VFD(蛍光表示管)2位、STN LCDを中心とするモバイル機器ディスプレイ 2位の総合ディスプレイデバイスメーカーです。今年度の業績は、売上高6兆ウォン、税引前利益7,000億ウォンを上回ると予想しており、PDPと次世代2次電池等新規の事業分野にも注力した経営を行っております。
 NECは、コンピュータ、通信、電子デバイス分野で日本を代表する企業であり、2000年3月期の売上高は4兆9,914億円となっています。「ブロードバンド化」と「モバイル化」の2つの大きな潮流を捉え、グローバルNo.1を目指す事業にフォーカスした経営を行っております。


日本経済新聞 2004/2/28

NEC、有機ELから撤退 「不採算」売却が一段落
 ネットワーク・半導体強化に軸足

 NECは27日、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)事業を韓国のサムスンSDIに売却すると発表した。NECは今月初めにプラズマパネル事業をパイオニアに譲渡したのに続く、矢継ぎ早の事業売却となる。不採算事業の整理は今回の有機ELの売却で一段落し、今後の課題は中核事業と位置づけるコンピューターネットワークと半導体事業の強化育成に移る。 NECはブラウン管世界最大手のサムスンSDIと2001年1月にサムスンNECモバイルディスプレイ(SNMD、蔚山広域市)を設立した。資本金は約174億円(1740億ウオン)で、サムスンSDIが51%、NECが49%出資している。
 NECはサムスンSDIにSNMDの持ち株の全株式と関連特許を譲渡する。譲渡価格は約85億円。3月末までに譲渡を完了させる。
 「思った以上に収益があがらない」。NECの幹部は有機EL事業の売却の理由をこうあげる。有機ELの用途として有望視していた携帯電話向けなども、液晶に食われるなど、合弁会社設立当初に描いていた2005年の売り上げ目標(1千億円)の「半分にも満たない水準」にとどまっている。
 テレビなど大型画面に耐えられる高精細化や省電力化などの課題を克服するためには500億−1千億円の投資がさらに必要になることも撤退を決める要因となった。
 今月初旬にパイオニアヘの売却を決めたプラズマパネルも「セットメーカーには歯が立たない」との理由から、事業継続を断念。投資回収に問題が残る事業からは素阜く身を引く姿勢を鮮明にしている。
 NECは先に公募増資で1850億円を調達、一時8.7%まで落ち込んだ株主資本比率も約17%まで回復、財務危機はひとまず乗り切った。ただ、課題はNEC本体に残るコンピューターを軸とするIT(情報技術)とネットワーク事業だ。
 主力のシステム構築事業は今期の営業利益を期初計画より百億円下方修正した。現時点で成長のけん引役として目立つのは携帯電話端末事業だけだ。社長就任から来月で1年を迎える金杉社長の課題は構造改革の実行から、成長への道筋をしっかり描くことに変わってきている。

NECの主な事業再編

年月 事業 再編内容
1999年12月 DRAM 日立製作所と事業統合、 「エルピーダメモリ」設立
2001年4月 レーザープリンター 富士ゼロックスに売却
2002年10月 プラズマパネル 「NECプラズマディス プレイ」設立
(→04年度上期中にパイオニアに売却)
      11月 システムLSI 「NECエレクトロニクス」設立
(→03年7月東証上場)
2003年4月 液晶 「NEC液晶テクノロジ一」設立
2004年3月 有機EL 合弁相手であるサムスンSDIに全持ち株売却

日本経済新聞 2004/3/10           発表

大日本印刷が生産増強 液晶向けなど反射防止フィルム 50億円投資 シェア首位固め

 大日本印刷は液晶テレビやプラズマテレビなどの画面に張り、照明の光や風景が画面に映るのを防ぐ反射防止フィルムの生産を拡大する。50億円を投じて岡山工揚(岡山県御津町)の生産能力を現在の4倍に引き上げ、旺盛な需要に対応する。同社は同フィルムで世界シェアの75%を握る最大手だが、凸版印刷など他社も生産増強に乗り出している。能力強化で首位の座を固め、主力事業の一つに育てる。
 反射防止フィルムは薄い樹脂フィルムに光学的な機能を持つ他の素材を塗り重ねて機能を持たせる。フィルム表面に別の素材を塗布する技術に印刷技術を応用した。
 岡山工場の敷地内に延べ敷地面積1万平方メートルの新棟を建設、4番目となる新ラインを設置する。月産能力は400万平方メートル。同社は2月に同200万平方メートルの能力を持つ3号ラインを稼働させており、新ラインが稼働する予定の2005年5月には、生産能力は今年1月時点に比べ4倍の同800万平方メートルに拡大する。1平方メートルのフィルムは30インチ液晶テレビ3台分の画面に相当する。
 さらに2004年度からの3年間で100億円を追加投資、設備を増強する。光学フィルムで年間500億円の売り上げを見込む事業に育てる。目標を達成すれば、同社の産業資材部門の約7割を光学フィルムが占める計算になる。
 電子情報技術産業協会の予測では、液晶テレビやプラズマテレビといった薄型テレビの2004年の世界需要は前年の2.1倍の790万台に拡大する見通し。これに伴い反射防止フィルムの需要も急増しそうだ。大日本印刷は国内販売に加えて、年間生産量のそれぞれ2割を輸出する台湾や韓国など海外向けの販売も強化する考えだ。


2004/03/10 大日本印刷

大日本印刷 大型液晶テレビ向け高機能光学フィルムの新ライン増設
世界最大の生産量をさらに4倍増
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=67051

 大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円 以下DNP)は、急拡大を続ける、大型液晶テレビやプラズマテレビ(PDP)などの薄型テレビ向け反射防止フィルムの生産能力を大幅に拡大します。本年2月、岡山工場(岡山県御津町)の3本目のライン稼動に加えて、2005年5月までに新棟を建設し4本目の新ラインを増設します。これにより生産能力は従来の約4倍になります。

 液晶ディスプレイなどの最前面に組み込まれる偏光板の表面には、防眩フィルム(Anti Glare:AG)や反射防止フィルム(Anti Reflection:AR)と呼ばれる、画面への傷つきを防止したり、外光や蛍光灯の光による映り込みや眩しさを抑えて、画面を見やすくする機能性フィルムが必ず使われています。また、PDPの最表面にも前面フィルターと呼ばれるガラスの表面に、PDP用反射防止フィルムが使われています。

 DNPでは、印刷のコア技術とされているコーティング技術に、材料技術、クリーン化技術、印刷で培った"感性"を数値化する評価技術などを駆使し、『見やすく、目に優しい光学フィルムの提供』を早くから実現して、フラットパネルディスプレイ市場における表面機能性フィルム分野で圧倒的なシェアを獲得してきました。

 本年2月、昨年より岡山工場に増設していた3号ラインが稼動を開始、世界最大の月産400万平方メートルまで生産能力を倍増しました。更に、今後一層の市場急拡大が見込まれる液晶ディスプレイ市場やPDP市場を睨み、また顧客からの強い増設の要望があり、新たに岡山工場に約50億円を投資して新棟を建設し、従来機と比べ2倍以上の能力をもつ新ラインを、2005年5月稼動を目指して導入することにしました。

 これにより、新ライン完成時(2005年5月)に、DNPの高機能光学フィルム生産能力は月産約800万平方メートル以上となり、表面機能性フィルム世界市場の約75〜80%を占めると同時に、業界トップ企業としての地位を確実なものとします。2006年度の売上目標金額は 500億円を計画しています。


DNPの高機能光学フィルム生産能力増強推移
 〜2004年1月  月産約200万平方メートル
 2004年2月〜  月産約400万平方メートル(岡山3号ライン稼動開始)
 2005年5月〜  月産約800万平方メートル(岡山4号ライン稼動予定)

 2004年2月に稼動を開始した3号ラインの概要
  ・DNP岡山工場(岡山県御津町)内に設置
  ・3号ライン投資金額 約20億円 2004年2月稼動開始
  ・生産能力 月産約200万平方メートル

今回新たに増設する新ライン(4号ライン)の概要・特徴
 ・DNP岡山工場(岡山県御津町)敷地内に、延べ床面積10,000m2の新棟を建設
 ・4号ライン投資金額 約50億円 2005年5月稼動予定
 ・従来機の2倍の生産能力 月産約400万平方メートル
 ・マルチコーター設計により、インラインで多層コーティングを実現
   (複数の光学機能や帯電防止機能を1回のインラインコーティングで実現)


2004年4月13日 日本ゼオン

日本ゼオン、重合法カラートナープラントを起工
http://www.zeon.co.jp/press/040413.html

 日本ゼオン(社長 古河直純、東京都千代田区)は、重合法カラートナープラントの起工式を、4月13日に当社徳山工場(山口県周南市)で行った。本設備はカラートナーの工業的量産技術の確立、市場開拓用のサンプル製造および製品の販売を目的に建設し、既存の重合法モノクロトナープラントに設備付加するもので、完成は6月末の予定である。

 当社は、世界で初めて重合法によるモノクロトナーの企業化に成功し、1993年徳山工場に生産プラントを建設した。さらに、1998年には重合法による「マイクロカプセル型の低温定着トナー」の開発にも成功した。以来、販売も順調に拡大する中、昨年3月には年産1,000トンの第二プラントを建設し、第一プラントと合わせて年産2,500トンの能力を有している。
 重合法トナーは、化学反応により真球状の微粒子を容易に製造することができ、従来から行われている粉砕法トナー製造におけるエネルギー多消費工程である、溶融混錬/粉砕工程の省略が可能である。また、トナー製造側で省エネが見込めるだけでなく、マシン側でもトナーの定着設定温度を下げることができ、さらに、球形トナーの高い転写効率を生かしたクリーナーレス方式の採用により、廃トナーボックスも不要とすることも可能であり、省エネかつ環境にも優しいトナーと言える。
 現在、レーザープリンターや複写機などではカラー化が急速に進んでおり、中でも重合法トナーの高画質、高品質、低消費エネルギーの特徴がカラープリンターには最も適した性能であるため、重合法カラートナーの採用が今後急速に進むと考えられる。当社も、モノクロ重合法トナーでの実績と技術を基にカラートナーに参入することにより、トナー事業の一層の拡大を図る計画である。

1. 重合法トナーと粉砕法トナー
  トナーは5〜10μm程度の微粒子状物で、製造方法により重合法と粉砕法に分けられる。重合法トナーの製造では、従来の粉砕法トナー製造工程で大きなエネルギーを要する溶融・混練工程、粉砕・分級工程が不要である。
重合法は、角張った粒子になる粉砕法に比べ、7μm以下の微細な粒子を容易に造れることと、出来上がった粒子は真球状(図参照)であり、各粒子の粒径及び組成が均一であることから、印字性能に優れ、きれいな画質が得られる。

2. 高分子学会賞受賞
  当社は、社団法人高分子学会より「重合法トナーの開発と工業化」の実績に対して、平成12年度高分子学会賞(技術)を受賞している。


日本経済新聞 2004/5/1

折り曲げ可能な基板材料 松下電工、宇部興産と提携 デジタル家電用、製法導入

 松下電工と宇部興産は、デジタル家電の小型・薄型化で需要が急増している折り曲げ可能な回路基板の材料事業で提携した。松下電工が同分野で先行する宇部興産の製法を導入、製品のOEM(相手先ブランドによる生産)供給も受ける。宇部興産は自社規格を広めることで業界標準を握る足がかりとする狙い。両社合わせて2005年に世界シェア5割弱を目指す。
 提携したのは樹脂フィルムの両面に銅はくを張り合わせた「ニ層フレキシブル銅張積層板」と呼ばれる電子材料。携帯電話の接続部やデジタルカメラ、薄型テレビなどに使う折り曲げ可能なフレキシブル回路基板の材料となる。デジタル機器の薄型化に伴い、需要が急拡大している。
 松下電工は昨年3月に同分野に参入し、現在の能力は年間60万平方メートル。新たに宇部興産の技術支援を受けてより生産効率の高いロール状の製品の生産を始める。10億円を投じて既存工場に生産ラインを導入、2005年6月までに年産能力を130万平方メートルに引き上げる。
 松下電工は宇部興産から樹脂フィルムの供給を受けるほか、生産が軌道に乗るまで製品のOEM供給も受ける。松下電工の同事業の売上高は年間約20億円だが、2007年には40億ー50億円程度に引き上げる。
 宇部興産の製法はポリイミド樹脂フィルムの表面に熱融着層を設け、銅はくを加熱しながら張り合わせる「ラミネート法」と呼ばれる手法。フィルム両面に銅はくを張り合わせる際、他社の製法と比べて低コストになるのが特徴。宇部興産は製法を他社に供与することで自社規格を広め、同市場で先行する新日鉄化学などを追撃する。
 宇部興産は二層フレキシブル銅張積層板の世界市場が2005年に700万平方メートル前後に達するとみており、自社でも年産能力を2005年9月に200万平方メートルに引き上げ、宇部・松下工連合のシェアを47%とする。

フレキシブル回路基板(FPC)
 電子部品を実装するために使う回路基板の一種で、樹脂フィルムに配線回路をプリントして製造する。ガラスエポキシ樹脂を使った従来の回路基板と比べた場合、薄くて軽いため、自由に折り曲げて使うことができるのが特徴。デジタルカメラや携帯電話など、小型・薄型化が進む電子機器に多く使われており、需要が急速に伸びている。NOK、日東電工、住友ベークライトなどが代表的なメーカー。

 


2004年8月30日 東京応化工業

LCDカラーフィルター製造用ブラックレジストの生産能力増強に関するお知らせ
http://www.tok.co.jp/news/news_html/bk_resist_capa_increase0408-j.htm

 東京応化工業株式会社(本社:川崎市中原区)は、大幅な需要増に応えるため、液晶ディスプレイ(LCD)カラーフィルター製造用の顔料分散型ブラックレジストの生産能力増強を決定いたしましたので、お知らせいたします。

 顔料分散型ブラックレジストは、あらかじめ顔料で黒色に着色したフォトレジストで、LCDカラーフィルターのブラックマトリクス形成に用いられております。ブラックマトリクスとは、カラーフィルターの赤(R)、緑(G)、青(B)の三色を囲む格子状の黒色部分(図をご参照下さい)のことで、画像のコントラストを向上します。

 このブラックマトリクスの形成工程は、従来、金属による形成方法が主流となっておりましたが、液晶ガラス基板の一層の大型化への対応や環境保全への配慮などから、ブラックレジストによる形成方法の採用が広がり始めております。

 当社のブラックレジストは、高遮光性かつ高感度という特長に加えて品質の安定性に優れるなど、総合的な信頼性の高さから需要が拡大しております。さらには、今後、ブラックレジストを用いた工程の採用が伸展するにつれ、本製品の大幅な需要増加が見込まれますため、当社では宇都宮工場に生産設備を増設することによって生産能力を倍増させ、顧客の要望、期待に安定的に応えることのできる供給体制を築くものであります。

○ 生産能力増強の概要
1. 工場名  東京応化工業株式会社 宇都宮工場
2. 工場所在地  栃木県宇都宮市清原工業団地21番地5号
3. 増強品目  液晶ディスプレイカラーフィルター 
           ブラックマトリクス形成用顔料分散型ブラックレジスト
4. 投資額  約6億円
5. 完成予定  2005年1月




2007/4/20 日本経済新聞

日東電工、初の欧州拠点 チェコ工場 液晶フィルムを量産 日系企業などに供給


 液晶用光学フィルム世界最大手の日東電工はチェコに新工場を建設し、2008年3月をメドに量産を始める。初期投資額は約30億円。世界最大の液晶テレビ市場である欧州に初めて製造拠点を開設。日系企業をはじめ現地に工場を持つテレビ、パネルメーカーへの供給体制を強化する。液晶フィルムは価格下げ圧力が強まっているが、日東電工は現地生産を進めてコスト競争力を上げ、事業拡大を目指す。
 チェコ東部のブルノ市の工業団地に新工場を建設する。主に画面サイズが40インチ以上の大型液晶パネル向けフィルムを生産できる最新鋭の加工・検査設備を導入。第1期分として08年春に従業員80人で操業を始め、需要動向を見ながら順次設備を増強していく。初年度240億円の売り上げを見込む。
 日東電工は主力拠点の尾道事業所(広島県尾道市)と亀山事業所(三重県亀山市)でフィルムを製造し、海外ではフィルムを画面サイズに裁断して品質検査をする体制を整備している。海外工場は現在、韓国と台湾、中国にあり、今回初めて欧州に進出する。
 チェコの新工場からは、東欧の主要都市に数時間から1日で配送が可能。東欧には、スロバキアでソニーや韓国サムスン電子、ポーランドでシャープなどが液晶テレビやパネルの組み立て工場を構えている。日東電工は現地に進出することで、輸送コストなどを削減し競争力を高める。
 米調査会社ディスプレイサーチによると06年の欧州の液晶テレビ販売台数は1808万台で、北米を3割強上回る世界最大市場。08年には3千万台超まで拡大すると予測している。